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11月からでも間に合う! 家庭菜園TOP5|玉ねぎ・イチゴ・葉もの・そら豆・スナップえんどうの始め方

11月からでも間に合う! 家庭菜園TOP5|玉ねぎ・イチゴ・葉もの・そら豆・スナップえんどうの始め方

11月から始められる家庭菜園TOP5をご紹介。関東以西の平地なら、玉ねぎ、イチゴ、葉もの、そら豆、スナップえんどうの5種はまだ十分栽培をスタートできます。プランターと地植えの具体的手順、失敗回避のコツ、秋〜冬までのQ&Aまで一気に解説。出遅れた人のためのリカバリー策もご紹介!

まずは「共通準備」チェックリスト

  • 用土:新しい野菜用培養土。通気性UPのためにパーライトor軽石1〜2割をブレンド。
  • 元肥:緩効性肥料を控えめに。低温期は効き方がゆっくりになるため。
  • 容器サイズ:各野菜ごとに解説。
  • 防寒:不織布のベタがけ、黒マルチ、ワラ、風よけネットなどで北風対策。
  • 水やり:秋冬は低温により蒸散量が少ないので、土が乾きにくいので過湿に注意。
    • <プランターの場合>表土が乾いてから2〜3日してから、朝に水やり。夜まで水が残ると加湿で根腐れの原因に。受け皿の水は捨てる。
    • <地植えの場合>植栽直後と活着(根が安定する)までの2週間は2〜3日に1回水やりし、その後は基本的に自然の降雨に任せる。
  • 日照:直射4時間以上を目標に。

<地域メモ>
寒冷地:玉ねぎ、そら豆はなるべく早めに。苗から、保温前提で。
暖地:スナップえんどうは12月初旬までOK。

玉ねぎ(苗から)|“細苗・浅植え”が成功の分かれ道

タマネギ
収穫前に肥料を切ることで貯蔵性が高まる。

植えどき:10月下旬〜11月中旬
収穫目安:早生は4〜5月、中・晩生は5〜6月

<プランター>

玉ねぎ栽培
  • 容器:ワイドプランター60〜70cm、深さ25cm以上。
  • 植え付け間隔:株間10cm、条間(列の間)12〜15cm程度で10株程度。
  • 選び方: 鉛筆くらいの太さの苗で葉が上にきちんと伸びているものを選ぶ。
  • 植え方:太すぎると、とう立ちのリスクあり。根から上2〜3cmほどが土に埋まるように植える。葉が分かれている部分まで植えると深植えしすぎ。
  • 追肥:植え付けから1カ月後に1回目は控え目に。寒冷地ではやらなくてもOK。早春、2月下旬〜3月上旬に2回目。3月上旬以降はやらない。与えすぎると赤さび病や貯蔵性低下のリスクあり。

<地植え>(*記載以外はプランターと同様)

玉ねぎ栽培
  • :幅75cm、高さ10cm程度の畝で排水を確保。
  • 植え付け間隔:株間、条間ともに12〜15cm程度。
  • マルチ:黒マルチで寒さ対策、雑草対策にも効果的。

<よくある失敗&回避策>

  • とう立ち→太苗を選ばないこと。肥料のやりすぎもNG。施肥は元肥+1〜2回。
  • 深植えで玉ねぎが大きくならない→首元が見えるように浅植え。
  • 過湿で根腐れ→高畝+朝の水やり+受け皿に水を残さない。
  • 収穫後傷む→収穫前は肥料を切る。

イチゴ(苗から)|“クラウンを埋めない” “風通し”が肝

イチゴ栽培
実が地面につかないように高畝にすると傷みにくい。Goskova Tatiana/Shutterstock.com

植えどき:10月末〜11月中旬
収穫目安:4〜6月(四季成りは秋も実がつきますが、秋植えは春がメイン)

<プランター>

イチゴの栽培
  • 容器:ワイドプランター65cm、深さ25cm以上
  • 植え付け間隔:イチゴの苗は生育とともに横に大きく広がるので、株間15〜20cmをとり、2〜3株植え付ける。スペースが狭いと蒸れて病気のリスクあり。
イチゴのクラウン
株元の王冠に似た形の部分をクラウンと呼ぶ。Sergio Photone/Shutterstock.com
  • 選び方: クラウン(株元の茎と根の境目)が太くしっかりしているもの、葉が3〜4枚しっかり立っているものを選ぶ。
  • 植え方:クラウンを埋めないように植える。泥はね、灰色カビ病の予防にバークやワラ、もみがらなどを表土に敷き詰めておく。
  • 追肥:早春、2月下旬〜3月上旬に発芽のスタート時期に化成肥料or液体肥料を控え目に。さらに3月下旬〜5月に花・実の生育を促すためにカリ・リン酸の割合が多い肥料を選び、液肥なら10〜14日に1回、固形肥料なら月に1回施す。*実がついたら窒素は控え目に。窒素が多いと葉ばかり茂って実が太らない。

<地植え>(*記載以外はプランターと同様)

もみがらを敷いたイチゴ畑
もみがらを畝に敷き詰めたイチゴ畑。
  • :幅40〜60cm、高さ10〜20cm程度の畝で排水を確保。霜被害も軽減しやすい。
  • 植え付け間隔:株間、条間ともに30cm程度。
  • マルチ:泥はね、灰色カビ病の予防にバークやワラ、もみがらなどを表土に敷き詰めておく。雑草対策にも効果的。
  • 管理:花期はランナーを切除することで実成に集中。
イチゴのランナー
つるのように伸びるイチゴのランナーは、翌年以降の子株を育てるためには必要だが、今年の実りのためには栄養を奪われるので開花期中、切除したほうがよい。切除してもランナーは再び伸びてくるので心配ない。Maria A8Lar/Shutterstock.com

<よくある失敗&回避策>

  • 苗のカビや腐敗→定植時にクラウンを埋めないように。
  • 過湿・蒸れ→プランターは朝に水やりを。適切な株間をとって風通しを確保。
  • ナメクジ被害→新芽や実の食害が夜間に発生しがち。周辺に「忌避剤」を散布して寄せ付けない。銅テープも忌避効果あり。「駆除剤」は畑の周りに不向きなものもあるので、成分に注意。

ベビーリーフミックス(小松菜・水菜・ルッコラなど)|“薄まき・間引き収穫”

ベビーリーフ
間引きながら育てて食べるベビーリーフミックス菜園。Equitano/Shutterstock.com

ミックスの種類:小松菜、水菜、ルッコラ、春菊、チンゲンサイ、ベビーリーフ用のレタス類。これらは生育スピードが揃いやすく、若採りにも向くのでミックスOK。
播きどき:11月以降も可
収穫目安:ベビーリーフは20〜30日、若採りで45〜60日

<プランター>

  • 容器:深さ25cm程度、容量10〜14L
  • 種まき:スジの割り箸などで土に5〜10mm程度の浅い溝をつけ、そのスジに沿ってタネを播く(条まき・スジまきと呼ぶ)。スジの間隔は15cm程度。タネはスジごとに種類別でもミックスも可。種まきの前に溝を湿らせておく。間引くのが前提なので、一粒ずつ丁寧に播く必要はなく、塩を振るようにパラパラと播けばOK。うっすら土を上からかけて、手のひらで軽く抑えてタネを土に密着させる。ハス口のジョウロでやさしくたっぷり水やり。発芽までは乾かさないようにこまめに水やりを。
種まき
浅い溝に沿ってタネを播く。rsooll/Shutterstock.com
不織布をかける
  • 管理:不織布を「ベタがけ」し、保温と虫除け対策。「ベタがけ」とは支柱を用いずに、不織布や寒冷紗を直接野菜の上からかけ、栽培する方法。夜間の冷え込みや霜、害虫を防ぐ効果あり。水やり時は外す。本葉5枚以上になって葉が混み合って蒸れるので外す。
  • 追肥:薄めの液肥を週1回くらいで与える。発芽直後の双葉の状態では肥料をまだ吸収できないので、本葉2〜3枚の状態(種まき後、約10〜14日後が目安)になったらスタート。収穫期直前には液肥をストップすると、柔らかい葉が収穫できる。

<地植え>(*記載以外はプランターと同様)

  • :平畝でOK。
  • マルチ:保温と泥はね、乾燥、雑草の防止に効果的。畝に水やりをして土を十分湿らす。乾燥状態だとマルチの下に水が浸透しにくいため、マルチを張る前に水をまく。畝全体にマルチング。種まきをする溝部分は幅2〜3cmでスリット状に穴をあける。

<よくある失敗&回避策>

  • ヒョロヒョロ→徒長の原因は日照不足と混みすぎ。タネは薄めに播き、混んできたらすぐに間引いて収穫。
  • 根傷み→過湿が原因。夕方の水やりは避けて。

そら豆|“向き+高畝+風よけ”で越冬を安定

そら豆
3〜5月に黒と白のかわいらしい花を咲かせるそら豆。Paul Maguire/Shutterstock.com

植えどき:10月末〜11月中旬(下旬は苗+不織布)
収穫目安:5〜6月

<プランター>

ソラマメ栽培
  • 容器:ワイドプランター65cm、深さ25cmに2株が目安。
  • 植え付け間隔:株間30cm
ソラマメ栽培
  • 種まき:お歯黒と呼ばれる黒い線の部分を斜め下に向けて、豆の頭が少し見えるように植える。鳥害を防ぐために、本葉が展開するまでは不織布をベタがけするとよい。
  • 追肥:①植え付けから約1カ月後に化成肥料を。②2月下旬から3月初旬の成長再開時期に。③3月下旬〜4月初旬の開花時期に。*過剰な窒素は葉ばかりになるので控える。
  • 支柱:そら豆は茎が直立するものの、風で倒れやすいので草丈30cm前後になったら支柱を立てる。
  • 管理:2月下旬〜3月上旬頃に、地際から生えている10本以上の茎を3〜5本に間引き剪定する。太くて元気な茎を残し、ひょろ長い茎や内側に向かって生えている茎はカット。
  • 風よけ:アーチ支柱を立てて不織布をかけてドーム状に。寒風による蒸散や葉の傷み、折れ対策に。3月中旬以降、気温上昇にともなって撤去。

<地植え>(*記載以外はプランターと同様)

  • :高さ15〜20cm、幅20〜30cmの畝。
  • 植え付け間隔:株間30〜40cm、条間60〜70cm

<よくある失敗と回避>

  • 倒伏→風よけや支柱で対策。徒長も倒伏の一因に。その場合、肥料控えめで対策。
  • アブラムシ→早期の見回り&不織布で予防。

スナップえんどう(絹さやも同様)|“小さく越冬・早めの支柱”

スナップエンドウ
2週間ほど収穫し続けることができるスナップえんどう。denise1203/Shutterstock.com

植えどき:10月末〜11月(暖地は12月初旬まで可)
収穫目安:3〜5月

<プランター>

スナップエンドウ栽培
  • 容器:ワイドプランター65cm、深さ25cmに2株が目安。
  • 株間:30cm
  • 種まき:深さ2cm程度の穴に3粒タネを播き、土をかぶせてやさしく水やり。鳥害を防ぐために本葉が展開するまでは、不織布をベタがけするとよい。本葉が展開したら、勢いのよい芽を2本残して間引く。
  • 追肥:①種まきから約1カ月後に化成肥料を。②2月下旬から3月初旬の成長再開時期に。その後2週間ごと。*過剰な窒素は葉ばかりになるので控える。
スナップエンドウ栽培
  • 管理:冬の間はアーチ支柱などを利用して不織布で覆い、防寒対策を。
  • 支柱: スナップえんどうや絹さやは巻きひげを絡ませて伸びていく植物なので、支柱を立てネットを張って育てる。草丈20cmほどになったら設置(地植え参照)。

<地植え>(*記載以外はプランターと同様)

スナップエンドウ栽培
  • :高さ10cm、幅60〜70cmの畝(1列の場合)
  • 植え付け間隔:株間30〜40cm、条間60〜70cm

<よくある失敗&回避策>

  • 寒さで弱る→不織布で防寒対策を。
  • 倒伏→早めに支柱とネットを設置して、巻きひげが絡む場所を用意。
  • 実がつかない→肥料のやりすぎ、多すぎで、特に窒素過多。控えめ、薄めで。

家庭菜園よくあるお悩みQ&A(秋〜冬版)

Q1. 去年も同じものを栽培し、今年も栽培したいのだけど連作障害はある?

A. あります。玉ねぎやそら豆、スナップえんどうは、連続して同じ場所で栽培すると連作障害が起きて、うまく育ちません。次に栽培するまでには3〜4年あけるのが適切な期間ですが、連作障害対策の資材を用いて土壌改良すれば、連作可能です。

Q2.スナップえんどうのように、そら豆はネットを張らなくていいの?

A. 両者ともにマメ科ですが、スナップえんどうや絹さやは巻きひげで絡んでいく「つる植物」なのでネットが必要です。一方、そら豆は茎が太く自立する直立性の植物なので、ネットを張る必要はありません。ただし、草丈が高くなるので、倒伏防止のために支柱に主枝を留めつけながら栽培したほうが安心。

Q3. 秋冬野菜は水やりの頻度が違うの?

A. はい。気温が下がると蒸散量が減るため、水やりは「乾いてから2日後くらい」が目安。プランターは表面の乾き具合を見て、朝にたっぷり。夕方以降の水やりは避けて、根が冷えるのを防ぎましょう。受け皿の水は必ず捨てます。

Q4. 種まきしても芽が出ないのはなぜ?

A. 発芽には適度な温度と水分、適切な覆土の厚さが必要です。秋は昼夜の寒暖差で地温が安定せず、発芽が遅れることも。覆土はタネの厚みの2〜3倍を目安に。防虫ネットや不織布の“ベタがけ”で保温・乾燥防止をすると、発芽が揃いやすくなります。

Q5. ベランダでできる防寒対策は?

A. 寒風による乾燥や冷えを防ぐには、プランターの風上側に段ボールや簾を立てて風よけを作るのがおすすめ。鉢を寄せてまとめて保温したり、夜だけ簡易ビニールカバーをかける方法も効果的です。完全密封せず、日中は通気を確保してください。

Q6. 鳥やナメクジの被害が心配です

A. ナメクジはイチゴや葉ものの新芽を食害します。ビールトラップや天然成分の忌避剤、銅テープなどが有効。鳥害には光るテープ・防鳥ネットなどが効果的です。寒さでエサが減ると家庭菜園が狙われやすくなるので、早めの対策を。

お買い物リスト(最低限)

  • 不織布(ベタがけ用)/黒マルチ
  • 支柱・ネット(エンドウ・そら豆用)
  • 緩効性肥料(低温期向けに控えめ)
  • パーライト or 軽石(用土改良)
  • バーク or ワラ(イチゴの泥はね防止)

秋冬も家庭菜園を楽しんで!

キッチンガーデン
英国のキッチンガーデン。ツゲで区画分けされた中に、それぞれ玉ねぎや葉もの、豆類が生育し、美しい庭風景の一部に。

11月からでも家庭菜園は十分スタートできます。まずは玉ねぎ・イチゴ・葉もの・そら豆・スナップえんどうのどれか1つからでもOK。もちろん、全部を育てて春の収穫を最大化しても! “越冬対策・過湿回避・風よけ”の3点を押さえれば成功率がグッと上がります。朝の水やりと不織布を味方につけて、秋冬も家庭菜園づくりを楽しみましょう。

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