【必見】宿根草ショップの店長が教える! 暑さ寒さもOK「強くて新しい宿根草」2025年度人気ベスト5
ローメンテとコスパのよさから近年人気がますます高まっているガーデンプランツ、宿根草(しゅっこんそう)。植えっぱなしで手入れが楽なうえ、続々と新品種が登場して目が離せない宿根草の中から、2025年度に人気が高かった品種をご紹介します。選者は、4千種を超す植物を扱う「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。進化したニューフェイスやプロに選ばれている注目品種が登場する2025年度版、人気の宿根草5種から、あなたの庭に新風を吹き込むお気に入りを見つけましょう!
目次
植えっぱなしで丈夫に育つ
選ばれている人気の宿根草

宿根草と山野草が揃い、多くのファンがいる専門店「おぎはら植物園」。長野県上田市にある同園では、越年して毎年花を咲かせる「長生きする植物」の宿根草を中心に、幅広くガーデンプランツを取り扱っています。全国のガーデニングを趣味にする人たちをはじめ、観光ガーデンや公共の庭などからも珍しい植物やお目当ての植物を求めて注文が入る「おぎはら植物園」で、2025年度に初お目見えとなって即人気を博した宿根草を5種ピックアップ。

今回人気となった5品種は、どれも耐寒性や耐暑性にも優れ、従来の品種の弱点を克服して病気に強く進化したものや、美しいカラーリーフと見応えのある花が咲くものなどが選ばれています。店長の荻原範雄さんに、その特徴や魅力、育て方のコツを教えていただきます。
セレクト1
フウロソウ(ゲラニウム)ファエウム
‘ジョセフグリーン’

花弁はダブルで、中央の花弁が弁化してグリーンがかる黒花フウロ(ファエウム)では初めての八重咲き品種です。この系統のなかでは草丈40~60cm前後とコンパクトな品種で、狭い場所でも育てやすく、強健で耐寒性、耐暑性にも優れています。

花はとても小さい黒花フウロの系統ですが、その小さな花のなかで、折り重なった花弁にグリーンや黄色も入り、じっくりと眺めたくなる魅力があります。他の黒花フウロと比べるとコンパクトで成長もゆっくりで日陰の環境にも耐えるので、日陰のわずかな敷地でも栽培が可能です。

この品種のルーツは、英国の園芸家で植物学者のリン・エドワーズさんが自身の庭で2013年に発見した品種です。熱心な園芸家である彼女の父の名前にちなんでその名が付けられました。種子ができない品種のため、増殖に時間がかかりましたが、2017年頃に量産に成功して流通が始まりました。欧米で人気が高まっている中、日本には2024年頃導入されて、当店でも2025年からラインナップに加わりました。

ヨーロッパ原産の「黒花フウロの系統(ファエウム種)」は、特に丈夫なことで知られています。ゲラニウムの中では、暑さに強く、猛暑や高温多湿の日本でも育てやすく人気があります。もちろん寒さにも極めて強く、極寒冷地であっても地植えしたまま越冬します。
日陰に強く、薄日の環境下でも花が多数咲くので、暖地では暑さ対策として午後から日陰になる場所へ植えるのをおすすめします。

水分を好む系統なので、少し湿り気があるほうが株は元気ですが、ある程度の乾燥にも耐えます。適地ではこぼれ種でも増え、あちこちで開花します。また、芽がよく増えるので株分けも容易なのも利点です。
この系統は欧米での人気が高く、品種改良も頻繁に行われ、数多くの品種があります。国内では流通量がとても少ないものの、暑さに強く日本の気候にも適応している点からも、当店でも積極的に紹介していきたい系統です。
【Data】
■ フウロソウ科 多年草(耐寒性多年草)冬季常緑~半常緑種
■ 学 名:Geranium phaeum ‘Joseph Green’
■ 別 名:ゲラニウム・ファエウム(学名)、ダスキークレンズビル など
■ 花 期:初夏
■ 草 丈:40~60cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:20~40cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(マイナス15~マイナス25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い(暖地では夏に風通しよく、水はけよく)
■ 日 照:日なた~やや半日陰
■ 原産地:ヨーロッパ(主な自生地)
セレクト2
丁字草(チョウジソウ) ‘ストームクラウド’
(=アムソニア ‘ストームクラウド’)

北アメリカ中部から東部にかけて自生するヤナギバチョウジソウ(柳葉丁字草、学名タベルナエモンタナ)からの選抜種で、軸が黒っぽいのも特徴。爽やかな青花が引き立ち、シックでおしゃれな宿根草です。特に春の芽吹きは黒みが強く、格好良い! と趣味家の間でも話題になっていた品種です。

日本のチョウジソウよりも生育旺盛で、花つきがよく、草丈が50~80cm前後とやや大柄な株姿なので、花の時期はさらに見応えがあります。また、秋冬の紅葉も美しく、1年の移り変わりが楽しめるのも魅力です。
この品種の基であるヤナギバチョウジソウは、日本のチョウジソウに似ていますが、葉がやや太いことや葉の付き方に違いがあります。また、株姿がより大柄で成長が早いこと、さらに丈夫で性質が強いという利点もあります。さらに、趣がある日本のチョウジソウに比べると、株姿のボリューム感があって花付きも格段によいので、見栄えがします。

花が咲き終わると高く大きく茂って、少ししだれた柳のようになります。さらに、秋冬になると葉が真っ黄色~オレンジに紅葉する様も見事で、身近に育てて四季の変化を楽しんでほしい植物です。

このヤナギバチョウジソウの1品種‘ストームクラウド’は、さらに黒軸なので、春のおしゃれな芽吹きに始まり、開花時も軸色が花色を引き立ててキリっとするのも必見。しかも性質が強健で暑さ寒さにも強く、非の打ちどころのない優秀な宿根草といえます。
【Data】
■ キョウチクトウ科 耐寒性多年草 冬季半常緑~落葉種
■ 学 名:Amsonia tabernaemontana ‘Storm Cloud’
■ 別 名:アムソニア・タベルナエモンタナ(学名)など
■ 花 期:晩春~初夏
■ 草 丈:50~80cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:60~100cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(マイナス15~マイナス25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:やや半日陰
■ 原産地:北アメリカ(原種の主な自生地)
セレクト3
アスクレピアス・スペシオサ

星形の小花が集まって球状に咲く花が、宙に浮かんだようで可愛い原種のアスクレピアス。ブルーグレーの葉も美しく、他の植物のなかでひと際目を引きます。成長はゆっくりですが、丈夫で地下茎で少しずつ増えていきます。

パウダーピンクのつぼみが開くと濃いピンクのガクに縁取られた星形の白花が次々開く変化も見どころです。花房がよく目立ち、草丈80~100cm前後の珍しい姿が庭のアクセントになります。他のアスクレピアスと同様に、切り花として室内で飾って身近に愛でるのもおすすめ。なお、茎を切ると特有の白い樹液が出るので、少し乾かしてから活けるとよいでしょう。花後は大きな種子がつきます。

トウワタと呼ばれるアスクレピアスの仲間は、200種類ほどあり、本種スペシオサは、北アメリカ中部から西部にかけて自生しています。自生している地域は、河川のそばや乾燥した斜面、ひらけた森林地帯ですので、水はけがよく、風通しのよいひらけた日なたでの栽培がおすすめ。適した場所に植えれば放任できるほど育てやすい種類です。

成長はゆっくりですが、着実に成長します。年数が経つと地下茎で増えて、株立ちのようになり、年々増えているのを実感する楽しみがある宿根草です(目安は3〜4年で茎が10本程度)。
【Data】
■ ガガイモ科(キョウチクトウ科)耐寒性多年草 半常緑~落葉種
■ 学 名:Asclepias speciosa
■ 別 名:ショウィ・ミルクウィード、ショウィ・バタフライウィード、トウワタ など
■ 花 期:初夏~盛夏
■ 草 丈:80~100cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:50~80cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(マイナス12~マイナス15℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:日なた
■ 原産地:北アメリカ(原種の主な自生地)
セレクト4
フロックス
‘オープニングアクト ピンクアドット’

従来のフロックスとは異なり、春から秋まで連続開花性があり、驚くほど花期が長い生育旺盛なハイブリッド種です。暑さや寒さに強くて性質が丈夫で、病害虫にも強いうえ、植えっぱなしで可愛い花咲く風景が年に何度も楽しめます。

フロックスは大きく分けて、「芝桜や春咲き系のフロックス」と「真夏に咲く大型のパニキュラタ種(宿根フロックス)」の2タイプありますが、この品種は、これらをミックスした品種ではないかと推測されます(来歴は明かされておらず、フロックスには多くの原種があり、数種のハイブリッドである可能性も)。

本種は、咲き始めの春頃は草丈が低めで(春咲き系のフロックスの影響)、花後に低めにカットしておくと夏にも咲き、猛暑にも強い(夏咲きフロックスの影響)のも魅力です。そして、夏咲きフロックスといえば“うどんこ病”が宿命ですが、春咲き系の耐病性があるためか、うどんこ病にもほぼ罹病しません。
真夏に咲き続けた花を切り戻すと、秋にも開花します(花後に切ることで年3回程度は咲きます)。

数多くあるフロックスの「いいとこ取り」のハイブリッド品種で、優良なフロックスといえます。海外でも高評価で、国内でもジャパンフラワー・オブザイヤー2023-2024の最優秀賞を受賞していることからもガーデンプランツとして優秀なことは明らかです。
また、このフロックスは、12カ国以上の種苗会社が参加する共同プロジェクト「PW(ブルーブンウィナーズ)」のオープニングアクト・シリーズの品種でもあり、2024年から販売がはじまりました。PWマークは、世界中の育種家が作出した優れた品種の中から厳選に厳選を重ね、1万種に1種類という熾烈な競争を経て与えられるもので、育てやすさやパフォーマンスなどが高いという評価を受けています。
【Data】
■ ハナシノブ科 宿根草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名:Phlox ‘Opening Act Pink-a-Dot’
■ 別 名:クサキョウチクトウ、オイランソウ など
■ 花 期:春~初夏
■ 草 丈:50~70cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:70~90cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(マイナス15~マイナス25℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:日なた~やや半日陰
セレクト5
パイナップルリリー(ユーコミス)
‘スパークリングバーガンディ’

パイナップルリリーにもさまざまなタイプがありますが、この品種は草丈50~80cm前後と大型で、寒冷地でも地植えのまま越冬できる唯一の系統です。エキゾチックな雰囲気がある銅葉のパイナップルリリーで、耐寒性が強い性質が備わっていることからも人気となりました。越冬後、春早くに光沢のある渋いブロンズ色の葉が芽吹き、夏頃にパイナップルを思わせるユニークな花を咲かせます。

2000年頃、一時期アメリカより輸入して販売していたものの当時は知名度がなく、寒冷地で庭植えしても越冬できることが信じがたかったことや、苗が量産できなかったことから販売を中断していた経緯があります。

しかし、近年、そのスタイリッシュなフォルムが評価され、ドライガーデンにも向いていることからも、問い合わせが多くなりました。量産にも成功したことから2025年から通販のラインナップに加わって人気となりました。

冬は落葉して球根のような状態で越冬し、春早いうちからブロンズ色の葉が芽吹きます。このシックな葉色が庭のアクセントとして活躍するのも魅力です。
6月頃から花茎が伸び始め、3cmほどの星形の花をたくさん咲かせて堂々とした姿を見せます。植え場所や地域によっては1m近くなり、雄大に咲いて存在感は抜群です。開花~花後には葉色は緑に変化し、秋になると黄色く紅葉して冬には完全に落葉します。

このパイナップルリリーのコモサ種は、冬は寒くとても乾燥し、夏は暑く雨が多いという、南アフリカの東ケープ州とクワズール・ナタール州の標高1,600m前後の岩場に自生しています。このような環境に準じた管理をすると元気に大きく育ちます。
ロックガーデンや乾きやすい植え場所と用土を選んで、真夏に極端な水切れがないように注意するとよいでしょう。高温多湿に強く、猛暑地でも夏越しは難しくありません。冬は落葉しますが、多湿になると腐りやすいので、なるべく乾いた状態にして越冬させてください。土が乾き気味であれば極寒冷地でも越冬できます。
場所選びがうまくいけば、植えっぱなしで放任でも増える丈夫な植物です。
【Data】
■ キジカクシ科(ユリ科) 多年草(耐寒性多年草)冬季半常緑~落葉種
■ 学 名:Eucomis comosa ‘Sparkling Burgundy’
■ 別 名:ホシオモト、パープルパイナップルリリー など
■ 花 期:初夏~盛夏
■ 草 丈:50~80cm前後(生育後・花丈も含む)
■ 株張り:40~60cm前後(生育後・環境差がある)
■ 耐寒性:強い(マイナス12~マイナス15℃ ※環境差がある)
■ 耐暑性:強い
■ 日 照:日なた
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -

おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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