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これが菊!? オシャレ化が止まらない秋の庭の主役「マム」の魅力 難波良憲さんに学ぶ寄せ植え術

これが菊!? オシャレ化が止まらない秋の庭の主役「マム」の魅力 難波良憲さんに学ぶ寄せ植え術

「菊」と聞いて、どんな花を思い浮かべますか? 仏花や菊花展、丹精込めて大輪の花を咲かせる伝統園芸——そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。ところが近年、園芸店に並ぶ「菊=マム」を見てみると、その印象は一変します。アプリコットやサーモンピンク、ブロンズなどのニュアンス豊かな花色に、こんもり花を咲かせる姿は、一株だけでも秋の庭の主役を任せられる華やかさがあります。2026年9月13日放送のNHK『趣味の園芸』でも「秋はやっぱり マムでしょ!」と題して取り上げられるなど、この秋ますます注目したい植物。今回は、今どきのマムの魅力と、寄せ植えの名手・難波良憲さんの作品から、マムを主役にした寄せ植えのコツをご紹介します。

「マム」って何? 菊とは違う花?

「マム(mum)」は、英語のChrysanthemum(クリサンセマム=キク)に由来する呼び名。つまり、マムも私たちが古くから親しんできた菊の仲間です。日本では菊は古くから園芸植物として愛され、大菊や古典菊など、一輪一輪の花の美しさや仕立てを競う独自の園芸文化が発達してきました。

大菊
日本の伝統園芸を代表する大菊。丸く豊かに花弁を重ねる「厚物」と、細い管状の花弁が放射状に広がる「管物」。どちらも一輪そのものを鑑賞するために育まれてきた、菊ならではの華麗な花姿。yoshi0511/Shutterstock.com

一方、菊は海を渡り、欧米でもさまざまな方向へ品種改良が進みました。アメリカでは20世紀半ば、鉢植えで楽しみやすい小型のタイプが登場し、「ポットマム」として広く親しまれるようになります。その後も育種が重ねられ、花色や花形、株姿のバリエーションはさらに豊かになっていきました。日本で一輪の花を美しく仕立てる文化を育んできた菊が、海外では鉢いっぱいに花を咲かせ、庭や玄関先の景色をつくる植物としても発展していったのです。

秋の庭
海外では、マムは秋の庭演出に欠かせない存在。こんもりと咲く鉢植えを玄関先やテラスに並べ、バスケットやガーデンファニチャーと組み合わせて秋らしい景色をつくる楽しみ方が定着している。Nelia L/Shutterstock.com

今私たちが楽しんでいるマムの中には、いわば菊界の“帰国子女”ともいえるものがあります。かつての菊が「一輪の美」を追求してきたとすれば、現代のマムは、株全体で見せる美しさも大きな魅力なのです。

最近のマムは花色も花形もこんなにオシャレ!

クリサンセマム‘マウントオービスク’シリーズ

秋らしいブロンズやグラデーションが美しいピンクのクリサンセマム‘マウントオービスク’シリーズ。鮮やかなのにどこか落ち着いて見えるのは、マムならではの端正な花姿があるから。秋色のカラーリーフともよくなじみます。

ポットマム‘ダンテダーク’

幾重にも重なる花弁がつくる整った花形のポットマム‘ダンテダーク’。華やかでありながら上品。深い紫や銅葉など、秋らしいカラーリーフと合わせると花色がさらに際立ちます。

ガーデンマム‘ジジ コーラル’

今人気のアプリコットやピーチ系のガーデンマム‘ジジ コーラル’。中心から外側へ微妙に色が変化する花は、一色では表せないニュアンスがあります。小輪でも花数が多く、十分な存在感。

ポットマム‘インヤン’シリーズ

黒っぽい花芯がオシャレなポットマム‘インヤン’シリーズ。昔ながらの「菊」の姿とはかなり印象が異なり、ナチュラルガーデンにも取り入れやすいタイプです。

クリサンセマム‘アラモード アプリコット’

アンティークカラーのクリサンセマム‘アラモード アプリコット’。クリーム、ベージュ、淡いピンクなど、少しくすんだ花色は秋の光によくなじみます。

なぜマムは「1株で主役」になれるの?

マムの寄せ植え

マムの魅力は、単に「花がたくさん咲く」ことだけではありません。枝分かれがよく、1株がこんもりとまとまって花を咲かせるため、鉢の中に入れたときに大きな「花のかたまり」として見えます。

マム

もう一つは花姿。丸い花の中に花弁が幾重にも整然と重なり、中心へ向かって規則正しく収まる姿には、華やかさと同時に凛とした印象があります。

フローラマム‘アーティスティック ジェフピンク’
フローラマム‘アーティスティック ジェフピンク’。甘くなりすぎないシックな花色で、秋の寄せ植えをぐっとおしゃれに見せてくれる。

そして、現代のマムをぐっとおしゃれにしているのが花色。赤、黄色、白だけでなく、アプリコット、サーモン、ブロンズ、ワインレッド、くすみピンクなど、秋の草花や紅葉した葉と合わせやすい色が豊富です。

つまり、

ボリュームのある株姿+端正な花姿+秋になじむ花色。

この3つを持っているからこそ、マムは1株でも十分に主役を張れるのです。だから寄せ植えにするときも、たくさんの花を足して豪華にしようと考える必要はありません。むしろ大切なのは、「このマムをどう美しく見せるか」です。

難波良憲さんの寄せ植えに学ぶ「マムを主役にする」植物合わせ

難波良憲さんのマムの寄せ植えを見ると、マムそのものの存在感を生かしながら、周囲の植物で秋らしい景色をつくっていることが分かります。ポイントは、マムと同じような花を次々と足していくのではなく、形や質感、葉色の違う植物を組み合わせることです。

丸いマムには、ツンツンと伸びるセロシアを

マムの寄せ植え
ガーデンマム‘ジジ コーラル’にセロシア、コリウス‘バレッティ’、ロニセラ・ニティダ、チェッカーベリー、ヨウシュコバンノキ、アルテルナンテラ‘マーブルクイーン’の寄せ植え。

マムは、たくさんの丸い花がまとまって咲き、寄せ植えの中では「面」や「かたまり」として見える植物です。ヤリゲイトウやノゲイトウなど、細長い花穂が縦に伸びるケイトウを合わせると好相性。マムの丸みとケイトウのシャープな「線」が対比し、互いの花姿を引き立てます。

マムの寄せ植え

形が異なるからこそお互いが埋もれず、マムの丸さはより丸く、セロシアのシャープさはよりシャープに見え、寄せ植え全体にも高低差とリズムが生まれます。逆にダリアなど、マムと同じように大きな丸い花を隣に置くと、どちらも主役級の存在感を持つため、合わせ方によっては視線を奪い合ってしまうことも。

マムを主役にすると決めたなら、もう1つの主役花を足すのではなく、違う形を持つ植物を選ぶのが1つのコツです。

花を増やす代わりに「カラーリーフ」を重ねる

マムの寄せ植え
ピンクのスプレー咲きポンポンマム、セロシア、アルテルナンテラ‘マーブルクイーン’、ロニセラ・ニティダ、ジュズサンゴ‘絣’、ハゴロモジャスミン‘フィオナサンライズ’の寄せ植え。

難波さんの作品で印象的なのが、カラーリーフの豊富な使い方です。アルテルナンテラやコリウス‘バレッティ’などの赤紫や銅葉、ジュズサンゴの色づいた実などが、マムの周囲に重ねられています。こうすると、大きな花を追加しなくても寄せ植えは十分に華やかになります。

寄せ植えの花材
左上から時計周りに。ロニセラ・ニティダとアルテルナンテラ‘マーブルクイーン’、ハツユキカズラ、観賞用トウガラシ‘ブラックパール’、コリウス‘バレッティ’、ジュズサンゴ‘絣’。

カラーリーフは、主役のマムより一歩引きながら、背景として花色を際立たせてくれます。また、マムの葉は大きく濃い緑色で、それだけだと少し単調な雰囲気になるので、斑入りのものなどを入れると変化が加わり、寄せ植えに表情が生まれます。

マムとカラーリーフ

たとえばピンクのマムに赤紫の葉を合わせれば、花色の中にある紫や赤が引き出されますし、アプリコットのマムなら、赤銅色や黄緑、斑入り葉などを添えることで、花の微妙な色の変化がより美しく見えてきます。

花で花を飾るのではなく、葉で花を引き立てる。これが、マムを洗練させて見せる大きなポイントです。

実ものや小花は「点」として効かせる

マムの寄せ植え
ライムイエローのポットマム、観賞用トウガラシ‘ブラックパール’、‘パープルフラッシュ’など、ジュズサンゴ‘絣’、ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’の寄せ植え。ブラックの宝箱の容器に。

観賞用トウガラシやジュズサンゴなどの実ものも、マムとは形がまったく違います。マムが大きな「面」なら、小さな実は寄せ植えの中に散らばる「点」。マムの周囲に小さな丸い実がちらちらとのぞくことで、目線が動き、作品に細かな表情が生まれます。

マムを複数使うなら「同系色」でつなぐ

マムの寄せ植え
フローラマム‘アーティスティック ジェフピンク’、アルテルナンテラ、セロシア、コリウス‘バレッティ’の寄せ植え。

マムを寄せ植えに2株、3株と取り入れる場合も、何色ものマムを集めればいいというわけではありません。1株でも存在感の強いマム同士なので、たとえば鮮やかな赤と紫など、主張の強い色をいくつも並べると、それぞれが目立ちすぎてまとまりにくくなる場合があります。複数使うなら、同じ色、あるいは近い色調でつなぐと自然です。

マムの寄せ植え

サーモンとアプリコット、ピンクとくすみピンク、赤とブロンズ、白とクリーム——。色を少しずつずらしながら同系色で重ねると、1つの大きな色のかたまりとして見え、マムならではの豪華さを楽しめます。さらに、その花色の一部をカラーリーフや実ものでも繰り返すと、寄せ植え全体に統一感が生まれます。

ガーデンアイテムも寄せ植えのポイントに

マムの寄せ植え

マムは、1株だけでも花数が多く、ボリュームがあり、十分な華やかさを持つ花です。だからこそ、寄せ植えでは「もっと花を足そう」と考えるよりも、この1株が最も美しく見える植物は何だろう? と考えてみましょう。

華やかな花の周りには、落ち着いたカラーリーフ。
大きな花の間には、小さな実や繊細な小花。

同じものを重ねるのではなく、違いを組み合わせることで、それぞれの魅力を際立たせるのがマムの寄せ植えをおしゃれに見せるコツです。

ミニ花壇フェンス
「ミニ花壇フェンス パピヨン」を寄せ植えの背面に使った作品。

また、鉢色を花とコーディネートしたり、ガーデンアイテムを使うのも一つの方法。背面のフェンスは、植物を支えるためだけでなく、デザイン上の背景としても効果的です。直線的な構造物を一つ加えることで、野趣のある枝葉の動きが際立ち、寄せ植え全体に端正な印象が加わります。コンテナの中に“小さなフォーマルガーデン”をつくるような演出です。

マムの寄せ植え

かつて一輪の美しさを追求してきた菊。その端正な美しさを受け継ぎながら、今のマムは色も姿もぐっと自由になり、秋の庭で堂々と主役を張れるガーデンプランツへと広がっています。

「菊はちょっと古風な花」と思っていた人ほど、今年の秋はぜひ園芸店のマム売り場をのぞいてみてください。

きっと、「これも菊なの?」と思う一株に出会えるはずです。

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