- TOP
- ガーデン&ショップ
-
香川県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪12 香川「GARDENS」
海外のショップを訪れたような 感覚が楽しめるショップ 高松市内中心部から数キロ離れた、のどかなエリアに店舗を構える「GARDENS」。白い建物につややかなカラーリーフが映える店構えが印象的です。 インテリアデザイナーの感覚で イギリスと北欧スタイルの融合 オーナーは、ガーデニングショーで大賞を受賞したり、花のイベントで庭づくりを担当するなど活躍中のガーデンデザイナー、宮本里美さん。じつは、かつてはインテリアデザイナーだったというだけあって、宮本さんの提案する庭は、庭空間だけでなく、暮らし全般につながるコーディネートがなされています。 ガーデンデザイナーになる前からイギリスに興味があり、たびたび渡英していた宮本さん。イギリスの庭文化に触れるにつれ、どんどんガーデニングにのめり込み、自宅でガーデンデザインのアトリエ兼、ガーデニングの店をオープン。次第に、宮本さんが提案するイギリスの雰囲気を漂わせるおしゃれなガーデニングが話題となり、全国からお客さんが集まってくるショップに成長しました。 素敵なリビングでは、フラワーアレンジや寄せ植えなど、さまざまなワークショップが受講できます。海外のお宅を訪れたようなインテリアも見どころ。 ここ数年は、北欧のスタイルも多く取り入れている宮本さん。「日本では‘ガーデニング’と‘インテリア’は別のくくりですが、デンマークをはじめとする北欧では、家の内外の空間を区別せずに、‘リビング’と同じくくりとしてとらえているのですよ。私もそう思います」。そうした北欧人の感覚は、インテリアとガーデニング、どちらも手掛ける宮本さんの感性にしっくりきたのだそうです。 4つの空間で構成した売り場で 緑のある暮らしを提案 住居兼アトリエの建物と一体化したショップは、連なる4つの空間で構成されています。まずは、事務所入り口でもある、グリーンで構成されたフォーマルな「エントランスガーデン」。そこを抜けると、花苗やガーデニング用品が並ぶ「苗・資材売り場」、その奥に、室内を彩る雑貨を扱う「インテリア雑貨売り場」、そして一番奥には、居住空間に面した「中庭」が広がります。 居心地のよさを追求した リビングのような「中庭」 庭での暮らし方の提案が盛り込まれているのは、宮本さんの生活の場の一部でもある「中庭」。塀に囲まれ、プライベートが守られるこの場所には、宮本さんが考える居心地のよい空間づくりのヒントがたくさん隠されています。 春~夏に緑陰を落とすシンボルツリーのエノキの下に、ベンチやオーナメントをレイアウト。ギボウシやクリスマスローズがつややかに育つ、しっとりとしたシェードガーデンです。 アンティークなどの小物類は、テーブルの上にまとめてディスプレイ。樹木の緑を背景にしながら高低差をつけて飾ることで、それぞれの存在感が際立つコーディネートに。 雑貨の軽重のバランスも絶妙で、あまり重い印象にしたくない場所は、透け感のあるアイアンの鳥カゴを使用。 平面的になりがちなウォールやリーフの茂みの中には、さまざまなタイプのオーナメントがあしらわれています。どれも植物に馴染んで、さりげないワンポイントに。 雨の当たらない軒下は、インテリア感覚でガーデニングを楽しめる格好の場所です。宮本さんは、この軒下スペースに寄せ植えや植え替えをする作業台と飾り棚を設置。北欧のアンティークの作業台にモノトーンの雑貨を合わせていることで、大人っぽい雰囲気になっています。 小さな空間に凝縮させた 宮本さんセレクトの「苗&資材売り場」 どんなに忙しくても、自分の足で自身の感性に合った苗を探して回るという宮本さん。「直に生産者に会っていろいろ教えてもらわないと、お客さんに自信を持って勧められないですものね」。ブルーグレーのフェンスに囲まれた売り場には、厳選したリーフをメインとしたシックな苗がたくさん揃っています。 リーフ類をメインとして使う宮本さんが、植栽に彩りを添える際に重宝する花苗をセレクトしています。並ぶ苗はどれも清楚で可憐。そして、ナチュラルな雰囲気。 資材コーナーもブルーグレーにペイント。コンテナ類は、宮本さんが北欧に足を運んで輸入したというものがほとんど。グレーや黒を基調にしたシックなカラーと美しいフォルムが、グリーンをおしゃれに見せてくれます。 空間の雰囲気づくりに大いに役立っているのが、あちこちに配されたイギリス製のオーナメント類。重厚な存在感がイギリスのアイテムらしい。 緑のグラデーションが美しい 「エントランスガーデン」 ショップの入り口のアーチをくぐると「エントランスガーデン」に。常緑樹が青々と茂る空間が広がります。豊富な緑に囲まれていますが、高木以外はほとんどがコンテナ植え。見ごたえのあるポッティングガーデンとなっています。 〔通路右側のエリア〕 右側の園路は、奥の売り場に直接抜けることができる通路で、大小のポットで立体的にシーンを演出しています。 〔通路左側のエリア〕 左側は事務所の入り口に向かう園路で、コンテナやオーナメント、ベンチなどのアイテムをおしゃれにコーディネート。建物の白い壁にアイテムと植物のフォルムが際立ち、都会的な雰囲気が漂っています。 インテリアのセンスが学べる 「インテリア雑貨売り場」 室内の売り場では、宮本さんが北欧で買いつけてきた花瓶や器などの雑貨類が販売されています。ここはインテリアデザイナーとしてのセンスが盛り込まれた宮本さんならではの庭空間。生活のワンシーンを思わせるようなディスプレイが、海外のお宅に招かれたような落ち着いた雰囲気を感じさせます。 売っているものは、決して高価なものばかりではありません。素敵な飾り方の極意は、「使う色は絞って、バランスよくシンプルに」。 室内でもアイアンは 必須アイテム 誰でも真似できる演出のコツ 美しいシーンにあふれている「GARDENS」。ここでは、たくさんある中で誰でも真似しやすいコーナーを選んでご紹介します。お客様を招いたパーティーシーンや、いつものインテリアをワンランクアップさせたい人にオススメの小技です。 どこもかしこも洗練度大! 上方もチェックして うっかりテーブルや棚だけを眺めがちですが、このショップは隅の隅まで美しい演出が施されているので、ぜひチェックを。 オレンジのあたたかい光を放つ、デコラティブでありながら素朴な印象も併せ持つ照明。消えてしまっているところも、ご愛嬌として受け止められる素敵さ。 メリハリのある抜群の展開力。 「ショップのまわり」もチェック! 北東の角地にあるショップは、東と北側が道路に面しています。それぞれまったく異なる演出が、ここにも。ショップの知識とアイデアの豊富さが表れています。 〔東側のエリア〕 白いモダンな建物をキャンバスに、木製の扉とクサツゲを植えたコンテナが映える、カッコいい住居兼ショップのファサード。海外の街の一角を思わせる風景。 〔北側のエリア〕 ショップの脇の通り沿いには、奥行き1mほどの植栽花壇が設けられています。建物が出っ張った部分からは高さ55㎝ほどのレイズドベッドに切り替え、それぞれ異なる趣の植栽が盛り込まれています。 「GARDENS」宮本里美さんの イチオシグッズをご紹介! 宮本さんのイチオシグッズは、デンマークのリビング雑誌『ISABELLAS 』とイギリスのJane Hogben Potteryのマグカップです。 デンマークのカントリーリビング雑誌『ISABELLAS』。「この雑誌は特別おしゃれな人たちに向けたものではなく、一般的な女性がよく読む雑誌なんですよ。それなのに本当におしゃれでレベルが高いんです」と宮本さん。国内で扱っているショップは現在ここだけ。そして、もう一つのオススメは、宮本さんがイギリスで直接買いつけてきたという、パンジーやスノードロップ、小鳥のワンポイントが愛らしいJane Hogben Potteryのマグカップ。「お気に入りの雑誌とマグカップがあれば、外に出かけられない日が続いても、美しい誌面を眺めて楽しく過ごせますよ」。 「日々の暮らしをより美しいものに」という思いから、毎年イギリスや北欧に足を運び、年々洗練度を増していく宮本さんの「GARDENS」。これからは全国の住宅施工業者とタッグを組み、宮本さんが考える「GARDENSの庭づくり」を広めながら、子どもたちのための花育にも力を入れていく予定です。常に進化し続ける「GARDENS」にぜひ訪れてみてください。アクセスは、高松自動車道 高松中央I.C.から車で約5分。 【GARDEN DATA】 〒761-8075 香川県高松市多肥下町1539-7 TEL: 087-815-3883 http://gardens.co.jp/ 営業時間:10:00 〜18:00/OFFICE 9:00-18:00 休日:毎週水曜日・第一木曜日 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/GARDENS
-
北海道

花の庭巡りならここ! 花の街、恵庭のイングリッシュガーデン「えこりん村 銀河庭園」
バニー・ギネスさんが手がけた北海道スタイルのイングリッシュガーデン 2006年、北海道恵庭市にオープンした「えこりん村 銀河庭園」。スタートは2000年に「花の街・恵庭市に本格的なイングリッシュガーデンをつくろう」と、イギリス人ガーデンデザイナー、バニー・ギネスさんに依頼したところから。敷地の選定から始まり、構想から6年かけてつくり上げられた庭園です。 バニー・ギネスさんのデザイン力による、敷地の高低差を利用したダイナミックなランドスケープは必見。「ローズガーデン」「トレリスガーデン」「ボートレースガーデン」「サルベージガーデン」、「ドラゴンガーデン」など、エリアごとにテーマを設け、それぞれに見応えのあるガーデンをつくり上げています。独特の美しい構造物と植物とのハーモニーはいずれも素晴らしく、どこを切り取っても写真映えがするので、ぜひ記念写真を! 2016年からは、ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんがスーパーバイザーとなり、より花数を増やし、親しみやすいガーデンを目指して、進化を続けています。広いエリアに多くのテーマガーデンがあるため、それぞれのガーデンで主役となる植物が重ならないように植栽。花色のテーマカラーも定めているため、場面が変わるごとに感動のため息がこぼれることでしょう。 始まりはウェルカムガーデンや銀河フラワーボーダーなど、華やかな花を中心として歓迎の心を表現。続いてフォーマルなパルテールや、ブラック&ホワイトガーデンなどが登場し、入り口から遠くになるにつれて、よりワイルドな自然美が広がります。 10ヘクタールの敷地を持つ「銀河庭園」は、一巡りするのにゆっくり歩いて1時間30分〜2時間くらいかかります。春の芽吹きから秋の紅葉まで、四季それぞれに美しいガーデンを観賞でき、年間約8万人が訪れる人気のスポットです。2019年は、吉谷桂子さんをはじめバラの専門家を招いて、セミナーやガーデンガイドツアー、アフタヌーンティー、クラフト教室などのイベントを開催。公式ホームページをチェックして、日程を合わせて出かけるのもいいですね。北海道スタイルのイングリッシュガーデンを満喫しましょう! 川の流れのようなダイナミズムを感じるスイセンが咲き誇る丘を散策 「銀河庭園」の春の見頃は4月下旬〜5月初旬。「銀河スイセンの丘」では、約3万球のスイセンを植栽しています。なだらかな丘の斜面を利用し、パノラマで眼前に広がる景色にうっとり。丘を下から見上げても、上から見下ろしても見応えがあります。早咲きのスイセン‘ラインベルト・アーリーセンセーション’を中心に、約10品種を植栽。園内全体では、約5万球のスイセンが見られます。 青い花が冴え冴えと発色する北海道ならではのブルーガーデン 初夏、6月中旬〜下旬の銀河庭園では、宿根草を中心に青い花でコーディネートされたガーデンが見頃に。北海道は光線の加減で、特にブルーの花の発色が美しいことで知られています。そこで、シベリアアヤメ、ゲラニウム、デルフィニウム、セントーレアなど青い花々を厳選した、ブルーガーデンを展開。カラーリーフプランツとのシックな組み合わせも見どころです。 ブルーガーデンは、「ボートレースガーデン」や「トレリスガーデン」「銀河フラワーボーダー」で見られます。写真は、「トレリスガーデン」の一角。冴え冴えとした青いデルフィニウムを引き立てるように、構造物がパステルブルーでペイントされています。デザインの美しいトレリスやアーチなどの立体資材の取り入れ方は、自庭の参考にもなりそうです。 北海道では6月下旬からがバラの季節9月から秋まではダリアが主役に 6月下旬頃からは、バラの季節。イングリッシュローズやオールドローズを中心に、約700品種5,000株のバラが出迎えてくれます。この時期は、園内がバラの馥郁とした香りに包まれ、優雅な気分になれそうです。じつは5,000株のうち、約4,500株は食べるためのバラ。農薬や化学肥料を使わずに育てたバラは、コンフィチュールやシロップ、ローズティーに加工され、村内で販売されています。また「ローズウィーク バラ祭」の時期には、レストランの期間限定メニューとしてオリジナルのローズスイーツを楽しむこともできます。 バラの季節は、「ロズビイのバラ畑」にある“幸福の扉”や、「ローズガーデン」内のつるバラが咲くアーバーなど、絵になる風景があちこちに。ガーデンに表情を添えるバラのあしらい術には、時間を忘れて見惚れてしまいそう。絵になるフォトスポットがたくさん仕掛けられているので、ぜひ記念写真を撮りましょう! 秋のオススメスポットは、2018年に完成したばかりの「銀河ダリアボーダー」です。オレンジ〜赤のオータムカラーで彩られたダリアの群生は、一見の価値あり。園内全体では、約100品種2,000株が植栽され、見応えのある景色をつくり出します。また、「ドラゴンガーデン」「銀河フラワーガーデン」も、足を運んでほしいエリア。パンパスグラスやオーナメンタルグラスなどを組み合わせた植栽はダイナミックで、「銀河庭園ならではの景色」と、評判を呼んでいます。 Information えこりん村 銀河庭園 所在地:北海道恵庭市牧場277-4TEL:0123-34-7800http://www.ecorinvillage.com/ アクセス:公共機関/JR恵庭下車、無料送迎バス有。恵庭駅西口→えこりん村「ウェルカムセンター、花のまきば」→えこりん村「銀河庭園」の順で停車。所要時間は約15分。車/道央自動車道恵庭ICを降り、一般道に出たら右折。道央自動車道の陸橋をこえると、右側に「えこりん村」のゲートが見える。(恵庭ICから約600m)一般道の場合は、国道36号線から恵庭市内(46号線)に入り、恵庭インターチェンジの表示に沿って進む。 オープン期間:4月下旬~10月31日 休園日:なし 営業時間:9:30~17:00(4〜9月)、9:30〜16:00(10月) 料金:大人1,200円、中学生以下600円、障がい者・介助者600円、大人1名につき中学生以下5名まで無料 駐車場:300台(無料)
-
山梨県

花の庭巡りならここ! 花の名所としても大人気のテーマパーク「ハイジの村」
物語の世界観を表現する「ハイジの村」花で彩られた異国情緒漂う風景が魅力 前身の「山梨県立フラワーセンター」からリニューアルし、2006年にオープンした「ハイジの村」。1974年に放映されたアニメ『アルプスの少女ハイジ』は、21世紀になった今でも愛されている名作ですが、その世界観を楽しめる観光スポットです。 そして、「ハイジの村」は、花の名所としても愛されています。「パノラマ花壇」「天使の庭」「シェードガーデン」「農夫のポタジェ」など、エリアごとに異なるスタイルのガーデンを展開。広さは約10ヘクタールにも及び、くまなく見学すれば約2〜3時間はかかります。 春はクロッカス、チューリップ、ビオラなどから始まり、初夏はフジ、バラ、ラベンダー、夏はアジサイ、ヒマワリ、秋はコスモス、ヒガンバナ、秋バラへと、一年を通して四季折々の花が見頃を迎えます。特にバラの季節は、日本一長いバラの回廊が必見。バラの専門家、後藤みどりさんによるプロデュースで、230mも続くバラのトンネルは圧巻。何度も往復したくなりそうです。 年間約22万人が訪れる大人気の観光スポットなので、レストランやカフェ、土産物のショップも充実。ハイジの物語の中に入り込んだかのような「アルムの山小屋」や、ヤギと触れ合える「ペーターのヤギ小屋」のほか、体験イベントなども多数用意されています。何度訪れても楽しく過ごせるレジャースポットに、ぜひお出かけください! ハイジが来たら「わあ、お花畑!」と裸足で駆け出しそうな花爛漫のテーマパーク 「ハイジの村」では、4月中旬〜5月上旬に色とりどりのチューリップが咲き誇ります。6品種、約25万球が一斉に開花するシーンは、スイス風の建物とも相まって異国情緒たっぷり。赤や黄色のチューリップが見せる色のコントラストも素晴らしいですね。同じ時期、園内ではビオラや桜、菜の花なども見られます。 5月中には、ジャーマンアイリスを見に出かけましょう。約180品種、約4万株が植栽されています。品種によって花色が豊富なジャーマンアイリスの特性を生かし、花色をミックスして群植。ワイルドガーデン風のナチュラルな景観が楽しめます。同じ時期には、フジやポピーも見頃です。 5月下旬〜6月下旬は「ハイジの村」のバラの季節。約1,200品種、約7,000本のバラが植栽されています。バラの専門家、後藤みどりさん監修のローズガーデンは、バラの樹齢を生かしてデザインされ、なかでも日本一長い、全長230mのバラの回廊が見どころ。バラの香りのシャワーを浴びながら、カーブの先にはどんな景色が待っているのか、歩みを進めるのが楽しくなりそうです。後藤みどりさんによる「バラ講習会」が定期的に開催されているので、ぜひ公式ホームページをのぞいてみてください。 7月には、ラベンダーが見頃になります。紫色に染め上げられたラベンダー畑を散策すると、そよぐ風が運ぶ癒やしの香りに包まれますよ! 毎年7月1〜30日は摘み取り体験を実施しています。参加費用は500円(税込・入園料別途)です。 8月中旬には、約5,000本のヒマワリが見頃になります。750mに位置する北杜市明野町は、日照時間日本一を誇るうえ、標高夏でも涼しい風が吹いて、ヒマワリがご機嫌に咲き誇る環境。観光名物になっている「北杜市明野町サンフラワーフェス」に協賛する「ハイジの村」でも、2019年は8月1日〜25日に「ひまわり祭り」を開催。21:00まで開園時間を延長しています。プロジェクションマッピングやアルプホルン演奏体験、スタンプラリーなど、夏休みらしく楽しいイベントが次々に開かれるので、ぜひ参加を! ハロウィンやイルミネーションも楽しもう!予約いらずの手作り体験は毎日開催 「ハイジの村」では、9月1日〜10月31日にハロウィンと収穫祭を開催。中庭を中心に観賞用の大きなカボチャや愛らしい人形たちがディスプレイされます。期間中にはハロウィン仮装大会も実施されるので、参加して「Trick or Treat!」と言葉を掛け合ってはいかが? また、ハロウィンジェルキャンドル作り、ジャック・オ・ランタン作り、箱庭コンテストなど、さまざまなイベントも催されます。 12月は、開園時間を21:00まで延長、イルミネーションイベントが開催されます。写真は約40万球のLEDを用いた、ダイナミックな光の演出の様子。毎年テーマやデザインが変わるので、楽しみに訪れるリピーターも多く見られます。期間中は、プロジェクションマッピング、クリスマスリースコンテスト、天体観測、クリスマスジェルキャンドルのクラフト体験など、さまざまなイベントが目白押しです。 「ハイジの村」では、ハーバリウム、モイストポプリ、ドライフラワーを使ったボタニカルガーランドやボトルフラワーなどの手作り体験を毎日開催しています。女性や子ども連れに大人気! 写真左のハーバリウムは2,100円、写真右のモイストポプリは500円(各税込・入園料別途)です。受付は10:00〜15:00、場所は「スイスの花屋さん」にて。 ハイジをテーマにしたカフェやレストラン、テイクアウトスタンドも大充実! 「ハイジの村」では、レストランやカフェが複数店舗あります。写真は「レストラン ボルケーノ」で、営業時間は11:00〜17:00、15:00〜17:00は飲み物・軽食メニューのみ)。パスタやオムライス、カレーなどの洋食メニューが揃います。オススメは、本場スイス産のグリュイエールチーズとエメンタールチーズを溶かしてブレンドしたチーズフォンデュ(注文は2名から)。写真の「特製ハイジのアートドリア」はスープバーとサラダバー付きで1,200円(税別)。 テイクアウトスタイルの「ロッテンマイヤーズカフェ」にも、ぜひ立ち寄って。ハイジの白パンラクレットバーガーや、桔梗信玄ソフト+などが人気です。写真は、ハイジのカップが可愛い「やぎミルクのアイスクリーム」500円、ハイジのアニメストーリーには欠かせないアイテム、ふかふかの「白パン」1個102円(いずれも税別)。すぐ前にテラス席があるので、休憩スポットにもなっています。 Information 花と幸せのテーマビレッジ ハイジの村 所在地:山梨県北杜市明野町浅尾2471TEL:0551-25-4700http://www.haiji-no-mura.com/ アクセス:JR中央線韮崎駅から茅ヶ岳・みずがき田園バスで約30分JR中央線韮崎駅からタクシーで約20分中央自動車道韮崎I.C.から車で約15分中央自動車道須玉I.C.から車で約10分 休園日:1~3月末までの火曜日定休(火曜日が祝日の場合開園) 営業時間:9:00〜18:00(4〜7月、8月下旬〜11月)9:00〜21:00(8月〈下旬まで〉、12月)9:00〜17:00(1〜3月) 料金:高校生以上700円、中学生及び小学生350円※季節により変動あり 駐車場:200台(無料)
-

パルダリウムとアクアリウムを眺めながらボタニカルなジンを楽しめる「bar CHLO」
店に入ると出迎えてくれるのは、グリーンの壁 「bar CHLO(クロ)」があるのは大阪市西区の大阪メトロ、阪神なんば線の九条駅からほど近く。飲食店が数多く入るビルの4Fまでエレベーターで上がり、店のドアを開けると広がるのが上の光景です。床から天井まで、ビカクシダやティランジアなどの植物が、壁を埋め尽くしています。 カウンターには熱帯魚が泳ぐ水槽 エントランスの緑の壁をすり抜けるように店内に入ると目に飛び込んでくるのが、バーカウンターの上に載った水槽。 水槽の中では水草の間を、元気なカージナルテトラやグローライトテトラ、オトシンクルスネグロなどが泳いでいます。もちろん、水草や魚の管理は完璧です。 何を隠そう、お店のオーナーの黒田祥知さんは専門学校で熱帯魚の飼育や管理を学び、長くアクアリウム業界で水槽のメンテナンスや店頭での販売に携わってきた方。 元々アクアリウムや熱帯魚は好きだったけれど、もっと自分の趣味を前面に出した仕事がしたいと思い、バーカウンターの上のアクアリウムを眺めながらお酒を楽しめる店として始まったのが、この「bar CHLO」だそうです。 昼間はアクアショップで仕事をしながら、夜はバーを開けるという形で始めましたが、2019年からはバー一本に絞っているそう。 店のテーマは「アクア&ボタニカル」 「bar CHLO」の名前はオーナーの名前が黒田だから、というほかに、もう一つの意味があります。 「地球に生きている生き物は、全て植物が光合成をして作る栄養を元にして生きています。つまり生命の源は、植物の中にある葉緑素。葉緑素を意味するクロロフィル(Chlorophyll)と自分の苗字をかけて、植物の恵みを感じてもらおうとこの名前をつけました」(黒田さん)。 その言葉の通り、エントランスから水槽の中まで、店内にはグリーンがいっぱいです。 迫力あるパルダリウムにも注目! 「bar CHLO」の見どころはアクアリウムだけではありません。最近名前を聞くことが増えたパルダリウムも見どころの一つです。 パルダリウムは、ガラスの器や水槽の中に湿地の風景をつくる、テラリウムの一種。黒田さんはアクアリウムだけでなく、パルダリウムづくりも得意で、水槽の中という限られたスペースに、雄大さを感じさせる風景をつくり出します。 「アクアリウムには水草水槽という、ジャンルがあります。水草水槽の主人公は、その名の通り魚ではなくて水草。流木や石などをレイアウトして奥行きや広がりをつくるテクニックが発展したカテゴリーで、私も元々はアクアリウムのレイアウトを楽しんでいました。バーのパルダリウムも、そうした技術を使ってつくっています」。 お店で飾られている、黒田さんがつくったパルダリウムの観賞のポイントを伺いました。 パルダリウム観賞のポイント① 自然の荒々しさを感じさせる大胆なレイアウト 大胆に組み合わせた流木は、ほの暗い森林の林床に積み重なる枯れ枝のよう。水槽の左右を横切るように配置することで、広がりと動きを感じさせてくれます。 パルダリウム観賞のポイント② 水槽の限られたスペースにつくられた奥行きある風景 写真のパルダリウムは中央が谷になっており、谷底には小道がつくられています。「中に入り込んで、手前から奥に歩いて行けるような小道をつくるのは、アクアリウムのレイアウトでも使われる手法。水槽という限られた空間に、奥行きや物語を感じさせる空間が生まれるテクニックです」。 パルダリウム観賞のポイント③ 自然の風合いを感じさせるディテール パルダリウムの流木や岩にびっしりと生えた苔。最近人気の苔テラリウムに流木や水草などを組み合わせて風景をつくるのが、パルダリウムの魅力です。 「苔はアクアリウムで使うウィローモスをメインに使っています。元々水の中で育つものなので、虫が出ないのがいいところ。飲食店なので、やはり清潔感は大事です。 パルダリウムは湿度が高い環境になるので、虫が出やすいのですが、水の中のものを使うことで発生を防ぐことができます。アクアショップでは、土を使わず組織培養で増やされた水草が売られています。そうやって育てられた植物は、虫や虫の卵がついていないので、オススメです」。 パルダリウム観賞のポイント④ 旺盛に育つ熱帯雨林の植物 こちらのパルダリウムの中で大きくつるを伸ばしているのはネペンテス(ウツボカズラ)。ネペンテスの仲間は最近注目が集まっている食虫植物の一つですが、栽培に高い湿度が必要なため、温室などの施設が必要になります。でも、パルダリウムなら大丈夫。 上の画像では中の植物がよく見えるように前面のガラス扉を開いていますが、扉を閉めれば高い湿度をキープすることができます。黒田さんは、パルダリウムで4種のネペンテスを育てているそう。 パルダリウム観賞のポイント⑤ 動きをプラスして目を引く アクアリウムには魚が泳いでいたり、水の流れで水草が揺らいでいたりと、常にちょっとした動きがあって見ていて飽きません。 「パルダリウムやテラリウムは、そのままでは動きを感じにくいものです。このパルダリウムにはミスト発生装置を入れてあるので、周りで人が動くと空気も動き、ミストがゆっくりと波打つことで、動きを感じてもらえるようにつくってあります」。 ボタニカルフレーバーのクラフトジンを楽しもう ボタニカルにこだわる「bar CHLO」が力を入れているのが、植物由来のフレーバーをつけたジン。素材に使う蒸留酒にこだわったもの、フレーバーをつける植物にこだわったものなど、さまざまなジンを楽しむことができます。 上写真・右/タンカレー。セイヨウネズの果実(ジュニパーベリー)の香りを蒸留酒に移した、最も一般的なイギリスのジン。 中/ノルデスアトランティックガリシアジン。スペイン・ガリシア州産。ブドウ由来の蒸留酒にジュニパーベリー、セージ、ローレルなど、全てガリシア州で採れる素材を使った、薫り高いジン。 左/ル・ジン クリスチャン・ドルーアン。フランス産。リンゴからつくられるスピリッツ、カルバドスをベースにジンジャー、バニラ、カルダモン、ローズなど8種のフレーバーをつけた上品な味わいのジン。 アクアリウム、パルダリウムなどの見どころもたくさんあり、ボタニカルで個性的なジンが揃う「bar CHLO」。大阪でボタニカルな夜を過ごしたい時に、オススメです。 Information 「bar CHLO」 所在地:大阪府大阪市西区九条1-6-14 ジョイフル一番館4F-A TEL:080-2481-8624 営業時間:18:00~24:00 ホームページ http://barchlo-biology.wixsite.com/chlo ブログ http://barchlo-biology.wixsite.com/chlo/blog Facebookページ https://www.facebook.com/barchlokujo/ ツイッター https://twitter.com/BAR_CHLO インスタグラム https://www.instagram.com/chloro_kuro/ Credit 写真&文/土屋 悟(つちや さとる) フリーライター。 インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のライターとして活動中。自宅でも、水槽、透明ケースなどを使って試行錯誤しながらランなどの植物を栽培。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。 https://twitter.com/tutti0514 https://www.instagram.com/satorutsuchiya_/
-
ドイツ

中欧5カ国を旅して出合った植物のある風景 前編
2019年、中欧5カ国を巡る旅 2019年5月に中欧5カ国の旅に出た。5カ国とはスロバキア、チェコ、ハンガリー、ドイツ、オーストリアである。2018年に旅したイギリス・コッツウォルズのガーデン巡りとは異なり、世界遺産を見て回るのが目的で、特にガーデニングとは関係のない旅であった。とはいえ、どうしても気になるのは、街角や世界遺産の宮殿で見かける庭や植物である。きっと職業病のようなものだろう。じつは、旅に出る前に5年間ウィーンに駐在経験のある知人から、「あの辺のガーデニングは期待できないよ!」と言われていた。はて、結果は如何に? あまり話題にされることのない、中欧の植物&ガーデンを綴ってみたいと思う。 ヨーロッパで出合ったサンザシ まず、最初の訪問地はブラチスラバ。余り聴きなれない地名だが、れっきとしたスロバキアの首都である。5月とはいえ、寒波で最高気温が7~8℃という、真冬のような気候だった。 バスを降りてまず目についたのが、このサンザシ(山査子)である。街路樹なのだ。 僕の中でサンザシといえば、盆栽のイメージしかなかったのだが、まさかスロバキアの街路樹で遭遇するとは、驚きだった。 ところが、このサンザシには、その後の訪問地の数カ所で遭遇し、今回の旅で一番印象に残った植物となった。下はドレスデンで出合った満開のサンザシ。 そして、かのウィーンのシェーンブルン宮殿にもたくさんのサンザシが! 今までにも海外旅行で、日本の紅葉やヤツデ、アオキなどを見かけ、ちょっと嬉しい思いをしたことはあったが、盆栽のイメージしかなかったサンザシが、ヨーロッパの彼方此方に街路樹として登場したのは意外だった。なお、帰国後に調べてみると、西洋サンザシはメイフラワーと呼ばれ、ヨーロッパでは街路樹などによく使用されているとのこと。日本でもサンザシを街路樹に植えると素敵ではないだろうか。 さて、ブラチスラバは中世の街を思わせる美しく芸術的な街で、彼方此方に彫刻があった。 そして、そんな彫刻とともに街を彩るのが寄せ植えなどの花々。 レストランの前にはこんなポットが。植えられている花は平凡なペチュニアだが、スロバキアの言葉が書かれた樽の上に置く演出がユニークで面白い。 ブダペストの街を散策 2つ目に訪れた国はハンガリーのブダペストである。ドナウ川をはさみ、西岸のブダと東岸のベストが合併した街なのだそうだ。 ドナウ川ナイトクルーズは寒かったが、美しくライトアップされた街並みが素敵だった。もっとも、僕らが乗った2週間後に、このクルーズで事故があった。思い起こせば、救命具とか避難の説明はなかったような…。思い出すと恐ろしい。やはり海外旅行はリスクが伴う。 団体旅行で行くと、必ず「あら、あの花はなにかしら?」と誰からともなく、独り言のような声が必ず聞こえる。別段僕の身分は明かしていないのだが、つい、「ニセアカシアですね」とか、「マロニエじゃないですか?」などと得意げに答えてしまう。 そうです。ブタペストにはニセアカシアとマロニエがたくさん咲いていたのです。 ブダペストの街中で、らせん状に仕立てられたちょっと素敵なトピアリーに出合った。ヒノキ系だろう。ちょっと真似したい気持ちになる。 バルコニーのフレームを赤い花で飾るのはゼラニウム。ゼラニウムもヨーロッパの鉢植えでは定番の花ですね。 素朴な家々や草花が愛らしい ハンガリーのホロック村 3日目はブタペストから、約100km離れた、世界遺産のホロック村へ。人口がわずか340人の、ハンガリーで一番美しい村だそうだ。まだ、あまり日本の観光客が訪れない場所らしい。閑静で小雨も降り、しっとりとした落ち着いた街だ。 家々の壁面も素敵だ。思わずカメラを向けてしまった。 草花も素朴な佇まい。 枯れ木や標識などに、瓶やポットを飾るのがホロック風? 多肉の飾り方がユニーク。並べられているのは、サルの腰掛けだろうか? ホロック村はとても可愛らしい村だった。ただ、一日かけるのならブタペストに留まり、もう少し深く観光してもよかったかもしれない。海外旅行の日程を決めるのは、楽しいながら難しいものだ。 レドニツェ城の広大な庭園 4日目はブタペストを離れ、途中、レドニツェ城で庭園散策。 レドニツェ城と、ヴァルチツェ城で283㎢という広大な面積だそうで、東京23区の中でも大きい世田谷区が58㎢ほどだから、その5倍近くだ。如何に広大なのかが分かる。 このレドニツェ宮殿はリヒテンシュタイン家の夏の別荘として使われていたという。なんともスケールの大きな話だ。何しろ庭が広く、どこまでが全敷地なのだか分からない。 庭園は主にフランス式だ。季節的に花は少なかったが、きっと1カ月後に訪れたら素敵な花壇を見ることができると思う。 そして庭園の片隅には温室も! まさか、中欧の旅で温室に巡り合えるとは思わなかった。 真冬並の寒さの中で、熱帯の花メディニラ・マグニフィカがとても美しく感じられた。 温室の中では、可愛いミッキーマウスツリーとも出合うことができ、ちょっとホッとしたひと時であった。 意外なものと出合うと、やはり印象に残る。桐ダンスに使うキリの木が、こんな所に! 遠い異国で思いがけない植物との再会があるのも、旅の楽しみの一つだ。 あっという間に、前半の4日間が過ぎた。 次回は続きの旅で出合った植物のある風景を紹介しようと思う。お楽しみに! ⚫︎中欧5カ国を旅して出合った植物のある風景 後編
-
広島県

花の庭巡りならここ! 圧巻の花畑で感動体験を「世羅高原農場」
圧倒的なスケール感の花畑で植物が織り成すハーモニーを楽しむ 広島県の高原地帯で、4つのシーズン期間限定で開放されている「世羅高原農場」。もともとは葉タバコを生産していましたが、規模を縮小したのを機に、畑が荒れるのを防ぐため、ヒマワリを植えたのが1994年のことでした。 群植されたヒマワリが、いっせいに開花する姿が口コミで広がり、観光客が増加。それをきっかけに年々整備を進め、四季を通して花々が咲き誇り、飲食店やショップも充実する花観光農園として、今や大人気のスポットになりました。 「世羅高原農場」の敷地は15万㎡で、大人の足でゆっくり歩いて1時間半〜2時間かかる規模です。春は桜とチューリップ、夏はヒマワリ、秋はダリアと、それぞれの季節に咲く花を群植し、圧倒的なスケール感を演出。同じ場所を使っていると土が痩せてしまうため、1年ごとに植栽をローテーション、毎年違った花風景が広がります。 デザインや植栽を手がけるのは、農園スタッフのみなさん。「今年はどんな仕掛けを?」と、皆で出し合うアイデアもおもてなしの精神で年々グレードアップしており、リピーターも多く訪れます。 開催中にはさまざまなイベントのほか、押し花クラフトや風鈴の絵付け体験なども随時行っています。お子さんのいる家庭では、一日遊べるレジャーに最適ですね。バーベキューもできるレストランやカフェなどの飲食店、地元の名産品や雑貨、花苗などを扱うショップも充実。ぜひ足を運んでみましょう! 桜、チューリップ、ヒマワリ、ダリア見頃期間を絞っての公開がヒット! 「さくら祭り」が開催されるのは、見頃の4月上旬〜中旬頃。約10品種、800本の桜が園内をピンクに染め上げます。飲食物の持ち込みはOKなので、お弁当を広げてお花見を楽しむのもいいですね。同じ時期には、ヒヤシンス、ムスカリ、スイセン、パンジー、ユキヤナギ、レンギョウなどが開花しています。 「チューリップまつり」は4月中旬〜5月中旬に開催。300品種、75万株で彩られる景色は圧巻です。毎年配色やデザインを変えているので、春を楽しみにしているファンも多いとか。早咲きや遅咲きのチューリップを組み合わせて、長い期間楽しめるように工夫されています。この期間は、園内で四つ葉のクローバーを見つけたお子さんには、プチプレゼントがありますよ(子ども入場券を持っている方対象)! 8月上旬〜下旬には、50 品種、110万本のヒマワリが見頃になって「ひまわりまつり」が開催されます。エリアごとにテーマを決めて植栽され、高さ2mにも達する品種の群植や、珍しい品種を集めた「見本園」、赤いヒマワリを集めたコーナー、八重咲きのヒマワリでつくられた迷路などが登場。ひまわり畑の中に入って写真を撮ることもできます。 ひまわり畑を一望できる展望台もありますよ! 写真映えする外観がいいですね。花畑の中にもフォトスポットが用意されているので、ぜひ記念写真を! お盆期間限定で、約4mの高さにヒマワリの生花を使って彩られる「ひまわりタワー」も設置されます。 「ひまわりまつり」開催中には、ブルーサルビアも見頃を迎えます。約3万株が植栽されており、花穂をすらりと伸ばして涼やかに咲き、ヒマワリとのコントラストが鮮やかです。秋に開催される「ダリア祭」まで、長期間にわたって咲き続けます。 秋の「ダリア祭」期間は9月中旬~10月下旬です。まるで見本市にも匹敵する規模の約550品種がコレクションされ、7,500株が植栽されています。ダリアにはさまざまな咲き方があり、花のサイズ、草丈なども多様ですから、好みのダリアを探すのもいいですね。新品種ばかりを集めたコーナーもあり、ダリアのトレンドに触れることができます。10月の3連休には、約8,000輪のダリアを敷き詰めて花模様を描くイベントを開催します。 農耕民族の血が騒ぐ、秋の収穫祭!クラフト体験は随時実施 「収穫祭」は10月末、または11月最初の土・日に開催。ダイコン1本100円で、収穫に参加できます。ダイコンの品種は‘役者横丁’で、平均約2.5kgになるビッグサイズ。汚れてもいい服装で出かけてくださいね。2日間で2万本限定、なんと一人当たりの数に制限はありません。もちつきイベントも行われ、参加者1,000人分のおでんが無料でふるまわれますよ! 「世羅高原農場」では、押し花クラフト体験を随時行っています。事前予約の必要はなく、「花カフェ」のレジスタッフに声をかけて申し込みをすればOK。ドライフラワーの歯ブラシ立て&レジンの箸置きづくりの体験ができます。参加費は500円〜、所要時間は約20分です。 ショップでは特産品やおしゃれ雑貨をゲット!「世羅バーガープロジェクト」にも注目 写真は、花鉢やガーデニンググッズ、花をモチーフにした雑貨などを扱う「花ショップ」。お土産向けに、オリジナルパッケージの商品が人気です。オリジナル刺繍のふわふわハンカチ550円がオススメ。それぞれの季節の花が刺繍されています(消費税変更等により価格は変動の可能性あり)。 「世羅高原農場」園内には、2019年に新しく「フォレストショップ」ができました! 世羅町内の9軒の飲食店と協力して、「世羅バーガープロジェクト」を展開。地元の旬の食材を使い、毎年サンドする具を変えて名物バーガーを販売しています。写真は2018年に大人気だった「世羅高原豚×ゆり根 ミルフィーユバーガー」700円。 花畑を眺めながら、ティータイムを楽しめる「花カフェ」で、ゆったりとくつろぐのもいいですね。営業時間は9:00〜16:00(ラストオーダー)、定休日なし、客席数はテラス席も合わせて約70。 人気を呼んでいるのはハーブティーで、味は日替わり(410円)。ショップが併設され、ハーブティーの茶葉やハーブが香るサシェ、ハーブが施された枕など、ハーブ雑貨を多数取り扱っています。 Information 世羅高原農場 所在地:広島県世羅郡世羅町別迫1124-11TEL:0847-24-0014https://sera.ne.jp/ アクセス: 山陽自動車道世羅ICから世羅高原まで約12km、約15分 オープン期間:さくらまつり/4月上旬~中旬、チューリップまつり/4月中旬~5月中旬、ひまわりまつり/8月上旬~下旬、ダリア祭/9月中旬~10月下旬、収穫祭(大根まつり)10月末または11月最初の土日 休園日:なし 営業時間:9:00~17:00(大型連休中は8:00〜18:00に時間延長になる場合有) 料金:大人800円、小人(4歳〜小学生)400円 駐車場:1,000台(無料)
-
群馬県

7つの景色が楽しめる新ローズガーデン誕生!「中之条ガーデンズ」に行ってみよう!
新たにオープンした美しい庭 「中之条ガーデンズ」をご案内 群馬県中之条町にある「中之条ガーデンズ」は、中之条町が進める花のまちづくりの拠点となっているスポットです。東京ドームおよそ6個分の敷地には、一つの大きなガーデンではなく、テーマ別にいくつものガーデンがつくられ、それぞれに異なる庭の表情を堪能することができます。各ガーデンの設計や植栽に当たっては、一流ガーデンデザイナーが結集。今回取り上げる「ローズガーデン」の植栽デザインは、バラの育種家で、「横浜イングリッシュガーデン」のスーパー・バイザーなども務めるバラの専門家、河合伸志さんが担当しています。 この地ならではの生き生きとした植物の色彩が楽しめる ローズガーデン 「中之条ガーデンズ」の大きな魅力は、なんといってもバラの美しい花色。中之条町は昼夜の寒暖差が大きく、非常に発色のよいきれいな花色を楽しめるのです。この地ならではの鮮やかな植物の色合いを生かし、カラースキーム(花色による色彩計画)を基本にエリア分けされた「ローズガーデン」では、エリアごとにカラーが際立ち、デザイン意図にピタリとはまる色調に。ガーデンを移動するたびに大きく変化する光景に、何度も新鮮な驚きが味わえます。 フェンスやオベリスクなどの構造物も、各エリアに合わせ、特別に色や形がデザインされたものばかり。これらの設計は、総合プラン・ガーデンデザインを担当した空間デザイナーの吉谷博光さんによるものです。ガーデンを最大限に美しく見せるためのこだわりが随所に見られ、植栽された植物と引き立て合って、ここにしかないガーデン風景をつくり上げています。 それでは、「中之条ガーデンズ」の個性豊かな7つの「ローズガーデン」をご案内しましょう。 洋の庭から和モダンまで 庭を進むたびに風景が一変 まず初めに現れるのは、ピンクのバラの小道。オルラヤやリナリア・プルプレアなどの小花がピンクのバラの周りにレースのように咲き群れて、思いっきりロマンチックな雰囲気からスタートします。 大きくカーブする園路を進むと、白、黄色、赤へと色彩は変化し、滴り落ちる滝のように仕立てられたスタンダード仕立てのバラも効果を発揮、景色はドラマチックに展開していきます。この庭は、既存の大きな斑入りのケヤキなどの樹木を背景に、バラの花色がいっそう美しく映え、ホッと安らぐ雰囲気の中で花々を堪能できます。 ロマンチックなガーデンを存分に味わったら、次の庭へと歩を進めてみましょう。 園路が石畳へと変わり、続いて現れるのがモダンジャパニーズ風のガーデン。他の洋のガーデンとは雰囲気を異にする、唯一の和のガーデンです。左右のフェンスには色鮮やかなバラとクレマチスが誘引される一方、足元は黒い玉砂利と数を絞った植物でシンプルに構成された “引き算の庭”です。 正面には、まるで黒御影石のテーブルのような水鏡。その奥にはガーデンデザイナーの吉谷桂子さんがデザインする円形花壇「スパイラルガーデン」が遠くに見えます。白い壁が額縁のようにその景色を切り取って、一幅の絵のように庭景色を観賞するというユニークな趣向です。このテーブルはじつは水槽になっていて、上からのぞき込むと、かわいい赤い金魚たちが泳いでいるのが見えますよ。 和のコンセプトを表現したバラ植栽 このガーデンでは、フェンスに誘引されたバラとクレマチスは華やかな屏風絵を、水槽の両脇に植えられたバラは、着物が掛けられた衣紋掛けをと、植物を用いて和のイメージが表現されています。そのため、誘引には目に付きにくいピアノ線を使うというこだわりも。ぜひ想像を膨らませながらガーデン空間を味わってみてください。 清廉な雰囲気をまとった和の庭を出ると、‘ラベンダー・メイディランド’ などパステルカラーのバラが彩るロマンチックなガーランドのあるガーデンが視界に広がります。足元に生き生きと茂る銅葉のクローバーは、甘やかな色彩の引き締め役。バラがこぼれ咲くガーランドが園路脇を飾り、歩を進めると立ち込めるバラのかぐわしい香りに包まれます。 バラの色彩が際立つ 印象的なカラーガーデン 足を踏み入れた途端、青と黄色の色彩の中へと飛び込むブルー&イエローのガーデン。黄色のバラを基調としたガーデンが鮮やかなブルーのフェンスに囲まれ、7つのローズガーデンの中でも色彩のインパクトが鮮烈な華やかな庭です。フェンス上部には小さく模様が切り抜かれ、空間に抜け感をもたらすとともに、続くエリアの色彩をちらりと感じさせてくれます。 ガーデン中央のガゼボには、柔らかなイエローとアプリコット色のバラが絡み、青い支柱と美しいコントラストを奏でます。この2種のバラは、一方のバラから突然変異などにより生まれた枝変わりを組み合わせています。このように、花色以外の性質が共通している枝変わりを組み合わせることで、開花期や株姿、花の大きさが揃い、調和のとれた景色をつくり出すことができます。 カラフルなブルー&イエローの庭から一転、続くホワイトガーデンに足を踏み入れると、美しく輝く白とあふれる緑が視界を満たし、清純な景色が広がります。周囲のフェンスも白く変化した庭で、中央にある噴水の縁を飾るのは、大きく育ったミニバラの‘グリーンアイス’。周囲には、‘アイスバーグ’や‘ウィンダミア’、‘アンナプルナ’など、さまざまな白バラが咲き乱れます。 赤紫色の常緑樹、トキワマンサクで幾何学的なマス目をつくり、周囲をコクリュウで縁取ったアンティークカラーのガーデン。それぞれのマスと周囲に植栽されているバラは、‘チャーリー・ブラウン’や‘チャーリー・アンバー’、‘バーガンディー・アイスバーグ’、‘しのぶれど’など、シックな花色のバラばかりを集めた、他にはない珍しい色彩の調和が楽しめます。 周囲を囲むのは、クロスデザインでつくられたガーデン。庭の中心を通る対角線上に同じ種類の樹木やバラが植栽されているので、ガーデン風景を楽しみながら、植物の位置を確認するのも面白いかもしれませんね。 カフェのあるガーデンで バラに包まれたひとときを 6つのローズガーデンを抜けた終点にあるのが、豊かな香りを持つバラを集めたローズガーデン。赤いバラを中心に、バラの色彩がグラデーションを描くように植栽されています。庭の一角にはカフェスタンドがあり、ガーデンチェアに腰を掛け、飲み物を片手にゆったりとした時間を過ごすことができます。 バラと宿根草が混ざり咲き、互いに引き立て合うテラスガーデンからは、吉谷桂子さんがデザイン・植栽したスパイラルガーデンを一望できます。 「中之条ガーデンズ」は入園無料。この「ローズガーデン」のほかにも、「スパイラルガーデン」、「パレットガーデン」など多様なガーデンがあり、春には1,000本のハナモモがピンクのトンネルをつくるなど、数百種類の季節の花々が咲き乱れます。園内には陶芸や草木染めの体験施設もあり、植物を見るだけでなく、触れたり体験したりしながら楽しむことができます。 また、「中之条ガーデンズ」を訪れた際には、ぜひ足をのばしてほしいのが、ここからおよそ20km離れた高地にある「中之条山の上庭園」。標高およそ1,000mのガーデンには、ハーブや宿根草、コマクサなどの高山植物が咲き、また違った美しいナチュラルガーデンが広がります。 時間の経過につれ、木々や草花もさらに美しい姿へと成熟していく「中之条ガーデンズ」。ここに選ばれているバラは、四季咲き性種ばかり。春以降も秋まで繰り返し咲くバラの姿を見に、何度も足を運んでみませんか?
-
福岡県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪11 福岡「フクオカエフェクト」
おしゃれな博多っ子も満足! 随所に盛り込まれた個性あふれる提案 博多湾に面した緑豊かな地域・福岡市西区に、昨年秋、同じ県内の行橋市にある「ゆくはし植物園」の姉妹店としてオープンした「フクオカエフェクト」は滞在型の園芸店で、九州最大級の広さを誇るショップです。 このあたりは比較的新興住宅街が多く、福岡のリゾート地・糸島への通り道であることから、若い世代が多く行き来するエリア。週末ともなると植物を取り入れたおしゃれな暮らしを求めて、園芸好きの老若男女から園芸初心者さんまで、たくさんの人が訪れます。 まず、ショップの入り口では、巨大なアガベを中心とする植栽がお出迎え。流行に敏感でおしゃれな博多っ子たちの心を鷲掴みにするカッコいい演出です。 駐車場に続く敷地内の道路沿いにも、ユッカやニューサイランなどが植わる異国情緒あふれる花壇でおもてなし。お客様をワクワクさせる遊び心が盛り込まれています。カラーバリエーション豊富なリーフと愛らしい小花を組み合わせた、難易度の高い植栽。ショップスタッフの、レベルの高さがうかがえます。 園芸店開業30年以上のノウハウを盛り込んだ 何でも揃う園芸の百貨店 姉妹店である「ゆくはし植物園」は、前身の店舗時代を含めると開業30年あまりの歴史があります。その長い年月で培った園芸店経営のノウハウを生かし、さらに進化させた形で「フクオカエフェクト」はオープンしました。 開業当初から日本全国の農家とのつながりを大切にし、いち早く新しい品種や珍しい植物を取り込んできたというていねいな仕入れの積み重ねにより、姉妹店と同様「フクオカエフェクト」の売り場には、多種多様の新鮮な花苗がずらりと並んでいます。 広大な売り場面積の約半分が、草花苗の売り場。たくさんの植物が並んでいるので、ビギナーでも見やすいように工夫がされています。例えば、新しい植物や意外な育ち方をする植物は、ポット苗のかたわらに、大株に成長した見本鉢を飾るなど、お客様の視点に寄った展開がなされています。 チェック! 美しいだけではない ストーリー性を感じさせる寄せ植え提案 苗売り場のあちこちに配されたナチュラルな寄せ植え。よく見ると動物が顔をのぞかせているものも。これはオーナメントの使い方の一つの提案ですが、訪れた人をほっこり癒す効果を発揮しています。 多肉植物売り場も ユニークな提案が盛りだくさん 苗売り場の一番奥のエリアは、多肉植物コーナー。こちらも多種多様な苗が並んでいますが、目を見張るのが、たくさんの多肉植物の寄せ植え。これでもかというぐらいの数のアレンジが並んでいます。スタッフも楽しんでいる様子が、あちこちから伝わってきます。 グリーンのグラデーションが美しい リーフ類や樹木の売り場 大きく育つリーフ類や樹木類は、愛らしい草花コーナーとはガラリと趣が変わり、景観をつくるようにダイナミックに展開されています。一般的な庭木、オージープランツ、個性的なカラーリーフなどに分けた、とても見やすくイメージが湧きやすい陳列です。 花を咲かせていた ユニークなオージープランツ4つ 最近人気を集めているオージープランツ。取材時(6月)に個性的な花を咲かせていた4種類をご紹介します。 資材類も見やすさ抜群 きちんと管理されたディスプレイ オベリスクやコンテナ、ガーデン雑貨類も植物同様、広い敷地を生かし整然と見やすく陳列されています。豊富なバリエーションで迷ってしまいそう。 「フクオカエフェクト」の見せ場 インドア&ライフスタイルエリア たくさんの観葉植物を扱うこのショップでは、飾り方のアイデアをインテリアの部分から提案。さながらインテリアショップのようなしつらいが話題を呼んでいます。インテリア好きのスタッフが集まり、楽しみながらディスプレイしています。 インドア&ライフスタイルエリアの一角には、おしゃれなカフェが設けられています。メニューはサンドイッチをメインとした軽食で、カフェを囲むカウンターだけでなく、エリア内の数カ所に設けられたインテリアディスプレイのソファやイスに座っていただくことができます。 大きな窓に面した明るいこちらの部屋でも飲食OK。とはいえ、特に混んでいる時は、長居は禁物です。 安くて新鮮と評判の切り花 普段用とギフト用、どちらも充実 姉妹店にはない「切り花売り場」は、古い和風建築を生かし、新旧・和洋が見事に融合した、独特な雰囲気を醸す艶やかな空間です。普段用に1本から買えるカジュアルなスタイルですが、ギフト用のアレンジをオーダーすることもできます。 「フクオカエフェクト」コンシェルジュ藤原さん イチオシのグッズはコレ! 洋らんグラマトフィラム 「フクオカエフェクト」では、多種多様のランも取り扱っています。なかでもオススメなのが、明るく爽やかなグリーンの小花が並ぶ大型のラン。暑さで日もちが気になる時期も、たっぷり2カ月ほど楽しめます。茎が柔らかいため、さまざまな仕立て方も可能。ギフトだけでなく、自宅でも楽しんでみてください。おしゃれな空間を演出してくれます。 「フクオカエフェクト」のエフェクト(effect)とは、英語で ‘効果’を意味する言葉で、店名には、「植物で暮らしにうるおいをもたらす効果を提供する」という理念が盛り込まれています。オープンしてから1年足らずですが、どんなスタイルにも対応できる品数と幅広い提案は園芸店の枠を超え、いまや暮らし全般をコーディネートしてくれる頼もしい存在となっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、福岡都市高速道路 福重I.Cから車で5分、JR筑肥線 姪浜駅南口からバスで20分・生の松原団地南下車、徒歩1分。 【GARDEN DATA】 〒819-0046 福岡県福岡市西区西の丘2-1 TEL: 092-407-6113 https://fukuoka-effect.jp/ 営業時間:10:00 – 18:00 Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
-
北海道

花の庭巡りならここ!「十勝六花」が咲き誇る「六花の森」
包装紙に描かれた十勝六花をはじめ さまざまな野花が咲き乱れる 2007年9月にオープンした「六花の森」は、北海道に拠点を置く「六花亭」が運営するガーデン。約10万㎡の敷地を持ち、大人の足で2時間近くかかる規模なので、ゆっくりと時間をかけて散策するのがオススメです。 みなさん、少し北海道についての記憶をたどってみてください。北海道旅行の際に土産物を選んでいる時や、百貨店で大人気の「北海道展」へ出かけた時。そう、ホワイトチョコレートや「マルセイ バターサンド」を買ってほくほくした時のことです。北海道を代表する「六花亭」の包み紙には、カラフルな十勝六花が描かれていて「捨てるには忍びないな」という気持ちになったこと、ありませんか? 「六花の森」ができたいきさつは、「六花亭」の「花柄包装紙」から。そこに描かれているエゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイは、坂本直行画伯の手によるものです。これらの花々を現実に咲かせたいという想いから、このガーデンが開かれました。 構想の通り、「六花の森」では、4月にカタクリやミズバショウが開花し、4〜5月にはシラネアオイ、エゾリュウキンカが。5月にエゾカンゾウ、エゾノシノブが咲き、6〜8月にはハマナシが見頃に。7〜8月にはノリウツギが爽やかに咲き誇り、9〜10月にはエゾリンドウが楚々とした咲き姿を見せてくれます。 季節を通して、野趣あふれる花々が群生し、いっせいに開花する様子は見応え満点。山歩きの途中で山野草が咲き乱れる景色に出合った時の感動にも似ています。とはいえ、「六花の森」の花々は野に咲くそのままの姿というわけではなく、人工的にならないよう自然な様相に見せるメンテナンスの賜物です。素晴らしいバランスで保たれる、野に咲く花々の景色をぜひ堪能してください。 「六花の森」園内には美術館や記念館も点在し、自由に出入りできます。建物を見つけたら、立ち寄りながらの散策もいいですね。忘れちゃいけない、園内のカフェ「六’café」にもぜひ足を運んでください。ここでしか食べられないメニューもありますよ! 併設のショップには、「六花亭」の多彩なお菓子がずらり。ぜひ「十勝六花」の包み紙におさまったお土産を持ち帰りましょう。 ランダムながらも群生して咲く 北の大地ならではの雄大な姿に感動! 5月中旬には、数万株のオオバノエンレイソウが咲き乱れます。茎の頂部に咲くピュアホワイトの花とグリーンのコントラストが美しく、群生してどこまでも広がる景色には感動のため息がもれるに違いありません。生命力が強く、よく繁茂するため写真のような林床はもちろん、園内の至るところで見かけることができます。同時期には、エゾノハナシノブ、ニリンソウ、シラネアオイ、クロユリなど、楚々とした山野草も見頃です。 写真手前に咲く、濃いピンクの花はハマナシ(ハマナス)で、見頃は6月下旬〜8月です。日本原産のバラで、一重の花姿は野趣感たっぷり。数百株が植栽され、初夏の園内を明るく彩ります。奥に見える、芝生で整えられた丘には、帯広出身の彫刻家、板東優(ばんどうまさる)氏の作品「考える人(ロダンから)」を屋外展示。ハマナシを愛でながら、丘の上まで足を運んでみましょう。 9月になると、エゾリンドウが見頃に。スラリと茎を立ち上げて、小ぶりの青い花を多数つけるたおやかな姿が魅力です。数百株が植栽されており、晴れた日にはわずかに花弁が開く様子を楽しめます。同じ時期には、花茎を立ち上げた先に黄色い小花をいっせいに咲かせるアキノキリンソウも開花。紅葉を楽しむなら、10月中旬以降がオススメです。 クロアチアの古民家を移築して作られた 記念館や美術館が園内に点在 園内にはいくつかの美術館や記念館が点在しているので、散策がてらに立ち寄ってみましょう。写真は、クロアチアの古民家を移築して作られた、「坂本直行記念館」。坂本直行画伯は「六花亭」の包み紙のデザインを手がけたことでも知られ、館内には多数の絵画が展示されています。 写真は、「サイロ記念館」の内観です。坂本直行画伯が、表紙絵や挿絵を手がけた児童詩誌『サイロ』。その第1号から600号までの表紙が、壁から天井までところ狭しと飾られています。ほっこりと味わいのある絵柄一つひとつに見入って、時間を忘れてしまいそうです。 ここでしか食べられないスイーツも登場! ショップではお土産選びに迷う楽しみも ガーデンをゆっくり散策して少し疲れたら、園内の「六’café」で休憩を。「六花の森」開園時間の30分後にオープンします(開園時間はシーズンによって異なります)。閉店は閉園時間と同じで、L.O.は30分前まで。ここでしか味わえないのが、「六’café マルセイ バターサンド」。隣の工場から届く、でき上がったばかりの「マルセイ バターサンド」をいただけますよ! 併設のショップは広々としたスペース。ゆっくり吟味してお土産や旅の記念に選ぶのもいいですね。定番の「マルセイ バターサンド」はもちろん、和菓子・洋菓子ともに多彩なラインナップに目移りしてしまいそうです。新商品や季節商品のチェックもお忘れなく! Information 六花の森 所在地:北海道河西郡中札内村常盤西3線249-6 TEL:0155-63-1000 http://www.rokkatei.co.jp/facilities/index2.html アクセス:とかち帯広空港から車で約15分 JR帯広駅から車で約30分 帯広・広尾自動車道 中札内I.C下車 約10分 オープン期間:4月26日~10月20日(2019年) ※例年4月下旬〜10月中旬 休園日:なし 営業時間:10:00~17:00(4月26日〜5月31日、9月1日〜9月23日)、9:00〜17:00(6月1日〜8月31日)、10:00〜16:00(9月24日〜10月20日) 料金:大人540円、小中学生500円 駐車場:80台(無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
-
宮城県

バラが描かれた西欧の画がのこる仙台のバラ寺「円通院」を訪ねて
江戸から移築された本堂のある「円通院」 「円通院」は、仙台駅より仙石線に乗って約40分、日本三景の一つ「松島」のある「松島海岸」駅より徒歩約6~7分の場所にあります。「伊達政宗」の嫡孫(ちゃくそん)「光宗」を祀る臨済宗妙心寺派の寺院で、「光宗」の菩提寺です。本堂の「大悲亭」(松島町指定文化財)は、江戸にあった光宗の「納涼亭」を1647年(正保4)に解体し、船で運んで移築されたものだそうです。 「伊達政宗」の嫡孫「光宗」は、「政宗」の次男「忠宗」(二代藩主)と徳川家の「振姫」との間に生まれた次男でした。兄が7歳で亡くなったために世子となり、幼少の頃より文武に優れていました。徳川幕府にとって恐るべき逸材であったためか、江戸城内で亡くなったことに関しては、病死なのか毒殺なのか憶測が広まりましたが、事実は不明とのことです。 亡くなった時、「光宗」はまだ19歳の若さでした。その死を悼んで、父である「忠宗」が円通院の境内に、「光宗」の霊廟「三慧殿(さんけいでん)」(国指定重要文化財)を造ったのは、1646年(正保3)のことです。 「三慧殿」の「厨子」に秘められた西欧への想い 「三慧殿」に近寄って内部の厨子をよく見てみると、中央には、白馬に乗った光宗像があり、その左右には、殉死した7人の像が祀られています。そして、向かって右側の上には、赤い花弁と7枚の葉のバラの画が描かれています。 当時の絵具は、サンゴを細かく砕き、膠(にかわ)で溶いたもので、これもそれを使って着色されているとのことですが、剥離もなく、色彩も鮮やかで、とてもよい状態で保存されていることに驚きました。こちらのバラの画は、伊達政宗の命を受け、1613~1620年にかけて、慶長遣欧使節(けいちょうけんおうしせつ)としてヨーロッパへ渡った支倉常長が、ヨーロッパから持ち帰った日本最古の「洋バラ」が描かれた画といわれています。 また、「洋バラ」の画の他にも、向かって左側には、イタリア・フィレンツェを象徴する花「水仙」が描かれ、十字架のクロス模様、クローバー模様、ダイヤ模様、スペード模様、ハート模様など、西欧文化が図案化されています。 慶長遣欧使節、支倉常長(はせくら つねなが)とは 支倉六右衛門常長(はせくら ろくえもん つねなが)といい、祖は、伊藤壱岐守常久で、伊達氏の始祖、伊達常陸介朝宗に仕えて伊達氏の世臣となりました。常久から15代目の時正に世継ぎがなく、山口飛騨守常成の子である常長を養子として迎えました。常長は、伊達藩の鉄砲組頭を務めていました。 常長は、伊達政宗よりメキシコ、スペインとの通商目的の命を受け、1613年、宣教師ルイス・ソテロ他と共に、仙台藩の月ノ浦(現、石巻市)で製造された帆船「サン・ファン・バウティスタ号」に乗って、太平洋を横断し、メキシコを経て、スペインに到着。歓迎行事が開かれる中、国王フェリペ三世に謁見し、通商同盟を希望する親書を渡しました。また、国王臨席の下に洗礼を受け、霊名ドン・フィリップ・フランシスコを授けられました。 さらにローマに行き、ヴァチカンでローマ教皇パウロ五世に謁見しました。ローマでは、公民権が与えられたうえに、貴族にも列せられるなど厚遇を受けました。しかし当時、日本でのキリスト教徒迫害の情報が入っていたためか、スペインとの交渉は成功せず、再び船に乗り、フィリピンのマニラを経由し、長崎を経て、1620年8月に仙台に帰国しました。その帰国とほぼ同じ頃、伊達政宗が幕府の反キリシタン政策に従い、領内にキリシタン禁制を布告し、家臣に改宗を命じ、多数の殉教者を出すことになってしまいました。支倉常長は、帰国から2年後の1622年、失意のうちに病死したといわれています。享年52でした。また、航海を共にしたルイス・ソテロも1624年に殉教しました。 350年間、扉が閉ざされていた「三慧殿」 三慧殿の内部は、現代になってから、こうして私たちも見ることができるようになりましたが、上記のような状況下、また鎖国制度などにより、徳川幕府には、伊達家の霊廟であると伝え、約350年間もの長きに渡って扉を開けることはなかったそうです。 境内にはバラ園がつくられて このように、支倉常長が持ち帰ったとされる洋バラの画や、支倉常長を通して伝わった西欧文化を図案化したものが、光宗の霊廟「三慧殿」の中に、秘蔵として大切に護られてきました。円通院の境内には、それらの偉業の象徴として6,000㎡の敷地にバラの庭「百華峰(びゃかほう)西洋の庭」もつくられたのです。 バラの品種はランダムに集められ、オールドローズから現代バラまでさまざまです。どれも、しっかりと手入れされ、美しく咲き誇っていました。その中に、約350年前にヨーロッパで咲いていたであろうオールドローズ「ロサ・ガリカ・オフィキナリス」(G)も植栽されていました。 かつて、西欧のバラがまだ日本に無いに等しい時代から比べると、何とバラエティー豊かにさまざまな品種が、現在の日本で愛でられるようになったことか、きっと支倉常長も喜んでいるのではないでしょうか。また、「三慧殿」の中で、日本に確かに伝わっていた西欧文化の証を、まるで護ってきたかのような若き光宗の凛々しい姿が強く心に残りました。ぜひ、多くの方に訪れていただきたいと思います。
-
神奈川県

花の庭巡りならここ! 本の世界へ入り込んだ気分を満喫「星の王子さまミュージアム」
「星の王子さま」の世界観を表現する フランス風の街並みやガーデンにうっとり! 1999年にオープンした「星の王子さまミュージアム」は、『星の王子さま』の作者サン=テグジュペリの生誕100年を祝して作られた施設。開園日は生誕日の6月29日です。敷地は約9,265㎡(駐車場を含む)で、ガーデンと展示ホール、レストラン、カフェ、ショップなどで構成。ゆっくり見て歩いて1時間ほどかかり、物語の世界観を満喫できます。 2009年の10周年記念に、屋外のゾーンを庭にしようという計画が持ち上がり、ガーデンデザインのセンスが素晴らしい「yoshiya gardens & studio」に依頼しました。構造は吉谷博光さんが、植栽デザインは吉谷桂子さんが担当。イギリスの庭園のアイデアをベースに、フランス式の庭の要素も交えたヨーロピアン・ガーデンをつくり上げました。 園内に入ってすぐに目にとまるのは、黄色い花々。光に反射して強い存在感を放ち、霧が出やすく曇りの日が多い箱根で明るい雰囲気を醸します。少し歩くと「アジサイの小径」に出て、ピンク、ホワイト、アプリコット、ブルーなどの宿根草や一年草が織りなす、自然風植栽のハーモニーが見事です。その先には左右対称の整形式ローズガーデンが広がり、奥には楚々としたクリスマスローズの庭が展開。下向きに咲くクリスマスローズをレイズドベッド(高床式の花壇)に植え、その魅力を引き出しています。 冬はパンジー、春はヘレボレス(クリスマスローズ)やスイセン、チューリップなどの小球根、初夏はアジサイからバラ&宿根草へ、夏はダリア、秋はシュウメイギクほか秋咲き宿根草と、次々に開花リレーが楽しめます。四季折々に華やぐ植栽術はもちろん、花々の背景に映り込むフランス風の城館や街並みとのコンビネーションにも注目を。互いの存在感が引き立つ絶妙なバランスで植栽されているので、カメラを構えてアングルを探すと、とてもフォトジェニックなシーンを撮影できます。「花の姿ばかり重視すると、景観がアンバランスになるので」と吉谷さん。植栽の引き算テクニック、ぜひ参考にしてください! 「星の王子さまミュージアム」の年間来場者は、約20万人。「お庭とお花に癒されました。また夢の世界に遊びに来ます」、「春夏秋冬と、今まで何度も訪れていますが、バラが満開の時に来られて感動! 季節ごとに表情が変わる庭が楽しみです」といった感想が寄せられています。冬期を除き、ほぼ月に1度は吉谷桂子さんの公開ガーデンワークが開催されているので、イベントに合わせて足を運ぶのもオススメ。そして2019年は20周年という節目を迎え、限定グッズ販売のほか、多様なイベントの準備が進められているので、こちらも要チェックです! 「星の王子さまミュージアム」開園20周年を記念したイベント第一弾は、フラワーチャペルの復活です。園内の「サン=テグジュペリ教会」に、吉谷桂子さんプロデュースによる新しいフォトスポットを設置。豊かに彩られたフラワーコーディネートに、感動のため息がこぼれるばかりです。ぜひ写真に収めて、思い出に残しましょう。 ※写真は2017年10月に開催された時のものです。2019年6月29日からの20周年記念の新しいデザインをお楽しみに! 星の王子さまの彫像が目印のメインゲート 屋外に1900年代前期のフランス風の街並みが登場 「星の王子さまミュージアム」のメインゲートでは、王子さまの故郷(小惑星B612)に立つ王子さまのスタチューがお出迎え。奥のチケット売り場から、エントランスの扉を抜けてガーデンへ出ます。ガーデンの途中で展示ホールに入る順路となっており、屋外空間の凝った演出も見どころです。 屋外空間では、星の王子さまの世界観を再現。写真は、1900年代のフランス・リヨンの街並みを模した「王さま通り」です。サン=テグジュペリや彼の作品にまつわる演出が随所に見られ、ファンにはそれを見つける楽しみもあります。屋外では自由に撮影できるので、お気に入りのスポットを見つけたら、ぜひ写真に収めましょう(屋内はエントランス、教会、展示ホール1階、カフェ、レストランのみ撮影可)! 樹木や草花が織りなすハーモニーと 街並みや建物外観と花々の調和が見どころ 写真は、「アジサイの小径」エリアです。梅雨前後からガクアジサイ、カシワバアジサイ、西洋アジサイ‘アナベル’などが見頃に。「自然風のコンビネーション」をコンセプトに、アジサイの足元には宿根草が植栽され、打ち上げ花火が次々と上がるように、季節によって見頃の植物が移ろっていきます。 「グラウンドカバープランツをベースに、立ち上がる樹形、縦横に広がる草花の三拍子のバランスで植栽しています。冬は宿根草の姿が消えるので、アナベルなどの枝を残して彫刻的な姿を大切に。アセビなどの常緑樹も活躍します」とは、吉谷桂子さんからのコメントです。 写真は、バラの咲くフランスの庭を表現した「ローズガーデン」のエリアで、見頃は6月中旬です。『星の王子さま』に登場するバラにちなみ、赤いバラでコーディネート。‘チェリー・ボニカ’や‘ピエール・ドゥ・ロンサール・ルージュ’など約25品種、47株のバラが植栽されています。赤バラの品種それぞれの豊かな表情も見どころですね。つるバラに欠かせないアーチは3カ所に設置。アーチの外側ばかりか、内側へも花が爛漫と咲くように配慮されており、仕立て方の参考にもなりそうです。 写真は、「サン=テグジュペリ教会」の外観。株立ちの樹木に守られた、グリーンのグラデーションが美しい静謐な空間です。緑陰が多く、あまり日当たりに恵まれない場所のため、コニファーやヒューケラなどのエバーグリーンを中心に植栽し、パンジーやインパチェンスなどの一年草で彩りを添えています。教会は、中に入ることも可能。ステンドグラスには、『星の王子さま』に登場するキャラクターが隠れていますよ! 写真は、「サン=モーリス・ド・レマンス城」と「パルク・デュ・プチ・プランス」のエリア。フランス式パルテール花壇で、ツゲで形づくられた美しいトピアリーが目を引きます。中心には華やかな色彩の寄せ植えが配置され、フォーカルポイントに。背景のお城とも相まって、素敵な記念写真が撮れそうです! 物語にちなむ、kawaiiレストランメニュー! オリジナルグッズのお買い物も楽しんで ミュージアム内のレストラン「ル・プチ・プランス」にはテラス席もあり、ガーデンの景色を愛でながらの食事を楽しめます。営業時間は11:00〜18:00(L.O.17:30)で、デザートメニューは11:00〜17:00L.O.、フードメニューは11:30〜17:00L.O.。客席は店内66席、フランス庭園側20席、駐車場側テラス20席。レスランのみの利用も可能。その場合、ミュージアム入園料金は不要です。 写真は、人気メニューの「ウワバミのオムライス」。単品1,300円、スープ・サラダ・デザート・コーヒーor紅茶のセット1,750円。『星の王子さま』で、主人公の「ぼく」が6歳の時に描いた絵、「ゾウをのみこんだウワバミ」が、大人には「帽子」に見えてしまう、というエピソードがモチーフです。 写真はオススメデザートの「Le Petit Prince ふわふわパンケーキ」。単品680円、コーヒーor紅茶セット1,000円。 2019年5月25日〜7月7日には、1日限定20皿のローズスイーツ2019「バラのわがままプレート」が登場! 単品950円、コーヒー・紅茶セット1,200円、ローズティーセット1,300円。期間限定メニューのため、お見逃しなく! ミュージアムショップでは、お菓子やステーショナリー、タオルや食器など、幅広いアイテムが揃います。ファンにとってはまさに聖地。存分にお買い物を楽しみましょう! お菓子は王子さまのデザイン缶2種類が揃う、チョコサンドクッキー1,800円がオススメです。革小物やワックスペーパー製グッズは男女、年齢層を問わず人気のアイテムで、パスケース2,500円〜、ワックスペーパー製ブックカバー1,500円。ここでしか買えないミュージアムオリジナルのトートバッグは3,100円。 20周年記念グッズとして、PARKERの万年筆28,300円とボールペン18,300円、ミントタブレット510円、メモ帳580円など品揃えが充実しています。コレクターには朗報ですね! ※この記事はレストランメニュー以外、すべて税抜き価格を表記しています。 Information 星の王子さまミュージアム 箱根サン=テグジュペリ 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原909 TEL:0460-86-3700 http://www.tbs.co.jp/l-prince/ アクセス: 公共交通機関/ ●東京方面から「新宿高速バスターミナル(バスタ新宿)」より小田急箱根高速バス「箱根線」約120分、「川向」バス停下車すぐ。 または新幹線「小田原駅」より箱根登山バス「桃源台行き」約50分、「川向・星の王子さまミュージアム」バス停下車すぐ。 ●箱根から 箱根登山鉄道「箱根湯本駅」より箱根登山バス「桃源台行き」約30分。 または箱根登山鉄道「強羅駅」より観光施設めぐりバス「湿生花園前行き」約18分、「川向・星の王子さまミュージアム」バス停下車すぐ。 車/東名高速御殿場ICより約20分 オープン期間:通年 休園日:第2水曜(3月と8月は無休。気象状況等の事情により営業時間の変更や臨時休園の可能性があります) 営業時間:9:00~18:00(最終入園17:00)※展示・映像ホール開館時間 9:00~17:30 料金:大人1600円、シニア(65歳以上)・学生(要学生証)1100円、小・中学生700円 駐車場:112台 (1日300円 ※土日祝・繁忙期のみ) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
-
岡山県

花の庭巡りならここ! 1万株のラベンダー畑が圧巻「蒜山ハーブガーデン HerBill」
雄大な蒜山三座を望むロケーションも魅力 涼しい高原気候ですくすく育つハーブ 「蒜山ハーブガーデン HerBill」は、1998年にオープン。標高600mの高原気候はハーブの生育に適した環境で、町おこしの一環として、そして市民の交流の場として整備されました。総面積は3ヘクタール、ハーブガーデンは700㎡(ラベンダー畑を除く)で、1時間ほどで見学できる広さです。 ラベンダー畑には約1万株ものラベンダーが植栽され、西日本最大級の規模。ガーデンでは約200種のハーブのほか、バラや宿根草、一年草、カラーリーフプランツなどを組み合わせた、ナチュラルスタイルの植栽を楽しめます。当初はハーブの種類を解説する展示圃場のスタイルでした。しかし、来園者の声に応えて、野菜やハーブ、草花を組み合わせたポタジェ、緑陰にはシェードガーデン、花の種類を見やすくするレイズドベッドなど、写真に収めて美しい景観を意識したガーデンへと進化。現在も毎年リニューアルを重ね、目新しいスポットが次々と登場しています。 そして特筆すべきは、蒜山三座を望む景観のよさ。晴れた日はくっきりと稜線が浮かび上がり、その雄大な姿に圧倒されますが、霞がたなびく景色も美しく、秋以降には雲海が広がって幻想的です。昼夜の気温差が大きいため、平地よりも花色が冴えて美しいのも魅力。夏は高原をわたる風が心地よく、植物たちも元気に咲き続けます。 「ハーブガーデン」という名称ですが、ハーブのほかにも、四季を通してさまざまな草花の開花リレーを楽しめます。春はスノードロップ、クリスマスローズ、チューリップ、初夏はバラやアジサイ、ラベンダーが見どころ。真夏はルドベキアやエキナセアが咲き誇り、秋にはセージやダリアが主役に。切り戻したジギタリスやデルフィニウムも秋遅くまで元気です。 園内に建つ「香りの館」には、ガーデンショップ、雑貨&土産物を扱うショップ、クラフト体験ができる工房、カフェがあり、観光施設として魅力的なコンテンツが用意されています。定期的にイベントも開催。ガーデンガイドツアーやバラの育て方セミナー、ガーデニング講習会、夜間に開放してジャズバンドのコンサートを行ったり、秋にイギリスの湖水地方にちなんだ「ブリティッシュフェア」を開催したりと、内容も多彩です。一日過ごしても飽きずに楽しめる、今時のハーブガーデンにぜひ足を運びましょう! 何時間でも座って眺めていたい 癒やし空間を目指したハーブガーデン 新緑が美しい5月上旬の、レイズドベッドで囲んだガーデン内の一角。モルタルで造作してレンガを貼りつけたウォールやベンチ、アーチなど、アイキャッチを多数設けて撮影スポットに。常に「現在進行形の庭」を意識し、毎年ブラッシュアップを続けているので、それを楽しみに訪れるリピーターも多いとか。今や年間4万5,000人が訪れる、人気の観光スポットです。 高原気候のため、バラの見頃はやや遅めの6月頃。写真はオールドローズの‘ランブリング・レクター’2株を仕立てた一角。降るように咲き誇っていますね。一季咲きのため、花が咲かない時期でもつるを伸ばす姿が美しく見えるように仕立て方を工夫しています。 そして注目して欲しいのは、昼夜の温度差が大きい高原ならではの花姿の美しさ。「イングリッシュローズの‘ガートルード・ジェキル’って、こんなに素敵だったんだ!」と専門家も絶賛するほど、花色は冴え冴えとし、カップはより深くなって魅力を放ちます。 写真はパステルブルーでペイントしたアーチを連ねてトンネルをつくり、バラとキャットミント‘ウォーカーズロウ’など宿根草を組み合わせた、ナチュラルな一角です。レイズドベッドの間をつなぐアーチが、シーンの場面転換の役割に。カーブをつけた小径や仕切り役のアーチ、ボリュームいっぱいに張り出させた植物などで視界を遮ることで、自然とその先へと歩き出したくなるデザインにしています。 ラベンダーの見頃は7月頃で、「駐車場について、車のドアを開けたらラベンダーの香りに包まれた!」と訪れた人が感嘆の声をあげるほど、風が香ります。約1万株が斜面を埋め尽くす、ラベンダー畑は壮観です。品のよい淡い紫の花で香りが強い、オリジナル品種の‘ドリーム’には、ぜひ注目を。カフェ以外なら飲食物の持ち込みはOKなので、ベンチでお弁当を広げるのもいいですね。 2019年は7月6日から、ラベンダーの摘み取り体験を実施。当日受付で参加でき、費用は500円です。ハサミとカップが配られて、カップいっぱいになるまで摘み取りができます。100本ほどになるので、お得ですよ! 写真は秋のガーデンの一角で、カラーリーフの組み合わせにセンスが光ります。花を引き立てるグリーンの割合にはこだわりがあり、花3に対して葉7が心地よいと感じる比率とか。「華やかに咲き誇る花のエネルギーに圧倒される感動空間というよりは、リラックスして何時間でもボーッと過ごせる癒やしの空間ですね。秋のだんだん黄昏れていく景色にも、趣がありますよ」とガーデン制作担当の小谷さん。 毎年10月には「秋のブリティッシュフェア」を開催しており、紅茶の楽しみ方レッスンやマーケットなど、イギリスにちなんだイベントが盛況となります。 ポピュラーからレアまで揃うガーデンショップ クラフト体験ができる工房で、ぜひ思い出づくりを 「蒜山ハーブガーデン HerBill」園内に建つ「香りの館」。1階のガーデニングショップでは、宿根草などの花苗、ハーブ各種、バラ、コニファー類、樹木類、鉢、ガーデニング雑貨など幅広く取り揃えています。園内で一目惚れした植物があれば、ここで販売している可能性大。ぜひ立ち寄って相談を! センスよくまとめた寄せ植えもあります。 「香りの館」1階のショップでは、地元のお菓子などの土産物のほか、ハーブティー、フレグランススプレーやアロマオイル、インテリア雑貨などを販売しています。ハイセンスな雑貨ばかりが揃うので、一気にテンションが上がること間違いなし! 主な価格帯は800円〜。ここでしか買えないオリジナルグッズ、「ラベンダーのハーブ枕」2,000円がオススメです。 「香りの館」2階にはクラフトルームがあります。リース作り、ハーバリウム作りなどを実施しており、予約なしで参加OK。1時間くらいででき上がります。予算はサイズや使う花材によって変わりますが、リースが900円〜、バーバリウムが1,000円〜です。定員は40名ほど。 写真は、ハーバリウムの作品例。ボトルのサイズや使用する花材など、どれも個性がありますね。スタッフが丁寧に教えてくれるので、初めてのチャレンジでもきれいに仕上がります。訪れた記念に、世界に一つだけの作品を作って、思い出とともに持ち帰りましょう! 地元の食材を使ったランチは絶品! インスタ映えするハーブティー&ドリンクも 「蒜山ハーブガーデン HerBill」はカフェを併設しているので、歩き疲れたら休憩を。お天気に恵まれたら、テラス席で食事を楽しめます。蒜山の眺望が素晴らしく、高原らしい清涼な風が吹き抜ける心地よさも格別。テラス席はペット同伴OKなのもうれしいですね。 カフェでは各種パスタ1,000円〜、ピザ1,300円〜、蒜山のジャージービーフを使ったカレーランチ・サラダ、ジャージーヨーグルト付き800円やビーフライス1,000円などのメニューが揃います。季節によって旬の食材を用い、園内で育ったハーブも使用。写真は蒜山だいこんおろしの和風パスタ1,000円です。 カフェのデザートは、シフォンケーキやリコッタチーズのケーキなど、手作りケーキが単品500円、ケーキセット600〜800円(ドリンクによって価格に幅があります)。ドリンクメニューはハーブティーのラインナップが豊富で、体にやさしいハーブブレンド各種(400円)から選べます。写真はマロウティーで、ブルーのティーにレモンシロップを入れるとピンクに変わりました! インスタ映えするベリーベリーソーダ、ラベンダーソーダ各500円もオススメです。 レストラン横の苗売り場では、オリジナルのラベンダーソフトクリームも販売(350円)。自家製ルバーブビーツジャムをトッピングしたルバーブサンデー450円も人気です! Information 蒜山ハーブガーデン HerBill 所在地:岡山県真庭市蒜山西茅部1480-64 TEL:0867-66-4533 http://ww81.tiki.ne.jp/~herbill/herbill-home.html アクセス: 車/米子自動車道蒜山I.C.より約5分 オープン期間:4〜11月 休園日:無休 営業時間:9:00~16:30(季節によって変更あり) 料金:大人300円、中高生200円、小学生以下無料 駐車場:普通車80台、バス8台、身障者スペース2台(いずれも無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/ 写真一部(*)/3and garden
-
イギリス

フラワーショーで見比べる植栽デザインのワザ【世界のガーデンを探る22】
フラワーショー特有の植栽とは これまで、イタリアやフランスなど、各国で実際につくられた歴史ある庭の特徴や植栽方法について話してきました。今回は視点を変えて、現代のフラワーショーにおける植物の植え方について解説したいと思います。この記事では、実際に僕が参加したチェルシーフラワーショーと、ハンプトンコートフラワーショーで見たショーガーデンを中心にご紹介します。 フラワーショーでの花の使い方は、全くといっていいほど制限がなく自由なので、植物材料、配置、配色、組み合わせなど、デザイナーの理想とする空間をつくり上げることができます。とはいえ、あくまでも常識の範囲内です。例えば、サボテンとミズバショウを一緒に植えるというようなことは、審査の段階でマイナスになることが十分考えられるので、あくまでも植物を扱う者としての知識と経験によって組み合わせを考えることになります。ただ、チェルシーフラワーショーなどが開催されるイギリスと日本では気象条件がかなり異なるため、イギリスでの庭づくりは、イギリスにおいての常識の範囲内で行うことになります。例えば、陽射しの柔らかなイギリスでは、ギボウシやアオキなどは日向でも日焼けすることはないので、日向の植物として扱えます。 以下に、ガーデンショーでディスプレイされた、いくつかの庭を取り上げます。 ガーデンショーでの植栽例 非現実的なベッドのあるデザイン ハンプトンコートパレスフラワーショーで制作された、2006年のガーデンです。赤を基調にしたフォーマルスタイルの庭で、植物は、手前からヒューケラ、ゲラニウム、ヘメロカリス、リアトリス、バラ、アスチルベなどが、天蓋付きのベッドへと視線を導いています。実生活ではあり得ない空間をつくり出していますが、そこはフラワーショー。自由なデザインが許されています。芝や明るい緑色の葉が補色関係になって、きれいに赤を引き立てています。 紫を基調にしたシックな庭 オープンなオフィスのイメージでしょうか。コンテンポラリーな椅子とあいまって、ちょっと狭い感じもしますが、モダンで素敵な空間ですね。この植栽は、僕も手伝ってデザイナーと一緒に制作を楽しみました。ルピナスや真っ白なジギタリスで縦の動きを強調しつつ、ヒューケラ、セージ、エリンジウムなどでカーペットをつくりました。個人的にはとても気に入った庭ですが、女性の方にはちょっと渋すぎるかもしれませんね。 白いウォールに囲われたガーデン 同じ紫の庭でも、こちらは白のウォールを取り巻くように、いろいろな花が植えられています。ストエカス系のラベンダーを中心に、オダマキやユウゼンギク、ニコチアナなどが植えられ、それに斑入りの植物をうまく混ぜて、優しい雰囲気の植栽になっています。ここでも前回解説した、ガートルード・ジーキル女史のパッチ状にグループで植える手法が生きています。ただ、中心のベンチの存在感が、今ひとつ薄いようです。例えば、優しい紫とかオレンジとか、何かアクセントになるカラーに椅子を着色しても印象がずいぶん変わると想像できます。 明るく開放的な空間づくり これは先ほどのガーデンとは対照的に、明るくて色とりどりの花で彩られた開放的な空間です。赤いダリアやセンニチコウ、ルドベキア、黄花のヘメロカリス、それにユリやデージーの白が混じり、そこにオーナメンタルグラスや三尺バーベナを加えて、さらにボリュームと深みを演出しています。構造物は、明るい木造を基調に、濃いこげ茶色の椅子と真四角な白いポットをシンメトリーに配置し、葉が枝垂れるアガパンサスがカジュアルな雰囲気を出しています。 アイキャッチを効果的に使った庭 いかにも男性デザイナーのつくった庭、という雰囲気のガーデンです。手前にリズミカルに丸い花を咲かせるアリウムを植え、その白い花と淡いブルーのアイリスが、見る人を庭の中に招き入れています。中央の円い池を囲むように多くのシルバーリーフの植物を混ぜ合わせ、その間に明るいオレンジのポピーが咲いて視線を自然に中へと誘っています。奥のほうにはアーティチョークや白花のアイリス、それらを引き立たせるためのバックドロップとしてベニシダレモミジを植えています。抑えた色の木の塀に緑と白のピジョンハウスらしきものと、レンガのステップが落ち着いた雰囲気をつくっています。もしオレンジのポピーを手前に持ってきていたら、その鮮やかさゆえに視線がそこに集中してしまい、庭全体が薄っぺらになっていたことでしょう。アイキャッチの植物は、あくまでも少なめに、奥のほうに配置することが大事です。 イギリスで馴染みがない植物にも挑戦した庭 こちらもチェルシーフラワーショーに登場した2004年のショーガーデンです。池の向こうには、オープンテラスのようなウッドデッキ風の渡橋があり、その先には素敵な赤いチェンバー(部屋)がチラリと見えています。 手前の植栽はマルチステム(株立ち)のサルスベリを中心に、最近イギリスでもかろうじて越冬できるようになった木性シダ。海老茶色のグラウンドカバーは、銅葉のシソとニューサイランで、その間に赤いヘメロカリスとオレンジ花のマリーゴールド、アリウムやリアトリス。そしてもっと奥にはバショウの大きな葉が見えています。イギリスでは馴染みの少ない植物ばかりで、ちょっとエキゾチックな雰囲気が漂っています。我々日本人にとっては、それほど珍しい植物ではないのですが、チェルシーでは新しい植栽だと思います。 こうした新しい植物や使い方のアイデアを来訪者に見ていただくことにより、そのアイデアを持ち帰って自分の庭に生かしてもらえるよう啓蒙することも、フラワーショーの大事な役割の一つです。 二宮式植栽法で手掛けたガーデン 写真の庭は、イギリスの友人であるジュリアン・ダール氏がデザインした「チェルシーホスピタルガーデン」です。2005年のチェルシーフラワーショーで初めて三冠に輝いた庭として有名になりました。三冠とは、ベストガーデン、ゴールドメダル、そして人気投票で一番のピープルズチョイスに選ばれた庭のことをいいます。この庭の植栽は、すべて僕が担当しました。 写真右は、庭の中にある小さな池の周りで、自然を感じさせる植栽を再現しました。もちろん、ここはショーの期間のために制作するので、「ナチュラル」を再現する努力とテクニックが必要です。日本風(二宮式)とでもいうか、自然な雰囲気を出すように心がけたことを思い出します。 写真左は、まるでおとぎ国のような茅葺きのコテージの植栽です。デルフィニウムのはっきりとした直線とつるバラの幹の曲線。そこにオレンジ色の2色咲きのオダマキと足元のピンクのフウロソウが全体にうまく溶け込んでいます。手前のバケツは手動式の消化ポンプです。これも、この庭が1950年頃のイギリスの田舎の風景であることを感じさせるコーディネイトです。 また写真右は、日本のクリンソウです。赤い花の奥に少し黄色のクリンソウを入れたことで、ずっと奥行き感が出せました。ここは一度他の植え方をしていたのですが、しっくりこなかったので、急遽、翌朝すべて植え替えたという、自分にとっても印象深いシーンです。 植栽を担当した「ヨークシャーガーデン」もゴールドメダルを受賞した庭です。デザイナーのジュリアン(Julian Dowle)氏の図面には、植栽は具体的にあまり書かれていませんでしたので、集められた植物材料を見ながら、自然風の植栽風景をつくることを意識しながら、即興で配置と配色を決めていきました。このような自然風な混植植栽は当時のイギリスでは新鮮だったのか、何人かのデザイナーから翌年の植栽のオファーがありました。 「ヨークシャーガーデン」の水辺の植栽です。黄色い花はプリムラやラナンキュラス、ピンクはシレネ、それにブルーのワスレナグサを入れました。このような植栽をしてしまうと、手直しに庭に入ることもままなりませんので、ゆっくり後ずさりしながら完成させていきます。ピンクのシレネはとても使いやすく、固くなりがちな植栽を優しく混ぜ合わせてくれますので、個人的にはとても好きな植物です。 チェルシーフラワーショーの思い出 海外のフラワーショーでは賞金のようなものはなく、写真のような賞状を一枚いただくことができる名誉賞です。また、チェルシーフラワーショーのゴールドメダルは、日本語では金賞と訳しますが、1位を表すのではなく、「いい庭」を意味し、多くの場合、審査の結果で複数の庭が受賞します。ただし、ベストガーデンは一つだけ。受賞する庭がない年もあるようです。 フラワーショーでは、審査時にベストな状態に持っていかなくてはならないので、開花時期の調整はもちろん、健全な材料を使うことが大事です。多くの花が数日の命ですので、海外のフラワーショーの開催期間も長くて1週間程度です。期間が長くなると花が終わってしまったり、変色してしまうため、デザイナーの意図していた配色ではなくなってしまいます。日本ではせっかくつくったのだからと、もう少し長く展示されることが多いのですが、デザイナー側から考えると、自分が思い描いた植物の配置や配色は1週間が限度だと思います。ちなみにチェルシーフラワーショーの大庭園部門では、最低でも数百万から1千万円、多くの庭は2千万円ぐらいの予算が必要となりますので、簡単に参加するという訳にはいきません。 チェルシーフラワーショーでは毎年審査が行われ、審査結果が発表される前に、ロイヤル・ビジットといって王室の方々やエリザベス女王陛下がお見えになります。写真の後方に写っているのは、僕が初めて1995年にチェルシーでつくった「ホンダティーガーデン」です。メインの大庭園部門で、日本人として初めてゴールドメダルを受賞した思い出の庭です。その後も女王陛下とは幾度か庭の話をさせていただきました。英語には日本語のような敬語がないので、普通に両国の庭のことや僕がつくった庭のことなどをお話しすることができました。
-
神奈川県

花の庭巡りならここ! 富士山を望むナイスビューが魅力「松田山ハーブガーデン」
風通しのよい傾斜地を利用したハーブ園 2階の工房ではクラフト体験も実施 1997年6月にオープンした「松田山ハーブガーデン」。広さは3,667㎡にも及び、ゆっくり歩いて公園全体を散策するのに、約1時間かかります。農地の荒廃化と農業離れを防ぐため、新しい魅力ある農産物としてハーブの栽培を取り入れ、また町を活性化する観光スポットを目指して整備されました。 松田山ハーブガーデンでは、181種、約16,500本の植物を植栽。主に4月中旬〜6月はチェリーセージ、5月中旬〜6月はストエカスラベンダーやダイヤーズカモミール、6月中旬〜7月はアカンサス、6月下旬〜7月はグロッソラベンダー、6〜8月はベルガモット、9〜10月はチェリーセージ、アメジストセージへと開花リレーがつながれ、四季を通して見どころを設けています。 ハーブが息づくのは南側の斜面で、日当たり・水はけ・風通しがよく、植物がすくすくと育ちやすい環境。園路はスイッチバック方式に整備されているので、ハーブ畑の間を縫うようにゆるやかに頂上へと導かれていきます。足柄平野を見渡し富士山を望む絶景に、思わずため息がこぼれることでしょう。 頂上に建つ円筒形のハーブ館では、ハーブ関連商品を扱うショップや地元の特産品が並ぶ土産物店で、お買い物を楽しめます。2階にはハーブを利用したクラフト体験ができる工房があり、当日申し込みで参加できます(木・土・日曜のみ)。一番のナイスビューが広がる3階のレストランでは、1,000円前後の価格帯でランチを楽しめるほか、デザート、ドリンクも揃います。特にハーブティーのラインナップが充実していますよ! 春と秋の年2回、「ハーブフェスティバル」を開催し、冬は「松田きらきらフェスタ」と題したファンタジックなイルミネーションを無料公開するなど、「松田山ハーブガーデン」では、さまざまなイベントが盛りだくさん。リピーターも多く、年に約17万人が訪れる、町の魅力的な観光スポットになっています。爽やかな風香るハーブガーデンに、ぜひ足を運んでみてください! 春は河津桜と菜の花が織りなす絶景から始まり 晩秋までハーブと季節の花々が咲きつながる 「松田山ハーブガーデン」では、2月中旬〜3月中旬に開催される「まつだ桜まつり」で、約360本の河津桜と菜の花の共演を楽しめます。桜の観賞がメインとなる散策路内では、シートを広げてのお花見は不可となっていますが、公園上部にある芝生広場では飲食OK。飲酒の制限もありません(ただし周囲の方々に迷惑をかけない程度に)。足柄平野と桜を一望しながら、晴れた日には富士山も顔を出すナイスビューを前に、会話も弾みそうですね! 頂上に建つハーブ館からハーブガーデンを一望した風景。日当たり良好な南斜面にラベンダー、セージ類、ローズマリー、カモミール、レモングラス、アーティチョークなど多様なハーブが、区画された中に植栽されています。ガーデンの標高は下部が約110m、上部が160mと高低差がありますが、園路はジクザクに折り返しながらゆるやかに整備されているので、ご安心を。ハーブの香りに癒されながら、ゆっくりとそぞろ歩きを楽しみましょう。 2019年は6月1〜9日に「ハーブフェスティバル」を開催。この期間はJR御殿場線「松田駅」北口から毎日シャトルバスが運行されます(大人150円、子ども80円)。「英会話をしながらスワッグ作り」や「第2回松田ミュージックフェス」、「ハーブ体験教室」、「ハーブガーデンで摘み取り体験」など、楽しいイベントを実施。フェスティバル中は、ハーブガーデンへのワンちゃん同伴がOKです! 写真は秋のハーブガーデンの様子です。多種類のセージやサルビアが主役となり、園内を豊かに彩ります。2019年10月上旬〜中旬には、秋のハーブフェスティバル「オランダまつり」を開催予定。オランダの民族衣装を着用しての記念撮影や、ストリートオルガン演奏会、オランダ文化のミニ講座などが開催されます。売店では、オランダグッズの数々も登場。ほかにハーブの摘み取り体験や、ハーブクラフト体験など、多様な催し物が展開される予定です。 園内を走る「ふるさと鉄道」が大人気! イルミネーションやハーブクラフトも楽しめる 写真は、園内の「ふるさと鉄道」の様子。山岳鉄道「シェイ式蒸気機関車」(ミニSL )と小田急ロマンスカーは、どちらも実物の1/6のスケール。ミニSLは、本物と同じ蒸気を動力とした精巧で本格的なつくりです。高低差30m、片道550mを約20分かけて往復。途中、急斜面での2カ所のスイッチバックや鉄橋、踏切もあります。料金は12歳未満が200円、12歳以上は300円。不定休のため、運行日はホームページにて確認を。雨天時は運休します。 例年11月下旬〜12月下旬に、「松田きらきらフェスタ」が開催され、約18万球のイルミネーションが点灯されます。営業時間は17〜21時で、入園は無料です。足柄平野のダイナミックな夜景とも相まって、素晴らしい光のハーモニーを楽しめますよ! ハーブ館2階の工房では、木・土・日曜にハーブを利用したクラフト教室を実施(都合により中止になることもあります)。当日申し込み、受付時間は10:00〜11:30と13:00〜14:30。体験コースは「ハーバリウムづくり」2,000円・約40分、「瓶ポプリづくり」500円・約30分、「手練り石鹸づくり」500円・約30分、「バスソルトづくり」700円・約30分、「ミニリースづくり」500円・約30分など、多彩です。 ハーブ関連商品が豊富に揃う1階ショップ 眺望のよい3階レストランでの休憩もオススメ 1階はハーブ&お土産物売り場があります。ハーブ関連商品や地元の特産品がずらりと並び、目移りしてしまうほど。オリジナル商品は、ガーデンの花材で作ったクラフト(500円前後)や、パズル500円など。特にオススメしたいのは、ここでしか買えない寄(やどりき)産のお茶を使った丹沢大山茶アイスで、ほうじ茶・煎茶各270円。茶師謹製、絶品の味わいをお楽しみください! 3階のレストランでは、富士山、箱根、相模湾が一望できるナイスビューを楽しめます。営業日は木〜日曜、11:00〜16:00(L.Oは食事が15:00、デザート・ドリンクが15:30)。ランチは足柄牛ハンバーグ1,000円、パスタ900円、スープライス700円など。デザートはケーキ各種450円(ドリンクセット700円)、ソフトアイス(さくら、バニラ、チョコレート、抹茶)350円、ドリンクはハーブティー各種350円です。 そして、5日前に予約すれば(10名以上宴会予約のみ)、ディナーも楽しめますよ! 大きな窓の向こうには、キラキラと美しい夜景が広がります。特別に、8月の足柄花火大会とクリスマスのディナーは個別での予約にも対応。写真は花火大会の時のレストランの様子です。満席ですね、予約を急ぎましょう! 夜間予約の営業時間は18:00〜21:00。パーティーコースのお値段は、和食コース、写真の洋食コースが各一人3,500円(10〜24人)、パーティーコースが2,500円(16〜24人)、立食パーティーコースが2,000円(20〜40人)です。予約すると、なんと新松田駅北口と松田山ハーブガーデン往復のタクシー1台無料(4名乗車)、車で来場の際は駐車料金が無料になります! 忘年会や新年会、親睦会、女子会などにいいですね。 Information 松田山ハーブガーデン 所在地:神奈川県足柄上郡松田町松田惣領2951 TEL:0465-85-1177 https://nisihira-park.org アクセス:公共交通機関/小田急小田原線新松田駅北口を出て、徒歩約25分(新松田駅からタクシーで約820円 ※道路状況で変わります) 御殿場線松田駅北口を出て徒歩約20分 オープン期間:通年 休園日:年末年始、月・火曜(イベント時は開園) 営業時間:9:00~17:00(冬季は10:00〜16:00) 料金:無料 駐車場:70台(平日無料、土・日・祝日・イベント中は500円、桜まつり時は1,000円) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
-
千葉県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪10 千葉「Calmeカルム」
絵本の世界のような空間が広がる こだわりの自宅ショップ 新設の大学やマンションが建ち並ぶ明るい駅前を通り抜け、静かな住宅地の中に佇む園芸店「Calmeカルム」。背後に広がる緑からにぎやかな鳥のさえずりが聞こえる、まるでサンクチュアリのような千葉県のショップです。 ここ「Calmeカルム」は、今からちょうど10年前に、中村さんが自宅の庭先につくったショップ。とても小さいスペースですが、中村さん厳選の苗やアイテムが集められた、こだわりの品揃えです。 売り場に並ぶ植物は、シックでありながらあでやかさも併せ持つ大人っぽい表情のものがメイン。こぢんまりと営む自宅ショップなので大量仕入れはできませんが、多品種を少しずつ仕入れることで、常に新しい苗が用意されています。「近くに大きなホームセンターがあるのですが、量では勝てないから、私のショップでは新鮮さとセンス、知識でカバーしています」。そのこだわりを求めて、近隣だけでなく遠くからもファンが集まってきます。 店を持つ以前は、海外の航空会社の空港勤務をしていたという中村さん。同居するお母さまの体調がすぐれないため、激務だった会社を辞め、介護をしながらガーデニングを開始。花を触ることは自身にとって大きな癒しとなり、どんどんのめり込んでいきました。次第にガーデニングの魅力をもっと周りに伝えたいという思いが強くなり、自分で貯めた資金で庭を店舗用に改修し、園芸の猛勉強をして、自宅でガーデニングショップを開業しました。 こだわりをあきらめずに追い求め、 手に入れた、理想のシェッド 店をオープンするにあたり、何よりもこだわったのが、庭先に作る店舗の建物の雰囲気。ウッドデッキだった場所を改修し、イギリスの片田舎風なシェッドを建てたかった中村さんは、いろいろな工務店に相談しましたが、なかなか思うようなデザインの提案が上がってきませんでした。けれど中村さんはあきらめず、数カ月間探し続けた結果、ようやく同じ世界が共有できるデザイナーに出会います。まだ経験が浅い若い勉強中のデザイナーでしたが、二人三脚で理想の空間を形にしていきました。 アンティークのアイテムをシェッドのパーツとして活用し、植物と絡めて。憧れの世界づくりに、妥協はありませんでした。 建てた当初に植えた1ポットのフィカス・プミラが、10年経った今、ここまで育ちシェッドをカバー。飾り棚やニッチにあしらったポットとともに、表情豊かなシーンを演出しています。 多肉のポットを配した飾り棚。窓には、アンティークのアイアンフェンスを取りつけ、本格的な風景に仕上げて。 シェッド前面に設けたトンネル型のニッチには多肉の寄せ植えをレイアウト。背面の窓には、厚みにむらがあるガラスを用いて味わいをプラス。写真左は外側、右は中側(店内)。 店舗の雰囲気をアップ! 周りを彩る植栽も必見 シェッドの周囲にはほんの小さなスペースしかありませんが、カラーリーフ類をメインに植栽。春から秋まで、次々に表情が変わっていきます。リピーターの方々は、この小さな植栽が見せる移ろいを見逃すまいと、たびたびショップを訪れています。 左/シェッド脇の細い園路。斑入りドクダミが明るさを添えて。 右/シェッドの屋根を覆うのはクリーピングタイム(2018年の写真)。「昨年の猛暑で枯れてしまいましたが、今年また新たな苗を植える予定です」と中村さん。 つややかなグリーンの中で、シックな彩りを添える、シキミアとペルシカリア。 フィカス・プミラの株元には、古びた道具類を転がしたディスプレイ。人気を感じさせる無造作加減が素敵。 シェッドに設置した雨どいを伝って落ちた雨水。メダカを泳がせて蚊対策をしています。 シェッドの雰囲気を盛り立てる 多肉植物のあしらい シェッドの周りにはたくさんの多肉植物の寄せ植えがコーディネートされています。ニュアンスのある色と造形がこの建物によく合って、古びた雰囲気を演出するのにぴったり。器にもこだわっているのがポイントです。 アンティーク感たっぷりのアレンジ。落ち着いた色調が、ビターなシーンを演出しています。 エイジング加工されたカップに、渋い色合いの多肉を寄せ植え。小さくても雰囲気たっぷり。 壁や柱にも多肉のアレンジをハンギング。あちこちで訪れた人の目を引いています。 シックな花と雑貨の 取り合わせも参考に 「Calmeカルム」では、現行品・アンティークを問わず、あでやかでシックな草花に合う雑貨を多数取り扱っています。決して目立つものではないけれど、存在感のあるアイテムをセレクトするのが成功のカギ。 アンティークの二連の洗面器台には、渋い色調のペチュニアとカリブラコアの苗を入れて、古びた雰囲気を強調しています。 シェッドを彩る、シルバーリーフのガザニアとカルセオラリアの苗を寄せたアンティークのベビーバス。白い器に赤×黄の花が美しく映えています。 店頭を飾る中村さん好みのシックな花々。「主張が強くないので、互いに合わせやすいところが魅力ですね」(左上/ビオラは見元園芸の極小輪ビオラ、右上/ユーフォルビア ‘ブラックパール’、下/アークトチス ‘バーガンディー’)。 絵本の世界のような 愛らしいシェッド内 中村さんこだわりのシェッド内は、生活に潤いを与えてくれるこだわりのアイテムがずらり。ガーデニングアイテムはもちろんのこと、作家によるクラフトや器、洋服までもが揃っています。「ちょっとしたプレゼントが欲しい時、都内まで行かなくても、ここに来れば素敵なものが見つかる――そんな品揃えを考えています」と中村さん。シェッド内は愛らしいものでいっぱいです。 ガーデニングを楽しくしてくれるハンギングバスケットやグローブなどが充実。インテリアとして飾っても素敵。 アンティークの柵が設けられた窓辺。透けるフィカス・プミラの葉がつややかな潤いをもたらしています。 おもてなしに活躍してくれそうな益子焼の器なども並んでいます。プレゼントにも最適。 中村さんが作った、ピンクのバラがメインのプリザーブドフラワーのアレンジ。制作の注文も受けており、ワークショップも行っています。 中村さん作のリースとプリザーブドフラワーのコサージュ。こちらも販売されており、ワークショップも開催。ぜひお問い合わせを。 オープンガーデンの時などにオススメの、花柄などナチュラルな雰囲気の洋服や帽子も並んでいます。 個性あふれるクラフト作家による小物類。同じ作家でも一点一点、色や大きさなどが異なるので、作品とは一期一会の出合いです。 2018年オープンしたカフェは ゆったりくつろげる隠れ家風 介護が終わり、2018年秋にカフェをオープンさせるという、新たなチャレンジに挑んだ中村さん。構想を練る段階で、一度コンサルタントの先生に相談したところ、「場所柄、運営は厳しい」という回答を受けました。けれど、そんな逆境に直面するほど情熱に火がつくのが中村さんのど根性気質。10年前にシェッド作成を依頼したデザイナーに再度連絡を取り、シェッドとは異なる‘ちょっと男前’な雰囲気の建物を建ててもらいました。 カフェは玄関まわりを改修して設置。10年でお互いに経験を積んだデザイナーとの合作はとてもスムーズで楽しいものだったそう。カフェの入り口には、たくさんの寄せ植えでおもてなしの気持ちを表して。 ヨーロッパの路地にでも迷い込んだような雰囲気のエントランス。オープン後訪れた弁理士に「なるほど、これなら大丈夫かな。勉強になりました」と言わしめたほどの、本格的で魅力的な仕上がりです。 エントランスの階段脇には、さまざまな季節の草花の彩りが。カフェに入る前からテンションが上がります。 店内からの眺めも考えて、ウィンドウプランターには長く楽しめる草花を植栽。夕方店内に明かりがつくと、とても雰囲気のある風景に。 ほんの数㎡の室内は落ち着いた内装で、囲まれ感たっぷり。居心地抜群なので、一人で訪れる人も多いのだとか。 中村さんイチオシのグッズはコレ! 樹脂製の軽いコンテナ 中村さんがオススメするのは、樹脂製のプランター。落ち着いた色味で使い込んだような質感は、さながら本物の焼きものプランター。色・形はさまざまで、白やブラックもあります。軽くて移動が楽なので、扱いやすいのが嬉しい。 逆境をバネにして生まれたガーデニングショップ&カフェ「Calmeカルム」。店名はフランス語の「穏やかな」で、お客様が穏やかな気持ちで過ごせるようにという思いが込められています。自分を信じ、こつこつと積み上げた努力が結実したショップ内には、ガーデニング好きの人はもちろん、それまで興味がなかったという人までが花好きになってしまうほどの穏やかで心地よい空間が広がっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、京成本線・公津の杜駅下車 徒歩約5分。駐車スペース有。 【GARDEN DATA】 Calmeカルム 千葉県成田市公津の杜1-1-16 TEL:0476-28-7659 https://calmekouzunomori.wixsite.com/calme 営業時間:11:00~19:00 定休日:木曜日(正月) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/カルム




















