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イカリソウは美しい花が魅力! 特徴や育て方のポイントを詳しく解説

イカリソウは美しい花が魅力! 特徴や育て方のポイントを詳しく解説

shepherdsatellite/Shutterstock.com

イカリソウは花弁と距(きょ)をもつユニークな咲き姿が特徴で、春を代表する山野草として古くから親しまれてきました。この記事では、イカリソウの基本情報や特徴、花言葉・名前の由来、種類、詳しい育て方などについて、幅広くご紹介します。

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イカリソウの基本情報

イカリソウ
High Mountain/Shutterstock.com

植物名:イカリソウ
学名:Epimedium grandiflorum var. thunbergianum
英名:barrenwort、bishop’s hat、fairy wings、horny goatweed
和名:イカリソウ(碇草、錨草)
その他の名前:淫羊霍(いんようかく)、三枝九葉草(さんしくようそう)
科名:メギ科
属名:イカリソウ属
原産地:日本
分類:宿根草(多年草)

イカリソウはメギ科イカリソウ属の多年草で、「三枝九葉草(さんしくようそう)」の別名も持っています。原産地は日本で6種が確認されており、主に中部地方以北の本州が自生地で、比較的寒さに強い性質です。草丈は30〜50cm。落葉性のため、冬は落葉して地下で休眠しますが、越年して生育期を迎えると新芽を出すというサイクルを繰り返す、息の長い植物です。

イカリソウの花や葉の特徴

イカリソウ
YUMIK/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4〜5月
草丈:30〜50cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:赤紫、ピンク、白、黄

イカリソウの開花期は4〜5月。花色は赤紫、ピンク、白、黄があり、40cmほど長く伸ばした花穂に数輪の花を連ねます。花径は3〜7cmで4枚の花弁は反り返り、2cm前後の細長い距を四方に突き出す個性的な花姿が特徴です。葉はマットな質感の楕円形で、3つに分かれた枝に、それぞれ3枚ずつ葉をつけます。

イカリソウの名前の由来や花言葉

イカリソウ
High Mountain/Shutterstock.com

イカリソウは漢字で「錨(碇)草」と書き、船を海の上で一定の場所にとどめておくために使用する錨(いかり)に花姿が似ていることから名付けられました。別名の「三枝九葉草」は、3つに分かれた枝に、それぞれ3枚ずつ葉をつけることに由来します。

イカリソウの花言葉は「君を離さない」「旅立ち」など。いずれも「錨」のイメージから与えられたものです。

イカリソウの種類

イカリソウは、国内で6種類が分布しています。ここでは、主な種類についてご紹介します。

トキワイカリソウ

トキワイカリソウ
F_studio/Shutterstock.com

漢字で「常盤錨草」と書き、常緑性で葉を残したまま越年するのが特徴です。主に本州中部地方〜山陰地方の日本海側で、雪の多い山野に自生します。草丈は30〜60cmで、花色は白〜赤紫、花径は3〜4cm。

キバナイカリソウ

キバナイカリソウ
saiglobalnt/Shutterstock.com

漢字で「黄花錨草」と書き、花は淡い黄色。主に本州の近畿以北の日本海側、北海道などに自生しており、中国や朝鮮半島にも分布しています。草丈は30〜60cm。

バイカイカリソウ

バイカイカリソウ
footageclips/Shutterstock.com

漢字で「梅花錨草」と書きます。主に中国地方、四国、九州の林などに自生しています。比較的開花期間が長く、花色は白。花径は1cm前後で、距がないのが特徴です。草丈は20〜30cm。

イカリソウの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:5月下旬〜7月上旬
肥料:3〜9月

イカリソウの栽培環境

イカリソウ
tamu1500/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】晩秋から早春にかけては日当たりがよく、晩春から秋までは半日陰となる落葉樹の下などで育てます。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】自生地では落葉樹の株元などに見られるので、地植えなら同様の環境になるよう、乾燥の激しい場所は避けて、落葉樹の下などで育てます。鉢植えの場合も、似たような環境に移動しながら管理するのがおすすめ。落葉樹が葉を落として休眠する晩秋から早春にかけては日当たりのよい場所に置き、落葉樹が緑陰を作る晩春から秋にかけては、木漏れ日がチラチラと差すような半日陰に移動します。夏も涼しく風通しのよい場所で管理しましょう。冬になると休眠するので、日当たりの条件はあまり気にする必要がなくなりますが、霜が降りない明るい軒下などに移動してください。

耐寒性・耐暑性

耐寒性・耐暑性ともにあるので、一年を通して屋外で管理できます。ただし、冬は北風にさらされないような場所に置き、常緑種は風よけをするか、積雪がある地域なら雪の下に埋めてもかまいません。夏は風通しのよい半日陰で管理しましょう。

イカリソウの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。自身で用土を配合する場合は、赤玉土小粒7、腐葉土3の割合で混ぜ合わせるとよいでしょう。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行いましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になります。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬は土が乾燥しづらくなるので、与える頻度を控えめにしつつ、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付け時に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。追肥として、生育期の3〜9月に、10日〜2週間に1度を目安に液肥を与えます。真夏は薄めに希釈して与えるとよいでしょう。

注意する病害虫

ナメクジ
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【病気】

イカリソウは病気の心配はほとんどありませんが、多湿な環境下では白絹病や軟腐病にかかることがあります。

白絹病はカビが原因の、周囲に伝染しやすい病気です。根や茎に発生しやすく、初期は地際あたりに褐色の斑点が見つかります。病状が進むと株元の土に白いカビがはびこり、やがて株は枯れてしまうので注意が必要。病株を発見したら、周囲に蔓延させないためにただちに抜き取り、土ごと処分してください。土づくりの際に、水はけのよい環境に整えることが予防につながります。

軟腐病は細菌性の病気で、高温時に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏が要注意。

成長点近くの茎、地際の部分や根が腐って悪臭を放つので、発症したのを見つけたら、周囲に蔓延しないようにただちに抜き取り、周囲の土ごと処分してください。予防としては、連作(同じ科に属する植物を同じ場所に植え続けること)を避け、水はけをよくしていつもジメジメとした環境にしないこと。また、害虫に食害されて傷ついた部分から病原菌が侵入しやすくなるので、害虫からしっかり守ることもポイントになります。

【害虫】

イカリソウに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ナメクジなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

ナメクジは、花やつぼみ、新芽、新葉などを食害します。体長は40〜50mmで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。または、ナメクジ用の駆除剤を利用してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。

イカリソウの詳しい育て方

苗の選び方

花や葉の色艶がよいものを選びましょう。葉先が乾燥しているものは避けたほうが無難です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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植え付け・植え替えの適期は、5月下旬〜7月上旬です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。

庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。ただし、植え付けから数年が経って株が込み合ってきたら、掘り上げて株分けしてください。改めて植え直し、株の若返りをはかりましょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に仮置きして高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。

夏越し・冬越し

イカリソウ
Hiyoman/Shutterstock.com

【夏越し】

地植えにしている場合、真夏に強い日差しが照りつける環境では、6〜9月頃に遮光ネットを張って半日陰の環境を作るとよいでしょう。鉢植えの場合は、風通しがよく涼しい半日陰の場所へ移動して管理します。

【冬越し】

寒さには強いのですが、地植えの場合は、常に寒風にさらされるような場所は避けましょう。鉢植えの場合は、霜が降りない軒下などに移動します。

イカリソウの増やし方

種まきポット
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イカリソウは、種まき、株分けで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法についてご紹介していきます。

【種まき】

種まきのメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。

種は市販されていないので、開花した後につける小さな種を採取します。種は熟した後にはじけ飛んで落ちてしまうので、開花後に袋掛けをしておくとよいでしょう。種まきの適期は5月頃です。イカリソウの種は乾燥に弱いため、採取したあとに長く保存することができません。種を採取したらすぐに播くことがポイントです。

黒ポットに市販の草花用培養土を入れ、種を数粒ずつ播き、最後にたっぷりと水やりをしましょう。発芽までは風通しのよい半日陰に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。発芽後、弱々しい苗があれば適宜間引いて1本立ちにし、日当たり、風通しのよい場所で管理します。しっかりした苗に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。種まきから開花までは3年ほどかかるので、時間をかけて見守ってください。

※園芸品種の場合、親と同じ草姿になるとは限りません。

【株分け】

株分けの適期は、5月下旬〜7月上旬です。植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げ、根茎の節に付いている芽を傷めないように根を切り分け、再び植え直しましょう。根が乾くと株が弱るので、できるだけ手早く作業することがポイントです。細かく分けた株が再び大きく成長し、株が増えていきます。

イカリソウは食べられる

イカリソウ
High Mountain/Shutterstock.com

3〜4月の新芽が出始める頃に、新葉と花を採取します。葉は和え物や油炒め、天ぷらなどに、花は三杯酢で酢の物にするとよいでしょう。

イカリソウの愛らしいユニークな花姿を愛でよう

イカリソウ
shepherdsatellite/Shutterstock.com

比較的育てやすい山野草として、昔から栽培されてきたイカリソウ。くるりと巻いた花弁と細長く伸びる距のコンビによるユニークな花姿が魅力です。庭やベランダに個性をもたらすアイキャッチとして、ぜひ取り入れてはいかがでしょうか。

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