キントラノオは可憐な黄色の花が魅力! 特徴や育て方、コウシュンカズラとの違いを解説
キントラノオという樹木をご存じでしょうか? 黄色の可憐な花をつけ、洋風の庭にも和風の庭にも合う自然な雰囲気の花木です。この記事では、キントラノオの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方のポイントについて詳しくご紹介します。
目次
キントラノオの基本情報
植物名:キントラノオ
学名:Galphimia glauca
英名:rain of gold、golden showers、thryallis、shower of gold
和名:キントラノオ(金虎の尾)
その他の名前:ゴールドシャワー、レインオブゴールド、コウシュンカズラ‘ミリオンキッス’
科名:キントラノオ科
属名:キントラノオ属
原産地:メキシコなど中央アメリカ
分類:常緑性低木
キントラノオは、キントラノオ科キントラノオ属の常緑低木で、学名はGalphimia glaucaです。原産地はメキシコで、ゴールドシャワーやレインオブゴールドという別名でも知られています。成長すると樹高は1〜2mになりますが、鉢植えであればよりコンパクトに育てることも可能です。コウシュンカズラの名で出回ることもありますが、本来のコウシュンカズラは別の植物なので注意が必要です。
キントラノオの花や葉の特徴
園芸分類:庭木
開花時期:8~11月
樹高:1〜2m
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:黄
キントラノオの花期は8〜11月で、枝先に1〜2cmの小さな黄色い5弁花を咲かせます。自生地では周年開花しますが、寒さに弱く、日本で周年花を楽しむためには、冬季に霜が降りる地域では温室や室内などで管理する必要があります。
葉は卵形で緑色に粉白を帯び、寒さにあたると紅葉します。株はブッシュ状に整い、環境がよいと自然にまとまります。ブッシュ状というのは、株元から枝が密生している状態のこと。常緑性ですが、日本では冬の寒さにより葉が落ちたり枝が枯れたりすることが多いです。その場合も、根が枯れていなければ、春にまた新芽が伸びてきます。
キントラノオの名前の由来や花言葉
キントラノオの属名Galphimiaは、キントラノオ属と近縁なMalpighia(ヒイラギトラノオ属)の綴り替えといわれていますが、詳細は不明です。種小名のglaucaは「帯白色」を意味し、キントラノオの葉が粉白を帯びることに由来しています。
キントラノオの花言葉は「誠実な愛情」「飾らない心」「豪華」です。
キントラノオとコウシュンカズラの関係とは
キントラノオはコウシュンカズラという名前で流通することがありますが、これらは異なる植物です。キントラノオはキントラノオ科キントラノオ属の常緑低木で、一方のコウシュンカズラはキントラノオ科トリステラティア属の木性つる植物です。
キントラノオとコウシュンカズラは花柄の長さが異なり、キントラノオは8〜12mm、コウシュンカズラは15〜30mmです。また、キントラノオは低木、コウシュンカズラはつる性植物なので、草姿で区別がつきます。ただし、コウシュンカズラも小さいときは低木状のため、苗の時点では区別しづらいことがあります。
また、キントラノオが「コウシュンカズラ‘ミリオンキッス’」の流通名で販売されることもあり、かなりあいまいな状態となっています。
キントラノオの近縁の仲間
キントラノオやコウシュンカズラ以外にも、さまざまなキントラノオ科の植物があります。ここでは代表的な種類をいくつかご紹介します。
ツルキントラノオ
ツルキントラノオは、キントラノオ科ツルキントラノオ属のつる性常緑低木です。針金のような細いツタを長く伸ばします。原産地は南アメリカで、英名ではオーキッドバイン(orchid vine)とも呼ばれています。また、6~10月には、花びらの縁がひだになった小さな黄色い5弁花を咲かせます。
アセロラ
アセロラは、キントラノオ科ヒイラギトラノオ属(Malpighia属)の常緑低木です。原産地は熱帯アメリカで、春から秋にかけて5弁の花が咲きます。花は開花直後は濃いピンク色で、次第に白くなります。アセロラは自家結実性で、花後に真っ赤な果実がなり、実は食べられます。アセロラの実はほかの果実と比べてビタミンCの含有量が高いことが知られています。
アメイシャ
アメイシャは、キントラノオ科ブンコシア属の常緑低木です。原産地はアンデス山脈で、現地では一年中開花し、黄色い小花を8〜12個つけます。花後には薄緑色の実がなり、熟すにつれて橙色になります。実の食感や味から、ピーナツバターフルーツとも呼ばれています。
キントラノオの栽培12カ月カレンダー
開花時期:8〜11月
植え付け・植え替え:4〜5月
肥料:4〜10月(真夏を除く)
キントラノオの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日光を好むため、春から秋にかけては戸外の日当たりのよい場所で管理しましょう。日陰でも育てられますが、花付きが悪くなることがあります。ただし、夏は直射日光が当たる場所では水切れを起こしやすいため、半日陰に移動するか遮光をすると安心です。
【日当たり/屋内】寒さに弱いため、冬は室内の日当たりのよい場所で管理するとよいでしょう。
【置き場所】寒冷地では冬に室内に取り込めるよう、鉢植えでの栽培のほうが管理しやすいです。暖地では地植えにもできますが、なるべく夏に直射日光が当たらないところを選びましょう。
耐寒性・耐暑性
耐寒温度はマイナス3℃程度で、霜の降りにくい暖地では屋外でも越冬できます。気温が下がると葉が落ち、霜にあたると地上部が枯れ込みますが、根が枯れていなければ、春にまた新芽が伸びてきます。冬越し中は乾燥気味に管理しましょう。
キントラノオの育て方のポイント6つ
用土
キントラノオは水はけのよい酸性土壌を好みます。用土は一般的な市販の培養土や、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものを使います。
水やり
地植えの場合は、根づいてしまえば基本的に不要です。葉がしおれるほど過度に乾燥している場合は水やりをして補います。鉢植えの場合は、表土が乾いたら水やりをします。真夏は乾燥しやすいので、水切れに注意しましょう。冬は水やりを控え、乾燥気味に管理します。
肥料
植え付け時には緩効性肥料を与えます。その後は春と秋に化成肥料を施すか、生育期に2週間に1回のペースで液体肥料を与えます。
注意する病害虫
注意すべき病害虫は特にありません。
キントラノオの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、株元がぐらつくものは避け、葉の色艶がよく茎が締まって丈夫なものを選びましょう。
植え付け・植え替え
植え付けや植え替えの適期は4~5月です。地植えの場合は、腐葉土や堆肥を混ぜて水はけをよくしておきましょう。鉢植えの場合は、2年に1回を目安に植え替えを行います。その際、土を1/3ほど落とし、地上部も刈り込んで、同じ大きさか1回り大きな鉢に植え替えます。
日常のお手入れ
枝が伸びて樹形が乱れていたら、剪定して整えます。剪定はいつでもできますが、花芽を確認できる開花前か、開花後に行うと花芽を落とさずにすみます。特に、開花後に剪定すると、脇芽が発生して花付きがよくなるのでおすすめです。また、樹高をあまり高くしたくないときは、株元から20cmほどまで切り戻しましょう。
夏越し・冬越し
夏の直射日光に当たると乾燥して弱りやすいため、夏は半日陰に置くか遮光するようにしましょう。
キントラノオの耐寒温度はおよそマイナス3℃です。寒冷地では鉢植えにして、冬は室内に取り込んで日当たりのよいところで管理するとよいでしょう。暖地であれば戸外で冬越しできますが、北風の当たらない場所を選びます。寒さで紅葉した後に葉が落ちることがありますが、根まで枯れていなければ春に新芽が伸びてきます。冬の間は水やりを控えめに管理しましょう。
増やし方
キントラノオは挿し木で増やすことができます。挿し木の適期は4~5月です。
挿し木の方法は、次のとおりです。2〜3節つけて枝を切った挿し穂を用意し、下方についている葉を取り除いたら、水の入ったコップなどに入れて十分に水揚げします。その後、しっかり湿らせた清潔な挿し木用土に挿し、乾かさないように管理します。発根したら鉢や庭に植えましょう。
キントラノオで夏~秋の庭を明るく元気に
キントラノオは丈夫で育てやすく、樹高も剪定すれば大きくならないので初心者の方にも取り入れやすい花木です。黄色の小さな花はさまざまな雰囲気に合わせやすく、和風の庭にも洋風の庭にもおすすめ。夏~秋に庭を明るく彩るキントラノオを育ててみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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