初夏から秋にかけて、庭では「白い虫」や「白い綿のようなもの」が目につくことがあります。近年は外来害虫のチュウゴクアミガサハゴロモが各地で確認されていることもあり、気になる人も多いのではないでしょうか。ただし、庭で見られる白い虫は一種類ではありません。アオバハゴロモ、カイガラムシ、コナジラミ、アブラムシの抜け殻など、見た目が似ていても正体や対処法が異なるものがあります。この記事では、チュウゴクアミガサハゴロモを含め、庭でよく見られる代表的な白い虫をピックアップし、見分け方、対処法を解説します。
目次
まずはここをチェック! 白い虫の見分け方早見表
白い虫を見つけたら、まずは「どこにいるか」「成虫の姿」「動くか」などを観察してみましょう。
| 虫 | 発生時期の目安 | 幼虫・若齢期の姿 | 成虫・成長後の姿 | 見つかりやすい場所 | 見分けの決め手 |
| チュウゴクアミガサハゴロモ | 幼虫:5〜6月頃/成虫:6〜7月、9〜12月頃 | 白いろう物質をまとい、白い綿のように見える。刺激すると動く・跳ねる | 茶褐色〜暗褐色で、翅に三角形の白い斑紋がある。蛾のようにも見える | 細い枝、新梢、葉脈、庭木・果樹・花木など | 成虫が茶色いこと、翅の白い斑紋、枝に残る列状の産卵痕 |
| アオバハゴロモ | 幼虫:5〜6月頃/成虫:7〜9月頃 | 白い綿状分泌物に覆われる。枝に白い綿ぼこりのようにつき、触るとピョンと跳ねる | 淡い緑〜青緑色。7〜8mmほどの三角形状で、枝に並んで止まることがある | 庭木、バラ、アジサイ、ツバキ、クチナシなどの枝や茎 | 成虫が淡い緑色 |
| コナカイガラムシ類 | 春〜秋。屋内・温室では通年 | 白い粉や綿をまとった小さな楕円形の虫。あまり動かない | 成虫も白い粉状・綿状に見えることが多い。枝や葉のつけ根にじっとつく | 葉のつけ根、茎、枝の分かれ目、葉裏、観葉植物 | 跳ねない・飛ばない・じっとしている |
| ワタフキカイガラムシ | 春〜秋。暖地では長く見られる | 若齢期は小さく目立ちにくい。成長すると白いロウ状物が目立つ | 雌成虫の後ろに白い綿袋のような卵のうをつける。体は橙〜褐色を帯びることもある | カンキツ類、庭木、観葉植物の枝、葉裏、葉柄まわり | 白い“綿袋”のような卵のうが枝や葉裏に固定されている |
| コナジラミ類 | 5〜10月頃。暖かい場所では通年 | 幼虫は葉裏に張りつくようにいて、小さく目立ちにくい | 白い小さな羽虫。葉を揺らすと白い粉のように一斉に舞い上がる | 葉裏。特に野菜、草花、鉢植え | 葉裏から白い小虫がふわっと飛ぶ |
| アブラムシ+白い抜け殻 | 3〜11月頃。特に春と秋 | 本体は緑、黒、黄色、赤褐色など。白い粒は脱皮殻のことが多い | 小さな虫が新芽やつぼみに群がる。羽のある成虫が出ることもある | 新芽、つぼみ、若い茎、葉裏 | 白いもの自体は抜け殻のことが多い |
1. チュウゴクアミガサハゴロモ
白い綿をまとった幼虫と、枝に残る産卵痕に注意

チュウゴクアミガサハゴロモは、近年日本各地で確認が広がっている外来のハゴロモ類です。一見すると白いふわふわした綿のように見え、たんぽぽの綿毛や植物の種子かと勘違いする場合もあります。チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫は植物の上を歩いて移動しながら汁を吸っており、近づくとぴょんと跳ねて逃げることもあります。「ハゴロモ」という名前から何だか可愛いような気もしますが、1〜2匹なら問題ないものの、大量発生すると植物、特にお茶の木や果樹類に深刻な被害をもたらし、農家に注意が呼び掛けられている地域もあります。

成虫は鉄錆色から黒っぽい色で、小さな蛾のようにも見えますが、植物の汁を吸うカメムシの仲間です。人体に害はなく、あまり飛ぶのもうまくないので、捕獲は簡単です。
チュウゴクアミガサハゴロモの注意度 ★★★★★
新しく広がっている外来害虫でまだ分からないことが多いため、農業現場では発生地域や被害状況を把握するため、各地の病害虫防除所が特殊報を出して注意を呼びかけています。
前述した通り、1〜2匹がいてもすぐに植物に悪影響があるわけではありませんが、大量発生すると植物が弱る原因になります。幼虫・成虫とも広食性でさまざまな植物の汁を吸うだけでなく、産卵によって枝に傷が残ることがあります。
産卵痕をチェックし早めに対処を
チュウゴクアミガサハゴロモは、細い枝や葉脈に産卵管を挿し込み、列状に卵を産みつけることがあります。白い綿状物を取り除いたときに、枝に細かな傷や裂け目のような跡が見える場合は、産卵痕の可能性があります。初夏に周囲に白い幼虫や黒い成虫がたくさんいたら早めに捕獲して、広がりを抑えましょう。
見分けポイント
- 幼虫は白い綿状のろう物質をまとっている
- 成虫は鉄錆色から黒っぽい色で、蛾のように見える
- 成虫の翅に三角形の白い斑紋がある
- 細い枝や葉脈に列状の産卵痕が残ることがある
2. アオバハゴロモ
昔から庭木でよく見られる“白い綿”の正体

アオバハゴロモも、庭木や花木でよく見られるハゴロモ類です。幼虫はチュウゴクアミガサハゴロモと同様、白い綿のような分泌物に覆われ、枝に白いカビのようなものがついたように見えることがあります。

成虫になると淡い緑色の美しい姿になります。アジサイ、バラ、ツバキ、クチナシ、マサキ、カナメモチなど、庭でよく育てられる木にいます。
アオバハゴロモの注意度 ★★☆☆☆〜★★★☆☆
白い綿状の幼虫だけを見るとアオバハゴロモとチュウゴクアミガサハゴロモは似ていますが、アオバハゴロモは昔から日本でみられる昆虫で、家庭の庭では少量なら問題ありません。ただし、毎年同じ場所に多く出る場合や、枝にびっしりつく場合は吸汁によって植物が弱ることもあるため早めに取り除きましょう。
見分けポイント
幼虫の段階では、アオバハゴロモとチュウゴクアミガサハゴロモは見分けが難しいですが、周囲にどんな成虫がいるかがポイント。チュウゴクアミガサハゴロモは、地域や年によって差はありますが、6月頃から鉄錆色から黒っぽい色で成虫が見られるようになります。
一方、アオバハゴロモは少し遅れて、淡い緑色の成虫は7月から9月頃まで発生するとされています。
3. コナカイガラムシ、ワタフキカイガラムシ
白い綿のように見えるが、跳ねずにじっとしている

白いフワフワした虫が葉のつけ根や茎、枝にじっとついている場合は、コナカイガラムシやワタフキカイガラムシなどのカイガラムシ類の可能性があります。
これらのカイガラムシは、白い粉状・綿状のろう物質をまとったカイガラムシの仲間です。ハゴロモ類の幼虫と違い、近づいてもピョンと跳ねることはほとんどありません。葉のつけ根、枝の分かれ目、葉裏など、少し隠れた場所にいることも多い害虫です。
春から秋に発生し、吸汁によって植物を弱らせるほか、排せつ物で葉や周囲がベタベタし、すす病の原因になることもあります。
カイガラムシ類の注意度 ★★★★☆
動かないので気づきにくく、気づいたときには植物が不調になるくらい増えていることがあります。カイガラムシ類は植物の汁を吸い、排せつ物によって葉や枝がベタつき、すす病を招くこともあります。発生が少ないうちに取り除くことが大切です。
見分けポイント
- 白い粉や綿をまとった楕円形の虫
- 触っても跳ねない
- 葉のつけ根、茎、枝の分かれ目に多い
- ベタベタした排せつ物が出ることがある
- 白い塊が増えていくように見える
4. コナジラミ
葉裏から白い粉のように舞い上がる小さな虫

葉の裏に白い小さな虫がたくさんついていて、葉を揺らすとふわっと舞い上がる場合は、コナジラミの可能性があります。屋外では春から秋にかけて、室内や温室などでは通年見られます。
コナジラミは名前に「シラミ」とつきますが、人や動物に寄生するシラミとは別の虫で、人体への直接的な被害はありません。植物の葉裏に寄生して汁を吸います。成虫は白い小さな羽虫のような姿で、大量発生すると、葉に触れた瞬間に白い粉や紙吹雪のように飛び立ちます。
ハゴロモ類の幼虫が「枝に白い綿のようにつく」のに対し、コナジラミは「葉裏に小さな白い虫が多数いる」のが特徴です。
コナジラミの注意度 ★★★★☆
一匹一匹は小さいですが、葉裏で増えやすく、野菜や作物ではウイルス媒介が問題になる種類もあるので、食用植物では要注意度が上がります。
見分けポイント
- 葉裏にいる
- 体長は小さく、白い羽虫のように見える
- 葉を揺らすと一斉に飛ぶ
- 枝ではなく葉裏に多い
- 葉がかすれたように変色することがある
5. アブラムシの白い抜け殻
白い虫に見えるが、本体ではないことも

新芽やつぼみ、若い茎に小さな虫が群がっていて、白い粒のようなものがたくさん残っている場合は、アブラムシの脱皮殻かもしれません。
アブラムシ本体は緑、黒、黄色、赤褐色などさまざまな色をしています。増殖が早く、若い芽やつぼみに群がって汁を吸います。白く見えるものは、アブラムシが成長するときに脱いだ殻であることが多く、これが「白い虫がたくさんいる」と見える原因になります。
ハゴロモ類やカイガラムシ類と違い、白い綿状のものではなく、細かな白い抜け殻が点々と残るのが特徴です。
アブラムシの抜け殻の注意度 ☆☆☆☆☆
白い粒のようなものが新芽やつぼみに残っている場合、アブラムシの抜け殻のことがあります。抜け殻自体は無害なので安心してよいですが、近くに緑色や黒色のアブラムシ本体がたくさん発生していないか確認しておきましょう。
見分けポイント
- 新芽、つぼみ、若い茎に多い
- 本体は緑、黒、黄色など白以外のことも多い
- 白いものは脱皮殻の場合がある
- アリが周囲にいることもある
- 葉やつぼみが縮れたり、ベタついたりする
- 排せつ物で葉や枝がベタつき、すす病につながることがある
白い虫を見つけたときの観察ポイント
白い虫や白い綿のようなものを見つけたら、すぐに薬剤をまく前に、まずは次の点を確認してみましょう。
1. どこについている?
枝についているのか、葉裏についているのか、新芽やつぼみに群がっているのかで、虫の種類をある程度絞れます。
枝に白い綿のようにつく場合はハゴロモ類やカイガラムシ類、葉裏に白い小さな虫が多数いる場合はコナジラミ類、新芽やつぼみに小さな虫が群がる場合はアブラムシ類が疑われます。
2. 触ると動く? 跳ねる? 飛ぶ?
ハゴロモ類の幼虫は、近づくとピョンと跳ねるように逃げます。コナジラミは葉を揺らすとふわっと飛び立ちます。コナカイガラムシやカイガラムシ類は、ほとんど動きません。
「跳ねる」「飛ぶ」「動かない」は、見分けるうえで大きなヒントになります。
3. 白いものを取ると、下に傷がある?
チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕では、白い綿状物の下に枝の傷が見えることがあります。細い枝や葉脈に列状の傷がある場合は、産卵痕の可能性があります。
ただし、無理に枝を傷つける必要はありません。気になる枝があれば写真を撮り、自治体や専門機関の情報と照合するとよいでしょう。
庭にいる白い虫たちへの対処の基本
発生が少ないうちは、見つけた虫を取り除く、強く発生した枝を剪定する、風通しをよくするなどの物理的な対処が基本になります。
ハゴロモ類の幼虫やアオバハゴロモは、ガムテープでそっと捕獲したり、白い分泌物を拭き取ったりする方法もあります。カイガラムシ類は、歯ブラシや綿棒などでこすり落とす方法がとられることもあります。
薬剤を使う場合は、必ず対象植物と対象害虫に登録があるものを選び、ラベルの使用方法を確認してから使いましょう。食用の果樹や野菜では、使用できる薬剤や収穫前日数が限られるため、特に注意が必要です。
白い虫の正体がわかると、必要以上に怖がらず、植物への被害に合わせて落ち着いて対処できます。庭木やバラ、果樹を守るためにも、まずはよく観察し、早めに見つけることが大切です。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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