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花が少なくなる7〜8月の庭に涼風を。暑さ・寒さに強い「オカトラノオ」でおしゃれな群生を作るポイント

花が少なくなる7〜8月の庭に涼風を。暑さ・寒さに強い「オカトラノオ」でおしゃれな群生を作るポイント

Kristine Rad/Shutterstock.com

暑さで庭の花が少なくなる7〜8月。ダイナミックに伸びる白い花穂で、ガーデンに爽やかな風を吹き込んでくれるのが「オカトラノオ」です。トラの尾のような愛らしい曲線を描く花姿は、ナチュラルガーデンやイングリッシュガーデンのアクセントとしてプロからも愛されています。昔から日本に自生する植物のため、強健で手をかけなくてもよく育ち、毎年咲いてくれるのも魅力。この記事では、オカトラノオの名前の由来や花言葉といった豆知識から、美しい庭をキープするための栽培環境、剪定のコツまで詳しくご紹介します。

オカトラノオの基本情報

オカトラノオ
Shinshu/Shutterstock.com

植物名:オカトラノオ
学名:Lysimachia clethroides
英名:Gooseneck loosestrife、Loosestrife
和名:オカトラノオ(丘虎の尾、岡虎の尾)
その他の名前:リシマキア
科名:サクラソウ科
属名:オカトラノオ属(リシマキア属)
原産地:日本、朝鮮半島、中国、台湾、ロシア東部
形態:宿根草(多年草)

オカトラノオはサクラソウ科オカトラノオ属の山野草です。原産地は日本、朝鮮半島、中国、台湾、ロシア東部など。日本では野原や低い山地の日当たりのよい場所に分布し、やや湿り気のある土壌を好みます。昔から日本に自生してきたため寒さや暑さに強く、放任してもよく育つ強健な植物です。多年草で3月下旬から芽吹いて7〜8月に開花した後は晩秋まで葉姿で過ごし、11月下旬に落葉して休眠します。翌春には再び芽吹き、一度植え付ければ毎年開花を楽しめる息の長い植物です。

風に揺れるオカトラノオと蜜を吸うチョウ。DOCU-I/Shutterstock.com

オカトラノオの花や葉の特徴

オカトラノオ
Tamotsu Ito/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:7〜8月
草丈:40〜100cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:白

オカトラノオの草丈は40〜100cm。開花期は7〜8月で、白い花を咲かせます。花径は1cm前後で一つひとつは小さいのですが、15cmほどの花穂を伸ばして多数の小花を咲かせ、下から上へ咲き上がっていくのでダイナミックな咲き姿を楽しめます。花穂はゆるくカーブするのが特徴です。秋には小さな果実が多数つき、種子を採ることができます。葉は互生につき、細長い楕円形で細かい産毛を持っています。地下茎を伸ばして増えていき、やや増えすぎるきらいがあるので、繁茂しすぎて周囲との調和を乱すようであれば適宜抜き取るとよいでしょう。

オカトラノオの名前の由来と花言葉

オカトラノオ
Khairil Azhar Junos/Shutterstock.com

オカトラノオにはさまざまな名前があるので、由来も含めてご紹介します。

【和名】オカトラノオ

オカトラノオは漢字で「丘虎の尾」または「岡虎の尾」と書きます。野山や丘などに自生しており、しなるように伸びる花姿がトラのしっぽに似ていることが名前の由来です。

オカトラノオ
名前の由来となった長くしなる花穂。billysfam/Shutterstock.com

【学名】Lysimachia clethroides

学名はリシマキア・クレスロイズ。「リシマキア」は、マケドニア王リシュシマコスへの献名で、この花を使って興奮した牛を落ち着かせたことにちなむとされています。「クレスロイズ」は、リョウブ属の植物に似ていることが由来です。

【英名】Gooseneck loosestrife

グースネックは、直訳すると「ガチョウの首」で、花穂がゆるくカーブする姿がガチョウの姿に似ていることから、この名前がついたようです。「Loosestrife」は学名の「lysimachia」を英語に翻訳した際に定着したといわれ、主にミソハギ科やオカトラノオなどサクラソウ科の一部の植物の総称として広く使われています。

オカトラノオの花言葉・誕生花

オカトラノオ
Alex Manders/Shutterstock.com

オカトラノオの花言葉は、「騎士道」「幸せな結婚生活」「幸福」「喜び」「忠実」「貞操」「優しい風情」「清純な恋」など。「騎士道」は学名が由来とされており、ほかは美しい花姿をイメージしたものと考えられます。また、8月15日の誕生花です。

オカトラノオの代表的な仲間

オカトラノオの仲間についてピックアップしてご紹介します。

ヌマトラノオ

ヌマトラノオ
N.Stertz/Shutterstock.com

日本(北海道を除く)、朝鮮半島南部、中国南部、台湾、ベトナムに自生。「沼虎の尾」の名前の通り湿地を好みます。草丈は30〜70cmで、茎葉には産毛は見られず、葉は小さめ。オカトラノオ同様に花穂を上げて多数の白い花をつけますが、カーブすることなくストレートに立ち上がるのが特徴です。

イヌヌマトラノオ

イヌヌマトラノオ
corn-flower/Shutterstock.com

オカトラノオとヌマトラノオの交雑種。両親の特性が見て取れ、葉はヌマトラノオのように小さめで細長く、葉の付け根付近がオカトラノオのように赤くなります。茎には産毛が多くつき、花穂は緩やかに曲がります。一般的には結実しないようです。

ミズトラノオ

ミズトラノオ
F_studio/Shutterstock.com

漢字で「水虎の尾」と書く通り、湿地や水辺などに自生する水生植物です。別名はムラサキミズトラノオ。草丈は30~50cmで葉は細長く、輪生します。開花期は8~10月で、花色は淡い紫色。花穂を伸ばして密に小さな花をつけます。環境省レッドリスト2020の「絶滅危惧Ⅱ類」に指定。

ヤナギトラノオ

ヤナギトラノオ
Grigorii Pisotsckii/Shutterstock.com

漢字で「柳虎の尾」と書き、葉がヤナギのように細く、花はオカトラノオに似ていることにちなんでいます。日本では本州中部地方以北、北海道に分布し、湿地などに自生。草丈は30~80cmで、葉は対生します。開花期は6~7月で、花色は黄色。葉の付け根から花穂を伸ばし、小さな花を多数つけます。

リシマキア・アトロプルプレア‘ボジョレー’

リシマキア・アトロプルプレア
billysfam/Shutterstock.com

リシマキア・アトロプルプレア(アトロパープレア)は、オカトラノオと同属の短命な多年草。よく栽培される園芸品種の‘ボジョレー’は、シルバーがかった葉に黒に近い赤紫色のシックな花色を持ち、アンティークな雰囲気から、ガーデンプランツとして人気の高い種類です。草丈は20~65cm。暑さはやや苦手で、強い乾燥に注意して育てます。

リシマキア‘ファイヤークラッカー’

リシマキア‘ファイヤークラッカー’
Alex Manders/Shutterstock.com

リシマキア‘ファイヤークラッカー’は、オカトラノオと同属の多年草。黒から紫色の落ち着いた色調の葉と、鮮やかな黄色の花との対比が目を引く園芸品種です。開花時期は6〜8月で穂状に花を咲かせます。草姿は直立して地下茎により広がって、草丈約60〜120cmと丈高く、ボーダー花壇の背景などにも効果的です。

オカトラノオの栽培12カ月カレンダー

開花時期:7〜8月
植え付け・植え替え:2〜3月
肥料:3〜9月(鉢植え)
種まき:2月頃

オカトラノオの栽培環境

オカトラノオ
Tamotsu Ito/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰の環境でも生育しますが、極端に日当たりの悪い場所では、ひょろひょろと徒長した軟弱な株になり、また花つきも悪くなるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水もち・水はけのよい環境を好むので、腐葉土や堆肥を多めにすき込み、腐植質に富んだふかふかの土壌づくりをしておきましょう。やや湿り気のある環境を好むので、乾燥しやすい場所ではマルチングなどを施しておきます。

耐寒性・耐暑性

オカトラノオの耐寒温度はマイナス15~マイナス25℃。暑さ寒さに強いので、特に季節による対策を講じる必要はありません。

オカトラノオの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んでよく耕し、有機質に富んで水はけ・水もちのよい土壌を作ります。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後はほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。夏は特に水を欲しがるので、水切れには注意しましょう。また、冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。しかし、株の生育に勢いがない時などがあれば、液肥を与えて様子を見てください。

越年後、鉢植えでは3〜9月に緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。地植えの場合は基本的に追肥は不要ですが、株の生育に勢いがない時などがあれば、液肥を与えて様子を見ます。

注意する病害虫

アブラムシ
muroPhotographer/Shutterstock.com

【病気】

オカトラノオの栽培では、病気の発生はほとんど見られません。

【害虫】

オカトラノオに発生しやすい害虫は、ヨトウムシやアブラムシなどです。

ヨトウムシは蛾の幼虫で、漢字で「夜盗虫」と書き、主に夜に姿を現して茎葉を食害します。大きくなった幼虫は食欲が旺盛で、一晩に株を丸裸にしてしまうほどです。葉から食害し始めるので、異変を察したら幼虫がまだ若いうちに駆除しましょう。発生しやすい時期は4〜6月、9〜10月です。食害の跡が認められたら夜にパトロールして補殺するか、適用する薬剤を散布して防除します。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4㎜の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

オカトラノオの詳しい育て方

苗の選び方

オカトラノオの苗を購入する際は、葉色が鮮やかで、節間ががっしりと締まって株元がぐらつかず、勢いのあるものを選びます。葉が傷んでいるものや、ヒョロヒョロと間のびしているもの、病害虫の痕があるものは避けたほうが無難です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Vlyaks/Shutterstock.com

オカトラノオの植え付け・植え替えの適期は、2〜3月です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。

地植えにしている場合は、3〜5年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2まわり大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えの場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、毎年植え替えます。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

日常の手入れ

オカトラノオ
High Mountain/Shutterstock.com

【支柱の設置】

草丈が高くなるので早めに支柱を設置して茎を誘引しておくと、強風による倒伏を防げます。

【花がら摘み】

終わった花がいつまでもついているようであれば取り除き、花穂が衰えたら、元から切り取ります。花がらを除去して株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして、長く咲き続けてくれます。

剪定・切り戻し

剪定
Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com

オカトラノオは秋が深まると地上部を枯らして休眠するので、地際で刈り込んでおきましょう。枯れた茎葉をそのまま残しておくと病害虫の越冬地となってしまうので、株まわりをきれいにしておきます。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

オカトラノオは、種まきと株分けで増やすことができます。

【株分け】

オカトラノオの株分け適期は2〜3月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

【種まき】

オカトラノオを種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くて多数の苗を植えたい場合は、コストカットにもなります。

オカトラノオの種まき適期は2月頃です。種まきから栽培する場合、花壇などに種を直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすいので、種まき用のトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種をまき、適した場所で管理すると、より確実です。

種まき用のトレイを準備し、市販の草花用の培養土を入れて種をまきます。覆土は種が隠れる程度が目安です。種が流れだすことのないように、水やりは水を浅く張った容器にトレイを入れ、底から給水します。発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。

発芽したら日の当たる場所で管理し、数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので注意します。

本葉が2〜3枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用の培養土を入れて、根を傷つけないように苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。ポットに根が少し回るくらいまでを目安に育苗し、幼苗のうちに植えたい場所に定植します。年内に開花することはなく、順調に生育すれば越年後の夏から開花します。

しっぽのような愛らしい花姿が魅力! オカトラノオで季節を感じる庭づくりを

オカトラノオ
Peter Turner Photography/Shutterstock.com

夏の厳しい暑さのなか、涼しげに風に揺れるオカトラノオの白い花穂は、見る人の心をそっと和ませてくれます。 昔から日本の気候に馴染んできた植物だからこそ、手がかからず、毎年裏切らずに美しい姿を見せてくれる強健さは、忙しい現代に何よりの魅力です。

夏を彩った後は、秋の深まりとともに美しい紅葉へと表情を変え、お庭やベランダに一歩進んだ季節の訪れを教えてくれます。 初心者でも安心してスタートできるオカトラノオを、ぜひあなたのお家にも迎えて、愛らしい「トラのしっぽ」と四季の移ろいを楽しんでみませんか?

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