秋はたくさんの野菜が植えどきを迎えます。家庭菜園初心者におすすめなのは、ニンニクとラッキョウ。きちんと準備した土に植えさえすれば、後はほとんど手間なく育つので、忙しい人にこそチャレンジしてもらいたい種類です。そして意外と知られていませんが、花もかわいい! ガーデンに取り入れるのもおすすめですよ。

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種球を購入して植えよう

ラッキョウの種球
ラッキョウの種球。

ニンニクもラッキョウも、どちらも秋になると「種球(たねきゅう)」という球根がホームセンターなどに並ぶようになります。栽培する際はこの種球を植えて育てます。種球は一見すると、ニンニクそのもの、ラッキョウそのものの姿をしていますが、土に植えた際にウイルス病にならないよう薬品が施されているので、これを食べたりはしないようにしましょう。栽培過程でこの薬品はなくなり、収穫物は安心して食用できます。一方、スーパーで食用として販売されているニンニクは、薬品処理されていないのでウイルス病にかかってきちんと育たない可能性もあります。また、食用のものは芽が伸びたり、根が伸びてしまうと商品価値が下がってしまうため、「芽止め」や「根止め」という処理がされている場合が多いので、植えても生育しない可能性が高いです。家庭菜園で栽培する際には種球を植えましょう。ニンニクもラッキョウも、葉を伸ばして光合成し、葉で作られた栄養が種球に戻って分球し、増えていきます。

病害虫を寄せつけないための土づくり

土作り

ニンニクもラッキョウも、植え付ける予定地を植え付けの1〜2週間くらい前に耕しておくことをおすすめします。雑草を抜いて牛フン堆肥、苦土石灰、有機化成肥料を施し、よく耕しておきます。それぞれの量は1平米あたり、

<ラッキョウ>

  • 牛フン堆肥200g
  • 苦土石灰80g
  • 有機化成肥料80g

<ニンニク>

  • 牛フン堆肥400g
  • 苦土石灰100g
  • 有機化成肥料100g

が目安です。ニンニクは「肥料食い」と言われ、肥料をたっぷり施す必要があります。g数はきっちり計る必要はなく、だいたいで大丈夫。牛フン堆肥200gは手で2掴みくらい、軽く1掴みが他2つの80g相当です。

さて、これらを土に混ぜる理由は、土を柔らかくしてよく育つようにという意味ももちろんありますが、ウイルス病を防ぐ意味もあります。これはどんな野菜にも言えることですが、最初にしっかり土づくりをしておくと、病害虫に強くしっかり育ちます。病気は土中のカルシウム分が不足すると発生しやすくなりますが、牛フン堆肥や苦土石灰、有機化成肥料の中にはその要素が含まれているので、最初にしっかりこれらを混ぜて土づくりをしておく必要があるのです。プランター栽培の場合も、小粒の赤玉土にこれらを混ぜて、1〜2週間ほどおきます。1〜2週間ほどおくのは、それぞれの成分がよくなじむのに必要な期間です。しかし、あらかじめこれらの成分が混ざった野菜用培養土を使う場合はすぐに植え付けしても問題ありません。

ラッキョウの植え付け方法

幅約70cm、高さ約20cmの畝(うね)を作り、そこに20cm間隔くらいで種球を植え付けていきます。深さは球根の頭頂部が少し土の上に見えるくらいにします。年内には発芽して細い緑色の葉を茂らせ、11月頃に紫色のかわいい花を咲かせますので、秋の花壇の彩りとして育ててもいいかもしれません。植え付け後は、基本的に水やりはせずに、土中の水分と自然の降雨のみでOK。地域によって、よほどカラカラに乾燥するようなら水やりをします。

雑草
春になって周りに雑草が生えるようなら抜く。

翌年の2月頃に一度、株元を軽く耕して追肥(有機化成肥料)を施す必要がありますが、それまでは何もやることがないので、この追肥作業を忘れてしまわないようにカレンダーやスマホのリマインドに入れておくとよいでしょう。収穫は翌年の6月頃。つまり、ラッキョウは収穫までに植え付けから約8カ月ほどを要します。じっくり気長に収穫を待ちましょう。春になって、ラッキョウのエリアに雑草が生えてきたら抜きましょう。雑草を生えっぱなしにしていると、そちらに土の栄養分がとられて球根が太らなくなってしまいます。

ラッキョウは1年採りと2年採りがある

ラッキョウの収穫

ラッキョウは9月頃に種球を植えつけて、翌年の6月頃に収穫できますが、もう1年寝かせる2年採りという方法もあります。待った分だけラッキョウは太って立派になりますが、1年目でも1個の種球が3〜4球に分球し、食するのに十分問題なく育ちます。ちなみに私はすでに今年、34個のラッキョウの種球を植え付けたので、100〜130球は収穫できるのではないかと楽しみにしています。

ラッキョウの花
mimi-TOKYO/Shutterstock.com

栽培期間は長いのですが、他の野菜に比べたら本当に手間なしのお手軽野菜です。例えばナスは2週間に1回追肥をしたり、トマトは脇芽を摘んだりいろいろ面倒を見てやる必要がありますが、ラッキョウは植え付けたらあまりすることもなく、害虫もこないし、花が可愛いので気に入っています。以前、フレンチレストランでこのラッキョウの花を散らした一品が出てきて、とても素敵でした。

ラッキョウの美味しい食べ方

ラッキョウの食べ方

ラッキョウは収穫した後にも生育を続けるため、採ったらすぐに食べるか調理保存することをおすすめします。食べる前には薄皮をむく必要がありますが、この作業が結構、時間がかかる地道な作業なので、ゆっくり台所仕事ができる日を選んで収穫することをおすすめします。採れたてのラッキョウは甘くねっとりとしていて、その奥にわずかにピリッとした辛さがあり、そのまま味噌をつけてかじるのが一番美味しいと思っています。辛いといっても、保育園の孫娘もパリパリ食べていたくらいですから、爽やかな軽い刺激です。もちろん、収穫した全部は生で食べきれないので、私は塩漬けにします。この塩漬けは、私の飲み友達から教わったものです。以前私には、私よりずいぶん若い福岡出身の女性の飲み友達がいて、彼女が「酒のあてに最高!」と、この塩漬けを教えてくれました。私の住む関東では甘酢漬けはよく売られていますが、九州では焼酎をつくった後の空いた大きなカメに、ラッキョウを塩で漬け込んでおくらしく、塩漬けがよく食べられているということでした。確かにラッキョウの塩漬けは、酒豪の彼女がおすすめする通り、酒のあてに最高です。

ラッキョウの塩漬けの作り方

ラッキョウの塩漬け
Thu_Truong_VN/Shutterstock.com

8パーセントくらいの塩水を作ってその中にラッキョウを入れ、冷暗所で1カ月ほど漬けます。段々発酵してきてガスが発生するので、2〜3日に1回フタを開けてガス抜きをします。しないとフタが飛んで危険なので、忘れずに。食べる時は水にしばらくさらして塩抜きしてからいただきます。我が家では塩抜きしたものを甘酢漬けにしたり、味噌漬けにしたりしています。

ニンニクの種球は安くはないが実りは大きい!

ニンニクの種球

9月になるとホーセンターや園芸店に、いろいろな種類のニンニクの種球が出回ります。私がいつも選ぶのは青森県産の「ホワイト六片」という品種です。粒が非常に大きく立派で味もよいので気に入っていますが、種球は500gで約2,500円と、安価とはいえません。ですが、1個が5〜6個に分球するので、結局は安上がりになります。種球は調理に使うときと同様に、1片ずつバラバラにして皮をむいておきます。

ニンニクの植え付け方

ニンニクの植え付け
geoBee/Shutterstock.com

幅約70cm、高さ約20cmの畝(うね)を作り、そこに20cm間隔くらいで種球を5cmくらいの深さで植え付けていきます。ニンニクの場合は地温が高いほうがよく育つので、マルチングをするのもおすすめです。マルチングというのは地面を覆うことで、稲わらなどを用いる方法もありますし、植え穴の開いた黒いビニールのマルチング材がホームセンターで販売されているのでそれを使っても便利です。植え付け時も植えつけ後も、水は基本的に土中の水分と自然の降雨で十分ですが、地域によって、よほどカラカラに乾燥するようなら土を水で湿らせてから植え付けます。植え付けから約1〜2週間で発芽します。その後、特にすることはなく、翌年の2月頃に株元を軽く耕して有機化成肥料を追肥します。もしわき芽が出てくるようであれば手で引っ張って抜き、茎は1本で育てます。

ニンニクの収穫と保存方法

ニンニクの収穫

ニンニクもラッキョウと同じで収穫は翌年の6月頃です。できるまでにはじっくり待つ必要がありますが、栽培には手間がかかりません。収穫の前、4〜5月になると、株の中心部から硬い真っ直ぐな茎が伸びて花を咲かせようとします。それを「とうだち」といいます。この花茎は放っておくと、アリウム・ギガンチウムのような薄紫色のきれいな花が咲きます。しかし、花を咲かせるとそちらに栄養分が取られてしまって土中のニンニクが太らなくなるので、花茎が上がってきたら株元から切り取りましょう。緑色の葉っぱが黄色くなって枯れ始めた頃が収穫どきです。ニンニクはカビが生えたり腐ったりしやすいので、晴天続きの日を狙って収穫しましょう。

ニンニクの保存
gardenfairy/Shutterstock.com

収穫後は根を切り、5〜6株ずつ茎を束ねて日の当たらない風通しのよい日陰で、よく乾燥させましょう。

我が家のニンニクの美味しい食べ方

私の父は、冬になるとニンニクの味噌煮をよく作っていました。今、私も時々、それを作ります。父が亡くなって50数年。レシピを教わったわけではないので、今やっているのは私なりの作り方ですが、味噌を酒と水で溶き、砂糖を加え、それに皮をむいたニンニクを投入し、弱火でゆっくりコトコトと煮詰めてゆきます。煮上がったニンニクは柔らかく、ホクホクとした食感。美味しいので、つい一度に2つも3つも食べてしまうけれど、生ニンニクと違って胃に負担がかかることもありません。

ヤンニョムカンジャン
elena moiseeva/Shutterstock.com

おろしニンニクを使った、韓国料理の定番ソース「ヤンニョムカンジャン」もよくつくります。これは、おろしニンニク、刻みネギ、すりごま、粉唐辛子、醤油、胡麻油を混ぜ合わせて、冷蔵庫で少し寝かせておくだけ。このソースで食べる焼き肉は絶品。そのほかにも、いろんなふうに使えて、とても重宝します。

ラッキョウもニンニクも植え付けから収穫までに時間はかかりますが、どちらも手間はほとんどかからず、じっくり待てば充実した実りが待っています。ぜひチャレンジしてみてください!

Credit

文・写真(表記外)/岡崎英生(文筆家・園芸家)
早稲田大学文学部フランス文学科卒業。編集者から漫画の原作者、文筆家へ。1996年より長野県松本市内四賀地区にあるクラインガルテン(滞在型市民農園)に通い、この地域に古くから伝わる有機栽培法を学びながら畑づくりを楽しむ。ラベンダーにも造詣が深く、著書に『芳香の大地 ラベンダーと北海道』(ラベンダークラブ刊)、訳書に『ラベンダーとラバンジン』(クリスティアーヌ・ムニエ著、フレグランスジャーナル社刊)など。

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