【夏の花】ハイビスカス、じつは猛暑が苦手? 元気に夏を越す正しい育て方
Liudmyla Yaremenko/Shutterstock.com
ハイビスカスといえば夏を代表するトロピカルフラワーで、夏も元気に花を咲かせるイメージを連想する人は多いことでしょう。ところがハイビスカスは猛暑が苦手で、人間が快適と思う温度「15℃〜25℃」がハイビスカスにとっても適温です。近年の猛暑は特に厳しいので、春から初夏頃に購入したハイビスカスが夏に弱ってしまうことは珍しくありません。
この記事では、誤解されがちなハイビスカスの特徴や性質を詳しく解説。暑さ対策や基本的な育て方までを栽培のプロがご紹介します。
目次
ハイビスカスの基本情報

植物名:ハイビスカス
学名:Hibiscus
英名:Tropical hibiscus , China-rose
和名:ブッソウゲ(仏桑花)
科名:アオイ科
属名:フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)
原産地:ハワイ諸島、マスカリン諸島
形態:常緑低木
ハイビスカスとは、ハワイやマスカリン諸島などが原産の数種類を原種とした熱帯性低木の交配種群です。ムクゲやフヨウ、オオハマボウ、アメリカフヨウなど、同じフヨウ属のほとんどの種類とは交配できません。
花の寿命は短く、基本的には1日花です。大輪系の品種や鉢植え用品種には、適温下で2~4日花が長もちする品種があります。ただし夏の暑い時期は花が傷みやすく、短命なことが多いです。
ハイビスカスは品種数が大変多く、園芸品種の数は1万種くらいあり、花色も豊富です。赤やピンクがよくある色ですが、ほかにオレンジや黄色、白、紫や茶色、紫に近い青などほとんどの色が揃っているといえるでしょう。また豪華な八重咲きや2~3色の色が混ざった複雑な色合いなど、驚くほど多様な花があります。
一般に鉢花として流通する株は、矮化剤(わいかざい)が散布されていることが多いです。矮化剤により株姿がコンパクトになり、花が咲きやすくなります。
トロピカルプランツの庭に咲くカラフルなハイビスカスの花。Towhid4/Shutterstock.com
ハイビスカスの特徴・性質

樹高:0.2~2m
開花期:5~10月
耐暑性:普通~弱い
耐寒性:弱い
沖縄などの冬も温暖な地域では常緑ですが、寒さに当たると落葉します。鉢植えの10号鉢で育てると人の背丈くらいの大きさに育ちますが、沖縄などで地植えされた株は5mを越えることがあります。ただし種類や品種によってあまり大きくならないものと、非常に樹高が高くなるものまでさまざまです。
生育は比較的早く、根詰まりすると生育が衰えて花が咲かなくなり、枯れやすくなります。
生育しながら枝先に花を咲かせるので、最も生育状態がよいときに花もよく咲きます。ハイビスカスの多くの品種は、春と秋に生育が最も盛んになります。冬か夏に生育が停止状態でも株を傷めなければ、次の季節に最も多くの花を咲かせます。周年開花性があり、冬でも日当たりのよい場所で温度が保たれていれば花が咲きます。沖縄の温室などでは冬にも花がよく咲きます。
ハイビスカスの品種の系統

ハイビスカスの品種は、在来系と大輪系、コーラル系の3つの系統に分けられます。ただし特徴や性質をおおまかに分けたもので、中間的な品種も多くあります。
品種数が圧倒的に多いのが大輪系で花も多様ですが、性質が弱いです。また大株にならないと花が咲きにくい傾向があります。品種数が多い割には、一般に見られる機会が少ないです。

在来系や鉢植え用の品種は大輪系より丈夫で、最もよく育てられます。鉢植え用の品種は大輪系との交配により花が大きく多様になってきています。
コーラル系は数が少ないですが、性質や耐暑性が強く、ハワイなどの熱帯地域の植栽によく使われます。
ハイビスカスは基本的には寒さに強くないので、冬は室内で越冬させます。在来系の丈夫な品種は、関東地方南部や都心部の環境のよい場所で庭木のように地植えして越冬することがあります。
ハイビスカスの種類・品種
ブッソウゲ(アカバナー) Hibiscus rosa-sinensis

ハイビスカスの基本種とされ、ハイビスカスの初期の交配に多く使われました。ただし原種か、交配による品種か分かっていません。小さめの赤い花がうつむき加減に咲きますが、暑さに強く、5m以上まで大きく育ちます。最も多く植えられている沖縄では「アカバナー」の名でもよく親しまれており、広い意味ではハイビスカス全体を「アカバナー」と呼びます。
ハイビスカス・アーノッティアヌス Hibiscus arnottianus

ハワイ原産で、高さ10m以上になることがあります。原種の中でも特に花が美しく、ハワイの貴婦人ともいわれます。花付きが非常によいですが立ち枯れしやすく、水はけが悪いと調子がよくても突然枯れることがあります。
‘ペインテッド・レディ’ Hibiscus ‘Painted Lady’.

暑さに強い丈夫な在来系品種です。沖縄で植栽によく使われます。
‘フラミンゴ’ Hibiscus ‘Flamingo’

2段咲きの花がユニークなコーラル系の品種です。枝が伸びやすいコーラル系なので、ピンチを繰り返すとコンパクトな株姿で花を多く咲かせます。赤やレモン色の花色の品種もあります。
「ニューロングライフ」シリーズ

デンマークのグラフ社により、鉢物用のハイビスカスとして品種改良されたシリーズです。適温の15~25℃では3~4日間、花が咲き続け、耐陰性も強いです。花色は大輪系のように豊富でブルー系もあり、八重咲きの花も多くあります。暑さには強くない場合が多いので、注意してください。
ハイビスカスの栽培12カ月カレンダー
植え付け(地植え):5~6月
植え替え(鉢植え):5~9月(根を切る場合は5~6月)
肥料:5~10月
挿し木:5~6月
ハイビスカスの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりと風通しのよい場所を好みます。ただし大輪系の品種や弱った株は、夏は暑さを和らげるために遮光下や明るい日陰で管理したほうがよいです。
猛暑時の鉢植えも、午前中だけ日光が当たる半日陰、または明るい日陰に移動するのがおすすめです。またコンクリートやアスファルト、タイル敷きのテラスなどの上に直接鉢を置くと、照り返しで蒸れて弱りやすくなります。台の上など高い位置に鉢を置くと理想的です。
5~10月までは屋外で管理しますが、11月初旬頃までに室内に移動してください。11月も窓際でよく日光に当てれば、花が多く咲くことは珍しくありません。
生育温度
多くの品種の生育に適した温度は15~25℃です。春と秋の過ごしやすい季節に、ハイビスカスも生育と開花が最も盛んになります。
冬越し
品種により耐寒性は異なりますが、5℃以上を保つようにしてください。株元付近が鉛筆程度の太さの小株は性質が弱いので、できるだけ暖かい場所で冬越しさせるとよいでしょう。
ハイビスカスの暑さ対策

品種や花色、株の大きさなどによって異なる耐暑性
品種の系統別では大輪系の品種が暑さに弱く、特に注意が必要です。在来系は普通からやや弱い、コーラル系は普通程度です。現在よく流通する鉢植え用の品種は大輪系の品種が交配されていますが、耐暑性は在来系と同じくらいが多いです。
花色では赤やピンクに性質が強いものが多く、青に近い色や茶色など珍しい色は弱いものが多いです。また株元が細い小株は、成株に比べると暑さに弱いです。
暑さに強い品種
夏もハイビスカスの花を楽しみたい場合は、コーラル系や在来系の赤色の品種など暑さに強いハイビスカスを育てるのがおすすめです。一般に流通する暑さに強い品種を系統別に紹介します。
【コーラル系】ピンクバタフライ、ホワイトバタフライ、フラミンゴ
【在来系】レッドスター、イタリアンレッド、ブリリアント、ピンクアイス
暑さで弱った時の対処は?
遮光するのが最も効果的です。葉が落葉するほど弱っている時は明るい日陰、葉色が悪く花が咲かない場合などは午前中だけ日光が当たる半日陰に置いてください。
暑さで弱った時は、肥料を与えないでください。肥料を与えるとかえって調子が悪くなることが多く、根腐れすることもあります。活性剤は与えてもよく、効果が期待できます。ただし肥料入りの活性剤もあるので注意してください。
ハイビスカスの植え付け・植え替え

植え付け
在来系やコーラル系などの丈夫な品種は、5~6月に花壇に植え付けるのもおすすめです。根付けば水やりの手間が減り、管理しやすいです。
雨が降った後に水が溜まりやすい水はけの悪い場所は避けてください。アルカリ性の土壌に植えると葉が黄化しやすく、生育も衰えます。石灰を撒いてアルカリ性になった土壌などは避けてください。
鉢植えの植え替え
流通する鉢植えはやや根詰まり気味のことが多く、そのまま育てると水や肥料が不足しやすく育てにくいです。購入したらすぐに1~2回り大きな鉢に、根鉢をくずさずそのまま植え替えてください。根を切らずに植え替えする場合は、5~9月に行うことができます。
あまり大きくしたくない場合は5~6月に植え替え、同時に剪定します。根鉢を1/3~1/4程度くずし、同じ鉢か1回り大きな鉢に植え替えます。同時に伸びすぎた枝や弱い枝などを切って枝葉の量を1/3程度減らしてください。
用土
通気性と水はけのよい用土が適します。丈夫な品種は多くの植物に使える一般的な培養土、または赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜた用土などで育ちます。
大輪系の品種や立ち枯れしやすい「アーノッティアヌス」などは、赤玉土小粒3:鹿沼土3:腐葉土3:パーライト1を混ぜ、さらにふるいにかけて微塵を取り除いた用土がおすすめです。また7号以上の大きさの鉢を使う場合は、赤玉土の中粒を使って水はけよく植えたほうがよいでしょう。
ハイビスカスの育て方・日常の管理

水やり
鉢土の表面が乾いてから水やりします。葉が多くついて根詰まり気味の株やよく花を咲かせている株が乾きやすい場合は、毎日水やりしてもよいでしょう。夏などによく乾燥する場合は、朝夕2回の水やりが必要なことがあります。
水をしっかり与えても落葉するなど調子が悪い株は水やりを控え、涼しい場所で管理してください。また冬も乾かし気味に管理します。
地植えした場合は、根付けば水やりの必要性は少なくなります。ただし土壌が乾燥したら水やりしてください。
肥料
生育期の5月~11月初旬は、肥料を切らさないように与えます。ただし株の調子が悪かったり、夏に生育を停止している場合は、肥料を与えないでください。また生育がよい場合でも暑さが厳しい時は、液体肥料を規定の半分程度に薄めて与えると根を傷めることが少なくなります。
秋になって株の生育がよくなったら、即効性がある液体肥料を1週間に1回、規定の倍率で与えてください。冬に室内で花を咲かせている場合は、月に2回程度、液体肥料を規定の半分程度に薄めて与えるとよいでしょう。
病害虫
葉を食害する害虫やアブラムシ、カイガラムシなどがよく発生します。生育期間中はオルトラン粒剤など、用土に撒くタイプの薬剤を使ってあらかじめ予防するのがおすすめです。
ハイビスカスの栽培ポイント

- 暑さに強くない品種が多い
- 夏より秋や春のほうが花が咲きやすい
- 暑さ対策には遮光が効果的
- 害虫の発生が多い
- 根詰まりすると生育が衰えやすい
春から初夏頃に購入したハイビスカスが夏に花が咲かなくても、問題ありません。夏に涼しい場所で養生しておけば、秋から花を咲かせます。ハイビスカスの花は、実際は秋が見頃の場合が多いです。夏に弱ってもあきらめず、秋に美しい花を咲かせて楽しんでください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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