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岡山県

花の庭巡りならここ! 1万株のラベンダー畑が圧巻「蒜山ハーブガーデン HerBill」
雄大な蒜山三座を望むロケーションも魅力 涼しい高原気候ですくすく育つハーブ 「蒜山ハーブガーデン HerBill」は、1998年にオープン。標高600mの高原気候はハーブの生育に適した環境で、町おこしの一環として、そして市民の交流の場として整備されました。総面積は3ヘクタール、ハーブガーデンは700㎡(ラベンダー畑を除く)で、1時間ほどで見学できる広さです。 ラベンダー畑には約1万株ものラベンダーが植栽され、西日本最大級の規模。ガーデンでは約200種のハーブのほか、バラや宿根草、一年草、カラーリーフプランツなどを組み合わせた、ナチュラルスタイルの植栽を楽しめます。当初はハーブの種類を解説する展示圃場のスタイルでした。しかし、来園者の声に応えて、野菜やハーブ、草花を組み合わせたポタジェ、緑陰にはシェードガーデン、花の種類を見やすくするレイズドベッドなど、写真に収めて美しい景観を意識したガーデンへと進化。現在も毎年リニューアルを重ね、目新しいスポットが次々と登場しています。 そして特筆すべきは、蒜山三座を望む景観のよさ。晴れた日はくっきりと稜線が浮かび上がり、その雄大な姿に圧倒されますが、霞がたなびく景色も美しく、秋以降には雲海が広がって幻想的です。昼夜の気温差が大きいため、平地よりも花色が冴えて美しいのも魅力。夏は高原をわたる風が心地よく、植物たちも元気に咲き続けます。 「ハーブガーデン」という名称ですが、ハーブのほかにも、四季を通してさまざまな草花の開花リレーを楽しめます。春はスノードロップ、クリスマスローズ、チューリップ、初夏はバラやアジサイ、ラベンダーが見どころ。真夏はルドベキアやエキナセアが咲き誇り、秋にはセージやダリアが主役に。切り戻したジギタリスやデルフィニウムも秋遅くまで元気です。 園内に建つ「香りの館」には、ガーデンショップ、雑貨&土産物を扱うショップ、クラフト体験ができる工房、カフェがあり、観光施設として魅力的なコンテンツが用意されています。定期的にイベントも開催。ガーデンガイドツアーやバラの育て方セミナー、ガーデニング講習会、夜間に開放してジャズバンドのコンサートを行ったり、秋にイギリスの湖水地方にちなんだ「ブリティッシュフェア」を開催したりと、内容も多彩です。一日過ごしても飽きずに楽しめる、今時のハーブガーデンにぜひ足を運びましょう! 何時間でも座って眺めていたい 癒やし空間を目指したハーブガーデン 新緑が美しい5月上旬の、レイズドベッドで囲んだガーデン内の一角。モルタルで造作してレンガを貼りつけたウォールやベンチ、アーチなど、アイキャッチを多数設けて撮影スポットに。常に「現在進行形の庭」を意識し、毎年ブラッシュアップを続けているので、それを楽しみに訪れるリピーターも多いとか。今や年間4万5,000人が訪れる、人気の観光スポットです。 高原気候のため、バラの見頃はやや遅めの6月頃。写真はオールドローズの‘ランブリング・レクター’2株を仕立てた一角。降るように咲き誇っていますね。一季咲きのため、花が咲かない時期でもつるを伸ばす姿が美しく見えるように仕立て方を工夫しています。 そして注目して欲しいのは、昼夜の温度差が大きい高原ならではの花姿の美しさ。「イングリッシュローズの‘ガートルード・ジェキル’って、こんなに素敵だったんだ!」と専門家も絶賛するほど、花色は冴え冴えとし、カップはより深くなって魅力を放ちます。 写真はパステルブルーでペイントしたアーチを連ねてトンネルをつくり、バラとキャットミント‘ウォーカーズロウ’など宿根草を組み合わせた、ナチュラルな一角です。レイズドベッドの間をつなぐアーチが、シーンの場面転換の役割に。カーブをつけた小径や仕切り役のアーチ、ボリュームいっぱいに張り出させた植物などで視界を遮ることで、自然とその先へと歩き出したくなるデザインにしています。 ラベンダーの見頃は7月頃で、「駐車場について、車のドアを開けたらラベンダーの香りに包まれた!」と訪れた人が感嘆の声をあげるほど、風が香ります。約1万株が斜面を埋め尽くす、ラベンダー畑は壮観です。品のよい淡い紫の花で香りが強い、オリジナル品種の‘ドリーム’には、ぜひ注目を。カフェ以外なら飲食物の持ち込みはOKなので、ベンチでお弁当を広げるのもいいですね。 2019年は7月6日から、ラベンダーの摘み取り体験を実施。当日受付で参加でき、費用は500円です。ハサミとカップが配られて、カップいっぱいになるまで摘み取りができます。100本ほどになるので、お得ですよ! 写真は秋のガーデンの一角で、カラーリーフの組み合わせにセンスが光ります。花を引き立てるグリーンの割合にはこだわりがあり、花3に対して葉7が心地よいと感じる比率とか。「華やかに咲き誇る花のエネルギーに圧倒される感動空間というよりは、リラックスして何時間でもボーッと過ごせる癒やしの空間ですね。秋のだんだん黄昏れていく景色にも、趣がありますよ」とガーデン制作担当の小谷さん。 毎年10月には「秋のブリティッシュフェア」を開催しており、紅茶の楽しみ方レッスンやマーケットなど、イギリスにちなんだイベントが盛況となります。 ポピュラーからレアまで揃うガーデンショップ クラフト体験ができる工房で、ぜひ思い出づくりを 「蒜山ハーブガーデン HerBill」園内に建つ「香りの館」。1階のガーデニングショップでは、宿根草などの花苗、ハーブ各種、バラ、コニファー類、樹木類、鉢、ガーデニング雑貨など幅広く取り揃えています。園内で一目惚れした植物があれば、ここで販売している可能性大。ぜひ立ち寄って相談を! センスよくまとめた寄せ植えもあります。 「香りの館」1階のショップでは、地元のお菓子などの土産物のほか、ハーブティー、フレグランススプレーやアロマオイル、インテリア雑貨などを販売しています。ハイセンスな雑貨ばかりが揃うので、一気にテンションが上がること間違いなし! 主な価格帯は800円〜。ここでしか買えないオリジナルグッズ、「ラベンダーのハーブ枕」2,000円がオススメです。 「香りの館」2階にはクラフトルームがあります。リース作り、ハーバリウム作りなどを実施しており、予約なしで参加OK。1時間くらいででき上がります。予算はサイズや使う花材によって変わりますが、リースが900円〜、バーバリウムが1,000円〜です。定員は40名ほど。 写真は、ハーバリウムの作品例。ボトルのサイズや使用する花材など、どれも個性がありますね。スタッフが丁寧に教えてくれるので、初めてのチャレンジでもきれいに仕上がります。訪れた記念に、世界に一つだけの作品を作って、思い出とともに持ち帰りましょう! 地元の食材を使ったランチは絶品! インスタ映えするハーブティー&ドリンクも 「蒜山ハーブガーデン HerBill」はカフェを併設しているので、歩き疲れたら休憩を。お天気に恵まれたら、テラス席で食事を楽しめます。蒜山の眺望が素晴らしく、高原らしい清涼な風が吹き抜ける心地よさも格別。テラス席はペット同伴OKなのもうれしいですね。 カフェでは各種パスタ1,000円〜、ピザ1,300円〜、蒜山のジャージービーフを使ったカレーランチ・サラダ、ジャージーヨーグルト付き800円やビーフライス1,000円などのメニューが揃います。季節によって旬の食材を用い、園内で育ったハーブも使用。写真は蒜山だいこんおろしの和風パスタ1,000円です。 カフェのデザートは、シフォンケーキやリコッタチーズのケーキなど、手作りケーキが単品500円、ケーキセット600〜800円(ドリンクによって価格に幅があります)。ドリンクメニューはハーブティーのラインナップが豊富で、体にやさしいハーブブレンド各種(400円)から選べます。写真はマロウティーで、ブルーのティーにレモンシロップを入れるとピンクに変わりました! インスタ映えするベリーベリーソーダ、ラベンダーソーダ各500円もオススメです。 レストラン横の苗売り場では、オリジナルのラベンダーソフトクリームも販売(350円)。自家製ルバーブビーツジャムをトッピングしたルバーブサンデー450円も人気です! Information 蒜山ハーブガーデン HerBill 所在地:岡山県真庭市蒜山西茅部1480-64 TEL:0867-66-4533 http://ww81.tiki.ne.jp/~herbill/herbill-home.html アクセス: 車/米子自動車道蒜山I.C.より約5分 オープン期間:4〜11月 休園日:無休 営業時間:9:00~16:30(季節によって変更あり) 料金:大人300円、中高生200円、小学生以下無料 駐車場:普通車80台、バス8台、身障者スペース2台(いずれも無料) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/ 写真一部(*)/3and garden
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イギリス

フラワーショーで見比べる植栽デザインのワザ【世界のガーデンを探る22】
フラワーショー特有の植栽とは これまで、イタリアやフランスなど、各国で実際につくられた歴史ある庭の特徴や植栽方法について話してきました。今回は視点を変えて、現代のフラワーショーにおける植物の植え方について解説したいと思います。この記事では、実際に僕が参加したチェルシーフラワーショーと、ハンプトンコートフラワーショーで見たショーガーデンを中心にご紹介します。 フラワーショーでの花の使い方は、全くといっていいほど制限がなく自由なので、植物材料、配置、配色、組み合わせなど、デザイナーの理想とする空間をつくり上げることができます。とはいえ、あくまでも常識の範囲内です。例えば、サボテンとミズバショウを一緒に植えるというようなことは、審査の段階でマイナスになることが十分考えられるので、あくまでも植物を扱う者としての知識と経験によって組み合わせを考えることになります。ただ、チェルシーフラワーショーなどが開催されるイギリスと日本では気象条件がかなり異なるため、イギリスでの庭づくりは、イギリスにおいての常識の範囲内で行うことになります。例えば、陽射しの柔らかなイギリスでは、ギボウシやアオキなどは日向でも日焼けすることはないので、日向の植物として扱えます。 以下に、ガーデンショーでディスプレイされた、いくつかの庭を取り上げます。 ガーデンショーでの植栽例 非現実的なベッドのあるデザイン ハンプトンコートパレスフラワーショーで制作された、2006年のガーデンです。赤を基調にしたフォーマルスタイルの庭で、植物は、手前からヒューケラ、ゲラニウム、ヘメロカリス、リアトリス、バラ、アスチルベなどが、天蓋付きのベッドへと視線を導いています。実生活ではあり得ない空間をつくり出していますが、そこはフラワーショー。自由なデザインが許されています。芝や明るい緑色の葉が補色関係になって、きれいに赤を引き立てています。 紫を基調にしたシックな庭 オープンなオフィスのイメージでしょうか。コンテンポラリーな椅子とあいまって、ちょっと狭い感じもしますが、モダンで素敵な空間ですね。この植栽は、僕も手伝ってデザイナーと一緒に制作を楽しみました。ルピナスや真っ白なジギタリスで縦の動きを強調しつつ、ヒューケラ、セージ、エリンジウムなどでカーペットをつくりました。個人的にはとても気に入った庭ですが、女性の方にはちょっと渋すぎるかもしれませんね。 白いウォールに囲われたガーデン 同じ紫の庭でも、こちらは白のウォールを取り巻くように、いろいろな花が植えられています。ストエカス系のラベンダーを中心に、オダマキやユウゼンギク、ニコチアナなどが植えられ、それに斑入りの植物をうまく混ぜて、優しい雰囲気の植栽になっています。ここでも前回解説した、ガートルード・ジーキル女史のパッチ状にグループで植える手法が生きています。ただ、中心のベンチの存在感が、今ひとつ薄いようです。例えば、優しい紫とかオレンジとか、何かアクセントになるカラーに椅子を着色しても印象がずいぶん変わると想像できます。 明るく開放的な空間づくり これは先ほどのガーデンとは対照的に、明るくて色とりどりの花で彩られた開放的な空間です。赤いダリアやセンニチコウ、ルドベキア、黄花のヘメロカリス、それにユリやデージーの白が混じり、そこにオーナメンタルグラスや三尺バーベナを加えて、さらにボリュームと深みを演出しています。構造物は、明るい木造を基調に、濃いこげ茶色の椅子と真四角な白いポットをシンメトリーに配置し、葉が枝垂れるアガパンサスがカジュアルな雰囲気を出しています。 アイキャッチを効果的に使った庭 いかにも男性デザイナーのつくった庭、という雰囲気のガーデンです。手前にリズミカルに丸い花を咲かせるアリウムを植え、その白い花と淡いブルーのアイリスが、見る人を庭の中に招き入れています。中央の円い池を囲むように多くのシルバーリーフの植物を混ぜ合わせ、その間に明るいオレンジのポピーが咲いて視線を自然に中へと誘っています。奥のほうにはアーティチョークや白花のアイリス、それらを引き立たせるためのバックドロップとしてベニシダレモミジを植えています。抑えた色の木の塀に緑と白のピジョンハウスらしきものと、レンガのステップが落ち着いた雰囲気をつくっています。もしオレンジのポピーを手前に持ってきていたら、その鮮やかさゆえに視線がそこに集中してしまい、庭全体が薄っぺらになっていたことでしょう。アイキャッチの植物は、あくまでも少なめに、奥のほうに配置することが大事です。 イギリスで馴染みがない植物にも挑戦した庭 こちらもチェルシーフラワーショーに登場した2004年のショーガーデンです。池の向こうには、オープンテラスのようなウッドデッキ風の渡橋があり、その先には素敵な赤いチェンバー(部屋)がチラリと見えています。 手前の植栽はマルチステム(株立ち)のサルスベリを中心に、最近イギリスでもかろうじて越冬できるようになった木性シダ。海老茶色のグラウンドカバーは、銅葉のシソとニューサイランで、その間に赤いヘメロカリスとオレンジ花のマリーゴールド、アリウムやリアトリス。そしてもっと奥にはバショウの大きな葉が見えています。イギリスでは馴染みの少ない植物ばかりで、ちょっとエキゾチックな雰囲気が漂っています。我々日本人にとっては、それほど珍しい植物ではないのですが、チェルシーでは新しい植栽だと思います。 こうした新しい植物や使い方のアイデアを来訪者に見ていただくことにより、そのアイデアを持ち帰って自分の庭に生かしてもらえるよう啓蒙することも、フラワーショーの大事な役割の一つです。 二宮式植栽法で手掛けたガーデン 写真の庭は、イギリスの友人であるジュリアン・ダール氏がデザインした「チェルシーホスピタルガーデン」です。2005年のチェルシーフラワーショーで初めて三冠に輝いた庭として有名になりました。三冠とは、ベストガーデン、ゴールドメダル、そして人気投票で一番のピープルズチョイスに選ばれた庭のことをいいます。この庭の植栽は、すべて僕が担当しました。 写真右は、庭の中にある小さな池の周りで、自然を感じさせる植栽を再現しました。もちろん、ここはショーの期間のために制作するので、「ナチュラル」を再現する努力とテクニックが必要です。日本風(二宮式)とでもいうか、自然な雰囲気を出すように心がけたことを思い出します。 写真左は、まるでおとぎ国のような茅葺きのコテージの植栽です。デルフィニウムのはっきりとした直線とつるバラの幹の曲線。そこにオレンジ色の2色咲きのオダマキと足元のピンクのフウロソウが全体にうまく溶け込んでいます。手前のバケツは手動式の消化ポンプです。これも、この庭が1950年頃のイギリスの田舎の風景であることを感じさせるコーディネイトです。 また写真右は、日本のクリンソウです。赤い花の奥に少し黄色のクリンソウを入れたことで、ずっと奥行き感が出せました。ここは一度他の植え方をしていたのですが、しっくりこなかったので、急遽、翌朝すべて植え替えたという、自分にとっても印象深いシーンです。 植栽を担当した「ヨークシャーガーデン」もゴールドメダルを受賞した庭です。デザイナーのジュリアン(Julian Dowle)氏の図面には、植栽は具体的にあまり書かれていませんでしたので、集められた植物材料を見ながら、自然風の植栽風景をつくることを意識しながら、即興で配置と配色を決めていきました。このような自然風な混植植栽は当時のイギリスでは新鮮だったのか、何人かのデザイナーから翌年の植栽のオファーがありました。 「ヨークシャーガーデン」の水辺の植栽です。黄色い花はプリムラやラナンキュラス、ピンクはシレネ、それにブルーのワスレナグサを入れました。このような植栽をしてしまうと、手直しに庭に入ることもままなりませんので、ゆっくり後ずさりしながら完成させていきます。ピンクのシレネはとても使いやすく、固くなりがちな植栽を優しく混ぜ合わせてくれますので、個人的にはとても好きな植物です。 チェルシーフラワーショーの思い出 海外のフラワーショーでは賞金のようなものはなく、写真のような賞状を一枚いただくことができる名誉賞です。また、チェルシーフラワーショーのゴールドメダルは、日本語では金賞と訳しますが、1位を表すのではなく、「いい庭」を意味し、多くの場合、審査の結果で複数の庭が受賞します。ただし、ベストガーデンは一つだけ。受賞する庭がない年もあるようです。 フラワーショーでは、審査時にベストな状態に持っていかなくてはならないので、開花時期の調整はもちろん、健全な材料を使うことが大事です。多くの花が数日の命ですので、海外のフラワーショーの開催期間も長くて1週間程度です。期間が長くなると花が終わってしまったり、変色してしまうため、デザイナーの意図していた配色ではなくなってしまいます。日本ではせっかくつくったのだからと、もう少し長く展示されることが多いのですが、デザイナー側から考えると、自分が思い描いた植物の配置や配色は1週間が限度だと思います。ちなみにチェルシーフラワーショーの大庭園部門では、最低でも数百万から1千万円、多くの庭は2千万円ぐらいの予算が必要となりますので、簡単に参加するという訳にはいきません。 チェルシーフラワーショーでは毎年審査が行われ、審査結果が発表される前に、ロイヤル・ビジットといって王室の方々やエリザベス女王陛下がお見えになります。写真の後方に写っているのは、僕が初めて1995年にチェルシーでつくった「ホンダティーガーデン」です。メインの大庭園部門で、日本人として初めてゴールドメダルを受賞した思い出の庭です。その後も女王陛下とは幾度か庭の話をさせていただきました。英語には日本語のような敬語がないので、普通に両国の庭のことや僕がつくった庭のことなどをお話しすることができました。
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花の庭巡りならここ! 富士山を望むナイスビューが魅力「松田山ハーブガーデン」
風通しのよい傾斜地を利用したハーブ園 2階の工房ではクラフト体験も実施 1997年6月にオープンした「松田山ハーブガーデン」。広さは3,667㎡にも及び、ゆっくり歩いて公園全体を散策するのに、約1時間かかります。農地の荒廃化と農業離れを防ぐため、新しい魅力ある農産物としてハーブの栽培を取り入れ、また町を活性化する観光スポットを目指して整備されました。 松田山ハーブガーデンでは、181種、約16,500本の植物を植栽。主に4月中旬〜6月はチェリーセージ、5月中旬〜6月はストエカスラベンダーやダイヤーズカモミール、6月中旬〜7月はアカンサス、6月下旬〜7月はグロッソラベンダー、6〜8月はベルガモット、9〜10月はチェリーセージ、アメジストセージへと開花リレーがつながれ、四季を通して見どころを設けています。 ハーブが息づくのは南側の斜面で、日当たり・水はけ・風通しがよく、植物がすくすくと育ちやすい環境。園路はスイッチバック方式に整備されているので、ハーブ畑の間を縫うようにゆるやかに頂上へと導かれていきます。足柄平野を見渡し富士山を望む絶景に、思わずため息がこぼれることでしょう。 頂上に建つ円筒形のハーブ館では、ハーブ関連商品を扱うショップや地元の特産品が並ぶ土産物店で、お買い物を楽しめます。2階にはハーブを利用したクラフト体験ができる工房があり、当日申し込みで参加できます(木・土・日曜のみ)。一番のナイスビューが広がる3階のレストランでは、1,000円前後の価格帯でランチを楽しめるほか、デザート、ドリンクも揃います。特にハーブティーのラインナップが充実していますよ! 春と秋の年2回、「ハーブフェスティバル」を開催し、冬は「松田きらきらフェスタ」と題したファンタジックなイルミネーションを無料公開するなど、「松田山ハーブガーデン」では、さまざまなイベントが盛りだくさん。リピーターも多く、年に約17万人が訪れる、町の魅力的な観光スポットになっています。爽やかな風香るハーブガーデンに、ぜひ足を運んでみてください! 春は河津桜と菜の花が織りなす絶景から始まり 晩秋までハーブと季節の花々が咲きつながる 「松田山ハーブガーデン」では、2月中旬〜3月中旬に開催される「まつだ桜まつり」で、約360本の河津桜と菜の花の共演を楽しめます。桜の観賞がメインとなる散策路内では、シートを広げてのお花見は不可となっていますが、公園上部にある芝生広場では飲食OK。飲酒の制限もありません(ただし周囲の方々に迷惑をかけない程度に)。足柄平野と桜を一望しながら、晴れた日には富士山も顔を出すナイスビューを前に、会話も弾みそうですね! 頂上に建つハーブ館からハーブガーデンを一望した風景。日当たり良好な南斜面にラベンダー、セージ類、ローズマリー、カモミール、レモングラス、アーティチョークなど多様なハーブが、区画された中に植栽されています。ガーデンの標高は下部が約110m、上部が160mと高低差がありますが、園路はジクザクに折り返しながらゆるやかに整備されているので、ご安心を。ハーブの香りに癒されながら、ゆっくりとそぞろ歩きを楽しみましょう。 2019年は6月1〜9日に「ハーブフェスティバル」を開催。この期間はJR御殿場線「松田駅」北口から毎日シャトルバスが運行されます(大人150円、子ども80円)。「英会話をしながらスワッグ作り」や「第2回松田ミュージックフェス」、「ハーブ体験教室」、「ハーブガーデンで摘み取り体験」など、楽しいイベントを実施。フェスティバル中は、ハーブガーデンへのワンちゃん同伴がOKです! 写真は秋のハーブガーデンの様子です。多種類のセージやサルビアが主役となり、園内を豊かに彩ります。2019年10月上旬〜中旬には、秋のハーブフェスティバル「オランダまつり」を開催予定。オランダの民族衣装を着用しての記念撮影や、ストリートオルガン演奏会、オランダ文化のミニ講座などが開催されます。売店では、オランダグッズの数々も登場。ほかにハーブの摘み取り体験や、ハーブクラフト体験など、多様な催し物が展開される予定です。 園内を走る「ふるさと鉄道」が大人気! イルミネーションやハーブクラフトも楽しめる 写真は、園内の「ふるさと鉄道」の様子。山岳鉄道「シェイ式蒸気機関車」(ミニSL )と小田急ロマンスカーは、どちらも実物の1/6のスケール。ミニSLは、本物と同じ蒸気を動力とした精巧で本格的なつくりです。高低差30m、片道550mを約20分かけて往復。途中、急斜面での2カ所のスイッチバックや鉄橋、踏切もあります。料金は12歳未満が200円、12歳以上は300円。不定休のため、運行日はホームページにて確認を。雨天時は運休します。 例年11月下旬〜12月下旬に、「松田きらきらフェスタ」が開催され、約18万球のイルミネーションが点灯されます。営業時間は17〜21時で、入園は無料です。足柄平野のダイナミックな夜景とも相まって、素晴らしい光のハーモニーを楽しめますよ! ハーブ館2階の工房では、木・土・日曜にハーブを利用したクラフト教室を実施(都合により中止になることもあります)。当日申し込み、受付時間は10:00〜11:30と13:00〜14:30。体験コースは「ハーバリウムづくり」2,000円・約40分、「瓶ポプリづくり」500円・約30分、「手練り石鹸づくり」500円・約30分、「バスソルトづくり」700円・約30分、「ミニリースづくり」500円・約30分など、多彩です。 ハーブ関連商品が豊富に揃う1階ショップ 眺望のよい3階レストランでの休憩もオススメ 1階はハーブ&お土産物売り場があります。ハーブ関連商品や地元の特産品がずらりと並び、目移りしてしまうほど。オリジナル商品は、ガーデンの花材で作ったクラフト(500円前後)や、パズル500円など。特にオススメしたいのは、ここでしか買えない寄(やどりき)産のお茶を使った丹沢大山茶アイスで、ほうじ茶・煎茶各270円。茶師謹製、絶品の味わいをお楽しみください! 3階のレストランでは、富士山、箱根、相模湾が一望できるナイスビューを楽しめます。営業日は木〜日曜、11:00〜16:00(L.Oは食事が15:00、デザート・ドリンクが15:30)。ランチは足柄牛ハンバーグ1,000円、パスタ900円、スープライス700円など。デザートはケーキ各種450円(ドリンクセット700円)、ソフトアイス(さくら、バニラ、チョコレート、抹茶)350円、ドリンクはハーブティー各種350円です。 そして、5日前に予約すれば(10名以上宴会予約のみ)、ディナーも楽しめますよ! 大きな窓の向こうには、キラキラと美しい夜景が広がります。特別に、8月の足柄花火大会とクリスマスのディナーは個別での予約にも対応。写真は花火大会の時のレストランの様子です。満席ですね、予約を急ぎましょう! 夜間予約の営業時間は18:00〜21:00。パーティーコースのお値段は、和食コース、写真の洋食コースが各一人3,500円(10〜24人)、パーティーコースが2,500円(16〜24人)、立食パーティーコースが2,000円(20〜40人)です。予約すると、なんと新松田駅北口と松田山ハーブガーデン往復のタクシー1台無料(4名乗車)、車で来場の際は駐車料金が無料になります! 忘年会や新年会、親睦会、女子会などにいいですね。 Information 松田山ハーブガーデン 所在地:神奈川県足柄上郡松田町松田惣領2951 TEL:0465-85-1177 https://nisihira-park.org アクセス:公共交通機関/小田急小田原線新松田駅北口を出て、徒歩約25分(新松田駅からタクシーで約820円 ※道路状況で変わります) 御殿場線松田駅北口を出て徒歩約20分 オープン期間:通年 休園日:年末年始、月・火曜(イベント時は開園) 営業時間:9:00~17:00(冬季は10:00〜16:00) 料金:無料 駐車場:70台(平日無料、土・日・祝日・イベント中は500円、桜まつり時は1,000円) Credit 取材&文/長田節子 ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。 https://twitter.com/passion_oranges/
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千葉県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪10 千葉「Calmeカルム」
絵本の世界のような空間が広がる こだわりの自宅ショップ 新設の大学やマンションが建ち並ぶ明るい駅前を通り抜け、静かな住宅地の中に佇む園芸店「Calmeカルム」。背後に広がる緑からにぎやかな鳥のさえずりが聞こえる、まるでサンクチュアリのような千葉県のショップです。 ここ「Calmeカルム」は、今からちょうど10年前に、中村さんが自宅の庭先につくったショップ。とても小さいスペースですが、中村さん厳選の苗やアイテムが集められた、こだわりの品揃えです。 売り場に並ぶ植物は、シックでありながらあでやかさも併せ持つ大人っぽい表情のものがメイン。こぢんまりと営む自宅ショップなので大量仕入れはできませんが、多品種を少しずつ仕入れることで、常に新しい苗が用意されています。「近くに大きなホームセンターがあるのですが、量では勝てないから、私のショップでは新鮮さとセンス、知識でカバーしています」。そのこだわりを求めて、近隣だけでなく遠くからもファンが集まってきます。 店を持つ以前は、海外の航空会社の空港勤務をしていたという中村さん。同居するお母さまの体調がすぐれないため、激務だった会社を辞め、介護をしながらガーデニングを開始。花を触ることは自身にとって大きな癒しとなり、どんどんのめり込んでいきました。次第にガーデニングの魅力をもっと周りに伝えたいという思いが強くなり、自分で貯めた資金で庭を店舗用に改修し、園芸の猛勉強をして、自宅でガーデニングショップを開業しました。 こだわりをあきらめずに追い求め、 手に入れた、理想のシェッド 店をオープンするにあたり、何よりもこだわったのが、庭先に作る店舗の建物の雰囲気。ウッドデッキだった場所を改修し、イギリスの片田舎風なシェッドを建てたかった中村さんは、いろいろな工務店に相談しましたが、なかなか思うようなデザインの提案が上がってきませんでした。けれど中村さんはあきらめず、数カ月間探し続けた結果、ようやく同じ世界が共有できるデザイナーに出会います。まだ経験が浅い若い勉強中のデザイナーでしたが、二人三脚で理想の空間を形にしていきました。 アンティークのアイテムをシェッドのパーツとして活用し、植物と絡めて。憧れの世界づくりに、妥協はありませんでした。 建てた当初に植えた1ポットのフィカス・プミラが、10年経った今、ここまで育ちシェッドをカバー。飾り棚やニッチにあしらったポットとともに、表情豊かなシーンを演出しています。 多肉のポットを配した飾り棚。窓には、アンティークのアイアンフェンスを取りつけ、本格的な風景に仕上げて。 シェッド前面に設けたトンネル型のニッチには多肉の寄せ植えをレイアウト。背面の窓には、厚みにむらがあるガラスを用いて味わいをプラス。写真左は外側、右は中側(店内)。 店舗の雰囲気をアップ! 周りを彩る植栽も必見 シェッドの周囲にはほんの小さなスペースしかありませんが、カラーリーフ類をメインに植栽。春から秋まで、次々に表情が変わっていきます。リピーターの方々は、この小さな植栽が見せる移ろいを見逃すまいと、たびたびショップを訪れています。 左/シェッド脇の細い園路。斑入りドクダミが明るさを添えて。 右/シェッドの屋根を覆うのはクリーピングタイム(2018年の写真)。「昨年の猛暑で枯れてしまいましたが、今年また新たな苗を植える予定です」と中村さん。 つややかなグリーンの中で、シックな彩りを添える、シキミアとペルシカリア。 フィカス・プミラの株元には、古びた道具類を転がしたディスプレイ。人気を感じさせる無造作加減が素敵。 シェッドに設置した雨どいを伝って落ちた雨水。メダカを泳がせて蚊対策をしています。 シェッドの雰囲気を盛り立てる 多肉植物のあしらい シェッドの周りにはたくさんの多肉植物の寄せ植えがコーディネートされています。ニュアンスのある色と造形がこの建物によく合って、古びた雰囲気を演出するのにぴったり。器にもこだわっているのがポイントです。 アンティーク感たっぷりのアレンジ。落ち着いた色調が、ビターなシーンを演出しています。 エイジング加工されたカップに、渋い色合いの多肉を寄せ植え。小さくても雰囲気たっぷり。 壁や柱にも多肉のアレンジをハンギング。あちこちで訪れた人の目を引いています。 シックな花と雑貨の 取り合わせも参考に 「Calmeカルム」では、現行品・アンティークを問わず、あでやかでシックな草花に合う雑貨を多数取り扱っています。決して目立つものではないけれど、存在感のあるアイテムをセレクトするのが成功のカギ。 アンティークの二連の洗面器台には、渋い色調のペチュニアとカリブラコアの苗を入れて、古びた雰囲気を強調しています。 シェッドを彩る、シルバーリーフのガザニアとカルセオラリアの苗を寄せたアンティークのベビーバス。白い器に赤×黄の花が美しく映えています。 店頭を飾る中村さん好みのシックな花々。「主張が強くないので、互いに合わせやすいところが魅力ですね」(左上/ビオラは見元園芸の極小輪ビオラ、右上/ユーフォルビア ‘ブラックパール’、下/アークトチス ‘バーガンディー’)。 絵本の世界のような 愛らしいシェッド内 中村さんこだわりのシェッド内は、生活に潤いを与えてくれるこだわりのアイテムがずらり。ガーデニングアイテムはもちろんのこと、作家によるクラフトや器、洋服までもが揃っています。「ちょっとしたプレゼントが欲しい時、都内まで行かなくても、ここに来れば素敵なものが見つかる――そんな品揃えを考えています」と中村さん。シェッド内は愛らしいものでいっぱいです。 ガーデニングを楽しくしてくれるハンギングバスケットやグローブなどが充実。インテリアとして飾っても素敵。 アンティークの柵が設けられた窓辺。透けるフィカス・プミラの葉がつややかな潤いをもたらしています。 おもてなしに活躍してくれそうな益子焼の器なども並んでいます。プレゼントにも最適。 中村さんが作った、ピンクのバラがメインのプリザーブドフラワーのアレンジ。制作の注文も受けており、ワークショップも行っています。 中村さん作のリースとプリザーブドフラワーのコサージュ。こちらも販売されており、ワークショップも開催。ぜひお問い合わせを。 オープンガーデンの時などにオススメの、花柄などナチュラルな雰囲気の洋服や帽子も並んでいます。 個性あふれるクラフト作家による小物類。同じ作家でも一点一点、色や大きさなどが異なるので、作品とは一期一会の出合いです。 2018年オープンしたカフェは ゆったりくつろげる隠れ家風 介護が終わり、2018年秋にカフェをオープンさせるという、新たなチャレンジに挑んだ中村さん。構想を練る段階で、一度コンサルタントの先生に相談したところ、「場所柄、運営は厳しい」という回答を受けました。けれど、そんな逆境に直面するほど情熱に火がつくのが中村さんのど根性気質。10年前にシェッド作成を依頼したデザイナーに再度連絡を取り、シェッドとは異なる‘ちょっと男前’な雰囲気の建物を建ててもらいました。 カフェは玄関まわりを改修して設置。10年でお互いに経験を積んだデザイナーとの合作はとてもスムーズで楽しいものだったそう。カフェの入り口には、たくさんの寄せ植えでおもてなしの気持ちを表して。 ヨーロッパの路地にでも迷い込んだような雰囲気のエントランス。オープン後訪れた弁理士に「なるほど、これなら大丈夫かな。勉強になりました」と言わしめたほどの、本格的で魅力的な仕上がりです。 エントランスの階段脇には、さまざまな季節の草花の彩りが。カフェに入る前からテンションが上がります。 店内からの眺めも考えて、ウィンドウプランターには長く楽しめる草花を植栽。夕方店内に明かりがつくと、とても雰囲気のある風景に。 ほんの数㎡の室内は落ち着いた内装で、囲まれ感たっぷり。居心地抜群なので、一人で訪れる人も多いのだとか。 中村さんイチオシのグッズはコレ! 樹脂製の軽いコンテナ 中村さんがオススメするのは、樹脂製のプランター。落ち着いた色味で使い込んだような質感は、さながら本物の焼きものプランター。色・形はさまざまで、白やブラックもあります。軽くて移動が楽なので、扱いやすいのが嬉しい。 逆境をバネにして生まれたガーデニングショップ&カフェ「Calmeカルム」。店名はフランス語の「穏やかな」で、お客様が穏やかな気持ちで過ごせるようにという思いが込められています。自分を信じ、こつこつと積み上げた努力が結実したショップ内には、ガーデニング好きの人はもちろん、それまで興味がなかったという人までが花好きになってしまうほどの穏やかで心地よい空間が広がっています。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、京成本線・公津の杜駅下車 徒歩約5分。駐車スペース有。 【GARDEN DATA】 Calmeカルム 千葉県成田市公津の杜1-1-16 TEL:0476-28-7659 https://calmekouzunomori.wixsite.com/calme 営業時間:11:00~19:00 定休日:木曜日(正月) Credit 写真&文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/カルム
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岐阜県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。岐阜県「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」
何年にもわたり通い続ける「バラの聖地」 岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」といえば、バラの品種栽培数日本一で、僕のようなバラのカメラマンにとっては聖地ともいえるバラ園です。ここ数年は毎年伺って、大好きなオールドローズを中心に、さまざまなバラの写真を撮らせていただいています。 雑誌の取材をきっかけに念願の撮影へ 初めてこのバラ園に伺ったのは、多分20年くらい前のことだと思います。雑誌の取材でイングリッシュローズを撮りに行くのがテーマでした。当時はちょうどイングリッシュローズが流行りだした頃で、関東でも‘メアリー・ローズ’や‘グラハム・トーマス’のような初期の有名な品種は案外簡単に見ることができたのですが、もっと新しい花となると、例えば、東京・日本橋三越屋上の「チェルシーガーデン」へ行くとか、イングリッシュローズマニアの方が丹精するお庭に伺うなどしかなく、まだまだ今のように新しい花を簡単に見ることはできませんでした。 そんな時代から、このバラ園には多くのイングリッシュローズが植えられていましたから、岐阜の花フェスタに行けるというのは、バラ好きカメラマンの僕にとっては夢のような話でした。当時、雑誌などの撮影依頼というのは、「取材先近くに住むカメラマンが撮影に行く」のが当たり前の時代でしたから、行きたくても縁がなかった岐阜の花フェスタの取材は「夢が叶った!」と飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。 カタログで見ていたバラの本当の咲き姿に感動 現地に着いて、事務所で担当の方にご挨拶を済ませたら、すぐにバラ園の中へ。頭の中はもう、デビッド・オースチン・ロージズのカタログの写真でいっぱい。広いバラ園の中でも、真っ先にイングリッシュローズが植栽されている「世界のバラ園」に直行しました。 長い通路を抜けて、つるバラのトンネルの先に、目指した「世界のバラ園」はありました。円形の広いバラ園の右側約半分ほどがイングリッシュローズのエリアでした。‘キャンティ’など古い品種から始まって、カタログ写真だけで知っていた花が、1品種3株ずつ植えられ、大株になって、たわわに花をつけています。早速レンズを向けると、ファインダーの中で数輪の花が今を盛りと咲いていて、まさに憧れのデビッド・オースチンのカタログの世界でした。 芝生の園路に片膝をついて香りを嗅いでは、ため息。ファインダーを覗くとお手本のような花があって、幸せな時間のなか夕陽が沈むまで撮影を続けた、僕がイングリッシュローズの魅力に開眼した日でした。 広い園内で数々の品種を撮影 その後も何回かこのバラ園に伺いましたが、次に印象に残っているのが、NHK出版編集、上田善弘さん&河合伸志さん監修の『バラ大百科』のための撮影の時でした。この本の撮影は各地のバラ園に行ったのですが、特に品種数の多い「花フェスタ記念公園」の撮影は、2日ほどかけて行いました。オールドローズあり、ハイブリッドティー、フロリバンダありと、膨大なリストに記載されているバラを一つずつ探しながら、とにかく広い広いバラ園の中で、目的のバラを探し出してはシャッターを切る。隅から隅まで歩き回る過酷なもので本当に疲れましたが、この経験はとても勉強にもなった、僕にとって忘れられない撮影でした。 その後も、雑誌の企画や自分のストックフォトの撮影に度々伺い、その都度担当の方に早朝に門を開けていただいたり、夕方まで撮影させていただいたりと、お世話になっていました。 近年はオールドローズの撮影が楽しみに 4年前にはオールドローズ仲間からガーデナーの西依束さんを紹介していただいたのですが、彼はオールドローズにとても詳しくて、いろいろなことを教えてもらえるのもあり、ますますこのバラ園でのオールドローズの撮影が楽しくなりました。それからは、毎年5月20日前後は「花フェスタ記念公園」で撮影をすると決めているのです。 また、昨年2018年の秋には「バラの写真を美しく撮るための写真講座」も開催させていただきました。今年もまた5月に写真講座を担当させていただいた「花フェスタ記念公園」は、僕にとって本当にお世話になっているバラ園なのです。
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神奈川県

バラの街で人気の横浜で建物探訪!「横浜山手西洋館巡り」
西洋館の始まり~横浜開港と外国人居留地の成立 1854年に、アメリカと幕府の日米和親条約が結ばれて鎖国が解かれると、1858年には、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、フランスと相次いで通商条約が締結されました。それにより国内5港(横浜、長崎、函館、神戸、新潟)で自由貿易が可能となり、開港地付近に、外国人の居住や事業などが許可された場所(居留地)ができました。 1859年、横浜港が開港されると、1860年頃より本格的に山下居留地での建築工事が始まりました。しかし、開港間もない当時は、開港や居留地制度に反対する者による外国人殺傷事件などが起こり、居留外国人防衛を目的に、山手の丘にイギリスとフランスの軍隊が駐留することになりました。 1866年、幕府は「横浜居留地改造及び競馬場墓地等約書」をつくり、1867年、バーン商会が幕府の命により、約22万5千坪の山手の土地を競売にかけたことで、次々と買い手がつき、やがて居留地の街ができていきました。山下居留地は商工業地区として、山手地区は住宅地区として洋館が建てられ、1875年には、イギリスとフランスの両軍隊は完全に山手から撤退していました。それにより、両軍隊の跡地の分割が行われると、山手居留地は益々整備が進み、病院、学校、墓地、教会、公園、ホテルなどの施設も充実しました。 現在の山手地区の主な歴史的洋館 現代の山手地区を大きく5つのエリアに分け、9つの建物をご紹介します。まずは各エリアの由来と、そのエリアにある建物の名称をリストアップしましょう。 Ⅰ. 港の見える丘公園エリア ①横浜市イギリス館 ②山手111番館 【エリア解説】1962年に開園し、園名は戦後の流行歌『港の見える丘』に由来します。 Ⅱ. 元町公園エリア ③山手資料館 ④山手234番館 ⑤エリスマン邸 ⑥ベーリック・ホール 【エリア解説】元町公園は、元町商店街から山手にかけての谷戸と呼ばれる地形に位置します。 Ⅲ. 山手公園エリア ⑦旧山手68番館 【エリア解説】日本初の洋式公共庭園であり、日本におけるテニス発祥の地です。 Ⅳ. 山手イタリア山庭園エリア ⑧外交官の家 ⑨ブラフ18番館 【エリア解説】1880~1886年に、イタリア領事館がこの地に置かれました。 西洋館探訪1 横浜市イギリス館(横浜市指定文化財) 1937年(昭和12年)に、英国総領事館公邸として、上海大英工部総署の設計により建てられました。コロニアルスタイルの建物は、現在、1階はコンサートホール、2階は会議室に利用され、寝室や展示室などが一般公開されています。 イギリス館周囲の庭園は、現在、「イングリッシュローズガーデン」と命名され、さまざまなイングリッシュローズと共に、宿根草などの草花との組み合わせや配置が見事な英国風ガーデンとなっています。アーチやオベリスクを利用した立体的空間デザインや各コーナーごとのカラースキームも大変素晴らしく、まるでイギリスのガーデンにいるような錯覚を覚えます。こちらでは、約130品種、約1,200株が植栽されています。 また、隣接された「香りのガーデン」では、特に香りが強く香料用のバラとして栽培されている品種をはじめ、中国や日本などのさまざまな香りのバラが50種以上と、100種以上の香りの植物が植栽されています。 フランスのグラースなどで香料用に栽培されている‘ローズ・ド・メイ’が、ベンチの後ろに数株並んで。 西洋館探訪2 山手111番館(横浜市指定文化財) 1926年(大正15年)に、J.H.モーガン氏による設計で、アメリカ人、ラフィン氏の住宅として建てられました。スパニッシュスタイルの洋館は、イギリス館南側に位置し、ローズガーデンを見下ろすように佇み、現在、地階は喫茶店となっています。 西洋館探訪3 山手資料館(横浜市認定歴史的建造物) 外国人墓地の向かいの山手本通り添いに建つこちらの洋館は、1909年(明治42年)に、中澤兼吉氏の邸宅として、本牧本郷町に建てられた和洋併設住宅の洋館の部分を移築したものです。現在、開港~関東大震災までの横浜や山手に関する資料を保存し展示しています。庭園には、洋館を背景にバラが数株植栽されています。 西洋館探訪4 山手234番館(横浜市認定歴史的建造物) 山手本通りを元町公園前に向かって進むと、間もなく見えてくるこちらの洋館は、1927年頃(昭和2年)に、朝香吉蔵氏の設計により建てられました。関東大震災で横浜を離れてしまった外国人に戻ってきてもらうための、外国人向けアパートメントハウスでした。当時は、3LDKの間取りが4セット、玄関ポーチに向かい合うよう設計されました。 こちらでは、ハンギングや寄せ植えなどがセンスよく配置されていました。 西洋館探訪5 エリスマン邸(横浜市認定歴史的建造物) 山手234番館の前の山手本通りを少し進み、向かい側にあるのがエリスマン邸です。1925~1926年(大正14~15年)に、日本の近代建築の父といわれるチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド氏の設計により、生糸貿易商社シーベルヘグナー商会のスイス出身フリッツ・エリスマン氏の邸宅として建てられました。1990年(平成2年)には、元町公園内に移築されました。 西洋館探訪6 ベーリック・ホール(横浜市認定歴史的建造物) エリスマン邸のすぐ隣に建つスパニッシュスタイルの洋館は、1930年(昭和5年)、アメリカ人建築家であるJ.H.モーガン氏設計により、イギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として建てられ、2000年(平成12年)まで、セント・ジョセフ・インターナショナルスクールの寄宿舎として使用されていました。 西洋館探訪7 旧山手68番館 1934年(昭和9年)に外国人向けの賃貸住宅として、山手68番に建てられ、1986年(昭和61年)に、山手公園内に移築されました。現在は、山手公園管理事務所になっています。 山手公園は、1870年(明治3年)、日本初の洋式公園としてこの地に誕生し、日本で初めてテニスが行われた場所でもあります。居留地外国人女性によってレディーズ・ローンテニス・アンド・クロッケー・クラブ(LLT&CC)が創設され、1998年(平成10年)には、LLT&CCが改称した公益社団法人 横浜インターナショナル・テニス・コミュニティ(YITC)創立120周年を迎え、テニス発祥記念館を同公園内に開設しました。 また、1879年(明治12年)にイギリス人のH.ブルック氏がインドよりヒマラヤ杉のタネを取り寄せ、日本で初めて植栽しました。2004年(平成16年)には、国の「名勝」指定を受けた公園でもあります。 西洋館探訪8 外交官の家(国重要文化財) 明治政府の外交官として、ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使を務めた内田定槌氏の邸宅として、1910年(明治43年)に、J.M.ガーデナー氏設計により東京・渋谷区南平台に建てられましたが、1997年(平成9年)に、現在建物があるイタリア山庭園内に移築されました。建物は、アメリカン・ヴィクトリアン様式です。また、幾何学模様にデザインされた整形式庭園も見どころです。 西洋館探訪9 ブラフ18番館(横浜市認定歴史的建造物) 外交官の家の隣に建つこちらの洋館は、大正末期頃に建てられた外国人用住宅で、1991年(平成3年)まで、カトリック山手教会司祭館として使用されていました。1993年(平成5年)に現在の山手イタリア山庭園内に移築されました。 なおブラフとは、かつて居留外国人たちが、山手の港寄りの切りたった崖の地を「ブラフ」と名づけたことに由来します。 ブラフ18番館からJR京浜東北線・根岸線「石川町」駅に向かう大丸谷坂の道に、懸崖仕立てにバラが植栽されていました。 各洋館の歴史がそれぞれにあるように、庭園もそれぞれの経緯を経て今に至ります。横浜開港150周年を記念して平成19年に市民投票により名前が選ばれ、平成21年に名づけられたピンクのバラ‘はまみらい’は、あちらこちらで目にすることができました。 現在、横浜では市をあげて、花と緑のフェア「ガーデンネックレス」が開催されています。また、5月は「横浜ローズウィーク」とメインイベントとなる「ばらフェスタ2019」も、横浜の大さん橋ホールにて初開催されています。 バラが最盛期の今、ぜひバラとの歴史が深い横浜で花咲く喜びを体感していただきたいです。 併せて読みたい ・横浜とバラの歴史を刻み続ける「港の見える丘公園」 ・新しい花のイベント開催スタート!「ばらフェスタ2019」in横浜 ・編集部厳選・国内名ガーデン案内「神奈川・横浜イングリッシュガーデン」の四季
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千葉県

カメラマンが訪ねた感動の花の庭。千葉県「京成バラ園」
これまでの人生で一番通ったバラ園 今月、ご紹介する「京成バラ園」は、僕の自宅からは車で約30分。原種のバラからオールドローズ、フロリバンダにハイブリッドティー、イングリッシュローズまで、あらゆるバラを見ることができる、僕が一番お世話になっているホームグラウンド的なバラ園です。そう、ちょうどこの記事が公開される頃は、春バラが見頃を迎えていることでしょう。 僕が初めて京成バラ園に行ったのは、今から26年前。結婚して千葉に引っ越して最初の春のことでした。東京で一人暮らしをしている時は、特にバラに興味を持ったことはなかったのですが、千葉に住んでみると、近隣ではバラを植えている住宅が何軒もあって、春のシーズンになると一斉に咲き出すバラがとてもきれいに見えたものでした。 初めてバラ苗を購入した頃の思い出 中でも、どの家でも咲いている赤い一重の、当時の僕にはとてもバラには見えなかった‘カクテル’という名前のバラに一目惚れ。週末に家内と連れ立ってバラを買いに行ったのが京成バラ園の初訪問でした。よくたとえで「バラといえば高島屋の包装紙」なんていいますが、当時の僕はまさにその程度の知識でしたから、初めて見るバラ園の色とりどりのバラにすっかり魅了されてしまいました。 そして、その場でバラを育てよう! と決心。早速、売り場に直行して、まずは‘カクテル’、次に、ピンクでコロっとした咲き方が可愛い‘アンジェラ’、さらには、家内が気に入った‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’を。他にも、とてもきれいな‘アビゲイル’という名の小さめのバラと、もう名前を忘れてしまった1株。合計5株を買って帰り、マンションの1階の小さなベランダでバラ栽培を始めることになりました。 思い出のバラは今も自宅で開花 とはいうものの、バラどころか植物をまともに育てたこともない、つるバラもハイブリッドティーも分からない人間による“見よう見まねの園芸”。今振り返ると、よく枯らさなかったもんだと自分でも感心します。その時購入した‘カクテル’とフロリバンダの2株は友人に譲りましたが、‘アンジェラ’と‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’は、何度かのテッポウムシの攻撃にもめげず、今でも我が家で無事に咲いています。 書籍化のために数々の撮影を担当 その後、何年かしてNHK『趣味の園芸』テキストの仕事をするようになってから、京成バラ園にはよく行ったのですが、バラ園の関係者に顔と名前を覚えてもらえたのは、2006年春に出版された『バラ大百科』(河合伸志・上田善弘著/NHK出版刊)の撮影以降のことでした。あの時は、河合さんにいただいた何ページもあるリストを抱え、何日もバラ園の中を歩き回ったものです。リストのバラを探し、時には栽培用のハウスの中にも入れてもらいました。バラを見つけてはシャッターを切る大変な撮影でしたが、そのお陰で顔と名前は覚えていただけたのだと思います。 その翌年、2007年秋には鈴木満男先生の『バラを美しく咲かせる とっておきの栽培テクニック』(鈴木満男著/NHK出版刊)という本でも撮影を担当させていただきました。その本は、タイトル通り栽培を解説する内容だったので、ライターのUさんと一緒に、実際にいろいろな栽培のテクニックを見せていただきながらの撮影が基本でした。また同時に、鈴木先生から「今井さん、ちょうど○○が咲いているから」と直接電話をもらって、急いでかけつけて撮影したり、栽培用のハウスのバラまで撮影許可をいただいたりしていました。あの本の撮影の時は、まるで京成バラ園のスタッフカメラマンのように自由に出入りさせてもらいました。 今、活躍するバラ専門家との出会い テレビ放送のNHK『趣味の園芸』や他のTV番組にも近年出演されている、京成バラ園芸所属の村上敏さんに初めてお会いしたのも、もう何年前か分からないくらい昔のことになります。ある園芸の先生から京成バラ園の職員さんを紹介していただいて、販売用のパンフレットか何かの打ち合わせにバラの写真を持参した時に、その担当者の上司だったのが村上さんでした。当時、写真はまだポジフィルムで20枚ずつ透明なシートに入れてお見せしましたが、村上さんは一枚ずつ丁寧に見てくださり「ミニバラの写真がとてもよいですね〜」と褒めてくれたのを今も覚えています。最近では写真展をさせていただいたり、著名な先生方とご一緒してガイドツアーまでさせていただいたりと、村上さんには本当にお世話になっています。 最後に登場するのは、今、僕たちオールドローズファンの仲間たちから絶大な人気の入谷伸一郎さんです。初めてお会いしたのは、鈴木先生の本を撮影している時でしたが、あの時は鈴木先生の部下として、真面目な口数の少ない男性……という印象でした。が、鈴木先生が「入谷は変わったバラのことが詳しくて、なかなか面白い奴なんです」とご紹介くださったように、今では僕たちの間ではオールドローズの「神」と呼ばれています。 バラの最盛期には、早朝のバラ園のオールドローズエリアでよくお会いします。たいてい僕はガリカローズやモスローズを、そして、入谷さんは反対側にあるブルボンローズやティーローズを。お互い背を向け合って一生懸命撮影しているため、挨拶はいつも「咲きましたね〜」くらいです。特にバラの最盛期は入谷さんはとても忙しいでしょうから、僕も一通り撮影を済ませると「今日は○○に行きますので」と言って、慌ただしく帰ります。シーズンオフにお会いする機会があると、珍しいバラや入谷さんのお気に入りのバラの前で、ものすごーくマニアックなお話を聞かせてくれるのですが……。僕の好きなガリカやダマスクといった古いタイプのオールドローズは「ややこしいバラだから」と答える様子を見ると、入谷さんは、あまりお好きじゃないのかな? そこだけが残念でなりません。 余談ですが、京阪園芸の小山内健さんが「TVチャンピオン」でバラ園を走り回っていたあの日も僕は撮影に行っていましたが、よもやあの日のチャンピオンに、まさか10年後、こんなにお世話になるとは思ってもいませんでした。 今、こうしてバラを撮影するカメラマンをしていられるのも、京成バラ園とバラ園でお会いした先生方のお陰だとつくづく思います。今日、この原稿を書き終えたら「京成バラ園」のきれいなバラたちに会いに行こうと思います。
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茨城県

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪9 茨城「フェアリーガーデン」
自然体な庭をつくりたい人必見 広々としたサンプルガーデン 幹線道路から少し入った住宅街の中に突如広がるガーデンショップ、「フェアリーガーデン」。つる植物が絡むウッドフェンスと雑木で囲まれた、ナチュラルでまるで秘密の花園のようなお店です。 大きな木々や宿根草が茂る人気のサンプルガーデンは、オーナーの柴田しず江さんが25年前からコツコツとつくり上げてきたもの。約250坪もある敷地は、植物をゆっくり愛でながら回遊できるように枕木や自然石が敷かれ、花木、バラ、宿根草、球根などさまざまな植物が植栽されています。今ではこんなにも成熟した庭ですが、ここに至るまでには相当な時間と労力を費やしてきました。 今から25年以上前、自宅を洋風に建て替えた際にガーデニングを始めた柴田さん。建物の雰囲気に合った美しい庭づくりを目標に掲げました。しかし当時はおしゃれな庭づくりの情報が少なかったため、都内の洋書専門店まで何度か出向き、ガーデン関連の洋書を購入。神楽坂にあったスクールでガーデンデザインを学び、庭づくりの知識を身に付けていきました。 洋書には、見たことのない素敵な宿根草やオールドローズがたくさんありました。その当時、それらの植物もまた日本では出回っていなかったため、海外から種子を取り寄せて自身で育苗をスタート。オールドローズは都内の販売店にまで足を運び、少しずつ数を揃えていきました。 しかし、自邸で本格的な庭づくりをするには限界を感じた柴田さんは、苗づくりはプロの農家に依頼し、それを販売するショップをオープンしようと決意。自身だけでなく園芸好きの人たちにも楽しんでもらえるような、サンプルガーデンを併設することで、自身が思い描く庭づくりを実現させました。 サンプルガーデンをつくるにはある程度の広さが必要なので、使われなくなった田んぼを借用して、まずは洋風の建物を建設。その後、ガーデン部分となる場所には業者に客土をお願いし、へこんでいた敷地を平らにしてもらいました。けれど、入れてもらった土には礫やガラが非常に多かったので、最初しばらくは、それらを取り除いて、有機的な資材で土壌改良をすることに注力。整地しながらデザインを考え、花壇となる部分はレイズドベッドにして新しい良い土を入れ、水はけを確保しました。 見ごたえたっぷり、魅力あふれる植栽シーン 柴田さんが、庭をデザインする上で心がけたことは、奇をてらわない自然体な風景であること。縦長で奥行きのある敷地を有意義に使うために、園路を2本縦に通して奥でつなげ、回遊できるようにデザインしました。枕木や自然石を用いてラフに敷いたことで、雑草までもが愛らしく見えます。 ざっくりと石を敷いた園路の両側には、昔から親しまれている植物から最新の植物まで、さまざまな種類が植わっています。「この庭では消毒で薬剤を使用しないので、とにかく性質が強い品種を入れています」と柴田さん。強健な植物を選ぶことでメンテナンスに追われるストレスを極力減らし、それぞれの植物が持つ野趣を生かして自然な風景を演出しています。 庭演出で注目の植物「オールドローズ」 バラは、うどんこ病や黒点病にかかりにくい品種をセレクト。あまり主張が強くない品種であることもポイントで、旺盛に育ちながらロマンテチックなシーンを実現しています。東屋に誘引したバラは‘コーネリア’。 庭演出で注目の植物「クレマチス」 やわらかさをシーンに加えるのに活躍するのがクレマチス。フェンスに絡むのは、軽やかな花形と淡い花色が美しい‘チャッツワース’。 庭にさりげないアクセントをつける細いオベリスクには、ベル形のクレマチス‘雫’を絡ませて。 庭演出で注目の植物「リーフ類×灌木」 樹木の下はしっとりとしたシーンをつくるのに最適な場所。春に白い花穂を下げるコバノズイナと黒い葉のリグラリアでシックにまとめて。 庭演出で注目の植物「リーフ×宿根草×球根」 灌木の株元をにぎやかに彩るブルーベルと黄花のイカリソウ。覆輪のギボウシ‘寒河江’を背景に、反対色の組み合わせが効いています。ほかの場所では、柴田さんのお兄様から譲り受けた3倍体の大きなイカリソウが見られます。 庭演出で注目の植物「リーフ×球根植物」 アスチルベやキミキフガの花が上がる前の緑一色の頃は、ブルーがかった白い星形の花を咲かせるオーニソガラム・ヌタンスが清楚な彩りを添えて。 庭演出で注目の植物「宿根草×一年草」 こぼれ種で広がるヒメフウロと、青いヤグルマギクの、ブーケのような可憐な組み合わせ。 庭演出で注目の植物「宿根草」 園路の傍らで愛らしい彩りを添えるフロックス‘シアウッドパープル’。この花が咲き終わる頃に、ニゲラ‘グリーンマジック’にバトンタッチします。 庭演出で注目の植物「山野草」 庭の奥には、木陰でエビネなどの山野草の花が咲き、野趣あふれる風景が広がっています。 本格派アイテムを添景に用いて メリハリのあるシーンを演出 宿根草が咲き乱れる植栽に変化をつけるため、柴田さんは大きなオーナメントやコンテナをポイントで配し、インパクトのあるシーンを演出しています。アイテムは、英国のウィッチフォード社やドラゴンストーン社などの本格的で大ぶりなものを多用。「中途半端なものをあちこちに飾るよりも、経年変化で味わいが出る本物を数点置くほうが絵になると思うんです」と柴田さん。洋書をから学んだテクニックが、ここにも生かされています。 どっしりとしたドラゴンストーン社のコーンのオーナメント。ここでは、ジャーマンアイリスやギリアなど、草花のフォルムの引き立て役として活用。 日陰のコーナーに配したガーゴイルの置物。シダの陰にひっそりと佇む姿が魅力的です。 ギボウシの奥で存在感を放つ、テラコッタのルバーブポット。 広い花壇をひと区切りしたいときは、アイアンフェンスがぴったり。 冬~早春の間も楽しめる サンプルガーデン 「フェアリーガーデン」のサンプルガーデンは、冬の間もオープンしています。ひっそり静まり返ったような庭にも、よく見てみると発見がたくさん。冬の庭で生きる植物の状態を学べるだけでなく、冬枯れしたその姿を愛でる楽しみもあります。 2~3月になると、たくさんのクリスマスローズがあちこちに咲き群れます。ぜひ寒い時期も訪れてみて。 クリスマスローズは、新潟から仕入れたというシックな花色のものが多数。時期になると店頭で販売されます。 落ち葉の中から、スノードロップやプシュキニア、チオノドクサなどの愛らしい小球根類があちこち顔を出します。 ショップのマスコット的な存在に。 大人気の猫たち フェアリーガーデンでは、数匹の猫たちが店番をしながら遊んでいる様子を見かけます。彼らは柴田さんが保護したという近所の猫たち。近所でどうしても増えてしまって処分されてしまう恐れのある野良猫たちを、自己負担で病院に連れて行き、去勢・避妊の処置してもらっています。生まれたばかりの子猫の場合は、飼ってくれる里親を探し、今まで約80匹を里子に出しました。柴田さんに目をかけてもらった猫たちは、自由に庭を出入りし、恩返しをするかのように? 来訪者に愛嬌を振りまいています。 オーナメントに勝るとも劣らず、存在感を放っている猫たち。みんなに可愛がられているせいか、野良猫のわりにはのんびりとしています。 柴田さんが飼っているオッドアイ(左右の目の虹彩の色が異なる)の白猫の‘小春’。一代目の看板猫‘福’の後継猫として活躍中。お客様との程よい距離感を保ちながら、散歩したり、昼寝をしたりとマイペース。 育てる楽しさを感じてもらいたいという思いで セレクトした花苗 ショップを始めた当初は、農家に作ってもらった苗と市場の苗を同時に発売していましたが、25年経った今では、全国のこだわりの生産者から苗を取り寄せています。実際の庭づくりで品質を確かめている柴田さんが納得のいく、選ばれし植物たちです。「小さな苗から育てて、翌年また花を咲かせてくれる植物の健気さと愛らしさ。育てることの楽しさ、庭づくりの本当の魅力を知ってほしい。そんな思いを込めて販売しています」と柴田さん。 斑入りや銅葉、シルバーリーフなど、葉も楽しめる丈夫で美しい宿根草が充実。 一年草をはじめとする華やかな草花もズラリ。 庭の雰囲気を高めてくれる、本格派資材も並ぶ 柴田さんが洋書で学んだ、経年変化で味わいが生まれる本格的なアイテムを多く扱っています。「ちょっと値段は張りますが、何年も買い替える必要がないので、元が取れてしまいますよ」。これは柴田さんのこだわりの一つです。 ブーケのようなアレンジが人気! 好評の寄せ植え講習会 「フェアリーガーデン」では、「ギャザリング」という手法の寄せ植えづくりに力を入れています。この手法は、ブーケのような美しい仕上がりが特徴です。 ギャザリングづくりと講師担当は、柴田さんの娘である育美さん。講習会は、「月1回・全6回の半年コースと全12回の1年コース、1回のみの体験コース」があります。大人気なので、気になる方は早めに問い合わせを。 ギャザリングのリース。花材はいずれ庭に地植えしても楽しむことができる、丈夫な種類を多く使っています。 柴田さんイチオシの花苗はコレ! シックでおしゃれなパイナップルリリー 柴田さんがオススメするのは、赤黒い葉のシックな佇まいが魅力のパイナップルリリー‘スパークリングバーガンディー’。6月下旬~7月頃にニュアンスのあるピンクがかったクリームイエローの花を咲かせます。花期以外にも美しい葉が楽しめ、植栽にアクセントをもたらしてくれます。丈夫で育てやすいので、ぜひお試しを。 庭の植栽が美しいというだけでなく、植物や動物、命あるすべてを心から愛おしむ柴田さんの温かさがあふれるショップ、フェアリーガーデン。「この庭にいるだけで癒されて、塞ぎ気味だった気分が明るくなった」など、わざわざお礼を伝えてくださるお客様も多く、介護とショップ運営で疲れきっていた柴田さん自身も、結局は庭の植物に救われたという一人。自然体が生みだす、美しく心地よい庭を、ぜひ訪れてみてください。アクセスは、常磐自動車道那珂ICより車で約10分。JR水郡線・上菅谷駅下車徒歩5分。 【GARDEN DATA】 Fairy Garden(フェアリーガーデン) 茨城県那珂市菅谷3023−6 TEL:029−270−7177 https://ameblo.jp/fairyfairygarden/(ブログ) 営業時間:10:00~17:00(施設に準ずる場合あり) 定休日:木曜日(正月) 併せて読みたい ・素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪8 神奈川「Buriki no Zyoro湘南T-SITE」 ・「私の庭・私の暮らし」バラ初心者が育んだ5年目の小さな庭 神奈川・Y邸 ・暑さに負けず、たくさん可愛い花が咲く夏のイチオシ一年草10種 Credit 文/井上園子 ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。 写真協力/フェアリーガーデン
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イギリス

イングリッシュガーデン旅案内【英国】ジーキル女史のデザインがよみがえった「マナーハウス、アプトン・…
現代の庭デザインに影響を与えたジーキル女史 ガートルード・ジーキル女史(1843-1932)は、英国の女性ガーデンデザイナーの先駆けとして、19世紀の終わりから20世紀前半にかけて活躍しました。もともとは優れた画家であり、工芸家でしたが、40代後半に目を悪くして細かい仕事ができなくなったことから、大好きだった庭の世界に転向し、ガーデンデザインに力を注ぐようになります。そして、生涯で400もの庭をデザインしました。特に、建築家のエドウィン・ラッチェンスと共同で行った設計は、傑作として知られています。 ジーキルは、昔から田舎家にあった、庶民の素朴な「コテージガーデン」を、より洗練されたガーデンスタイルに進化させました。そして、優れた画家ならではのセンスで、それまでになかった色彩豊かな花々の植栽を生み出し、英国の富裕層のガーデンシーンに変化をもたらしました。バラや宿根草の花々に溢れた、いわゆる「イングリッシュガーデン」のイメージは、ジーキルのデザインから発展してきたものといえるでしょう。 ジーキルは優れた書き手でもあって、ガーデンデザインについて記した著書や、寄稿記事が多く残されています。デザイン画も残っていますが、しかし、そのデザインが生きた庭の形で現存しているものは、数えるほどしかありません。 現在、ジーキルのオリジナルデザインが復元され、かつ、一般公開されている庭としては、ヘスタークーム・ハウスと、彼女の自宅だったムンステッド・ウッド、そして、今回訪れたアプトン・グレイ村のマナーハウスなどがあります。中でも、このマナーハウスの庭は、ジーキルのオリジナルデザインが忠実に再現されたものとして、彼女の世界観を体感することのできる、数少ない場所となっています。 復元への長い道のり 現在のオーナー、ウォリンガー夫妻がこのマナーハウスに移り住んだのは、1984年のことでした。当時は屋敷も庭も荒れ果てた状態で、夫妻はここにジーキルがデザインした庭があることも知りませんでした。しかし、ジャングルのように植物が茂る庭に埋もれていた構造物の基礎を発見したことから、庭について調べ始め、ジーキルのことを知ります。そして、カリフォルニア大学バークレー校に残されていた、この庭の設計図を探し出し、手に入れたのでした。 幸運なことに、ジーキルの設計した構造物の基礎は、茂みの中にそのままの形で残されていました。庭は荒れていたものの、プールやテニス用のハードコートといった構造物が新しく作られることはなく、オリジナルの構造が壊されずに済んだのです。 ウォリンガー夫妻はガーデニングの知識をほとんど持っていなかったのですが、庭の復元に心惹かれ、ジーキルのデザインを忠実に再現することを決意します。そして、設計図を手に入れると、すぐに行動を始めました。まず、オリジナルのデザイン図にない樹木や植物を取り除きました。ガーデンを囲むセイヨウイチイの生け垣を育てるための溝掘りを始め、土壌の改良にも取り組みました。そうして、ジーキルのデザインを蘇らせ、美しい庭をつくり上げていったのです。 ワイルドガーデンを抜けて屋敷へ では、マナーハウスの庭に通じる公道で車を降りて、4.5エーカー(約18,000平米)の広さのある庭に入っていきましょう。 どんな庭か、ワクワクしながら、屋敷の北西側に広がるワイルドガーデンを抜けていくと、まず見えてきたのは池のあるエリアです。 白やピンクの睡蓮が咲く池の周りには、黄花のアイリスやクリーム色の花穂が伸びるバーバスカムがあって、向こう岸では、ふわふわと綿のように茂るアスチルベが爽やかな色彩を添えていました。水中にはカナダモやキンギョモが生えていて、トンボやカエルなど、野生生物の棲みかとなっているそうです。 ワイルドガーデンの小道は芝を刈って作ってあり、踏み心地が柔らかです。小道は緩やかに曲がって先が見えないので、次はどんな景色が広がっているのだろうと、期待が高まります。 このワイルドガーデンには、ワイルドフラワーやさまざまなバラが咲き、クルミの小さな林もありますが、これらの植栽はすべて、ジーキルの設計図から正確に復元されています。復元の精度を高めるために、庭を3×3mの格子状に仕切って、デザイン図に忠実に植栽し直したそうです。 開けた場所に出ると、目の前に、個性的なファサードを持つ屋敷が現れました。レンガ造りの門柱や塀の風合いに、長い時間の経過を感じます。 1908年、庭の設計をジーキルに依頼したのは、当時このマナーハウスを所有していた、チャールズ・ホームでした。彼はThe Studioという美術雑誌を立ち上げた編集者で、美術評論家であり、彼の雑誌はアールヌーボーやアーツ・アンド・クラフツ運動の発展に影響を与えました。 ホームが地所を購入したのは1902年のこと。屋敷は傷みがひどかったので、地元の建築家アーネスト・ニュートンに、古い部分を残しつつ改築するよう依頼しました。この屋敷には今も、16世紀頃に作られたオリジナルの屋根の梁や階段が保存されています。 さて、入り口に向かって緩やかに傾斜する半円形の草階段(これもジーキルによるデザイン)を下りて門をくぐり、左手の脇道から屋敷の向こう側へと向かいます。 屋敷の反対側に到着。乱張りの石畳のテラスでは、ピオニーが花盛りです。 パラソルを広げたテーブルには、たくさんのティーカップがスタンバイしていました。オーナーのロサムンド・ウォリンガーさんがマップつきの小冊子を皆に渡しながら、庭を復元したことを手短に話してくださいました。 「さあ、お庭を見てきて。私たちはお茶の準備をしておくわ」という彼女の言葉で、庭散策がスタート。石畳のテラスから、眼下に広がる庭に降りてみましょう。 屋敷前に広がるフォーマルガーデン 庭は白亜質の土壌を持つ斜面に作られていて、屋敷の南西側にある石畳のテラスから一段低くなったところに、メインとなるフォーマルガーデン(整形式庭園)が広がっています。手前に、花々の咲くローズ・ローン(バラの芝生)のエリアがあって、その奥のさらに下がった場所に、ボウリング用とテニス用という、2つの芝生のエリアがあります。 フォーマルガーデンは、ジーキルが好んでよく用いたという、セイヨウイチイの生け垣にぐるりと囲まれています。ジーキルはこの生け垣に、植物を守る壁としての役割と、花の色彩を際立たせる背景としての役割を持たせました。庭のレイアウトは、直線だけを使った、幾何学的なものになっています。 屋敷前のテラスから見えた景色をまずは確かめたくて、フォーマルガーデンの東側にある、ゆるやかな石畳の階段を降りていきました。左右の緑は、視線を遮るほど茂っています。日差しも遮られて、少しひんやりした空気を心地よく感じます。 ボウリングとテニス用の芝生 階段を降り切ると、広い芝生のスペースに到着しました。ボウリング・ローン(ボウリング用の芝生)です。左手には屋敷、右手にはテニス・ローン(テニス用の芝生)と呼ばれるテニスコートがあります。 そのテニス・ローンはこちら。芝生を囲むセイヨウイチイの生け垣は、背丈を越すほどの高さです。ガーデンの南の一辺、写真中央の奥に見える暗がりに、つるバラが覆うアーバー(あずまや)がありました。このアーバーは、バラが花盛りを迎える盛夏になると、一面の緑に白花が浮かび上がって、美しいフォーカル・ポイントになります。この時は、まだ花が少ないですね。 アーバーを覆っているのは、‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’、‘アメリカン・ピラー’、‘キフツゲート’などのつるバラです。構造物の天井が見えないほどよく茂っていて、中のベンチに座ると空気がひんやりしていました。日も遮られ、テニス観戦にうってつけのベンチです。 アーバーから屋敷を見ると、屋敷、ローズ・ローン、ボウリング・ローンと階段状に下がっていて、テニス・ローンはそれからさらに低い位置にあることが分かります。 ローズ・ローンの縁に植わる草花が、数段下がったボウリング・ローンへと、こぼれ落ちるように茂っています。ボウリング・ローンから見ると、この高低差が「低い位置から花の姿を観賞する」という、珍しいシチュエーションを生み出しています。これはもしかしたら、ジーキルの意図したことなのかも? と、自分の発見に思わず嬉しくなる瞬間です。 ローズ・ローンのエリアは、自然石を積み重ねた石塀で囲まれているのですが、調べてみると、ジーキルはこれらの石塀が「垂直の花壇」となるようにデザインしたことが分かりました。石塀の、石と石の隙間には、こんなふうに植物が植え込まれています。これらの植物や、上から垂れ下がってきた植物によって、「垂直の花壇」が形作られているというわけです。 これはつまり、壁面緑化に似た発想。今でこそ、壁面緑化は一般的になっていますが、今から100年余りも前に、ジーキルがすでにその概念を形にしていたことに驚きます。 コテージガーデンスタイルの、ジーキルらしい宿根草花壇。花のない時期も構造的な面白みを持たせるため、ここではローズマリーやラベンダー、オレアレアなど、立体感のある植物を混ぜてあります。 では、石階段を上がって、上のローズ・ローンに行ってみましょう。上りながらも、階段のステップや、左右の何気ない植物の姿に目を引かれて、なかなか前に進めません。段差の小さな、ゆるやかな階段はジーキルの特徴的なデザインで、他の庭でも用いられています。 花々の競演にうっとり ローズ・ローン 屋敷前のテラスから見えていた、花々が咲き競うローズ・ローンのエリアに到着。ここも芝生が美しく手入れされています。みずみずしい緑に浮かび上がるように、パステルカラーのピオニーなどが花盛りです。 屋敷のちょうど中央の位置には、アーチ状のトンネルのようなパーゴラがあって、つるバラ、アリストロキア、ジャスミン、そして、秋に美しい紅葉を見せるバージニアヅタと、さまざまなつる性植物が伝っています。バリエーションに富んだ、長い期間花を楽しめる植栽です。 このパーゴラからは、先ほどいたテニス・ローンのつるバラのアーバーが正面に見え、2つの構造物は、呼応するように設置されています。 訪れた6月上旬は、ピオニーが花盛り。八重咲きのピオニーが無数に咲く豪華なシーンにうっとりします。 ピオニーの間には、咲き進んだバラとつぼみを膨らませたユリが。下草のラムズイヤーも銀色の花穂を伸ばしています。豪華な色と香りのコンビネーションを見せる、ジーキルの植栽デザインです。 ピオニーが囲む花壇の中央には、四角く自然石が囲む花壇がありました。中では、ユリがつぼみをつけ、銅色のカンナの葉が伸び始めています。バラとピオニーの季節が終わると、ユリの庭へとバトンタッチするのですね。では、次のエリアへ。 キッチンガーデンや果樹園へ 次は屋敷の西側を散策します。屋敷のすぐ近くにはガラスの温室がありました。 温室の裏手のデッドスペースになりがちな場所にもたくさんの草花が咲いていました。 仙人草のようなクレマチスが手前に白花を咲かせ、奥には、こぼれダネから育ったのか、デルフィニウムやジギタリスなどが混ざり咲いて、とってもナチュラル。 温室と並んで、さらに西側にコテージがあり、つるバラが満開。白花が明るい印象です。 コテージの前にはベンチが置かれ、そこに座ると、前方に鶏小屋の広いスペースが見えました。 フェンスに囲まれた中には、三角形の小屋がいくつも並んでいます。何家族が棲んでいるのでしょうか? 近づいてみると、お母さんの後ろについて歩く雛たちの様子が微笑ましい。 鶏小屋に隣接して、南方向に細長くキッチンガーデンが広がっていました。竹のオベリスクの足元には、若いスイートピーが育っています。ここでは、ハーブや野菜、フルーツなどを栽培。それから、フォーマルガーデンの植栽に差し替えが必要になった時のために、ガーデンで使っている植物の苗も育てているそうです。 丈高くデルフィニウムが伸び、ゲラニウムやカンパニュラなど、イングリッシュガーデンでお馴染みの初夏の宿根草がたっぷりと茂ります。間にネギの仲間のチャイブのような丸い花も覗いて、彩りを加えています。ラベンダーがそろそろ咲きそうで、アーティチョークも植わっていました。 広いキッチンガーデンを抜けると、リンゴの古木がランダムに並ぶ果樹園に出ました。足元の草がふわふわと茂ります。歩くスペースだけ刈り取って、小道を作っています。 苔むした古木に近づくと、ちゃんとリンゴが実って、膨らみ始めていました。 果樹園を一周すると、キッチンガーデンエリアと果樹園を区切る細い通路がありました。道の左右には、つるバラが絡まるガーランド(花綱飾り)があって、足元には紫のゲラニウムがたくさん咲いています。そして、セイヨウイチイの壁の奥へと進んでいくと、再びテニス・ローンに出ました。 キッチンガーデンも果樹園も、すべてがジーキルの設計図通りに忠実に復元されているそうです。ジーキルの時代に庭に生えていた植物で今も生き残っているものは、数えるほどしかなく、ワイルドガーデンにあるクルミの林と竹の茂み、ラッパズイセンだけです。しかし、ジーキルが用いた植物のほとんどは、現在の英国のナーセリーでも容易に見つかります。そのため、復元はさほど困難なく、正確に行うことができたそうです。 さあ、そろそろお茶が用意できたようです。屋敷前のテラスへ戻りましょう。 テラスのすぐそばにある、ゲストも自由に行き来できる部屋の中には、庭を復元する過程で撮られた写真や図版、植物のリストなどが掲示されていました。 庭の復元の過程は、オーナーのロサムンドさんの手によって、イギリスで書籍化されています(“Gertrude Jekyll's Lost Garden, The Restoration of an Edwardian Masterpiece” by Rosamund Wallinger)。敷地のすべてを当初の形に復元するには、相当のエネルギーと熱意が必要だったことでしょう。そして、その庭を今なお美しい姿で維持し続けているオーナー夫妻の苦労と志に感動する、ガーデン訪問でした。 併せて読みたい ・カメラマンが訪ねた感動の花の庭。イギリス以上にイギリスを感じる庭 山梨・神谷邸 ・現在のイングリッシュガーデンのイメージを作った庭「ヘスタークーム」【世界のガーデンを探る19】 ・イングリッシュガーデン旅案内【英国】 ベス・チャトー・ガーデン(1)乾燥に強い庭を実現
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熊本県

花の庭巡りならここ! バラ園と和風庭園ともに楽しめる「エコパーク水俣」
2019年にバラ園がリニューアル 若木が年々成長する姿が楽しみ! 2007年にグランドオープンした「エコパーク水俣」。正式名称は「水俣広域公園」といいますが、愛称のほうが広く知れ渡っており、この呼び名で親しまれています。広さは41.8ヘクタールを誇り、市民の憩いの場として整備された公園です。園内は「海のゾーン」「街のゾーン」「里のゾーン」「山のゾーン」の4つに区分けされ、野球場やテニスコートなどさまざまなスポーツ&レジャー施設、環境保全を学ぶための施設などが集約。そんな中、ここで注目したいのは「里のゾーン」のバラ園と「山のゾーン」の竹林園です。 バラ園の広さは約1,300㎡、大人の足でゆっくり歩いて約20分で周遊できます。850種、5,000株のバラを植栽しており、年間10万人が訪れる人気のスポットです。フランスやイギリスの庭園を参考に、バラを仕立てたガゼボやパーゴラ、アーチをつないだトンネルなどを随所に配し、立体的で奥行きのある風景をつくり出しています。なかでも高さ5m、幅40mのバラの宮殿(鉄製ガゼボ)は、フォーカルポイントとして一番の見どころです。 また、バラは「オールドローズ」「モダンローズ」「イングリッシュローズ」「フレンチローズ」「クライミングローズ(つるバラ)」と、コーナーごとにテーマを持たせて植栽。色別に分けたコーナーもあり、それぞれ白、ピンク、赤のみでまとめた植栽は、いかにバラの品種が多彩かを教えてくれます。「誰もが圧倒される、バラによる色の洪水を目指しています」と話すのは、管理事務所の前田宜重さん。2019年春は、さらに充実させるべくリニューアルオープンしたばかりです。新たに迎えた若木が毎年大きくなり、さらに見応えをアップさせながら進化していく姿を見せてくれることでしょう。 バラ園のすぐ近くには竹林園があり、国内はもちろん海外から集められた竹が165種も植栽されています。竹は古くから庭園の垣根などに利用されてきたほか、食用や工芸品、日用品として日本人の生活に欠かせない植物でした。竹の持つ生命力やみずみずしさに、水俣病と戦ってきた地域の想いを重ね、「環境再生のシンボル」として竹林園を整備。かすかな風にもサラサラと揺れる笹の葉が清々しい、自然と調和する和風庭園で癒しのひとときを過ごしましょう。 「エコパーク水俣」には、バラ園や竹林園以外にも、桜、ツツジ、花菖蒲、ラベンダー、アジサイなどの名所があり、いつ訪れても自然豊かな景色が広がっています。園内への飲食物の持ち込みはOKなので、天候に恵まれた日には、随所に設けられているベンチで、ランチやおやつタイムを楽しむのもいいですね。また、園内へのペットの同伴が許可されています。ただし、リードをつけて、ペットの落とし物の後始末はきちんと処理するなど、マナーを守りましょう。 煙るように咲く豊かなバラの姿にうっとり 感動のため息をもらしつつ、歩みも軽やかに バラの見頃は、4月下旬〜5月下旬。写真は、高さ2.5m、長さ200mにもわたって展開される、バラの壁です。この壁を彩るのは、シュラブローズの‘アンジェラ’。等間隔に支柱を立ててロープを張った簡易な境界線を、たわわに咲くことで定評のある‘アンジェラ’が埋め尽くすように咲く姿は圧巻です。 この仕立て方は、自庭で咲くつるバラにも応用できそうですね。小径にはカーブがついているので視界が遮られ、さらにその先へ続く景色への期待感が高まり、歩みを誘います。 池に色とりどりのバラの花を浮かべた、記念のフォトスポット。ベンチに座ると、カメラの画角(28mm)にちょうどよく収まるように設計されています。手前に掲げている「MOYAI ROSE」の「もやい」とは、「舫い」のこと。「船を綱で結びとめる」または「船と船をつないで共同で漁をする」という意味があり、ひいては「手をとりあって絆を深めよう」という意思を表現しています。この地域では、水俣病事件で分断された地域や社会、自然との関わりを再びつなぎ直す願いを込めた「もやい直し」活動が行われており、バラ園もその一助となるべくつくられたものです。実際、バラ園の植栽は障がいをもった方々が中心となって手がけたもので、地域の交流の場となっています。 縦の空間を生かした立体的な演出として、庭園の数カ所にバラのアーチが設けられています。アーチの幅は2.3m、高さは2.1mで、20本のアーチが続くバラのトンネル。左右から、つるバラの‘ミネハハ’、‘ギーサヴォア’、‘ペッシュボンボン’などを仕立てています。煙るように咲くバラの生命力に、大きな感動を味わえるはずです。 アーチに仕立てられている、つるバラの‘ミネハハ’。1904年にアメリカで生まれた品種で、樹勢も病害虫への耐性も強いことで知られています。大変花つきがよく、小ぶりのピンクの花が枝葉を覆うように爛漫と咲く姿が見事。樹高は約3mで、アーチを彩るのにぴったりのバラです。 これはバラ園の航空写真です。大小2つのサークルが作られ、エリアごとにテーマをもたせてバラが植栽されています。どこからでも自由に回遊できる動線が整備され、さまざまな角度から見学できます。大きなサークルの方は、なんだかバラが開花した姿をモチーフにしているように見えますね。 静謐な雰囲気に包まれる和風庭園では 木々の葉擦れの音に癒されるひとときを 「エコパーク水俣」園内の「山のゾーン」には、伝統的な侘び寂びを感じる日本庭園「竹林園」があります。竹や笹をコレクションする庭園は珍しく、国内外から集められた竹・笹を165種も植栽。風に揺られてささめく葉音から、ヒーリング効果も得られそうです。広い池を渡るための飛び石も置かれ、優雅に泳ぐ鯉の姿を間近に見られます。栄華を誇る大名屋敷の庭園を訪れるような、贅沢なひとときを楽しみましょう。 バラ園に隣接する道の駅では特産品が目白押し バイキングレストランでは旬の味を楽しんで 敷地内には、「道の駅みなまた みなまた観光物産館まつぼっくり」があります。営業時間は9:00〜17:00(12月30日は〜16:00、1月3・4日は10:00〜16:00)、休業日は月曜、12月31日です。地元の特産品やお菓子が数多く揃うので、お土産にどうぞ。 またレストランも併設しています。「ご飯処 たけんこ」の営業時間は11:00〜14:30、定休日は第3月曜日です。バイキング形式で大人1,100円、子ども600円。そば、ちゃんぽん、ピザなどのメインを選び、さらにバイキングで副菜のサラダ、お惣菜、煮物、デザート、ドリンクを自由にサーブできます。
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イギリス式花の植え方【世界のガーデンを探る21】
イギリスの庭&花壇デザインのスタイルの源流とは 前回までは、イタリアやフランスなど、ヨーロッパ大陸の花の植え方を比較して解説してきましたが、今回は、ドーバー海峡を渡ったイギリスにおける花の植え方の話です。 イギリスの花の植え方に関して、圧倒的な影響力を今に与えているのは、以前に解説した、ガートルード・ジーキル(Gertrude Jekyll)女史です。彼女の植え方の特徴である「いろいろな植物を小さな区画ごとに植えていく手法」は、そのまま現代のイギリス庭園に取り入れられています。それは個人庭のみならず、チェルシーフラワーショーのようなショーガーデンの分野にまで色濃く影響しています。 イギリス式の宿根草ボーダーとは 写真は典型的なイギリス式の宿根草ボーダーの植栽です。植物を冬の寒い北風(ゲール)から守るために、2〜2.5mほどの高さのレンガのウォールで囲んだ空間に、ウォールの高さとほぼ同じ幅の植栽帯を設け、そこに3〜5列ほどの宿根草がパッチ状(品種ごとに数株集めてパッチワークのように配置すること)に植えられています。ジーキル女史は、自著の中で「ボーダーの幅とウォールの高さは同じがよい」と言っています。確かにウォールが高いと圧迫感があり、ボーダーの幅が広いと締まりがなく見えるような感じがします。 また彼女が始めたパッチ状の植物の植え方は、イギリスの多くの庭園のボーダー植栽に普遍的に見ることができます。多くは幅1〜2m、奥行0.5〜1mに、1種類の宿根草や低木などが植えられ、ボーダーの手前から草丈0.2〜0.5mのグラウンドカバー植物が、次に草丈0.3〜1.5m程度の宿根草が2〜3種類植えられ、そして一番奥のウォールに沿って、草丈1.2〜1.8m程度の宿根草や低木類が植えられていることが多いです。庭の一番奥には、視線を集めるアイストップとして、イギリス独特の色に塗られた規格外サイズの大きなベンチが置かれ、敷地全体の奥行きと安定感を演出しています。このようにベンチを置くことで、訪れる人を庭の一番奥まで誘う効果があります。 壁に向かってさまざまな植物がきれいなエレベーション(高低差)を作っています。一見、無秩序に混植されているようにも見えますが、以前ご紹介したフランスの花壇(写真下)ほどの混植ではなく、各種類がグループになるように植えられています。 イギリスの花壇では、葉の色やテクスチャーもとても大事にされていて、例えば、シルバーリーフのアーテイチョークやノコギリソウなどが、花の咲いていない時期でも存在感を発揮しています。さらには赤系のヒューケラ、スカビオーサ、エゾミソハギやブッドレア、ピンク花のゼラニウム、カンパニュラやカクトラノオやシモツケソウ、それにセージなどが植えられています。ちょっと茂りすぎているようにも感じられますが、ノコギリソウの黄花が引き締め役をうまく演じています。 イギリスの公園の花壇植栽 では、いくつかのイギリスのガーデンから花壇植栽の例を見ていきましょう。まずは「ハンプトンコート」の花壇です。こちらは、淡い黄花のマーガレットが一面に植わり、その間にカンナの赤い縞模様の葉が点々と飛び出て、白のマリーゴールドが花壇をぐるりと取り囲んでいます。イギリスの花壇のつくりかたは、前回ご紹介したフランスとはまったく違うテイストです。 淡いオレンジ色のルドベキアが全面に植えられ、花壇の中央付近にフランスでも使われていた銅葉のヒマが丈高くアクセントになっています。そして、その周囲を斑入りのセージが縁取っています。日本の花壇植栽に似ている部分もありますが、フランスの植え方に比べると、イギリスの花壇は立体感があります。 「ボーダー花壇」のバリエーション イギリスで時々見られる「赤のボーダー花壇」です。赤花が咲く植物と、赤系の葉が茂る植物を混ぜ合わせて植えています。中ほどの赤い葉はニューサイランです。その奥に銅葉のコルディリネ・オーストラリス‘アトロプルプレア’がポツンと立っています。赤い花は手前からバラ、ダリア、ヘメロカリスなどです。 ここでも、ヒューケラ、数種類のダリア、クロコスミア、奥にはカンナの赤い葉も見え隠れしています。そして、薄黄色のヘメロカリスが全体を引き締めています。黄色の単色は、自己主張が強すぎて、なかなかうまく他の植物の花の色と混じりにくいものですが、写真でご覧のように、淡い黄色ならば他の植物ともうまく調和します。 宿根草や低木の前に、主に一年草が植え込まれているボーダー花壇です。ここでもやはりジーキル女史の手法に則り、パッチワーク状にさまざまな植物が植えられています。園路と花壇の間に、きれいに生え揃った帯状の芝生の緑があることで、バラバラになってしまいそうな多様な花の彩りを引き締めています。 個性的なガーデンデザインとしてあまりにも有名な「シシング・ハースト」のホワイトガーデンです。アーティチョーク、シャスターデージー、フロックスなど、銀葉やホワイトリーフ、白い花が咲く植物だけが集められています。これらの多くの植物が、日本では馴染みの少ない背の高くなる宿根草や低木類で構成されています。 グリーンの鞠のような丸い花を咲かせるアナベルと、細長い花穂を丈高く伸ばすクガイソウ(ベロニカ)の仲間。丸と線を組み合わせるという、見事なまでのコンビネーション。 夏のボーダー花壇の様子です。写真のように、どの植物も生き生きと茂っている様子からも、この土地と気候に合った植物の選択ができる知識と経験、それに加えて愛情までも伝わってくるボーダー花壇です。エゴポディウム、ゲラニウム、スカビオサ、そのほかいろいろな灌木や宿根草などが所狭しと植えられています。ボーダーのボリュームに対して園路の芝生の幅が十分でないため、印象が少し重く感じられますが、この庭らしい雰囲気を醸し出しています。 オーナメントグラスを上手に取り入れた植栽例です。とかくオーナメントグラスを使うと「草原」のようになりがちですが、このガーデンではその印象がありません。それは、赤みがかったグラスの穂に対して、株元に植えている植物も赤系を取り入れているため。奥に見えるイチイのトピアリーが、見事なまでにきっちり刈り込まれていることから、訪れた人にステップを上がってさらに先のエリアへ向かいたいという期待感を持たせてくれます。 このようにイギリスの花壇植栽は、フランスやイタリアとは大きく異なっています。ジーキル女史登場以降、フランスから受け継いだフォーマルな庭園様式をイギリス人らしくアレンジし、一つの文化として創造したことは、イギリス人の高い文化意識の表れではないでしょうか? 次回は「チェルシーフラワーショウ」を中心に、現代のイギリス式植栽方法をご紹介したいと思います。 併せて読みたい ・英国の名園巡り メッセル家の愛した四季の庭「ナイマンズ」 ・英国の名園巡り、プランツマンの情熱が生んだ名園「ヒドコート」 ・ガーデナー憧れの地「シシングハースト・カースル・ガーデン」誕生の物語
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イングリッシュガーデン旅案内【英国】バラエティーに富んだテーマガーデンをめぐる「コンプトン・エーカ…
庭づくりの夢を実現した実業家 イギリス南部のドーセット州にある「コンプトン・エーカーズ」の庭は、1920年代に、トーマス・シンプソンという地元の実業家によってつくられました。シンプソンの夢は、植物への興味を追求しながら、訪れた海外の国々を思い出す庭を、自らデザインしてつくるというもの。彼は、庭師と二人三脚でその夢を実現し、独特なデザインによる自慢の庭を一般に公開しました。 第二次世界大戦後は所有者が何度か変わり、庭園も戦争で荒れましたが、再び美しく復元されました。現在は、おしゃれなカフェやショップが併設され、結婚式場としても使われています。 訪れたのは、まだ肌寒い4月。庭めぐりの最初、入口の花壇で、淡い黄色のプリムラが出迎えてくれました。プリムラはイギリスの春を告げる花。絵本『のばらの村のものがたり』に描かれているのと同じ愛らしい花姿を目にして、なんだか嬉しくなります。 3つのイタリア風庭園 さて、庭めぐりは、円形の小さな「ローマン・コートヤード・ガーデン」から始まります。中心に据えられたロマネスク様式の小さな噴水を、ツゲの低い生け垣が丸く囲む、シンプルで静かな庭です。奥のアイアンロートの扉の向こうは、「グロット」と呼ばれる、洞窟を模した構造物になっていて、次の庭へとつながるトンネルのようになっています。グロットの暗がりを抜けると… 広々とした整形式庭園、「グランド・イタリアン・ガーデン」に出ました。グランドと銘打っているだけあって、壮麗な雰囲気。中央に運河のような細長い池が伸びています。 奥の、フォーカルポイントとなるドーム状のテンプルには、豊穣と酒の神バッカスの石像が立っていて、エレガントな雰囲気です。十字架形の池の中心には噴水が据えられ、スイレンも浮かびます。 池の脇に並ぶのは、端整に刈り込まれたセイヨウイチイのトピアリー。その後ろには、クレマチスの絡まる花綱が渡された石柱が並んでいます。夏になれば花綱からクレマチスが美しく垂れ下がり、涼しげな水音も響いて、ずいぶん印象の違う庭になるのでしょう。 「イタリアン・ヴィラ」と呼ばれる後ろの建物は結婚式場として使われていて、訪れた時も披露宴が行われていました(ウェディングケーキが見えています)。イギリスでは結婚式のできる観光ガーデンも多いのですが、花々に囲まれた美しい庭で挙げる結婚式は、きっと思い出深いものになりますね。 整形式庭園に色彩を添える花壇の植栽は、季節ごとに変えられるそうです。この時は背の低いプリムラやデイジーの間から、いろいろな姿のチューリップが花首を伸ばす、明るい色調の植栽。花の合わせ方が、日本とはまた感覚が違っていて面白いですね。 歩を進めると、隣には「パーム・コート」と呼ばれる、大小のシュロをセンターピースに据えた整形式庭園がありました。中央に伸びる花壇が、先ほどの細長い池と呼応するようなデザインです。背の高いシュロと、低いチャボトウジュロの植わる南国風の植栽は、英国の中でも温暖なこの地方だから可能なものです。株元に色を添える花々の植栽は季節によって変わり、夏には真っ赤な花が使われることも。情熱的な赤がアクセントに入ると、ずいぶん雰囲気が変わるでしょう。 それにしても、シュロを使った整形式庭園というのは、初めて目にしました。 自然を楽しむウディッド・バレー 周遊ルートの小道を進んでいくと、次は整形式庭園とは対照的な、自然の森を散歩するような「森の谷(ウディッド・バレー)」がありました。ウッドランド・ガーデンとは、ありのままの自然のような植栽を楽しむ庭のことで、この谷はそのスタイルでデザインされています。すべて意図的に植栽されているのですが、人為的なものを極力感じさせず、森のように見せるところがミソ。 ヨーロッパアカマツに守られて、セイヨウシャクナゲやツバキ、日陰を好む植物が植えられています。うねうねと曲がりながら小道が続く谷は、春はセイヨウシャクナゲのカラフルな花に彩られます。 谷には小さな滝があって、小川が流れ、小さな池もあります。樹木の天蓋が途切れ、陽光が差し込む開けた場所では、紫のフリチラリアや淡い黄色のプリムラ、ラッパスイセンなどが咲いて、春の野原のような植栽です。ガーデン写真で何度も目にしてきたフリチラリアを、実際に目にすることができて、感動のひととき。 森の谷の端には、子どもの遊び場のエリアと、小動物や蝶、昆虫、野鳥といった野生生物に良い環境を与えることを目的とした、ワイルドライフ・サンクチュアリもあります。私が訪ねた時も、英国で人気の小鳥、ロビンがちょうど遊びに来ていました。 野趣に富むロック&ウォーター・ガーデン さて、次は何が待っているだろうか、と歩を進めると、今度は岩と水の庭がありました。高低差のある岩場に高山性の植物を植えるロックガーデンは、19世紀後半に流行したスタイルです。この庭をつくるのに、他所からたくさんの岩が運び込まれたそうです。 英国で最大規模のロックガーデンと考えられていて、アルカリ性の灰色の石灰岩のエリアと、酸性の赤い砂岩のエリアに分かれています。 庭のところどころに、岩を組んだ小さな滝や、洞窟風の構造があって、中央の池に水が流れ込むようなデザインに。 ここには、スギやブナなどの樹木から、カエデやサクラ、セイヨウネズなど、300種を超える植物が植えられているとか。シンプソンはきっと、この庭で植物蒐集を楽しんだのでしょう。 周遊ルートにある、ひと休みできるカフェの前には、カラフルな植栽の花壇がありました。 チューリップやプリムラ、アネモネ、ワスレナグサなどの春の草花で、楽しいマルチカラーの植栽に。 ピンクに染まるエリカの谷 さて、次はどんな庭が待っているだろうと、小道を下っていくと…、現れたのはエリカの谷、「ヘザー・ガーデン」です。春の花盛りを迎えたエリカに埋め尽くされた景色に、思わず胸がときめきます。南西を向いた斜面はかなり斜度がありますが、斜面をうまく活用すると、こんなドラマチックな景色を生み出せるのか、と感心。シンプソンの頃には、「砂漠の庭(デザート・ガーデン)」だったそうですが、オーナーが変わった1950年代にヘザー・ガーデンとなりました。 日本だったら、さしずめ、エリカの代わりにツツジが植わって、ツツジ園となっているような形態の庭でしょうか。エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』にある通り、エリカは荒れ野に咲くイメージで、どちらかというと地味な存在。こんな素敵な庭景色をつくる素材になるとは知らず、新しい発見です。 調べてみると、ヘザー・ガーデンというカテゴリーの庭は意外と存在するようで、英国王立園芸協会の庭園、「ハーロウ・カー」にも、このような色とりどりのエリカが集められたコーナーがあります。日本でも、札幌の「百合が原公園」にヘザー・ガーデンがあるようです。ヨーロッパ原産のエリカは高温多湿の環境が苦手なので、冷涼な夏の札幌ならではの庭といえるでしょう。それにしても、コンプトン・エーカーズほどの広さを持つヘザー・ガーデンは珍しいようです。 一度下った谷を再び登っていくと、男女の銅像が置かれた石敷きのテラスに出ました。銅像は、詩人と百姓を表したものだそうですが、身分違いの恋を想像させるようなシーンなのでしょうか。ロマンチックな雰囲気のガーデン・オーナメントは個人的にあまり好みではないのですが、楚々としたエリカに囲まれた2つの銅像は、なかなか素敵です。 エリカの谷には、アクセントとして、つやつやした明るい黄緑の葉を持つ灌木や、レモン色の花を咲かせるアカシア・プラビッシマ、同じく黄色い花を咲かせるソフォラ・ミクロフィラ‘サン・キング’などの潅木が植わっています。エリカの紫やピンクの花色に、反対色となる黄や黄緑が映えて、互いを引き立て合う関係です。大きな常緑の樹木などもあって、高さにも変化を持たせた植栽となっていました。 静けさただよう日本庭園 周遊ルートを歩いていくと、今度は黄金色の竹がそびえるエリアに出ました。足元に咲くのは白いラッパスイセン。それぞれに馴染みのある植物ですが、この組み合わせはなかなか目にすることがないような。 アジアンな雰囲気になってきたぞ…と思ったら、日本庭園がありました。茅吹き屋根の門から入ります。 ちょうどツツジやシャクナゲが咲き始める頃合いでした。石灯籠もあって、なかなか立派な日本庭園です。英国ではいくつか有名な日本庭園がありますが、この庭がつくられた1920年代には、本格的なものはそう多くありませんでした。シンプソンは、ヨーロッパでも数少ない「本格的な日本庭園」を名乗るために、設計も造園も日本の業者に依頼し、東屋や石塔、石灯篭などは日本から輸入したそうです。 シャクナゲやツバキなどの植栽の間から飛び石のある池が覗く、絵になる景色。奥の滝からは水が流れ込んでいます。日本にいるようなホッとした気分になりますが、かつて日本を訪れたであろうシンプソンも、きっと異世界のようなこの庭を楽しんだのでしょう。 八重桜とモミジの取り合わせ。池には鯉も泳いでいます。近年、盆栽とともに、日本庭園が再び人気となり、英国では1993年に「ジャパン・ガーデン・ソサエティ」が誕生、2011年には慈善団体として登録されています。今後、海外から日本への観光客が増えるにしたがって、日本庭園の海外進出も一層進みそうですね。 コンプトン・エーカーズでは、いわゆるイングリッシュガーデンとは少し異なる雰囲気の、さまざまなスタイルの庭を見ることができました。英国のガーデンカルチャーは本当に奥深いものですね。 併せて読みたい ・ロンドンの公園歩き 春のケンジントン・ガーデンズ編 ・イギリス流の見せ方いろいろ! みんな大好き、チューリップで春を楽しもう ・一年中センスがよい小さな庭をつくろう! 英国で見つけた7つの庭のアイデア
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花の庭巡りならここ! 花と野菜の魅力を満喫できる「花菜ガーデン」
フラワー&アグリカルチャーに親しむスポット 品種改良の歴史を学べるバラ園は必見! 2010年3月にオープンした「花菜ガーデン」。実は正式名称を「神奈川県立花と緑のふれあいセンター」といいますが、一般公募でつけられた愛称のほうが浸透し、親しまれています。花と野菜から取り、神奈川県の「かな」をふり仮名にして「花菜(かな)ガーデン」と名づけられました。 園内は、季節の花木や草花が楽しめる「フラワーゾーン」、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験ができる「アグリゾーン」、農業や園芸に関する知識を深める施設「めぐみの研究棟ゾーン」の3つに分かれています。 特に「フラワーゾーン」内のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラ専門家の河合伸志さんプロデュースによる、バラの品種改良の歴史が一目で分かる植栽が見どころです。約1,300種が揃うこのバラ園を目当てに訪れる愛好家も多く、春(5月〜6月上旬)と秋(10月〜11月上旬)にはローズフェスティバルが開催され、大賑わい。「バラがとてもきれいで、敷地が広く充実したひとときでした。再度来園したい」という声が多く寄せられています。 「花菜ガーデン」が理想とする園芸家に、カレル・チャペックがいます。エッセイ『園芸家12カ月』は、約90年経った今も世界のガーデナーがバイブルにする書物です。そのライフスタイルに共鳴し、「花菜ガーデン」でもプラスアグリ(農業)をコンセプトに掲げ、今も残る彼の家と庭のイメージを「チャペックの家と庭」として展示。また、体験学習として、田植えや稲刈り、野菜の収穫体験のほか、ハンギングバスケットづくりや苔玉づくりなど、さまざまな体験型プログラムも実施しています。 キッズビレッジ、キッズファームでは、あえて小型化したアーチやトンネルで子ども目線の異空間の入り口を演出するなど、エリアごとに工夫を凝らしたガーデン演出が楽しく、見応えがあります。「子どもも大人も楽しめる施設になっていると思いました」との感想も聞かれ、花と野菜の魅力をいっそう引き出す展示が、「花菜ガーデン」の魅力です。 エリアごとの華やかなガーデンは眼福! 田植えや野菜の収穫など体験型アグリも開催 写真は「球根ミックス花壇」で、チューリップやアネモネ、スイセン、ヒヤシンスなど62品種、約11万球を植栽。華やかな球根植物たちの競演は、見応えがあります。チューリップは3月下旬〜4月中旬が見頃。配色や植栽のデザインは年によって変わるので、毎春の楽しみとしてリピーターが多く訪れます。 また、2019年は11月中旬〜12月上旬にもアイスチューリップの開花が見られる予定。開花調整されたアイスチューリップは開花期間が長いのも魅力です。 写真は三日月山パノラマ大花壇の5月上旬の様子。ポピーやコーンフラワー、カリフォルニアデージーなどを、ワイルドフラワーのようにバランスよくミックスした花畑を作っています。年に2回の植え替えを行っており、2019年8〜10月は5色のニチニチソウで彩られる予定。植栽は毎年変更され、180度パノラマの迫力たっぷりの花壇は、写真映えする人気のスポットです。 写真は「アグリゾーン」にある「触れん土ファーム」での収穫体験の様子です。他に「花菜ガルテン」や「キッズファーム」「温室」でも収穫体験(有料・持ち帰り可)を実施。内容や時間は、農作物の生育具合やコンディションに合わせて、当日の朝、公式ホームページ上で発表されます。当日の入園窓口にて申し込む先着順で、定員になり次第締め切り。食育の場としても楽しめそうですね。 河合伸志さんプロデュースによる バラ園では品種改良の歴史が学べる 「花菜ガーデン」のバラ園「薔薇の轍(わだち)」は、バラの品種改良の歴史に沿って系統・分類ごとに展示している「バラの歴史園」です。大きくは野生種からオールドローズ、そしてモダンローズの順に植栽され、時代の流れとともに次々に華やかな花姿が誕生していった経緯を学ぶことができます。そこで、バラがたどってきた今日までの道のりを、車が通った両輪の跡、轍にたとえて「薔薇の轍」と名づけられました。 写真はオールドローズのコーナー。 リージャンロード・クライマー、ロサ・ダマスケナ・トリギンティペテラ、パークス・イエロー・ティーセンティッド・チャイナなどが見られます。 写真はモダンローズのコーナー。芳醇な香りを放つ‘薫乃’、病害虫に強く修景バラとして活躍する‘ノックアウト’、「世界バラ会連合」にて名花として最初の殿堂入りを果たした‘ピース’などが見られます。 香りのバラのコーナーでは、香りを強く放つ品種群を植栽しています。写真手前のピンクのバラが‘エル’、奥に見えるのが‘香貴’、‘快挙’など。バラは咲きたてほどよく香るので、午前中早めに訪れるのがオススメ。香り比べをして、それぞれのバラの魅力を満喫するのもいいですね。 写真のバラの名前は‘花菜ローズ’。花菜ガーデンのバラ園を設計・監修した河合伸志さんが育種したバラで、オープンの記念に贈られました。ニュアンスのあるアプリコット色と芳しい香りが魅力で、シンボルローズになっています。 2019年春のローズフェスティバルでは、普段は販売していないバラ苗を集めた「ローズマーケット」、詳しい解説を聞きながら巡る「バラ園ガイドツアー」、バラの専門家の解説が聞ける「プロに学ぶ! バラの講演会・ガイドツアー」、藤川志朗さんの「花のイラスト展」などを予定しています。 地元の名産品やオシャレ雑貨が充実のショップ& 旬の食材を使ったメニューに大満足のレストラン 「花菜ガーデン」内のショップ「ディア・チャペック」では、神奈川県の特産品や、バラや花をモチーフにした雑貨などが豊富に揃います。広い店内は通路の幅もたっぷりとってあるので、ゆったりとお買い物を楽しめるのがいいですね。旅の記念やお土産に、ぴったりのアイテムを探してみましょう。 ショップのオススメは、左のローズジュース(250ml)324円、右のローズシロップ(120ml )1,296円。ほかにバスフレグランス(入浴剤・1個)324円、ローズドロップクリーム(美容液・80g)2,760円も人気があります。 園内には、レストラン「キッチンHana」(室内約100席、テラス約80席)があるので、歩き疲れたら立ち寄って休憩を。営業時間は3月1日〜11月4日が10:30〜17:00(L.O.16:30)、11月5日〜2月末日が10:30〜16:00(L.O.15:30)、定休日は「花菜ガーデン」の休園日に準じます。神奈川県の旬の食材を使ったランチメニューやデザートセットなど充実のメニューに、どれにしようか迷ってしまうかも!? レストランのグランドメニューは、神奈川県産の「ヤマユリポーク」を使用したポークグリルスープつき1,400円や、牛肉100%のハンバーグスープつき1,200円など。メニュー内容は季節やイベントによって変わります。キッズプレートやペアランチセットなどもありますよ! デザートはシフォンケーキや自家製タルトが500円、ケーキとフリードリンクのデザートセットが700円です。
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連休の花庭お出かけ情報! 日本全国、花の旅にオススメの観光ガーデン保存版【中国・四国・九州】
行楽シーズンのお出かけにもオススメ!花の旅が楽しめる、全国のガーデン情報 春の訪れが早い、九州や本州南部では、5月初めにバラがピークを迎えるところも多く、暖地のガーデンを訪れると一足早い景色を楽しむことができます。各地の庭園や観光ガーデンも見頃を迎えるこの季節に、日本全国の花の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか? ここでは、当WEBサイト「Garden Story」にてご紹介してきた全国のガーデンを、地域ごとにまとめてご案内します。 北海道・東北・関東版はこちら 中部・近畿版はこちら 【中国地方・鳥取県】屋根つき回廊が斬新!「とっとり花回廊」 「とっとり花回廊」の最大の特徴は、大きな温室のフラワードームを中心に、園内を一周できる屋根付きの展望回廊があること! 園内の各所を結ぶ回廊は、天気の悪い日や暑い日にも歩きやすいのが嬉しいですね。広大な花畑やショウガーデンもあり、心ゆくまで花を楽しむことができます。 ・花の庭巡りならここ! 全エリアを見渡せる屋根つき回廊が斬新!「とっとり花回廊」 【中国地方・岡山県】自然美にため息「深山イギリス庭園」 2000年にオープンしたこの英国式庭園は、イギリスの著名な庭園技師、ピーター・サーマンさんが、「20世紀の伝統的なイギリス庭園」をコンセプトにこの地の気候に合ったガーデンデザインを手がけました。5~6月頃には一番の見頃であるバラが咲く景色が楽しめ、他の季節にも旬の花が引き立つステージが随所に設けられています。 ・花の庭巡りならここ! 自然美にため息がこぼれる「深山イギリス庭園」 【中国地方・広島県】期間限定の花畑「Flower village 花夢の里」 広島県にある「Flower village 花夢の里」は、毎年4月上旬から5月中旬の期間限定でオープンする、美しい花畑が観られる観光スポットです。4万㎡の広大な敷地に、ピンクや白、赤などのカラフルなシバザクラ、美しいブルーのネモフィラ、鮮やかな黄色の菜の花などが一面に咲き、ダイナミックな景観が楽しめます。インスタ映えもばっちりですよ。 ・花の庭巡りならここ! 期間限定の花畑観光スポット「Flower village 花夢の里」 【中国地方・広島県】丘陵を覆う圧倒的な花数「国営備北丘陵公園」 森と湖(国兼池)に囲まれ、緑豊かな自然の中にある「国営備北丘陵公園」は、リフレッシュに訪れるのにうってつけの公園です。花のエリアでは、春は丘陵を覆いつくすように花が咲き、初夏は1万株のアジサイが、夏には5万株のヒマワリが咲く花景色が楽しめます。「ふるさと・遊び」をテーマにしたレクリエーション施設が揃っているのも嬉しいですね。 ・花の庭巡りならここ! 四季を通して花のカーペットで彩られる「国営備北丘陵公園」 【中国地方・山口県】棚田の地形を生かした花スポット「やまぐちフラワーランド」 山口県柳井市は温暖で日照時間が長いため、花の生産が盛んな地域。そんな地域にある「やまぐちフラワーランド」のコンセプトは、「歴史と自然に囲まれた、ちょっとおしゃれな花と緑の庭園」です。棚田の地形を生かした花壇では、季節ごとにさまざまな花が咲き広がり、気持ちのよい景色の中でのんびりとした時を過ごすことができる花のスポットです。 ・花の庭巡りならここ! 花苗生産が盛んな地域ならではの演出「やまぐちフラワーランド」 【四国地方・高知県】日本でモネの庭を体感『北川村「モネの庭」マルモッタン』 画家、クロード・モネが、半生をかけてつくったジヴェルニーの美しい庭は有名ですが、日本にいながらにしてその庭を楽しむことができるのがここ、『北川村「モネの庭」マルモッタン』。「モネの庭」をつくりたいという希望は世界中にありますが、唯一それを許された庭です。色鮮やかで美しい景色の中、まるでモネの絵に入り込んだような気分が味わえますよ。 ・花の庭巡りならここ! 画家・モネが愛した庭を再現『北川村「モネの庭」マルモッタン』 【四国地方・高知県】牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」 日本の植物学者の草分けである、牧野富太郎博士の故郷につくられたこの「高知県立牧野植物園」では、牧野博士と関わりの深い植物や土佐の植物をはじめ、四季折々約3,000種類の植物が見られます。薬用植物や貴重な絶滅危惧種も多数。四季折々の花景色を楽しむだけでなく、植物学を学ぶ人々にとっての聖地でもある植物園です。 ・花の庭巡りならここ! 牧野富太郎コレクションを堪能「高知県立牧野植物園」 【九州地方・福岡県】花いっぱいの総合公園「響灘緑地(グリーンパーク)」 チューリップやバラ、アジサイ、ヒマワリなど、季節ごとにさまざまな花が咲き乱れる「響灘緑地(グリーンパーク)」は、花いっぱいの総合公園。3棟の温室では、熱帯地域に生息する植物はもちろん、その地域の動物や昆虫も展示されているのもユニークです。196ヘクタールの広大な敷地は、いつ訪れても花々で鮮やかに彩られ、市民からも愛される憩いの場となっています。 ・花の庭巡りならここ! 老若男女が集う花いっぱいの総合公園「響灘緑地(グリーンパーク)」 【九州地方・長崎県】アジア最大級のローズガーデン「ハウステンボス」 長崎県のテーマパーク「ハウステンボス」では、ヨーロッパ風の街並みを背景に、アジア最大級のローズガーデンと称されるほど、バラが多数咲き誇る美しい景色が魅力です。園内にはたくさんのガーデンがありますが、中でも水路を中心に、130mに及ぶカスケードガーデンは圧巻。運河から船でバラを眺めたり、ライトアップを楽しんだり、テーマパークならではのバラ景色も素敵です。 ・花の庭巡りならここ! ヨーロッパの街並みがバラで埋め尽くされる長崎「ハウステンボス」 【九州地方・大分県】大自然に囲まれた癒し空間「くじゅう花公園」 目の前にくじゅう連山、遠くに阿蘇五山、祖母・傾山を望む立地にある「くじゅう花公園」。22万㎡の敷地に約500種500万本の植物が育ち、大自然に囲まれた癒しの非日常空間を満喫できます。シバザクラやポピーなどの花々が一面に咲き揃う花畑は圧巻。さまざまな植物を組み合わせた花壇やローズガーデンもあり、園内ではショッピングや食事も楽しめます。 ・花の庭巡りならここ! 高原に広がる圧巻の花畑!「くじゅう花公園」 【九州地方・鹿児島県】南国ならではの植生「フラワーパークかごしま」 花き生産の盛んな鹿児島で、生産者と市民の交流の場としてつくられたのがこの「フラワーパークかごしま」。36.5ヘクタールもある広大な敷地を生かし、たくさんの花が咲き乱れる花畑が人気。暖かな気候の鹿児島らしいトロピカルな花が育つ「ジャングル花の谷」もユニークです。 ・花の庭巡りならここ! 南国ならではの植生が楽しめる「フラワーパークかごしま」 Credit 文/3and gardenガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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皇室ゆかりのバラ〜皇居東御苑のバラとプリンセスローズ〜
昭和から平成、そして令和へと引き継がれるバラ 「令和」の新しい時代が明けようとしています。"皇室とバラ”といえば、雅子様のお印が「ハマナス」、眞子様のお印が「モッコウバラ」。そして雅子様、眞子様のお持ち物には、この「ハマナス」、「モッコウバラ」が描かれているとのことです。 皇居東御苑の一角にあるバラ園には、この「ハマナス」や「モッコウバラ」をはじめ、全部で15品種のバラが植栽されています。もともとは、昭和天皇に献上され、育てておられたバラが大半で、上皇陛下のお考えから1996年(平成8年)に整備され、吹上御所からこちらに移植されたそうです。 では、植栽されている15のバラをご紹介しましょう。 1.テリハノイバラ(ロサ・ウィクライアーナ) 一季咲きで3~4cmほどの白い花を咲かせ、つる性のほふくする枝に光沢のある照り葉が茂るのが特徴です。20世紀初頭、ヨーロッパやアメリカに渡り、さまざまなランブラー、ハイブリッド・ウィクライアーナの作出に貢献しました。 原生地:日本、中国 2.イザヨイバラ(ロサ・ルクスブルギー) 繰り返し咲く約8cmの花は、花弁が多くとても美しい。満月が少し欠けたような花形から十六夜(いざよい)バラと呼ばれます。江戸時代には、葉の形状から、「サンショウバラ」と呼ばれていました。 原生地:中国の南西部から東南アジア 3.シロバナハマナス(ロサ・ルゴサ・アルバ) ハマナスの白花品種で、花径約8cmの花は繰り返し咲き、秋には大きな実を付けます。 原生地:カムチャッカ半島、千島列島 4.コウシンバラ(ロサ・キネンシス) 四季咲き性が強く、コンパクトな木立ち性の樹形。1309年、藤原氏の氏神である春日神の霊験を描いた絵巻「春日権現験記」(三の丸尚蔵館所蔵)の第5巻第2段に描かれた花が、このバラではないかといわれています。 原生地:中国 5.かのこ 一季咲きで、5枚弁の紅色の花弁は、中心が白く抜け、房咲きになります。 原生地:日本 6.フローレンス・ナイチンゲール フローレンス・ナイチンゲール国際基金発足75周年を記念して作出されたバラ。2009年9月に国際看護師協会から贈られ、このバラ園には、上皇・上皇后両陛下がお手植えされました。 1989年、アメリカで作出されたシュラブローズ。 7.のぞみ ほふく性の株でコンパクト。一重の可憐な薄いピンクの花は一季咲きです。 作出は1968年、小野寺透氏。 8.ハマナス(ロサ・ルゴサ) このバラが日本からヨーロッパへ渡ると、「耐寒性に優れ、返り咲き性があり、大きなローズヒップも楽しめる」ことから、北欧などの寒冷地向きのバラの交配に貢献しました。爽やかなスパイシー香があります。 原生地:日本 9.マイカイ 中国では、「マイカイ」(メイグイ)は、バラの総称に加え、薬や食用に使用される、このバラの個体名も指します。ダマスクにスパイシー香が混ざる心地よい香りの花は、お茶やお菓子に利用されてきました。 原生地:中国 10.サクラバラ(ロサ・ウチヤマナ) 5弁の花弁の先にピンクが乗る優しい雰囲気のバラは、つる性で一季咲き。日本のノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)と中国のコウシンバラ(ロサ・キネンシス)の交雑種とみられます。 原生地:日本(九州) 11.サンショウバラ(ロサ・ヒルトューラ) 一季咲きの5弁の大輪。薄いピンクの花の中央にある豪華なシベが美しい。木立ちの大木になり、葉の形状から「山椒薔薇」、富士箱根地区が自生地であることから「箱根薔薇」とも呼ばれています。 原生地:日本 12.ナニワイバラ(ロサ・レヴィガータ) 光沢のあるしっかりとした常緑の葉に、純白の5弁の大輪の花が美しい一季咲きのバラ。樹勢が強く、大きな株に育ちます。1700年頃、日本へ。 原生地:中国 13.ツクシイバラ(ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ) 5弁のハート形の花弁の先に優しいピンクが乗り、房咲きになる姿が愛らしい。一季咲き。 原生地:日本(九州) 14.キモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ'ルテア') 八重咲き(プレナ)の黄色(ルテア)のモッコウバラは、常緑のつる性で、温暖な場所で真価を発揮します。東御苑のバラ園では、陽当たりがよく、ベッド仕立てにしてあるため、とても花付きがよく、開花時には大変見事に咲き誇ります。 原生地:中国 15.モッコウバラ(ロサ・バンクシアエ) 白い(アルバ)八重咲きのモッコウバラは、キモッコウバラと同様、ベッド仕立てに。 19世紀初め頃、八重咲きの白いモッコウバラ(ロサ・バンクシアエ・バンクシアエ)は、スコットランドの園芸学者兼植物学者ウィリアム・カーによって、中国からヨーロッパに紹介されました。その際、イギリスのキュー・ガーデン所長、ジョゼフ・バンクスの妻の名を付けて、「レディ・バンクス・ローズ」という名で紹介されました。白の一重と八重、黄色の一重には香りがあることから、「木香薔薇」と呼ばれます(黄色の八重は微香)。 原生地:中国 以上のように、植栽されている品種を紐解けば、東御苑のバラ園には、中国との歴史や友好、記念など、日本の歴史、皇室の歴史、バラの歴史の一端が、凝縮されていることが見えてきます。 皇族の方々のお名前を冠したバラ そして、東御苑バラ園には植栽されてはいませんが、皇族の方々のお名前を冠したバラもご紹介しましょう。 ‘プリンセス・ミチコ’(F) ‘エンプレス・ミチコ’(HT) ‘プリンセス・マサコ’(HT) 雅子様がご成婚前に直々に選ばれたバラ「プリンセス・マサコ」。滋賀のWABARA / Rose Farm KEIJIのバラ育種家、國枝啓司さんが1993年に作出しました(現在は非売品)。 ‘マサコ(エグランタイン)’(S) ‘ハイネス雅(みやび)’(HT) ‘プリンセス・サヤコ’(HT) ‘プリンセス・アイコ’(F) 皇室と縁のあるバラ農家、長野県富士見町にある「アサオカローズ」さんでは、美智子様のお誕生日には、1980年から毎年、‘プリンセス・ミチコ’の花束を献上し、2013年からは、‘プリンセス・ミチコ’に3種のバラをブレンドしたローズウォーターを献上されています。 また、寛仁親王妃信子殿下は、公益財団法人日本ばら会の名誉総裁で、淡いローズピンクが美しい‘プリンセス・ノブコ’(HT/2001年 スコットランド アンG.クッカー作出)と名のついたバラもあります。 年号が変わるこの節目の年に、皇室にゆかりのあるバラに再注目してみました。これから全国でバラが咲き誇る季節。ぜひ、お近くのバラ園などでも、皇室にゆかりのあるバラの美しい咲き姿を愛でてはいかがでしょうか?





















