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フシグロセンノウの育て方|茶花として人気の山野草を美しく咲かせるコツを解説!

フシグロセンノウの育て方|茶花として人気の山野草を美しく咲かせるコツを解説!

High Mountain/Shutterstock.com

落ち着いたオレンジ色の花を咲かせるフシグロセンノウは、日本の山野に自生する山野草。茶花としても人気の高い花ですが、丈夫で育てやすく、鉢植え・庭植えどちらでも栽培可能なため、ガーデニング初心者にもおすすめです。この記事では、フシグロセンノウの育て方・増やし方・栽培の注意点まで詳しく解説します。

フシグロセンノウの基本情報

フシグロセンノウ
wassei/Shutterstock.com

植物名:フシグロセンノウ
学名:Silene miqueliana(旧:Lychnis miqueliana
英名:Miquel’s Catchfly
和名:フシグロセンノウ(節黒仙翁)
その他の名前:オウサカバナ、ゼニバナ
科名:ナデシコ科
属名:マンテマ属
原産地:日本
形態:宿根草(多年草)

フシグロセンノウの学名はSilene miqueliana。ナデシコ科マンテマ属の多年草で、山野草として流通しています。原産地は日本で、関東地方以西の本州、四国、九州などの山野や草むらに自生。日本固有植物の1種ですが、近年は樹林地の荒廃や植生の遷移、シカの食害などにより減少する傾向にあり、絶滅危惧種の指定を受けています。

フシグロセンノウはやや湿り気のある環境を好みますが、夏の高温多湿は嫌うようです。寒さには強く、戸外で越冬できます。半常緑性で、冬になると葉を落とすこともありますが、越年後の生育期に再び新芽を出すので、早々に枯れたと判断せずに見守ってください。草丈は40〜60cmで花壇では中段に向き、草丈の高いものと低いものをつなぐ役割を果たしてくれます。

フシグロセンノウの花や葉の特徴

フシグロセンノウ
High Mountain/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:7〜10月
草丈:40〜60cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
花色:オレンジ

フシグロセンノウの開花期は7〜10月で、優しいオレンジ色の花が咲きます。径5cmほどの5弁花で、花茎を伸ばした頂部に数個のつぼみが集まります。丸みのある花弁が楚々とした風情で、茶花としても好まれています。葉は対生につき、卵形または細長い楕円形です。茎にはまばらにやわらかい産毛がつきます。

フシグロセンノウの名前の由来と花言葉

フシグロセンノウ
F_studio/Shutterstock.com

フシグロセンノウは、漢字で「節黒仙翁」と書きます。節が黒紫になり、センノウに似ていることが名前の由来です。別名にオウサカバナ、ゼニバナがあります。花言葉は「転機」「恋のときめき」など。

フシグロセンノウに似た植物の種類

マツモトセンノウ

マツモトセンノウ
N.Stertz/Shutterstock.com

古くから茶花や庭の花として親しまれてきた多年草で、5弁の花弁は先がハート形に切れ込み、また不規則に切れ込みが入ります。花色はオレンジのほか、赤や白、ピンクがあり、また絞り咲きや八重咲きの品種もあります。

センノウ

センノウ
Peace-loving/Shutterstock.com

茎の先端にまとまって咲く朱赤の花は、花弁の先端に細かく切れ込みが入るのが特徴。株全体に短い産毛が生えています。原産地は中国で、嵯峨の仙翁寺というお寺に植えられていたことからこの名が付いたとされています。

フシグロセンノウの栽培12カ月カレンダー

開花時期:7〜10月
植え付け・植え替え:2〜4月
肥料:3月頃、10月頃
種まき:2~3月

フシグロセンノウの栽培環境

フシグロセンノウ
High Mountain/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日なた〜半日陰、風通しのよい場所が最適です。半日陰を好むとはいえ、極端に暗い場所では間のびして頼りない草姿になり、花つきが悪くなることがあるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】やや湿り気のある環境を好みますが、夏の高温多湿は嫌うため、水はけ・水もちがよくバランスのとれた土壌づくりがポイント。地植えの場合は、有機質資材をすき込んでふかふかとした土壌にし、周囲より少し土を盛って高くしておくと水はけがよくなります。

耐寒性・耐暑性

耐寒性は強く、特別な対策をしなくても戸外で越冬できます。一方で耐暑性はやや弱いため、夏は高温と直射日光を避け、鉢植えの場合は風通しのよい明るい日陰などに移動するとよいでしょう。

フシグロセンノウの育て方のポイント

用土

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

苗を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕して水はけのよい土壌を作っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで次第に分解して土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。多湿を嫌い、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

3月頃と10月頃に、緩効性化成肥料を株の周囲にばらまいて、表土を軽く耕してなじませます。地植えでは控えめにしてもかまいませんが、鉢植えの場合は肥料成分が水やりと共に流出しやすいので、肥料切れに注意しましょう。株に勢いがない場合は、速効性の液肥を与えて様子を見てください。

注意する病害虫

ハモグリバエ
ハモグリバエ。Gerry Bishop/Shutterstock.com

【病気】

フシグロセンノウは病気の心配はほとんどありませんが、風通しが悪いと立ち枯れ病や灰色かび病などが発生することがあります。

【害虫】

フシグロセンノウに発生しやすい害虫は、ヨトウムシやハモグリバエなどです。

ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書くように、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩で株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を発見したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。夜にパトロールして捕殺するか、適用のある薬剤を散布して防除します。

ハモグリバエはハエの1種で、体長は2mm前後。主な発生時期は、4〜11月です。茎葉に産卵した後、孵化した幼虫が寄生して葉の中に入り、旺盛に食害します。表皮と葉裏を残して葉肉を食害していくため、葉に曲がりくねった白い線が現れます。これが模様のように見える「エカキムシ(絵描き虫)」という名がつきました。食害痕は分かりやすいので、日頃からまめにチェックして、見つけたら上から指で潰すとよいでしょう。発生初期に適用のあるスプレータイプの薬剤を散布して駆除するのも一案です。

フシグロセンノウの詳しい育て方

植え付け・植え替え

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

フシグロセンノウの植え付け・植え替え適期は2〜4月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。苗が複数の場合は、20〜30cmの間隔を取っておきます。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておきましょう。

地植えの場合、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら掘り上げ、株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。

【鉢植え】

入手した苗の根鉢よりも1〜2回りほど大きい鉢を準備します。

底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出してみて根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取ってください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えの場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、毎年植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直しましょう。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

日常の手入れ

フシグロセンノウ
F_studio/Shutterstock.com

【摘心】

生育期の5~6月に、早めに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返しておくと、わき芽が出て茂り、株張りがよくなります。わき芽が多く出ることで、開花期の花数が増えるのもメリットの1つです。

【花がら摘み】

次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

フシグロセンノウは、株分け、挿し芽、種まきで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法についてご紹介します。

【株分け】

フシグロセンノウの株分け適期は、2〜4月です。

株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて数芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

【挿し芽】

挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、フシグロセンノウは挿し芽で増やせます。

フシグロセンノウの挿し芽の適期は、4〜5月です。新しく伸びた茎葉を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきます。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【種まき】

フシグロセンノウの種まきの適期は、2〜3月です。種まき用のセルトレイに市販の草花用培養土を入れて十分に湿らせてから種子を播き、薄く覆土してください。水やりは種が流れ出すことがないように、トレイより1回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを入れて底面から吸水させます。発芽までは半日陰に置いて、乾燥しないように管理しましょう。

発芽後は、日当たりと風通しのよい場所へ移動します。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗しましょう。10日に1回を目安に液肥を与えると、生育がよくなります。根がよく張ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。

育てたフシグロセンノウの楽しみ方

フシグロセンノウ
High Mountain/Shutterstock.com

フシグロセンノウは一年を通して戸外で管理でき、地植え・鉢植えともに可能です。切り花としても楽しめます。山野草に分類されており、野趣感のある楚々とした表情が魅力。ナチュラルガーデンなどに向き、群生させるよりはあちこちに点在させて、風を感じて揺れるたおやかな姿を楽しむとよいでしょう。昔から茶花として愛されてきたので、もちろん和の庭にもしっとりとなじみます。

フシグロセンノウを育てる際の注意点

フシグロセンノウ
F_studio/Shutterstock.com

フシグロセンノウの草丈は40〜60cmですが、環境によってはそれよりも大きくなることがあり、茎が細いために強風によって倒伏しやすくなります。大きく育った場合は支柱を添えてビニールタイなどで誘引し、補強しておくとよいでしょう。

フシグロセンノウを育ててみよう

フシグロセンノウ
Nobby Iwata/Shutterstock.com

フシグロセンノウは山野草の一種で、落ち着いたオレンジ色の花の楚々とした風情は、ナチュラルガーデンや和の庭で本領を発揮します。昔から日本の山野に自生してきたためビギナーでも育てやすいので、庭やベランダに迎え入れてはいかがでしょうか。

冬のおすすめアイテム

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