スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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果樹
スーパーフード「ザクロ」を自宅で! 栄養豊富な赤い実を味わう育て方と美味しい食べ方
ザクロの基本情報 al1962/Shutterstock.com 植物名:ザクロ学名:Punica granatum英名:Pomegranate和名:ザクロ(石榴、柘榴)その他の名前:セキリュウ科名:ミソハギ科属名:ザクロ属原産地:ヒマラヤ、地中海沿岸形態:中高木 ザクロはミソハギ科ザクロ属の落葉性低木です。かつてはザクロ科ザクロ属に分類されていました。 ザクロの中でも食用のものは実ザクロ、観賞用のものは花ザクロと呼ばれています。原産地はイランなどの中近東で、世界各地の古代神話や伝承に登場するほど古くから親しまれている果実です。日本でも昔から観賞用として植えられており、樹皮や根皮、果皮は薬用として用いられてきました。 斑入りの花が楽しめる花ザクロ。Karina Lopatina/Shutterstock.com ザクロの木は成長すると樹高7mほどになります。国産のザクロの実は酸味が強いことが多く、食用として流通しているものは大半が海外で生産された甘みの強い種類です。 ザクロの花や葉、実の特徴 Valeriya Zankovych/Shutterstock.com 園芸分類:庭木・花木・果樹開花時期:5月下旬~6月草丈・樹高:2m以上耐寒性:強い耐暑性:強い花色:オレンジがかった赤、白、黄色など ザクロは5月の終わりごろから6月にかけて、ラッパのような形状の花を咲かせます。花弁は6枚前後で、熟した実と同じようなオレンジがかった赤色です。白や黄色などの花が咲く品種もあります。 葉は楕円形で光沢のある緑色。秋になると5~12cmくらいの丸い実をつけます。熟して実が裂けると食べ頃です。 ザクロの名前の由来や花言葉 DimaBerlin/Shutterstock.com ザクロは漢字で柘榴、石榴と書きます。古来中国から伝来しており、現地では安石瘤と呼ばれていました。日本に入ってきてから本来の名称が略され、石榴と書かれるようになったとされています。読み方も当初「ジャクリュウ」だったものが時代を経て変化しました。 英名はpomegranate。フランス語のPomme(リンゴ)とスペインのグラナダ地方を指すGrenadeが語源であると考えられています。 ザクロの花は「円熟した優雅さ」、果実は「結合」「愚かしさ」など、花と実にそれぞれ言葉がついています。共通の花言葉は「子孫の守護」「子だくさん」など。ザクロに関する仏教の逸話やギリシャ神話もあり、宗教的な教訓のシンボルとしても広く知られている植物です。 ザクロの代表的な種類 Danil Sergeev/Shutterstock.com ザクロは主に実の収穫を目的とする実ザクロ、観賞が目的の花ザクロに分かれています。それぞれを詳しく見ていきましょう。 実ザクロ Stratos Giannikos/Shutterstock.com 実ザクロは実を収穫し食べることが目的のザクロです。主な品種は以下があります。 大実日本甘ザクロ スイートハニー ワンダフル カリフォルニアザクロ シャインレッド 実の大きさはさまざまですが、どれも味がよく美味しく食べられるのが特徴です。ジュースや果実酒への加工に適している品種もあります。また近年は、種無しのザクロや、種が小さく加工がしやすい品種も流通しています。 花ザクロ 花ザクロの代表種、五彩榴。 花ザクロは花や実を観賞用として楽しむのが目的のザクロです。代表的な品種には五彩榴(ごさいりゅう)があります。五彩榴は赤や白、複色の3色が花に現れる八重の花を咲かせる華やかな品種。実はつけません。 ヒメザクロ ヒメザクロは一般的なザクロより小さな品種です。高さ50cm~70cmで果実も3cm~4cmとコンパクトで、植木鉢や盆栽などに植えて楽しめます。 ザクロの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5月下旬~6月植え付け・植え替え:12~翌年2月肥料:3月、7月、10月入手時期:12~翌年2月 ザクロの栽培環境 日当たり・置き場所 ザクロは日当たりのいい場所を好む植物です。地植え、鉢植えともに日のよく当たる場所を選びましょう。日陰で育てると花つきが悪くなってしまうので注意が必要です。 枝が過密になっている場合は剪定を行い、内部までしっかりと日が当たるように調整しましょう。 耐寒性・耐暑性 ザクロはもともと暖かい地域の植物ですが、基本的には耐寒性・耐暑性ともに強いのが特徴です。特別な冬越しや夏越しの対策は必要ありません。ただし、冬は霜よけに根元に覆いをかけるマルチングを行いましょう。 ザクロの育て方のポイント 用土 ザクロは根を深く伸ばす性質があるので、基本的には地植えがおすすめです。地植えの場合は水はけのいい場所を選びましょう。 鉢植えで育てる場合は市販の培養土が適しています。土を自分でブレンドする場合は、赤玉土小粒と腐葉土を7:3で配合しましょう。 水やり Umierov Izet/Shutterstock.com ザクロは、苗の植え付けから2週間ほどは、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。 根付いた後は、地植えの場合は特に水やりは必要ありません。鉢植えの場合は根付いた後も土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。 肥料 肥料は、地植えでは3月と10月頃に速効性の化成肥料を与えます。窒素分が多い肥料は与えないようにしましょう。鉢植えの場合は、3月と10月に加えて7月にも追肥をするようにします。 注意する病害虫 ザクロは丈夫な植物なので、基本的には病害虫の心配はありません。ただし、環境やタイミングによっては病害虫がついてしまうことがあります。 【病気】 ザクロはうどんこ病にかかることがあります。うどんこ病は、茎や葉がうどんこをまぶしたようにうっすら白くなる病気です。適用のある薬剤で対処します。 【害虫】 ザクロにつく害虫には、アブラムシやカイガラムシ、ゴマダラメイガなどがあります。 アブラムシは春から夏にかけて増える害虫です。手や粘着テープで取り除いたり、駆除剤を使ったりして対処しましょう。 カイガラムシは初夏から夏にかけて増えます。白くべたつきのある排泄物を見かけたらカイガラムシを疑いましょう。幼虫のうちは駆除剤が有効ですが、成虫になると薬剤がききづらくなるので、刷毛などを使って取り除きましょう。 ゴマダラメイガは梅雨から夏にかけて増える、栗によくつく害虫として知られています。幼虫が果実の内部に入り込んで食害を及ぼします。駆除剤で対処し、ゴマダラメイガがついた果実も放置せず処分しましょう。 ザクロの詳しい育て方 苗の選び方 ザクロは花だけでなく、自宅で実を収穫して食べる楽しみがある果樹です。植え付けてから5~6年ほどで実をつけはじめるので、それまでは花を楽しみつつ管理をします。 市場で出回っているのは1年生~3年生の苗です。早く収穫したい場合は3年生の苗を選びましょう。 植え付け・植え替え Singkham/Shutterstock.com ザクロの植え付けや植え替えの適期は12~翌年2月です。鉢植えの場合は根詰まりを防ぐため、1~2年に1回植え替えをしましょう。 植え付けや植え替えの際には、根を傷つけないよう注意が必要です。 日常の手入れ Victoria Atu/Shutterstock.com ザクロの木は主幹が細いため、若木は風で倒れてしまうことがあります。必要に応じて支柱を立てて補助しましょう。 芽がたくさんつくので、風通しや日当たりが悪くならないよう、大きくなる前に枝の先端を摘む「摘心(てきしん)」をします。さらに12~翌年2月の休眠期には、花芽がつかない強い徒長枝を中心に剪定をするとよいでしょう。 ザクロの花芽は枝の先端につきます。枝先だけを刈り込むような剪定をすると、花も実も楽しむことができなくなるので、注意が必要です。 収穫 davide bonaldo/Shutterstock.com 実ザクロの場合は、秋になると果実が熟します。果皮が不規則にひび割れてきたら食べ頃です。果実がつき始めた頃に実に袋掛けをすると、雨や虫の被害を減らすことができます。 増やし方 ザクロは挿し木や取り木、種まきなどで増やせます。 【挿し木】 もっとも一般的な増やし方です。太い枝を15cmほどカットし、水に一定時間つけた後に土に挿して日陰で管理します。1カ月ほどで根が生えたら植木鉢や地面に植え替えましょう。 【取り木】 指くらいの太さの枝に傷をつけて水苔を巻き、ビニール袋で覆って固定します。2~3カ月ほどして発根したら根がついた状態で枝を切り離して植え付けましょう。 【種まき】 実から種を採取して洗い、一晩水につけます。ポットや浅い鉢に土を入れて種をまき、発芽して15cmほどになったら植木鉢に移しましょう。 ザクロの選び方や保存方法 Dmitrenko Ekaterina/Shutterstock.com ここからは、ザクロの選び方や保存方法について詳しくご紹介します。 選び方 美味しいザクロの実を選ぶには、果皮がしっかりと鮮やかな紅色に色づいていることがポイントです。さらに持ったときに、ずっしりと重みがあるものを選びます。 傷やひび割れ、変色している部分があるものは避けるようにします。 保存方法 Mladen Zivkovic/Shutterstock.com ザクロは皮をむかなければ日持ちします。皮をむかずに密封して冷蔵保存すれば、1~2カ月と長く保存できます。ただし、熟すまでは常温保存にして、熟したら冷蔵保存するようにしましょう。 皮をむいてほぐしたザクロは、赤い実を密封容器に入れて冷蔵庫で保存すると2~3日程度であれば食べられます。冷凍できる密封容器に入れれば冷凍保存も可能です。冷凍なら2~3カ月は持ちますが、解凍すると水分が多く出るので、冷凍したザクロはザルなどで濾して種子を取り除いたあとミキサーにかけてジュースにしたり、ヨーグルトにトッピングして使うのがおすすめです。 ザクロに含まれる栄養 Halil ibrahim mescioglu/Shutterstock.com ザクロは美味しいだけでなく、栄養も豊富な果物です。ここではザクロに含まれる栄養について詳しくご紹介します。 ザクロに含まれる栄養 PK Designs/Shutterstock.com ザクロにはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、ビタミンCなどが豊富で、カリウムや亜鉛などのミネラルも多く含んでいます。カリウムには余分な塩分を排出する働きがあり、むくみの緩和や高血圧予防にも効果が期待できます。 アントシアニンやエラグ酸、タンニンなどのポリフェノールやクエン酸なども含んでいます。ポリフェノールは、老化や動脈硬化を引き起こすといわれている活性酸素を取り除く働きがあります。 エストロゲン騒動とは Fagreia/Shutterstock.com 1999年から2000年頃に広まった噂に、ザクロには女性ホルモンのエストロゲンが含まれるので更年期障害の予防や改善に効果があるというものがありました。しかし、国民生活センターの検査では、ザクロからエストロゲンは検出されませんでした。 種子にはクメステロールというイソフラボンに近い物質(植物エストロゲン)が微量に含まれているそうですが、効果のほどは不明です。 ザクロのおすすめの食べ方 VanoVasaio/Shutterstock.com ザクロを食べるには、どのように調理すればよいのでしょうか。 ここからは、ザクロの食べ方や皮のむき方について解説します。 おすすめの食べ方 Gulcin Ragiboglu/Shutterstock.com ザクロは果実の内部に詰まっている、赤い粒状の部分を主に食べます。粒の中に入っている種子にも栄養分が含まれているので、食べないともったいないとされています。赤い粒はヨーグルトのトッピングにするなど生で食べてもいいし、絞ってジュースやシャーベット、ソースなどにすることもできます。 皮には毒がある ザクロの果皮や根皮にはイソペレチエリンなどの有毒な成分が含まれているので、果実をまるかじりしてはいけません。果皮を大量に食べると、下痢やめまい、吐き気、嘔吐などを起こす恐れがあります。 果皮にはタンニンも豊富ですので、多量に食べると腹痛や嘔吐が起こる恐れもあります。 皮の剥き方 mnimage/Shutterstock.com ザクロの皮のむき方は、まず先端を2cmほどカットした後、皮の表面に切り込みを入れます。切り込みを入れた部分から手で開き、水を張ったボウルに入れてほぐして皮を取り除きます。薄皮を浮かせて水を切れば、食べられる赤い部分が残ります。 ザクロのおすすめレシピ ketteimages/Shutterstock.com ここからは、ザクロを食べる際のおすすめレシピをいくつかご紹介します。 【ザクロジュースの作り方】 New Africa/Shutterstock.com ザクロジュースの作り方は簡単。実をほぐして粒を取り出し、清潔な布で粒を包んで絞るか、ミキサーにかけてザルで濾したら完成です。 ジュースは炭酸水などで割っても美味しく楽しめます。 【ザクロのシロップの作り方】 Photo Contributor/Shutterstock.com まずザクロの粒を取り出します。清潔な密封できるビンを用意し、ザクロとザクロの半量~同量の砂糖を一緒に入れます。2週間ほど置いたらザクロシロップの完成です。 【ザクロジャムの作り方】 MariaKovaleva/Shutterstock.com ザクロの粒を二重にした袋に入れてもみ潰します。それをザルで濾して果汁を採ります。鍋に果汁と果汁の4割ほどの砂糖を加えて煮詰めます。程よい硬さになったら、煮沸消毒した保存瓶に詰めて保管します。 ザクロにまつわる物語 ザクロは豊穣や結婚、子孫繁栄、幸福などの象徴であり、世界各地の神話や伝説と縁が深い果物です。 仏教では三柑の実の一つとされ、幸運を呼ぶ果実だと考えられています。お釈迦様が子どもを食べる鬼子母神を改心させ、代わりにザクロを食べるように諭した物語が有名です。 ギリシャ神話では、冥界の神ハーデースに見初められたベルセポネーが、冥界でザクロの実を食べるエピソードがあります。冥界の食べ物を口にしてしまったベルセポネーは、1年のうち一定期間を冥界で過ごさなければならなくなりました。ベルセポネーの親である豊穣神デーメーテールは娘が不在になると嘆き悲しむため、作物が育たない不毛の季節「冬」が生まれました。 いろいろな食べ方でザクロを楽しもう Maria_Usp/Shutterstock.com ザクロは生のままでも、ジュースやジャムなどにアレンジすることもできます。 育てるのも管理もしやすいので、庭で育てて開花から果実が膨らんで熟すまで、その過程を観賞したり、収穫したり、身近に楽しみましょう。
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宿根草・多年草
【保存版】毎年花咲く宿根草完全ガイド|選び方・育て方・種類・おすすめ品種
宿根草(しゅっこんそう)とは 宿根草とは、一度植えると越年して、開花期に毎年花を咲かせてくれる多年草の一種。1年で枯れてしまうことなく「長生きする植物」です。ローメンテナンスで育てやすいものが多く、忙しい方や休日ガーデナーなど、手入れに時間をかけられない方にもおすすめ。春の芽吹きから、美しい葉や開花期の鮮やかな花、秋の紅葉や冬の落葉など、四季折々の表情を見せてくれるので、季節感を味わうことができるのも魅力です。何年も咲くので愛着も湧き、コストパフォーマンスも抜群です。 宿根草のひとつ、ギボウシの株。丈夫で育てやすく、半日陰に向くのでシェードガーデンの定番。Sarycheva Olesia/Shutterstock.com そんな宿根草には、次の2つのタイプがあります。 Type1花が終わった後、葉や茎などの地上部は枯れるが、根は生きていて冬を越し、翌年再び葉を茂らせて、花を咲かせるもの。 Type2花が終わった後も葉や茎が常緑のまま冬を越し、翌年再び花を咲かせるもの。 ※「宿根草」という言葉は、冬に地上部が枯れる多年草を指す場合もありますが、ここでは常緑の種類も含め、「宿根草=多年草」としてご紹介します。 宿根草と一年草の違い 宿根草の庭(左)と一年草の寄せ植え(右)。Lois GoBe、Tunatura/Shutterstock.com 毎年越年して花を咲かせる「宿根草」に対し、ワンシーズン限りで枯れてしまう植物を「一年草」と呼びます。発芽から開花、結実、枯死までのサイクルを1年で行うため、毎年植え替えが必要。一年草と同じように短命な植物で、2年目に開花し、結実して枯死する「二年草」もあります。 一年草は宿根草に比べ短命でハイメンテナンスな種類が多いですが、その一方で開花期が長く華やかな姿を楽しめたり、花後の管理が必要なかったりといったメリットもあります。それぞれのメリットを生かし、上手に組み合わせることがガーデニング上級者への近道です。 草花の主な形態 宿根草(多年草):一度植えると越年して生育し、毎年花を咲かせるもの。 一年草:春に発芽し、開花期に次々に花を咲かせるが、秋あるいは晩秋など、その年のうちに枯れてしまうもの。 二年草:春または秋に発芽して冬を越し、翌年の春〜初夏に花を咲かせるもの。開花が翌々春になるものも。 球根類も宿根草の一種! Elena Zajchikova/Shutterstock.com 球根植物も、一度植えると毎年花を咲かせてくれるので、宿根草の一つの大きなカテゴリーと考えることができます。 宿根草の主な魅力 Kuttelvaserova Stuchelova/Shutterstock.com 丈夫で長生き ローメンテナンスでOK 年々ボリュームUP! 株分けして増やせる 一年を通して季節を楽しめる 暑さ・寒さに強い種類も豊富 他の植物との組み合わせにもおすすめ 丈夫で長生き ローメンテナンスでOK Beekeepx/Shutterstock.com 宿根草の魅力は、なんといっても毎年開花してくれること。種類によって寿命は異なりますが、何十年も植えっぱなしでOKというものもあり、一度植えれば長年にわたって愛らしい花が楽しめます。根付きさえすれば数年は植え替えの必要がなく、年々大株にダイナミックに育ち、また少々花がら摘みや施肥をしなくても生育する丈夫さを持つものも多く、ローメンテナンスで管理できるので、樹木類と併せて庭の骨格作りに最適です。 年々ボリュームUP! blickwinkel2511/Shutterstock.com 宿根草は1年で枯れることがないため、年数を経るにしたがって株が成長し、より花数も多くボリュームある姿になります。植物が持つ本来のポテンシャルを発揮できるのは、植え場所に株が馴染んだ植え付け2年目以降というケースも少なくありません。手を入れなくてもより美しい姿になるのが嬉しい宿根草ですが、茂りすぎには注意が必要。植え付けの際は、株が成長したサイズを見越して適切にスペースを取っておくのが宿根草の庭づくりのポイントです。 株分けして増やせる 「株分け」とは、大きく成長した宿根草の株をいくつかに分けること。分けた株は、それぞれ植え付けることでまた成長を始めるため、1株から複数の株に増やすことができます。大きく成長した宿根草の株は、そのままにしておくと生育が衰えることもあるので、株分けしてリフレッシュさせるのがおすすめです。 一年を通して季節を楽しめる Flower_Garden/Shutterstock.com 宿根草は開花期以外にも魅力がいっぱい。越年して現れる愛らしい新芽、みずみずしい新緑の葉、花後に残るシードヘッド、秋に輝くグラスガーデンや紅葉、冬の枯れ姿まで、季節ごとに四季折々の姿が楽しめ、一年を通して見どころがあるガーデンに。カラーリーフの植物を選べば、花期以外も華やかな姿を長期間観賞することができます。ハーブ類にも宿根草が多くあり、美しい姿を観賞しながら暮らしに役立てるのもおすすめです。 雪や霜に覆われた冬の枯れ姿も楽しめるオーナメンタルグラス。Wiert nieuman/Shutterstock.com 暑さ・寒さに強い種類も豊富 Lois GoBe/Shutterstock.com 宿根草は一般に耐寒性が高いものが多く、寒冷地以外では特に防寒対策をしなくても冬越しができるものがほとんどです。その一方で暑さが苦手なイメージのある宿根草ですが、じつは種類を選べば近年の猛暑の中でも咲く花はたくさんあります。暑さに強い宿根草はローメンテナンスなサマーガーデンにもおすすめです。 他の植物との組み合わせにもおすすめ 一年中楽しめる宿根草を骨格にすれば、庭づくりのプランも立てやすくなります。宿根草の庭をベースに、春は球根を、夏は一年草をプラスしたり、ナチュラルな雰囲気を生かして花々が混ざり咲くメドウガーデンをつくったり。春に葉を伸ばし始める宿根草は、花後に枯れる球根の葉をカバーしてくれ、相性も◎です。バラと組み合わせたローズガーデンも人気。 Ewa-Saks/Shutterstock.com 日陰の庭にも! 環境別の選び方 ガーデニングを成功させる秘訣は、環境に合わせた植物を選ぶこと。宿根草には、日当たりの悪い庭や乾燥した庭など、条件の悪い庭環境に適応する種類もあります。それぞれの環境に向く宿根草を一部ご紹介します。 日向 R.Moore/Shutterstock.com 多くの植物が好む環境で、ほとんどが問題なく生育します。夏の直射日光や西日が強く当たる場合は、乾燥や高温に強い種類を選び、半日陰や日陰を好むものを避けるのがベター。 半日陰・日陰 Maria Evseyeva/Shutterstock.com ギボウシ/アスチルベ/ツワブキ/アジュガ/ヒューケラ/エゴポディウム/フウチソウ/シダ類/クリスマスローズ/ヘンリーヅタなど 日当たりの悪い庭は、シェードガーデンづくりに最適。春~秋まで長期間観賞できる黄金葉などカラーリーフを選べば、暗い場所も明るい印象にすることができます。木陰などの半日陰は暑さが苦手な植物にもおすすめ。 乾燥地 Kathryn Roach/Shutterstock.com ラベンダー/ラムズイヤー/エキナセア/アガパンサス/キャットミント/セダム/アガベ/ニューサイラン/グラス類など 乾燥した場所でも生育する宿根草は、ローメンテナンスな庭づくりの強い味方。やせた土や乾燥地でも育ち、ドライガーデンやグラベルガーデンの素材にもおすすめです。 宿根草の年間管理(秋/冬/春/夏) 目安となる管理の時期。 宿根草のサイクルは〈秋植え→冬越し→開花&手入れ→夏越し〉 宿根草栽培の大まかな一年の流れは次のとおり。秋に苗を植え付けて冬越しをし、春に芽吹き、開花期を迎え、伸びた茎葉を整理して夏越し。そしてまた秋に植え付けや植え替えをするというサイクルです。季節ごとの作業を確認しましょう。 <秋>植え付け・株分け・株間確保 Mariia Boiko/Shutterstock.com 秋は宿根草の植えどき。一年でも最も多く苗が出回ります。春にも植えることができますが、早めに植えて庭で越冬させることで、根がしっかりと張り、暑さにも耐える丈夫な株づくりができ、翌春の開花もボリュームUP! 植え付けの際は、成長を見越して株間をしっかり取って植えましょう。植え替え・株分けもこの季節が適期です。春から初夏に咲いた宿根草は傷んだ茎葉をカットして整理しておきましょう。 <冬>地上部の整理・施肥 Mariia Boiko/Shutterstock.com 晩秋から冬の間に枯れた茎葉を地際から切り戻し、株周りをすっきりとさせておきましょう。冬越しの前に、株の周りに完熟堆肥や油粕などの肥料を少量散布すると生育がよくなります。肥料を与えすぎると軟弱に育ちやすいので、適量を意識して。また、地上部がなくなると水やりを忘れがちになります。休眠中の株はさほど水を必要としませんが、特に鉢植えの場合は、冬も鉢土が乾ききらないよう控えめに水やりを続けましょう。翌年のための土づくりにも最適なシーズンです。 <春>花がら摘み・切り戻し Beekeepx/Shutterstock.com 新芽が動き出し、葉が展開し始めるとともに、次々に開花期を迎えます。春から初夏にかけては庭が一年で一番華やかな季節。美しい庭景色を楽しむとともに、花がら摘みもこまめに行います。種子を採る場合は、花をつけたままにしておきましょう。 5月末から6月初旬にかけて、1/3~半分ほど切り戻しを。切り戻しには、宿根草が大きくなりすぎるのを防いでコンパクトで丈夫に育ち、脇芽の成長を促してよりたくさんの花を楽しめるという効果があります。梅雨前に切り戻して茎葉を整理することで、風通しをよくして蒸れを防止し、夏越しもしやすくなります。 <夏>水やり時間注意・切り戻し・マルチング Andrew Fletcher/Shutterstock.com 水やりの際には気温が高い日中を避け、早朝か夕方に行うとよいでしょう。昼に水やりをするとすぐに水がお湯のようになり、株が弱ってしまいます。暑さに弱い種類は必要に応じて半日陰などに移動したり、遮光やマルチングをして管理しましょう。夏の終わりには、茂りすぎた茎葉を切り戻して株のリフレッシュを。 宿根草の育て方 1 苗を買う Dasha Petrenko/Shutterstock.com 宿根草は春や秋に出回る苗を買って、庭や鉢、コンテナなどに植えるのが一般的です。種まきから育てることもできますが、発芽させるのが難しく、苗が成長して花が咲くようになるまで時間もかかります。信頼できる園芸店で苗を購入するのがおすすめです。 2 植える 鉢やコンテナに植える場合 鉢植えのギボウシ。Wiert nieuman/Shutterstock.com 赤玉土(小粒)と腐葉土を7:3の割合にした用土に植えます。植え終わったら、株の周りに少量の油粕、完熟堆肥、土壌の酸性を中和するための苦土石灰を散布し、たっぷり水をやりましょう。 その後の水やりは、表土が乾いてから。可愛がっているつもりで頻繁に水をやりすぎると、宿根草は根腐れを起こして枯れてしまいます。 植える用土は市販の培養土を用いてもよいでしょう。ただし、あまり安価なものは避けましょう。 地植え(庭植え)する場合 庭植えしたギボウシ。vladdon/Shutterstock.com 植え付けの2〜3週間前に目的の場所をよく耕し、腐葉土、完熟堆肥、土壌の酸性を中和するための苦土石灰を混ぜ込んでおきます。2〜3週間後、そこに苗を定植します。株の周りに油粕を少量散布し、たっぷり水をやりましょう。 花壇など屋外の地面に地植えした場合は、基本的に根付いた後の水やりは必要ありません。雨水だけで十分です。 3 肥料や水やりの仕方 kram9/Shutterstock.com 肥料は年に1度、冬越しの前に株の周りに完熟堆肥や油粕を少量散布する程度で十分です。宿根草は多肥にすると株が軟弱になり、徒長して倒れやすくなったり、花が咲かなくなったりします。可愛がっているつもりの肥料のやりすぎはNGです。 水やりの仕方は前記の通り。鉢やコンテナで育てている場合は表土が完全に乾いてから、地植えの場合は雨水に頼るだけで十分です。 4 花がら摘みと剪定 花がら摘み vas_eka/Shutterstock.com 花が咲き終わったら、花がらを摘み取りましょう。放置しておくと種子をつけようとして、その分だけ株の体力を消耗してしまいます。ただし、こぼれ種で増やそうとする場合は花がら摘みはしません。花が完全に終わるまで放置せず、開花したら花茎を長めに切って、室内で切り花として観賞するのもよい方法です。 ・剪定 写真/3and garden 花が咲き終わった後、地上部分が枯れるものについては、そのままにしておくと景観を損ねますので、枯れた茎などを根際で切り取ります(写真、丸で囲った地際には新しい次シーズンの芽が出ていることもあります)。 【ポイント】 宿根草の中でも人気のクレマチスには、新枝咲き、旧枝咲き、新旧両枝咲きという3つのタイプがあります。新枝咲きは秋の終わりに枯れたつるを根際でバッサリ大胆に剪定します。一方、旧枝咲きは、その年伸びた枝の半分程度を剪定。新旧両枝咲きは剪定しません。 春夏秋冬楽しめる! おすすめの宿根草 Lois GoBe/Shutterstock.com 宿根草は各季節に見頃を迎えるものがあり、組み合わせれば一年を通じて楽しめます。 冬~早春に咲く宿根草 プリムラ・ブルガリス。Boiko Viktor/Shutterstock.com クリスマスローズ/プリムラ/プルモナリア/スミレ/ヒマラヤユキノシタ/原種シクラメンなど 春~初夏に咲く宿根草 クレマチス。valemaxxx/Shutterstock.com クレマチス/シャクヤク/サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’/リナリア/ゲラニウム/モナルダ/アキレア/アルケミラ・モリスなど 夏に咲く宿根草 Alex Manders/Shutterstock.com エキナセア/ルドベキア/コレオプシス/バーベナ・ボナリエンシス/ホリホック/アガパンサス/ペルシカリア/アーティチョークなど 秋に咲く宿根草 シュウメイギク。Alex Manders/Shutterstock.com シュウメイギク/サルビア/ユーパトリウム/アスター/ソリダゴ/オミナエシ/ホトトギス/グラス類など 春~秋まで観賞できるカラーリーフ カラーバリエーション豊富なヒューケラ。vladdon/Shutterstock.com ギボウシ(ホスタ)/ヒューケラ/アジュガ/ベロニカ/リシマキア/ユーフォルビア/アサギリソウ/ラミウム/ブルンネラ/フウチソウなど 実用的な宿根ハーブ コモンセージ。Julitt/Shutterstock.com セージ/ミント類/ローマンカモミール/モナルダ/ローズマリー/ラベンダー/アルケミラ・モリス/アーティチョークなど 入門におすすめ! 育てやすい人気の宿根草ベスト5 初めて宿根草を育てる方にもおすすめの、丈夫で植えっぱなしでも育てやすく、あまり大きくなりすぎない宿根草を5つセレクトしました。 クリスマスローズ キンポウゲ科/主な花色:白・ピンク・黄・緑・紫・茶・黒・複色/開花期:12~3月 彩りの少ない冬に、うつむき加減に咲く清楚な風情と、バラエティー豊富な美しい花姿が人気の花です。寒さに強く植えっぱなしで年々大株に育ち、こぼれ種でも増える丈夫な植物なので、ガーデニング初心者にもおすすめ。花のように見える部分はじつはガクなので、長く楽しむことができます。 ギボウシ(ホスタ) Jacquie Klose/Shutterstock.com キジカクシ科/主な花色:白・薄紫/開花期:6月下旬~8月 種類豊富な美しいカラーリーフが人気のギボウシ。適度に保水性があり、夏は明るい半日陰になる場所を好み、シェードガーデンにもぴったり。初夏には清楚な雰囲気の花も咲かせ、春の芽吹きから冬の落葉まで、長期間庭を彩ってくれます。その丈夫さと美しさから、アメリカでは「パーフェクト・プランツ」と呼ばれるほどで、庭植えにすればほとんど手がかかりません。 エリゲロン・カルビンスキアヌス Judith Andrews/Shutterstock.com キク科/主な花色:ピンク・白/開花期:5~11月 花径2cmほどのピンクから白の小花が春から晩秋まで長く咲き続く、育てやすい宿根草です。細い茎を伸ばして花が咲き、ふわふわと風に揺れる軽やかな姿は、小さな庭でも圧迫感がなく、グラウンドカバーや小道の縁取り、足元の彩りに人気があります。広がるようによく増えます。ゲンペイコギク(源平小菊)、ペラペラヨメナとも。 エキナセア Meunierd/Shutterstock.com キク科/主な花色:赤・ピンク・オレンジ・黄・白・緑/開花期:6月中旬~8月 咲き進むにつれて盛り上がるイガグリのような大きな花心と、細い花びらが特徴のエキナセア。丈夫で育てやすく、花の少なくなる夏に元気に咲いてくれるだけでなく、寒さにも強く容易に冬を越して年々株が大きくなります。品種も豊富で、種類によってはハーブとしても利用されます。 宿根アスター Kleo foto/Shutterstock.com キク科/主な花色:青・紫・ピンク・白/開花期:8~11月 アスター属(シオン属)や、シンフィオトリクム属に含まれるユウゼンギクやクジャクアスターなどの宿根草の総称。晩夏から秋にかけて小花がたくさん咲いてふんわりと茂り、花色や草丈のバリエーションも豊富なので、秋色ガーデンの演出におすすめです。他の植物とも合わせやすく、ボーダー花壇やメドウガーデン、ロックガーデン、和風の庭など、さまざまなガーデンシーンで活躍します。 あると便利な道具と資材 支柱・プランツサポート Paul Maguire/Shutterstock.com 背が高くなる宿根草は、倒伏防止に支柱やプランツサポートで支えてあげるとよいでしょう。プランツサポートは茂りすぎて広がるのも防止するため、乱れた印象をなくして美しい株姿をキープし、風通しもよくなります。 トレリス・オベリスク・フェンス Molly Shannon/Shutterstock.com 「トレリス」はフェンス状になった支柱のことで、「オベリスク」は円錐や角錐状の支柱のこと。トレリスやオベリスク、フェンスなどの構造物は、いずれもつる植物を絡めて立体的に演出できるため、クレマチスやトケイソウなどのつる性多年草を仕立てる際に便利です。 プランツタグ 花が咲き終わった後、地上部分が枯れてしまうタイプの宿根草は、何を植えたのか分からなくなってしまうことがあります。 地上部分が枯れたときに備えて、花の名前を記したプレート(プランツタグ)をつくり、庭や鉢・コンテナに立てておきましょう。小さな木片にカラフルな色を塗って自作すれば、可愛いガーデンアクセサリーにもなります。 宿根草のよくあるQ&A 20 Flower_Garden/Shutterstock.com Q 冬に地上部が消えた…枯れた? 冬に地上部が枯れても根は生きています。芽の位置に印を残し、踏み荒らしと過湿を避けて、春を待ちましょう。 Q 宿根草はいつ植える? 基本は秋(彼岸〜11月)と春(芽出し前)。秋は特に、冬の間に根を充実させられ、翌春にボリュームある姿が楽しめます。 Q 鉢植えでも育つ? 多くは可能。鉢植えの場合、株が成長すると根詰まりしやすいので、2~3年に1度を目安に植え替えるとよいでしょう。地上部が枯れている冬の間も水やりをお忘れなく。 Q 水やりの基本は? 地植えは根付くまでは水やりを。根付いたら基本的に自然の降雨まかせでOK。鉢植えは表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷりと。過湿に注意。 Q 肥料はどれくらい必要? 緩効性肥料を春の開花前と花後に少量が目安。多すぎると徒長と蒸れの原因に。 Q 株間はどのくらい? 最終株張りの直径で、隣同士の葉先が触れる程度。 Q 切り戻しのタイミングは? 梅雨前と真夏前。 Q 花が咲かない主な原因は? 光不足、過湿、肥料がチッ素過多、まだ株が若い。 Q 株分けの適期は? 秋(彼岸〜11月)か春(芽出し前)。花後すぐは避ける。 Q 植え替え頻度は? 目安は3〜5年。中心が空洞化してきたら株が老化してきたサイン。株分けを。 Q 梅雨〜夏の暑さ対策は? 切り戻しで風通し確保。蒸れないよう排水を見直し、悪ければ畝を高めにして対処。草丈の高い種類は支柱で倒伏防止。 Q 病害虫の備えは? 株間と風通しの確保が基本。ナメクジは夜間の捕殺、誘引駆除。薬剤はピンポイントで。 Q 猛暑に強い宿根草は? 耐暑性・耐雨性に優れたものを探すのがコツ。高温期は乾きすぎより蒸れに注意。 Q 寿命はどれくらい? 種類により数年〜10年以上。剪定・株分けで若返りを計れば、長く楽しめる。 Q どれくらいで見ごろになる? 2〜3年で株が充実。初年は「根づくり期」と割り切って花は期待しない。 Q 一年草と混植してもいい? OK。初年は株間が目立つので、一年草で隙間を埋めるのがGOOD。2年目以降、宿根草の株が大きくなってきたら一年草は減らす。 Q バラの下草に植えていい? バラと宿根草の最終株張りを把握した上で、適切な株間をとればOK。クレマチスは最低50cmは離す。 Q クリスマスローズの元気がないときはどうすればいい? A多くは根の問題。一度掘り上げて根の状態を確認し、必要に応じて植え替えなどの対策を。 Q 育てやすい種類は? 宿根草は基本的に丈夫で育てやすく、植えっぱなしOKの種類が多い。お住まいの地域の気候や植え場所の環境に合ったものを選べば丈夫に育つ。 Q 防寒対策は必要? 多くの場合、防寒対策は必要なし。地域の最低温度にあった耐寒性のある種類を選び、霜が降りる前に根付くよう晩秋までに植え付ける。寒冷地は、雪解け後に植え付けるのがおすすめ。
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花と緑
「都道府県の花」3択クイズ! 北海道の花は次のうちどれ?【Let’s Challenge! 植物クイズ】Vol.18
雄大な大自然が広がる北海道!「北海道の花」は次の3つのどれ? Tanya Jones/Shutterstock.com 日本最北端の都道府県、北海道。最大の都道府県で、広大で美しい自然に美食、豊かな文化から、旅行先としても高い人気があります。 そんな北海道を象徴する「木」はエゾマツ、「鳥」はタンチョウ。それでは、北海道の花は、次のA~Cのどれでしょう? A ライラック photolinc/Shutterstock.com B ラベンダー young_explorer/Shutterstock.com C ハマナス Ausra Barysiene/Shutterstock.com ヒント 美しい花は香りもよく、また有用な植物として古くから暮らしの中でさまざまに活用されてきました。海辺などの悪条件にも耐え、生命力が強く育てやすい花です。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ C ハマナス Ausra Barysiene/Shutterstock.com ハマナスの基本データ 学名:Rosa rugosa科名:バラ科属名:バラ属原産地:中国、朝鮮半島、日本などの東アジア和名:ハマナス(浜茄子)別名:ハマナシ(浜梨)英名:rugosa rose、beach rose、Japanese roseなど開花期:4~8月花色:ピンク、白形態:落葉性低木樹高:1~1.5m ハマナスは日本に自生するバラの仲間。日本海側では島根県以北、太平洋側では茨城県以北の水はけのよい海岸の砂地に分布し、北海道以外の地域でも見ることができます。北海道110年を記念して行われた一般公募で、野性的で力強く、育てやすいことや、花の色や葉の美しさなどを理由に、昭和53年に指定されました。 ハマナスの花は、濃いピンクの美しい一重花。稀に白花を咲かせるものもあります。花には豊かな香りがあり、一日花ですが房咲きで次々に花を咲かせます。花後には艶やかな赤いローズヒップが実り、観賞用としても長期間楽しめるのが魅力です。丈夫で耐寒性に優れていることからバラの品種改良にも多く利用され、ルゴサ系統のバラの基本種としても知られています。 Lapa Smile/Shutterstock.com ハマナスはバラの中でもローズヒップをつけやすく、実も大きなことが特徴。秋に赤く美しく色づくローズヒップはビタミンCが豊富です。実の中には綿と種子が詰まっているため、あまり可食部が多くありませんが、甘酸っぱい果実は生食できるほか、ジャムやローズヒップティー、果実酒などにも加工されています。 トゲが多いため扱いには注意が必要ですが、生育旺盛で、土壌環境や暑さ寒さなどの悪条件に耐えて育てやすく、花や実をエディブルフラワーとして活用できる魅力が多いバラです。 クイズ一覧はこちら!
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樹木
【庭木やシンボルツリーに】カツラの木とは? 香り・紅葉・育て方まで徹底解説!
カツラの基本情報 Konrad Weiss/Shutterstock.com 植物名:カツラ学名:Cercidiphyllum japonicum英名:Katsura tree和名:カツラ(桂)その他の名前:コウノキ、オオツカ、オカヅラなど科名:カツラ科属名:カツラ属原産地:日本(北海道~九州)形態:落葉性高木 カツラは、漢字で「桂」と書き、学名はCercidiphyllum japonicum (セルディシフィルム・ジャポニカム)、カツラ科カツラ属の落葉樹です。原産地は日本で、北海道から九州に分布しています。放任してもよく育ち、自然樹形が美しく街路樹や公園樹としてよく利用されています。自然樹高は20〜30mにも達する高木ですが、広めのスペースを確保するとともに毎年剪定をして樹高をコントロールすれば、庭木として楽しむことも可能。日本の暑さや寒さに耐え、生育スピードも遅めなので、栽培ビギナーにもおすすめです。 カツラの花や葉の特徴 knelson20/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花時期:5月頃草丈・樹高:20〜30m耐寒性:強い耐暑性:強い花色:赤(葯の色) カツラは雌雄異株で雄木と雌木があり、実は雌木のみにつきます。ハート形の葉は5cm前後で、秋に落葉が近づくとキャラメルのような独特の甘い香りを放つのが特徴。これは「マルトール」という成分によるものと考えられており、一説によると、この香りが名前の由来ともなったとされています。葉は晩秋になると紅葉し、やがて落葉します。開花期は5月頃ですが、雌花、雄花ともに花弁や萼はなく、ほとんど目立ちません。雌木には開花後に小さなバナナのような果実がつき、秋に熟して種子が現れます。 小さなバナナのような細長いカツラの実。Picmin/Shutterstock.com カツラの名前の由来や花言葉 knelson20/Shutterstock.com カツラという名前の由来ははっきりとは分かっていませんが、前述のとおり葉が香ることが由来という説が有力です。香りが出るという意味の「香出る(かづる)」が語源になっているといわれています。 カツラの花言葉は「不変」「不忠」など。またカツラは落ち葉にも花言葉があり、「憂鬱」「夢想家」などが付けられています。 カツラに似たハート形の葉を持つ樹木 カツラはハート形の可愛らしい葉が魅力。ここではカツラと同じようにハート形の葉を持つ樹木の中から代表的な種類をいくつかご紹介します。 マルバノキ Alex Manders/Shutterstock.com マルバノキは、丸みを帯びたハート形の葉をもつ落葉低木で、特に新葉ははっきりとしたハート形になります。開花期は晩秋で、暗い赤紫色のマンサクに似た花が咲くことからベニマンサクとも呼ばれます。秋には見事な紅葉も楽しめ、人気のある樹種です。 ハナズオウ アメリカハナズオウの葉。billysfam/Shutterstock.com ハナズオウは春に咲く花が美しい落葉低木。赤紫色の小花が葉が出る前に密集して咲き、花後にはマメ科らしくサヤができます。非常に丈夫で、枝が上へ伸びながら箒を逆さにしたような樹形になります。白花品種もあり、また近縁のアメリカハナズオウには‘フォレストパンシー’や‘シルバークラウド’といったカラーリーフを持つ園芸品種も多く、人気の高い庭木です。 シナノキ tamu1500/Shutterstock.com シナノキはアオイ科の落葉高木で、幹がかなり太く大きくなるため、庭木として植栽されることはあまりありませんが、木材やミツバチの蜜源植物として親しまれているほか、公園などの植栽に利用されることも。5~7月に咲く花にはよい香りがあります。ハート形の葉が愛らしく、ヨーロッパではのリンデンが街路樹としてよく植栽されます。 カツラはシンボルツリーにもおすすめ Sandra Alkado/Shutterstock.com カツラは真っ直ぐに幹を伸ばして細い枝つけるために自然樹形が美しく、放任してもよく育つことや、ハート形の葉が愛らしいことなどから、公共空間を彩る樹木としてよく使われるほか、シンボルツリーとしても人気があります。新緑の春、緑滴る夏、香りや紅葉を楽しめる秋など、季節の移ろいを強く感じることのできる樹木です。また、新芽が赤紫色の‘レッドフォックス’や枝が枝垂れるシダレカツラなどの品種もあります。 カツラの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5月頃植え付け・植え替え:12~3月(厳寒期を除く)肥料:1月頃(地植え)、3月頃(鉢植え)剪定:12~3月(厳寒期を除く)種まき:3月中旬頃 カツラの栽培環境 Backpacking/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】カツラは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。半日陰の場所でも生育しますが、あまりに暗い場所では成長が遅く、紅葉も美しく発色しなくなるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】大きく育つので、ある程度広めのスペースを確保しておきましょう。乾燥がやや苦手で、適度に水はけ・水もちのよい土壌づくりをすることが大切です。乾燥対策として、株元をバークチップなどで覆ってマルチングをしておくとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 カツラの耐寒温度はマイナス25℃程度で、日本の暑さ寒さに適応し、一年を通して戸外で管理できます。 カツラの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に直径、深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、朝か夕の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com カツラは年に1回を目安に肥料を与えると生育がよくなります。 【地植え】 1月頃に、寒肥として有機質肥料を木の周囲にまき、土になじませます。 【鉢植え】 3月頃に緩効性化成肥料をまき、土になじませます。生育期に、木に勢いがなく成長が止まっているようなら、速効性のある液体肥料を水やりがわりに与えるとよいでしょう。 病害虫対策 muroPhotographer/Shutterstock.com 【病気】 カツラが発症しやすい病気は、うどんこ病、黒星病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢などに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がるので注意。対処せずにそのままにしておくと光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 黒星病は、カビによる伝染性の病気です。雨が多い18〜20℃の環境を好むため5〜7月に発症しやすく、葉、枝、果実に被害が現れます。黒っぽくて丸い斑点が全体に広がっていくのが特徴です。日当たりや風通しが悪いと発病しやすくなるので、込み合っている枝などはすかすように剪定して発生を防ぎましょう。病気にかかった後に剪定した枝や落ち葉は、地中に残らないように処分することも大切です。また、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して防除します。 【害虫】 カツラに発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると枝葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほ ど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 カツラの詳しい育て方 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com カツラの植え付け適期は、休眠中の12月〜翌年3月頃です。ただし、寒さが特に厳しくなる1〜2月は避けたほうが無難です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗木の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 地植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、入手した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際に水があふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。しっかりと根づくまでは、倒伏を防ぐために支柱を立てて誘引しておきます。 成長とともに根詰まりしてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。 剪定 Aleksei Golovanov/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 カツラの剪定適期は12月〜翌年3月頃です。ただし、寒さが特に厳しくなる1〜2月は避けた方が無難です。 カツラは比較的樹形が自然に整うので、それほど剪定には手がかりません。地際から出てくるひこばえは付け根から切り取り、枯れ枝や木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく長く伸びている「徒長枝」などは分岐部まで遡って切り取りましょう。また、込みあいすぎている部分があれば、日当たり、風通しがよくなるように、透かし剪定をします。太い枝を切った場合は、癒合剤を切り口に塗って雑菌が入らないようにしておきましょう。 暑さ・寒さ対策 Anton Starikov/Shutterstock.com カツラは日本の暑さや寒さに耐えるので、それほど気を遣う必要はありません。しかし極端に高温・または低温になる時期には、株元にバークチップなどを敷き詰めてマルチングをしておくとよいでしょう。また、乾燥にやや弱いため、乾燥対策としてもマルチングは効果的です。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com カツラは種まきで増やします。 雌木は開花後に果実をつけ、9〜10月に熟すので、そのタイミングで果実を採取し、種子を取り出して流水でよく洗い流しておきましょう。さらに湿らせた砂と種子を混ぜて密閉袋に入れ、春まで冷暗所で保存しておきます。 カツラの種まきの適期は3月中旬頃です。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。晩秋に採取しておいたカツラの種を密閉袋から取り出してきれいに洗い流し、種を黒ポットに数粒ずつまきます。軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理。発芽した後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 カツラを育てる際の注意点 Daina Varpina/Shutterstock.com この章では、カツラを育てる前に、特性として知っておきたいポイントや栽培の注意点などについてご紹介します。 カツラを庭に植えてはいけないって本当? 「庭にカツラを植えてはいけない」という古い言い伝えを気にして、庭に植えるのを躊躇している方もいるかもしれません。しかし、それは根拠のない迷信です。カツラは樹高が大きくなりやすいことや、根を張る力が強いので家や塀などを持ち上げ壊してしまうケースがあったことなどからとされていますが、枝葉を伸ばすのに余裕のある適した場所を選んで植え込み、定期的に剪定をして樹高をコントロールするなど、適切な管理をすれば問題ありません。 カツラをなるべく小さく育てたい場合の方法は? 樹高が高くなりすぎて、大きく切り戻したい場合の強剪定の方法をご紹介します。剪定適期は12月〜翌年3月です。ただし、寒さが特に厳しくなる1〜2月は避けたほうが無難です。 地際から1.5mほどの高さを目安に、幹をノコギリで切り落とします。その下の幹から出ている枝は10〜15㎝ほどを残し、同様にノコギリで切り取ります。切り口には癒合剤を塗布して菌が内部に入るのを防いでおくとよいでしょう。翌春の生育期に入ると、残した幹や枝から強い枝がでてきます。1年間はそのまま残し、落葉期に入って剪定適期を迎えたら、幹から数本の枝が出ているうちの太くて勢いのある枝を1本残して幹に切り替えましょう。枝は込み合いすぎている箇所があれば透かし剪定をして風通しをよくします。 カツラの木が枯れる理由は? カツラは日本の気候に馴染みやすく、あまり枯れることはありませんが、樹勢に勢いがなく 枯れ葉が目立つようになった場合は、次の原因が考えられます。それは乾燥しやすい土壌で、水が十分に行き渡っていないケース。植え付けの際には腐葉土や堆肥をすきこんで肥沃な土壌づくりをしておきましょう。また晴天が続いて乾燥するようであれば、庭に植えた場合でも水やりをして補います。鉢栽培の場合も水切れしないように管理してください。乾燥しやすい場所ではバークチップやワラなどを敷き詰めるマルチングをして対策しておきましょう。 カツラを育ててみよう Konrad Weiss/Shutterstock.com カツラは日本の厳しい暑さや寒さに耐え、環境に馴染みやすいので育てやすい樹種の一つです。可愛いハート形の葉が茂って、夏は涼しい木陰を提供してくれるうえ、秋には葉から甘い香りが楽しめ、紅葉も見応えがあります。その家の顔となるシンボルツリーとして庭に植栽してはいかがでしょうか。
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ハーブ
【初心者向け】チャービルの育て方|料理映え&香り抜群の「美食家のハーブ」を家庭菜園で楽しもう!
チャービルの基本情報 olko1975/Shutterstock.com 植物名:チャービル学名:Anthriscus cerefolium英名:chervil、French parsley、Garden chervil和名:ウイキョウゼリ(茴香芹)その他の名前:セルフィーユ科名:セリ科属名:シャク属原産地:ヨーロッパ南東部〜西アジア形態:一年草 チャービルはセリ科シャク属のハーブで、主に茎葉を収穫します。学名はAnthriscus cerefolium。チャービル(chervil)は英名で、別名のセルフィーユはフランス名です。和名はウイキョウゼリで、漢字で「茴香芹」と書きます。原産地はヨーロッパ南東部〜西アジアで、冷涼な気候を好み、高温や乾燥が苦手。一年草でライフサイクルは短いものの、春まきと秋まきができ、種まきから2カ月ほどで収穫できます。 チャービルの花や葉の特徴 Dan Gabriel Atanasie/Shutterstock.com 園芸分類:ハーブ開花時期:6〜7月草丈・樹高:20〜60cm耐寒性:普通耐暑性:やや弱い花色:白 チャービルの開花期は6〜7月で、花色は白。一つひとつの花は小さいものの、花茎を伸ばした先端に集まって咲くので、レースのような愛らしい花姿を楽しめます。葉は羽状複葉で、小葉は深く切れ込みが入り、繊細な印象です。収穫を目的とするなら、花が咲くと茎葉がかたくなるので花芽がついたらいち早く摘み取るようにしましょう。それでも株が老化して茎葉がかたくなったら収穫をやめて花姿を楽しむのもおすすめ。レースフラワーのような花は楚々とした風情で、ナチュラルガーデンなどで活躍しそうです。草丈は20〜60cmほどですが、収穫は草丈20〜25cmほどの若くてやわらかいうちからスタートします。 マイルドで甘い香りの「美食家のパセリ」 Meilan Photography/Shutterstock.com チャービルはローマ時代の文献に記録が残されており、西洋では古くから親しまれてきたハーブの一つです。キリスト教では体を浄化すると伝わっており、復活祭の前にいただく料理に使用されてきた歴史もあります。 チャービルはセリ科のハーブの中でもマイルドでほんのり甘い香りが特徴で、肉料理や魚料理、卵料理などと相性がよく、繊細な葉姿は料理の彩りとして本領を発揮します。クセが強すぎないため、サラダにたっぷり入れるのもおすすめ。熱を加えると香りがしなくなるので、生のまま使いましょう。また、タラゴン、チャイブ、パセリなどと相性がよく、ほどよいブレンドでミックスハーブにし、みじん切りにして、オムレツや魚のソース、ドレッシングに加えるのも一案です。 チャービルの栄養価 Manfred Ruckszio/shutterstock.com チャービルの葉には、ビタミンB群、ビタミンC、鉄、マグネシウム、カロテンなどが含まれています。 チャービルの名前の由来や花言葉 Foxxy63/Shutterstock.com チャービルの名前はラテン語cerefoliumに由来するとされており、その語源にはいくつかの説があります。1つは、葉の質感にちなんで「ロウ質の葉」を意味するという説。もう1つは、ギリシャ語の chairephyllonに由来し、「chairein」(喜ぶ)と「phyllon」(葉)から「喜びの葉」と解釈する説です。 チャービルの花言葉は「正直」「誠実」などです。 チャービルとルートチャービルの違い New Africa/Shutterstock.com 日本ではあまり知られていませんが、フランスで普及している根菜類に、イモ状の根を利用する「ルートチャービル」があります。クルミとニンジンをミックスしたような風味が特徴で、スープなどに利用されます。しかし、ここでご紹介しているチャービルとは種類が異なり、ルートチャービルの葉は食用には適さないので、混同しないように注意しましょう。 チャービルの栽培12カ月カレンダー Traveller70/Shutterstock.com 開花時期:6〜7月種まき:3月中旬〜6月上旬(春まき)、9月中旬〜10月中旬(秋まき)植え付け:6月頃(春まき)、10月頃(秋まき)肥料: 7月頃(春まき)、11月頃(秋まき) チャービルは冷涼な気候を好み、発芽適温は15〜20℃、生育適温は10〜20℃です。年に2回、春まき(3月中旬〜6月上旬)と秋まき(9月中旬〜10月中旬頃)の二期作ができ、種まきから約2カ月後から収穫できます。春まきの場合、暑くて乾燥する環境では花がつきやすいので、半日陰の涼しい場所で管理するのがポイントです。 チャービルの栽培環境 Robert Buchel/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】風通しのよい場所を好みます。直射日光が強く当たる場所では葉が傷みやすいため、半日陰か明るい日陰での栽培に向きます。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】冷涼な気候を好み、高温や乾燥に弱いので、明るい半日陰の場所で管理します。また適した土壌酸度はpH6.0〜7.0です。必要であれば植え付けの2〜3週間以上前に苦土石灰を散布して土壌改良をしておくとよいでしょう。肥沃で水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好みます。 耐寒性・耐暑性 チャービルの生育適温は10〜20℃です。夏の暑さや強い直射日光で傷みやすいため、夏は風通しのよい半日陰か明るい日陰で管理するとよいでしょう。耐寒性はマイナス5℃程度ありますが、霜に当たると葉が傷むので注意しましょう。 チャービルの育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 種まきの2〜3週間以上前に、畝を作る場所に苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを均一にまいて、よく耕しましょう。 畝の幅を約90cm取って、高さ10cmほどの畝を作ります。畝の長さは作りたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。 【鉢植え】 野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 種まき Taras Garkusha/Shutterstock.com 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。ただし、チャービルの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。 チャービルの種まき適期は「春まき」が3月中旬〜6月上旬で、「秋まき」が9月中旬〜10月中旬頃。発芽適温は15〜20℃です。 種まきから栽培する場合、菜園などに種を直まきすると幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすくなります。セルトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種をまき、適した場所で管理すると、より確実です。 種まき用のセルトレイに市販の種まき用の培養土を入れて水で湿らせ、数粒ずつ重ならないようにまきます。好光性の性質のため覆土はごく薄くしましょう。霧吹きで水をかけるか、容器に水を張ってセルトレイの底から水を吸水させるなどし、発芽までは半日陰に置き、乾燥させないように水の管理をしてください。発芽したら日の当たる場所に移動し、苗が込み合っている部分などがあれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。間引いた苗はベビーリーフとして利用できます。本葉が4〜5枚ついたら、菜園などに定植しましょう。 植え付け チャービルの苗の植え付け適期は、種まきをした場合、春まきが6月頃、秋まきが10月頃です。 チャービルの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。苗を選ぶ際は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い跡があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。 【地植え】 1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約60cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。2列植えとし、列の間隔(条間)は約30cm取ります。1列ごとに20〜30cmの株間を取って穴を掘り、苗を植え付けていきます。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。 【鉢植え】 5〜6号鉢に1株、標準サイズのプランターに5〜6株を目安に植え付けます。 底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。苗の根鉢より一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢を崩して苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。 水やり Ivanko80/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになってしまいます。すると株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【地植え】 下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 Vitalii Stock/Shutterstock.com 【地植え】 苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に1㎡当たり30gを目安に緩効性化成肥料を株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をクワで軽く耕し、株元に土を寄せておきましょう。 【鉢植え】 苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に緩効性化成肥料をひとつまみ程度、株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をスコップで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。 注意する病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 チャービルに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、茎葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境で発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 【害虫】 チャービルに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 収穫 akimov konstantin/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 春まきした場合の収穫適期は5月上旬〜7月下旬、秋まきした場合は、11月上旬〜12月上旬頃です。 草丈が20〜25cmになったら、適宜収穫します。外葉から順にハサミで切り取っていきましょう。一度にたくさん収穫すると株が弱るので、バランスを見ながら行います。花がつき始めたら、茎葉がかたくなるので一気に刈り取って収穫してもよいでしょう。 日常のお手入れ marekuliasz/Shutterstock.com 【摘心】 チャービルの花が咲くと、茎葉がかたくなって食感も風味も悪くなるので、花芽やつぼみが見られたら早めに摘み取っておきます。 植え替え チャービルは一年草で、開花後は枯死するため植え替えの必要はありません。株が弱ってきたら、抜き取って処分しましょう。 夏越し 強い日差しにさらされると茎葉がかたくなってしまいます。菜園では寒冷紗などを設置して日除けをし、プランター菜園では風通しのよい半日陰に移動しましょう。 増やし方 kristof lauwers/Shutterstock.com チャービルは種まきをして増やします。チャービルの開花期が終わる頃に花を摘まずにそのままにしておき、実をつらせます。茶色く変色して完熟したら種子を採取し、適期に種まきします。すぐに種まきをしない場合は密閉袋に入れて冷暗所で保存しておきましょう。ただし、あまり長く置くと発芽率が下がるので注意。種まきの方法は、前述の「種まき」の項目を参照してください。 チャービルの育て方を知りフレッシュハーブのある生活を楽しもう Stillgravity/Shutterstock.com チャービルは「美食家のパセリ」とも呼ばれ、パセリと同様にさまざまな料理に活用できるハーブです。放任してもよく育ち、プランター栽培も容易でビギナーにもおすすめ。香り高いチャービルを、ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。
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花と緑
「含羞草」ってなんて読む? 正解できたらすごい難読植物名漢字クイズ【Let’s Challenge! 植物クイズ】Vol.16
人気の植物!「含羞草」ってどんな植物? Fumeezz/Shutterstock.com 実際に育てていても、漢字で表記されると案外分からない植物も多いもの。普段呼んでいるのとは違う名前があったり、意外な漢字表記があったり、植物の漢字も面白いものです。 そんな植物の漢字表記の中から、身近な植物に関するものをクイズで出題! 今回のお題は「含羞草」。あなたはこの漢字が表す植物が分かりますか? ヒント 触ると動く不思議な植物。かわいいピンクの花も魅力です。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ おじぎそう yushussain/Shutterstock.com オジギソウの基本データ 学名:Mimosa pudica科名:マメ科属名:オジギソウ属原産地:中央アメリカ~南アメリカ和名:オジギソウ別名:ネムリグサ英名:sensitive plant、touch-me-not plantなど開花期:7~10月花色:ピンク形態:宿根草(多年草)・一年草樹高:20〜50cm 葉に触れるとすっと閉じてお辞儀をするようにうなだれる、不思議な植物オジギソウ。葉に刺激を与えたり、夜になると葉を閉じるという動きのあるユニークな植物として人気がありますが、ポンポンのような球状のピンクの花も可愛らしいものです。高温多湿の環境を好み、暑さに強い一方で寒さには弱く、本来は多年草ですが日本では一年草として扱われます。オジギソウは病害虫の被害が少なく、強健で比較的育てやすいのでビギナーにもおすすめです。茎にはトゲがあるので、葉を触る際にはトゲが刺さらないようご注意を。また触りすぎるとストレスとなるそうなので、葉の動きが面白くてもむやみに何度も触らないほうがよいでしょう。 「オジギソウ」の由来とは? mech.and.icha/Shutterstock.com オジギソウという名前は、接触などの刺激によって葉を閉じ、うつむくように垂れ下がる姿が、まるでお辞儀をしているように見えることに由来しています。オジギソウの漢字「含羞草」もまたこの動作に由来し、葉を閉じる姿を恥ずかしがっている様子に見立てたもの。また、夜に葉を閉じることから、ネムリグサ(眠り草)という別名もあります。 クイズ一覧はこちら!
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一年草
見た目はスイカ!? オキナワスズメウリの栽培方法と注意点を解説
オキナワスズメウリの基本情報 tamu1500/Shutterstock.com 植物名:オキナワスズメウリ学名:Diplocyclos palmatus英名: lollypop climber、striped cucumber、palm leaf vine和名:オキナワスズメウリ(沖縄雀瓜)その他の名前:リュウキュウスズメウリ、リュウキュウオモチャウリ科名:ウリ科属名:オキナワスズメウリ属原産地:沖縄、台湾、中国、東南アジア、アフリカなど熱帯地域形態:宿根草(多年草)・一年草 オキナワスズメウリは赤い実が特徴的な、ウリ科オキナワスズメウリ属のつる性植物です。学名はDiplocyclos palmatus。漢字では「沖縄雀瓜」と書き、別名にリュウキュウスズメウリ、リュウキュウオモチャウリがあります。原産地は沖縄、台湾、中国、東南アジア、アフリカなど。暑さに強い一方で、寒さに弱い性質で、原産地では本来多年草ですが、日本の厳しい寒さに耐えられずに枯死してしまうため、沖縄を除いて一年草扱いされています。つるを伸ばす範囲は2m以上で、フェンスやオベリスク、支柱などつるを仕立てられる構造物が必要です。旺盛に生育するため、前もってスペースを確保しておきましょう。 オキナワスズメウリの花や葉、実の特徴 Mixviews123/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:7〜10月草丈・樹高:2〜数m耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:クリーム色 オキナワスズメウリの開花期は7〜10月で、花色は白〜クリーム色。花径は1㎝ほどの5弁花で、雌花と雄花がつきます。果実をつけるのは雌花のみです。花はあまり目立たず、観賞価値が高いのは果実のほうで、8〜10月に直径2cmほどの果実をつけます。楕円形のグリーンの果実には白くペイントしたようなストライプ模様が入って大変かわいらしく、熟すと赤くなるのが特徴です。果実が完熟したら種子を採取できるので、翌年の種まきに利用するとよいでしょう。深く切れ込みが入る葉も魅力です。地植えでも、鉢植えでも栽培できます。赤く熟した実は一見美味しそうですが、有毒なので口にしないよう注意しましょう。 グリーンカーテンやインテリアにぴったり Dan Gabriel Atanasie/Shutterstock.com オキナワスズメウリはつるを伸ばし、巻きひげで絡みながら旺盛に生育するので、夏の日除けとしてのグリーンカーテンにピッタリ。暑さに強く終日太陽光が照りつける場所でも元気に育つので、リビングや個室の窓前にネットを張って、つるを窓前全体に仕立てるとよいでしょう。また、かわいらしい果実は、トレイやボウルに並べてインテリアに飾っても素敵。リースやスワッグにアクセントとしてあしらうのもおすすめです。ドライにしても色が褪せにくく、長く楽しむことができます。 オキナワスズメウリの名前の由来や花言葉 henhen hendriana/Shutterstock.com オキナワスズメウリは漢字では「沖縄雀瓜」と書き、沖縄のスズメウリという意味。スズメウリという名前は、カラスウリよりも小さいサイズであることに由来するとされています。 オキナワスズメウリの花言葉は、「イタズラ好き」です。 オキナワスズメウリとスズメウリの違い スズメウリ。shiro_ring/Shutterstock.com オキナワスズメウリとよく似た名前の植物に、「スズメウリ」があります。スズメウリはウリ科スズメウリ属の一年草で、オキナワスズメウリ属のオキナワスズメウリとは種が異なります。本州〜九州の水辺の草むらなどに自生し、開花期は8〜9月で、5mmほどの白い五弁花が咲き、雄花と雌花があります。開花後につく丸い果実のサイズは1cm前後。果実の色はグリーンで、オキナワスズメウリのようなストライプ柄は入らず、熟すとやや白っぽくなる点が異なります。 オキナワスズメウリの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜10月植え付け:5~6月肥料:6月下旬〜10月種まき:5月中旬〜6月 オキナワスズメウリの栽培環境 Mixviews123/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を選びます。日当たりの悪い場所では、花や実つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。周囲よりも土を盛って水はけをよくしておくのも一案です。 耐寒性・耐暑性 オキナワスズメウリは耐暑性がある一方で耐寒性が弱く、沖縄以外では一年草として扱われます。 オキナワスズメウリの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり topseller/Shutterstock.com 株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の表土を狙って与えてください。真夏は気温が高い昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【地植え】 しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきます。6月下旬〜10月の生育期間は株の状態を見て勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性タイプの肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花や実つきが悪くなるので、与える際には注意してください。 注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 オキナワスズメウリに発生しやすい病気は、うどんこ病などです。 うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。茎葉やつぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。 【害虫】 オキナワスズメウリに発生しやすい害虫は、アオムシやアブラムシなどです。 アオムシは、モンシロチョウの幼虫です。葉裏などに卵を産み、孵化した幼虫は旺盛に葉を食害します。葉に穴があいているのを見つけたら、葉を裏返すなどして幼虫がついていないか確認し、見つけ次第捕殺します。大きくなるとギョッとするほどのサイズになり、葉脈のみを残して食べ尽くすほどの害を与えるので、早めの対処が大切です。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 オキナワスズメウリの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。 植え付け Vasyliuk/Shutterstock.com オキナワスズメウリの植え付けの適期は、購入苗が5〜6月、自身で種まきして育苗した苗は6月下旬〜7月中旬頃です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に苗よりもひと回り大きな穴を掘り、苗をポットから出したら根鉢をややくずして植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、十分に間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。 【鉢植え】 鉢の大きさは、10号鉢以上を準備しましょう。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。オキナワスズメウリの苗を鉢に仮置きして高さを決め、苗をポットから出して根鉢をやや崩して植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取ってください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 植え替え Sagya gore/Shutterstock.com オキナワスズメウリは本州では夏秋咲きの一年草扱いで、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。 日常の手入れ Opas Chotiphantawanon/Shutterstock.com 【誘引・整枝】 自由につるを伸ばして生育するため、伸ばしたい方向につるをフェンスや支柱などに誘引してビニタイなどでとめていきます。込み合いすぎて風通しが悪くなっている場所があれば、適宜整枝して風通しをよくしておきましょう。手入れの際に枯れた葉があれば、適宜取り除いて株まわりを清潔に保っておきます。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com オキナワスズメウリは、種まきをして増やします。ここでは種まきの仕方と、種子の採取と保存についてご紹介します。 【種まき】 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。 オキナワスズメウリの発芽適温は20〜30℃で、種まき適期は十分に気温が上がる5月中旬〜6月です。黒ポットに十分に湿らせた市販の草花用培養土を入れて3〜4粒ずつ種子を播き、種子が隠れる程度に覆土してください。半日陰の場所に置いて乾燥しないように水の管理をして発芽を待ちます。 発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、間引いて1〜2本残します。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きましょう。本葉が4〜5枚ついてしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。詳細は前述の「植え付け」の項目を参照してください。 【種子の取り方】 種子を採取したい場合は、赤い果実が熟して表面にしわやくぼみが現れたら採取します。果実の中から種子を取り出し、流水で十分に洗い流してから日陰で乾燥させください。紙袋などに入れて、湿気の少ない場所で種まきの適期まで保管しておきましょう。 オキナワスズメウリの栽培に関するQ&A tamu1500/Shutterstock.com オキナワスズメウリを育てている際に困ったことや疑問に思ったことなど、寄せられたご意見をもとに項目をピックアップして回答します。 オキナワスズメウリを食べるとどうなる? オキナワスズメウリの果実には、毒成分のククルビタシンが含まれているので、食べることはできません。食すと腹痛や嘔吐、下痢などを引き起こします。幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないように管理しましょう。 オキナワスズメウリの実を赤くする方法は? オキナワスズメウリの実は、グリーンから徐々に変色して鮮やかな赤になります。しかし、寒くなる前に果実がある程度大きくなっていないと、グリーンの実のままで熟さないことがあります。種まきや植え付けが遅くなると発生しやすくなるので、タイミングを逃さないようにしましょう。 オキナワスズメウリの発芽率は? オキナワスズメウリの発芽率は低いほうなので、種まきする場合はやや多めに播いて、間引きながら育成するとよいでしょう。発芽適温が20〜30℃で、比較的高いことが理由として考えられるので、十分に気温が上がった時期に種まきすることがポイントです。 冬越しはできる? オキナワスズメウリは冬の厳しい寒さを苦手とするため沖縄以外での冬越しは難しく、一年草として扱われています。果実が完熟したら種を採取して保存しておき、翌年の種まき適期に種まきして毎年楽しむとよいでしょう。 オキナワスズメウリを育ててみよう Wagner Campelo/Shutterstock.com オキナワスズメウリは、かわいらしいグリーン〜赤い実をつけるので、インテリアに飾ったりリースやスワッグにあしらったりしても素敵。つるを四方に伸ばすダイナミックな草姿も魅力的です。ぜひ庭やベランダに植栽してみてください。
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育て方
【バラ苗は秋が買い時】美しいニューフェイス勢揃い&プロが伝授! 秋バラの必須ケア大公開
2025年秋 新品種・人気のバラの苗予約受付中! 秋はバラの新品種発表の季節。秋から冬にかけて出回る“大苗”と呼ばれる苗は、プロの生産者が2年の歳月をかけて丹精込めて育てた充実した苗ばかりです。 いち早く秋に苗を入手して、冬を越せば来春には素晴らしいバラ咲く景色が期待できます。平田ナーセリーでは、イングリッシュローズをはじめとした海外有名ブランドのバラ苗や日本作出品種など、今年秋に本格的にデビューするバラ苗の予約販売がスタートしました。 鹿児島県を拠点にローズガーデンのデザインと植栽管理に活躍中のデービッドさん(David Barclay Sandarson)もおすすめする注目の10種類のバラ(12月下旬から1月頃発送)とバラの植え付けや夏バテ回復におすすめの有機資材をご紹介します。 エマ・ブリッジウォーター イングリッシュローズの‘エマ・ブリッジウォーター’は、デビッド・オースチン社と陶器ブランドのエマ・ブリッジウォーター社のコラボレーションで誕生した2024年発表の新品種です。花は中輪のロゼット咲きで、咲き進むにつれてピンクからコーラルピンク、ライラックへと色が変化する万華鏡のようなグラデーションが魅力です。香りはティーをベースに、ローズウォーターや草原の香りが混ざり、懐かしさを感じさせます。病気に強く、返り咲き性も高い品種です。 ペネロピ・ライヴリー 数々の賞を受賞したイギリスの小説家にちなんで名付けられた‘ペネロピ・ライヴリー’は、ベリーのような赤いつぼみから、上品なミッドピンクのシャローカップ咲きへと変化し、開花後も薄いピンクからラベンダー色へと移り変わる繊細な花色が魅力です。香りはラズベリーやレモンが混ざり合う、クラシックなバラの芳香が漂います。とても強健で健康に育つ品種で、コンパクトでまとまりのある樹形のため、鉢植えや花壇にも適しています。 トーマス・エイ・ベケット カンタベリー大聖教のために名付けられたイングリッシュローズの‘トーマス・エイ・ベケット’は、鮮やかな明るいレッドからカーマインレッドへと変化する花色が特徴です。カップ咲きからロゼット咲きになる中輪の花が房になって咲き、庭を華やかに彩ります。香りは、レモンやオレンジピールを感じさせる爽やかなティー系で、強く香ります。強健で耐病性に優れ、特に黒星病に強い特徴も見逃せません。シュラブとしてもつるバラとしても育てることができ、初心者にも扱いやすい品種です。 サイラス・マーナー ソフトなミッド・ピンクの花は、花弁の裏側が先端になるほど薄めになる、落ち着いた飾らない雰囲気が魅力のバラ。赤みを帯びた花枝に中程度のカップ咲きの花がつきます。ボタンアイの周りには波立つような花弁が並び、艶やかな濃いグリーンの葉が茂ります。贅沢なオールドローズの香りの中に、フルーティなレモン、まだ青いバナナ、アンズなどの香りがアクセントとして漂います。フレッシュなピンク色を生かすように暗めの場所に配置したり、グレー系トーンの葉の植物と花壇で合わせるのがおすすめです。ジョージ・エリオットの古典小説に出てくる、控えめで隠遁的でありながら心優しいヒーローにちなんで名付けられました。 オリビア・ローズ・オースチン イングリッシュローズの‘オリビア・ローズ・オースチン’は、デビッド・オースチン・シニアの孫娘である「オリビア」にちなんで名付けられた品種です。上品なソフトピンクのロゼット咲きで、中心が濃く、外側に向かって淡くなるグラデーションが美しいです。軽やかでほどよいフルーティーな香りが漂います。とても強健で、トップクラスの耐病性を誇ります。初心者でも無農薬で育てやすく、鉢植えや庭植えなどさまざまな場所でその美しさを楽しめます。四季咲き性も非常に高く、長く花を咲かせます。 ジ・エンシェント・マリナー イングリッシュローズの‘ジ・エンシェント・マリナー’は、イギリスの詩人コールリッジの作品にちなんで名付けられました。大輪で花弁数の多いカップ咲きが特徴で、中心の輝くような深いピンクから外側に向かって淡くなるグラデーションが美しい品種です。咲き進むと、中心に黄金色の雄しべの束が姿を現し、華やかなアクセントを加えます。香りは温かみのあるミルラ香を強く放ちます。病気に強く成長が早いため、大きめのシュラブやつるバラとしてアーチやフェンス仕立てにも適しています。返り咲き性が強く、春から秋まで繰り返し花を咲かせます。 クイーン・オブ・スウェーデン イギリスとスウェーデンの友好条約が結ばれて以来、350年を記念して生まれたバラ‘クイーン・オブ・スウェーデン’は、アプリコットピンクのつぼみから、咲き進むにつれて淡いアプリコットやサーモンピンクへと変化するカップ咲きの花が特徴です。繊細で上品な香りを放ち、その姿は庭を優雅に彩ります。樹形はコンパクトで直立性のため、鉢植えや狭いスペースでも育てやすく、また、耐病性に優れています。花もちもよいため、初心者にもおすすめの品種です。四季咲きの性質もよく、春から秋まで繰り返し花を咲かせます。 ハーロウ・カー ピンクの可愛らしいカップ咲きの花で、咲き進むとロゼット咲きになります。ダマスクローズの豊かな香りを放ち、庭を甘く華やかな香りで満たします。とても強健で耐病性にも優れ、初心者にも育てやすい品種です。コンパクトな樹形に育つため、鉢植えや狭い場所にも適しています。四季咲き性が非常によく、春から秋まで繰り返し花を咲かせます。 セプタード・アイル 透き通るようなピンク色のカップ咲きで、中心のゴールドの雄しべが際立つ、上品な花姿が特徴です。ミルラ香をベースに、甘くスパイシーな香りが混ざり合う強香を放ちます。コンパクトで直立性のシュラブに育つので、鉢植えや狭いスペースでも育てやすいです。非常に強健で耐病性にも優れており、四季咲き性もよく、初心者にもおすすめの品種です。 デスデモーナ イングリッシュローズの‘デスデモーナ’は、シェイクスピアの戯曲『オセロ』のヒロインにちなんで名付けられました。ピンクのつぼみから、開くと内側はピンクがかった白、外側は純白のロゼット咲きになります。ミルラ香を基調に、アーモンドにキュウリとレモンピールのほのかな香りが混じります。強健で耐病性に優れ、鉢植えにも適したコンパクトな樹形です。四季咲き性もよく、春から秋まで繰り返し花を咲かせ、初心者にも育てやすい品種です。 今から準備を! バラ栽培をラクにする植え込み術公開 左/‘オリビア・ローズ・オースチン’ 右/‘エマ・ブリッジウォーター’ バラはパンジーなどの一年草と違い、長く栽培する人に長年寄り添って咲いてくれる植物です。寿命が長い分お手入れも1年を通して必要になりますが、手をかけた分、美しく咲き誇るバラを見た感動は格別なものです。元気なバラを長く育てるコツは、できるだけ有機資材を使い、より自然に近い状態で栽培することです。有機資材を使って育てると化学肥料を使った栽培に比べて4つの利点があります。①土壌が傷みにくく、長くバラをよい状態に保てる ②有機素材を使用することで花・葉の色・根の張りがよくなる ③病害虫に負けない健康な株が育つ ④何よりも、天然由来の有機素材は環境に優しく、人・動物などの自然にも優しい プロが愛用する平田ナーセリーの資材でバラを健康に育てよう 鹿児島県を拠点にローズガーデンのデザインと植栽管理に活躍中のデービッド・バークレイ・サンダーソンさん(David Barclay Sandarson)も平田ナーセリーの有機資材を愛用する一人。 David Austin推薦の有名ガーデナー、デービッドさんも平田ナーセリーオリジナルの資材を数々愛用しています。これからの季節の秋バラの手入れに、初心者の方でも使いやすいデービッドさんもおすすめの有機資材をご紹介します。 GOOD SOIL バラの土 植物が生育するうえで欠かせないベースとなる土壌。近年さまざまな植物に合わせた土が多種販売されていますが、バラの専用土も各種あります。ここでご紹介する平田ナーセリーの「GOOD SOIL バラの土」は、近年の猛暑続きの夏にバラが快適に夏越しできるようにと考え、独自に開発しました。 バラは本来冷涼な気候を好む植物です、毎年のように記録を更新するような日本の猛暑はバラにとって非常に過酷な気候です。そんな夏でもバラが十分に呼吸と光合成ができ、新陳代謝が活発に行えるようにすれば、元気に夏越ししてくれるはず。通気性・排水性・保水性など、試行錯誤を繰り返して誕生した、バラが快適に夏越しできるようにと独自に開発した土です。 土のお守り 天然の白い粘土、モンモリロナイト(珪酸塩白土)をパウダー状にして土にブレンドしやすくした土壌改良材です。夏バテで体力を失った根を刺激し、細根を早くに発生させるため、株の回復が早まる効果があります。また、土中にある雑菌などの不純物を吸着して土の中を掃除するなど、健全な土の状態にリセットする効果もあります。 稲ワラ馬フン完熟堆肥 平田ナーセリーがこだわりの製法で作る「稲ワラ馬フン完熟堆肥」は、使い始めてすぐにベストな働きを発揮できるようにと、3〜6カ月かけて完全に発酵が進んだ状態にしているので、いつ使用しても根の生育を妨げる心配がありません。 有機100%液肥プラス 「有機100%液肥」は、トウモロコシを納豆菌など多くの善玉菌で発酵させた液肥です。葉の表面に付着させることで、納豆菌がうどんこ病の原因菌を蔓延させない効果があります。さらに、液肥を葉が吸収することによって葉緑素が活性して光合成の能力が高まり、バテていた株が元気を取り戻します。 ここまでに紹介したバラの栽培におすすめの有機資材をセットにした「オーガニックバラ栽培植え込みセット」を、ぜひご利用ください。 弱ってしまったバラを超回復‼︎ この秋やっておきたい「土壌改良テクニック」 皆さんのお庭や鉢植えのバラの状態はいかがでしょうか? 新しいバラをお迎えして、いろんな品種を楽しむこともバラの楽しみの一つですが、何年もかけて愛着のある株を維持して、美しく咲かせることもまたバラの楽しみの一つです。 秋は今年2度目のバラの最盛期。葉っぱも青々と茂っていて、後は秋の開花を待つばかり……という理想的な状態ならバラ栽培の達人です。 春とは違った美しい花姿が楽しめる秋咲くバラたち。 しかし今年の連日の猛暑、大雨などの異常気象によって、屋外に出て手入れするのも億劫で、次第に元気がなくなっていくバラを眺めているばかりといった方もいらっしゃるのではないでしょうか? 9月下旬から10月にかけては、さすがに日中の気温も落ち着いて外での作業もしやすくなる時期です。さあ、今すぐお持ちのバラをチェックしましょう! あなたのバラは今どんな状態ですか? 葉が縮れたり、黒点病が蔓延していたり、ほとんどの葉が落ちてしまったなんていう株もあるかもしれません。 それらは「バラの夏バテ症状」です。そんな夏バテしたバラをそのままにしておくと、来春の花にまで悪影響が及んでしまうことも。今すぐ手当てを行えば春の花が、うまくいけば、秋バラも元気に咲くかもしれません。では、どのような手当てをすればよいのでしょうか? まずは鉢植えも庭植えも、バラの株元の土の状態を確認しましょう。 日頃の水やりや雨によって、何もしなければ表土は少しずつ溶けて固まってしまいます。ぎっしり土が詰まってしまうと根に空気が届かなくなり、水をやっているのにすぐに水切れしてしまいます。水をやったとき、以前はすーっと水が吸収されていたのに、今は水たまりができて、じわじわとしか土に吸収されなくなっている。そんな症状はないでしょうか? このように表土がカチカチに固まってしまうとバラの根に新鮮な空気が届かなくなり、酸欠状態になってしまいます。そうなるとバラの根は水を吸い上げる力が弱くなってしまい、思うように枝葉を伸ばすことができなくなってしまいます。 また、上根がびっしりと生えて土の表面にむき出しになっていませんか? 上根はバラにとって肥料や水分を一番吸収する大事な部分です。そこに真夏の直射日光が長時間当たると、どうなるでしょう? 真夏の地表面の温度は50℃近くまで上がることもあります。さすがのバラの根もこの温度には参ってしまいます。根が人間で言うところの熱中症になってしまい、上根が傷んだり、枯れてしまいます。大事な上根が傷んだバラは、水も肥料も吸収できなくなって、やはり弱ってしまいます。 要チェック! 水やりしていても吸収できているとは限らない! もう一つ、これまでのお手入れを振り返って思い出していただきたいのが、大切なバラを気遣って頻繁に水や肥料を与えていなかったでしょうか。そうした場合、本来は水を探し求めて伸びる根も伸びていないのです。 頻繁に水や肥料を与えられたバラの株は、地中奥深くまで根を伸ばさずとも水が与えられる状況なので、地上部分の枝葉だけはしっかりと成長することができます。そうやって甘やかされて育ったバラは、猛暑で地上部が緊急事態に陥っていても、根の量が少ないため、葉への水分補給が間に合わず、葉を落としてしまうというのも夏バテの原因になります。 そのような状態になった場合、改めて肥料や水を与えても回復するどころか、ますます元気がなくなってしまうことさえあります。ここで重要なことは、「十分な水やり=バラに足りている」ではないということです。夏から初秋のバラでよくあるのは、葉がしおれていて水切れしているように見えるのに、土は濡れていているという状態です。これはまさに、水不足ではなく「空気不足」と「根の減少」の典型例です。 水はあっても、空気不足でバラに水を吸い上げる力がなくなってしまっていたり、根の量が足りないために、バラの体内で脱水症状が起こり、本来芽吹くはずの新芽が出なかったり、春には青々と茂っていた葉が落ちてしまうのです。 バラの脱水症状を回復させるには土壌改良が必須 葉がだらりと垂れて、脱水症状を起こしたバラ。 この空気不足の解消と根の量を回復させる方法は、カチカチの表土をシャベルやフォークでほぐすこと。水が浸透すると同時に空気が根に届くように改善するのが、夏バテ株の回復方法の一つです。これは鉢植えでも庭植えでも同様に必要です。庭植えのバラは地中深くに根が張っているので「表土をほぐしただけではダメなのでは」と思われるかもしれませんが、水や栄養を吸い上げるのは地表近くに生えている根が一番重要ですから、空気不足を解消するためにはまず「表土をほぐす」ことが大切です。 バラの根が張っている範囲の表土をほぐせば、空気不足が解消されますが、一度ほぐしただけでは、また秋雨や水やりで再びカチカチになってしまいます。そこで、すぐに土が固まってしまうのを防ぐために活躍してくれるのが、堆肥などの土壌改良材。農家では、収穫が終わった段階で必ず堆肥をすき込んで土を耕します。それは、作物が栄養を使い切って固くなった「やせた土」を「ふかふかのよい土」に戻すため。バラも同様に、堆肥などの土壌改良剤をすき込んで土をふかふかにすることが夏バテ回復の近道です。 この作業を行うことで嬉しい気づきもあります。バラに致命傷を与える2大害虫のテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)とネキリムシ(コガネムシの幼虫)を発見できるチャンスでもあるのです。夏のうちにこうした被害に気付くことができれば、手遅れになる前に駆除することもできます。 秋バラに即効性がうれしいバラの回復レシピ 「ふかふかのよい土」とは、「土の団粒構造を維持」することです。簡単にいうと、大・中・小の土の粒の間に隙間が空いていて、根が水分と酸素を無理なく取り込めて根が育つ環境をキープしている状態のこと。土の団粒構造を保つためには有機資材が一番です。ここからは、夏バテしたバラの土壌改良におすすめの有機資材をご紹介します。 SOIL FOOD SOIL FOOD(ソイル フード)は、花壇や畑、プランターなどの、劣化して固くなった土を改善するために生まれた土壌改良材です。有機物や腐植酸が多く含まれ、植物にとって欠かせないアミノ酸や微量要素が豊富なので、植物の成長を健全化するのに役立ちます。また、肥料内に含まれる多くの有用微生物たちが土の団粒構造化を促進し、ふかふかの土に蘇るので、特にバラの夏バテ症状を回復させるための土壌改良におすすめです。このSOIL FOODは、公共浄化センターや食品メーカーから発生する有用資源残さを利用した製品で、自然環境に優しい循環型の有機質肥料です(この肥料は、国の安全基準以上の試験を行い、安全性の確認を行っています)。 <夢油肥> バラ苗の植え付け時に、夢油肥を愛用しているデービッドさん。 上記の「稲わら馬ふん堆肥」をベースに、バラに活力を与える油粕などを加え、善玉菌で発酵させた有機100%の完全オーガーニック肥料です。植物の成長に必要な多くの栄養素と、アミノ酸が濃縮されています。土の団粒構造の維持に加え、体力を落としているバラの株に負担をかけることなく、素早く栄養素を送り届けることができ、新しい根の発生を促してくれます。 これらの「ふかふかのよい土に導く4つの資材」は、土づくりの研究を40年以上続けてきた平田ナーセリーオリジナルの資材から選ばれた夏バテ解消に最適のレシピです。土の状態を短時間で改善することに加え、いち早く新しい根を発生させることによって、通常の回復よりもより早くバラの夏バテを解消してくれます。 バラの猛暑対策&夏バテ解消の手順についてYouTube動画でご紹介しています。 バラの株張り(枝の先端がある位置)と同範囲の表土に、4種の資材を混ぜてばら撒き、表土5~10cm程度を掘り起こしながら資材をすき込みます。次に、株元付近にウッドチップを敷いてマルチングをし、仕上げに2種の液肥を希釈した水を葉にかかるようにあたえるだけの短時間で、夏バテしたバラの回復をスタートすることができます。表土を掘り起こしているとき、根が多少切れても全体量のたった5%程度ですから心配は無用です。 秋のバラもこれさえあれば大丈夫!【バラの土壌改良セット】 一石二鳥!有機の液肥、ニームケーキでオーガニックにバラの回復&病害虫予防‼︎ さらに、夏バテ回復とともに秋以降の病気の予防にも効果的な一石二鳥のお手入れテクニックを伝授。それが「葉面散布(ようめんさんぷ)」。「葉面散布」とは、水に規定量の液肥を溶かして霧吹きなどで葉の表面にまんべんなくかけることです。病気予防と栄養補給を同時に行うことができるおすすめの液肥は、うどん粉病の防除効果もある「有機100%液肥プラス」と黒点病予防にもなる「菌の黒汁」の2種。バラに大敵の病気を予防しながら、土をふかふかにする効果も期待できます。 <菌の黒汁> 「菌の黒汁」は、水と牛フン、光合成細菌を原料につくられた土壌改良材です。“有用微生物”が主成分で、葉の表面にかけることで黒点病の病原菌の付着を阻止。光合成細菌は光を嫌がる性質があるため土中に深く染み込んで、植物の成長に必要なチッ素を土の中に固定したり、アミノ酸やビタミンなどの豊富な栄養を生み出す働きもします。 この「有機100%液肥プラス」と「菌の黒汁」の2つの液肥は、オーガニックなので取り扱いも簡単。液体を規定量混ぜて、1〜2週間に1度、水やりをするようにジョウロや霧吹きで葉にまんべんなくかけるだけ。液体に含まれている菌は、カルキ(塩素)でも減少しないので、家庭の水道水や雨水が使えます。葉面散布で今茂っている葉を活性させながら、滴り落ちた液肥は、土中深くに浸透し、よい土の維持にも役立ちます。 <GOOD SOIL ニームケーキ> ニームの木(インドセンダン)を原料にした堆肥、ニームケーキを1㎡あたり100g程度を1~2週間に1回混ぜ込むことで有機成分による良質な窒素分の補給、健全な植物の成長の活性化・ニームに含まれているアザディラクチン等の成分によりコガネムシの幼虫やセンチュウの被害の軽減が期待できます。 秋も病気予防を!有機100%液肥と菌の黒汁、ニームケーキのお得なセット【オーガニック病害虫予防セット】 夏バテ回復とともに秋以降の病気の予防にも効果的な一石二鳥のお手入れにおすすめの、うどん粉病の防除効果もある「有機100%液肥プラス」と黒点病予防にもなる「菌の黒汁」、害虫予防の効果も期待できる「ニームケーキ」3種をセットにした「オーガニック病害虫予防セット」もおすすめ。葉面散布とのお手入れで、バラに大敵の病害虫を予防しながら土をふかふかにしましょう。 YouTubeで話題の超便利グッズ、スイス製【アクアミックス】 アクアミックスの使い方の動画はこちら。 液肥の効果は分かっているけれど、薄めたり、ジョウロを持って蛇口の間を何往復もしたりするのは大変です。特に夏場は屋外で長時間水やりをしていると植物よりも自分のほうが参ってしまいそう……。仕方なく、せめて水切れしないようにとホースで水やりを済ませている方も多いのではないでしょうか? 今 、YouTubeでも話題のスイス製の液肥混入器【アクアミックス】があればその悩みも即解決! 容器に液肥の原液を入れ、シャワーヘッド部のダイヤルを薄めたい倍率に合わせてホースにつなぐだけ。アクアミックスを通った水に液肥が混入されます。 さらに水やり軽減&ストレス軽減に役立つアイテム【ウッドチップ】 表土が露出したままだと雨や水に打たれて固くなり、栽培環境が悪くなったり、根が熱中症になることをご紹介しましたが、表土から受けるダメージを軽減させてくれる便利アイテムがあります。それがウッドチップ。真夏に日差しが直接当たる表土の温度は50℃以上になりますが、ウッドチップに隠れた土の温度は、30℃以下まで下がるという実験結果があり、バラの根にとってこの温度差は、天国と地獄のようなもの。バラの株元にウッドチップを5〜10cm厚で敷き詰めることで、表土が固くなることを防ぐだけでなく、日差しによる表面温度の上昇までも防いでくれるのです。 さらには、雑草発生防止にも抜群の効果があり、生えてしまった雑草もスッと簡単に抜けます。真夏でも、常に土中がひんやりと適度な湿度を保つ天然素材のウッドチップは、間伐材を利用した環境に配慮した商品です。 つぼみが見えたら秋バラ開花まで嬉しいカウントダウン! 株元の表土には4種の土壌改良剤をすき込み、水やりのタイミングに葉面散布を施せば、効率的に夏バテからバラが回復できます。毎年、暑さを増す日本の夏では、バラの夏バテ対策は必須。この回復テクニックをマスターすれば、バラのダメージに都度心を痛めることもなくなり、バラ栽培のストレスから開放されます。 秋バラの開花も楽しみながら、来春の花のための準備もできるので、春以降、特に何もしてこなかった! というバラや、夏からの不調続きで手の施しようがなかったというバラに、ぜひ取り入れてみてください。
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花と緑
身近な季節の花3択クイズ! ヒガンバナは次のうちどれ?【Let’s Challenge! 植物クイズ】Vol.15
身近な花!「ヒガンバナ」は次の3つのどれ? Fumeezz/Shutterstock.com 晩夏から秋に咲く花としてなじみ深いヒガンバナ。どこか儚く美しい花は、群れ咲く姿も見事で印象的です。赤い花を咲かせるものが有名ですが、白花や黄花を咲かせる仲間もあります。 さて、そんな魅力的なヒガンバナには、よく似た花がいくつかあります。今回は、正しいヒガンバナの写真を選ぶ3択クイズ! ヒガンバナは、次のA~Cのどれでしょう? A HoyaEuny/Shutterstock.com B traction/Shutterstock.com C Alison Bellringer/Shutterstock.com ヒント いずれもヒガンバナ科の植物。花色や開花時の葉の有無が見分けポイント。 正解は… ↓ ↓ ↓ ↓ B traction/Shutterstock.com ヒガンバナの基本データ 学名:Lycoris radiata科名:ヒガンバナ科属名:ヒガンバナ属(リコリス属)原産地:日本、中国和名:ヒガンバナ(彼岸花)別名:曼珠沙華、死人花、幽霊花、狐の松明など英名:Red spider lily、Hurricane lilyなど開花期:8~10月花色:赤形態:多年草草丈:40~70cm 秋のお彼岸の頃に、深紅の花を咲かせるヒガンバナ。目にする機会も多い身近な花で、開花期に葉を出さず、伸ばした茎の先にしべの長い繊細な花を放射状に咲かせます。葉は花が終わった後に現れ、初夏まで光合成をして養分を蓄えます。墓地の近くに多いことや花姿から、「花を持って帰ると火事が出る」「花を摘むと死人が出る」などの暗い迷信があり、不吉なイメージを持たれやすい花ですが、じつは仏教ではおめでたい兆し。別名の「曼珠沙華」にはサンスクリット語で「天界の花」という意味があり、天から花がひとひら降ってくるという吉兆からきていると言い伝えられています。 赤いヒガンバナのほか、同じ属に白い花を咲かせるシロバナマンジュシャゲや黄色い花を咲かせるショウキズイセン(ショウキラン)もあり、園芸品種も多く作られています。 ChopChopa/Shutterstock.com 残りの選択肢の花は… A ナツズイセン meteorite/Shutterstock.com ヒガンバナ科の多年草。開花期は8~9月で、ラッパ状のピンクの花を、花茎の先に4~8輪ずつ咲かせます。開花期に葉はなく、春に葉を出します。 C ネリネ(ダイヤモンドリリー) Alison Bellringer/Shutterstock.com ヒガンバナ科の多年草。花弁にキラキラとした輝きがあることから「ダイヤモンドリリー」の名前でも親しまれています。開花期は10月中旬~12月中旬。開花時に葉があるのが見分けるポイントです。 クイズ一覧はこちら!
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宿根草・多年草
フシグロセンノウの育て方|茶花として人気の山野草を美しく咲かせるコツを解説!
フシグロセンノウの基本情報 wassei/Shutterstock.com 植物名:フシグロセンノウ学名:Silene miqueliana(旧:Lychnis miqueliana)英名:Miquel’s Catchfly和名:フシグロセンノウ(節黒仙翁)その他の名前:オウサカバナ、ゼニバナ科名:ナデシコ科属名:マンテマ属原産地:日本形態:宿根草(多年草) フシグロセンノウの学名はSilene miqueliana。ナデシコ科マンテマ属の多年草で、山野草として流通しています。原産地は日本で、関東地方以西の本州、四国、九州などに分布し、山野や草むらに自生。日本固有植物の一種ですが、近年は樹林地の荒廃や植生の遷移、シカの食害などにより減少する傾向にあり、絶滅危惧種の指定を受けています。 フシグロセンノウはやや湿り気のある環境を好みますが、夏の高温多湿は嫌うようです。寒さには強く、戸外で越冬できます。半常緑性で、冬になると葉を落とすこともありますが、越年後の生育期に再び新芽を出すので、早々に枯れたと判断せずに見守ってください。草丈は40〜60cmほどで花壇では中段に向き、草丈の高いものと低いものをつなぐ役割を果たしてくれます。 フシグロセンノウの花や葉の特徴 High Mountain/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:7〜10月草丈・樹高:40〜60cm耐寒性:強い耐暑性:やや弱い花色:オレンジ フシグロセンノウの開花期は7〜10月で、優しいオレンジ色の花が咲きます。花径5cmほどの5弁花で、花茎を伸ばした頂部に数個のつぼみが集まります。丸みのある花弁が楚々とした風情で、茶花としても好まれています。葉は対生につき、卵形または細長い楕円形です。茎にはまばらにやわらかい毛がつきます。 フシグロセンノウの名前の由来と花言葉 F_studio/Shutterstock.com フシグロセンノウは漢字で「節黒仙翁」と書きます。節が黒紫になり、センノウに似ていることが名前の由来です。別名にオウサカバナ、ゼニバナがあります。花言葉は「転機」「恋のときめき」など。 フシグロセンノウに似た植物の種類 マツモトセンノウ N.Stertz/Shutterstock.com 古くから茶花や庭の花として親しまれてきた花で、5弁の花弁は先がハート形に切れ込み、また不規則に切れ込みが入ります。花色はオレンジのほか、赤や白、ピンクがあり、また絞り咲きや八重咲きの品種もあります。 センノウ Peace-loving/Shutterstock.com 茎の先端にまとまって咲く朱赤の花は、花弁の先端に細かく切れ込みが入るのが特徴。株全体に短い毛が生えています。原産地は中国で、嵯峨の仙翁寺というお寺に植えられていたことからこの名が付いたとされています。 フシグロセンノウの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜10月植え付け・植え替え:2〜4月肥料:3月頃、10月頃種まき:2~3月 フシグロセンノウの栽培環境 High Mountain/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日なた〜半日陰、風通しのよい場所が最適です。半日陰を好むとはいえ、極端に暗い場所では間伸びして頼りない草姿になり、花つきが悪くなることがあるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】やや湿り気のある環境を好みますが、夏の高温多湿は嫌うため、水はけ・水もちがよくバランスのとれた土壌づくりがポイント。地植えの場合は、有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。 耐寒性・耐暑性 耐寒性は強く、特別な対策をしなくても戸外で越冬できます。一方で耐暑性はやや弱いため、夏は高温と直射日光を避け、鉢植えの場合は風通しのよい明るい日陰などに移動するとよいでしょう。 フシグロセンノウの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 苗を植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕して水はけのよい土壌をつくっておくとよいでしょう。植え付けの少し前に土壌改良資材や肥料などを施しておくことで次第に分解して土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。 水やり Ivanko80/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。フシグロセンノウは多湿を嫌うので、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 3月頃と10月頃に、緩効性化成肥料を株の周囲にばら撒いて、表土を軽く耕して馴染ませます。地植えでは控えめにしても構いませんが、鉢植えの場合は肥料成分が水やりと共に流出しやすいので、肥料切れに注意しましょう。株に勢いがない場合は、速効性の液肥を与えて様子を見守ってください。 注意する病害虫 ハモグリバエ。Gerry Bishop/Shutterstock.com 【病気】 フシグロセンノウは病気を発症する心配はほとんどありませんが、風通しが悪いと立ち枯れ病や灰色かび病などが発生することがあります。 【害虫】 フシグロセンノウに発生しやすい害虫は、ヨトウムシやハモグリバエなどです。 ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩に株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の跡が認められたら夜にパトロールして補殺するか、適用する薬剤を散布して防除します。 ハモグリバエはハエの一種で、体長は2mm前後。主な発生時期は、4〜11月です。茎葉に産卵した後、孵化した幼虫が寄生して葉の中に入り、旺盛に食害します。表皮と葉裏を残して葉肉を食害していくため葉に曲がりくねった白い線が現れます。葉に白い模様が現れるので「絵描き虫」の名がつきました。食害痕は分かりやすいので、日頃からまめにチェックして、見つけたら上から指で潰すとよいでしょう。発生初期に適用するスプレータイプの薬剤を散布して駆除するのも一案です。 フシグロセンノウの詳しい育て方 植え付け・植え替え OlegDoroshin/Shutterstock.com フシグロセンノウの植え付け・植え替え適期は2〜4月です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、苗を入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。苗は花苗店や通信販売で入手することができます。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、フシグロセンノウの苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、20〜30㎝の間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておきましょう。 地植えの場合、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら掘り上げ、株分けして植え直して株の若返りをはかるとよいでしょう。 【鉢植え】 鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回りほど大きい鉢を準備します。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取ってください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 鉢植えの場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直しましょう。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えてください。 日常の手入れ F_studio/Shutterstock.com 【摘心】 生育期の5~6月に、早めに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返しておくと、わき芽が出てよく茂り、株張りがよくなります。わき芽が多く出ることで、開花期の花数が多くなるのもメリットの一つです。 【花がら摘み】 フシグロセンノウは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 増やし方 Montana Isabella/Shutterstock.com フシグロセンノウは、株分け、挿し木、種まきで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について紹介します。 【株分け】 フシグロセンノウの株分け適期は、2〜4月です。 株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。 【挿し芽】 挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽で増やせるものとそうでないものもありますが、フシグロセンノウは挿し芽で増やせます。 フシグロセンノウの挿し芽の適期は、4〜5月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、十分に湿らせておきます。培養土に穴を開け、穴にさし穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 【種まき】 フシグロセンノウの種まきの適期は、2〜3月です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れて十分に湿らせてから種子を播き、薄く覆土してください。水やりは種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。発芽までは半日陰の場所に置いて、乾燥しないように管理しましょう。 発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所へ移動します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。根がよく張ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。 育てたフシグロセンノウの楽しみ方 High Mountain/Shutterstock.com フシグロセンノウは一年を通して戸外で管理でき、地植え、鉢植えともに可能です。切り花としても楽しめます。山野草に分類されており、野趣感のある楚々とした表情が魅力。ナチュラルガーデンなどに向き、群生させるよりはあちこちに点在させて、風を感じて揺れるたおやかな姿を楽しむとよいでしょう。昔から茶花として愛されてきたので、もちろん和の庭にもしっとりと馴染みます。 フシグロセンノウを育てる際の注意点 F_studio/Shutterstock.com フシグロセンノウの草丈は40〜60cmほどですが、環境によってはそれよりも大きくなることがあり、茎が細いために強風によって倒伏しやすくなります。大きく育った場合は支柱を添えてビニールタイなどで誘引し、補強しておくとよいでしょう。 フシグロセンノウを育ててみよう Nobby Iwata/Shutterstock.com 落ち着いたオレンジ色の花を咲かせるフシグロセンノウは山野草の一種で、楚々とした風情はナチュラルガーデンや和の庭で本領を発揮します。昔から日本の山野に自生してきたフシグロセンノウはビギナーでも育てやすいので、庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。