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白い綿みたいな虫がバラや庭木に! 正体は? 放っておいていい? 対処法を解説

白い綿みたいな虫がバラや庭木に! 正体は? 放っておいていい? 対処法を解説

庭木やバラの葉裏に、白い綿のようなものがついている。近づいたらピョンと跳ねた! 「なんじゃこりゃ?!」という経験はありませんか? 正体は近年、関東地方以西を中心に確認が広がっている外来昆虫「チュウゴクアミガサハゴロモ」。聞き慣れない名前ですが、バラや庭木、果樹、チャノキなど幅広い植物につく可能性があり、発生への注意喚起も行われています。とはいえ、庭で1匹見つけたからといって、すぐに植物が枯れるわけではありません。この記事では、チュウゴクアミガサハゴロモの特徴、生活スタイル、植物への影響、家庭の庭でできる対処法を解説します。

チュウゴクアミガサハゴロモとは?

チュウゴクアミガサハゴロモは、中国原産とされる外来昆虫です。分類上は、カメムシ目ハゴロモ科の仲間。

チュウゴクアミガサハゴロモ
rahayu rr/Shutterstock.com

成虫は茶褐色から鉄さび色の翅を持ち、その姿は一見、小さな蛾のようにも見えますが、チョウや蛾の仲間ではありません。植物の汁を吸う針状の口を持つ、カメムシ目の昆虫で、セミ、アブラムシ、ヨコバイ、ウンカ、カイガラムシなどと同じグループに入ります。

一方、幼虫は成虫とはまったく違う姿をしています。体から白いロウ状物質を分泌し、腹部の先に放射状、またはクジャクの尾羽のように広げるため、白い綿毛のように見えます。

チュウゴクアミガサハゴロモ

一見すると、ゴミか綿毛のように見えますが、バラや庭木で「白いフワフワした虫」を見つけた場合、カイガラムシや病気ではなく、チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫である可能性があります。

チュウゴクアミガサハゴロモは日本ではいつ頃から見られるようになった?

日本では2015年に大阪府で初めて確認され、その後、関東地方以西を中心に分布が広がっています。埼玉県でも発生が確認され、2025年には県内全域で成虫の発生と産卵加害が確認されたとして、注意喚起が行われました。

この虫が広がる要因として考えられているのは、成虫や幼虫の移動だけではありません。成虫の飛翔能力は高くなく、飛んでいって広がるというより、むしろ枝の中に産み込まれた卵のある苗木や植木類が、人の手によって運ばれ、広がるリスクの方が指摘されています。

チュウゴクアミガサハゴロモはどんな植物につく?

チュウゴクアミガサハゴロモは、非常に幅広い植物につくことが知られています。庭木、果樹、チャノキ、観賞用植物など、多くの木本植物で確認されています。

家庭の庭で注意したい植物としては、ツバキ、サザンカ、モミジ、カンキツ類、ブルーベリー、カキ、ブドウ、ナシ、モモ、常緑樹の生け垣、そしてバラなどが挙げられます。

ただし、1匹が止まっていたからといって、その植物で大発生しているとは限りません。近くの樹木から移動してきて、一時的に止まっているだけの場合もあります。

チュウゴクアミガサハゴロモ

バラの鉢植えに幼虫がいた場合も、まずは「バラで繁殖している」と決めつけず、バラ全体と周囲の庭木を観察することが大切です。

チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫は何をしている?

幼虫は、植物の汁を吸いながら成長します。白い綿のように見えるのは、体から分泌するロウ状物質です。このロウ物質は、雨や外敵などから体を守る役割があると考えられています。

チュウゴクアミガサハゴロモ
正面から見たチュウゴクアミガサハゴロモ。

幼虫は1齢から5齢まで成長し、脱皮を繰り返して成虫になります。刺激を与えると、歩いたり、ピョンと跳ねて逃げたりします。

幼虫が少数いる程度で、すぐに株が弱るとは限りませんが、多数が集まって吸汁すると、アブラムシ同様、植物の負担になります。また、幼虫や成虫は甘露と呼ばれる糖分を含んだ排泄物を出します。この甘露にすす病菌が繁殖すると、葉や枝、果実の表面が黒く汚れることがあります。

バラでも、吸汁性害虫が多発して甘露が葉や枝にたまると、すす病が起こる可能性があります。ただし、これはバラでよく見られる黒星病とは別物です。黒星病は葉に黒い病斑をつくる病気ですが、すす病は甘露の上に黒いカビ状の菌が繁殖して起こる汚れです。

チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は何をする?

チュウゴクアミガサハゴロモ
チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は翅を折り畳んでとまる。rahayu rr/Shutterstock.com

チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は茶褐色の翅を持ち、見た目は小さな蛾のようにも見えます。成虫も植物の汁を吸いますが、家庭の庭で特に注意したいのは産卵です。

メスの成虫は、細い枝に産卵管を差し込み、枝の組織の中に卵を産みつけます。その上を白い綿状、または毛状のロウ物質で覆うため、枝に白く毛羽立ったような産卵痕が残ります。

この産卵によって枝の組織が傷つくと、産卵痕より先の枝が弱ったり、枯れたり、産卵された部分がもろくなったりすることがあります。果樹では、枝枯れや枝折れ、収量や果実品質への影響が問題になることがあります。

チュウゴクアミガサハゴロモの生育カレンダー

春:4月下旬頃から幼虫に注意

春は、前年秋に枝へ産みつけられた卵が孵化し始める時期です。庭木やバラの新芽、細い枝の周辺に、白い綿のような幼虫がいないか確認しましょう。

見つけた場合は、ティッシュでつまむ、水で洗い流す、筆や歯ブラシで落とすなど、物理的に取り除きます。少数であれば、それで十分です。

初夏:5〜6月は幼虫が育つ時期

5〜6月は、幼虫が吸汁しながら成長する時期です。バラの新芽や若い枝、庭木の柔らかい部分に白いフワフワした虫がついていないか観察します。

この時期に大切なのは、見つけた幼虫を取り除きつつ、同じ株や周囲の植物にも広がっていないか確認することです。1匹見つけた場合は、近くのツバキ、サザンカ、モミジ、カンキツ、ブルーベリー、生垣なども見ておくとよいでしょう。

6月中旬以降:成虫に注意

6月中旬頃から、成虫が現れ始めます。成虫は茶褐色の翅を屋根形にたたんで止まり、翅に白い斑紋があります。

成虫を見つけたら、可能であれば捕殺します。鉢植えや低木なら、ティッシュで取る、枝を軽く揺すって落として捕獲するなどの方法で対応できます。

この時期からは、成虫だけでなく、枝に産卵痕がないかを確認することが重要です。

夏:次の世代が出る可能性がある

暖かい地域では、夏に第2世代の幼虫が出ることがあります。一度取り除いたから終わりではなく、夏の間もときどき新梢や細枝を確認しましょう。

動いている白い綿のようなものは幼虫です。一方、枝に貼り付いて動かず、白い毛羽立った筋やかさぶたのように見えるものは、産卵痕の可能性があります。

秋:産卵痕を見逃さない

秋は、翌年の発生を左右する重要な時期です。成虫が細い枝に産卵し、その卵が越冬するため、秋に産卵された枝をそのまま残すと、翌春の幼虫発生につながります。

庭木や果樹、バラの細枝に、白い毛状のロウ物質で覆われた産卵痕がないか確認しましょう。産卵痕がある枝は、見つけ次第切除します。

切った枝は庭に放置せず、自治体の分別に従って処分します。庭の隅に積んでおくと、卵を残してしまう可能性があります。

冬:剪定時に産卵痕を探す

冬は、成虫や幼虫の姿は目立ちませんが、卵は枝の中で越冬しています。バラや落葉樹では葉が落ちて枝が見やすくなるため、産卵痕を探しやすい時期です。

バラの冬剪定では、枯れ枝や細すぎる枝、混み合った枝を整理する際に、白く毛羽立った産卵痕がないかを一緒に確認しましょう。見つけた場合は、その部分を含めて切除し、枝を処分します。

チュウゴクアミガサハゴロモに薬剤は必要?

家庭の庭で少数を見つけた場合、まず行うべきなのは薬剤散布ではなく、物理的な除去と産卵枝の処分です。

現時点では、日本でチュウゴクアミガサハゴロモを対象にした登録農薬はありません。むやみに広範囲へ農薬殺虫剤を散布すると、クモ、カマキリ、サシガメ類、鳥など、庭にいる捕食者まで減らしてしまう可能性があります。少数発生であれば、見つけた幼虫や成虫を取り除き、産卵痕のある枝を切除するのが現実的です。

発生が多い場合や、果樹、チャノキ、農作物などで被害が心配な場合は、地域の病害虫防除所や自治体の情報を確認しましょう。

チュウゴクアミガサハゴロモに天敵はいる?

チュウゴクアミガサハゴロモには、海外で卵に寄生する寄生蜂が報告されています。また、庭ではクモ、カマキリ、サシガメ類、鳥などが幼虫や成虫を捕食する可能性があります。

ただし、日本の家庭園芸で「天敵に任せれば発生を抑えられる」と言えるほどのデータは、まだ十分ではありません。

天敵はいる可能性があるものの、防除を任せきりにするのではなく、少数のうちに取り除くこと、産卵痕のある枝を残さないことが大切です。

チュウゴクアミガサハゴロモをバラで見つけた場合はどうする?

チュウゴクアミガサハゴロモ
バラの葉裏にいるチュウゴクアミガサハゴロモ。

バラの鉢植えや庭植えで、白い綿のような幼虫を見つけることがあります。バラの新芽や若い枝は柔らかいため、一時的に幼虫がつくことも考えられます。

1匹、2匹を見つけた程度なら、まずは取り除いて様子を見ます。水で洗い流す、ティッシュで取る、筆で落とすなどで十分です。

その後、株全体を見て、同じような幼虫が複数いないか、細い枝に白い産卵痕がないかを確認します。特に夏から秋、冬剪定の時期は、枝に残る白い毛羽立った跡を見逃さないようにしましょう。

バラで注意したいのは、幼虫1匹の吸汁よりも、成虫が細い枝に産卵し、その卵を翌年に持ち越すことです。産卵痕がある枝は、剪定で切除して処分します。

また、バラに黒い汚れが出た場合は、黒星病なのか、甘露にすす病菌が繁殖したすす病なのかを見分けることも大切です。すす病は、吸汁性害虫が多発して甘露がたまることで起こりやすくなります。

チュウゴクアミガサハゴロモは海外ではどう扱われている?

チュウゴクアミガサハゴロモは、海外では果樹や苗木流通に関わる外来害虫として警戒されています。

韓国では果樹害虫として問題化し、果樹園での被害が報告されています。欧州でも、果樹や観賞樹、苗木流通への影響が懸念され、早期警戒の対象として扱われています。

一方で、家庭の庭で少数を見つけたからといって、直ちに大きな被害につながるとは限りません。海外で警戒されている虫であることは事実ですが、家庭園芸では、発生の程度を見極め、できる対処を確実に行うことが大切です。

まとめ:チュウゴクアミガサハゴロモは怖がりすぎず、卵を残さない

チュウゴクアミガサハゴロモ

チュウゴクアミガサハゴロモは、近年日本で確認地域が広がっている外来昆虫です。成虫は蛾のように見えることがありますが、分類上はカメムシ目ハゴロモ科の仲間で、幼虫・成虫ともに植物の汁を吸います。

幼虫は白い綿のように見え、成虫は茶褐色の翅に白い斑紋があります。枝に白く毛羽立った跡がある場合は、産卵痕の可能性があります。

家庭の庭で少数を見つけた場合、すぐに薬剤散布を考える必要はありません。まずは見つけた幼虫や成虫を取り除き、枝に産卵痕がないかを確認します。産卵痕のある枝は切除し、庭に放置せず処分します。

この虫の対策で最も大切なのは、生活史を知り、季節に合った対応をすることです。

春は白い幼虫を見つけて取り除く。
夏から秋は成虫と産卵痕に注意する。
秋から冬は、越冬卵を残さないよう産卵痕のある枝を切除する。

「見つけたらパニック」ではなく、「どの段階なのかを見極めて、卵を翌年に持ち越さない」。それが、家庭の庭でできる最も現実的なチュウゴクアミガサハゴロモ対策です。

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