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神奈川「あやせローズガーデン」の秋バラがすごい! プロが選ぶ「丈夫でよく咲くバラ」10選

神奈川「あやせローズガーデン」の秋バラがすごい! プロが選ぶ「丈夫でよく咲くバラ」10選

「あやせローズガーデン」の入り口を飾るバラ‘フェアリー・クイーン’とセロシア‘レッド・クリフ’

2025年5月にリニューアル後、わずか1カ月で約7万人が訪れた、今最も注目のバラ園の1つが、神奈川県綾瀬市の「あやせローズガーデン」。10月下旬から11月下旬頃まで続く秋バラのシーズンには、まるで世界を旅するように巡れる11のエリアで、多種多様な植物とバラの華やかな競演が楽しめます。このガーデンの総合監修を務める植物専門家の河合伸志さんに、秋もよく咲き、耐病性に優れ、初心者でも育てやすい“今おすすめのバラ”を10種ピックアップしてもらいました。実際の秋のガーデン風景とともに、庭づくりの参考にもなる注目のバラたちをご紹介します。

世界を旅するように巡れる、話題の「あやせローズガーデン」とは

あやせローズガーデン
「あやせローズガーデン」の中央エリア、ピースフル・ガーデンで無数の花を咲かせる‘ル・デパール・ド・アヤセ’。

神奈川県綾瀬市の市民公園「光陵公園」内に誕生した「あやせローズガーデン」は、2025年5月1日に入園無料のバラ園として一般公開がスタートした、いま話題の新スポットです。“バラとのつながりで輝くまちあやせ”をスローガンに、GREEN×EXPO2027(2027国際園芸博覧会)が開催される横浜市瀬谷区に隣接する立地を生かし、誰もが気軽に本格的なバラの風景を楽しめる庭として整備されています。

園内にはデザインの異なる11のエリアがあり、それぞれのコンセプトに合わせて約150種・680本のバラが植栽され、一季咲きのつるバラを除く約9割が今まさにこの秋にも開花しています。バラの足元には宿根草や一年草、花木など多彩な植物が植え込まれ、他のガーデンではあまり見かけない珍しい植物もバラと調和して季節の表情をつくっています。エリアごとに雰囲気ががらりと変わるので、園内を1周するだけで、まるで世界の庭を旅しているような散策が楽しめます。

猛暑と病気に強い“厳選バラ”だけが植えられたガーデン

ジニアとバラ
ジニア・エレガンス‘クィニー・ミックス’と競い合うように咲く‘ル・デパール・ド・アヤセ’。

バラは生育期に雨が多い日本の高温多湿な気候では病気が出やすく、通常は週に1回程度の薬剤散布が必要とされるなど、やや栽培難易度の高い植物です。「あやせローズガーデン」では、綾瀬市の気候条件(=関東地方以西の平地の気候)や昨今の猛暑にも耐え、月1回程度の薬剤散布で健全な状態を保てるような、強健な品種を厳選*し植栽しています。そのため過酷な夏のダメージが少なく、秋まで葉も花も美しい状態を維持できています。さらに、もともと秋でも花付きがよい品種を多く選んでいるため、他ではなかなか見られないような秋バラと他の植物がコラボする特上の秋の風景が生まれています。

今回ご紹介する10品種も、こうした条件を満たし、秋でも花付きよく楽しめるよう選び抜かれたおすすめのバラたちです。

*デザイン上替えがきかない一部の品種を除く

あやせローズガーデン
小高い丘の斜面に、グラス類やコスモス、ジニア、セロシアなどと一緒に秋バラも彩りを添えるフラワー・ヒル。写真右のよく目立つ大型の宿根草はサルビア・マドレンシス‘イエロー・マジェスティ’。

あやせローズガーデンで注目の秋バラ10選

他所では見られないオリジナル品種や最新品種も数多く植えられ、季節とともに次々と表情を変える風景の散策が楽しめる「あやせローズガーデン」。“この庭自体がバラ栽培の参考書になるように”。そんな思いで植栽設計を手がけた総合監修者の河合さんが、「秋もよく咲き、耐病性に優れ、初心者でも育てやすい」という視点で厳選し、この庭の魅力を象徴する存在として選んだ注目の秋バラ10種を、実際のガーデン風景とともにご紹介します。

セレクト1
ル・デパール・ド・アヤセ

ル・デパール・ド・アヤセ

四季咲き/木立性/中輪/2025年/作出者 河合伸志

ピンクが混ざった独特の色調のオレンジ色で、人目を引きつける。一見して派手な色ではあるが、花の雰囲気が重すぎないこともあり、グラス類など他の植物とよくなじむ。花弁がやや波打った丸弁平咲きで、軽いティーの香りがある。

‘ル・デパール・ド・アヤセ’
秋のフラワー・ヒルに咲く‘ル・デパール・ド・アヤセ’。株元に咲くダリアは自然実生で生えてきたもの。

極早生品種で、綾瀬市ではゴールデン・ウィーク過ぎには満開になる。春以降も繰り返しよく開花する。数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。株は半直立性で、枝はやや細くしなやかさがあり、中型の株に生育する。耐病性に優れ、樹勢が強く、育てやすい。綾瀬市のシンボル・ローズで「綾瀬の門出」を意味する。

セレクト2
マイ・ローズ

マイローズ

四季咲き/木立性/中小輪/2019年/作出者 木村卓功

チェリー・レッドの色彩は、気温が低い時のほうが、赤が美しく発色する。中輪としてはやや小ぶりの整ったロゼット咲きで、ティー系の微香。花首がややうつむくように咲き、花もちがとてもよい。

‘マイ・ローズ’
秋のウェルカム・ガーデンに咲く‘マイ・ローズ’。左の宿根草はサルビア・エレガンス(パイナップル・セージ)‘ゴールデン・デリシャス’。まばゆい黄金葉は赤い花を引き立ててくれる。

数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。花もちがとてもよく、花弁質が優れ、雨でも傷みにくい。株は半直立性で、コンパクトでカチッとまとまり、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。

セレクト3
ベルスーズ

ベルスーズ

四季咲き/木立性/中小輪/2019年/作出者 木村卓功

ピンクの浅いカップ状の丸弁平咲きで、花径4~5cm程度の小ぶりの花。ティー系の微香がある。大房で開花し、花付きが極めてよい。春以降もほぼ連続的に開花し、3シーズン花付きがよく、ガーデンにはもってこいの品種。

‘ベルスーズ’
秋のウォーター・ガーデンに咲く‘ベルスーズ’。秋のガーデンで最も多くの花を咲かせてくれる品種の1つ。

枝は細くしなやかさがあり、ほどよくふわりと広がり、優雅さを感じさせる。株は半直立性で、比較的コンパクトに生育し、まとまりもよく、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢が強く、育てやすい。

セレクト4
クー・ド・クール

クー・ド・クール

四季咲き/木立性/中輪/2020年/作出者 入谷伸一郎

グレーや茶の陰影を感じる独特の色調で、季節によって変化しやすい。花の中心にペルシカ系特有の淡いブロッチが入る。ティー系の微香がある。極早生品種で、綾瀬市ではゴールデン・ウィーク過ぎには満開になる。弁先が尖った形状の半八重咲きで、数輪の房で咲き、花付きがとてもよい。春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花付きがよい。

‘クー・ド・クール’
秋のドライ・ガーデンに咲く‘クー・ド・クール’。左はセロシア‘セルウェイ・テラコッタ’。このバラの微妙な色彩は、アンティークな色合いともよく調和する。

枝はやや細くしなやかさがある。半横張りのコンパクトな株に生育し、まとまりがよく、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢がやや強く、育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。

セレクト5
シャルール

シャルール

四季咲き/木立性/中輪/2021年/作出者 木村卓功

オレンジ、黄、赤が混ざる複雑な色合いで、人目をよく引き付ける。開花後に花色が変化し、花全体が赤みを帯びてくる。ロゼット咲きの花には、フルーティーな心地よい中程度の香りがある。早咲きで、花もちがよい。

‘シャルール’
秋のトロピカル・ガーデンに咲く‘シャルール’。賑やかな色合いは、極彩色のトロピカル・ガーデンによく似合う。

数輪の房で咲き、花付きがとてもよく、春以降も繰り返しよく咲き、3シーズン花数が変化しない。枝は中程度の太さで、ややしなやかさがありつつもがっしりとした姿で、枝葉がよく茂る。半直立性の中型の株。耐病性が強く、樹勢が強く、育てやすい。

セレクト6
ヴィル・ナタール

ヴィル・ナタール

四季咲き/木立性/小輪/2022年/作出者 河本麻記子

赤紫色のポンポン咲きで、円錐状の大房で咲き、花付きがとてもよい。ティー系の微香がある。小花としては珍しく早咲きの品種で、気温が高くなる前に咲くので、パープル系の品種としては発色がよい。花もちもよく、春以降も繰り返しよく咲く。

‘ヴィル・ナタール’
秋のメドウ・ガーデンに咲く‘ヴィル・ナタール’。一緒に咲くコスモスは、‘カップ・ケーキ・ブラッシュ’。

枝は細く、直立性の株はコンパクトでまとまりよく生育し、鉢栽培にも向く。耐病性がやや強く、樹勢は中程度で育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。

セレクト7
雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク

雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク

四季咲き/木立性/大輪/2020年/作出者 吉池貞蔵

ピンク色に花弁裏が白色になるバイカラー。ふっくらとした丸弁の抱え咲きで、花にはアニスとティーの混ざった中程度の香りがある。数輪の房で咲き、花付きがよい。花もちもよく、春以降もよく咲く。株は中型で、まとまりよく生育し、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。

‘雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク’
秋のフラワー・ヒルに咲く‘雨ニモマケズ・リバーシブル・ピンク’。一緒に咲く宿根草はサルビア‘ビッグ・ブルー’。初夏から長期間咲き続ける。

株はややコンパクトでまとまりよく生育し、鉢栽培にも向き、がっちりとした半直立性の株に生育する。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。極端な多肥では、花が素直に開かないことがある。節数が少ない割に房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。

セレクト8
アイズ・フォー・ユー

アイズ・フォー・ユー

四季咲き/木立性/中輪/2009年/作出者 ピーター・J・ジェームズ

紫がかったピンクに、中心に大きく赤紫色のブロッチが入る。花色は気温で変化しやすく、低温期は濃く発色し、高温期はほぼ白色になる。早咲きで、花にはスパイシーな中程度の香りがある。数輪から大房で開花し、花付きがとてもよい。春以降もよく咲く。

‘アイズ・フォー・ユー’
秋のオセアニア・ガーデンに咲く‘アイズ・フォー・ユー’。秋は色彩が色濃く咲き、より一層魅力的になる。

半直立性のコンパクトな株で、カチッとまとまり鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢はやや強く、育てやすい。節数が少なく、大房で花が咲くので、花後の剪定は浅くしないと二番花が咲きにくくなる。

セレクト9
楼蘭(ロウラン)

楼蘭(ロウラン)

四季咲き/木立性/中輪/2022年/作出者 木村卓功

やや紫を含むピンクの整った浅いカップ咲きで、花にはクラシック・ローズのようなダマスク香とティーの混ざったやや強い香りがある。数輪の房で開花し、花付きがとてもよい。春以降も繰り返し良く咲き、3シーズン花数が変化しない。

‘楼蘭’
秋のオセアニア・ガーデンに咲く‘楼蘭’。後方の樹木はメラレウカ‘レッド・ジェム’。‘楼蘭’は総合監修者の河合さん、ガーデナーの入谷さんと石原さんの3人が揃っておすすめする、とても優秀な品種。

枝は細くしなやかで、ふわりとやや広がるように半横張りに伸長し、クラシック・ローズの美しさを感じさせる。株は中型からややコンパクトで、鉢栽培にも向く。耐病性が強く、樹勢も強く、育てやすい。

セレクト10
キャメル

キャメル

四季咲き/木立性/中輪/2025年/作出者 河合伸志

淡い茶色や桃、紫が混ざった複雑な色調で、不規則に所々に外弁に赤みがさす。ティー系の微香。整ったカップ咲きで、早咲きで、春以降も繰り返しよく咲く。数輪の房で咲き、花付きがよいが、秋は一輪咲きになりやすい。枝はやや太く、がっしりとした半直立性の中大型の株に生育する。耐病性が強く、樹勢がとても強く、育てやすい。

‘キャメル’
春のドライ・ガーデンに咲く‘キャメル’。ドライ・ガーデンにはラクダ(camel)がピッタリ。

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