バジルやパクチーも秋スタートがおすすめ! 畑も鉢もいらないテーブル家庭菜園「セルトレイ栽培」

家庭菜園を始めてみたいけど、場所がない、時間がない、始め方が分からない…と二の足を踏んでいる人におすすめなのが「セルトレイ栽培」。畑もプランターも必要なし! セルトレイという薄べったいトレイ状の容器を使えば、場所を取らずにガーデンテーブルの上などで野菜が栽培でき、しかも多収穫が期待できます。バジルやパクチーなど人気のハーブも秋から栽培が始められますよ。
目次
テーブル家庭菜園「セルトレイ栽培」に必要なもの

●セルトレイ(50穴や72穴など穴のサイズが大きめのもの)
セルトレイとは、プロの生産者が野菜や花を種子から発芽させ、苗を育てるのに使う専用のトレイ。いわば野菜や花の幼稚園です。サイズはさまざまありますが、基本的に深さは3〜5cmと浅く、数cm四方の小部屋(穴)がたくさん並んでいるのが特徴です。セルトレイ栽培では、この穴1つで1苗を種子から収穫まで育てるので、穴のサイズが大きめのものを選びましょう。50穴や72穴が適しています。場所をとらず軽いので、窓辺やガーデンテーブルに置いて野菜やハーブを育てることができます。
●底面給水バット
水を張り、セルトレイをつけるための容器。セルトレイが入るサイズで、水を張れる容器であれば別のものでもOK。

●培養土(必要な肥料が含まれている土)
培養土は種まき専用のものがおすすめです。土にも種類がさまざまあり、種まき用の培養土は土の粒子が細かく、発根したばかりの根がきちんと活着できるように作られています。さらに、発芽から生育していくまでに野菜が必要とする栄養分をあらかじめ含んでおり、生育をサポートしてくれるので安心です。
●野菜の種子
セルトレイ栽培におすすめなのは、カブ、ラディッシュ、バジル、パクチー、クレソン、ミズナ、ベビーリーフなど。
●ハス口付きのジョウロ
ハス口とは、シャワー状に水が出てくるジョウロの先端部分。取り付け・取り外し可能なもののほうが便利。
●防虫ネット
マンションのベランダなどでも虫はやってきます。虫の発生を防ぐには、タネ播き後すぐに防虫ネットをかけるのがおすすめです。
これらの道具は、園芸店やホームセンターで手に入ります。
テーブル家庭菜園「セルトレイ栽培」の始め方

①土をセルトレイの高さすりきりまで詰め、土の内部まで湿るようにハス口の付いたジョウロで水やりをします。目安は底面から水が流れ出すまで。

②土が入った穴の1つずつに、指で押して土をくぼませ、そこに種子を播き、土を軽くかぶせます。表面が湿る程度にハス口のついたジョウロで水をやります。
【種まきのやり方】
- 葉菜類やハーブなど比較的大きめの種子は1穴あたり2〜3粒、小さめの種子は4〜5粒。
- カブやラディッシュは1穴に1粒。
③発芽するまでは直射日光の当たらない場所で(種類によるので種袋の裏を確認)、セルトレイの表面が乾かないように管理します。新聞紙などをかぶせておくとよい場合もあります。発芽したら日当たりと風通しのよい場所へ移動します。カブの種子は、種まきから3〜5日で発芽します。
これで種まきも失敗しない! 安心発芽ポイント

家庭菜園初心者でよくあるのが「発芽しない」というトラブル。のっけから問題にぶち当たって、早々にくじけてしまう人もいますが、種子は基本的に発芽するようにできている偉大な生命装置です。ただし、発芽には条件が必要。発芽しない場合には、以下を確認してみましょう。
★発芽適温を守っていますか?
植物の種子は種類ごとにその植物が生育するのに適した気温があります。気温が高すぎても低すぎても発芽しません。適温は種袋の裏に書いてあるので、必ず確認しましょう。
★水をやりすぎていませんか?
種子が発芽するには水も必要ですが、酸素も必要です。水を始終与えていたり、雨続きで土がずっと濡れている状態だと酸素不足で発芽できません。表面が湿った状態であれば、基本的に水やりをする必要はありません。
★種子を深く埋めすぎていませんか?
種子の中には発芽に光を必要とするものと、そうでないものがあります。多くの場合は発芽に光を必要としませんが、ニンジンやレタスなどは光を必要とするので、種子を播いたらごく薄く土をかけましょう。光を必要とするか、しないかも種袋の裏に書いてあるので、よく読みましょう。また、どの植物も種子を深く埋めすぎると、酸素不足で発芽できません。
テーブル家庭菜園「セルトレイ栽培」発芽後の育て方
【置き場所】
日当たりがよく、風通しのよい場所。ベランダなどでは床面に置くより、ガーデンデーブルの上などトレイを少し高さのある場所に置くと光が当たりやすく、風通しもよくなります。窓辺に置く際は、窓を開けて風が当たるようにしましょう。

【水やり】
発芽の最初は、小さな葉っぱが2枚展開している状態です。それを「双葉」と呼びます。その次に、さらに葉っぱが展開します。それを「本葉」と呼びます。本葉が展開するまでは、ハス口の付いたジョウロで土の表面が乾いたら水をやります。本葉が展開して大きくなってきたら、底面給水バットに水を張り、トレイをつけて底面から吸水させるようにします。水やりの目安は土の表面が乾いたらですが、トレイは土の量が少なく乾きやすいので、高温期には朝晩2回必要になることもあります。
【間引き】
葉菜類やハーブは間引かなくてもOKですが、1穴に1本だけで育てると大きく育ちます。大きく育てたい場合は、双葉が展開した後、しっかりした1本を残して他を間引きます。引き抜くと、残したい1本まで一緒に抜けてしまうことがあるので、土の際で茎を切って間引きます。
【収穫】
●葉菜類やハーブは種子を播いてから1カ月程度で収穫できるようになるので、必要な分だけ切り取ります。収穫する時は根元をハサミで切ると土もこぼれず、周りも汚れません。1回目の収穫が終わった後、週に1~2回液肥を底面給水バットに注いで、生育を維持するようにします。


●カブは種まきから約45日程度で収穫できます。
【虫よけ】

秋も害虫は発生しやすい時期。防虫ネットなどで対策をしましょう。フレームを立てて、ネットを被せます。ネットの上からも水やりができます。
秋から始めるセルトレイ栽培におすすめの野菜

セルトレイは洗えば何度でも繰り返して使うことができます。栽培後、土は新しいものに入れ替えましょう。セルトレイでは、以下のような野菜を栽培できます。これからの季節は、バジルやパクチーなどの種まき適期です。また、カブやラディッシュ、ミズナも種まきができます。いろいろな野菜やハーブを手軽に育てられるテーブル家庭菜園「セルトレイ栽培」にぜひチャレンジしてみてください!

アドバイス・写真提供
タキイ種苗 https://shop.takii.co.jp
Credit
まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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