【プロが解説!】シレネの幅広い種類と育て方のコツ
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主に春~初夏に咲く花として知られるシレネ。花をたくさん咲かせるものや、おしゃれなカラーリーフ、またハーブや野菜として食用になる種類もあります。花後の種子を播けば、簡単に育つのも魅力で、夏を越せれば、多年草として毎年楽しめる種類も多いです。この記事では、栽培のプロがシレネの特徴とその仲間をご紹介し、育て方も解説します。
目次
シレネの基本情報

植物名:シレネ
学名:Silene
英名:campion
科名:ナデシコ科
属名:マンテマ属(シレネ属)
原産地:亜熱帯から温帯
形態:一年草、多年草
シレネの仲間はナデシコ科で最も多く、900近くの種類が知られています。世界の亜熱帯から温帯に広く分布しますが、北半球に多く自生種があります。近年分類が変わり、リクニスやビスカリアがシレネ属に統合されています。この記事では、以前リクニス属やビスカリア属だった種類は扱いません。
秋まき一年草としては、シレネ・ペンデュラとムシトリナデシコが以前からよく栽培されています。またペンデュラの八重咲き品種やペンデュラに似た多年草のカロリアナ、多年草のユニフローラとその斑入り品種なども流通しています。
国内で野生化しているブルガリスは、イタリア野菜として知られるようになってきています。
また、ほかにハーブとしても栽培される種類が多く、葉や花が食用になったり、薬用植物として利用されています。
よく分枝してクリアなピンクの花を咲かせるシレネ・ディオカ(レッドキャンピオン)。Oksana_Schmidt/Shutterstock.com
シレネの特徴・性質

園芸分類:草花
開花時期:4〜6月
草丈:10~80cm
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
花色:白、ピンク、赤
園芸植物として栽培される種類は、海辺や高山の乾燥した砂礫地などに多く自生しています。マット状、またはクッション状に広がるものは、ロックガーデンに最適です。
茎が直立するタイプの園芸種は、世界各地で野生化するほど丈夫です。日本では北海道や本州に多く帰化しています。
花は春~初夏に開花します。花色は白が多く、ほかにピンクや赤などがあります。種類によっては粘液を分泌し、葉や茎がべたつきます。
日当たりや風通し、水はけのよい環境を好みます。寒さには強いですが、夏の高温多湿には弱い傾向があります。砂質の痩せた土壌でもよく生育し、病害虫も少ないです。
シレネの仲間
ムシトリナデシコ Silene armeria

ヨーロッパ中南部原産の一年草です。最も一般的なシレネの代表種で、丈夫で初心者でも育てやすい品種です。茎は直立して伸び、高さ50~60cmになります。茎がべたつくので虫を捕らえそうですが、食虫植物ではありません。こぼれ種でよく増え、国内で野生化しています。
花色は主にピンクですが、白花もあります。‘サクラコマチ’は桜色の花が咲く魅力的な品種で、切り花としても栽培されます。
シレネ・ペンジュラ(フクロナデシコ) Silene pendula

地中海沿岸原産で、秋まきの一年草です。開花後に萼(がく)が袋状になることから、フクロナデシコの和名があります。
地際からよく分枝し、高さ20~30cmのマット状の草姿になります。
‘ピンク・クラウド’や八重咲きの‘ピーチ・ブロッサム’などの園芸品種があり、満開時はたくさん花が咲いて見事な美しさです。
シレネ・ユニフローラ Silene uniflora

ヨーロッパ、マカロネシア原産の多年草で、海岸沿いや砂地の場所などに自生します。シーキャンピオン(sea campion)という英名、ホテイマンテマという和名があります。
高さ20cmほどでマット状に広がり、ロックガーデンなど風通しと水はけのよい場所に最適です。花は白色のほか、ピンクや八重咲きの品種もあります。
植物からの抽出物は、化粧品などの原料に使われます。
シレネ・ユニフローラ斑入り Silene uniflora ‘Druett’s Variegated’

葉に白斑が入り、おしゃれで美しいカラーリーフとして楽しめます。
シレネ・カロリニアナ Silene caroliniana

ピンクパンサーやスパニッシュフラメンコという流通名で知られています。アメリカ東部原産の多年草ですが、日本では夏に枯れやすく、一年草として扱われます。茎は這うように広がり、4~6月に小花をたくさん咲かせます。
シレネ・ブルガリス Silene vulgaris

ヨーロッパやアジア、北アフリカの広い地域が原産の常緑多年草です。こぼれ種でよく増え、北アメリカなど世界の温帯で広く野生化し、日本にも帰化しています。花の形からシラタマソウ(白玉草)という和名があります。
高さ50cmほどになり、夏頃に白い花を咲かせます。寒さに強いですが高温多湿には弱いので、北海道に多く野生化しています。

イタリアやスペインなどでは葉が食用に使われ、若い葉はサラダになります。日本でもイタリア野菜の「ストリドーロ」の名で、種子や苗が流通しています。またハーブとしては、ブラダーキャンピオンの英名で流通しています。
シレネ・ディオイカ(レッドキャンピオン) Silene dioica (Red campion)

ヨーロッパ、モロッコ原産で、レッドキャンピオンという英名、アケボノセンノウという和名があります。草丈40~80cmになる多年草ですが、こぼれ種でも増えます。
たくさんのピンクの小花を、春の5~6月に咲かせます。直立した花茎の先に花がまとまって咲くので、人目を引きます。花色はピンクのほか、赤紫、白などがあります。
ハーブとしても知られ、若い葉や花が食用になります。
シレネ・ラティフォリア Silene latifolia

ヨーロッパ原産の多年草です。こぼれ種でよく増え、日本だけでなくアメリカなど他の地域でも広く野生化しています。春から夏に白花を多く咲かせ、ホワイトキャンピオンという英名があります。またハーブとして花や葉が食用に、根は洗濯石鹸の代用や薬用などに利用されてきました。
シレネの栽培12カ月カレンダー
植え付け適期:3~5月、9~10月
植え替え適期:6月
株分け:6月
肥料:10~翌年4月
挿し芽:4~5月
種まき:9月中旬~10月
シレネの栽培環境

日当たりのよい場所が適します。ただし多年草タイプは高温多湿に弱いので、梅雨から夏までは、鉢植えは午前中だけ日光が当たる半日陰の涼しい場所に移すとよいでしょう。明るい日陰でも育ちますが、日照不足では茎が間のびしやすくなります。
生育温度
生育に適した温度は15~25℃で、5月や10月頃の、人間にとっても過ごしやすい時期が目安となります。
寒さには強いですが、多年草は夏越しが育てるのに重要なポイントになります。
シレネの育て方・日常の管理

水やり
鉢植えは、鉢土の表面が乾いたら行います。花や葉に水がかからないように、株元に水をかけるとよいでしょう。常に用土が湿っているような水の与え方をすると、過湿で根腐れします。
地植えの場合は、特に必要ありません。
肥料
地植えの場合は、肥料は必要ありません。
鉢植えは、10月~翌年4月に、窒素・リン酸・カリの3要素が等量の緩効性化成肥料を控えめに与えます。
病害虫
春以降、暖かくなるとアブラムシが発生しやすくなります。薬剤などで防除してください。
シレネの手入れ作業

花がら摘み
咲き終わった花をこまめに摘むと、花が長く咲くようになります。
切り戻し
背が高くなる種類は、花後に半分程度まで切り戻します。切り戻すことで蒸れを防ぎ、夏越ししやすくなります。
増やし方
多年草の種類は挿し芽で増やします。適期は4~5月で、茎を3節ほど切り、赤玉土小粒などの清潔な用土に挿します。
種子もよくつくので、9月中旬~10月に種まき用の土などに播きます。覆土は種子が少し隠れる程度に。かけすぎると発芽しません。
シレネの植え付け・植え替え

植え付け
適期は3~5月と、9~10月です。土壌改良と水はけをよくするために、腐葉土とくん炭をすきこんでから植えてください。専用のガーデンフレームなどを使って、周囲より20cmほど高めに植え付けるのもおすすめです。
地植えの植え替え
多年草の種類を植えたままにすると、立ち枯れしやすくなります。2~3年に1回、株分けを兼ねて植え替えてください。
鉢植えの植え替え
多年草の種類は、花後の6月頃に古い土を落として新しい用土で植え替えます。株が大きい場合は、2~3株に分けてください。
用土
水はけがよければあまり用土は選びませんが、弱アルカリ性を好みます。一般には赤玉土小粒4、腐葉土3、川砂3を混ぜたものを使いますが、過湿を特に嫌う種類は、山野草用の培養土を使うのもよいでしょう。
シレネを育ててガーデニングから料理まで楽しもう!

マット状に広がる種類は花付きがよく、満開時は見事な美しさです。丈夫で病害虫の被害も少なく、人気が高まっています。
ブルガリスは花だけでなく、野菜としても楽しむことができます。摘み取った葉は、リゾットやスープ、卵料理などに。またハーブとして食用にしたり、生活に役立つ種類もあります。ご紹介したシレネの仲間をいろいろ育てて、ガーデニングから暮らしの楽しみを広げてみませんか。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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