夏の庭や玄関先を華やかにしてくれる寄せ植え。小さなバスケットにふんわりまとめたり、脚付きの鉢で軽やかな見せ場をつくったり、大鉢で花壇のような景色を演出したり——。寄せ植えは、サイズだけでなく、器の形によっても似合うフォルムが変わります。
今回は、初夏から夏にかけて楽しみたい寄せ植えを「小・中・大」のサイズ別にご紹介。使われている植物の組み合わせに加え、横長のバスケット、脚付き鉢、大型テラコッタ鉢、それぞれの器の特徴を生かした仕立て方にも注目します。置き場所やスペースに合わせて取り入れられる、花合わせのアイデアを鳥取県米子の面谷クリニックの庭を参考に見ていきましょう。
目次
横長バスケットで楽しむ、ふんわり可憐な寄せ植え

小さなバスケットの寄せ植えは、玄関先の棚やガーデンテーブル、門柱まわりなど、ちょっとした場所に季節感を添えたいときにぴったり。ナチュラルなカゴの素材感に、ピンクと白の小花を合わせることで、軽やかでやさしい雰囲気に仕上がります。
使われているのは、スーパーベル ダブルピンクリップル、ディアスキア、ユーフォルビア ‘ダイアモンドフロスト’、斑入りハゴロモジャスミン。

主役は、バラ咲きのような表情をもつスーパーベル ダブルピンクリップル。小さな花ながら華やかさがあり、バスケットの縁からこぼれるように咲く姿が魅力です。そこに、可憐なディアスキアを合わせることで、ピンクの花色に奥行きが生まれます。
全体をふんわりつないでいるのが、白い小花を散らすユーフォルビア ‘ダイアモンドフロスト’。花と花の間に空気感をつくり、寄せ植え全体を軽やかに見せてくれます。さらに斑入りハゴロモジャスミンの葉が入ることで、動きが加わりより自然な表情に。
横長バスケットは「低く、ふんわり、横に流す」

小さなバスケットは、口が横に広く、高さはあまり出ない器です。この形の場合、上に高く盛り上げるよりも、器の横長ラインに沿って、花をふんわり広げると自然に見えます。大事なのは、バスケットの可愛らしさを消さないこと。
花をぎゅうぎゅうに詰めて丸く大きくしすぎると、カゴの軽やかさが失われます。あくまで低めに、外側へこぼれるように仕上げることで、カゴの素材感と花のやさしさが響き合います。
ただし小さな容器は土の量が少ないため、夏は水切れしやすい点に注意。真夏の強い直射日光を避け、午前中だけ日が当たる場所や明るい半日陰で管理すると、やさしい雰囲気を長く楽しめます。
中サイズの鉢でつくる、涼しげな玄関先のフォーカルポイント

直径30〜40cmくらいの中サイズの鉢植えは、玄関先や庭の一角に置くだけで、小さな見せ場をつくれるサイズ感。大鉢ほどのスペースは必要ありませんが、花色や草姿を組み合わせることで、十分に華やかな印象を演出できます。

使われているのは、ペチュニア ‘アマゾナス プラムコカトゥー’、スーパートレニア カタリーナ ‘アイスリバー’、ネペタ ‘プルシアンブルー’、ペンタス ‘ソラ’、ユーフォルビア ‘ダイアモンドフロスト’、宿根キンギョソウ ‘アールグレイ’、アイビー。
この寄せ植えの魅力は、紫、淡いブルー、白を重ねた涼しげな色合わせ。ブルー系で色のトーンをそろえると、複数の植物を使ってもごちゃつかず、洗練された印象になります。
脚付きの鉢は、高さを生かして上にも下にも動きを出す

高さのある脚付き鉢は、花を目線に近づけてくれる器。鉢の足元が見えることで、花の部分が宙に浮いたように見え、玄関先や庭の一角で目を引くフォーカルポイントになります。中央にはネペタや宿根キンギョソウのように立ち上がる植物を入れ、縁にはペチュニアやトレニアのようにやや枝垂れる植物を合わせると、器の形が引き立ちます。脚付き鉢は器自体がエレガントなので、花も色数を絞り、上品にまとめます。
大鉢で庭の景色をつくる、花壇のような寄せ植え

一番大きな鉢は、まさに庭の景色をつくる存在。門まわりや庭の入口に置けば、それだけで空間の印象を大きく変えてくれます。大鉢の寄せ植えは、ひと鉢の中に小さな花壇をつくるような感覚で、花の高さや形、色の重なりを楽しめるのが魅力です。

使われているのは、宿根ガーベラ、ディアスキア ‘トリニティ’、バーベナ・リキダ ‘ベノーサ’、ブラキカム ‘ブラスコバイオレット’、リシマキア ‘ボジョレー’、マーガレット ‘チェルシーガール’、ユーフォルビア ‘ダイアモンドフロスト’、ペチュニア ‘イエス ピンクスマイル’。

この寄せ植えは、花の形の組み合わせがとても豊か。宿根ガーベラやマーガレット ‘チェルシーガール’の丸い花が目を引き、リシマキア ‘ボジョレー’のシックな花穂が縦のラインをつくります。そこに、バーベナ・リキダ ‘ベノーサ’やディアスキア ‘トリニティ’の小花が面で広がり、鉢全体に自然なボリュームを生み出しています。

鉢縁では、ペチュニア ‘イエス ピンクスマイル’やブラキカム ‘ブラスコバイオレット’がヴィヴィッドな色を添え、ユーフォルビア ‘ダイアモンドフロスト’が白い霞のように全体をつなぎます。ピンク、紫、赤紫、白が重なり合い、華やかでありながら庭の緑にもなじむ色合わせです。
大型テラコッタ鉢は器の重厚感に負けない、花壇のようなボリュームで受ける

テラコッタの大型鉢は、庭の中でかなり存在感があるので、植栽が小さくまとまりすぎると、鉢だけが目立ってしまいます。鉢と植物に一体感を出してきれいに見せるには「鉢の口径より少し大きく見えるくらい」に植物を広げるのがポイント。中央に高さと密度をつくり、外側へ花があふれるように広がる半球形のフォルムを意識しつつ、ただの丸い寄せ植えではなく、ところどころに花穂や小花の動きが入れることで、自然な揺らぎを演出します。
ただし、このサイズの大鉢をそのまま家庭で再現するのは少しハードルが高いもの。大切なのは鉢の大きさではなく、植物の役割分担です。丸く咲く花、穂状に咲く花、小花、ふわっと散る白花、鉢縁からこぼれる花。この5つの要素を意識すると、ひと鉢の中に奥行きが生まれます。
直径40〜45cmほどの鉢なら植物数を減らして、横長のプランターなら配置を横に広げても楽しめますし、花壇にも置き換えられます。
寄せ植えを夏に長く楽しむための管理ポイント

今回の寄せ植えは、初夏から夏にかけて華やかに楽しめる花合わせです。ただし、すべての植物が真夏の高温多湿を得意とするわけではありません。特にディアスキア、マーガレット、リシマキアなどは、暑さや蒸れで株が疲れやすくなることがあります。
夏に長く楽しむには、花がらをこまめに摘み、混み合った部分をすかして風通しをよくすることが大切です。梅雨前や花が一段落したタイミングで軽く切り戻すと、株の蒸れを防ぎ、再び咲きやすくなります。

また、小さなバスケットや中鉢は土の量が限られるため、水切れに注意。反対に、大鉢は乾きにくい部分もあるので、表面だけでなく鉢の中の湿り具合を見ながら水やりします。真夏は強い西日を避け、風通しのよい場所で管理すると安心です。
寄せ植えは、植物の組み合わせだけでなく、器の形とのバランスも大切です。横長のバスケットなら低くふんわり、脚付き鉢なら高さを生かして軽やかに、大型鉢なら花壇のようなボリュームで。器の特徴に合わせてフォルムを考えると、同じ植物でもぐっと美しく見せることができます。それぞれの植物の役割や色合わせを意識すれば、置き場所に合わせて、自分らしい夏の寄せ植えを楽しむことができますよ。
寄せ植え制作/安酸友昭(ラブリーガーデン)
Credit
話 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -

おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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まとめ・写真 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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