星形の花が咲く危険な雑草! 身近なこの野草の名前は?【Let’s Try! 植物クイズ】
green scent/Shutterstock.com
野原や空き地、道端でけなげに育つ野草たち。普段それらの名前を意識することはあまりないかもしれませんが、「雑草という草はない」という植物学者・牧野富太郎の言葉がよく知られているように、どんな草花にもそれぞれ名前があります。そして、野草の花も、よく見ると意外とかわいらしいものですよ。今回は、雑草として扱われる身近な花をクローズアップでご紹介。どこかで目にしたこの植物の名前は分かりますか?
目次
ナスやジャガイモによく似た厄介な外来雑草
夏~秋にかけて、野菜のジャガイモにそっくりな可愛らしい星形の花を咲かせるこちらの雑草。北アメリカを原産とする帰化植物で、日本でも関東地方を中心に全国に分布し、道端や畑、河川敷などで見かける花です。花径は2.5cmほどで、花冠が5裂し、白や淡紫の星形~五角形の花を咲かせます。花の中央には雌しべが1本あり、その周囲を取り囲むようによく目立つ黄色の葯(やく)がついた雄しべが5本あります。
もう少し離れて全体の様子を見てみます。

花茎を伸ばし、房状の花序で数個~10個ほどの花がまばらに咲きます。草丈は20~90cm。茎や葉には鋭いトゲがあります。葉は長さ8~15cmで、互生し、縁には波状の大きな鋸歯があってギザギザとした印象。両面に星状毛が密生し、中央の脈にはまばらにトゲがあります。

繁殖力があって根絶が難しく、毒性・鋭いトゲがあるだけでなく、作物にも悪影響を与えることから、厄介な外来雑草として問題視されています。
さて、この雑草はなんでしょう?
正解は…
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ワルナスビ

ワルナスビの基本データ
学名:Solanum carolinense
科名:ナス科
属名:ナス属
原産地:北アメリカ
和名:ワルナスビ(悪茄子)
別名:ノハラナスビ、オニナスビなど
英名:Apple of Sodom、Devil’s tomato、thorn eggplantなど
形態:多年草
草丈:20~90cm
ワルナスビは北アメリカ原産のナス科の多年草で、日本を含め世界的に帰化している外来雑草です。ほぼ全国に分布しているとみられ、道端や畑、荒れ地、河川敷など身近な場所に見られます。開花期は6~9月で、花後にはミニトマトによく似た橙黄色の液果をつけます。未熟な実にはスイカのような縞模様がありますが、熟すと消えていくのが特徴。ジューシーな果実は一見美味しそうに見えますが、実を含め全草が有毒なので、口にしてはいけません。秋から冬にかけて地上部は枯れますが、翌年には再び芽を出します。


ワルナスビという名前は、野菜のナスに花や葉が似ている一方で、トゲや毒があり、繁殖力が強くて始末が悪いことから付けられたそう。ノハラナスビ、オニナスビなどの別名もナスに似ていることが由来です。ちなみに、和名「ワルナスビ」の名付け親は有名な植物学者の牧野富太郎博士で、著書『植物一日一題』の中にそのエピソードも登場します。
日本には明治時代に牧草に混入して非意図的に導入されたと考えられていますが、繁殖力が強く、現在では広い範囲に帰化しています。

ワルナスビの花は淡紫か白で、白い花のものはシロバナワルナスビとも呼ばれます。花は花径2.5cmほどの星形~五角形。中央には1本の雌しべと、花粉が詰まった黄色い葯が目立つ5本の雄しべがあり、雄しべは葯を支える花糸(かし)が、葯よりも短いのが特徴です。多くの花では雌しべの花柱が雄しべよりも長く、柱頭が葯の中央から突出しますが、花によっては雌しべのほうが短く、柱頭がほとんど見えないものもあります。

茎や葉の中央を走る主脈上には鋭いトゲがあります。ワルナスビのトゲは、秋になって枯れても残るため、注意が必要。葉の長さは8~15cmで、縁には波状の大きな鋸歯が入ります。

厄介者扱いされるワルナスビ

ワルナスビは全草に有害なアルカロイド、ソラニンを含む有毒植物。ソラニンはジャガイモの芽や緑色に変色した皮に多く含まれることで知られ、嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。特に家畜がワルナスビの実などを誤食すると、最悪の場合は死亡することもあります。熟した実は、見た目がミニトマトに似て美味しそうなので、小さなお子さんが口にしないよう注意が必要です。毒性に加え、鋭いトゲがあるためうかつに触れず、除草も大変です。
また、ナス科の植物なので、畑に生えると、同じナス科のナスやジャガイモ、トマトといった作物の連作障害を引き起こし、作物の品質や収穫量を低下させる原因にもなります。直接畑に生えなくとも、近くの土地に育っているだけで、害虫であるニジュウヤホシテントウやホオズキカメムシの温床になり、畑に害虫を呼び込むこともあります。
さらには生育旺盛で、種子からでも地下茎からでもよく繁茂し、抜き取ろうとしても切れた地下茎から再生するなど、一度茂ってしまうと根絶が困難です。

花は可愛らしいですが、毒やトゲがあり、農作物や家畜に被害を与え、駆除が難しいと、人間にとってはまさに「ワル」の名にふさわしい雑草。英語でも「Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)」「Devil’s tomato(悪魔のトマト)」などの悪名で呼ばれるほどです。
ワルナスビに似た植物

ワルナスビはナス科で、ナスやジャガイモなど身近なナス科の野菜とよく似た花を咲かせます。

また、ワルナスビに似た花を咲かせる野草に、イヌホオズキもあります。こちらもナス科の一年草で、有毒。日本全土に分布します。
白い花はワルナスビによく似ていますが、より小さく花径は6~7mm程度。茎葉にトゲはありません。葉縁は波のような鋸歯が入ることが多いですが、なめらかなこともあり、ワルナスビほど目立ちません。ワルナスビとの大きな違いは果実で、イヌホオズキの実は黒く熟します。

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Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中! 2026年10月5日発売の書籍第3弾『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』(発行/KADOKAWA)予約受付中!
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