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岐阜県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。岐阜県「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」
何年にもわたり通い続ける「バラの聖地」 岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」といえば、バラの品種栽培数日本一で、僕のようなバラのカメラマンにとっては聖地ともいえるバラ園です。ここ数年は毎年伺って、大好きなオールドローズを中心に、さまざまなバラの写真を撮らせていただいています。 雑誌の取材をきっかけに念願の撮影へ 初めてこのバラ園に伺ったのは、多分20年くらい前のことだと思います。雑誌の取材でイングリッシュローズを撮りに行くのがテーマでした。当時はちょうどイングリッシュローズが流行りだした頃で、関東でも‘メアリー・ローズ’や‘グラハム・トーマス’のような初期の有名な品種は案外簡単に見ることができたのですが、もっと新しい花となると、例えば、東京・日本橋三越屋上の「チェルシーガーデン」へ行くとか、イングリッシュローズマニアの方が丹精するお庭に伺うなどしかなく、まだまだ今のように新しい花を簡単に見ることはできませんでした。 そんな時代から、このバラ園には多くのイングリッシュローズが植えられていましたから、岐阜の花フェスタに行けるというのは、バラ好きカメラマンの僕にとっては夢のような話でした。当時、雑誌などの撮影依頼というのは、「取材先近くに住むカメラマンが撮影に行く」のが当たり前の時代でしたから、行きたくても縁がなかった岐阜の花フェスタの取材は「夢が叶った!」と飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。 カタログで見ていたバラの本当の咲き姿に感動 現地に着いて、事務所で担当の方にご挨拶を済ませたら、すぐにバラ園の中へ。頭の中はもう、デビッド・オースチン・ロージズのカタログの写真でいっぱい。広いバラ園の中でも、真っ先にイングリッシュローズが植栽されている「世界のバラ園」に直行しました。 長い通路を抜けて、つるバラのトンネルの先に、目指した「世界のバラ園」はありました。円形の広いバラ園の右側約半分ほどがイングリッシュローズのエリアでした。‘キャンティ’など古い品種から始まって、カタログ写真だけで知っていた花が、1品種3株ずつ植えられ、大株になって、たわわに花をつけています。早速レンズを向けると、ファインダーの中で数輪の花が今を盛りと咲いていて、まさに憧れのデビッド・オースチンのカタログの世界でした。 芝生の園路に片膝をついて香りを嗅いでは、ため息。ファインダーを覗くとお手本のような花があって、幸せな時間のなか夕陽が沈むまで撮影を続けた、僕がイングリッシュローズの魅力に開眼した日でした。 広い園内で数々の品種を撮影 その後も何回かこのバラ園に伺いましたが、次に印象に残っているのが、NHK出版編集、上田善弘さん&河合伸志さん監修の『バラ大百科』のための撮影の時でした。この本の撮影は各地のバラ園に行ったのですが、特に品種数の多い「花フェスタ記念公園」の撮影は、2日ほどかけて行いました。オールドローズあり、ハイブリッドティー、フロリバンダありと、膨大なリストに記載されているバラを一つずつ探しながら、とにかく広い広いバラ園の中で、目的のバラを探し出してはシャッターを切る。隅から隅まで歩き回る過酷なもので本当に疲れましたが、この経験はとても勉強にもなった、僕にとって忘れられない撮影でした。 その後も、雑誌の企画や自分のストックフォトの撮影に度々伺い、その都度担当の方に早朝に門を開けていただいたり、夕方まで撮影させていただいたりと、お世話になっていました。 近年はオールドローズの撮影が楽しみに 4年前にはオールドローズ仲間からガーデナーの西依束さんを紹介していただいたのですが、彼はオールドローズにとても詳しくて、いろいろなことを教えてもらえるのもあり、ますますこのバラ園でのオールドローズの撮影が楽しくなりました。それからは、毎年5月20日前後は「花フェスタ記念公園」で撮影をすると決めているのです。 また、昨年2018年の秋には「バラの写真を美しく撮るための写真講座」も開催させていただきました。今年もまた5月に写真講座を担当させていただいた「花フェスタ記念公園」は、僕にとって本当にお世話になっているバラ園なのです。
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神奈川県

バラの街で人気の横浜で建物探訪!「横浜山手西洋館巡り」
西洋館の始まり~横浜開港と外国人居留地の成立 1854年に、アメリカと幕府の日米和親条約が結ばれて鎖国が解かれると、1858年には、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスと相次いで通商条約が締結されました。それにより国内5港(横浜、長崎、函館、神戸、新潟)で自由貿易が可能となり、開港地付近に、外国人の居住や事業などが許可された場所(居留地)ができました。 1859年、横浜港が開港されると、1860年頃より本格的に山下居留地での建築工事が始まりました。しかし、開港間もない当時は、開港や居留地制度に反対する者による外国人殺傷事件などが起こり、居留外国人防衛を目的に、山手の丘にイギリスとフランスの軍隊が駐留することになりました。 1866年、幕府は「横浜居留地改造及び競馬場墓地等約書」をつくり、1867年、バーン商会が幕府の命により、約22万5千坪の山手の土地を競売にかけたことで、次々と買い手がつき、やがて居留地の街ができていきました。山下居留地は商工業地区として、山手地区は住宅地区として洋館が建てられ、1875年には、イギリスとフランスの両軍隊は完全に山手から撤退していました。それにより、両軍隊の跡地の分割が行われると、山手居留地は益々整備が進み、病院、学校、墓地、教会、公園、ホテルなどの施設も充実しました。 現在の山手地区の主な歴史的洋館 現代の山手地区を大きく5つのエリアに分け、9つの建物をご紹介します。まずは各エリアの由来と、そのエリアにある建物の名称をリストアップしましょう。 Ⅰ. 港の見える丘公園エリア ①横浜市イギリス館 ②山手111番館 【エリア解説】1962年に開園し、園名は戦後の流行歌『港の見える丘』に由来します。 Ⅱ. 元町公園エリア ③山手資料館 ④山手234番館 ⑤エリスマン邸 ⑥ベーリック・ホール 【エリア解説】元町公園は、元町商店街から山手にかけての谷戸と呼ばれる地形に位置します。 Ⅲ. 山手公園エリア ⑦旧山手68番館 【エリア解説】日本初の洋式公共庭園であり、日本におけるテニス発祥の地です。 Ⅳ. 山手イタリア山庭園エリア ⑧外交官の家 ⑨ブラフ18番館 【エリア解説】1880~1886年に、イタリア領事館がこの地に置かれました。 西洋館探訪1 横浜市イギリス館(横浜市指定文化財) 1937年(昭和12年)に、英国総領事館公邸として、上海大英工部総署の設計により建てられました。コロニアルスタイルの建物は、現在、1階はコンサートホール、2階は会議室に利用され、寝室や展示室などが一般公開されています。 イギリス館周囲の庭園は、現在、「イングリッシュローズガーデン」と命名され、さまざまなイングリッシュローズと共に、宿根草などの草花との組み合わせや配置が見事な英国風ガーデンとなっています。アーチやオベリスクを利用した立体的空間デザインや各コーナーごとのカラースキームも大変素晴らしく、まるでイギリスのガーデンにいるような錯覚を覚えます。こちらでは、約130品種、約1,200株が植栽されています。 また、隣接された「香りのガーデン」では、特に香りが強く香料用のバラとして栽培されている品種をはじめ、中国や日本などのさまざまな香りのバラが50種以上と、100種以上の香りの植物が植栽されています。 フランスのグラースなどで香料用に栽培されている‘ローズ・ド・メイ’が、ベンチの後ろに数株並んで。 西洋館探訪2 山手111番館(横浜市指定文化財) 1926年(大正15年)に、J.H.モーガン氏による設計で、アメリカ人、ラフィン氏の住宅として建てられました。スパニッシュスタイルの洋館は、イギリス館南側に位置し、ローズガーデンを見下ろすように佇み、現在、地階は喫茶店となっています。 西洋館探訪3 山手資料館(横浜市認定歴史的建造物) 外国人墓地の向かいの山手本通り添いに建つこちらの洋館は、1909年(明治42年)に、中澤兼吉氏の邸宅として、本牧本郷町に建てられた和洋併設住宅の洋館の部分を移築したものです。現在、開港~関東大震災までの横浜や山手に関する資料を保存し展示しています。庭園には、洋館を背景にバラが数株植栽されています。 西洋館探訪4 山手234番館(横浜市認定歴史的建造物) 山手本通りを元町公園前に向かって進むと、間もなく見えてくるこちらの洋館は、1927年頃(昭和2年)に、朝香吉蔵氏の設計により建てられました。関東大震災で横浜を離れてしまった外国人に戻ってきてもらうための、外国人向けアパートメントハウスでした。当時は、3LDKの間取りが4セット、玄関ポーチに向かい合うよう設計されました。 こちらでは、ハンギングや寄せ植えなどがセンスよく配置されていました。 西洋館探訪5 エリスマン邸(横浜市認定歴史的建造物) 山手234番館の前の山手本通りを少し進み、向かい側にあるのがエリスマン邸です。1925~1926年(大正14~15年)に、日本の近代建築の父といわれるチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド氏の設計により、生糸貿易商社シーベルヘグナー商会のスイス出身フリッツ・エリスマン氏の邸宅として建てられました。1990年(平成2年)には、元町公園内に移築されました。 西洋館探訪6 ベーリック・ホール(横浜市認定歴史的建造物) エリスマン邸のすぐ隣に建つスパニッシュスタイルの洋館は、1930年(昭和5年)、アメリカ人建築家であるJ.H.モーガン氏設計により、イギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として建てられ、2000年(平成12年)まで、セント・ジョセフ・インターナショナルスクールの寄宿舎として使用されていました。 西洋館探訪7 旧山手68番館 1934年(昭和9年)に外国人向けの賃貸住宅として、山手68番に建てられ、1986年(昭和61年)に、山手公園内に移築されました。現在は、山手公園管理事務所になっています。 山手公園は、1870年(明治3年)、日本初の洋式公園としてこの地に誕生し、日本で初めてテニスが行われた場所でもあります。居留地外国人女性によってレディーズ・ローンテニス・アンド・クロッケー・クラブ(LLT&CC)が創設され、1998年(平成10年)には、LLT&CCが改称した公益社団法人 横浜インターナショナル・テニス・コミュニティ(YITC)創立120周年を迎え、テニス発祥記念館を同公園内に開設しました。 また、1879年(明治12年)にイギリス人のH.ブルック氏がインドよりヒマラヤ杉のタネを取り寄せ、日本で初めて植栽しました。2004年(平成16年)には、国の「名勝」指定を受けた公園でもあります。 西洋館探訪8 外交官の家(国重要文化財) 明治政府の外交官として、ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使を務めた内田定槌氏の邸宅として、1910年(明治43年)に、J.M.ガーデナー氏設計により東京・渋谷区南平台に建てられましたが、1997年(平成9年)に、現在建物があるイタリア山庭園内に移築されました。建物は、アメリカン・ヴィクトリアン様式です。また、幾何学模様にデザインされた整形式庭園も見どころです。 西洋館探訪9 ブラフ18番館(横浜市認定歴史的建造物) 外交官の家の隣に建つこちらの洋館は、大正末期頃に建てられた外国人用住宅で、1991年(平成3年)まで、カトリック山手教会司祭館として使用されていました。1993年(平成5年)に現在の山手イタリア山庭園内に移築されました。 なおブラフとは、かつて居留外国人たちが、山手の港寄りの切りたった崖の地を「ブラフ」と名づけたことに由来します。 ブラフ18番館からJR京浜東北線・根岸線「石川町」駅に向かう大丸谷坂の道に、懸崖仕立てにバラが植栽されていました。 各洋館の歴史がそれぞれにあるように、庭園もそれぞれの経緯を経て今に至ります。横浜開港150周年を記念して平成19年に市民投票により名前が選ばれ、平成21年に名づけられたピンクのバラ‘はまみらい’は、あちらこちらで目にすることができました。 現在、横浜では市をあげて、花と緑のフェア「ガーデンネックレス」が開催されています。また、5月は「横浜ローズウィーク」とメインイベントとなる「ばらフェスタ2019」も、横浜の大さん橋ホールにて初開催されています。 バラが最盛期の今、ぜひバラとの歴史が深い横浜で花咲く喜びを体感していただきたいです。 併せて読みたい ・横浜とバラの歴史を刻み続ける「港の見える丘公園」 ・新しい花のイベント開催スタート!「ばらフェスタ2019」in横浜 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「神奈川・横浜イングリッシュガーデン」の四季
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千葉県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。千葉県「京成バラ園」
これまでの人生で一番通ったバラ園 今月、ご紹介する「京成バラ園」は、僕の自宅からは車で約30分。原種のバラからオールドローズ、フロリバンダにハイブリッドティー、イングリッシュローズまで、あらゆるバラを見ることができる、僕が一番お世話になっているホームグラウンド的なバラ園です。そう、ちょうどこの記事が公開される頃は、春バラが見頃を迎えていることでしょう。 僕が初めて京成バラ園に行ったのは、今から26年前。結婚して千葉に引っ越して最初の春のことでした。東京で一人暮らしをしている時は、特にバラに興味を持ったことはなかったのですが、千葉に住んでみると、近隣ではバラを植えている住宅が何軒もあって、春のシーズンになると一斉に咲き出すバラがとてもきれいに見えたものでした。 初めてバラ苗を購入した頃の思い出 中でも、どの家でも咲いている赤い一重の、当時の僕にはとてもバラには見えなかった‘カクテル’という名前のバラに一目惚れ。週末に家内と連れ立ってバラを買いに行ったのが京成バラ園の初訪問でした。よくたとえで「バラといえば高島屋の包装紙」なんていいますが、当時の僕はまさにその程度の知識でしたから、初めて見るバラ園の色とりどりのバラにすっかり魅了されてしまいました。 そして、その場でバラを育てよう! と決心。早速、売り場に直行して、まずは‘カクテル’、次に、ピンクでコロっとした咲き方が可愛い‘アンジェラ’、さらには、家内が気に入った‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’を。他にも、とてもきれいな‘アビゲイル’という名の小さめのバラと、もう名前を忘れてしまった1株。合計5株を買って帰り、マンションの1階の小さなベランダでバラ栽培を始めることになりました。 思い出のバラは今も自宅で開花 とはいうものの、バラどころか植物をまともに育てたこともない、つるバラもハイブリッドティーも分からない人間による“見よう見まねの園芸”。今振り返ると、よく枯らさなかったもんだと自分でも感心します。その時購入した‘カクテル’とフロリバンダの2株は友人に譲りましたが、‘アンジェラ’と‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’は、何度かのテッポウムシの攻撃にもめげず、今でも我が家で無事に咲いています。 書籍化のために数々の撮影を担当 その後、何年かしてNHK『趣味の園芸』テキストの仕事をするようになってから、京成バラ園にはよく行ったのですが、バラ園の関係者に顔と名前を覚えてもらえたのは、2006年春に出版された『バラ大百科』(河合伸志・上田善弘著/NHK出版刊)の撮影以降のことでした。あの時は、河合さんにいただいた何ページもあるリストを抱え、何日もバラ園の中を歩き回ったものです。リストのバラを探し、時には栽培用のハウスの中にも入れてもらいました。バラを見つけてはシャッターを切る大変な撮影でしたが、そのお陰で顔と名前は覚えていただけたのだと思います。 その翌年、2007年秋には鈴木満男先生の『バラを美しく咲かせる とっておきの栽培テクニック』(鈴木満男著/NHK出版刊)という本でも撮影を担当させていただきました。その本は、タイトル通り栽培を解説する内容だったので、ライターのUさんと一緒に、実際にいろいろな栽培のテクニックを見せていただきながらの撮影が基本でした。また同時に、鈴木先生から「今井さん、ちょうど○○が咲いているから」と直接電話をもらって、急いでかけつけて撮影したり、栽培用のハウスのバラまで撮影許可をいただいたりしていました。あの本の撮影の時は、まるで京成バラ園のスタッフカメラマンのように自由に出入りさせてもらいました。 今、活躍するバラ専門家との出会い テレビ放送のNHK『趣味の園芸』や他のTV番組にも近年出演されている、京成バラ園芸所属の村上敏さんに初めてお会いしたのも、もう何年前か分からないくらい昔のことになります。ある園芸の先生から京成バラ園の職員さんを紹介していただいて、販売用のパンフレットか何かの打ち合わせにバラの写真を持参した時に、その担当者の上司だったのが村上さんでした。当時、写真はまだポジフィルムで20枚ずつ透明なシートに入れてお見せしましたが、村上さんは一枚ずつ丁寧に見てくださり「ミニバラの写真がとてもよいですね〜」と褒めてくれたのを今も覚えています。最近では写真展をさせていただいたり、著名な先生方とご一緒してガイドツアーまでさせていただいたりと、村上さんには本当にお世話になっています。 最後に登場するのは、今、僕たちオールドローズファンの仲間たちから絶大な人気の入谷伸一郎さんです。初めてお会いしたのは、鈴木先生の本を撮影している時でしたが、あの時は鈴木先生の部下として、真面目な口数の少ない男性……という印象でした。が、鈴木先生が「入谷は変わったバラのことが詳しくて、なかなか面白い奴なんです」とご紹介くださったように、今では僕たちの間ではオールドローズの「神」と呼ばれています。 バラの最盛期には、早朝のバラ園のオールドローズエリアでよくお会いします。たいてい僕はガリカローズやモスローズを、そして、入谷さんは反対側にあるブルボンローズやティーローズを。お互い背を向け合って一生懸命撮影しているため、挨拶はいつも「咲きましたね〜」くらいです。特にバラの最盛期は入谷さんはとても忙しいでしょうから、僕も一通り撮影を済ませると「今日は○○に行きますので」と言って、慌ただしく帰ります。シーズンオフにお会いする機会があると、珍しいバラや入谷さんのお気に入りのバラの前で、ものすごーくマニアックなお話を聞かせてくれるのですが……。僕の好きなガリカやダマスクといった古いタイプのオールドローズは「ややこしいバラだから」と答える様子を見ると、入谷さんは、あまりお好きじゃないのかな? そこだけが残念でなりません。 余談ですが、京阪園芸の小山内健さんが「TVチャンピオン」でバラ園を走り回っていたあの日も僕は撮影に行っていましたが、よもやあの日のチャンピオンに、まさか10年後、こんなにお世話になるとは思ってもいませんでした。 今、こうしてバラを撮影するカメラマンをしていられるのも、京成バラ園とバラ園でお会いした先生方のお陰だとつくづく思います。今日、この原稿を書き終えたら「京成バラ園」のきれいなバラたちに会いに行こうと思います。
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茨城県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪9 茨城「フェアリーガーデン」
自然体な庭をつくりたい人必見 広々としたサンプルガーデン 幹線道路から少し入った住宅街の中に突如広がるガーデンショップ、「フェアリーガーデン」。つる植物が絡むウッドフェンスと雑木で囲まれた、ナチュラルでまるで秘密の花園のようなお店です。 大きな木々や宿根草が茂る人気のサンプルガーデンは、オーナーの柴田しず江さんが25年前からコツコツとつくり上げてきたもの。約250坪もある敷地は、植物をゆっくり愛でながら回遊できるように枕木や自然石が敷かれ、花木、バラ、宿根草、球根などさまざまな植物が植栽されています。今ではこんなにも成熟した庭ですが、ここに至るまでには相当な時間と労力を費やしてきました。 今から25年以上前、自宅を洋風に建て替えた際にガーデニングを始めた柴田さん。建物の雰囲気に合った美しい庭づくりを目標に掲げました。しかし当時はおしゃれな庭づくりの情報が少なかったため、都内の洋書専門店まで何度か出向き、ガーデン関連の洋書を購入。神楽坂にあったスクールでガーデンデザインを学び、庭づくりの知識を身に付けていきました。 洋書には、見たことのない素敵な宿根草やオールドローズがたくさんありました。その当時、それらの植物もまた日本では出回っていなかったため、海外から種子を取り寄せて自身で育苗をスタート。オールドローズは都内の販売店にまで足を運び、少しずつ数を揃えていきました。 しかし、自邸で本格的な庭づくりをするには限界を感じた柴田さんは、苗づくりはプロの農家に依頼し、それを販売するショップをオープンしようと決意。自身だけでなく園芸好きの人たちにも楽しんでもらえるような、サンプルガーデンを併設することで、自身が思い描く庭づくりを実現させました。 サンプルガーデンをつくるにはある程度の広さが必要なので、使われなくなった田んぼを借用して、まずは洋風の建物を建設。その後、ガーデン部分となる場所には業者に客土をお願いし、へこんでいた敷地を平らにしてもらいました。けれど、入れてもらった土には礫やガラが非常に多かったので、最初しばらくは、それらを取り除いて、有機的な資材で土壌改良をすることに注力。整地しながらデザインを考え、花壇となる部分はレイズドベッドにして新しい良い土を入れ、水はけを確保しました。 見ごたえたっぷり、魅力あふれる植栽シーン 柴田さんが、庭をデザインする上で心がけたことは、奇をてらわない自然体な風景であること。縦長で奥行きのある敷地を有意義に使うために、園路を2本縦に通して奥でつなげ、回遊できるようにデザインしました。枕木や自然石を用いてラフに敷いたことで、雑草までもが愛らしく見えます。 ざっくりと石を敷いた園路の両側には、昔から親しまれている植物から最新の植物まで、さまざまな種類が植わっています。「この庭では消毒で薬剤を使用しないので、とにかく性質が強い品種を入れています」と柴田さん。強健な植物を選ぶことでメンテナンスに追われるストレスを極力減らし、それぞれの植物が持つ野趣を生かして自然な風景を演出しています。 庭演出で注目の植物「オールドローズ」 バラは、うどんこ病や黒点病にかかりにくい品種をセレクト。あまり主張が強くない品種であることもポイントで、旺盛に育ちながらロマンテチックなシーンを実現しています。東屋に誘引したバラは‘コーネリア’。 庭演出で注目の植物「クレマチス」 やわらかさをシーンに加えるのに活躍するのがクレマチス。フェンスに絡むのは、軽やかな花形と淡い花色が美しい‘チャッツワース’。 庭にさりげないアクセントをつける細いオベリスクには、ベル形のクレマチス‘雫’を絡ませて。 庭演出で注目の植物「リーフ類×灌木」 樹木の下はしっとりとしたシーンをつくるのに最適な場所。春に白い花穂を下げるコバノズイナと黒い葉のリグラリアでシックにまとめて。 庭演出で注目の植物「リーフ×宿根草×球根」 灌木の株元をにぎやかに彩るブルーベルと黄花のイカリソウ。覆輪のギボウシ‘寒河江’を背景に、反対色の組み合わせが効いています。ほかの場所では、柴田さんのお兄様から譲り受けた3倍体の大きなイカリソウが見られます。 庭演出で注目の植物「リーフ×球根植物」 アスチルベやキミキフガの花が上がる前の緑一色の頃は、ブルーがかった白い星形の花を咲かせるオーニソガラム・ヌタンスが清楚な彩りを添えて。 庭演出で注目の植物「宿根草×一年草」 こぼれ種で広がるヒメフウロと、青いヤグルマギクの、ブーケのような可憐な組み合わせ。 庭演出で注目の植物「宿根草」 園路の傍らで愛らしい彩りを添えるフロックス‘シアウッドパープル’。この花が咲き終わる頃に、ニゲラ‘グリーンマジック’にバトンタッチします。 庭演出で注目の植物「山野草」 庭の奥には、木陰でエビネなどの山野草の花が咲き、野趣あふれる風景が広がっています。 本格派アイテムを添景に用いて メリハリのあるシーンを演出 宿根草が咲き乱れる植栽に変化をつけるため、柴田さんは大きなオーナメントやコンテナをポイントで配し、インパクトのあるシーンを演出しています。アイテムは、英国のウィッチフォード社やドラゴンストーン社などの本格的で大ぶりなものを多用。「中途半端なものをあちこちに飾るよりも、経年変化で味わいが出る本物を数点置くほうが絵になると思うんです」と柴田さん。洋書をから学んだテクニックが、ここにも生かされています。 どっしりとしたドラゴンストーン社のコーンのオーナメント。ここでは、ジャーマンアイリスやギリアなど、草花のフォルムの引き立て役として活用。 日陰のコーナーに配したガーゴイルの置物。シダの陰にひっそりと佇む姿が魅力的です。 ギボウシの奥で存在感を放つ、テラコッタのルバーブポット。 広い花壇をひと区切りしたいときは、アイアンフェンスがぴったり。 冬~早春の間も楽しめる サンプルガーデン 「フェアリーガーデン」のサンプルガーデンは、冬の間もオープンしています。ひっそり静まり返ったような庭にも、よく見てみると発見がたくさん。冬の庭で生きる植物の状態を学べるだけでなく、冬枯れしたその姿を愛でる楽しみもあります。 2~3月になると、たくさんのクリスマスローズがあちこちに咲き群れます。ぜひ寒い時期も訪れてみて。 クリスマスローズは、新潟から仕入れたというシックな花色のものが多数。時期になると店頭で販売されます。 落ち葉の中から、スノードロップやプシュキニア、チオノドクサなどの愛らしい小球根類があちこち顔を出します。 ショップのマスコット的な存在に。 大人気の猫たち フェアリーガーデンでは、数匹の猫たちが店番をしながら遊んでいる様子を見かけます。彼らは柴田さんが保護したという近所の猫たち。近所でどうしても増えてしまって処分されてしまう恐れのある野良猫たちを、自己負担で病院に連れて行き、去勢・避妊の処置してもらっています。生まれたばかりの子猫の場合は、飼ってくれる里親を探し、今まで約80匹を里子に出しました。柴田さんに目をかけてもらった猫たちは、自由に庭を出入りし、恩返しをするかのように? 来訪者に愛嬌を振りまいています。 オーナメントに勝るとも劣らず、存在感を放っている猫たち。みんなに可愛がられているせいか、野良猫のわりにはのんびりとしています。 柴田さんが飼っているオッドアイ(左右の目の虹彩の色が異なる)の白猫の‘小春’。一代目の看板猫‘福’の後継猫として活躍中。お客様との程よい距離感を保ちながら、散歩したり、昼寝をしたりとマイペース。 育てる楽しさを感じてもらいたいという思いで セレクトした花苗 ショップを始めた当初は、農家に作ってもらった苗と市場の苗を同時に発売していましたが、25年経った今では、全国のこだわりの生産者から苗を取り寄せています。実際の庭づくりで品質を確かめている柴田さんが納得のいく、選ばれし植物たちです。「小さな苗から育てて、翌年また花を咲かせてくれる植物の健気さと愛らしさ。育てることの楽しさ、庭づくりの本当の魅力を知ってほしい。そんな思いを込めて販売しています」と柴田さん。 斑入りや銅葉、シルバーリーフなど、葉も楽しめる丈夫で美しい宿根草が充実。 一年草をはじめとする華やかな草花もズラリ。 庭の雰囲気を高めてくれる、本格派資材も並ぶ 柴田さんが洋書で学んだ、経年変化で味わいが生まれる本格的なアイテムを多く扱っています。「ちょっと値段は張りますが、何年も買い替える必要がないので、元が取れてしまいますよ」。これは柴田さんのこだわりの一つです。 ブーケのようなアレンジが人気! 好評の寄せ植え講習会 「フェアリーガーデン」では、「ギャザリング」という手法の寄せ植えづくりに力を入れています。この手法は、ブーケのような美しい仕上がりが特徴です。 ギャザリングづくりと講師担当は、柴田さんの娘である育美さん。講習会は、「月1回・全6回の半年コースと全12回の1年コース、1回のみの体験コース」があります。大人気なので、気になる方は早めに問い合わせを。 ギャザリングのリース。花材はいずれ庭に地植えしても楽しむことができる、丈夫な種類を多く使っています。 柴田さんイチオシの花苗はコレ! シックでおしゃれなパイナップルリリー 柴田さんがオススメするのは、赤黒い葉のシックな佇まいが魅力のパイナップルリリー‘スパークリングバーガンディー’。6月下旬~7月頃にニュアンスのあるピンクがかったクリームイエローの花を咲かせます。花期以外にも美しい葉が楽しめ、植栽にアクセントをもたらしてくれます。丈夫で育てやすいので、ぜひお試しを。 庭の植栽が美しいというだけでなく、植物や動物、命あるすべてを心から愛おしむ柴田さんの温かさがあふれるショップ、フェアリーガーデン。「この庭にいるだけで癒されて、塞ぎ気味だった気分が明るくなった」など、わざわざお礼を伝えてくださるお客様も多く、介護とショップ運営で疲れきっていた柴田さん自身も、結局は庭の植物に救われたという一人。自然体が生みだす、美しく心地よい庭を、ぜひ訪れてみてください。アクセスは、常磐自動車道那珂ICより車で約10分。JR水郡線・上菅谷駅下車徒歩5分。 【GARDEN DATA】 Fairy Garden(フェアリーガーデン) 茨城県那珂市菅谷3023−6 TEL:029−270−7177 https://ameblo.jp/fairyfairygarden/(ブログ) 営業時間:10:00~17:00(施設に準ずる場合あり) 定休日:木曜日(正月) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪8 神奈川「Buriki no Zyoro湘南T-SITE」 ・「私の庭・私の暮らし」バラ初心者が育んだ5年目の小さな庭 神奈川・Y邸 ・暑さに負けず、たくさん可愛い花が咲く夏のイチオシ一年草10種 Credit 文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/フェアリーガーデン
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ジーキル女史のデザインがよみがえった「マナーハウス、アプトン・…
現代の庭デザインに影響を与えたジーキル女史 ガートルード・ジーキル女史(1843-1932)は、英国の女性ガーデンデザイナーの先駆けとして、19世紀の終わりから20世紀前半にかけて活躍しました。もともとは優れた画家であり、工芸家でしたが、40代後半に目を悪くして細かい仕事ができなくなったことから、大好きだった庭の世界に転向し、ガーデンデザインに力を注ぐようになります。そして、生涯で400もの庭をデザインしました。特に、建築家のエドウィン・ラッチェンスと共同で行った設計は、傑作として知られています。 ジーキルは、昔から田舎家にあった、庶民の素朴な「コテージガーデン」を、より洗練されたガーデンスタイルに進化させました。そして、優れた画家ならではのセンスで、それまでになかった色彩豊かな花々の植栽を生み出し、英国の富裕層のガーデンシーンに変化をもたらしました。バラや宿根草の花々に溢れた、いわゆる「イングリッシュガーデン」のイメージは、ジーキルのデザインから発展してきたものといえるでしょう。 ジーキルは優れた書き手でもあって、ガーデンデザインについて記した著書や、寄稿記事が多く残されています。デザイン画も残っていますが、しかし、そのデザインが生きた庭の形で現存しているものは、数えるほどしかありません。 現在、ジーキルのオリジナルデザインが復元され、かつ、一般公開されている庭としては、ヘスタークーム・ハウスと、彼女の自宅だったムンステッド・ウッド、そして、今回訪れたアプトン・グレイ村のマナーハウスなどがあります。中でも、このマナーハウスの庭は、ジーキルのオリジナルデザインが忠実に再現されたものとして、彼女の世界観を体感することのできる、数少ない場所となっています。 復元への長い道のり 現在のオーナー、ウォリンガー夫妻がこのマナーハウスに移り住んだのは、1984年のことでした。当時は屋敷も庭も荒れ果てた状態で、夫妻はここにジーキルがデザインした庭があることも知りませんでした。しかし、ジャングルのように植物が茂る庭に埋もれていた構造物の基礎を発見したことから、庭について調べ始め、ジーキルのことを知ります。そして、カリフォルニア大学バークレー校に残されていた、この庭の設計図を探し出し、手に入れたのでした。 幸運なことに、ジーキルの設計した構造物の基礎は、茂みの中にそのままの形で残されていました。庭は荒れていたものの、プールやテニス用のハードコートといった構造物が新しく作られることはなく、オリジナルの構造が壊されずに済んだのです。 ウォリンガー夫妻はガーデニングの知識をほとんど持っていなかったのですが、庭の復元に心惹かれ、ジーキルのデザインを忠実に再現することを決意します。そして、設計図を手に入れると、すぐに行動を始めました。まず、オリジナルのデザイン図にない樹木や植物を取り除きました。ガーデンを囲むセイヨウイチイの生け垣を育てるための溝掘りを始め、土壌の改良にも取り組みました。そうして、ジーキルのデザインを蘇らせ、美しい庭をつくり上げていったのです。 ワイルドガーデンを抜けて屋敷へ では、マナーハウスの庭に通じる公道で車を降りて、4.5エーカー(約18,000平米)の広さのある庭に入っていきましょう。 どんな庭か、ワクワクしながら、屋敷の北西側に広がるワイルドガーデンを抜けていくと、まず見えてきたのは池のあるエリアです。 白やピンクの睡蓮が咲く池の周りには、黄花のアイリスやクリーム色の花穂が伸びるバーバスカムがあって、向こう岸では、ふわふわと綿のように茂るアスチルベが爽やかな色彩を添えていました。水中にはカナダモやキンギョモが生えていて、トンボやカエルなど、野生生物の棲みかとなっているそうです。 ワイルドガーデンの小道は芝を刈って作ってあり、踏み心地が柔らかです。小道は緩やかに曲がって先が見えないので、次はどんな景色が広がっているのだろうと、期待が高まります。 このワイルドガーデンには、ワイルドフラワーやさまざまなバラが咲き、クルミの小さな林もありますが、これらの植栽はすべて、ジーキルの設計図から正確に復元されています。復元の精度を高めるために、庭を3×3mの格子状に仕切って、デザイン図に忠実に植栽し直したそうです。 開けた場所に出ると、目の前に、個性的なファサードを持つ屋敷が現れました。レンガ造りの門柱や塀の風合いに、長い時間の経過を感じます。 1908年、庭の設計をジーキルに依頼したのは、当時このマナーハウスを所有していた、チャールズ・ホームでした。彼はThe Studioという美術雑誌を立ち上げた編集者で、美術評論家であり、彼の雑誌はアールヌーボーやアーツ・アンド・クラフツ運動の発展に影響を与えました。 ホームが地所を購入したのは1902年のこと。屋敷は傷みがひどかったので、地元の建築家アーネスト・ニュートンに、古い部分を残しつつ改築するよう依頼しました。この屋敷には今も、16世紀頃に作られたオリジナルの屋根の梁や階段が保存されています。 さて、入り口に向かって緩やかに傾斜する半円形の草階段(これもジーキルによるデザイン)を下りて門をくぐり、左手の脇道から屋敷の向こう側へと向かいます。 屋敷の反対側に到着。乱張りの石畳のテラスでは、ピオニーが花盛りです。 パラソルを広げたテーブルには、たくさんのティーカップがスタンバイしていました。オーナーのロサムンド・ウォリンガーさんがマップつきの小冊子を皆に渡しながら、庭を復元したことを手短に話してくださいました。 「さあ、お庭を見てきて。私たちはお茶の準備をしておくわ」という彼女の言葉で、庭散策がスタート。石畳のテラスから、眼下に広がる庭に降りてみましょう。 屋敷前に広がるフォーマルガーデン 庭は白亜質の土壌を持つ斜面に作られていて、屋敷の南西側にある石畳のテラスから一段低くなったところに、メインとなるフォーマルガーデン(整形式庭園)が広がっています。手前に、花々の咲くローズ・ローン(バラの芝生)のエリアがあって、その奥のさらに下がった場所に、ボウリング用とテニス用という、2つの芝生のエリアがあります。 フォーマルガーデンは、ジーキルが好んでよく用いたという、セイヨウイチイの生け垣にぐるりと囲まれています。ジーキルはこの生け垣に、植物を守る壁としての役割と、花の色彩を際立たせる背景としての役割を持たせました。庭のレイアウトは、直線だけを使った、幾何学的なものになっています。 屋敷前のテラスから見えた景色をまずは確かめたくて、フォーマルガーデンの東側にある、ゆるやかな石畳の階段を降りていきました。左右の緑は、視線を遮るほど茂っています。日差しも遮られて、少しひんやりした空気を心地よく感じます。 ボウリングとテニス用の芝生 階段を降り切ると、広い芝生のスペースに到着しました。ボウリング・ローン(ボウリング用の芝生)です。左手には屋敷、右手にはテニス・ローン(テニス用の芝生)と呼ばれるテニスコートがあります。 そのテニス・ローンはこちら。芝生を囲むセイヨウイチイの生け垣は、背丈を越すほどの高さです。ガーデンの南の一辺、写真中央の奥に見える暗がりに、つるバラが覆うアーバー(あずまや)がありました。このアーバーは、バラが花盛りを迎える盛夏になると、一面の緑に白花が浮かび上がって、美しいフォーカル・ポイントになります。この時は、まだ花が少ないですね。 アーバーを覆っているのは、‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’、‘アメリカン・ピラー’、‘キフツゲート’などのつるバラです。構造物の天井が見えないほどよく茂っていて、中のベンチに座ると空気がひんやりしていました。日も遮られ、テニス観戦にうってつけのベンチです。 アーバーから屋敷を見ると、屋敷、ローズ・ローン、ボウリング・ローンと階段状に下がっていて、テニス・ローンはそれからさらに低い位置にあることが分かります。 ローズ・ローンの縁に植わる草花が、数段下がったボウリング・ローンへと、こぼれ落ちるように茂っています。ボウリング・ローンから見ると、この高低差が「低い位置から花の姿を観賞する」という、珍しいシチュエーションを生み出しています。これはもしかしたら、ジーキルの意図したことなのかも? と、自分の発見に思わず嬉しくなる瞬間です。 ローズ・ローンのエリアは、自然石を積み重ねた石塀で囲まれているのですが、調べてみると、ジーキルはこれらの石塀が「垂直の花壇」となるようにデザインしたことが分かりました。石塀の、石と石の隙間には、こんなふうに植物が植え込まれています。これらの植物や、上から垂れ下がってきた植物によって、「垂直の花壇」が形作られているというわけです。 これはつまり、壁面緑化に似た発想。今でこそ、壁面緑化は一般的になっていますが、今から100年余りも前に、ジーキルがすでにその概念を形にしていたことに驚きます。 コテージガーデンスタイルの、ジーキルらしい宿根草花壇。花のない時期も構造的な面白みを持たせるため、ここではローズマリーやラベンダー、オレアレアなど、立体感のある植物を混ぜてあります。 では、石階段を上がって、上のローズ・ローンに行ってみましょう。上りながらも、階段のステップや、左右の何気ない植物の姿に目を引かれて、なかなか前に進めません。段差の小さな、ゆるやかな階段はジーキルの特徴的なデザインで、他の庭でも用いられています。 花々の競演にうっとり ローズ・ローン 屋敷前のテラスから見えていた、花々が咲き競うローズ・ローンのエリアに到着。ここも芝生が美しく手入れされています。みずみずしい緑に浮かび上がるように、パステルカラーのピオニーなどが花盛りです。 屋敷のちょうど中央の位置には、アーチ状のトンネルのようなパーゴラがあって、つるバラ、アリストロキア、ジャスミン、そして、秋に美しい紅葉を見せるバージニアヅタと、さまざまなつる性植物が伝っています。バリエーションに富んだ、長い期間花を楽しめる植栽です。 このパーゴラからは、先ほどいたテニス・ローンのつるバラのアーバーが正面に見え、2つの構造物は、呼応するように設置されています。 訪れた6月上旬は、ピオニーが花盛り。八重咲きのピオニーが無数に咲く豪華なシーンにうっとりします。 ピオニーの間には、咲き進んだバラとつぼみを膨らませたユリが。下草のラムズイヤーも銀色の花穂を伸ばしています。豪華な色と香りのコンビネーションを見せる、ジーキルの植栽デザインです。 ピオニーが囲む花壇の中央には、四角く自然石が囲む花壇がありました。中では、ユリがつぼみをつけ、銅色のカンナの葉が伸び始めています。バラとピオニーの季節が終わると、ユリの庭へとバトンタッチするのですね。では、次のエリアへ。 キッチンガーデンや果樹園へ 次は屋敷の西側を散策します。屋敷のすぐ近くにはガラスの温室がありました。 温室の裏手のデッドスペースになりがちな場所にもたくさんの草花が咲いていました。 仙人草のようなクレマチスが手前に白花を咲かせ、奥には、こぼれダネから育ったのか、デルフィニウムやジギタリスなどが混ざり咲いて、とってもナチュラル。 温室と並んで、さらに西側にコテージがあり、つるバラが満開。白花が明るい印象です。 コテージの前にはベンチが置かれ、そこに座ると、前方に鶏小屋の広いスペースが見えました。 フェンスに囲まれた中には、三角形の小屋がいくつも並んでいます。何家族が棲んでいるのでしょうか? 近づいてみると、お母さんの後ろについて歩く雛たちの様子が微笑ましい。 鶏小屋に隣接して、南方向に細長くキッチンガーデンが広がっていました。竹のオベリスクの足元には、若いスイートピーが育っています。ここでは、ハーブや野菜、フルーツなどを栽培。それから、フォーマルガーデンの植栽に差し替えが必要になった時のために、ガーデンで使っている植物の苗も育てているそうです。 丈高くデルフィニウムが伸び、ゲラニウムやカンパニュラなど、イングリッシュガーデンでお馴染みの初夏の宿根草がたっぷりと茂ります。間にネギの仲間のチャイブのような丸い花も覗いて、彩りを加えています。ラベンダーがそろそろ咲きそうで、アーティチョークも植わっていました。 広いキッチンガーデンを抜けると、リンゴの古木がランダムに並ぶ果樹園に出ました。足元の草がふわふわと茂ります。歩くスペースだけ刈り取って、小道を作っています。 苔むした古木に近づくと、ちゃんとリンゴが実って、膨らみ始めていました。 果樹園を一周すると、キッチンガーデンエリアと果樹園を区切る細い通路がありました。道の左右には、つるバラが絡まるガーランド(花綱飾り)があって、足元には紫のゲラニウムがたくさん咲いています。そして、セイヨウイチイの壁の奥へと進んでいくと、再びテニス・ローンに出ました。 キッチンガーデンも果樹園も、すべてがジーキルの設計図通りに忠実に復元されているそうです。ジーキルの時代に庭に生えていた植物で今も生き残っているものは、数えるほどしかなく、ワイルドガーデンにあるクルミの林と竹の茂み、ラッパズイセンだけです。しかし、ジーキルが用いた植物のほとんどは、現在の英国のナーセリーでも容易に見つかります。そのため、復元はさほど困難なく、正確に行うことができたそうです。 さあ、そろそろお茶が用意できたようです。屋敷前のテラスへ戻りましょう。 テラスのすぐそばにある、ゲストも自由に行き来できる部屋の中には、庭を復元する過程で撮られた写真や図版、植物のリストなどが掲示されていました。 庭の復元の過程は、オーナーのロサムンドさんの手によって、イギリスで書籍化されています(“Gertrude Jekyll's Lost Garden, The Restoration of an Edwardian Masterpiece” by Rosamund Wallinger)。敷地のすべてを当初の形に復元するには、相当のエネルギーと熱意が必要だったことでしょう。そして、その庭を今なお美しい姿で維持し続けているオーナー夫妻の苦労と志に感動する、ガーデン訪問でした。 併せて読みたい ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。イギリス以上にイギリスを感じる庭 山梨・神谷邸 ・現在のイングリッシュガーデンのイメージを作った庭「ヘスタークーム」【世界のガーデンを探る19】 ・イングリッシュガーデン旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現
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花の庭巡りならここ! バラ園と和風庭園ともに楽しめる「エコパーク水俣」
2019年にバラ園がリニューアル 若木が年々成長する姿が楽しみ! 2007年にグランドオープンした「エコパーク水俣」。正式名称は「水俣広域公園」といいますが、愛称のほうが広く知れ渡っており、この呼び名で親しまれています。広さは41.8ヘクタールを誇り、市民の憩いの場として整備された公園です。園内は「海のゾーン」「街のゾーン」「里のゾーン」「山のゾーン」の4つに区分けされ、野球場やテニスコートなどさまざまなスポーツ&レジャー施設、環境保全を学ぶための施設などが集約。そんな中、ここで注目したいのは「里のゾーン」のバラ園と「山のゾーン」の竹林園です。 バラ園の広さは約1,300㎡、大人の足でゆっくり歩いて約20分で周遊できます。850種、5,000株のバラを植栽しており、年間10万人が訪れる人気のスポットです。フランスやイギリスの庭園を参考に、バラを仕立てたガゼボやパーゴラ、アーチをつないだトンネルなどを随所に配し、立体的で奥行きのある風景をつくり出しています。なかでも高さ5m、幅40mのバラの宮殿(鉄製ガゼボ)は、フォーカルポイントとして一番の見どころです。 また、バラは「オールドローズ」「モダンローズ」「イングリッシュローズ」「フレンチローズ」「クライミングローズ(つるバラ)」と、コーナーごとにテーマを持たせて植栽。色別に分けたコーナーもあり、それぞれ白、ピンク、赤のみでまとめた植栽は、いかにバラの品種が多彩かを教えてくれます。「誰もが圧倒される、バラによる色の洪水を目指しています」と話すのは、管理事務所の前田宜重さん。2019年春は、さらに充実させるべくリニューアルオープンしたばかりです。新たに迎えた若木が毎年大きくなり、さらに見応えをアップさせながら進化していく姿を見せてくれることでしょう。 バラ園のすぐ近くには竹林園があり、国内はもちろん海外から集められた竹が165種も植栽されています。竹は古くから庭園の垣根などに利用されてきたほか、食用や工芸品、日用品として日本人の生活に欠かせない植物でした。竹の持つ生命力やみずみずしさに、水俣病と戦ってきた地域の想いを重ね、「環境再生のシンボル」として竹林園を整備。かすかな風にもサラサラと揺れる笹の葉が清々しい、自然と調和する和風庭園で癒しのひとときを過ごしましょう。 「エコパーク水俣」には、バラ園や竹林園以外にも、桜、ツツジ、花菖蒲、ラベンダー、アジサイなどの名所があり、いつ訪れても自然豊かな景色が広がっています。園内への飲食物の持ち込みはOKなので、天候に恵まれた日には、随所に設けられているベンチで、ランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。また、園内へのペットの同伴が許可されています。ただし、リードをつけて、ペットの落とし物の後始末はきちんと処理するなど、マナーを守りましょう。 煙るように咲く豊かなバラの姿にうっとり 感動のため息をもらしつつ、歩みも軽やかに バラの見頃は、4月下旬〜5月下旬。写真は、高さ2.5m、長さ200mにもわたって展開される、バラの壁です。この壁を彩るのは、シュラブローズの‘アンジェラ’。等間隔に支柱を立ててロープを張った簡易な境界線を、たわわに咲くことで定評のある‘アンジェラ’が埋め尽くすように咲く姿は圧巻です。 この仕立て方は、自庭で咲くつるバラにも応用できそうですね。小径にはカーブがついているので視界が遮られ、さらにその先へ続く景色への期待感が高まり、歩みを誘います。 池に色とりどりのバラの花を浮かべた、記念のフォトスポット。ベンチに座ると、カメラの画角(28mm)にちょうどよく収まるように設計されています。手前に掲げている「MOYAI ROSE」の「もやい」とは、「舫い」のこと。「船を綱で結びとめる」または「船と船をつないで共同で漁をする」という意味があり、ひいては「手をとりあって絆を深めよう」という意思を表現しています。この地域では、水俣病事件で分断された地域や社会、自然との関わりを再びつなぎ直す願いを込めた「もやい直し」活動が行われており、バラ園もその一助となるべくつくられたものです。実際、バラ園の植栽は障がいをもった方々が中心となって手がけたもので、地域の交流の場となっています。 縦の空間を生かした立体的な演出として、庭園の数カ所にバラのアーチが設けられています。アーチの幅は2.3m、高さは2.1mで、20本のアーチが続くバラのトンネル。左右から、つるバラの‘ミネハハ’、‘ギーサヴォア’、‘ペッシュボンボン’などを仕立てています。煙るように咲くバラの生命力に、大きな感動を味わえるはずです。 アーチに仕立てられている、つるバラの‘ミネハハ’。1904年にアメリカで生まれた品種で、樹勢も病害虫への耐性も強いことで知られています。大変花つきがよく、小ぶりのピンクの花が枝葉を覆うように爛漫と咲く姿が見事。樹高は約3mで、アーチを彩るのにぴったりのバラです。 これはバラ園の航空写真です。大小2つのサークルが作られ、エリアごとにテーマをもたせてバラが植栽されています。どこからでも自由に回遊できる動線が整備され、さまざまな角度から見学できます。大きなサークルの方は、なんだかバラが開花した姿をモチーフにしているように見えますね。 静謐な雰囲気に包まれる和風庭園では 木々の葉擦れの音に癒されるひとときを 「エコパーク水俣」園内の「山のゾーン」には、伝統的な侘び寂びを感じる日本庭園「竹林園」があります。竹や笹をコレクションする庭園は珍しく、国内外から集められた竹・笹を165種も植栽。風に揺られてささめく葉音から、ヒーリング効果も得られそうです。広い池を渡るための飛び石も置かれ、優雅に泳ぐ鯉の姿を間近に見られます。栄華を誇る大名屋敷の庭園を訪れるような、贅沢なひとときを楽しみましょう。 バラ園に隣接する道の駅では特産品が目白押し バイキングレストランでは旬の味を楽しんで 敷地内には、「道の駅みなまた みなまた観光物産館まつぼっくり」があります。営業時間は9:00〜17:00(12月30日は〜16:00、1月3・4日は10:00〜16:00)、休業日は月曜、12月31日です。地元の特産品やお菓子が数多く揃うので、お土産にどうぞ。 またレストランも併設しています。「ご飯処 たけんこ」の営業時間は11:00〜14:30、定休日は第3月曜日です。バイキング形式で大人1,100円、子ども600円。そば、ちゃんぽん、ピザなどのメインを選び、さらにバイキングで副菜のサラダ、お惣菜、煮物、デザート、ドリンクを自由にサーブできます。
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イギリス式花の植え方【世界のガーデンを探る21】
イギリスの庭&花壇デザインのスタイルの源流とは 前回までは、イタリアやフランスなど、ヨーロッパ大陸の花の植え方を比較して解説してきましたが、今回は、ドーバー海峡を渡ったイギリスにおける花の植え方の話です。 イギリスの花の植え方に関して、圧倒的な影響力を今に与えているのは、以前に解説した、ガートルード・ジーキル(Gertrude Jekyll)女史です。彼女の植え方の特徴である「いろいろな植物を小さな区画ごとに植えていく手法」は、そのまま現代のイギリス庭園に取り入れられています。それは個人庭のみならず、チェルシーフラワーショーのようなショーガーデンの分野にまで色濃く影響しています。 イギリス式の宿根草ボーダーとは 写真は典型的なイギリス式の宿根草ボーダーの植栽です。植物を冬の寒い北風(ゲール)から守るために、2〜2.5mほどの高さのレンガのウォールで囲んだ空間に、ウォールの高さとほぼ同じ幅の植栽帯を設け、そこに3〜5列ほどの宿根草がパッチ状(品種ごとに数株集めてパッチワークのように配置すること)に植えられています。ジーキル女史は、自著の中で「ボーダーの幅とウォールの高さは同じがよい」と言っています。確かにウォールが高いと圧迫感があり、ボーダーの幅が広いと締まりがなく見えるような感じがします。 また彼女が始めたパッチ状の植物の植え方は、イギリスの多くの庭園のボーダー植栽に普遍的に見ることができます。多くは幅1〜2m、奥行0.5〜1mに、1種類の宿根草や低木などが植えられ、ボーダーの手前から草丈0.2〜0.5mのグラウンドカバー植物が、次に草丈0.3〜1.5m程度の宿根草が2〜3種類植えられ、そして一番奥のウォールに沿って、草丈1.2〜1.8m程度の宿根草や低木類が植えられていることが多いです。庭の一番奥には、視線を集めるアイストップとして、イギリス独特の色に塗られた規格外サイズの大きなベンチが置かれ、敷地全体の奥行きと安定感を演出しています。このようにベンチを置くことで、訪れる人を庭の一番奥まで誘う効果があります。 壁に向かってさまざまな植物がきれいなエレベーション(高低差)を作っています。一見、無秩序に混植されているようにも見えますが、以前ご紹介したフランスの花壇(写真下)ほどの混植ではなく、各種類がグループになるように植えられています。 イギリスの花壇では、葉の色やテクスチャーもとても大事にされていて、例えば、シルバーリーフのアーテイチョークやノコギリソウなどが、花の咲いていない時期でも存在感を発揮しています。さらには赤系のヒューケラ、スカビオーサ、エゾミソハギやブッドレア、ピンク花のゼラニウム、カンパニュラやカクトラノオやシモツケソウ、それにセージなどが植えられています。ちょっと茂りすぎているようにも感じられますが、ノコギリソウの黄花が引き締め役をうまく演じています。 イギリスの公園の花壇植栽 では、いくつかのイギリスのガーデンから花壇植栽の例を見ていきましょう。まずは「ハンプトンコート」の花壇です。こちらは、淡い黄花のマーガレットが一面に植わり、その間にカンナの赤い縞模様の葉が点々と飛び出て、白のマリーゴールドが花壇をぐるりと取り囲んでいます。イギリスの花壇のつくりかたは、前回ご紹介したフランスとはまったく違うテイストです。 淡いオレンジ色のルドベキアが全面に植えられ、花壇の中央付近にフランスでも使われていた銅葉のヒマが丈高くアクセントになっています。そして、その周囲を斑入りのセージが縁取っています。日本の花壇植栽に似ている部分もありますが、フランスの植え方に比べると、イギリスの花壇は立体感があります。 「ボーダー花壇」のバリエーション イギリスで時々見られる「赤のボーダー花壇」です。赤花が咲く植物と、赤系の葉が茂る植物を混ぜ合わせて植えています。中ほどの赤い葉はニューサイランです。その奥に銅葉のコルディリネ・オーストラリス‘アトロプルプレア’がポツンと立っています。赤い花は手前からバラ、ダリア、ヘメロカリスなどです。 ここでも、ヒューケラ、数種類のダリア、クロコスミア、奥にはカンナの赤い葉も見え隠れしています。そして、薄黄色のヘメロカリスが全体を引き締めています。黄色の単色は、自己主張が強すぎて、なかなかうまく他の植物の花の色と混じりにくいものですが、写真でご覧のように、淡い黄色ならば他の植物ともうまく調和します。 宿根草や低木の前に、主に一年草が植え込まれているボーダー花壇です。ここでもやはりジーキル女史の手法に則り、パッチワーク状にさまざまな植物が植えられています。園路と花壇の間に、きれいに生え揃った帯状の芝生の緑があることで、バラバラになってしまいそうな多様な花の彩りを引き締めています。 個性的なガーデンデザインとしてあまりにも有名な「シシング・ハースト」のホワイトガーデンです。アーティチョーク、シャスターデージー、フロックスなど、銀葉やホワイトリーフ、白い花が咲く植物だけが集められています。これらの多くの植物が、日本では馴染みの少ない背の高くなる宿根草や低木類で構成されています。 グリーンの鞠のような丸い花を咲かせるアナベルと、細長い花穂を丈高く伸ばすクガイソウ(ベロニカ)の仲間。丸と線を組み合わせるという、見事なまでのコンビネーション。 夏のボーダー花壇の様子です。写真のように、どの植物も生き生きと茂っている様子からも、この土地と気候に合った植物の選択ができる知識と経験、それに加えて愛情までも伝わってくるボーダー花壇です。エゴポディウム、ゲラニウム、スカビオサ、そのほかいろいろな灌木や宿根草などが所狭しと植えられています。ボーダーのボリュームに対して園路の芝生の幅が十分でないため、印象が少し重く感じられますが、この庭らしい雰囲気を醸し出しています。 オーナメントグラスを上手に取り入れた植栽例です。とかくオーナメントグラスを使うと「草原」のようになりがちですが、このガーデンではその印象がありません。それは、赤みがかったグラスの穂に対して、株元に植えている植物も赤系を取り入れているため。奥に見えるイチイのトピアリーが、見事なまでにきっちり刈り込まれていることから、訪れた人にステップを上がってさらに先のエリアへ向かいたいという期待感を持たせてくれます。 このようにイギリスの花壇植栽は、フランスやイタリアとは大きく異なっています。ジーキル女史登場以降、フランスから受け継いだフォーマルな庭園様式をイギリス人らしくアレンジし、一つの文化として創造したことは、イギリス人の高い文化意識の表れではないでしょうか? 次回は「チェルシーフラワーショウ」を中心に、現代のイギリス式植栽方法をご紹介したいと思います。 併せて読みたい ・英国の名園巡り メッセル家の愛した四季の庭「ナイマンズ」 ・英国の名園巡り、プランツマンの情熱が生んだ名園「ヒドコート」 ・ガーデナー憧れの地「シシングハースト・カースル・ガーデン」誕生の物語
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イングリッシュガーデン旅案内【英国】バラエティーに富んだテーマガーデンをめぐる「コンプトン・エーカ…
庭づくりの夢を実現した実業家 イギリス南部のドーセット州にある「コンプトン・エーカーズ」の庭は、1920年代に、トーマス・シンプソンという地元の実業家によってつくられました。シンプソンの夢は、植物への興味を追求しながら、訪れた海外の国々を思い出す庭を、自らデザインしてつくるというもの。彼は、庭師と二人三脚でその夢を実現し、独特なデザインによる自慢の庭を一般に公開しました。 第二次世界大戦後は所有者が何度か変わり、庭園も戦争で荒れましたが、再び美しく復元されました。現在は、おしゃれなカフェやショップが併設され、結婚式場としても使われています。 訪れたのは、まだ肌寒い4月。庭めぐりの最初、入口の花壇で、淡い黄色のプリムラが出迎えてくれました。プリムラはイギリスの春を告げる花。絵本『のばらの村のものがたり』に描かれているのと同じ愛らしい花姿を目にして、なんだか嬉しくなります。 3つのイタリア風庭園 さて、庭めぐりは、円形の小さな「ローマン・コートヤード・ガーデン」から始まります。中心に据えられたロマネスク様式の小さな噴水を、ツゲの低い生け垣が丸く囲む、シンプルで静かな庭です。奥のアイアンロートの扉の向こうは、「グロット」と呼ばれる、洞窟を模した構造物になっていて、次の庭へとつながるトンネルのようになっています。グロットの暗がりを抜けると… 広々とした整形式庭園、「グランド・イタリアン・ガーデン」に出ました。グランドと銘打っているだけあって、壮麗な雰囲気。中央に運河のような細長い池が伸びています。 奥の、フォーカルポイントとなるドーム状のテンプルには、豊穣と酒の神バッカスの石像が立っていて、エレガントな雰囲気です。十字架形の池の中心には噴水が据えられ、スイレンも浮かびます。 池の脇に並ぶのは、端整に刈り込まれたセイヨウイチイのトピアリー。その後ろには、クレマチスの絡まる花綱が渡された石柱が並んでいます。夏になれば花綱からクレマチスが美しく垂れ下がり、涼しげな水音も響いて、ずいぶん印象の違う庭になるのでしょう。 「イタリアン・ヴィラ」と呼ばれる後ろの建物は結婚式場として使われていて、訪れた時も披露宴が行われていました(ウェディングケーキが見えています)。イギリスでは結婚式のできる観光ガーデンも多いのですが、花々に囲まれた美しい庭で挙げる結婚式は、きっと思い出深いものになりますね。 整形式庭園に色彩を添える花壇の植栽は、季節ごとに変えられるそうです。この時は背の低いプリムラやデイジーの間から、いろいろな姿のチューリップが花首を伸ばす、明るい色調の植栽。花の合わせ方が、日本とはまた感覚が違っていて面白いですね。 歩を進めると、隣には「パーム・コート」と呼ばれる、大小のシュロをセンターピースに据えた整形式庭園がありました。中央に伸びる花壇が、先ほどの細長い池と呼応するようなデザインです。背の高いシュロと、低いチャボトウジュロの植わる南国風の植栽は、英国の中でも温暖なこの地方だから可能なものです。株元に色を添える花々の植栽は季節によって変わり、夏には真っ赤な花が使われることも。情熱的な赤がアクセントに入ると、ずいぶん雰囲気が変わるでしょう。 それにしても、シュロを使った整形式庭園というのは、初めて目にしました。 自然を楽しむウディッド・バレー 周遊ルートの小道を進んでいくと、次は整形式庭園とは対照的な、自然の森を散歩するような「森の谷(ウディッド・バレー)」がありました。ウッドランド・ガーデンとは、ありのままの自然のような植栽を楽しむ庭のことで、この谷はそのスタイルでデザインされています。すべて意図的に植栽されているのですが、人為的なものを極力感じさせず、森のように見せるところがミソ。 ヨーロッパアカマツに守られて、セイヨウシャクナゲやツバキ、日陰を好む植物が植えられています。うねうねと曲がりながら小道が続く谷は、春はセイヨウシャクナゲのカラフルな花に彩られます。 谷には小さな滝があって、小川が流れ、小さな池もあります。樹木の天蓋が途切れ、陽光が差し込む開けた場所では、紫のフリチラリアや淡い黄色のプリムラ、ラッパスイセンなどが咲いて、春の野原のような植栽です。ガーデン写真で何度も目にしてきたフリチラリアを、実際に目にすることができて、感動のひととき。 森の谷の端には、子どもの遊び場のエリアと、小動物や蝶、昆虫、野鳥といった野生生物に良い環境を与えることを目的とした、ワイルドライフ・サンクチュアリもあります。私が訪ねた時も、英国で人気の小鳥、ロビンがちょうど遊びに来ていました。 野趣に富むロック&ウォーター・ガーデン さて、次は何が待っているだろうか、と歩を進めると、今度は岩と水の庭がありました。高低差のある岩場に高山性の植物を植えるロックガーデンは、19世紀後半に流行したスタイルです。この庭をつくるのに、他所からたくさんの岩が運び込まれたそうです。 英国で最大規模のロックガーデンと考えられていて、アルカリ性の灰色の石灰岩のエリアと、酸性の赤い砂岩のエリアに分かれています。 庭のところどころに、岩を組んだ小さな滝や、洞窟風の構造があって、中央の池に水が流れ込むようなデザインに。 ここには、スギやブナなどの樹木から、カエデやサクラ、セイヨウネズなど、300種を超える植物が植えられているとか。シンプソンはきっと、この庭で植物蒐集を楽しんだのでしょう。 周遊ルートにある、ひと休みできるカフェの前には、カラフルな植栽の花壇がありました。 チューリップやプリムラ、アネモネ、ワスレナグサなどの春の草花で、楽しいマルチカラーの植栽に。 ピンクに染まるエリカの谷 さて、次はどんな庭が待っているだろうと、小道を下っていくと…、現れたのはエリカの谷、「ヘザー・ガーデン」です。春の花盛りを迎えたエリカに埋め尽くされた景色に、思わず胸がときめきます。南西を向いた斜面はかなり斜度がありますが、斜面をうまく活用すると、こんなドラマチックな景色を生み出せるのか、と感心。シンプソンの頃には、「砂漠の庭(デザート・ガーデン)」だったそうですが、オーナーが変わった1950年代にヘザー・ガーデンとなりました。 日本だったら、さしずめ、エリカの代わりにツツジが植わって、ツツジ園となっているような形態の庭でしょうか。エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』にある通り、エリカは荒れ野に咲くイメージで、どちらかというと地味な存在。こんな素敵な庭景色をつくる素材になるとは知らず、新しい発見です。 調べてみると、ヘザー・ガーデンというカテゴリーの庭は意外と存在するようで、英国王立園芸協会の庭園、「ハーロウ・カー」にも、このような色とりどりのエリカが集められたコーナーがあります。日本でも、札幌の「百合が原公園」にヘザー・ガーデンがあるようです。ヨーロッパ原産のエリカは高温多湿の環境が苦手なので、冷涼な夏の札幌ならではの庭といえるでしょう。それにしても、コンプトン・エーカーズほどの広さを持つヘザー・ガーデンは珍しいようです。 一度下った谷を再び登っていくと、男女の銅像が置かれた石敷きのテラスに出ました。銅像は、詩人と百姓を表したものだそうですが、身分違いの恋を想像させるようなシーンなのでしょうか。ロマンチックな雰囲気のガーデン・オーナメントは個人的にあまり好みではないのですが、楚々としたエリカに囲まれた2つの銅像は、なかなか素敵です。 エリカの谷には、アクセントとして、つやつやした明るい黄緑の葉を持つ灌木や、レモン色の花を咲かせるアカシア・プラビッシマ、同じく黄色い花を咲かせるソフォラ・ミクロフィラ‘サン・キング’などの潅木が植わっています。エリカの紫やピンクの花色に、反対色となる黄や黄緑が映えて、互いを引き立て合う関係です。大きな常緑の樹木などもあって、高さにも変化を持たせた植栽となっていました。 静けさただよう日本庭園 周遊ルートを歩いていくと、今度は黄金色の竹がそびえるエリアに出ました。足元に咲くのは白いラッパスイセン。それぞれに馴染みのある植物ですが、この組み合わせはなかなか目にすることがないような。 アジアンな雰囲気になってきたぞ…と思ったら、日本庭園がありました。茅吹き屋根の門から入ります。 ちょうどツツジやシャクナゲが咲き始める頃合いでした。石灯籠もあって、なかなか立派な日本庭園です。英国ではいくつか有名な日本庭園がありますが、この庭がつくられた1920年代には、本格的なものはそう多くありませんでした。シンプソンは、ヨーロッパでも数少ない「本格的な日本庭園」を名乗るために、設計も造園も日本の業者に依頼し、東屋や石塔、石灯篭などは日本から輸入したそうです。 シャクナゲやツバキなどの植栽の間から飛び石のある池が覗く、絵になる景色。奥の滝からは水が流れ込んでいます。日本にいるようなホッとした気分になりますが、かつて日本を訪れたであろうシンプソンも、きっと異世界のようなこの庭を楽しんだのでしょう。 八重桜とモミジの取り合わせ。池には鯉も泳いでいます。近年、盆栽とともに、日本庭園が再び人気となり、英国では1993年に「ジャパン・ガーデン・ソサエティ」が誕生、2011年には慈善団体として登録されています。今後、海外から日本への観光客が増えるにしたがって、日本庭園の海外進出も一層進みそうですね。 コンプトン・エーカーズでは、いわゆるイングリッシュガーデンとは少し異なる雰囲気の、さまざまなスタイルの庭を見ることができました。英国のガーデンカルチャーは本当に奥深いものですね。 併せて読みたい ・ロンドンの公園歩き 春のケンジントン・ガーデンズ編 ・イギリス流の見せ方いろいろ! みんな大好き、チューリップで春を楽しもう ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア
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神奈川県

花の庭巡りならここ! 花と野菜の魅力を満喫できる「花菜ガーデン」
フラワー&アグリカルチャーに親しむスポット 品種改良の歴史を学べるバラ園は必見! 2010年3月にオープンした「花菜ガーデン」。実は正式名称を「神奈川県立花と緑のふれあいセンター」といいますが、一般公募でつけられた愛称のほうが浸透し、親しまれています。花と野菜から取り、神奈川県の「かな」をふり仮名にして「花菜(かな)ガーデン」と名づけられました。 園内は、季節の花木や草花が楽しめる「フラワーゾーン」、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験ができる「アグリゾーン」、農業や園芸に関する知識を深める施設「めぐみの研究棟ゾーン」の3つに分かれています。 特に「フラワーゾーン」内のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラ専門家の河合伸志さんプロデュースによる、バラの品種改良の歴史が一目で分かる植栽が見どころです。約1,300種が揃うこのバラ園を目当てに訪れる愛好家も多く、春(5月〜6月上旬)と秋(10月〜11月上旬)にはローズフェスティバルが開催され、大賑わい。「バラがとてもきれいで、敷地が広く充実したひとときでした。再度来園したい」という声が多く寄せられています。 「花菜ガーデン」が理想とする園芸家に、カレル・チャペックがいます。エッセイ『園芸家12カ月』は、約90年経った今も世界のガーデナーがバイブルにする書物です。そのライフスタイルに共鳴し、「花菜ガーデン」でもプラスアグリ(農業)をコンセプトに掲げ、今も残る彼の家と庭のイメージを「チャペックの家と庭」として展示。また、体験学習として、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験のほか、ハンギングバスケットづくりや苔玉づくりなど、さまざまな体験型プログラムも実施しています。 キッズビレッジ、キッズファームでは、あえて小型化したアーチやトンネルで子ども目線の異空間の入り口を演出するなど、エリアごとに工夫を凝らしたガーデン演出が楽しく、見応えがあります。「子どもも大人も楽しめる施設になっていると思いました」との感想も聞かれ、花と野菜の魅力をいっそう引き出す展示が、「花菜ガーデン」の魅力です。 エリアごとの華やかなガーデンは眼福! 田植えや野菜の収穫など体験型アグリも開催 写真は「球根ミックス花壇」で、チューリップやアネモネ、スイセン、ヒヤシンスなど62品種、約11万球を植栽。華やかな球根植物たちの競演は、見応えがあります。チューリップは3月下旬〜4月中旬が見頃。配色や植栽のデザインは年によって変わるので、毎春の楽しみとしてリピーターが多く訪れます。 また、2019年は11月中旬〜12月上旬にもアイスチューリップの開花が見られる予定。開花調整されたアイスチューリップは開花期間が長いのも魅力です。 写真は三日月山パノラマ大花壇の5月上旬の様子。ポピーやコーンフラワー、カリフォルニアデージーなどを、ワイルドフラワーのようにバランスよくミックスした花畑を作っています。年に2回の植え替えを行っており、2019年8〜10月は5色のニチニチソウで彩られる予定。植栽は毎年変更され、180度パノラマの迫力たっぷりの花壇は、写真映えする人気のスポットです。 写真は「アグリゾーン」にある「触れん土ファーム」での収穫体験の様子です。他に「花菜ガルテン」や「キッズファーム」「温室」でも収穫体験(有料・持ち帰り可)を実施。内容や時間は、農作物の生育具合やコンディションに合わせて、当日の朝、公式ホームページ上で発表されます。当日の入園窓口にて申し込む先着順で、定員になり次第締め切り。食育の場としても楽しめそうですね。 河合伸志さんプロデュースによる バラ園では品種改良の歴史が学べる 「花菜ガーデン」のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラの品種改良の歴史に沿って系統・分類ごとに展示している「バラの歴史園」です。大きくは野生種からオールドローズ、そしてモダンローズの順に植栽され、時代の流れとともに次々に華やかな花姿が誕生していった経緯を学ぶことができます。そこで、バラがたどってきた今日までの道のりを、車が通った両輪の跡、轍にたとえて「薔薇の轍」と名づけられました。 写真はオールドローズのコーナー。 リージャンロード・クライマー、ロサ・ダマスケナ・トリギンティペテラ、パークス・イエロー・ティーセンティッド・チャイナなどが見られます。 写真はモダンローズのコーナー。芳醇な香りを放つ‘薫乃’、病害虫に強く修景バラとして活躍する‘ノックアウト’、「世界バラ会連合」にて名花として最初の殿堂入りを果たした‘ピース’などが見られます。 香りのバラのコーナーでは、香りを強く放つ品種群を植栽しています。写真手前のピンクのバラが‘エル’、奥に見えるのが‘香貴’、‘快挙’など。バラは咲きたてほどよく香るので、午前中早めに訪れるのがオススメ。香り比べをして、それぞれのバラの魅力を満喫するのもいいですね。 写真のバラの名前は‘花菜ローズ’。花菜ガーデンのバラ園を設計・監修した河合伸志さんが育種したバラで、オープンの記念に贈られました。ニュアンスのあるアプリコット色と芳しい香りが魅力で、シンボルローズになっています。 2019年春のローズフェスティバルでは、普段は販売していないバラ苗を集めた「ローズマーケット」、詳しい解説を聞きながら巡る「バラ園ガイドツアー」、バラの専門家の解説が聞ける「プロに学ぶ! バラの講演会・ガイドツアー」、藤川志朗さんの「花のイラスト展」などを予定しています。 地元の名産品やオシャレ雑貨が充実のショップ& 旬の食材を使ったメニューに大満足のレストラン 「花菜ガーデン」内のショップ「ディア・チャペック」では、神奈川県の特産品や、バラや花をモチーフにした雑貨などが豊富に揃います。広い店内は通路の幅もたっぷりとってあるので、ゆったりとお買い物を楽しめるのがいいですね。旅の記念やお土産に、ぴったりのアイテムを探してみましょう。 ショップのオススメは、左のローズジュース(250ml)324円、右のローズシロップ(120ml )1,296円。ほかにバスフレグランス(入浴剤・1個)324円、ローズドロップクリーム(美容液・80g)2,760円も人気があります。 園内には、レストラン「キッチンHana」(室内約100席、テラス約80席)があるので、歩き疲れたら立ち寄って休憩を。営業時間は3月1日〜11月4日が10:30〜17:00(L.O.16:30)、11月5日〜2月末日が10:30〜16:00(L.O.15:30)、定休日は「花菜ガーデン」の休園日に準じます。神奈川県の旬の食材を使ったランチメニューやデザートセットなど充実のメニューに、どれにしようか迷ってしまうかも!? レストランのグランドメニューは、神奈川県産の「ヤマユリポーク」を使用したポークグリルスープつき1,400円や、牛肉100%のハンバーグスープつき1,200円など。メニュー内容は季節やイベントによって変わります。キッズプレートやペアランチセットなどもありますよ! デザートはシフォンケーキや自家製タルトが500円、ケーキとフリードリンクのデザートセットが700円です。
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連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【中国・四国・九州】
行楽シーズンのお出かけにもオススメ! 花の旅が楽しめる、全国のガーデン情報 春の訪れが早い、九州や本州南部では、5月初めにバラがピークを迎えるところも多く、暖地のガーデンを訪れると一足早い景色を楽しむことができます。各地の庭園や観光ガーデンも見頃を迎えるこの季節に、日本全国の花の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか? ここでは、当WEBサイト「Garden Story」にてご紹介してきた全国のガーデンを、地域ごとにまとめてご案内します。 北海道・東北・関東版はこちら 中部・近畿版はこちら 【中国地方・鳥取県】屋根つき回廊が斬新!「とっとり花回廊」 「とっとり花回廊」の最大の特徴は、大きな温室のフラワードームを中心に、園内を一周できる屋根付きの展望回廊があること! 園内の各所を結ぶ回廊は、天気の悪い日や暑い日にも歩きやすいのが嬉しいですね。広大な花畑やショウガーデンもあり、心ゆくまで花を楽しむことができます。 ・花の庭巡りならここ! 全エリアを見渡せる屋根つき回廊が斬新!「とっとり花回廊」 【中国地方・島根県】英国スタイルの庭を散策「松江イングリッシュガーデン」 約1万㎡の敷地に、「バラのテラス」「キングサリのアーチ」「ホワイトガーデン」など9つのゾーンに分かれたガーデンを持つ「松江イングリッシュガーデン」。入場無料にもかかわらず、美しく植栽され、手入れの行き届いた花や景色が楽しめる、本格的なイングリッシュガーデンです。四季を通して見どころが変化していき、リピーターも多い庭園です。 ・花の庭巡りならここ! 伝統的な英国スタイルのガーデン「松江イングリッシュガーデン」 【中国地方・岡山県】自然美にため息「深山イギリス庭園」 2000年にオープンしたこの英国式庭園は、イギリスの著名な庭園技師、ピーター・サーマンさんが、「20世紀の伝統的なイギリス庭園」をコンセプトにこの地の気候に合ったガーデンデザインを手がけました。5~6月頃には一番の見頃であるバラが咲く景色が楽しめ、他の季節にも旬の花が引き立つステージが随所に設けられています。 ・花の庭巡りならここ! 自然美にため息がこぼれる「深山イギリス庭園」 【中国地方・広島県】期間限定の花畑「Flower village 花夢の里」 広島県にある「Flower village 花夢の里」は、毎年4月上旬から5月中旬の期間限定でオープンする、美しい花畑が観られる観光スポットです。4万㎡の広大な敷地に、ピンクや白、赤などのカラフルなシバザクラ、美しいブルーのネモフィラ、鮮やかな黄色の菜の花などが一面に咲き、ダイナミックな景観が楽しめます。インスタ映えもばっちりですよ。 ・花の庭巡りならここ! 期間限定の花畑観光スポット「Flower village 花夢の里」 【中国地方・広島県】丘陵を覆う圧倒的な花数「国営備北丘陵公園」 森と湖(国兼池)に囲まれ、緑豊かな自然の中にある「国営備北丘陵公園」は、リフレッシュに訪れるのにうってつけの公園です。花のエリアでは、春は丘陵を覆いつくすように花が咲き、初夏は1万株のアジサイが、夏には5万株のヒマワリが咲く花景色が楽しめます。「ふるさと・遊び」をテーマにしたレクリエーション施設が揃っているのも嬉しいですね。 ・花の庭巡りならここ! 四季を通して花のカーペットで彩られる「国営備北丘陵公園」 【中国地方・山口県】棚田の地形を生かした花スポット「やまぐちフラワーランド」 山口県柳井市は温暖で日照時間が長いため、花の生産が盛んな地域。そんな地域にある「やまぐちフラワーランド」のコンセプトは、「歴史と自然に囲まれた、ちょっとおしゃれな花と緑の庭園」です。棚田の地形を生かした花壇では、季節ごとにさまざまな花が咲き広がり、気持ちのよい景色の中でのんびりとした時を過ごすことができる花のスポットです。 ・花の庭巡りならここ! 花苗生産が盛んな地域ならではの演出「やまぐちフラワーランド」 【四国地方・高知県】日本でモネの庭を体感『北川村「モネの庭」マルモッタン』 画家、クロード・モネが、半生をかけてつくったジヴェルニーの美しい庭は有名ですが、日本にいながらにしてその庭を楽しむことができるのがここ、『北川村「モネの庭」マルモッタン』。「モネの庭」をつくりたいという希望は世界中にありますが、唯一それを許された庭です。色鮮やかで美しい景色の中、まるでモネの絵に入り込んだような気分が味わえますよ。 ・花の庭巡りならここ! 画家・モネが愛した庭を再現『北川村「モネの庭」マルモッタン』 【四国地方・高知県】牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」 日本の植物学者の草分けである、牧野富太郎博士の故郷につくられたこの「高知県立牧野植物園」では、牧野博士と関わりの深い植物や土佐の植物をはじめ、四季折々約3,000種類の植物が見られます。薬用植物や貴重な絶滅危惧種も多数。四季折々の花景色を楽しむだけでなく、植物学を学ぶ人々にとっての聖地でもある植物園です。 ・花の庭巡りならここ! 牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」 【九州地方・福岡県】花いっぱいの総合公園「響灘緑地(グリーンパーク)」 チューリップやバラ、アジサイ、ヒマワリなど、季節ごとにさまざまな花が咲き乱れる「響灘緑地(グリーンパーク)」は、花いっぱいの総合公園。3棟の温室では、熱帯地域に生息する植物はもちろん、その地域の動物や昆虫も展示されているのもユニークです。196ヘクタールの広大な敷地は、いつ訪れても花々で鮮やかに彩られ、市民からも愛される憩いの場となっています。 ・花の庭巡りならここ! 老若男女が集う花いっぱいの総合公園「響灘緑地(グリーンパーク)」 【九州地方・長崎県】アジア最大級のローズガーデン「ハウステンボス」 長崎県のテーマパーク「ハウステンボス」では、ヨーロッパ風の街並みを背景に、アジア最大級のローズガーデンと称されるほど、バラが多数咲き誇る美しい景色が魅力です。園内にはたくさんのガーデンがありますが、中でも水路を中心に、130mに及ぶカスケードガーデンは圧巻。運河から船でバラを眺めたり、ライトアップを楽しんだり、テーマパークならではのバラ景色も素敵です。 ・花の庭巡りならここ! ヨーロッパの街並みがバラで埋め尽くされる長崎「ハウステンボス」 【九州地方・大分県】大自然に囲まれた癒し空間「くじゅう花公園」 目の前にくじゅう連山、遠くに阿蘇五山、祖母・傾山を望む立地にある「くじゅう花公園」。22万㎡の敷地に約500種500万本の植物が育ち、大自然に囲まれた癒しの非日常空間を満喫できます。シバザクラやポピーなどの花々が一面に咲き揃う花畑は圧巻。さまざまな植物を組み合わせた花壇やローズガーデンもあり、園内ではショッピングや食事も楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! 高原に広がる圧巻の花畑!「くじゅう花公園」 【九州地方・鹿児島県】南国ならではの植生「フラワーパークかごしま」 花き生産の盛んな鹿児島で、生産者と市民の交流の場としてつくられたのがこの「フラワーパークかごしま」。36.5ヘクタールもある広大な敷地を生かし、たくさんの花が咲き乱れる花畑が人気。暖かな気候の鹿児島らしいトロピカルな花が育つ「ジャングル花の谷」もユニークです。 ・花の庭巡りならここ! 南国ならではの植生が楽しめる「フラワーパークかごしま」 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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皇室ゆかりのバラ〜皇居東御苑のバラとプリンセスローズ〜
昭和から平成、そして令和へと引き継がれるバラ 「令和」の新しい時代が明けようとしています。"皇室とバラ”といえば、雅子様のお印が「ハマナス」、眞子様のお印が「モッコウバラ」。そして雅子様、眞子様のお持ち物には、この「ハマナス」、「モッコウバラ」が描かれているとのことです。 皇居東御苑の一角にあるバラ園には、この「ハマナス」や「モッコウバラ」をはじめ、全部で15品種のバラが植栽されています。もともとは、昭和天皇に献上され、育てておられたバラが大半で、上皇陛下のお考えから1996年(平成8年)に整備され、吹上御所からこちらに移植されたそうです。 では、植栽されている15のバラをご紹介しましょう。 1.テリハノイバラ(ロサ・ウィクライアーナ) 一季咲きで3~4cmほどの白い花を咲かせ、つる性のほふくする枝に光沢のある照り葉が茂るのが特徴です。20世紀初頭、ヨーロッパやアメリカに渡り、さまざまなランブラー、ハイブリッド・ウィクライアーナの作出に貢献しました。 原生地:日本、中国 2.イザヨイバラ(ロサ・ルクスブルギー) 繰り返し咲く約8cmの花は、花弁が多くとても美しい。満月が少し欠けたような花形から十六夜(いざよい)バラと呼ばれます。江戸時代には、葉の形状から、「サンショウバラ」と呼ばれていました。 原生地:中国の南西部から東南アジア 3.シロバナハマナス(ロサ・ルゴサ・アルバ) ハマナスの白花品種で、花径約8cmの花は繰り返し咲き、秋には大きな実を付けます。 原生地:カムチャッカ半島、千島列島 4.コウシンバラ(ロサ・キネンシス) 四季咲き性が強く、コンパクトな木立ち性の樹形。1309年、藤原氏の氏神である春日神の霊験を描いた絵巻「春日権現験記」(三の丸尚蔵館所蔵)の第5巻第2段に描かれた花が、このバラではないかといわれています。 原生地:中国 5.かのこ 一季咲きで、5枚弁の紅色の花弁は、中心が白く抜け、房咲きになります。 原生地:日本 6.フローレンス・ナイチンゲール フローレンス・ナイチンゲール国際基金発足75周年を記念して作出されたバラ。2009年9月に国際看護師協会から贈られ、このバラ園には、上皇・上皇后両陛下がお手植えされました。 1989年、アメリカで作出されたシュラブローズ。 7.のぞみ ほふく性の株でコンパクト。一重の可憐な薄いピンクの花は一季咲きです。 作出は1968年、小野寺透氏。 8.ハマナス(ロサ・ルゴサ) このバラが日本からヨーロッパへ渡ると、「耐寒性に優れ、返り咲き性があり、大きなローズヒップも楽しめる」ことから、北欧などの寒冷地向きのバラの交配に貢献しました。爽やかなスパイシー香があります。 原生地:日本 9.マイカイ 中国では、「マイカイ」(メイグイ)は、バラの総称に加え、薬や食用に使用される、このバラの個体名も指します。ダマスクにスパイシー香が混ざる心地よい香りの花は、お茶やお菓子に利用されてきました。 原生地:中国 10.サクラバラ(ロサ・ウチヤマナ) 5弁の花弁の先にピンクが乗る優しい雰囲気のバラは、つる性で一季咲き。日本のノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)と中国のコウシンバラ(ロサ・キネンシス)の交雑種とみられます。 原生地:日本(九州) 11.サンショウバラ(ロサ・ヒルトューラ) 一季咲きの5弁の大輪。薄いピンクの花の中央にある豪華なシベが美しい。木立ちの大木になり、葉の形状から「山椒薔薇」、富士箱根地区が自生地であることから「箱根薔薇」とも呼ばれています。 原生地:日本 12.ナニワイバラ(ロサ・レヴィガータ) 光沢のあるしっかりとした常緑の葉に、純白の5弁の大輪の花が美しい一季咲きのバラ。樹勢が強く、大きな株に育ちます。1700年頃、日本へ。 原生地:中国 13.ツクシイバラ(ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ) 5弁のハート形の花弁の先に優しいピンクが乗り、房咲きになる姿が愛らしい。一季咲き。 原生地:日本(九州) 14.キモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ'ルテア') 八重咲き(プレナ)の黄色(ルテア)のモッコウバラは、常緑のつる性で、温暖な場所で真価を発揮します。東御苑のバラ園では、陽当たりがよく、ベッド仕立てにしてあるため、とても花付きがよく、開花時には大変見事に咲き誇ります。 原生地:中国 15.モッコウバラ(ロサ・バンクシアエ) 白い(アルバ)八重咲きのモッコウバラは、キモッコウバラと同様、ベッド仕立てに。 19世紀初め頃、八重咲きの白いモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ・バンクシアエ)は、スコットランドの園芸学者兼植物学者ウィリアム・カーによって、中国からヨーロッパに紹介されました。その際、イギリスのキュー・ガーデン所長、ジョゼフ・バンクスの妻の名を付けて、「レディ・バンクス・ローズ」という名で紹介されました。白の一重と八重、黄色の一重には香りがあることから、「木香薔薇」と呼ばれます(黄色の八重は微香)。 原生地:中国 以上のように、植栽されている品種を紐解けば、東御苑のバラ園には、中国との歴史や友好、記念など、日本の歴史、皇室の歴史、バラの歴史の一端が、凝縮されていることが見えてきます。 皇族の方々のお名前を冠したバラ そして、東御苑バラ園には植栽されてはいませんが、皇族の方々のお名前を冠したバラもご紹介しましょう。 ‘プリンセス・ミチコ’(F) ‘エンプレス・ミチコ’(HT) ‘プリンセス・マサコ’(HT) 雅子様がご成婚前に直々に選ばれたバラ「プリンセス・マサコ」。滋賀のWABARA / Rose Farm KEIJIのバラ育種家、國枝啓司さんが1993年に作出しました(現在は非売品)。 ‘マサコ(エグランタイン)’(S) ‘ハイネス雅(みやび)’(HT) ‘プリンセス・サヤコ’(HT) ‘プリンセス・アイコ’(F) 皇室と縁のあるバラ農家、長野県富士見町にある「アサオカローズ」さんでは、美智子様のお誕生日には、1980年から毎年、‘プリンセス・ミチコ’の花束を献上し、2013年からは、‘プリンセス・ミチコ’に3種のバラをブレンドしたローズウォーターを献上されています。 また、寛仁親王妃信子殿下は、公益財団法人日本ばら会の名誉総裁で、淡いローズピンクが美しい‘プリンセス・ノブコ’(HT/2001年 スコットランド アンG.クッカー作出)と名のついたバラもあります。 年号が変わるこの節目の年に、皇室にゆかりのあるバラに再注目してみました。これから全国でバラが咲き誇る季節。ぜひ、お近くのバラ園などでも、皇室にゆかりのあるバラの美しい咲き姿を愛でてはいかがでしょうか?
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連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【中部・近畿】
行楽シーズンのお出かけにもオススメ! 花の旅が楽しめる、全国のガーデン情報 例年春から初夏にかけては、関東以西の平地では、バラや宿根草などさまざまな植物が咲き始め、ガーデンが最もにぎやかになる季節です。各地の庭園や観光ガーデンも見頃を迎えるこの季節に、日本全国の花の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか? ここでは、当WEBサイト「Garden Story」にてご紹介してきた全国のガーデンを、地域ごとにまとめてご案内します。 北海道・東北・関東版はこちら 中国・四国・九州版はこちら 【中部地方・山梨県】バラが爛漫と咲き乱れる「河口湖オルゴールの森美術館」 中世ヨーロッパの王侯貴族が愛したオルゴールの世界を楽しんでもらおうとオープンした「河口湖オルゴールの森美術館」では、中世をイメージさせるクラシックで優雅なローズガーデンが楽しめます。手入れの行き届いたガーデンには、希少な原種バラやオールドローズも。もちろん、オルゴールやオートマタ(自動人形)も魅力的なので、ぜひじっくり見学したいものですね。 ・花の庭巡りならここ! バラが爛漫と咲き乱れる「河口湖オルゴールの森美術館」 【中部地方・長野県】体と心を休める避暑地の庭園「軽井沢レイクガーデン」 避暑地として知られる軽井沢。そこに、敷地面積1万坪、イングリッシュローズとフレンチローズを中心に約400種のバラと、約300種のさまざまな宿根草が四季折々に美しい景色をつくる「軽井沢レイクガーデン」があります。山々や湖を背景に息づくロマンチックなガーデンは、霧が発生することも多く、さらに幻想的な雰囲気を写真に収めることもできます。 ・体と心を休める避暑地の庭園 長野「軽井沢レイクガーデン」 【中部地方・長野県】本格的なイングリッシュガーデン「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」 「ホテルグリーンプラザ白馬」の前に、2013年にオープンした「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」。ガーデナーのマーク・チャップマンさんによってデザインされた、約900種1万8,000株の植物が育つ本格的なイングリッシュガーデンです。起伏のある土地に広がる、白馬の気候を生かした、さまざまな表情の気持ちのよいガーデンを堪能できますよ。 ・花の庭巡り 長野「白馬コルチナ・イングリッシュガーデン」 ・花好きさんの旅案内 【国内】長野・白馬のオススメガーデン3選 【中部地方・新潟県】ロザリアンの聖地「国営越後丘陵公園 香りのばら園」 「国営越後丘陵公園 香りのばら園」はその名の通り、香りをテーマにした植栽が特徴です。主に7つの種類に分けられるバラの香りを、それぞれに当てはまる品種ごとに区分して植栽し、実際に香り比べを楽しめるように。バラだけでなく、宿根草と組み合わせたナチュラルガーデンでは、美しい景色から、コーディネートのヒントも得られそうです。 ・花の庭巡りならここ! ロザリアンの聖地「国営越後丘陵公園 香りのばら園」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。新潟県「国営越後丘陵公園 香りのばら園」 【中部地方・新潟県】シャクナゲ&アザレアが一堂に咲く「新潟県立植物園」 初夏に見頃を迎えるシャクナゲと、アザレアの品種コレクション数日本一を誇る「新潟県立植物園」。この2種はもちろん、国内最大級のドーム型の観賞温室や、サクラやボタンの屋外庭園など、エリアによってテーマをもたせた植栽などが充実しており、四季を通して多様な花を楽しむことができる総合植物園です。多彩なイベントも開催されています。 ・花の庭巡りならここ! シャクナゲ&アザレアは日本一のコレクション「新潟県立植物園」 【中部地方・新潟県】麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」 「みつけイングリッシュガーデン」の大きな特色は、メンテナンスが市民ボランティアによって行われていること。ここで見られるのは、イギリス式の植栽はもちろん、ガゼボやアーチ、ベンチなどのガーデン資材まですべて英国製にこだわった、本格的なイングリッシュガーデン。「ボーダーガーデン」や「バラロード」などのエリアはどこも洗練された美しさです。 ・花の庭巡りならここ! 麗しき英国式庭園「みつけイングリッシュガーデン」 【中部地方・富山県】珍しい植物コレクションが見どころ「富山県中央植物園」 「富山県中央植物園」は、研究植物園として植物の収集・展示を行うとともに、それを市民の憩いの場としても提供している花のスポット。そのため、アカデミックな展示や珍しい植物のコレクションが多く、5棟の温冷室を備えるなど自生地の環境を再現したナチュラルな展示が魅力です。 ・花の庭巡りならここ! 大人の社会科見学スポット「富山県中央植物園」 【中部地方・富山県】五感で楽しめる癒しの庭「氷見あいやまガーデン」 「氷見あいやまガーデン」は、元の里山の地形を生かした高低差のあるガーデンが特徴。園内には「ローズガーデン」「フォーマルガーデン」「円形花壇」などがあり、バラエティー豊かな花景色を楽しめます。春はカラフルなチューリップ、初夏にはロマンチックなバラが見ごろを迎え、夏から秋はヘメロカリスやユリ、シュウメイギクなど季節の花へと咲き継ぎます。 ・花の庭巡りならここ! 五感で楽しめる癒しの庭「氷見あいやまガーデン」 【中部地方・静岡県】世界バラ会議で受賞歴のある「アカオハーブ&ローズガーデン」 「第17回世界バラ会議“優秀庭園賞”」を、日本の民間企業として初めて受賞した「アカオハーブ&ローズガーデン」。12のテーマで構成されたガーデンは、約600種4,000株のバラと、球根植物やハーブ、宿根草など幅広い植物がつくる見応えのある景色が魅力です。カフェやショップもあり、バラを中心とする草花に包まれる癒しのひと時を過ごせます。 ・花の庭巡りならここ! 世界バラ会議で受賞歴のある熱海「アカオハーブ&ローズガーデン」 【中部地方・静岡県】異国情緒溢れる景色が魅力「河津バガテル公園」 「河津バガテル公園」は、フランスのパリ市にある「パリ・バガテル公園」の姉妹園で、フランススタイルの庭園を再現した異国情緒溢れる景色が魅力の美しいバラ園です。園内では、トピアリーやスタンダード仕立て、長大なパーゴラなど、バラのさまざまな姿を楽しめます。調香体験などのイベントやカフェ、ショッピングも充実していて、リピーターも多く訪れます。 ・花の庭巡りならここ! 18世紀のフランス庭園を再現「河津バガテル公園」 【中部地方・静岡県】美術館と庭園が融合「クレマチスの丘」 「クレマチスの丘」は、庭園、美術館、文学館、地場の食材を使ったレストラン、自然公園などで構成された文化香るスポット。クレマチスを主役にしたガーデンでは、約250品種2,000株のクレマチスが咲き誇り、バラと競演する季節はとても華やか。常設展示されているジュリアーノ・ヴァンジの彫刻作品も注目です。 ・花の庭巡りならここ! 美術館と庭園が融合した文化香る「クレマチスの丘」 【中部地方・静岡県】色彩美を表現する印象派庭園「浜名湖ガーデンパーク」 浜名湖の景観を生かした公園「浜名湖ガーデンパーク」の一番の見せ場は、印象派の画家、モネが愛したジベルニーの自邸の庭を模してつくられたガーデンを再整備した「印象派庭園 花美の庭」。「光」をテーマにした表情豊かな植栽が見どころです。園内にはこの他にも花壇や美しい庭園があり、毎年多くの人が訪れる人気のフラワースポットになっています。 ・花の庭巡りならここ! 色彩美を表現する印象派庭園を一度は見ておきたい「浜名湖ガーデンパーク」 【中部地方・静岡県】四季折々に植物が彩る「はままつフラワーパーク」 30万㎡の敷地に広がる「はままつフラワーパーク」は、浜名湖畔の自然の地形を生かした公園です。チューリップやハナショウブ、初夏に見頃を迎える藤棚など、季節を通じて多様な花が咲き継ぐ園内では、ウェルカムガーデンや日本庭園、温室など、さまざまなエリアがあり、花々にあふれる景色を楽しめるとあって、リピーターも多いガーデンです。 ・花の庭巡りならここ! 四季を通して多様な植物で彩られる「はままつフラワーパーク」 【中部地方・愛知県】22の自然風庭園「名古屋港ワイルドフラワーガーデン“ブルーボネット”」 名古屋港の海と高木に囲まれた園内では、都会の喧騒を忘れる癒やし空間の中、自然風庭園をコンセプトに、趣向を凝らした22のガーデンを楽しめます。規則性をなくして花々が植わるガーデンは、自然のままに草花が咲き乱れているような優しい印象。年間を通していろいろなイベントも開催されています。 ・花の庭巡りならここ! 22のガーデンスタイルが楽しめる「名古屋港ワイルドフラワーガーデン“ブルーボネット”」 【中部地方・愛知県】花々に彩られたテーマパーク「ラグーナテンボス ラグナシア フラワーラグーンエリア」 多彩なアトラクションやショッピング、レストラン、温泉、プールなどが集まる複合型リゾート施設「ラグーナテンボス」。そこにオープンした「ラグナシア フラワーラグーンエリア」では、花と水とアートが融合したエンターテインメントガーデンをコンセプトに、テーマパークならではの構成を持った花々の競演が楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! 花々に彩られたテーマパーク「ラグーナテンボス ラグナシア フラワーラグーンエリア」 【中部地方・岐阜県】日本一大きな公園「『国営木曽三川公園』内『木曽三川公園センター』」 「国営木曽三川公園」は、愛知県、岐阜県、三重県の3県にわたって広がる、日本一大きな公園。園内には13の公園があり、その中の一つ「木曽三川公園センター」は、四季を通してさまざまな花が咲き継いでいく、花の絶えない公園です。中央には高さ65mの展望タワーもあり、水郷の景観を一望のもとに見渡すことができますよ。 ・花の庭巡りならここ! 3県にわたって敷地が広がる日本一大きな公園「国営木曽三川公園」内「木曽三川公園センター」 【中部地方・岐阜県】世界でも最大級のバラ園「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」 「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」は、県営の都市公園で、バラの産地であることから、特にバラに特化した植栽が特徴。なんと原種からオールドローズ、最新品種まで、約7,000品種3万株ものバラが植栽された、世界でも最大級のバラ園なのです。テーマごとに多くのエリアに分けられた園内は広大で見どころも多く、一日存分にバラの世界に浸ることができます。 ・花の庭巡りならここ! 世界最大級のローズガーデンを堪能「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」 【中部地方・岐阜県】花畑もレジャーも満喫「ひるがの高原 牧歌の里」 「ひるがの高原 牧歌の里」は、標高約1,000mの高原に広がる花畑。季節に合わせて植え替えを行う花壇では、チューリップやラベンダー、アルストロメリアなど一年を通して配色が異なる色鮮やかな花の景色が楽しめます。動物と触れ合える牧場や、クラフト体験も充実。一日たっぷり遊べるので、レジャーにオススメです。 ・花の庭巡りならここ! 広大な花畑を楽しめるレジャースポット「ひるがの高原 牧歌の里」 【近畿地方・三重県】日本最大級の花のスポット「花と緑と食のテーマパーク なばなの里」 「花と緑と食のテーマパーク なばなの里」は、リゾートホテルなどを持つ「ナガシマリゾート」が運営する観光ガーデンで、年中花景色が楽しめ、豊かな香りのバラや、アジサイ、ハナショウブなどの季節の花や、温室の球根ベゴニアが見られます。地ビール園をはじめとする8つのレストランや売店、国内最大級の温室、温泉施設など、じっくり遊べる施設も充実。 ・花の庭巡りならここ! 四季を通して楽しめる観光ガーデン「花と緑と食のテーマパーク なばなの里」 【近畿地方・三重県】地域住民の誇り、英国式庭園「松阪農業公園ベルファーム」 松阪の豊かな自然環境や地域農業を生かした、総敷地面積23万㎡の広大な敷地の「松阪農業公園ベルファーム」は、園内に本格的なイングリッシュガーデンを持っています。ガーデンの設計は日本に英国式庭園の魅力を広めたケイ山田さんで、9つのエリアに分かれたガーデンでは、土地の気候風土に合ったスタイルのイングリッシュガーデンを楽しむことができます。 ・花の庭巡りならここ! 地域住民の誇り、英国式庭園「松阪農業公園ベルファーム」 【近畿地方・三重県】爽やかな高原に花畑が広がる「メナード青山リゾート ハーブガーデン」 標高600mの高原にある「メナード青山リゾート ハーブガーデン」は、化粧品メーカー「メナード」直営のリゾート施設内の、敷地約8万㎡を持つ広大なハーブガーデンです。「美と健康」をテーマに、暮らしを豊かにするハーブや色鮮やかな花畑などにエリア分けされ、努めて有機栽培で育照られています。摘み取り体験やオリジナルブランドのショッピングなど、ハーブガーデンならではの楽しみも味わえますよ! ・花の庭巡りならここ! 花のカーペットが壮大に広がる「メナード青山リゾート ハーブガーデン」 【近畿地方・滋賀県】新エリアも話題「English Garden ローザンベリー多和田」 2011年にオープンした「English Garden ローザンベリー多和田」は、自然の景色に溶け込むナチュラルガーデン。四季を通じて楽しめますが、5月上旬~6月にかけては、フジやバラ、クレマチスが咲き誇り、一際豪華な景色が楽しめます。寄せ植えのワークショップや、レストラン、ショッピングも充実。手ぶらで楽しめるバーベキュー会場も備えています。2019年には「ひつじのショーン」のリアルワールドが楽しめるエリアもオープンし、目が離せないガーデンです。 ・花の庭巡りならここ! 自然の恵みを五感で楽しめる、充実の観光ガーデン「English Garden ローザンベリー多和田」 【近畿地方・滋賀県】西洋式回遊庭園「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」 昭和初期の近代名建築「旧びわ湖ホテル本館」をリニューアルした「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」には、「ランドスケープガーデン」や「グラベルガーデン」などのエリアがあり、琵琶湖を背景に美しい庭景色が楽しめます。約300種3,000株のバラで彩られるバラのエリアも人気。琵琶湖を望むレストランで食事を楽しむのも素敵です。 ・花の庭巡りならここ! 近代名建築を華やかに盛り上げる西洋式回遊庭園「びわ湖大津館 イングリッシュガーデン」 【近畿地方・京都府】古都にフランスの風を感じる「ガーデンミュージアム比叡」 京都と姉妹都市にあたるフランスをコンセプトに、新たな観光スポットとして2001年に誕生した「ガーデンミュージアム比叡」。フランス印象派画家の描いた絵画をモチーフにしたガーデンデザインが特色で、6つの個性豊かなガーデンを楽しむことができます。園内に飾られたモネやルノワールなどの印象派の陶板画もお見逃しなく。 ・花の庭巡りならここ! 古都にフランスの風を感じるスポット「ガーデンミュージアム比叡」 【近畿地方・大阪府】世界最大級のERコレクション「デビッド・オースチン イングリッシュローズガーデン」 大阪・泉南市にあるこのローズガーデンでは、デビッド・オースチン・ロージズ社が作出したイングリッシュローズの、世界最大級のコレクションが楽しめます。美しい花姿と豊かな香り、そして四季咲き性がイングリッシュローズの魅力。その特性を最大限に生かしたガーデン構成は、ため息が出る美しさ。バラ苗やガーデニング用品も充実しています。 ・花の庭巡りならここ! 大阪「デビッド・オースチン イングリッシュローズガーデン」 ・優美で香り高いバラ「イングリッシュローズ」を生んだデビッド・オースチン・ロージズ社の歴史 【近畿地方・大阪府】バラ園の先駆け的ガーデン「ひらかたパーク」 大阪府民に愛される遊園地「ひらかたパーク」内にあるローズガーデンは、1955年に開設し、「東洋一の大バラ園」とうたわれて国内のバラ園の先駆けとなったローズガーデンをリニューアルしたもの。園内は4つのエリアに分かれ、観覧車やジェットコースター、メリーゴーランドなどを背景に咲くバラは、ここでしか見られないフォトジェニックな景色です。 ・花の庭巡り、大阪「ひらかたパーク」 【近畿地方・兵庫県】インスタ映えする景色の宝庫「淡路島国営明石海峡公園」 「淡路島国営明石海峡公園」は、広大な敷地を生かして、カラフルなリビングストン・デージーやチューリップなど、旬の花を群植させるダイナミックな演出が持ち味。一年を通して見ごたえのある景色が広がり、インスタ映えもばっちりです。季節によってさまざまな花が咲くので、何度も訪れても新鮮な景色が楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! インスタ映えする景色の宝庫「淡路島国営明石海峡公園」 【近畿地方・兵庫県】都会のオアシスで癒しのひとときを「神戸布引ハーブ園」 「環境」「人と自然の共生」をキーワードに、1991年に開園した「神戸布引ハーブ園」。ヨーロッパの田舎風の景色が楽しめる「フレグラントガーデン」や、約100種1,700株のハーブが植栽された「ハーブミュージアム」など、ハーブの魅力が存分に味わえるガーデンです。無料のガイドツアーや、ハーブを使った商品が揃うショッピングも魅力です。 ・花の庭巡りならここ! 都会のオアシスで癒しのひとときを「神戸布引ハーブ園」 【近畿地方・兵庫県】日本最大級の温室は花盛り「兵庫県立淡路夢舞台温室 奇跡の星の植物館」※リニューアル閉館中 ※現在この施設はリニューアル工事中につき閉館中です。リニューアルオープン(9/18予定)後の施設つきましては、改めてご紹介いたします。 6,700㎡という、日本最大級の温室である「兵庫県立淡路夢舞台温室 奇跡の星の植物館」。館内には8つの展示室があり、年間に7回も植物の入れ替えが行われるので、何度来ても新たな視点で楽しむことができる植物のスポットです。身近にない珍しい植物に触れられる温室のほか、屋外ガーデンも充実。コンサートや講習会などのイベントも開催されています。 ・花の庭巡りならここ! 何度でもリピートしたい植物天国「兵庫県立淡路夢舞台温室 奇跡の星の植物館」 【近畿地方・兵庫県】ピクニック気分で花を愛でよう「兵庫県立フラワーセンター」 「兵庫県立フラワーセンター」は、1976年オープンの歴史ある公園。園内は、水をたたえた池や大小さまざまな花壇、樹木園、温室、展望台などで構成されています。花壇では四季を通じてさまざまな花が咲き継ぎ、ピクニック気分で出かけるのにぴったり。イベントやワークショップの開催も多く、園芸相談も常時受け付けてくれますよ。 ・花の庭巡りならここ! 大人の遠足にうってつけのスポット「兵庫県立フラワーセンター」 【近畿地方・和歌山県】貴重な絶滅危惧種も見られる「和歌山県植物公園 緑花センター」 1979年にオープンした「和歌山県植物公園 緑花センター」は、和歌山県民の憩いの場として愛されている、自然の地形や木々を生かした公園です。園内には、四季折々の草花が咲く「パノラマ花壇」や香りのよい植物を集めた「香りの森」のほか、梅園、バラ園、アジサイ園、ハス池、温室、芝生広場などのゾーンがあり、いつ訪れても花咲く景色を楽しむことができますよ。 ・花の庭巡りならここ! 貴重な絶滅危惧種も見られる「和歌山県植物公園 緑花センター」 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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三重県

花の庭巡りならここ! 花のカーペットが壮大に広がる「メナード青山リゾート ハーブガーデン」
「美と健康」がテーマのリゾート地 そよ風が薫るハーブガーデン 1977年にオープンした「メナード青山リゾート」。リゾートホテルやゴルフコース、テニスコート、陶芸館や木工館、各種レストランなどを含む総合リゾート施設です。ここでご紹介したいのは、2007年にオープンした敷地面積8万㎡を誇るハーブガーデン。大人の足で一通り見て回るのに約90分、ゆったりと癒しのひとときを過ごせます。 「メナード青山リゾート」は、化粧品メーカー「メナード」直営のリゾート施設で、「美的生活提案」がコンセプト。「美と健康」をテーマに、健康によいとされるハーブガーデンを運営しています。スタッフがリサイクルによって堆肥をつくるなど、できる限り化成肥料や農薬を控えた有機栽培に努めているのもこだわりです。 園内は、花々が虹を描くように色彩豊かに彩る「レインボー畑」、暮らしを豊かにするハーブを集めた「ライフガーデン」や「リビングガーデン」、ウエディングも行える「ローズガーデン」など、テーマごとにエリア分けされています。年に約3回の大規模な植え替えを行い、一年を通して約300種の植物を植栽。標高約600mの高原では、乾燥した涼やかな風が心地よく、昼夜の温度差によって花色がより冴えた発色を見せるのも見どころです。 広大な敷地を生かした、一面を花で埋め尽くす演出は迫力満点で、山々を望む借景の美しさも相まって、ビジュアルの美しい写真を撮影できます。四季折々に生花を摘んだブーケづくりや寄せ植え教室などのイベントも行っており、体験メニューも充実。年に約2万5,000人が訪れ、リピーターも多いのが特徴です。 春から秋まで旬のハーブの香りを楽しめる 一番人気は、一面が紫に染まるラベンダーの季節 「メナード青山リゾート ハーブガーデン」のエントランス。ここで入場料を支払って、入園チケットを購入します。その日一日に限り、チケットの半券を見せれば出入りフリーです。園内へのお弁当などの持ち込みや、ペット同伴はNG(但し盲導犬は可)。ブランチカフェがあるので、休憩はどうぞそちらへ。 写真はカモミール畑で、見頃は5月下旬〜6月上旬。約2,000㎡に、およそ2,000株が植栽されています。満開の時期には白い絨毯となって一面を覆い尽くし、甘い香りに包まれて幸せな気分に。2019年は6月15・16日に収穫祭を行い、摘み取り体験(540円)を実施。なんと抱きかかえられないくらい収穫してOKな、太っ腹企画なんです! 「ドライにすればハーブティー1年分は困らない!」と、毎年楽しみにしているリピーターの姿も見られます。 写真はラベンダー畑。園内にはいくつかのラベンダーエリアがあり、敷地内に計1万㎡、約1万株を植栽。見頃は6月中旬〜7月中旬です。まず‘濃紫’が6月中旬〜7月中旬に開花、次に‘オカムラサキ’が6月下旬〜7月中旬、最後にラバンジン系のイングリッシュラベンダーが7月上旬〜中旬と、見頃が大きく3つに分かれ、長く楽しめます。 2019年のラベンダーフェスタ期間は6月15日〜7月15日で、毎日摘み取り体験(510円)を開催。こちらは開花中なので、束にして人差し指と親指で作る輪に入る程度までという制限があります。7月6・7日には‘オカムラサキ’の収穫祭、7月13〜15日にはラバンジン系の収穫祭を開催。同時に、エッセンシャルオイルの抽出実演も披露されます。 10月中旬〜11月下旬には、セージが見頃になります。約1万㎡に約4万株を植栽。メキシカンセージ、ラベンダーセージ、ボックセージ、サルビア類など、約10〜15種類が色とりどりに花を咲かせます。開けた青空の下、花のカーペットを前にインスタ映えする写真が撮れそうです。2019年は9月28日〜11月24日の期間にミニ花束づくりの教室を、11月22〜24日は収穫祭を開催します。 ハーブ苗やオリジナルブランド「あおやま」など 充実の品揃えが嬉しいショップも併設 「メナード青山リゾート」では、苗の販売も行っています。ハーブを中心に年間100種以上を揃え、季節の旬の苗が豊富に並ぶので、ぜひパトロールを。園内で一目惚れした植物を購入できるかもしれませんよ! 特に人気が高いのは、ラバンデュラ(イングリッシュラベンダー系)や、早咲き品種の‘オカムラサキ’などです。 「メナード青山リゾート」のオリジナルブランド「あおやま」が揃うショップ。ラベンダー、カモミール、月下美人、ローズ、カサブランカなど癒し効果のある香りを配合したコスメアイテムがずらり。ボディエマルジョン、ハンドモイストスムーザー、バスシャワージェル、オーデトワレなど充実のラインナップです。ここでしか手に入らないアイテムですが、気に入った方に向けて通信販売にも対応しています。 園内のブランチカフェ「ルッコラ」で 自家製ハーブのランチやドリンクを堪能 園内のブランチカフェ「ルッコラ」の内装は、丸太の椅子が愛らしいナチュラルスタイル。営業時間は10〜16時、定休日なし、60席あります。主な価格帯は、フードが1,200円前後、ドリンクが500円前後。自家製ハーブを使ったハーブランチやパスタ、カレーのほか、オリジナルブレンドのハーブティーがオススメです。 写真は、一番人気のラベンダーソフトクリーム(410円)。ここでしか味わえない、オリジナルのフレーバーです。バニラクリームにほんのりとラベンダーの香りが混じる、意外にさっぱりとした風味。リンゴのような甘い香りを楽しめる、カモミールソフトクリーム(410円)もあります。 Information メナード青山リゾート ハーブガーデン 所在地:三重県伊賀市霧生2356 TEL:059-269-3181(予約センター 059-54-1236) https://www.menard.co.jp/resort/ アクセス: 公共交通機関/近鉄大阪線伊賀神戸駅から予約制無料送迎バスで約30分 近鉄大阪線榊原温泉口駅から予約制無料送迎バスで約30分 車/名阪国道上野東ICから約40分 伊勢自動車道道久居ICから約50分 オープン期間:4月26日~11月24日(2019年) 休園日:なし 営業時間:9:00~17:00(最終入園16:00) 料金:大人540円、小学生270円(4月26日〜5月24日、8月1日〜9月27日) 大人1,080円、小学生540円(上記以外) ※いずれも2019年・税込料金 駐車場:100台(無料) 併せて読みたい ・連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【北海道・東北・関東】 ・宿根草ショップの店長が提案! 実用的でお得な宿根ハーブ5選 ・バラを育てたい! 初心者さん必見 野生種、オールドローズとモダンローズなどバラの種類を分かりやすく解説 Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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北海道

連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【北海道・東北・関東】
行楽シーズンのお出かけにもオススメ! 花の旅が楽しめる、全国のガーデン情報 例年春から初夏にかけては、バラや宿根草などさまざまな植物が一斉に花開き、ガーデンが最もにぎやかになる季節です。北海道や東北、高地など冷涼な気候の地域では、春の訪れが遅い分、早春から晩春の花までが一気に開花して咲き競い、華やかなガーデン風景が楽しめます。各地の庭園や観光ガーデンも見頃を迎えるこの季節に、日本全国の花の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか? ここでは、当WEBサイト「Garden Story」にてご紹介してきた全国のガーデンを、地域ごとにまとめてご案内します。 中部・近畿版はこちら 中国・四国・九州版はこちら 【北海道】 8つの庭を巡る「北海道ガーデン街道」 広大な大地を持ち、冷涼な気候の北海道のガーデンには、本州とはまた違う魅力がたくさんあります。中でも、北海道を代表する8つの個性豊かなガーデン「大雪 森のガーデン」「上野ファーム」「風のガーデン」「十勝千年の森」「真鍋庭園」「十勝ヒルズ」「紫竹ガーデン」「六花の森」を巡る、大雪から富良野、十勝を結ぶ全長250kmのルートは、「北海道ガーデン街道」として国内外から高い人気を集めています。 ・庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 前編 ・庭巡りならここへ! 北海道「ガーデン街道」の名園紹介 後編 北海道「ガーデン街道」の各園の紹介はこちらからどうぞ 「紫竹ガーデン」 ・野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」 「真鍋庭園」 ・庭巡りにオススメ!珍しい植物に出合える北海道「真鍋庭園」 「十勝ヒルズ」 ・花の庭巡りならここ!花と色と農のテーマパーク北海道「十勝ヒルズ」 「大雪 森のガーデン」 ・北部にしかない珍しい植物に会える 北海道「大雪 森のガーデン」 「上野ファーム」 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「北海道・上野ファーム」の四季 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム 【北海道】 北国に咲くバラも見どころ「イコロの森」 「イコロ」とは、アイヌ語で「宝物」を意味する言葉。深い森の奥に、「ローズガーデン」や「ナチュラルガーデン」、「ロックガーデン」など多彩なガーデンが広がり、宿根草や花木が伸びやかに育つ、北国らしい庭が楽しめます。 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 イコロの森 【北海道】 ダイナミックなパノラマ風景「展望花畑 四季彩の丘」 14万㎡にも及ぶ広大な敷地を持つ観光ガーデン「展望花畑 四季彩の丘」。美瑛地方特有の丘陵と大雪山連峰を背景にして花畑が一面に広がる、北海道らしいダイナミックな花景色を見ることができます。 ・花の庭巡りならここ! 北海道スケールの花畑を愛でよう「展望花畑 四季彩の丘」 【北海道】 ナチュラルな草花に癒される「ゆにガーデン」 北海道・由仁町にある「ゆにガーデン」は、英国風庭園をコンセプトにデザインされた観光ガーデン。「スペシャルガーデン」「ノットガーデン」「ホワイトガーデン」など、15のエリアで構成された、ロマンチックなガーデンが見どころです。 ・花の庭巡りならここ! リナリアの群植は一見の価値あり!「ゆにガーデン」 【東北地方・秋田県】 ハーブ香る「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」 県立自然公園の中にある「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」は、ハーブに特化した観光ガーデンで、約100種の植物がナチュラルな植栽で植えられています。ハーブやアロマを使った体験教室が充実しているので、訪れる際にはぜひチェックを。ゴールデンウィークの頃にはハーブと草花、花木が織りなす北国ならではの花景色が楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! 体験教室のプラン充実の観光ガーデン「田沢湖ハーブガーデン『ハートハーブ』」 【東北地方・岩手県】 美しいランドスケープ「フラワー&ガーデン森の風」 メインガーデン「森の渓谷」とコミュニティーガーデン「森の丘」の2つのエリアに、それぞれテーマを持たせたランドスケープガーデンが広がる「フラワー&ガーデン森の風」。季節の一年草・宿根草や、ツツジ、アジサイなどが咲き継ぎ、四季を通して彩り豊かな景色が楽しめます。土産物店が充実しているのも嬉しいですね。 ・花の庭巡りならここ! 美しいランドスケープデザイン「フラワー&ガーデン森の風」 【東北地方・山形県】 かおり風景100選に認定されている「東沢バラ公園」 「東沢バラ公園」は、日本のバラ界の父とも呼ばれる、故・鈴木省三さんにより設計された歴史ある公園。約750品種2万株のバラが植栽され、開花期の美観はもちろん、「かおり風景100選」にも選ばれたほどの豊かな香りが楽しめます。バラが最盛期を迎える6月上旬〜7月上旬、9月中旬〜下旬にかけて行われるバラ祭りには多くの人が訪れます。 ・花の庭巡りならここ!「かおり風景100選」に認定された「山形県村山市 東沢バラ公園」 【東北地方・宮城県】 自然豊かな里山を花が彩る「泉ボタニカルガーデン」 七北田ダムに隣接する自然豊かな里山の景観を生かした「泉ボタニカルガーデン」は、エリアごとに異なる雰囲気のガーデンがあり、山歩きを楽しむような気持ちでナチュラルに植栽された花々を観賞できます。5月上旬に見頃を迎えるチューリップや、遅れて開花するシャクナゲやバラなど、季節ごとに主役の花も移ろい、写真に収めても美しいシーンの連続です。 ・花の庭巡りならここ! ペット同伴OKなのが嬉しい「泉ボタニカルガーデン」 【東北地方・宮城県】 迫力の花畑が広がる「やくらいガーデン」 「やくらいガーデン」は、薬莱山(やくらいさん)を背景に、15万㎡という広大な敷地を生かした、面で魅せる迫力ある花畑が特徴の観光ガーデン。4月下旬〜5月中旬は、黄色い絨毯が敷かれたように菜の花畑が広がり、秋はサルビア、ケイトウなどへとバトンタッチ。初夏にはバラやハーブのコーナーも見頃を迎えます。 ・花の庭巡りならここ! 澄んだ青空に広い花畑が映える、宮城「やくらいガーデン」 【関東地方・栃木県】 海外からも注目の観光地「あしかがフラワーパーク」 あしかがフラワーパークの魅力は、なんといっても初夏に見頃を迎えるフジ。1,000㎡に及ぶ藤棚から豪華に花房が咲き枝垂れる姿は圧倒されるほどで、世界でも注目を集め、海外からの観光客も多く訪れます。紫のフジだけでなく、キバナフジや白フジも見ることができます。ほかにバラやシャクナゲ、クレマチスなどが咲く四季の景色も一見の価値ありですよ。 ・花の庭巡りならここ! 世界一の藤棚が見られると海外からの呼び声が高い「あしかがフラワーパーク」 【関東地方・栃木県】 バラのロマンチックな景色にうっとり「コピスガーデン」 那須ICから車で約8分、雑木林の緑に囲まれたナーセリー&ガーデン「コピスガーデン」。バラや宿根草が美しく植栽された庭では、トレンド品種や、時には発売前の品種も見られるので、花好きの人は要チェックです。ガーデンで育つ姿や仕立て方は、ガーデニングのヒントにもなりそう。カフェや雑貨店、苗売り場も併設され、ガーデナーに大人気のスポットです。 ・花の庭巡り、栃木「コピスガーデン」 ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。栃木県那須町「コピスガーデン」 【関東地方・茨城県】 一生に一度は訪れたいと話題の「国営ひたち海浜公園」 特に春のネモフィラと夏〜秋のコキアの花畑で有名な「国営ひたち海浜公園」は、季節によってさまざまな花が咲く広大な都市公園。一日では回り切れないほどの敷地の広さを生かし、面で見せる植栽が特色で、毎年多くの観光客が訪れます。林間アスレチック広場やバーベキュー広場、乗り物やアトラクションも充実しているので、たっぷり遊べる観光スポットです。 ・花の庭巡りならここ! 広大な敷地でダイナミックに花が咲く「国営ひたち海浜公園」 【関東地方・群馬県】 森散策で草花に癒される「赤城自然園」 「赤城自然園」は、「豊かな森を次世代に引き継ぐ」ことを理念に、約40年前から整備されてきた森です。園内の森には、花木や山野草、宿根草、球根植物などが植栽され、特に観光ガーデンでは珍しく、在来種の楚々とした魅力ある姿を味わうことができます。気持ちのよい森の中で、さまざまな植物と出合い、心も体もすっきりとリフレッシュできるスポットです。 ・花の庭巡りならここ! 四季折々の花が紡ぐように咲く美しい森「赤城自然園」 【関東地方・群馬県】 一日過ごしても飽きない花風景「ぐんまフラワーパーク」 18万4,000㎡の広大な敷地に、3,000種以上、約50万株の植物が育つ「ぐんまフラワーパーク」。大きく3つのエリアに分かれ、イングリッシュガーデンやロックガーデン、ハーブ園、温室など、多様なガーデンを楽しむことができます。四季折々の花々が次々に咲く園内は、いつ訪れても表情豊か。ガイドツアーやレストランも充実し、一日楽しめるガーデンです。 ・花の庭巡りならここ! 一日過ごしても飽きない「ぐんまフラワーパーク」 【関東地方・群馬県】 ため息がこぼれる美景を堪能!「東武トレジャーガーデン」 約4,000種100万株の植物の競演が楽しめる「東武トレジャーガーデン」。約8万㎡の敷地は3つのエリアに分かれ、アーチを連ねたバラのトンネルや色鮮やかな花畑、ボーダーガーデンなど、息をのむような美しいシーンが次々に現れ、自然に足を進めたくなるガーデンデザインがなされています。 ・花の庭巡りならここ! ため息がこぼれる美景を堪能! 「東武トレジャーガーデン」 【関東地方・千葉県】 5年連続で100万人の入場者「東京ドイツ村」 国内の旅行者はもちろん、外国人観光客も多く訪れる「東京ドイツ村」では、多数のアトラクションやレジャー体験が楽しめるだけでなく、四季を通して美しい花景色が楽しめる、花の名所としても知られています。飲食店やショップも充実していて、楽しい休日を過ごすことができますよ。 ・花の庭巡りならここ! 花々で彩られるレジャー施設「東京ドイツ村」 【関東地方・千葉県】 国内有数のバラ園「京成バラ園」 千葉県の「京成バラ園」は、敷地面積約3万㎡に、約1,600品種1万株のバラが植わる、国内有数のバラ園です。バラを主役にしたガーデンは、手入れの行き届いた整形式庭園で、最盛期はどこを見てもバラの花が咲き乱れ、眺めたり、香りを比べたり、写真を撮ったりと、心ゆくまでバラの世界に浸ることができます。バラ園のほか、温室や自然風庭園も楽しめます。 ・花の庭巡り 千葉「京成バラ園」 【関東地方・千葉県】 植物がテーマのミュージアム「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」 屋外の庭だけでなく、アトリウムガーデン(屋内花壇)や熱帯温室で構成される「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」。屋内の展示が充実しているので、天候に左右されずにゆっくり楽しむことができます。年に数回植え替えをすることで、初夏はバラやアジサイ、ラベンダー、夏はヒマワリなどいつ訪れても新たな気分で楽しめるのも人気の秘密です。 ・花の庭巡りならここ! 植物がテーマのミュージアム「三陽メディアフラワーミュージアム 千葉市花の美術館」 【関東地方・東京都】 エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 新木場駅から徒歩約15分という立地に、高層ビルを背景に立つ都会のオアシス、「夢の島熱帯植物館」。熱帯植物館という性質から、屋外ガーデンが寂しくなる冬でも、みずみずしい緑を堪能することができます。一歩大温室に足を踏み入れればエキゾチックな光景が広がり、ナイトガーデンや空中散歩など、ユニークで魅力的なイベントも多く開催されています。 ・花の庭巡りならここ! エキゾチックな植物の宝庫「夢の島熱帯植物館」 【関東地方・神奈川県】 横浜ローズウィーク参加のバラ園「横浜イングリッシュガーデン」 2018年に「世界バラ会連合」より、「優秀庭園賞」を贈られた「横浜イングリッシュガーデン」。1,700品種以上にも上る表情豊かなバラや、数々の宿根草、樹木、一年草が織りなすさまざまな美しい景色が一年を通して見られる、魅力的なガーデンです。バラと合わせる植物にも、ガーデニングで真似したくなる素敵な組み合わせやシーンがそこここで見られます。 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「神奈川・横浜イングリッシュガーデン」の四季
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新潟県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。新潟県「国営越後丘陵公園 香りのばら園」
小山内さんの勧めをきっかけに撮影へ レンガの柱いっぱいに咲くイングリッシュローズの‘エブリン’(Evelyn)。こんなに咲いているエブリンを見るのは初めて。辺りは濃厚な香りに包まれていた。 今月ご紹介する庭は、新潟県長岡市の「国営越後丘陵公園 香りのばら園」です。今から約8年前のことと記憶していますが、NHK『趣味の園芸』編集部から、「翌年の秋バラの特集用に秋バラのストックフォトを撮っておいてください」と連絡がありました。僕は千葉県に住んでいるので、「京成バラ園」に行くのが都合がよいと思いながらも、ふと「今回はまだ行ったことのないバラ園に行ってみようか」と思い立ちました。 少し青みがかった葉と香りのよいピンクの花が美しいアルバローズ‘ケニギン・フォン・デンマーク’(Königin von Dänemark)。 そこで、当時よく仕事でご一緒させていただいていた京阪園芸の小山内健さんにオススメのバラ園を尋ねてみると、「越後丘陵公園がいいです! 品種も多いし、何より手入れが素晴らしいから」とのことでした。越後丘陵公園は、香りのバラのコンテストが有名なのは知っていましたが、それ以上のことは知りませんでした。小山内さんの勧めなら行ってみようと、教えていただいたガーデナーの石原久美子さんに連絡をしました。 絞りのバラはいっぱいあるけれど‘カマーユ’(Camaieux)は格別美しい。 電話で簡単なご挨拶をして、何日頃がよいかなど打ち合わせをさせていただいた際、石原さんは僕の名前をご存じだったようで、「今井さんに来ていただけるなんて嬉しいです」と言ってくれたのです。僕も何だか嬉しい気持ちで電話を切ったことを覚えています。 初めての地とは思えない歓迎も思い出に [2016.5/28 pm6:45] 「ばらと草花のエリア」のイングリッシュローズの園路。この年は特にイングリッシュローズの咲き具合が素晴らしく、カメラを構えてみるけどレンズは真西を向いてしまい、撮影に苦心した。結局午後7時近くなって奥の山に日が沈むまで待つことで撮れた一枚。2018年のポスターに採用された、忘れられない写真だ。 撮影当日、バラ園の入り口から連絡をすると、すぐにちょっと日焼けした石原久美子さんが笑顔で出迎えてくれました。早速、石原さんの案内で園内に入って行くと、小山内さんが言っていた通り、どのバラも凄い花数で咲いていたのです。さらには、奥の山が借景になっていて、とても気持ちのよいバラ園だなぁと思いました。 オールドローズの中でも人気の高い名花中の名花‘デュセス・ドゥ・モンテベロー’ (Duchesse de Montebello)。 バラを見ながら歩いていると、作業中のボランティアさんとすれ違う際、「今井さん! ようこそいらっしゃいました」と声をかけてくださったり、紹介していただいたマネージャーの渡邊さんも「撮影に必要なことは何でもおっしゃってください」と言ってくださって、ついさっき到着したとは思えないほど、とても居心地がよく好感を持ちました。 [2013.6/10] 「ばらと草花のエリア」。この頃から手入れが行き届いていて、きれいだった。 今回の撮影は「秋バラ」がテーマですから、モダンローズを中心に撮影しつつ、一通りの撮影を済ませた後は、個人的に気に入ったオールドローズの‘粉粧楼’(フンショウロウ)に釘付け状態で撮影を続けていました。すると、バラの作業の合間に様子を見にきてくれた石原さんが「こんなにたくさん今井さんに撮ってもらえて、あなたたちは幸せね」なんて、‘粉粧楼’に話しかけたりして。おだてられた僕は、すっかり良い気分で越後丘陵公園のファンになっていました。 あまり他のバラ園では見ることのない珍しいアルバローズ‘ブランシュ・ドゥ・ベルジーク’(Blanche de Belgique)。 撮影終了後に‘粉粧楼’を熱心に撮る僕の姿を見て思ったのか、「来年はぜひ春のオールドローズも撮りにいらしてください」と石原さんに言っていただき、「絶対に来ます!」と約束をして、その日は帰りました。 新潟のバラの最盛期、6月上旬に再び撮影の旅 [2018.6/4 am 5:00] マネージャーの渡邊さんが「明日は4時半から始めませんか?」と提案してくれたので、いつもより30分早く到着すると、バラ園は今まで見たこともない幻想的な光に包まれていた。夢中でシャッターを切った、お気に入りの一枚。 翌年は5月終盤、関東周辺の撮影が終わった頃から石原さんに連絡をして、オールドローズの開花情報を教えてもらいながら、撮影日を6月10日に決定。当日は夜中に千葉を出発して、5時過ぎにはバラ園近くの事務所まで到着しました。すると、お二人はもう準備万端。すぐにバラ園のゲートを開けてくださり、お目当てのオールドローズのエリアへと直行しました。まずは朝露に濡れた芝の上をゆっくり歩きながら、満開のオールドローズ、一つずつの顔を見ながら撮影に最適なバラを探していきます。 小山内さんが「ここのブラータが日本一」と言う通り、本当に美しいブラータ(Rosa ×centifolia bullata)。 オールドローズエリアの中ほどまで進むと、ロサ・ケンティフォリア・ブラータが見事に咲いていました。このバラは、小山内さんが「日本一のブラータ」といつも言っているバラです。僕もブラータはいろいろな場所で見ていますが、キャベツのような葉っぱであまり花付きはよくないバラで、なかなかうまく撮れないと感じてきました。そんなプラータが、自然樹形で茂り、僕の目の高さで満開に咲いていたのです。美しく咲く花がいくつもあるじゃないですか! 黒赤系のガリカローズの名花‘トスカニー・スパーブ’(Tuscany Superb)。初期のイングリッシュローズで、‘キアンチ’(Chianti)の交配親として使われたことでも有名なバラ。 「素晴らしいな」「どう撮ろうかな」と考えながら角度を変えたりしてブラータを見ていると、後ろのモスローズのコーナーでは、‘コンテス・ドゥ・ミュリネ’が咲いているし、隣にはダマスクローズの‘レダ’に‘イスパハン’、その向こうには、大好きなガリカローズの‘アラン・ブランシャール’に‘トスカニー・スパーブ’が‼️ いったい、どこから撮り出せばよいのやら…。 [2017.6/6 pm 6:30] 「ばらと草花のエリア」のジギタリスも以前のピンク系から大人っぽい色合いに変わって、さらにオシャレなエリアになっていた。 幸い、その日の朝は晴れたり、日中は曇ったり、夕方はまた晴れたりしたので、一日中ほぼオールドローズのエリアにいた気がします。この日以来、毎年6月上旬の僕のスケジュールは、越後丘陵公園の撮影日と決まりました。毎回、開花情報を石原さんに聞きながら、天気の良い日を選んで1泊2日の撮影です。初日の夕方19時までと、翌日の早朝5時からの撮影ですが、いつも僕のわがままに笑顔で応えてくれる渡邊さんと石原さんには本当に感謝しています。 くすんだ薄い紫色の花がブルーイングしてグラデーションになる姿が美しいガリカローズ‘ベル・ド・クレーシー’(Belle de Crecy)。 2014年にはオールドローズの写真展を、そして2017年には僕の写真でバラ園のポスターも作っていただきました。美しいバラと素敵な方々との心地いい関係を思うと、本当にバラのカメラマンをしていてよかったなと思います。 ‘クロッカス・ローズ’(Crocus Rose)。宿根草とイングリッシュローズのコラボレーションは、このバラ園の見所の一つ。 追伸:今回は僕の趣味の話で、オールドローズのことを中心に書きましたが、もちろん国営越後丘陵公園には、イングリッシュローズもハイブリッドティーも、フロリバンダも、どれも石原さんと公園スタッフの方々、そしてボランティアの方々の手入れによりきれいに咲いています。ぜひ、越後のバラに会いに行ってください。 併せて『花の庭巡りならここ! ロザリアンの聖地「国営越後丘陵公園 香りのばら園」』もご覧ください。



















