スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)予約受付中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)予約受付中!
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「夏バテでゼラニウムに元気がない…」その原因は? 復活させる植え替え&剪定テクニック
ゼラニウムの基本情報 OksanaBgn /Shutterstock.com 植物名:ゼラニウム(ゼラニューム)学名:Pelargonium Zonal Group英名:Geranium、Pelargonium和名:天竺葵(テンジクアオイ)その他の名前:ペラルゴニウム、ハーブゼラニウム、センテッドゼラニウム、ペラルゴニウム科名:フウロソウ科属名:テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)原産地:南アフリカ形態:多年草 ヨーロッパの街並みを鮮やかに彩る花といえば、まず思い浮かべるのがゼラニウムではないでしょうか。南アフリカ原産のゼラニウムは、乾燥に強く丈夫な植物。夏場でも高温多湿になりにくいヨーロッパでは栽培しやすく、プランターや吊り鉢、ウィンドウボックスなどあらゆる場所で活用されています。 ゼラニウムはフウロソウ科ペラルゴニウム属(Pelargonium、和名はテンジクアオイ属)の植物を交配してつくられた園芸植物の総称。かつてゼラニウムはゲラニウム属(Geranium、和名はフウロソウ属)に分類されていました。当時の属名を英語読みした「ゼラニウム」が、現在も呼称(園芸名)として残っています。 Tony_Traveler85 /Shutterstock.com ペラルゴニウム属は南アフリカのケープ地方を中心に多くの野生種があります。それらが17世紀末から18世紀にかけてヨーロッパに渡り、19世紀に入ると本格的に品種改良が進み、園芸植物化されました。 園芸植物として普及しているペラルゴニウム属の植物は、大きく4つのグループに分けられます。①ゼラニウム、②アイビーゼラニウム、③センテッドゼラニウム、④ペラルゴニウムです。以下にそれぞれの特徴をまとめました。 ゼラニウムの代表的な種類と特徴 ①ゼラニウム ゼラニウムの園芸品種の親となった原種のP. zonale(左)とP. inquinans(右)。Sulla Mino /simona pavan/Shutterstock.com 南アフリカ・ケープ地方原産のペラルゴニウム・ゾナレ(P. zonale)とペラルゴニウム・インクイナンス(P. inquinans)との交配をもとに改良が進められた系統。18世紀初頭にイギリスで品種改良されて以降、ドイツやアメリカで多くの品種が作出されてきました。P. zonaleは和名が「モンテンジクアオイ」というように、葉に輪紋があるのが特徴。園芸品種の中にも輪紋葉を持つものが多いのは、この血を受け継いでいるからでしょう。一方、P. inquinans譲りの特徴は、「ゼラニウム・レッド」と呼ばれる独特な鮮紅色。欧米では、この鮮やかな色が、ゼラニウムを象徴する花色として愛されています。 ゼラニウムは四季咲き性のため、温度さえ保てれば一年中美しい花が楽しめます。茎は多肉質で太く、高性種では半低木状になります。花色が豊富で、鮮紅色、暗赤、ピンク、サーモン、白、赤紫、淡黄色などがあります。花形も一重咲きのほか、半八重咲き、八重咲き、花心まで花びらが重なる千重咲きとバラエティ豊富です。 当初は挿し木で増やす栄養系品種が主流でしたが、1960年代から種子から育てても早期に開花する品種が開発されて、現在では花壇やプランターに適した実生系品種が主流となっています。 四季咲き性のゼラニウム。花色や花姿もバラエティが豊富です。MaCross-Photography /Shutterstock.com ②アイビーゼラニウム 細い枝に、光沢のある葉が特徴的なアイビーゼラニウム。alybaba /Shutterstock.com 南アフリカのケープ地方原産のペルターツム(P. peltatum)を中心に改良された品種グループ。西洋ヅタのように光沢のある葉を持ち、枝が下垂することから「アイビーゼラニウム」「ツタバゼラニウム」と呼ばれています。茎は細く多肉質にならず、横に這う性質があるので、地植えには向きませんが、ウォールバスケットやハンギングバスケット、脚付きのコンテナなどに植えると、あふれるように花を咲かせて見栄えがします。 ③センテッドゼラニウム ピンクの花が愛らしいローズゼラニウム。aniana /Shutterstock.com 葉に芳香を持つ品種群で、「ハーブゼラニウム」「ニオイゼラニウム」とも呼ばれています。開花期は主に春から初夏ですが、花はおおむね地味で、“ハーブ”の名にふさわしく野趣あふれる姿が特徴です。改良種の中にはやや大輪の花も見られますが、そうすると葉の香りが弱く、「芳香を楽しむ」とはいかなくなるようです。欧米では、庭や玄関先などにセンテッドゼラニウムを植えて、通るときに葉をなでて香りを漂わせて楽しむ風習があります。香りの成分によって、ローズ、ミント、レモン、アップル、パイン(松ヤニ)などに分けられ、エッセンシャルオイルやお菓子の材料などに利用されています。 センテッドゼラニウムは葉の形もさまざま。aniana /Shutterstock.com ④ペラルゴニウム バイカラー咲きの品種、ペラルゴニウム‘アズテック’。Derek Harris Photography /Shutterstock.com 南アフリカ・ケープ地方原産のククラーツム(P. cucullatum)とグランディフロールム(P.grandiflorum)を主な親とし、これにほか数種を交雑して作り出された品種群。多くが春から夏にかけて咲く一季咲きで「ナツザキテンジクアオイ」の和名を持ちます。アザレアのような大輪の花を房状に咲かせ、弁の縁がフリルのように波打つものが多くゴージャスな印象を与えます。深紅色や藤色など他のゼラニウムにはない花色、花弁の中心に黒や赤色の斑紋や線状の模様が入る花、ビオラに似た小輪花、センテッド系との交配種など種類が豊富です。 ゼラニウムの名前の由来と花言葉 Ariene Studio/Shutterstock.com ゼラニウムは学名、英名ともに「Pelargonium(ペラルゴニウム)」ですが、これはギリシャ語の「ペラルゴス(こうのとり)」が由来になっています。種子の形がコウノトリのくちばしに似ているため、この名が付いたとされています。 和名は「天竺葵」です。「天竺」とはインドを意味する言葉ですが、インドに由来はありません。葉の形が葵に似ているものの、日本の葵とは違う異国の葵、と考えられたことから「天竺葵」になりました。 ゼラニウムの花言葉は花色によって異なります。赤色は「あなたがいて幸せ」、黄色は「偶然の出会い」、ピンク色は「決心」などです。全般的な花言葉は「信頼」「真の友情」「尊敬」などになります。 ゼラニウムの人気の品種 MaCross-Photography /Shutterstock.com ゼラニウムにはさまざまな品種があり、花色のバリエーションも多く、バラ咲きや星咲き、チューリップ咲きなど花形も多様です。葉に芳香を持つ品種などもあります。ゼラニウムの代表的な品種を紹介します。 スーパーゼラニウム チャンピオン Pelargonium hybrid 「スーパーゼラニウムチャンピオン」は、高温多湿に弱いゼラニウムを、日本の気温に適応するようゾナール系とアイビー系を交配させたハイブリッドの品種です。丈夫なうえに、華やかでボリューム感のある花を早春から晩秋までと長く咲かせます。花色はレッド、ロージー、オランジュなどがあります。 カリオペ Pelargonium × interspecific ‘Calliope' K.Jagielski/Shutterstock.com 「カリオペ」は、ゾナール系とアイビー系を交配させたハイブリッド品種で、耐暑性に優れ、大きく鮮やかな花を春から秋にかけて次々に咲かせます。花色によって、ソフトコーラル、ダークレッド、ローズスプラッシュ、ラベンダースプラッシュなどの品種があります。 「アメリカーナ」シリーズ Pelargonium × hortorum ‘Americana' PosiNote/Shutterstock.com 耐暑性に優れ、夏も持続的に花が楽しめるゼラニウムといえば「アメリカーナ」です。堅くて丈夫な花茎に大きな球状の花を咲かせます。コンパクトな草姿のため鉢植えで育てやすいでしょう。白い花の「アメリカーナ・ホワイト」、濃い赤色の「アメリカーナ・ディープレッド」など花色別の品種があります。花名に「スプラッシュ」が付く、花弁に斑紋が入る品種もあります。 モミジ葉ゼラニウム Pelargonium × hortorum 'Vancouver Centennial Gurcharan Singh/Shutterstock.com 「モミジ葉ゼラニウム」は、秋に葉が紅く紅葉するゼラニウムです。花がない時期も、カラーリーフとして葉の美しさを楽しめるため、寄せ植えなどに重宝されます。ただし、耐寒性はあまり強くなく、霜に当たると枯れてしまうので、寒さが厳しい地域では室内などに移動させることをおすすめします。 ローズゼラニウム Pelargonium graveolens LifeCollectionPhotography/Shutterstock.com 「ローズゼラニウム」は、葉に芳香があるセンテッドゼラニウムの代表的な品種です。花名の通り、葉はバラのような香りがするので、オイルやクリームに香りを移したり、料理に使ったりするなど、ハーブとしても楽しめます。開花期は5月から初夏にかけてです。薄いピンク色の花を咲かせます。センテッドゼラニウムは虫が付きにくく、病気も少なく丈夫なので、初心者にも育てやすいでしょう。 「エンジェルアイズ」シリーズ Pelargonium cv. ‘Angel eyes' 「エンジェルアイズ」は、ドイツで開発されたペラルゴニウムの品種です。やや高温多湿に弱いものの、開花期が長く、株一杯にビオラに似た小輪の花を咲かせ、葉には柑橘系の香りがあります。花色によって品種が異なり、主な品種にブルーベリー、オレンジ、バイカラーなどがあります。 ゼラニウムのガーデン実例 Florence Zamsky /Shutterstock.com 華やかで明るい色の花を咲かせるゼラニウムは、ヨーロッパで窓辺やバルコニーを飾るウィンドウボックスに利用されています。ゼラニウムは乾燥に強く、頻繁に水やりをする必要がないことや、開花期が長いことなども人気の理由でしょう。また、アイビーゼラニウムはハンギングバスケットやウォールバスケットに仕立てることで、立体感のある風景を楽しめます。 David Franklin /Shutterstock.com ゼラニウムの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3~12月上旬植え替え適期:真夏と冬以外なら植え替え可能肥料:庭植え、鉢植えともに3月、5月、9月、11月のそれぞれ中旬頃入手時期:3~5月、9~11月植え付け:3月下旬~6月、9月 ゼラニウムの栽培環境 日当たり・置き場所 Tibanna79/Shutterstock.com 【日当たり/屋外】日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。ただし、真夏は西日が当たらない場所を選びましょう。梅雨や長雨が続く時期は雨の当たらない場所に移しましょう。 【日当たり/屋内】日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。 【置き場所】真夏の直射日光や西日が当たらない場所に置きましょう。また、冬は霜を避けて、室内に取り込むようにしましょう。 耐寒性・耐暑性 Marianne Pfeil /Shutterstock.com ゼラニウムは耐寒性、耐暑性ともにそれほど強くありません。とくに寒さには弱く、気温が2℃を下回る環境に置いたり、霜に当たると株が傷みます。生育に適した気温は10~25℃程度なので、冬は室内に移動させるか寒冷紗を被せるなどの対策が必要です。また、夏の高温多湿でも株が弱ってしまうので、直射日光に当たらない場所に置き、水やりは朝霞夕方の涼しい時間帯に行いましょう。 ゼラニウムの育て方のポイント 日当たりを好む半面、高温多湿を嫌うという性質はあるものの、ほとんどの種類は丈夫で育てやすいゼ ラニウム。美しくきれいな花を咲かせるための栽培方法のコツをご紹介します。 用土 多湿を嫌うので、通気・水はけのよい土が適しています。酸性に傾いた土壌では生育が悪くなるので、鹿沼土ではなく弱酸性の赤玉土を使用するとよいでしょう。赤玉土6に、腐葉土またはpH調整済みのピートモス3、水はけをよくするバーミキュライトなどを少々混ぜます。用土1リットルにつきスプーン2杯程度の苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。市販の草花用培養土を使用することもできます。 水やり Whiteaster /Shutterstock.com 過湿を嫌うものの、生育が旺盛になる春から秋に水が不足すると成長が悪くなるため、この期間は、鉢土の表面が乾き始めたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。とはいえ梅雨から真夏にかけては過湿になると根腐れを起こすので、やりすぎは厳禁。また、花に水がかかると、灰色カビ病を誘発しやすくなるので、株全体にかけるのではなく、根元に注ぎ込むように与えるのがコツです。成長が鈍る冬は、寒くなるにつれ水やりの回数を徐々に減らして、乾燥気味に管理します。鉢土の表面全体が乾いてから、温度が上がってくる午前中に与えましょう。 肥料 植え付けのときに、リン酸を多く含む緩効性化成肥料を用土に混ぜておくとよいでしょう。油かすのように窒素分の多い肥料は、葉や茎ばかりが茂って、花付きが悪くなるので与えません。花付きをよくするためには、リン酸分の含有量が高い草花向けの液体肥料を1,000倍に薄め、月に数回与えます。真夏や冬越し前の秋には、カリ分の多い液体肥料に切り替えます。また、3要素等量の錠剤型緩効性肥料を施しておくのもよいでしょう。こちらは3カ月程度効果が持続します。成長が緩やかになる冬期は、温室などで管理する以外、肥料を施す必要はありません。 注意する病害虫 Sarah2/Shutterstock.com 真夏の高温期に、葉が斑入り葉のように黄白色になることがありますが、これは高温による障害で病気ではなく、秋になって涼しくなると自然に戻ります。 病気 ゼラニウムでしばしば見られるのが、株元の茎が黒変してつぶれたようになり、やがて上部まで枯れてしまう「茎腐病(ブラックレッグ)」です。症状がある茎を付け根で切り落として処分します。過湿状態や窒素分の多い肥料を与えると発生しやすくなるので、水はけのよい土を使い窒素肥料を控えます。 芽先が委縮して本来の花が咲かなくなるのは「モザイク病」の可能性があります。ウイルス性の病気のため、治療法はなく処分するしかありません。発病した株を切ったハサミで、他の健康な株を切ると伝染するので、ハサミを使うときにはその都度消毒するようにしましょう。 害虫 夜に活動して葉を食害するヨトウムシ。ChiccoDodiFC/Shutterstock.com 害虫の被害を最小限にするためには、虫が幼齢のうちに退治することが大切。その姿を探すより、葉や鉢の周りに残った糞や、食害を見つけるほうが簡単なので、日頃からよく観察する習慣をつけましょう。 春から夏にかけて葉の一部が巻いたり、引きつったりする症状が見られるのはハマキムシが原因。また、葉にかじられた痕があるのはヨトウムシによるもので、春から初冬にかけて発生しやすくなります。幼虫は見つけ次第捕殺して、オルトラン水和剤などの殺虫剤を散布します。またアブラムシやワタカイガラムシもつくので、こちらは粒剤タイプの浸透移行性殺虫剤を鉢土の表面に撒いておくと予防になります。 ゼラニウムの詳しい育て方 苗の選び方 苗を選ぶ際は、初春から初夏にかけての生育期初期の苗を選ぶのがおすすめです。さらに、株がコンパクトにまとまり、葉は艶やかな緑色、脇芽や葉数が多いものを選ぶと良いでしょう。葉が黄色や茶色に変色しているもの、害虫が付いているものは避けましょう。 植え付け・植え替え Okrasiuk /Shutterstock.com 真夏と真冬を避ければ、いつでも植え付け・植え替えができますが、多くの品種が出揃い、コンディションがよい株が入手しやすいのは、春から初夏にかけて。枝葉が硬くしっかりと締まり、つぼみが多くついた株を選ぶのがポイントです。 1年以上植え替えをしていない株は、3月に入ったら植え替えを行います。「下葉が黄色くなった」「すぐに鉢土が乾く」「株を持っても鉢から抜けない」といった状態が見られたら根詰まりを起こしている合図。鉢から抜いて根鉢を崩したら、根を1/3程度切って1回り大きな鉢(大きくしたくない場合は同じ鉢)に、新しい培養土で植え付けます。植え付け後は水をたっぷりと与え、1~2週間程度は強い日差しや強風を避けて養生させましょう。一方、一季咲きのペラルゴニウムの植え替えは、花後の6月頃が適期。春には根詰まりがひどい株のみ、根鉢を崩さないように注意して鉢増しするとよいでしょう。 日常の手入れ ゼラニウムはたくさんの小花を咲かせるので、咲き終わった花がらは都度摘み取りましょう。花房全体が咲き終わったら、付け根から取り除きます。黄色く変色した葉や、枯れ葉は見つけ次第取り除きましょう。 剪定・切り戻し Toru Arioka/Shutterstock.com 成長しながら枝の先端に花芽をつけるゼラニウムは、植え付けて半年以上経過すると草姿が乱れてくるため、剪定を行います。枝の下のほうに新芽が出ていたら、新芽を残すように切り詰めればOK。新芽が見えないときは、葉を数枚残すように切り詰めておくと、やがて新芽が出てきます。とはいえ花芽が付く4月以降に強い剪定をしてしまうと、見頃に花を楽しめなくなるので、伸びすぎた枝を揃える程度にしましょう。センテッドゼラニウムやペラルゴニウムなど一季咲きのものは花が終わった後に剪定しておくと、新芽がよく伸びます。 また、咲き終わった花をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく、灰色カビ病の原因にもなるため、花がらは適宜摘み取ります。花房の一部をピンセットなどで取り除くか、ほとんど咲き終わった花房は、花茎の付け根を押さえながらもぎ取ると簡単に取り除けます。 夏越し ChiccoDodiFC/Shutterstock.com からりと乾燥した気候を好むゼラニウムは、高温多湿の日本の夏が苦手。梅雨の時期は湿度が高く鉢土も乾きにくくなるため、水やりは控えめに。盛夏に水を切らすと株が弱るので、1日1回はたっぷりと水やりを。ただし土が乾いていないのに与えると根腐れの原因になるので、こまめなチェックを心がけましょう。 秋になっても元気がないようであれば「夏バテ」を起こしていることも。「新芽が伸びない」「鉢土が湿っているのに葉がしおれ気味」「葉の色が悪くなってきた」といった症状があれば、根腐れを起こしている可能性が大。古土と傷んだ根を落として、新しい培養土でやや小さめの鉢に植え替えましょう。蒸散を抑えるために地上部を軽く切り戻すことも忘れずに。切り取った枝から挿し穂を取り、挿し木をしておけば、「もしもの時の保険」にもなって一石二鳥です。 増やし方 Nataliamarc /Shutterstock.com ゼラニウムの繁殖は挿し芽が一般的ですが、花後に種子が付いていたら、採って播くこともできます。一代交雑種の種子からは、親とは異なる性質の株が生まれるので、我が家だけのオリジナルの花を楽しむことができます。ここでは、種まきと挿し芽の手順をご説明します。 種子から育てる Zanete /Shutterstock.com ゼラニウムの仲間の種子は、なかなかユニークな形をしています。以前の属名Geraniumはギリシャ語で鳥の「ツル」の意味、一方、現在の属名Pelargoniumは「コウノトリ」を意味します。これは、両属の植物ともに、実の先端に長い針状の突起があることから、ツルやコウノトリの長いくちばしを連想してつけられたといわれています。熟すと傘のように広がり、羽毛状の毛がついた種子を飛ばします。種子にはらせん状の突起があり、着地するとネジのようにくるくると回りながら土中に潜ります。 コウノトリやツルのくちばしのような実の中には5粒の種子が(左)。遠くに飛ぶための羽根と、土にもぐるための突起がついた種子(右)。 播種するときは、毛と突起は取り除いておくと発芽が揃います。採取したての鮮度のよいものを播くときには、つけたままでも発芽率は悪くないようです。小粒の赤玉土にバーミキュライトを等分で混ぜたもの、または市販の種まき用土に、その種子が重ならないように置き、種子が隠れるように薄く土をかけます。発芽するまで水を切らさないように。鉢皿に水を張り、鉢底をつけておく底面灌水がおすすめです。2週間程度で発芽するので、本葉が出揃ったら培養土を用いて3号程度のポリポットに鉢上げします。 播種の適期は4~5月、または9月下旬~10月にかけて。高温期の夏は適さないので、秋播きするときには採種後に冷暗所などで保管します。また、年内に播かない場合は、冷蔵庫に保管しておきましょう。 挿し木で育てる 切り口に発根促進剤をつけてから挿すと発根しやすくなります。iva /Shutterstock.com 丈夫な品種では、切り花のように水に挿しておくだけでも発根するゼラニウム。お気に入りの花を増やしたいのであれば、挿し木がおすすめです。挿し木の適期は春と秋。八重桜が咲く頃から5月が最も活着しやすく、梅雨の前まで可能です。一方秋挿しの適期は9月下旬~10月下旬にかけて。センテッドゼラニウムやペラルゴニウムは、春ではなくこの時期のみが適期となります。 挿し穂を取るのは、硬くしっかりと育った枝から。開いた葉が3~4枚ついた長さで茎頂部を切り取り、切り口を鋭利な刃物で切り戻しておきます。種まきと同様の土に、下の1節が埋まり挿し穂が倒れない程度に浅く挿します。 圧縮ピートに挿すと、鉢上げ作業が簡単にできます。 Ratda /Shutterstock.com 2~3週間程度で発根が始まりますが、この期間は日が当たらない場所に置き、水を切らさないように。根が出揃うまでは、種まきと同様の底面灌水がいいでしょう。ピートモスを原料に作られた圧縮ピートでもよくつきますが、その場合、発根後鉢上げするときには培養土にピートモスを混ぜないと新根の活着が悪くなることがあります。 芽先が伸び始めたら、根が生え揃ってきた合図。培養土を用いて4号程度の鉢に鉢上げします。作業の2日前から水やりを止め、鉢土を乾き気味にしておくと根切れを防ぐことができます。植え終わったら水をたっぷりと与え、頭頂部を切る摘心をしておくと、脇芽が伸びてボリュームのある株に仕上がります。 ゼラニウムが木質化したら HoyaEuny /Shutterstock.com ゼラニウムは古くなると株元の枝が硬くなって、木のようになる「木質化」を起こします。木質化が起きると、新芽が出にくくなり、花も付けにくくなってしまうため、定期的に切り戻して木質化しないようにしましょう。木質化してしまった株は、元気のよさそうなわき芽の上で切り戻しましょう。また、木質化した部分を深植えすることで、新たな芽が出て復活する場合もあります。保険として、春か秋に切った枝で挿し芽をしておくとよいでしょう。 大事に育てれば長く咲く! ゼラニウムの花を楽しもう Taiga /Shutterstock.com 夏越しに失敗しなければ、丈夫で育てやすいゼラニウム。数年かけて育て上げれば、たくさんの花をつけて見応えも十分な株に仕立てられます。近年人気のある低木性やアイビー系の品種は、寄せ植えやハンギングバスケットなど、季節の草花と組み合わせて植えても素敵です。お気に入りの品種を見つけてみてはいかがでしょうか。
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花と緑

季節の花の3択クイズ 秋の訪れを告げる花! シュウメイギクは次のうちどれ?
秋を感じさせる上品な花!「シュウメイギク」は次の3つのどれ? Fumeezz/Shutterstock.com シュウメイギクは中国や台湾を原産とする大型の多年草。日本には古い時代に渡来し、特に京都の貴船地方を中心に野生化したことから、「貴船菊」という別名もあります。開花期は8月中旬~11月で、秋を彩る代表的な花の1つ。花色はピンクや白です。 さて、そんなシュウメイギクには、よく似た花がいくつかあります。今回は、正しいシュウメイギクの写真を選ぶ3択クイズ! シュウメイギクは、次のA~Cのどれでしょう? A KajaHiis/Shutterstock.com B Sandi Walmsley/Shutterstock.com C PURIPAT PENPUN/Shutterstock.com ヒント シュウメイギクという名はキクに似ていることから名づけられましたが、春に咲くアネモネと同じキンポウゲ科の多年草です。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ A KajaHiis/Shutterstock.com シュウメイギクの基本データ 学名:Anemone hupehensis科名:キンポウゲ科属名:イチリンソウ属(アネモネ属)原産地:中国、台湾和名:シュウメイギク(秋明菊、秋冥菊、秋名菊)英名:Japanese anemone、Chinese anemoneなどその他の名前:キブネギク(貴船菊)、アキボタン(秋牡丹)、カンノンギク(観音菊)など開花期:8月中旬~11月花色:ピンク、白形態:多年草草丈:30~150cm 夏の終わり頃から花茎を伸ばし、ピンクや白などの花を次々と咲かせ、秋を告げる花として知られるシュウメイギク。風に揺れる楚々とした優雅な佇まいから、茶花としても人気があります。日本には室町時代またはそれ以前に中国から伝わったとされ、その後京都の貴船地方で野生化し、日本各地に広まりました。冬には地上部が枯れることが多いですが、翌年にはまた芽を出す半常緑性の多年草です。 Peace-loving/Shutterstock.com シュウメイギクの開花期は8月中旬~11月。花茎を伸ばした先に、直径5~8cmの花を咲かせます。花色はピンクや白で、花形は一重咲きのほか、幾重にも花びらが重なる八重咲き品種もあります。白花種は花にふっくらとした丸みがあり、萼片の枚数は少ない傾向があります。 八重の交配種‘パミナ’。Mariola Anna S/Shutterstock.com ローズピンクの一重花が咲く‘スプレンデンス’。michellebraga/Shutterstock.com 花弁のように見える部分はじつはガクで、花弁はありません。中心には淡いグリーンの雌しべがあり、それを囲むように多数の黄色い雄しべが付きます。花弁(ガク)の大きさは不揃いになりやすいのも特徴です。 Dimon78/Shutterstock.com 草丈は30~150cmになる大型の山野草で、地下茎を伸ばしてよく増え、花壇の背景などにも向きます。葉の縁にはギザギザとした鋸歯があります。また葉は茎につくものほかに株元から出る根生葉があり、茎から出る葉は浅く切れ込みが入り、根生葉は3出複葉になります。 Dora Zett/Shutterstock.com シュウメイギクは漢字では「秋明菊」と書き、秋に周囲を明るく彩るキクに似た花を咲かせることが由来です。中国では「秋冥菊」と書き、これは「秋に咲くこの世のものとは思えないほどに美しい菊の花」という意味。日本でも当初はその名で伝えられたようですが、日本では「冥」の字は冥土(死)のイメージから縁起が悪いと考えられたのか、後に「明」の字が当てられたとされています。 77jitka/Shutterstock.com シュウメイギクは丈夫で育てやすく、ガーデニング初心者にもおすすめ。夏は冷涼な気候のほうがよく育ちますが、耐寒性が強く耐暑性もあるので、全国で栽培できます。日なたから明るい日陰まで、さまざまな環境に適応するので、シェードガーデンの植栽にも向きます。ただし、日照が不足すると花数が少なくなるので注意しましょう。 地植えの場合、根付いた後は極端に乾燥する場合を除いて水やりもほとんど必要なく、ローメンテナンスで管理できます。鉢植えは水切れすると葉が枯れやすいので、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。高温期の多肥は株を炒めやすいので、春と夏に様子を見ながら追肥します。地下茎でよく増えるので、鉢植えの場合は毎年、地植えの場合も3~5年に1回を目安に株分けをして植え替えるとよいでしょう。 billysfam/Shutterstock.com 残りの選択肢の花は… B アネモネ Sandi Walmsley/Shutterstock.com キンポウゲ科イチリンソウ属(アネモネ属)の球根植物。古くから人々に愛されてきた花で、神話や伝説にも登場しています。シュウメイギクと同じ属の植物ですが、アネモネの開花期は2~5月と、早春から春に咲くのが大きな違い。多くの種類がありますが、アネモネといえば、アネモネ・コロナリアを指すのが一般的です。花色は白、赤、ピンク、青、紫、複色など多様にあり、春の花の中でも存在感があります。葉は細かく裂け、ニンジンやパセリのように繊細な様子が特徴です。 C キク PURIPAT PENPUN/Shutterstock.com キク科キク属の植物で、秋を代表する花の1つ。古く中国から伝えられたキクは、皇室の紋にも用いられ、また仏花としてお盆やお彼岸などにも欠かせない、日本で古くから愛され続けている花です。花径20cmを超える大菊から、仏花などに利用される中菊、花径1~3cmの小菊、切り花でおなじみのスプレー菊、鉢植えで活躍するポットマム、食用菊まであり、和風から洋風までさまざまな庭シーンによく似合います。花色は白、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、茶、複色などがあり、花形も非常に多様です。一般的な開花期は9~11月ですが、年間を通して栽培、流通しています。葉は卵形や楕円形で、縁に不規則な切れ込みが入り、濃い緑色です。 クイズ一覧はこちら!
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宿根草・多年草

植えてわずか1カ月で開花! 初心者でも大成功する秋咲き球根「ステルンベルギア」の植えっぱなし栽培術
ステルンベルギアの基本情報 Nahhana/Shutterstock.com 植物名:ステルンベルギア学名:Sternbergia英名:Sternbergia、winter daffodil、autumn daffodil、yellow autumn crocusなど和名:キバナタマスダレ(黄花玉簾)その他の名前:シュテルンベルギア科名:ヒガンバナ科属名:キバナタマスダレ属(ステルンベルギア属)原産地:ヨーロッパ南東部~アジア南西部形態:宿根草(多年草) ステルンベルギアの学名は、Sternbergiaで、学名がそのまま流通名になっています。ヒガンバナ科キバナタマスダレ属(ステルンベルギア属)の球根植物。原産地はヨーロッパ南東部からアジア南西部で、5〜8種が確認されています。暑さや寒さに強く、周年戸外で植えっ放しにしていてもかまいません。 ステルンベルギアは夏植え秋咲きの球根植物で、ライフサイクルは次の通りです。8月下旬〜9月上旬に球根を植え付けると、9月下旬〜10月頃に開花します。その後は葉を残すので、しっかり光合成をさせて球根を太らせる管理をしておきましょう。5月頃になると葉を落として休眠します。枯れたと判断して捨てたりせずに、そのまま開花期まで待ちましょう。丈夫で育てやすく、一度植え付けると毎年開花してくれる息の長い植物で、コストパフォーマンスに優れています。 ステルンベルギアの花や葉の特徴 Dina Rogatnykh/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:9月下旬〜10月草丈:10〜25cm耐寒性:強い耐暑性:普通(休眠)花色:黄 ステルンベルギアの開花期は9月下旬〜10月で、花色は黄色。花弁6枚、直径5㎝ほどのクロッカスに似た花姿で、1本の花茎の先に1つの花がつき、1つの球根から2〜3輪の花が咲きます。草丈は10〜25㎝ほどで小ぶりなので、単体で楽しむのもいいですが、まとめ植えして華やかに彩るのもおすすめです。 葉は細長く、花茎と同時に伸びて地際から茂ります。 ステルンベルギアの芽吹き。studiavit/Shutterstock.com ステルンベルギアの名前の由来と花言葉 Manfred Ruckszio/Shutterstock.com ステルンベルギアという名前は学名に由来し、オーストリアの植物学者カシュパル・マリア・シュテルンベルクにちなみます。キバナタマスダレ(黄花玉簾)という和名は、葉や草姿の雰囲気が白い花を咲かせるタマスダレに似て、花色が黄色であることが由来です。 7~9月に白い花を咲かせるタマスダレ。Santi4Sandhy/Shutterstock.com ステルンベルギアの花言葉は「期待」「粘り強さ」「じれったいあなた」「無駄なこと」「あなたを愛しています」など。「期待」「粘り強さ」「じれったいあなた」は、ステルンベルギアが春になっても、夏になっても開花することがなく、秋まで待ってやっと咲いてくれることに由来しているようです。 ステルンベルギアの種類 Dina Rogatnykh/Shutterstock.com ステルンベルギアは5〜8種が確認されていますが、日本で広く流通しているのは、黄色い花を咲かせるステルンベルギア・ルテア。基本的に単にステルンベルギアといえばこの品種を指し、「キバナタマスダレ」という和名も狭義にはこの種を指します。この記事では、ルテア種にフォーカスしてご紹介しています。ヨーロッパでは、フィッケリアナ種やクルシアナ種、キャンディダ種も知られています。 冬に咲くフィッケリアナ種。花姿は非常によく似ています。Ali Cebbar Dayan/Shutterstock.com ガーデニングにもぴったり CoinUp/Shutterstock.com ステルンベルギアは、草丈10〜25cmほどにまとまるコンパクトな草姿をしているので、花壇に植え付けるなら、前面や縁取りなどに向いています。1〜2球植えるのもいいですが、10球単位で群れ咲くよう植え付けると、迫力のあるシーンを演出することが可能です。 またロックガーデンに取り入れるのもおすすめ。ロックガーデンとは、傾斜地などに石組を組んで、山野草のような楚々しとした風情の植物を植え込んで、野山の景色を再現するスタイルのことを指します。ステルンベルギアは草姿が小ぶりにまとまるので、岩と岩の間のポケットのような植栽部分に植え込むとよいでしょう。ステルンベルギアは水はけのよい環境を好むので、ロックガーデンのような水が抜けやすい傾斜地は好適です。 ステルンベルギアを鉢栽培で楽しむなら、5〜6号鉢を用意して3〜5球を目安に植え付けるとよいでしょう。大鉢を用意してほかの植物と組み合わせる寄せ植えにしても素敵です。 Vera Kalyuzhnaya/Shutterstock.com ステルンベルギアの栽培12カ月カレンダー 開花時期:9月下旬〜10月植え付け・植え替え:8月下旬〜9月上旬肥料:11月~翌年4月中旬 ステルンベルギアの栽培環境 Dina Rogatnykh/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】ステルンベルギアは、日当たり・風通しのよい場所を好みます。明るめの半日陰でも栽培可能ですが、葉が長く伸びてしまい、花が葉に隠れてしまってバランスの悪い株姿になることもあるようです。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。屋内で水栽培で開花させることも可能ですが、翌年も開花させるにはよく日に当てて球根を太らせましょう。 【置き場所】水はけのよい土壌を好みます。じめじめとした湿り気の多い環境を苦手とするので、水はけの悪い場所では川砂やパーライトなどの土壌改良資材を混ぜ込んでおくとよいでしょう。周囲よりも土を盛って高くしても水はけがよくなります。さらに堆肥や腐葉土などの有機質資材を混ぜ込み、ふかふかとした土をつくるとよく育ちます。 耐寒性・耐暑性 ステルンベルギアの耐寒温度はマイナス5℃程度。基本的に暑さにも寒さにも強い性質で、植えっ放しにして越年できます。ただし、霜が葉に降りると葉が傷むことがあります。 ステルンベルギアの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕して水はけのよい土壌を作っておくとよいでしょう。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 水やりの際は、花にかからないよう株元の土を狙って与えるとよいでしょう。 真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 夏は休眠するため、水やりは控えます。 【地植え】 地植えの場合はほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。 【鉢栽培】 鉢栽培では土が乾きやすいので、日頃から水やりを忘れずに管理します。とはいっても、毎日水を与えればいいというものでもありません。なぜなら、気温や湿度など天候の状況によって、土が毎日乾くとは限らないからです。動物が毎日の食事が必要なのとは異なり、毎日水を与えて土がジメジメとした過湿の状況にすると、根腐れして枯れてしまうこともあるので注意。土の状態を見てから水やりするのがポイントで、基本は、土の表面が白っぽく乾いてから、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。また、茎葉がややだらんと下がって勢いがなくなっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきます。その後は、開花が終わった後から春に休眠するまでの間、月に1度を目安に液肥を施して球根が充実するのを促すとよいでしょう。 注意する病害虫 ステルンベルギアの栽培では、病害虫が発生する心配はほとんどありません。 ステルンベルギアの詳しい育て方 球根の選び方 ステルンベルギアの球根を購入する際は、ふっくらとして重みがありもの、ハリがあって充実しているものを選びましょう。カビが生えているものや軽いものなどは避けたほうが無難です。 植え付け Vlyaks/Shutterstock.com ステルンベルギアの球根の植え付け適期は、8月下旬〜9月上旬です。ステルンベルギアは、1株のみ咲かせるというよりは、同じ品種で球根を5〜10球まとめ植えし、一斉に咲かせると華やかに演出できます。 【地植え】 腐葉土や堆肥などの有機質資材をすき込んで土づくりをしておいた場所に、深さ10cmほどの穴を掘り、球根を植え付けます。たくさん植える場合は間隔を15cmほど開けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。 【鉢植え】 5〜6号鉢を用意し、3〜5球を目安に植え付けるとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。球根は、深さ5cmほどの穴を掘り、等間隔で植え付けます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 植え替え Nataly Studio/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 ステルンベルギアは環境に合って順調に育っているようであれば、毎年植え替える必要はありません。ただし、植え付けから数年が経ち、大株になって込み合っているようであれば、5月頃に掘り上げて分球し、ネットなどに入れて日の当たらない涼しい場所で保管して、8月下旬〜9月上旬に植え直しましょう。 日常の手入れ 終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まります。 marekuliasz/Shutterstock.com 夏越し・冬越し Dina Rogatnykh/Shutterstock.com ステルンベルギアは、夏は休眠しているので暑さ対策をする必要はありません。ただし、地植えの場合は多湿な環境では球根が腐ることがあります。心配な場合は掘り上げて、ネットなどに入れて風通しのよい涼しい場所に吊るして管理するとよいでしょう。 一方、寒さには大変強く、マイナス5〜マイナス7℃までは耐えるので、一般地であれば戸外で越冬できます。マイナス7℃よりも下がる環境の場合は、掘り上げて鉢に植え替え、冬越しさせましょう。 増やし方 laenon/Shutterstock.com ステルンベルギアの球根は、植え付けてから数年経つと大きく太って充実します。込み合ってきているようなら、地上部の葉が枯れた後に、掘り上げてみましょう。大きくなった球根は自然にいくつかに分球できるので、それぞれ球根をはずして植え直すと増やすことができます。 掘り上げた球根は、まずは風通しのよい日陰に吊るして乾燥させます。乾いたら土を落とし、ネットなどに入れて直射日光の当たらない涼しい場所で管理しておきましょう。植え付け適期になったら、定植します。 ステルンベルギアは水耕栽培でも楽しめる Mucesto/Shutterstock.com ステルンベルギアは、球根植物のため水耕栽培で育てることもできます。球根には発芽・発根のための養分が蓄えられているため、植物の生育に必要な光、水、温度を適切に与えれば、用土に植え付けなくても開花を楽しむことが可能です。水耕栽培なら、球根から根を出したり、発芽したりと、日々の生育を観察することができ、そのたくましい生命力を身近に感じ取ることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。 水耕栽培で用意するものは、水漏れしない器、球根、水、水差しなど。初心者の場合は、管理がしやすいように設計された、球根水栽培専用のバルブベースなどが販売されているので、それを利用すると便利です。基本的には水漏れさえしなければ育つので、水耕栽培に慣れてきたらおしゃれな器などを利用するとよいでしょう。 球根の芽と根が出る位置を確認し、水を入れたバルブベースに根が出るほうを下にして配置します。水の量は、球根の底に水が触れる程度にしておきましょう。球根が水に浸かった状態にしておくと、腐ってしまうことがあるので注意。器に入れた水は、毎日交換します。ステルンベルギアは夏植えで、この時期は水が腐りやすいためです。また、1〜2cmほど発芽するまでは、ダンボールなどをかぶせて遮光しておきます。発芽したら、日当たりと風通しのよい場所で管理しましょう。根が長く伸びて充実したら、バルブベースに入れる水の量を減らして球根に水が触れないようにし、根から吸水させるようにします。水耕栽培はワンシーズンのみの楽しみとイメージされがちですが、花が終わったら鉢などに植え付けて球根を太らせると、翌年も開花を楽しめます。 ステルンベルギアの栽培に挑戦しよう Lovec1/Shutterstock.com ステルンベルギアは、病害虫がほとんどつかないうえに、暑さ寒さに耐えて周年植えっ放しにしてよいために、手間がかからない植物の一つといえます。球根を植え付けてから1カ月ほどで開花するので成功体験を得られやすく、特にビギナー向きです。ぜひ庭やベランダで咲かせてください。
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樹木

豊臣秀吉が持ち帰った樹齢400年の古木も!「ノウゼンカズラ」の意外な歴史と育て方
ノウゼンカズラの基本情報 SANGA KIM/Shutterstock.com 植物名:ノウゼンカズラ学名:Campsis grandiflora英名:Trumpet creeper(トランペットクリーパー)、Trumpet vine(トランペットバイン)和名:凌霄花(りょうしょうか)その他の名前:紫葳(しい)、ノウセウ、まかやき科名:ノウゼンカズラ科属名:ノウゼンカズラ属原産地:中国形態:つる植物 7〜8月にたっぷりとオレンジ色などの花を咲かせるノウゼンカズラ。気根を伸ばして自力でつるを這い上がらせ、旺盛に茂ります。一つひとつの花は短命ですが、次から次へと豪奢に咲き誇るので、真夏のシンボルとしておすすめのつる植物です。 ノウゼンカズラは中国から平安時代に伝えられ、薬草として利用されていたという記録が残されています。また、石川県金沢市には、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に持ち帰られたとされる、樹齢約400年にもなるノウゼンカズラの古木があります。 ノウゼンカズラ(学名:Campsis grandiflora)は、ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉性つる性木本です。つるを伸ばして生育し、長いものでは5〜10mにも達します。成長速度は速いほうです。 原産地は中国。暖地性の植物で暑さに大変強く、寒さにも比較的耐えます。ただし、寒冷地では鉢植えにするか、冬前に鉢上げして栽培するとよいでしょう。生命力旺盛で、つるをぐんぐん伸ばして生育します。 放任してもよく育ち、ビギナーでも育てやすい植物です。ただし、繁茂しすぎて他の植物を侵食してしまうこともあるので、年に1度は剪定して、樹形をキープするとよいでしょう。 ノウゼンカズラの花色は、オレンジ色、黄色、赤など。いずれも主張の強いビビッドカラーで、暑さで花が少なくなってくる端境期に、豊かな彩りを与えてくれます。 ノウゼンカズラの花や葉の特徴 LifeCollectionPhotography /Shutterstock.com 園芸分類:庭木・花木開花時期:7〜9月樹高:5〜6m耐寒性:強い耐暑性:強い花色:赤、オレンジ、黄 ノウゼンカズラの花は、トロピカルな雰囲気が漂う赤やオレンジ色の鮮やかな花色と、ラッパ形の花形が特徴です。一つひとつの花は長もちしませんが、垂れ下がった枝に次々に新しい花をたくさん咲かせるので、夏の間中楽しむことができます。葉は、周囲が鋭いギザギザ状で、一つの茎に羽状に連なって付きます。茎の節から気根を出して壁やフェンス、ほかの木などに這い登りながら伸びていきます。花が終わると細長い豆莢状の実を付け、11月頃になると実が茶色くなって裂け、中から種子が飛び出します。 ノウゼンカズラの名前の由来と花言葉 mujijoa79 /Shutterstock.com 学名「Campsis grandiflora(カンプシス・グランディフローラ)」のCampsisはギリシャ語で「曲がる」という意味で、ノウゼンカズラのおしべの形から名づけられたとされています。grandifloraは「大きな花」という意味を持っています。 ノウゼンカズラは中国から伝えられましたが、中国名は「凌霄(リョウショウ)」といいます。日本でも中国の花名を受け継いで、漢字で表すと「凌霄花」、読み方は「りょうしょうか」です。漢字の「凌」は「しのぐ」「越える」、「霄」は「大空」「天空」といった意味があります。空に届くほどにつるをよく茂らせるといった、ノウゼンカズラの性質を表して名づけられたのかもしれませんね。日本へもこの「リョウショウ」の名前で伝えられ、『本草和名』には「乃宇世宇(ノウセウ)」の字が当てられたことが残されています。それが次第になまって「ノウゼン」と呼ばれるようになったのでしょう。ちなみに「カズラ」とは、つる植物を表す言葉です。 Yeongha son /Shutterstock.com 英語圏では「Chinese trumpet vine(チャイニーズ・トランペット・バイン)」または「Chinese trumpetcreeper(チャイニーズ・トランペット・クリーパー)」などと呼ばれています。「Chinese」は「中国」、「trumpet」は金管楽器のトランペット、「Vine」は「つる植物」、「creeper」は「這うもの」という意味。おおよそ「中国から伝えられた、トランペットのようなベル形の花を咲かせるつる植物」という意味で名づけられたと想像できます。 ノウゼンカズラの花言葉は、「名声」「名誉」など。英名には「Chinese trumpet vine(チャイニーズ・トランペット・バイン)」または「Chinese trumpet creeper(チャイニーズ・トランペット・クリーパー)」があると前述しましたが、トランペットは勝利者や表彰された人などを祝してファンファーレを演奏することから、これらの言葉が与えられたとされています。 ノウゼンカズラの種類 アメリカノウゼンカズラ Campsis radicans Dina Rogatnykh /Shutterstock.com 北アメリカに自生するノウゼンカズラの仲間。赤みの強いオレンジの花が咲き、花茎が短く、つるは下垂しません。花は小さめで、花筒がやや長くなります。つるをよく伸ばし、10mに達することも。園芸品種の‘フラバ’は、ややオレンジがかった黄色い花を咲かせます。 タグリアブアナ Campsis × tagliabuana Gurcharan Singh /Shutterstock.com ノウゼンカズラとアメリカノウゼンカズラの雑種。花の形はノウゼンカズラ、色はアメリカノウゼンカズラの特性が出るようです。園芸品種の‘マダム・ガレン’は赤みの強いオレンジ色の花を爛漫と咲かせます。‘オランジュ・タカラヅカ’は‘マダム・ガレン’とノウゼンカズラの交配によって作出された園芸品種で、鮮烈なオレンジ色の花が特徴。比較的コンパクトにまとまるので、鉢栽培でも楽しめます。 ヒメノウゼンカズラ Tecomaria capensis crystaldream/Shutterstock.com ヒメノウゼンカズラは、ノウゼンカズラ属とは別のノウゼンカズラ科テコマリア属になります。南アフリカ原産の、半つる性低木で、高さ2.5mほどになります。花は枝の先に細長い円柱状に並んで付き、花の先は5つに分かれます。花色はオレンジまたは黄色です。枝が長く伸びるため、アーチやフェンスに絡ませたり、ポール仕立てにしたりすると良いでしょう。 ピンクノウゼンカズラ Podranea ricasoliana HannaTor/Shutterstock.com ピンクノウゼンカズラは、ノウゼンカズラ科ポドラネア属で、南アフリカが原産地の常緑つる性低木です。中国名は紫芸藤、和名はリカソルノウゼンですが、和名はあまり知られていません。花は長さ8cmほどのトランペット状、わずかに芳香があり、花色はピンク色で内側に赤紫色の脈が入ります。つるは強く、長さは3~5m、高さは10mほどになることもあります。 ノウゼンカズラの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜9月肥料:2月、4~5月植え付け:3月中旬〜4月中旬 ノウゼンカズラの栽培環境 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】 ノウゼンカズラは日当たりが良く、水はけの良い場所を好みます。つるを伸ばし、大きく育つため、狭い場所での栽培は不向きです。 【日当たり/屋内】 小型品種以外は地植えが基本です。小型品種を鉢植えで育てる場合は、水はけの良い土で、日当たりの良い場所で育てましょう。 【置き場所】 日陰では花が付きにくくなるので、日当たりの良い場所で育てましょう。また、つる植物なので、フェンスや棚など、つるを這わせることができる構造物のある場所を選びましょう。繁殖力が旺盛で根も増殖するため、隣家付近などは避けた方が無難です。 耐寒性・耐暑性 ノウゼンカズラは耐寒性、耐暑性ともに強い植物ですが、気温がマイナス5℃以下になると枯れてしまいます。寒冷地では地植えではなく、小型の品種を鉢植えで育てるのがおすすめです。一方、耐暑性は非常に強く、真夏の直射日光にも耐えられます。 ノウゼンカズラの育て方のポイント 用土 funnyangel /Shutterstock.com 【地植え】 まず、一年を通して日当たり、風通しのよい場所を選びましょう。植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、培養土を利用すると手軽です。 水やり Vladimir Gjorgiev /Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は、地植えの場合はほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は、水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。新梢がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は生育が止まるので、控えめにして乾燥気味に管理します。 肥料 Pawel Beres /Shutterstock.com 【地植え】 2月と4〜5月に、堆肥や腐葉土などの有機質肥料を株周りにまいて土に混ぜ込みます。 【鉢植え】 2月に緩効性化成肥料を施します。4〜10月に緩効性化成肥料を1〜2カ月に1回を目安に施しましょう。開花期間中は、液肥に切り替えるのもおすすめです。開花を促すリン酸分を多めに配合した液体肥料を10日に1回を目安に与えると、次々に花を咲かせてくれます。 注意する病害虫 schankz /Shutterstock.com 大変強健な性質で、病気の心配はほとんどありません。 害虫は、まれにアブラムシがつくことがあります。適応するアブラムシ用の薬剤をまいて土に馴染ませておくと防除が可能です。 ノウゼンカズラの詳しい育て方 苗の選び方 苗を選ぶ際は、葉に艶があり、シミや黄色い変色などがないものを選ぶようにしましょう。また、葉の裏側もチェックし、アブラムシなどの害虫がいないことも確認しておきましょう。すぐに花を楽しみたい場合は、ある程度育った状態の、蕾や花が付いている苗を選ぶと良いでしょう。 植え付け・植え替え ノウゼンカズラの植え付け適期は、3月中旬〜月中旬頃です。 【地植え】 Duet PandG /Shutterstock.com 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。つるが長ければ、フェンスや棚など、伸ばしたい方向へ誘引しておきましょう。最後にたっぷりと水をやります。 培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。支柱を設置してつるを誘引したのち、鉢底から水が流れ出すまで、十分に与えましょう。 しっかり根付いて順調に生育していれば、植え替えの必要はありません。寒冷地では寒くなる前に鉢上げし、暖かい場所に移動して冬越しさせましょう。 【鉢植え】 S_Photo /Shutterstock.com 鉢植えで楽しんでいる場合は、放置していると根詰まりしてくるので、1〜2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの適期は3月中旬〜4月中旬です。 植え替えの前には水やりを控えて、鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、1/3くらいまでを目安に根鉢を小さくしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢に、もう少し大きくしたい場合は2回りくらい大きな鉢に植え替えます。 つるの誘引 CoinUp /Shutterstock.com 植え付け時に伸ばしたい方向へ誘引しておけば、あとはノウゼンカズラ自身が気根を出して支柱やフェンスなどにくっついて這い上がるので、ほとんど手間がかかりません。ノウゼンカズラはつるを伸ばして下垂させた枝に花芽がつく性質があり、上に伸びる枝には花がつきません。そのため、下垂するつるは上に誘引せず、自然のままに見守ってください。花は下向きには咲かず、水平方向または上方向に向くので、いったん目線より少し上の高さまでつるを誘引してから下垂する枝をたくさん出させるようにすると、効果的に視界に花が咲くでしょう。 この下に垂れた枝に花芽がつく性質を利用し、スタンダード仕立てにするのもおすすめです。1本の太い支柱を設置し、つるを頂部まで誘引した後、傘状に枝垂れさせます。 剪定 mihalec /Shutterstock.com 剪定の適期は3月頃です。春から伸びる新梢に6月頃に花芽ができて、その夏に咲く新枝咲きなので「花芽を切ってしまわないだろうか」という心配はありません。前年に伸びた枝の根元についている2〜3芽のみを残し、深く切り戻しましょう。残した2〜3芽は、春になると新梢を出してさらにボリュームを増します。つるが込み合っている部分があれば、絡んでいる枝や内向きに伸びる枝などを付け根から切り取るとよいでしょう。 増やし方 Lora_Aks /Shutterstock.com ノウゼンカズラは、挿し木で簡単に増やすことができます。挿し木の適期は6月中旬〜7月です。春に伸びた若くて勢いのある枝を選び、葉を2〜3枚つけて気根が出ている状態で切り取ります。市販の園芸用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理しましょう。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植を。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。 ノウゼンカズラの花が咲かない理由 kazutaka.Japan/Shutterstock.com 日照不足 ノウゼンカズラの栽培でもっとも気を付けたいのが日当たりです。ノウゼンカズラは、1日6時間以上の日光が当たらないと生育不良になってしまうほど、日光が欠かせません。日照時間が短い北側や、日当たりの悪い場所などでは花付きが悪くなり、まったく花が咲かなくなることもあります。植え付けの際は他の植物や建物などの陰にならない場所や、日当たりのよい南側の場所を選びましょう。鉢植えの場合は必要に応じて日当たりのよい場所へ移動すると良いでしょう。 根詰まり ノウゼンカズラは生育が旺盛な植物です。地植えであれば、それほど心配はありませんが、鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすく、定期的な植え替えや根の整理をする必要があります。鉢底の穴から根が出ていたり、鉢中に根が回っていたりする場合は植え替えが必要です。植え替えの際は、傷んでいる根は除去するようにしましょう。 肥料の過不足 土壌の栄養バランスが崩れていることも、花が咲かない理由の一つです。養分が不足すると生育不良に陥って花付きが悪くなります。とくに、リン酸は花を咲かせるために不可欠な養分なので、不足しないように注意しましょう。逆に、肥料のやりすぎで花が咲かない場合もあります。チッ素肥料は効きすぎると、葉だけが旺盛に茂ってしまい、花が咲かなくなることがあります。花をよく咲かせるには、リン酸が高く窒素が低い肥料を開花期前に与えるようにしましょう。 ノウゼンカズラを植えてはいけないという理由は? Jason J. Hong /Shutterstock.com 大きくなりすぎる ノウゼンカズラを庭に植えてはいけないと言われることがあります。その最大の理由が、生育が旺盛過ぎてコントロールしづらくなるという点です。ノウゼンカズラは根や気根を広範囲に伸ばすため、地植えの場合は隣家や電線にまで伸びていき、トラブルを引き起こすこともあります。また、気根が家の外壁などに張り付くと、取り除いても痕が残ってしまい、塗装をやり直しても元通りにならない場合もあります。生命力が強いので除草剤が効きにくく、除去までに時間がかかるのも難点です。鉢植えの場合でも、屋外に放置しているといつの間にかつるを伸ばして繁殖してしまう場合があるので、育てる際は、良く場所を選んでトラブルにならないように注意しましょう。 毒性がある ノウゼンカズラには鎮痛や利尿作用などの薬効もありますが、弱い毒性がある成分も含まれています。この成分はラパコールといって、皮膚刺激性や消化器系に影響をもたらす物質です。観賞用として扱う分には問題ありませんが、樹液や葉、花粉などに触れると皮膚炎を引き起こす可能性があるため、手入れの際には手袋などを着用した方が良いでしょう。子供やペットの誤食には注意が必要です。 ノウゼンカズラを育てて日々の暮らしに彩りを! Grinchenkova Anzhela/Shutterstock.com この記事では、ノウゼンカズラの特徴や豆知識、育て方まで詳しく網羅しました。ノウゼンカズラが身近な存在になり、庭に取り入れたらどんな景色になりそうか、イメージが湧いてきたのではないでしょうか。 ローメンテナンスでビギナーでも育てやすいノウゼンカズラを取り入れて、夏の庭を華やかに彩ってみませんか?
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育て方

バラが開かない! 鉢から抜いて分かった原因と秋バラに向けて見直したいこと
つぼみはたくさんついたのに……一番花が開かない! 5月、春の開花シーズンを迎えた鉢植えのバラ‘シラノ・ドゥ・ベルジュラック’。枝先にはたくさんのつぼみが上がり、一見すると順調そのものでした。 ところが、待っても待ってもなかなかつぼみが開きません。ようやく開き始めた花も、本来の大きさにはならず、花弁は黒ずんでチリチリと縮れたような状態。最後まできれいに開ききれない花がいくつもありました。 本来は6〜8cmの中輪の花を咲かせるはずが、およそ半分ほどの小さな花に…。 バラのつぼみが開かない原因には、長雨や高湿度、窒素過多などによる「ボーリング」という症状、灰色かび病、アザミウマなどの害虫、肥料や水分の問題など、さまざまなものがあります。 この株も花だけを見れば原因を一つに絞ることはできません。しかし、栽培中に一つ気になっていたことがありました。水を与えても、鉢土になかなか染み込まずに、鉢縁からすぐに水があふれ出てしまうような状態だったのです。 鉢から抜いてみると、根鉢の中心がカチカチ 振り返ってみると、このバラは購入後、10号鉢に植え付けてから約3年間、一度も植え替えていませんでした。「10号鉢だから、まだ大丈夫だろう」と思っていましたが、一番花後に鉢から株を抜いてみると、想像していた以上に根鉢の状態が変わっていました。 鉢から抜いた根鉢を見ると、外側には白っぽい細根がたくさん確認できました。根鉢の表面近くまで細かな根が広がり、限られた鉢の中を根がかなり使っていることが分かります。そして、さらに気になったのが土の硬さです。根鉢の内部に棒を差し込もうとしてみると、土が硬く締まっていて簡単には入りません。水をかけてみても、中心部にはなかなか染み込んでいかず、外側へ流れてしまいます。 つまり、毎日きちんと水やりをしているつもりでも、根鉢全体に均一に水が行き渡っていなかった可能性があったのです。 つぼみを膨らませ、多くの花弁を展開させる開花期は、バラが多くの水分を必要とする時期でもあります。一番花の開花不良が根鉢の状態だけによるものだったとは断定できませんが、3年間植え替えていない鉢の中で根が広がり、古い用土が硬く締まり、水が浸透しにくくなっていたことは確かでした。そこで、一番花が終わったタイミングで植え替えることにしました。 カチカチになった根鉢。移植ゴテでは崩しにくい 植え替えでは、古い土を少しずつ落としながら根鉢をほぐしていきます。ところが、3年間植え替えていなかった根鉢は想像以上に硬く、移植ゴテのような幅のある道具を差し込もうとしても、なかなか入りません。力任せに差し込めば、根をまとめて傷つけてしまいそうです。 そこで使ってみたのが、浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」。細身の棒を根の間から差し込み、固まった土に穴をあけるようにして少しずつほぐします。 実際に使ってみて便利だったのは、狙った場所へ細い棒を入れられること。根の位置を見ながら差す場所を変え、硬くなった部分を少しずつ崩していくことができました。 一見すると、とてもシンプルな1本の棒ですが、今回のような硬い根鉢を前にすると、移植ゴテとはまったく違う仕事をしてくれる道具だと実感しました。 古い土を落とし、新しい用土と大きな鉢へ 根をできるだけ傷めないよう注意しながら根鉢をほぐし、古い土を落としました。そして新しい用土を使い、10号鉢から12号鉢へサイズアップして植え替えました。鉢のサイズを上げることで、これから伸びる根のスペースが確保できるだけでなく、鉢土の容量も増えます。土の量が増えれば、暑い日の急激な乾燥も以前より起こりにくくなります。 植え付ける際には、根の間に大きな空洞を残さないよう、新しい土を行き渡らせることも大切です。ここでも根カキ棒を使い、根の隙間を軽くつつきながら土を入れていきました。最後に鉢底から流れ出るまでたっぷり水を与えます。今度は水が一部だけを流れるのではなく、新しく入れた土へすっと染み込んでいきました。 そして6月。二番花はまるで別のバラのように 植え替え後、株は再びつぼみを上げ、そして6月に二番花が開花しました。5月には小さく縮れ、最後まで開ききれなかった花が、今度は大きく開花。幾重にも重なる花弁がしっかり展開し、このバラ本来の豪華な花姿を見せてくれました。 二番花では、房状についたすべてのつぼみを咲かせず、つぼみを整理して咲かせたことも、花径が大きくなった一因と考えられます。また、5月と6月では気温や湿度などの環境条件も異なります。 それでも、植え替え前には水が染み込みにくかった鉢が、新しい用土への植え替え後にはスムーズに吸水するようになり、その後の花が正常に開いたことは、鉢の中の環境を見直す大切さを実感させる出来事でした。 鉢植えのバラ、植え替えの頻度は? オールドローズの‘ジャック・アミオ’。 鉢植えのバラは、一度植えれば何年もそのままでよいわけではありません。根は毎年成長し、鉢という限られた空間に広がっていきます。一方、用土も長く使い続けることで状態が変化します。ですから基本的には、1〜2年に1回、植え替えを行う必要があります。 上の写真のバラは7号鉢程度で育てて1年目の、返り咲き性のつるバラ‘ジャック・アミオ’。鉢から抜くと、わずか1年でも鉢底から側面まで白い根がびっしりと回っていました。バラの根の張り方は、品種や樹勢、鉢の大きさ、栽培環境によっても異なります。「まだ1年だから大丈夫」と年数だけで判断せず、水の染み込み方や乾き方、株の生育とともに鉢の状態を確認し、状態や鉢の大きさに応じて定期的な植え替えをする必要があります。 7号鉢で育てて1年。根が早くもびっしりに。 バラの根を整理し、古い土を落として新しい用土に植え直す本格的な植え替えは、一般にバラが休眠に向かう晩秋から冬が適期です。鉢をこれ以上大きくしたくない場合には、この時期に古い土や根の一部を整理して同じ鉢へ戻す方法もあります。 一方、生育期に株が大きくなり、どうしても鉢が小さくなった場合には、根鉢を大きく崩さずに一回り大きな鉢へ移す「鉢増し」という方法があります。 秋バラ前の鉢増しでも、根カキ棒が使える 鉢増しでは、根鉢をそのまま新しい鉢へ入れ、周囲に新しい用土を足します。ここでも問題になるのが、根鉢と鉢との間にできる細い隙間です。根鉢を崩したくないからこそ、移植ゴテを強く差し込むこともできません。 そこで根カキ棒を隙間へ差し、新しい用土を少しずつ下へ送り込みます。用土を入れ、棒で軽くなじませ、また用土を足すことを繰り返します。 本格的に古い土を落とし、根を整理する植え替えは、バラが休眠に向かう晩秋から冬に行います。秋バラを前にした今は、まず鉢の状態を確認し、必要なら株への負担が少ない鉢増しで対応。そして冬になったら、根と土の状態を改めて確認するのが安心です。 秋バラの前に「最後に植え替えたのはいつ?」を思い出そう 秋バラに向けた管理というと、夏剪定や追肥に意識が向きがちです。でも、鉢植えで育てているなら、もう一つ確認しておきたいことがあります。 「このバラ、最後に植え替えたのはいつだっただろう?」と思い返してみて、水やりの際には、与える量だけでなく、水がどのように土へ入っていくかも観察してみましょう。 水がなかなか染み込まない。土の表面にしばらく水が溜まる。一部を通ってすぐ鉢底へ流れてしまう。以前より鉢が乾きやすくなった。株の大きさに対して鉢が明らかに小さい——。 そんな気づきがあれば、鉢の中の環境が変わってきているサインかもしれません。ただし、秋バラをきれいに咲かせたいからといって、暑さの残る時期に鉢から株を抜き、根鉢を大きく崩す必要はありません。今はまず、鉢と株の状態を観察し、鉢増しだけにとどめ、冬の植え替えを忘れないよう予定しておくだけでも違います。 今回使った道具 浅野木工所「真鍮 根カキ棒」 今回、硬くなった根鉢をほぐす際に使用したのが、浅野木工所の「真鍮 根カキ棒」です。 植え替え時に根をほぐすためにつくられた真鍮製の園芸道具で、直径9.5mm、全長250mm。細身で長さがあるため、根鉢の奥にも差し込みやすい形状です。 今回の作業では、硬く締まった根鉢を少しずつほぐすほか、植え付け時に根の隙間へ新しい用土を行き渡らせる際にも使用しました。 移植ゴテのように土を大きく掘ったりすくったりする道具ではありませんが、根の間を探りながら細かな作業をしたいときに使いやすい一本です。 ガーデンストーリーウェブショップでガーデングッズ販売中! 今回ご紹介した「真鍮根カキ棒」のほかにも、ハンドフォーク・スコップなどの園芸ツールや庭を彩るガーデンオーナメント、英国伝統技法のテラコッタ鉢「ウィッチフォード・ポタリー」など、編集部がセレクトしたガーデニングアイテムを『ガーデンストーリーウェブショップ』で販売中です。ぜひチェックしてみてください。
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花と緑

「靫葛」ってどんな植物? 正解できたらすごい難読植物名漢字クイズ
密かに人気上昇中!「靫葛」ってどんな植物? Fumeezz/Shutterstock.com 実際に育てていても、漢字で表記されると案外分からない植物も多いもの。普段呼んでいるのとは違う名前があったり、意外な漢字表記があったり、植物の漢字も面白いものです。 そんな植物の漢字表記の中から、身近な植物に関するものをクイズで出題! 今回のお題は「靫葛」。あなたはこの漢字が表す植物が分かりますか? ヒント ユニークな姿からコアなファンも多い、代表的な食虫植物。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ ウツボカズラ Benno Putro/Shutterstock.com ウツボカズラの基本データ 学名:Nepenthes科名:ウツボカズラ科属名:ウツボカズラ属原産地:東南アジアを中心とした熱帯地域和名:ウツボカズラ(靫葛、靫蔓)別名:ネペンテス英名:Nepenthes、tropical pitcher plants、monkey cupsなど開花期:6~7月花色:黄、黄緑、白、クリーム形態:つる性多年草草丈:0.5~15m 葉の先端に虫をとらえるための袋を持つ、ユニークな姿の食虫植物ウツボカズラ。ウツボカズラという名前は、ウツボカズラ属の植物全体、またはその1種であるNepenthes rafflesiana Jackを指します。低地から高地まで幅広い地域に生息し、世界で150種以上が知られていて、交配種も多数あります。 ウツボカズラの袋の中には消化液が入っていて、中に落ちてきた虫を消化して養分を吸収します。食虫植物の中では大型で、その独特のエキゾチックな姿や特徴的な性質からファンが多く、観賞用としても人気が上昇中の植物です。 Suekarsa Suchai/Shutterstock.com ウツボカズラの特徴は、なんといってもその壺のように見える捕虫袋(瓶子体)。これは葉が変形したもので、葉の中央を走る太い脈が長く伸び、その先端が膨らんで捕虫袋になります。ウツボカズラは“落とし穴式”の食虫植物で、袋の中に虫を落とし、底にたまった消化液で消化するという仕組みを持ちます。そのため、袋の入り口や内側は虫が足をかけられないようツルツルとしているのが特徴。蓋は雨よけの役割を果たすとともに、蓋の裏や袋の入り口には蜜腺があり、甘い蜜を出して虫を誘き寄せています。未熟な袋は蓋が締まっていますが、成熟すると蓋が開いて虫が捕まえられる状態になります。 ウツボカズラの捕虫袋は種類によりさまざまな形状があり、また高い場所につく袋(上位袋)と低い位置につく袋(下位袋)の形が大きく異なることもあります。 葉の先端からつながる捕虫袋。葉の脈が変化して袋になっています。Jee1999/Shutterstock.com ウツボカズラはつる性で樹木などに絡まって成長し、つるは長いもので15mにもなります。開花期は日本では主に6~7月で、十分に成長した株は、黄緑色やクリーム色などの小さく地味な花を穂状に咲かせます。雌雄異株で、雄花と雌花が別々の株に咲きます。 Jee1999/Shutterstock.com ウツボカズラには大きく分けて標高の低い土地に自生する「ローランド種(低地性種)」、標高の高い山岳地帯に自生する「ハイランド種(高地性種)」があります。また、自生地の標高や交配により、その中間的な特徴を持つものもあります。 ローランド種は暑さに強い反面、冬の寒さに弱いため冬越しに保温が必要。一方、ハイランド種は日本の夏の暑さに弱く管理が難しいため、あまり流通していません。一般に広く流通しているものは、日本の気候にも適応しやすく栽培しやすいローランド種や強健な交配種が中心となっています。 Santi P/Shutterstock.com 食虫植物というと、虫を与えなければいけないのかと考えてしまうかもしれませんが、普通の植物と同様に、水と光があれば十分に育ちます。 一般的にウツボカズラは温暖で日当たりのよい環境を好みます。ただし、強い直射日光を浴びると葉焼けすることがあるので、夏は遮光をするなど注意しましょう。高温多湿を好み、乾燥と低温が苦手です。冬越しの際は15℃以上を保つようにし、20℃を下回る頃から室内に取り込む準備をするとよいでしょう。 Suekarsa Suchai/Shutterstock.com 植え付けや植え替えは5~6月の気温の高い時期が適期。水苔のみか、鹿沼土など水はけのよい土に植え付けます。水苔で育てている場合は、毎年取り替えて植え直すとよいでしょう。水分を好みますが、過湿にすると根腐れすることがあるので注意が必要です。空中の湿度が高い環境を好み、霧吹きで株全体に水をかけると調子よく育ちます。湿度は50%以上をキープするとよいでしょう。4~10月の成長期には枝がよく伸びますが、枝が長く伸びると捕虫袋が付きにくく、また管理しにくくなるので、5月頃に下から5節くらい残して切り戻します。 Sergey Chirkov/Shutterstock.com 「靫葛」の由来とは? jessicahyde/Shutterstock.com ウツボカズラの漢字表記は「靫葛」または「靫蔓」。「靫(うつぼ)」は矢を入れて持ち運ぶための筒状の容器のこと、「葛・蔓(かずら)」はつる草のこと。ウツボカズラの捕虫袋をこの容器に見立て、つる性であることが由来となっています。 クイズ一覧はこちら!
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寄せ植え・花壇

8月下旬はまだ全部植え替えなくてOK! 晩夏から秋へ、玄関先を素敵に整える5つのコツ
この一枚に、晩夏から秋へつなぐヒントがいっぱい! まずは、冒頭の写真の武島さんの玄関まわりを少し離れたところから眺めてみましょう。玄関へ続くアプローチには、まだ元気に咲く夏の花。その奥には寄せ植えがあり、壁面やフェンスには秋の訪れを感じさせるリンドウのハンギングも加わっています。そして、写真の手前、花壇の縁をふんわりと彩っているピンクの花は、ペチュニア‘さくらさくら’です。 ここにある植物は、夏から育ててきた植物を生かしながら、手を入れるところには手を入れ、秋の気配を少しずつ加えて育てています。じつはこの一枚の中に、晩夏から秋へ庭をきれいにつなぐヒントがいくつも隠れています。1つずつ見ていきましょう。 コツ1 元気な夏の花は抜かない。まだまだ秋まで楽しめる 夏の間たっぷり花を咲かせた植物は、8月下旬になると枝が長く伸びたり、株姿が乱れたりすることがあります。 武島さんの庭で花壇の縁をやわらかなピンク色に彩っているペチュニア‘さくらさくら’も、夏から秋へつないで楽しめる花の一つ。株が元気なら、長く伸びた枝や花数が減った部分を軽く切り戻し、枯れ葉や傷んだ枝を取り除いて株姿を整えます。気温が落ち着いて新芽が伸びれば、秋に再び美しい見頃を迎えることが期待できます。 晩夏から初秋は秋雨や台風も増える時期。枝葉が混み合った株は風通しが悪くなりやすいため、不要な枝葉を整理しておくことは蒸れを防ぐうえでも役立ちます。ただし、厳しい暑さが続いているときや株が弱っている場合は、強い切り戻しは避けましょう。植物の状態を見ながら整えることが大切です。 切り戻した後は、活力剤や液肥を与えて生育をサポートしてあげましょう。 コツ2 秋らしさを「少しだけ」先取りする 夏の花を生かしながら季節感を変えたいなら、秋を感じさせる植物を一鉢だけ加えてみましょう。武島さんが選んだのは、リンドウ‘アシロブーケ アクア’。淡い青紫色の花がこんもりと咲く姿は、夏の鮮やかな花々とは少し違った、涼やかで落ち着いた雰囲気です。ここでは、いくつもの植物を組み合わせるのではなく、リンドウだけでハンギングを仕立てています。 一種類の植物でも、まとまりのあるボリュームで見せれば十分な存在感。複雑な寄せ植えをつくらなくても、季節の植物を一つ選ぶだけで取り入れられるアイデアです。 しかも玄関のように毎日目にする場所なら、その効果は大きなもの。夏の花々の中に青紫色のリンドウが加わるだけで、景色の中にひと足早く秋がやってきます。庭全体を変えなくても、一鉢から季節は変えられるのです。 スティック式のハンギングスタンドを使って、花壇の上部を華やかなハンギングバスケットで彩って。 こちらは庭に向かう扉の前の小さな花壇。白、淡いピンク、濃いピンクの花色を混ぜたニチニチソウのハンギングバスケットが華やかです。ニチニチソウは暑さに強く、長く花を楽しめる夏の草花。まだ株が元気なら、「秋になったから」という理由だけで抜いてしまう必要はありません。花がらや黄変した葉を取り除くだけでも、夏を越した植物はすっきりと見違えます。 ニチニチソウのハンギングバスケットの下には、ピンクベージュのセロシア(ケイトウ)でほんのり秋らしさをプラス。このセロシア ‘スマートルック ロマンティカ’は、夏の気温が高い時期は色が淡く、晩秋にかけて気温が低くなると色が濃く、葉色も赤味を帯びてシックな雰囲気になっていきます。夏から秋は、そんなふうに色変わりしていく植物たちの表情の変化も楽しめる季節です。 小さな花壇もハンギングをプラスするとこんなに華やか。 コツ3 花だけに頼らない。「葉」を主役にする 晩夏から初秋の玄関まわりで、もう一つ活用したいのがリーフ類です。武島さんの小さなコーナーでは、花をたくさん咲かせるのではなく、シダ類をはじめ、明るいグリーンや斑入りの葉、赤みを帯びた葉など、さまざまな観葉植物のリーフを組み合わせています。 花がなくても寂しく見えないのは、単に「緑を集めている」わけではないから。葉の色だけでなく、大きさ、形、質感、葉の向きや枝垂れ方まで異なる植物を重ねることで、花に負けないほど豊かな表情が生まれます。 長雨や台風などで花が傷みやすい季節にも、葉そのものを観賞する観葉植物を上手に取り入れると、景色を保ちやすくなります。 また、花が少なくなってくる季節ほど、リーフの存在感は大きくなります。夏から秋へ移る端境期こそ、葉を「脇役」ではなく「主役」として考えてみましょう。 玄関前で、ニチニチソウとともに強い存在感を放っているのが、大きなイモの葉のコロカシア‘ブラックマジック’。小さなニチニチソウの花に対して、まったくスケールの違う大きな葉を合わせることで、景色にメリハリが生まれています。さらに、高さのある葉が加わることで視線が上下に動き、限られた玄関前にも奥行きが感じられるようになります。 そしてもう一つ注目したいのが、鉢を一つずつ独立して考えていないこと。左右のハンギング、大きな葉の寄せ植え、そして背景となる玄関扉まで含めて眺めると、すべてが1つのコーディネートになっています。 「この鉢をどう植えるか」だけでなく、ちょっと視点を引いて「ここから見える景色をどうつくるか」。それが小さなスペースを豊かに見せるための大切な視点です。 コツ5 置く場所がなくなったら「壁」を庭にする 玄関周りのような小さなスペースでは、植物を増やしたくても、鉢を置ける場所には限界があります。そんなとき、武島さんが活用しているのが壁やフェンスなどの垂直面です。 ハンギングバスケットなら、床面積をほとんど使わずに植物を飾ることができます。しかも目線の高さに花や葉が加わることで、植物が足元だけに並んでいる場合とはまったく違う立体感が生まれます。 「何平方メートルあるか」という床の広さだけで考えず、上・中・下まで1つの空間として考えると、もう鉢を置くところがない」と思っていた場所にも、新しいガーデニングスペースが見つかります。 「狭いからできない」を、「ここにも飾れる」に変える 玄関前に1鉢。壁面に1つのハンギング。奥行きのない小さな花壇。家の脇に残った、ほんのわずかなスペース。武島さんの庭を見ていると、ガーデニングに必要なのは必ずしも広い庭ではないことに気づきます。むしろ、家のまわりにある小さな空間を見つけて、「ここなら何ができるだろう」と考える。その積み重ねが、家全体を花のある景色へと変えていきます。 ハンギングバスケットや寄せ植え、玄関まわり、奥行きのない花壇、壁面、つる植物——。武島由美子さんが長年培ってきた、限られたスペースを生かして花のある暮らしを楽しむアイデアは、今秋刊行予定の書籍でも豊富な実例とともに詳しくご紹介します。 広い庭がなくても、花のある暮らしは作れる。 この秋はまず、毎日通る玄関先を眺めて、「ここにも何かできるかな?」と考えるところから始めてみませんか。 購入者限定の動画レッスン付き! 初めてでも迷わず作れる『ハンギング&寄せ植え』バイブルが予約開始 『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』 著者:ガーデンストーリー定価:2,200円(本体2,000円+税)発売:2026年10月5日半径:B5判 ページ数:160ページ発行:KADOKAWAISBN-10:4049027313ISBN-13:978-4049027310 Amazon特典「ハンギング設計シート」 作る前に花苗の種類や色、植える位置を整理できる「ハンギング設計シート」。バスケットの図に花の配置を書き込みながら、完成イメージを組み立てられます。必要な苗や資材を記入できる買い物リスト付きで、園芸店での苗選びから植え込みまでをサポート。自分だけのハンギング作りに役立つ、実用的な購入者限定特典です。 Rakuten特典「初めてでも作れるハンギング動画」 購入者限定の動画レッスンでは、ハンギングバスケット作りのポイントを実演します。花苗を選ぶときの見方や植え込む順番、全体を丸く美しく仕上げるコツなど、本の写真だけでは伝わりにくい手の動きや苗の扱い方を分かりやすく解説。難しそうに見えるハンギングバスケットを、初めての方にも気軽に楽しんでいただける特別レッスンです。 『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』もくじ Chapter1 「小さな空間を華やかに彩るハンギング」 地面がなくても、花を咲かせられる「ハンギング」基礎知識ハンギングの魅魅力 ①〜⑤壁に、フェンスに、椅子の背に。飾り方いろいろハンギングバスケットの基本の作り方数種類を組み合わせて作るハンギング〈動画つき〉ハンギング作りに役立つツール Chapter2「ハンギングと寄せ植えを重ねて景色を作る」 地面がなくても、花景色を作れる「寄せ植え」武島さんの寄せ植えセオリー寄せ植えの作り方初心者でもうまくいくリースの寄せ植え Chapter3「小さな花壇を生かして景色をより立体的に」 奥行きのない花壇を立体的に見せる5つの工夫つるバラの誘引と剪定春夏秋冬の玄関の花風景 Chapter4「小さなコーナーも見違える季節のしつらえ」 春 小さな芽吹きを集めて夏 涼やかな花のコーナー秋 ハロウィンの演出冬 小さなクリスマスのしつらえ Chapter5「小さな工夫を重ねて広がる庭景色」 広い庭景色を作る6つの視点アーチと小径 / 小径と花壇 / 色や植栽で場面を分けるくつろぐ居場所を作る / 小径の先へ視線を導く日陰にも見せ場を作る / 端境期を彩る STORY いつも花のあるほうへ心を戻してSTYLE 動きやすくて、気分が上がるガーデンファッションTOOLS 機能的でおしゃれなガーデンツール Chapter6「覚えておきたい植物の基本の手入れ」 様子を見る / 掃除 / 花がら摘み / 水やり / 切り戻し / 植えどき・抜きどきハンギング・寄せ植えにおすすめの花図鑑91種WORKS 花のある暮らしを育てる場所 武島由美子さんと Anne’s Garden
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地域の取り組み

子どもと若者が育てた、小さな緑のじゅうたん 公園はどう変わり始めたのか
歓楽街の公園に響く、歓声 「水、たまってる!」 8月のある日曜日、朝10時すぎ、川崎市川崎区の東田公園。その一画に広がる小さな緑のじゅうたんの周りに、学生たちが集まっていた。地面を這うようにびっしりと葉を広げているのは、グラウンドカバープランツのクラピアだ。彼らが覗き込んでいるのは、前日からクラピアの葉を覆っておいた透明なビニール袋。内側には水滴がつき、底には少量の水がたまっている。葉から水分が放出される「蒸散」を、自分たちの目で確かめる実験だ。 蒸散によって得られた水の水質を確かめてみようと、相談する学生たち。 今度は地面の温度を測る。クラピアが覆っている場所は約26℃。すぐそばの砂利がむき出しになった場所は約36℃。 「10℃も違う!」 この日は曇りがちで、真夏としては比較的穏やかな天候だったが、学生たちが測った表面温度には約10℃の差があった。 しゃがみ込んで葉の間をのぞけば、今度は生き物探しが始まる。バッタがいた。シジミチョウやキタテハも見つかった。 「前はいなかった生き物がいるね」 小さな緑の中に、次々と発見がある。観察がひと段落すると、彼らは水鉄砲を手にして、クラピアへ水を飛ばす。あっちからも、こっちからも水が飛び、時には人にもかかる。歓声を上げて走り回り、キャッキャと笑いながら、小さな緑のじゅうたんに水を与えていく。 笑い声が弾ける、穏やかな公園の風景。 しかし、ここはほんの数年前まで、こんなふうに子どもが集まる場所ではなかった。 「子どもは遊びに行ってはいけない」と言われた公園 東田公園は、川崎駅東口から徒歩約10分。「商店街の中にある身近な公園」と位置づけられている。園内には広場や遊具、コミュニティーハウスもある。 しかし、公園から一歩視線を外すと、その立地の特殊さが分かる。東田町で、営業種目が飲食店に分類される施設を編集部で集計すると400以上。そのうちの6割以上が「バー」に分類される。公園入口のすぐそばには、女性の姿を大きく掲げた派手な看板が並び、取材した日曜日の朝も、道路には前夜の名残を思わせるゴミが点在し、朝から酒を飲んでいる人の姿もあった。 かつてはここに店舗から出たと思われる粗大ゴミが置かれていた。 今、公園の一画にクラピアが緑のじゅうたんをつくっている辺りは、かつて不法投棄が目立つ場所だった。周囲の店舗が入れ替わる際などには、ソファやタンスといった大型の廃棄物まで捨てられていた。毎日ゴミを拾っても朝に1袋、夕方にまた1袋がいっぱいになり、ブルーシートを住まいにする人もいて、地域では「子どもは遊びに行ってはいけない」と言われる公園だったという。 ところが今、その場所に近隣の保育園の子どもたちが、毎朝遊びに来るようになった。公園の姿を変えたものは一体、何なのか。 始まりは「公園をきれいにしたい」 変化のきっかけをつくったのが、「まちびらき隊」。先ほどクラピアを観察していた学生たちがメンバーだ。 まちびらき隊は、NPO法人「姿勢教育の孝心会」のもとで活動する子ども・学生主体のグループ。東田公園内には同法人が運営する「コミュニティーハウスさくら」があり、そこを拠点として、毎週日曜日の10時15分から定期活動を行っている。 この日の活動にはクラピアを開発している株式会社グリーンプロデュースの井上まきさんが手入れの助言や新たな壁面緑化プロジェクトの相談役として参加した。 活動が始まったのは2021年。「公園をきれいにしよう」。そんな純粋な思いから近隣の友だち同士が集まり、まず始めたのはゴミ拾いだった。代表は次の世代へと引き継がれながら活動が継続され、初期から現在まで参加を続けているメンバーもいる。 彼らは、ただ用意された活動に参加するのではない。自分たちで地域の問題を見つけ、「どうしたら変えられるか」を考え、実際の行動へとつなげていく。イベントを企画し、チラシをつくり、必要なら行政への申請書を用意する。商店街にプレゼンし、地域や企業にも協力を呼びかける。企画、チラシ制作、司会、写真・動画撮影、SNS発信など、活動を実現するための役割も細かく分担し、その一つひとつを子どもたち自身が担っている。 こうした活動のやり方は、上の世代から下の世代へと受け継がれてきた。大学生が高校生に、高校生がさらに年下の子どもたちに、遊びも交えながら活動の意義や方法を伝える。そうして少しずつ、「自分たちの街は、自分たちで変えられる」と考える仲間を増やしてきた。 「禁煙」か「分煙」か。東田公園が抱えていた課題 最初は、捨てられているゴミをくる日もくる日もひたすら拾った。活動日の日曜だけでなく、学校からの帰り道にも、クリスマスにも、お正月にも。それでも遊具のすぐ側や彼らが花を植えた花壇の中にも、酒瓶や空き缶、ペットボトルにたばこの吸い殻、傘、メガネ、服など、ありとあらゆるゴミが繰り返し捨てられた。 公園入り口に散乱するたばこの吸い殻を拾う子どもたち。ひまわりの花壇の中にも空き缶が。写真/まちびらき隊 自分が植えた花の上が、そんな惨状になった時の気持ちを想像してみてほしい。どれほど悲しく、無力感にさいなまれるだろうか。しかし、彼らは諦めるでもなく、誰を責めるでもなく「なぜゴミは減らないのか」と考えた。例えば、たばこの吸い殻。メンバーである子どもたち自身は、もちろんたばこを吸わないが、彼らは吸う人の立場になって、捨てる場所がないことも吸い殻が散乱する一因なのではないかと考えた。 興味深いことに、東田公園では行政もまさに同じ課題に向き合っていた。川崎市は2024年3~4月、東田公園を含む市内6公園で禁煙の試行を実施し、利用者アンケートを行っている。東田公園では105人が回答。「公園での喫煙をどう思いますか」という問いに対し、「禁煙がいい」が45%、「分煙がいい」が42%だった。ほぼ真っ二つである。 市全体に寄せられた意見にも、「吸い殻のポイ捨てが怖い」「子どもへの副流煙が心配」という声がある一方、「灰皿があればそこで捨てる」「スモーキングエリアを設ければ、そこで吸ってほしいと言える」という分煙を求める声があった。 つまり、「吸う人を締め出すのか、何も規制しないのか」という二択ではなく、異なる立場の人が利用する公共空間で、どう折り合いをつけるかという課題が、現実に突きつけられていたのである。 公園に新設された喫煙所を清掃する「まちびらき隊」の高校生。写真/まちびらき隊 東田公園で実験的に禁煙が導入された際、まちびらき隊は、活動を続けるなかで、むしろたばこの吸い殻のポイ捨てが増えたと感じたという。そこで市に対し、喫煙する人がルールを守って利用できる場所の設置を働きかけた。川崎市はその後、公園を原則禁煙としながら、常駐管理者のいる一部公園に「喫煙可能スペース」を設ける方針を決定。2025年7月1日から、東田公園にも設置された。 「ゴミを捨てないで」。子どもの言葉が大人に届いた また、まちびらき隊はポスターをつくるイベントを開催し、たくさんの子どもたちが描いた絵とメッセージを公園中に掲げた。書かれているのは、どれもシンプルな言葉ばかりだ。 「ゴミをすてないで」「お花を大切に」「みどりだいすき!」「公園を大切に」「ちきゅうをきれいに」「まちをきれいに」 すると活動を続けるうちに、不法投棄は見られなくなり、少しずつゴミも減ってきたという。 「僕たちがゴミを拾うからだけではなく、ポスターでメッセージすることによって、ゴミを捨てる人自体も減ったのだと思います」と、初期から活動するメンバーが話してくれた。 誰かがこの公園を大切にしているというメッセージ。それがゴミを捨てようとする人の手を、とどまらせている。 次に挑戦したのは「緑」だった 「まちびらき隊」が現在ゴミ拾いと並行して取り組んでいるのが、東田公園を緑化するプロジェクトだ。まず挑戦したのはクローバーだった。土を耕してタネをまき、緑のじゅうたんをつくった。一度は茂った。しかし、夏の暑さで枯れてしまった。もう一度挑戦しても、夏を越せない。試行錯誤は4年間続いた。 そこで彼らは、自分たちで植物を調べ始めた。 「川崎市は工業地帯で、二酸化炭素を多く排出しているんです。それを吸収して温暖化を防ぐことにもつながればいいなと思って、暑さに強いという条件とともに、CO2吸収という検索ワードも入れて調べたら、出てきたのがクラピアだったんです」。 クラピアは、沖縄などに自生する在来種イワダレソウを原種として品種改良された、地面を這うように広がるグラウンドカバープランツだ。暑さに強く、小さな丸い葉が密に広がることで、雑草の発生を抑えやすく、雑草対策などにも利用されている。また、根が地中深く1m近くまで伸びるため、豪雨による土壌の流出防止や雨水の浸透効果などの環境機能が注目されている。 つるはしとシャベルだけで砂利の地面を耕すまちびらき隊メンバー。写真/まちびらき隊 ただし、その植栽は簡単ではなかった。クラピアは地中深く根を伸ばすという資料を読んだ彼らは、予定地43平米を50cmの深さで掘り進めた。掘ると、中から石が次々と出てきた。それを一つずつ取り除きながら、半年ほど地道な土づくりを続けた。その後、専門家の植栽指導を受けてクラピアを175株植栽。土づくりから約1年をかけ、公園の一画に緑のじゅうたんを育て上げた。心配していた8月の猛暑も枯れることなく、瑞々しい緑が広がり、愛らしい花も咲く。 2025年秋、資材の購入など、まちびらき隊の活動を支援する川崎中央ロータリークラブと一緒にクラピアを植栽した。 こうした彼らの活動は行政からも評価され、2025年には、「かわさきSDGs大賞2025」の地域・社会部門で最優秀賞を受賞。川崎市は、中高・大学生が主体となり、幼児や小学生の意見を取り入れながら、行政、企業、商店街、地域団体と連携して実現している点などを高く評価した。 活動を通して、子ども達自身にも変化が生まれたという。大学生の一人は、「植物にこれまで興味がなかったけれど、この活動を始めてから、どうしてここに生えているのかなとか、植物の働きについて興味を持って調べるようになりました」と話す。また、横浜から電車とバスを使いこの活動に参加している高校生は「学校だけではないコミュニティを持って、仲間と一緒になんでもチャレンジできることがとても楽しい」と教えてくれた。 緑は、人の心に何をもたらすのか 緑がもたらすものは、景観の美しさだけではない。WHOは都市の公園や緑地について、心理的なリラックスやストレスの軽減、人とのつながりや身体を動かす機会を生み出し、さらに暑さや騒音など都市生活の負担を和らげることで、心身の健康を支える可能性があるとしている。 東田公園を考えるうえで、興味深い研究もある。米国フィラデルフィアで、荒廃した空き地541カ所を対象に行われた無作為化比較試験だ。空き地を清掃したうえで芝生や樹木を植え、継続して管理する「緑化」を行った場所と、清掃だけを行った場所、何もしない場所の3つを比較した。 その結果、緑化した場所の近隣住民では、対照群と比較して「抑うつを感じる」という回答が41.5%減少した。貧困線以下の地域に限ると、その減少はさらに大きかった。一方、ゴミを取り除いて管理するだけの介入では、同じような精神面の改善は確認されなかった。 同じフィラデルフィアの別の無作為化比較試験では、荒廃した空き地を緑化・管理した周辺で、住民の安全感や屋外利用にも変化が確認され、貧困地域では一部の犯罪指標も減少した。 もちろん、「緑を植えれば犯罪がなくなる」「クラピアを増やせばゴミが捨てられなくなる」と単純化することはできない。しかし、こうした研究を東田公園の変化に重ねてみると、興味深い共通点が見えてくる。ゴミを取り除くだけではなく、植物を植え、誰かが継続して手入れすることで、「ここは放置されていない場所だ」と感じられる風景が生まれていることだ。 「捨てちまえ」と思わせない場所へ すでにゴミが散乱している場所に、もう一つ空き缶を置くのは気が咎めない。「どうせ汚い」「誰も気にしていない」、そう思えば心理的なハードルは低くなるものだ。 まちびらき隊が中心となり、毎年、春にはチューリップ、夏にはひまわりを育てている公園入り口の花壇。写真/まちびらき隊 けれど、その場所に花の絵とともに「公園が好き」という文字がある。昨日までむき出しだった土に緑が広がっている。花が咲き、誰かが水をやっている。毎週日曜日には、若者たちが手入れをしにやって来る。そうなれば、そこはもう、「誰も気にしていない場所」ではない。 さらに、前述の研究の中に示された、緑化された環境が人の心身にもよい影響をもたらす可能性も注目すべき点だ。 緑の心地よさは、利用する人を選ばない 公園の緑化と聞けば、その先に子どもが遊び、家族がピクニックを楽しみ、地域の人が花を眺めるような、穏やかな景色を思い浮かべる人が多いだろう。けれど、東田公園を訪れる人はそれだけではない。 周囲の店で働く人もいる。酒を飲んだ帰りの人もいる。仕事の合間にたばこを吸いに来る人。何かがうまくいかず、ただ一息つきたい人もいるかもしれない。 そうした人たちは、「荒れた公園」を説明するための景色ではない。彼らもまた、この街に暮らし、働く一人の人間だ。そして、家でも職場でも店でもなく、お金を払わずにただ木陰に腰を下ろすことのできる公園を、むしろ強く必要としているかもしれない。少し疲れたとき、社会とのつながりからこぼれ落ちそうになったとき、足が向くのが公園という場所なのかもしれない。 公園は誰のためにあるのか 「公園は誰のためにあるのか」という問いは、東田公園だからこそ浮かび上がってくる。まちびらき隊がこれまでやってきたことは、そこで問題を起こす誰かを排除することではなかった。ゴミを拾い、子どもたちの言葉を掲げ、喫煙する人にもルールを守れる場所を用意し、そして荒れた地面を耕して緑を育てている。 彼らの目下の目標は、この緑のじゅうたんのエリアを広げ、公園を緑でいっぱいにすることだ。 「この公園を拠点に、街中へも緑を広げて、温暖化とか社会の課題を解決できたらいいなと思い描いています」と代表を務める学生の一人は話した。 ほんの数年前まで、「子どもは遊びに行ってはいけない」と言われていた東田公園。今、その一画には小さな緑のじゅうたんが広がり、日曜日になると子ども達が集まってくる。その緑のそばでは、子どもも、大人も、この街で働く人も、ただ通りかかった人も、同じ公園の利用者だ。 小さな緑のじゅうたんが広げようとしているものは、植物の葉だけではないのかもしれない。
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宿根草・多年草

コロンと丸い葉が可愛い! ウォーターマッシュルームを枯らさずに室内で楽しむ栽培のコツ
ウォーターマッシュルームの基本情報 LIN MEI CHEN/Shutterstock.com 植物名:ウチワゼニクサ学名:Hydrocotyle verticillata var. triradiata英名:Whorled Marshpennywort、Water pennywort、Pennywort、Money plantなど和名:ウチワゼニクサ(団扇銭草)その他の名前:ウォーターマッシュルーム、ウォーターコイン、タテバチドメグサなど科名:ウコギ科属名:チドメグサ属原産地:北アメリカ形態:常緑多年草 ウォーターマッシュルームは、ウコギ科チドメグサ属に分類される抽水植物(水底の土に根を張り、水面上に茎や葉が突き出て育つ水生植物)で、原産地はアメリカです。湿地や河川などの水辺で育ち、水中でも陸上でも育てられます。繁殖力が非常に強く、観賞用として各国に輸入されて野生化し、日本でも暖地を中心に帰化が確認されています。 ウォーターマッシュルームの花や葉の特徴 Albin Raj/Shutterstock.com 園芸分類:水生植物開花時期:6〜10月草丈:5〜25cm耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白 ウォーターマッシュルームは、6~10月にかけて開花します。花は径2mmほどと、とても小さな5弁花で、伸ばした花茎の節にまとまって咲きます。 水中では匍匐茎を伸ばし、節から発根してどんどん増えていきます。水中でも湿った土でも育ち、根元を水につけた状態で水面に葉を出したり、根元から葉まで水中に沈めた状態でも育ちます。葉は互生し、5~25cmの長さの葉柄の先に、1~5cmほどの光沢がある円形の葉をつけます。葉の縁には浅く切れ込みが入ります。 e.sgtp/Shutterstock.com 寒さには比較的強く、寒冷地を除いて屋外の水中で越冬可能。葉は常緑で、寒さにあたると水面より上の葉が枯れたようになりますが、暖かい室内で育てれば冬も緑が楽しめます。 ウォーターマッシュルームの名前の由来と花言葉 Wirestock Creators/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームという名前は、丸くてかわいらしい葉が、キノコに似ていることから名付けられました。「ウチワゼニクサ(団扇銭草)」という和名は、葉が銭形で、団扇のように柄があることから。また、葉の形が硬貨に似ているため、「ウォーターコイン」という別名でも親しまれています。 LILLIAN_GZ/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームの花言葉は「希望」です。キノコのように生える様子が希望を象徴しているとされており、細い茎が場所を選ばずどこまでも伸びていこうとする姿から、この花言葉が付けられたという説もあります。力強く成長する姿が、人々に前向きな気持ちを与えてくれる植物です。 ウォーターマッシュルームの楽しみ方と注意点 Yustika Muharastri/Shutterstock.com 涼しげで可愛らしい姿のウォーターマッシュルームは、さまざまな方法で楽しむことができます。アクアリウム、ビオトープ、メダカの水草などとして利用するのはもちろん、株元が水につかる程度の水位で育ち、乾かさなければ陸上でも育つので、鉢植えや水苔植え、ハイドロカルチャー、観葉植物など、用途に応じて自由に取り入れることが可能です。ただし、水草は河川などに逸出すると、小さな破片からでも再生して爆発的に増えることがあるため、屋外で栽培する場合は逸出させないように十分な注意が必要。室内で栽培する場合も、処分する際は野外に捨てずにゴミ袋に入れて処分するなど、野生化しないよう対策しましょう。 ウォーターマッシュルームの種類 Job Narinnate/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームには、いくつかの種類が存在しますが、品種はさほど多くありません。改良によって小型化された品種があり、「ミニマッシュルーム」や「ピグミーマッシュルーム」といった名前で流通しています。 ミニマッシュルームは草丈が約7cmのロゼット型水草で、コンパクトなサイズ感が魅力です。基本的な育て方は通常のウォーターマッシュルームと同じです。 ウォーターマッシュルームを育てる際に必要なアイテム Gulsina/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームを育てるために必要な基本の道具は以下です。 ウォーターマッシュルームの株 鉢 培養土 肥料(液体肥料) ハサミ 手袋(植え付け時など) じょうろ(鉢植えで育てる場合) 水槽(水槽で育てる場合) これらのアイテムはホームセンターや園芸店、通販サイトなどで購入できます。事前に品ぞろえや入荷状況を確認しておくと安心です。 ウォーターマッシュルームの栽培12カ月カレンダー 開花時期:6〜10月植え付け・植え替え:4〜9月肥料:4〜9月 ウォーターマッシュルームの栽培環境 Elvie Lins/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】春から秋にかけては、日当たりがよく、午後には日陰になるような場所で育てるとよいでしょう。 【日当たり/屋内】半日以上日が当たる、窓辺など明るい場所を好みます。 【置き場所】水温が上がりすぎると枯れてしまうことがあるので、午後に直射日光が当たるような場所は避けましょう。水の中でも育つため、水槽に沈めて栽培するか、鉢植えの場合は鉢ごと水につけ、株元が水につかるように水位を調節するとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 耐寒温度は約3℃で、寒冷地を除いて屋外でも冬越しができます。気温が下がると水面から出ている葉は枯れることがありますが、水中の葉は枯れません。水面が凍っても株自体には影響がないため、枯れた葉は切り取ってしまいましょう。春になって気温が上昇すると新芽が出てきます。ただし、水が完全になくなったり、根まで凍ってしまったりすると株が枯れてしまうため、寒冷地では室内で越冬させるのが安全です。 ウォーターマッシュルームの育て方のポイント 用土 Nor Gal/Shutterstock.com 土は赤玉土や荒木田土、水生植物専用土などが適しています。特に荒木田土などの水田の土は水が濁りやすいものの、株の育成には向いています。また、ハイドロカルチャーで育てる方法もあり、ビオトープで使用する場合には、洗って再利用できるボラ土もおすすめです。 水やり NPvancheng55/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは一年を通して水を切らさないように管理します。水切れに弱く、陸上で育てる場合は水が切れるとすぐに枯れてしまいます。過度の水で根腐れする心配はありませんが、水がまったく循環せず水質が悪化していると枯れてしまう恐れがあるので注意しましょう。冬でも水切れさえしなければ、問題なく冬越しできます。 【地植え】 株が水に沈みすぎない程度の水深に植えます。 【鉢植え】 水の入った容器に鉢植えごと沈め、株の根元まで水がかかっている状態にすると管理しやすいです。 肥料 Katherine_lynx/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは生育が旺盛で、肥料を与えなくても育ちます。ただし、葉を増やしたり花のつきをよくしたい場合は、少量の肥料を与えると効果的です。生育期である4~9月の間に、1~2カ月に1回緩効性の化成肥料を与えるか、液体肥料を規定量の倍に薄めて与えるようにしましょう。 注意する病害虫 LindartLine/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは非常に丈夫な植物なので、病害虫の心配はほとんどありません。初心者でも安心して栽培できます。 ウォーターマッシュルームの詳しい育て方 植え付け・植え替え suprabhat/Shutterstock.com 植え付けに適した時期は、生育期である4~9月です。植え付け後は、春から秋にかけて屋外や室内の日がよく当たる場所で管理し、水温にも注意しながら育てます。 【地植え】 地植えの場合は水に沈み過ぎない水深の場所を選びましょう。 【鉢植え】 鉢植えの場合は、用土を入れた鉢に植え付けてから水につけます。根を水苔で包んでポットなどに入れたりして、水槽内に植え付けることもできます。 【水栽培】 水槽やボトルアクアリウムなどの水の中で育てます。水中で育てると、葉が小さく育つ傾向があります。 【ビオトープ】 ビオトープでは、底に敷いた用土に直接植えるとトロ舟などの容器全体に根や茎が広がってしまうため、鉢植えにしたものを沈めた方が管理しやすくなります。 植え替え Octopus16/Shutterstock.com 植え替えに適した時期は、生育期である4~9月です。 植え替えは2年に1回程度が目安。根が詰まってきたら、大きめの鉢や容器に植え替えるようにしましょう。株を大きくしたくない場合は、地下茎を切って好みの大きさに整えてから植え替えると、コンパクトに育てることができます。 剪定・切り戻し Verra Widhi/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは茎や根を伸ばして鉢植えの外にまで繁殖することがあります。鉢植えから伸びた茎が、スイレン鉢などの外側の容器に敷いた土に根を張ることもあるため、増えすぎたと感じたら地下茎を切り戻して調整しましょう。切り取った茎は、新たにウォーターマッシュルームを増やす際にも利用できます。株が増えすぎて混み合ってきた場合は、地下茎で余分な株を切って大きさを整えると、見た目もすっきりします。 剪定した茎葉を処分する際は、野外に逸出しないよう、可燃ゴミとして処分しましょう。 増やし方 Pheobus/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは株分けで増やすことができます。株が増えてきたら、植え替えや剪定の際に切り取った地下茎を使って、別の場所に植えるだけで新たな株が育ちます。 寒冷地など、屋外で育てている株の冬越しに不安がある場合は、あらかじめ株分けして増やしておくと安心です。小さい株を作って冬の間室内で管理しておけば、万が一枯れてしまっても、春から栽培を再開することができます。 ウォーターマッシュルームの栽培に関するQ&A grapestock/Shutterstock.com ここからはウォーターマッシュルームを育てる際によくある疑問にお答えします。 水中生物と一緒でも大丈夫? Bukhta Yurii/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは水草の中でも比較的丈夫なため、熱帯魚やエビなどの水中生物と一緒に育てることができます。生き物に食べられてしまうことはあまりなく、丈夫なのでどんどん繁殖・成長して増えます。また、水中生物に害を与えることもなく、水質に注意すれば安心して共存させることが可能です。 枯れる理由と対処法は? rivaldyadilla/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームが枯れる原因は、主に日光不足、栄養不足、水の不足によるものが多いです。特に根まで干上がってしまったり、株が凍ってしまった場合には、枯れてしまうことがあります。ただし、日当たりのよい場所に移動すれば、元気な葉を再び出す場合が多く、環境を整えることで回復する可能性があります。 鉢植えでも水中でもOK! 室内のインテリアに取り入れてみよう Tri Windarti/Shutterstock.com ウォーターマッシュルームは、丸くてかわいらしい葉が特徴の植物です。丈夫で水中でも鉢植えでも育てることができます。ガラス容器や小型水槽を用いて水中で栽培したり、ハイドロカルチャーや水耕栽培で育てるのもおすすめです。繁殖力が非常に強いので、増やしすぎないよう注意して栽培しましょう。 鉢植えで小さく育てればインテリアの彩りにもピッタリですので、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか?
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宿根草・多年草

「今から植えるの?」秋の庭を劇的に華やかにする「夏植え球根」とは?
球根植物とは Nadezda Verbenko/Shutterstock.com 球根植物は、宿根草に分類される草花で、根や茎が肥大して水分や養分を蓄える器官をもっているのが特徴です。花を咲かせた後に葉を茂らせて光合成を行い、球根を太らせて養分を蓄えます。その後は地上部を枯らして休眠期に入ります。球根を掘り上げて貯蔵するか、植えたままにしてよいかは、育てる球根によって異なりますが、一年草のように半年ほどで枯死することはなく、上手に管理すれば毎年開花を楽しめる、息の長い植物です。一般に「球根」と呼ばれるのは養分を蓄える器官で、鱗茎、球茎、塊茎、根茎、塊根の5つに分類されています。また、種類によって植え付けに適した時期が異なり、主に春植え、夏植え、秋植えがあります。最もポピュラーなのは秋植え春咲きのもので、クロッカスやアネモネ、チューリップなどがあります。 夏植え球根とは ZanozaRu/Shutterstock.com 夏に植え付けると、秋に咲くのが夏植え球根です。開花が終わると葉を茂らせて光合成を行い、地下に養分を蓄えます。その後、春から夏にかけて地上部を枯らして休眠するライフサイクルです。9〜10月に開花するものが多く、種類によっては冬まで咲くものもあります。比較的植え付けから開花までが短いのが特徴です。休眠中の球根を植えたままにしてよいのか、掘り上げて貯蔵する必要があるのかは種類や栽培地域によって異なるので、ラベルに記載された説明書きなどで確認して、適切に越年させるとよいでしょう。 夏植え球根の栽培上のポイント 夏に植え付けるタイプの球根植物の栽培のポイントについて、解説します。 栽培環境 funnyangel/Shutterstock.com ほとんどの球根植物は、日当たり・風通しのよい場所を好みます。明るめの半日陰の場所でも栽培は可能ですが、日なたに比べて茎や葉がひょろひょろと徒長気味に伸び、花数は少なくなるようです。 植える場所には堆肥や腐葉土などの有機質資材を混ぜ込み、水はけと水もちのバランスが取れた、ふかふかとした土を作るとよく育ちます。 植えっぱなしにして越年するものもあれば、寒さに弱いものもあるので、入手した品種のラベルに書かれている性質を確認しておくとよいでしょう。寒さ対策としては、腐葉土や落ち葉などをかぶせる「マルチング」をしておくのもおすすめです。 植え付け Richard Griffin/Shutterstock.com 夏植え球根の種類にもよりますが、植え付けの適期は6月中旬〜9月中旬です。花苗店などに出回る開花株を買い求めた場合は、早めに定植します。 球根植物は、1株のみ咲かせるより、同じ品種で球根を5〜10球まとめ植えし、一斉に咲かせると華やかに演出できます。 【地植え】 腐葉土や堆肥などの有機質資材をすき込んで土づくりをしておいた場所に、それぞれの球根に適した大きさの穴を掘り、植え付けます。たくさん植える場合は、適した間隔を開けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。 【鉢植え】 土は、草花の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れます。球根を植え付ける深さや間隔は、ラベルの説明に従ってください。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。 開花株を入手した場合は、ポットよりも1〜2回り大きな鉢を用意します。軽石を1〜2段分入れてから培養土を入れ、入手した株をポットから出して根鉢をくずさずに植え付けましょう。 日常の管理 Ivanko80/Shutterstock.com ●水やり 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がって株が弱るので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。また、真冬は、気温が低くなる夕方に水やりすると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行いましょう。 【地植え】 地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に過度の乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 鉢栽培では土が乾きやすいので、日頃から水やりを忘れずに管理します。とはいっても、毎日水を与えればいいというものでもありません。なぜなら、気温や湿度など天候の状況によって、土の乾き具合が異なるからです。動物が毎日食事を必要とするのとは異なり、植物は毎日水を与えて土がジメジメと過湿の状態になると、根腐れして枯れてしまうこともあるので注意。土の状態を見てから水やりするのがポイントで、基本は、土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。また、茎葉がだらんと下がって勢いがなくなっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 一方で、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕の水やりを欠かさないようにします。 ●肥料 【地植え・鉢植え共に】 球根植物は、肥大した根に養分を蓄えているため、植え付け時に元肥を施してあれば、開花までは特に追肥は不要です。開花した後は株が消耗している状態なので、地上部が枯れて休眠するまでは月に1度を目安に緩効性肥料を施し、球根を太らせましょう。根の発育を促すリン酸やカリ分が多めに配合された肥料を選ぶとよいでしょう。 ●花がら摘み 花が終わったら、花茎の先端にある花房の下で切り取ります。花茎は光合成をして球根を充実させるのに一役買ってくれるので、残しておきましょう。 花がらをいつまでも残しておくと、腐って病気を招いたり、種子を作ろうとして養分がそちらに集中し、株がエネルギーを消耗して球根が太れない結果になってしまいます(中にはヒガンバナのように種子をつけない種類もあります)。早めに切り取って株まわりを清潔に保ちましょう。 球根の掘り上げ OlegDoroshin/Shutterstock.com 球根は、植え付けてから数年経つと大きく太って充実します。植えっぱなしで込み合ってきたと感じたら、地上部の葉が枯れた後に、掘り上げてみましょう。大きくなった球根は自然にいくつかに分球できるので、それぞれ球根をはずし、離して植え直すと増やすことができます。 夏植え球根は、すぐに植え直して越年できるものと、掘り上げて次の植え付けまでネットなどに入れて風通しのよい場所で保存したほうがよいものがあります。種類によって掘り上げ後の対処の仕方が異なるので、入手した球根のラベルに書かれた説明に従うとよいでしょう。 夏植え球根の楽しみ方 夏植え球根は、花数が少ないものが多いので、球根を5〜10個ほどまとめ植えしたほうが迫力が出ます。また、夏植え球根は、葉よりも先に花茎を伸ばして開花するタイプが多く、株元には葉がないために寂しく見えがちに。そのため、草丈の低い秋咲きの植物やカラーリーフを手前に植えておくのがおすすめです。 おすすめの夏植え球根6選 夏に植え付けるタイプの球根植物はたくさんありますが、その中からビギナーでも失敗が少なく、育てやすいものをピックアップしました。ぜひ栽培にチャレンジしてください。 リコリス Picmin/Shutterstock.com リコリスは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の球根植物。原産地は日本や中国、ミャンマーなど東アジアの地域で、10〜20種が確認されています。秋の彼岸頃に咲くヒガンバナや、山野などで見かけるキツネノカミソリ、ナツズイセンなどもリコリスの仲間です。日本でも自生している種類があるということは、ビギナーでも比較的育てやすい草花だといえます。 リコリスは葉よりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせます。数輪の花弁が外側に向かって放射状に並ぶ、エレガントな咲き姿が大変華やか。細長い花弁が外にクルンと反り返り、長く伸びるしべとの対比もあって、秋の庭の主役となる存在感があります。植え付け適期は7〜8月で、開花期は9月中旬です。花色は赤、オレンジ、黄、白、ピンク、紫、青、複色があり、バラエティー豊か。花弁にキラキラとラメが入るような光沢感のある品種もあります。 リコリスの草丈は20〜50cmで、花壇の中段などに向いています。花茎を伸ばした先端に花を咲かせるときには、まだ葉が出ていないので株元がぽっかりと空いてしまいます。その空間を埋めるように、草丈の低い草花やカラーリーフプランツを組み合わせるとよいでしょう。 コルチカム Mariola Anna S/Shutterstock.com コルチカムは、イヌサフラン科イヌサフラン属(コルチカム属)の球根植物。原産地は欧州、北アフリカ、中東、中央アジアで60種ほどが分布しており、暑さにも寒さにも強い性質です。植え付け適期は8〜月で、開花期は9月中旬〜10月。花色はピンク、紫、白、黄など。草丈は5〜30cmで、葉よりも先に花茎を伸ばし、頂部に花を咲かせます。早春から葉を伸ばすので追肥をしておくとよいでしょう。地上部が枯れた6月頃に掘り上げて、植え付け適期まで風通しのよい場所で貯蔵します。 コルチカムは土に植え付けずに、窓辺などに置いておくと茎葉を伸ばして開花するほど強健なので、開花までインテリアて楽しむのもいいですね。ただし、コルチカムの球根はアルカロイドの一種コルヒチンを含み、毒性があるので、幼児やペットなどが誤って口に入れることのないように管理してください。 ネリネ marineke thissen/Shutterstock.com ヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属(ネリネ属)の球根植物。原産地は南アフリカで、暑さには強く寒さには弱い性質です。植え付け適期は4〜9月、開花期は10月中旬〜12月中旬で、花色は赤、ピンク、オレンジ、紫、白、複色など。花弁に光が当たるとキラキラと光るラメのような質感から、ダイヤモンドリリーの別名もあります。草丈は30〜40cmほど。2〜3年は植えっぱなしにしてもいいのですが、一般に流通しているネリネは耐寒性の弱いサルニエンシスをもとに品種改良されたものが多いため、鉢栽培にして越年させるほうが無難です。 サフラン ZhakYaroslav/Shutterstock.com アヤメ科サフラン属(クロッカス属)の球根植物。もともとは染料や香料、薬用などに利用されてきました。原産地は地中海沿岸で、寒さに強く、暑さにはやや弱い性質をもっています。植え付け適期は8〜9月、開花期は10月中旬〜12月上旬で、クロッカスに似た花を咲かせます。花色は紫で、芳香があるのが特徴です。草丈は10〜15cmとやや低いので、花壇の前面などに向いています。5月頃から地上部を枯らして休眠期に入るので、梅雨前までには掘り上げて風通しのよい涼しい場所で管理しましょう。鉢栽培の場合は、夏にあまり雨の当たらない涼しい場所へ移動できれば、数年は植えたままにしてもかまいません。 ステルンベルギア flaviano fabrizi/Shutterstock.com ヒガンバナ科キバナタマスダレ属(ステルンベルギア属)の球根植物。原産地はヨーロッパ南東部〜アジア南西部で、5〜種が確認されており、寒さに強い性質です。植え付け適期は8〜9月、開花期は主に9月下旬〜10月中旬。花色は黄色で、クロッカスに似た花姿をしています。草丈は10〜25cm。水はけが悪い土壌では夏に球根が腐りやすいので、6月頃に葉色が黄変して地上部が枯れたら掘り上げ、植え付けまで風通しのよい涼しい場所で保管しておきましょう。 オキザリス ASakoulis/Shutterstock.com カタバミ科のカタバミ属(オキザリス属)の球根植物。原産地は主に南アフリカ、中南米で800〜850種が確認されており、世界中に分布しています。日本で流通しているのは20種ほどで、秋咲きタイプのほか、春咲きタイプ、四季咲きタイプもあります。秋咲きタイプの植え付け適期は8〜10月で、開花期は10〜12月。花色は紫、ピンク、白、黄、オレンジ、複色などがあります。草丈は5〜30cm。光に反応して花を開き、暗くなると閉じる性質があるので、一日を通して日当たりのよい場所で栽培しましょう。 夏植え球根で外空間を彩り豊かに John R Martin/Shutterstock.com 夏植え球根は、植え付け後、比較的短い期間のうちに花が咲き始めるため、ほとんど放任してもよく、ビギナーにおすすめの草花です。花のフォルムが美しく、花色もカラフルなものが多いので、庭や空き地、ベランダを華やかに彩るのに一役買ってくれます。ぜひ夏咲き球根の栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。




















