植えっぱなしで何年も育ち、庭に彩りを添える植物、宿根草(しゅっこんそう)。多種ある中でも自然風なナチュラルガーデンに効果を発揮するうえ、育てやすくてオススメの10種をご紹介します。セレクトは、宿根草を数多く扱い、ガーデニング愛好家に支持されるショップ「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さん。10種それぞれの魅力や特徴を解説していただきました。

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宿根草を植えて、自然な雰囲気の庭をつくってみよう!

ナチュラルガーデンの宿根草
宿根草は、ナチュラルガーデンに欠かせない植物のグループ。

自然な緑や草花に囲まれて、癒やされる庭でくつろぎたい。そんな思いからか、近年人気の庭デザインの一つ「ナチュラルガーデン」。あまり多くの色を使わず、自然の風景を切り取ったような庭を目指したいものです。

しかし、ナチュラルとはいえ、何もせず放任にしておけば、庭は荒れてしまうだけ。そこで、自然な雰囲気がある宿根草を植えて、庭を少しずつ理想のデザインに近づけていきましょう。きっちり整った庭とは違い、しっかり設計して一気に仕上げる必要はありません。好きな花を入手したタイミングで植え込み、毎年少しずつ広げて、ガーデンが理想の姿に近づいていく過程もぜひ楽しみたいものです。

ナチュラルガーデンを仕上げるコツ

ナチュラルガーデンの宿根草

ナチュラルガーデン作りで大切なのは、花の種類選びです。自然な雰囲気がある花を植える、派手すぎる色は使わない、主役級の大きな花はなるべく入れない、など、ある程度の大枠だけは決めておき、あとは組み合わせも自由に、堅苦しく考えず、好きなように植えてみましょう。

これから新たに庭をつくる方は、まず最初に雑木を植えておくと、自然な雰囲気の宿根草とも合わせやすいでしょう。

宿根草は種類さえ選べば、とてもローメンテナンスで、あまり難しい作業はありません。周囲の雑草を取ったり、花後や冬に切り戻す程度です。自然にまかせて、宿根草たちの成長を見守りながら、無理なく庭づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか?

四季折々に咲く花に癒やされる庭

木陰のナチュラルガーデン
木陰のナチュラルガーデン。

ここでご紹介する宿根草は、どれも丈夫で、自然に増えていくものが主です。基本的に植えっぱなしで毎年出てきて、花が咲く姿を楽しませてくれます。派手さや強いインパクトを持つものは少ないのですが、野生味がある草花には落ち着いたよい雰囲気があります。いろいろ組み合わせて植えることで、四季折々に癒やしを与えてくれるナチュラルガーデンをつくることができます。

丈夫でよく増える! ナチュラルガーデン向きの宿根草10種

セレクト1
潤いのある大きな葉が自然な雰囲気
ギボウシ(ホスタ)

ギボウシ(ホスタ)

ナチュラルガーデンに必須となるのが、このギボウシ。古くから親しまれ、海外での人気も絶大です。花も咲きますが、魅力は何といってもその美しい葉で、八方に葉を広げ、落ち着きのある姿で場所をカバーしてくれます。年々株が大きくなり、見応えが出てきますが、古くなっても姿が乱れることもなく、葉が整然と茂り、美しさを保ちます。数えきれないほど多くの種類、葉色のバリエーションがあり、組み合わせやコレクションするのも楽しいものです。

驚くほど丈夫で、一度植えれば、ほとんど放任で大丈夫です。冬は葉が枯れますが、春になると土中から芽を出し、再び生育を始めます。

ギボウシ(ホスタ)

【ギボウシ 植物DATA】 

■ キジカクシ科(ユリ科) 宿根草(耐寒性多年草・半常緑性)
■ 草 丈 : 種類により大小様々
■ 花 期 : 初夏~盛夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 明るい半日陰

セレクト2
野趣に富んだ美しさ
オカトラノオ

オカトラノオ

日本の山野にも自生する野草、オカトラノオは実に自然味があって美しい宿根草です。名前は「トラノオ」ですが、ベロニカの仲間ではなくサクラソウ科の植物です。地下茎で広がるように生育し、庭のあちこちから毎年顔を出して咲いてくれます。湿り気のある場所では増えすぎてしまう傾向がありますが、普通の土壌であれば困るほどは増えません。うなだれるように揃って咲く様子に自然な趣を感じます。

オカトラノオ

【オカトラノオ 植物DATA】 

■ サクラソウ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 60~90cm前後
■ 花 期 : 夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

セレクト3
本場ヨーロッパのナチュラルガーデンを思わせる
リグラリア・プルツェワルスキー

リグラリア・プルツェワルスキー

ゴールデン・レイ(黄金の光線)の英名があり、ヨーロッパでは古くから植栽され、広く親しまれてきた花です。少し湿った半日陰を好みますが、そのような暗くなりがちな場所に黄色の直立する花穂はよく目立ち、おしゃれな草姿がシェードガーデンのセンスアップになります。日本にも近い仲間の「メタカラコウ」が山野に自生していて、この仲間は日本の気候にも適合するので、場所さえ選べば栽培は難しくありません。

リグラリア・プルツェワルスキー

【リグラリア・プルツェワルスキー 植物DATA】 

■ セリ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 1~1.5m前後
■ 花 期 : 夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : やや半日陰

セレクト4
姿が美しく、とても丈夫!
チョウジソウ

チョウジソウ

株立ちになり、多くの花を咲かせる宿根草です。星の形をした青い小花は、英名でブルースターとも呼ばれ、海外でも人気が高いです。いろいろな種類がありますが、日本原産種がナチュラルガーデンには特に似合いますし、もちろん日本の気候に合っています。

とても丈夫で放任でも育ち、年々花の数も増えていきます。日向でも木陰でも咲くので、植え場所も選びません。晩秋になると葉が黄色く紅葉して自然味があります。

チョウジソウ

【チョウジソウ 植物DATA】 

■ キョウチクトウ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 60~80cm前後
■ 花 期 : 初夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

セレクト5
赤い小花がナチュラルガーデンに映える
ペルシカリア・アンプレキシカウリス

ペルシカリア・アンプレキシカウリス

ナチュラルガーデンは白い花や淡い色が主体になりがちですが、このような赤い花をポイントに入れると、メリハリが効いて、全体の色合いがグッと美しくなります。鮮やかな赤ではありますが、ペルシカリアはタデ科の仲間で野草的な姿なので、自然な雰囲気の庭によく合います。日向のほうが花つきもよいですが、木陰でも花が咲き、真夏から秋まで繰り返し咲く、花期の長さも魅力です。

特に秋に見る赤いタデの花は、季節柄、より情緒が出て美しく目に映ります。性質は丈夫で、暑さや寒さに耐えます。

ペルシカリア・アンプレキシカウリス

【ペルシカリア アンプレキシカウリス 植物DATA】 

■ タデ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 80~120cm前後
■ 花 期 : 夏~秋
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

セレクト6
こぼれダネでよく増えて庭を彩る
バーベナ・ボナリエンシス

バーベナ・ボナリエンシス

三尺バーベナの名前の通り、細い茎がスッと伸びて咲き、風に揺れる様子には風情があります。花後に放任にしておくと、種子が自然にこぼれて、翌年あちこちから咲いてきます。姿が細身なので、他の草花の邪魔をせず、混ざり咲いて素敵な景色を作り出してくれます。蝶や蜂も多く訪れる花なので、自然味があってナチュラルガーデンにぴったりです。やや乾いた場所、日向を好みます。

バーベナ・ボナリエンシス

【バーベナ ボナリエンシス 植物DATA】 

■ クマツヅラ科 宿根草(耐寒性多年草・半常緑性)
■ 草 丈 : 80~100cm前後
■ 花 期 : 初夏~秋
■ 耐寒性 : 強い(-20℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

セレクト7
半日陰で咲かせると自然でよい雰囲気
アルンクス・ディオイクス

アルンクス・ディオイクス

アルンクスは日本にもヤマブキショウマなど、多くの種類があり、白い柔らかな花が春の終盤から初夏に咲きます。一見、アスチルベのような花姿ですが、高さは1.5m近くになり、より大型でワイルドな印象があります。高い位置から花が枝垂れるように咲くので風情があり、ナチュラルガーデンによく似合います。木陰など、暗めの場所でもしっかりと花が咲くので、半日陰の庭にも向きます。

アルンクスには小型の種類もあります。これらは石垣の上や、ちょっと空いた場所のカバーにいかがでしょうか。

アルンクス・ディオイクス
小型のアルンクス‘ノーブルスピリット’の石垣での植栽例。

【アルンクス 植物DATA】 

■ バラ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 30~150cm前後(種類によりさまざま)
■ 花 期 : 春~初夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : やや半日陰

セレクト8
自然味のある花姿で葉も美しい
カライトソウ

カライトソウ

日本固有の植物で、本州中部地方に自生する野草です。唐糸に見立てられる鮮やかなピンク色の花で、一見派手ですが、花穂が枝垂れる独特な姿は野趣に富んでおり、日本の野草らしい自然な美しさがあります。花期は長くありませんが、青みのある葉を茂らせて、カラーリーフとしての観賞性も高く、花期以外も十分に楽しめます。栽培が難しいと思われがちですが、意外に丈夫で放任で育ちます。暖地では風通しのよい木陰など、夏の暑さを避けられる場所が安心です。

カライトソウ

【カライトソウ 植物DATA】 

■ バラ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 80~100cm前後
■ 花 期 : 夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 普通
■ 日 照 : やや半日陰

セレクト9
秋にそよぐ穂が風情豊か
カラマグロスティス・ブラキトリカ

カラマグロスティス・ブラキトリカ

夏の後半から秋にかけて、白い羽根のような穂が出る美しいグラスです。ススキなどに比べると小型ですが、80cm前後のちょうどよい高さの白い穂が風に揺れ、逆光を受けてキラキラと輝きます。穂の色は初めは白く、季節が進むとピンク色に変わり、それにまた美しいです。こぼれダネでよく増えるので、場所に余裕があれば群生を楽しむのもオススメ。性質はとても強く、暑さ、寒さ、乾燥に耐えられるので、放任で育てることができます。

カラマグロスティス・ブラキトリカ

【カラマグロスティス ブラキトリカ 植物DATA】 

■ イネ科 宿根草(耐寒性多年草・落葉性)
■ 草 丈 : 60~80cm前後
■ 花 期 : 晩夏~秋
■ 耐寒性 : 強い(-20℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

セレクト10
ナチュラルガーデンに欠かせないアジサイ
アメリカアジサイ‘アナベル’

アメリカアジサイ‘アナベル’

白い小花が密集して、大きなボールのように花が咲きます。花が細かいため、とても柔らかいイメージがあり、つぼみのグリーンから白く咲いていく色の移りもナチュラルガーデンにぴったりです。アメリカノリノキ(アメリカアジサイ)なので、一般的な西洋アジサイに比べて枝葉が細くしなやかで、明るい緑色をしており、よく自然な雰囲気に溶け込みます。性質の丈夫さも魅力で、放任で年々花数も増えていきます。冬の落葉期に枝をすべて短く切っておくと花が大きくなり、切らずに放任にすると花が小さくたくさん咲くようになります。庭の雰囲気に合わせてコントロールしてみては?

アメリカアジサイ‘アナベル’
美しいグリーンのつぼみ。
アメリカアジサイ‘アナベル’
ふわっとしたボール状の花。

【アメリカアジサイ‘アナベル’ 植物DATA】 

■ アジサイ科(ユキノシタ科)低木(耐寒性低木・落葉性)
■ 草 丈 : 80~120cm前後
■ 花 期 : 初夏
■ 耐寒性 : 強い(-30℃前後まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

宿根草には多彩なバリエーションがあり、ガーデンに変化やプラスの効果をもたらしてくれる種類がまだまだあります。聞きなれない品種であっても、育ててみれば思いがけない喜びをくれるのが宿根草のグループです。ぜひ身近に育てて、ガーデニングライフを楽しんでください。

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Credit

写真&文/「おぎはら植物園」荻原範雄

長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『四季の宿根草図鑑 決定版』(講談社)。
「おぎはら植物園」https://www.rakuten.co.jp/ogis/

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