八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
難波良憲の記事
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一年草
【初心者必見】かんたん!かわいい!長もち! 3種でつくる春の寄せ植え
形の違う3種の組み合わせがポイント 【使った花材】 マリーゴールド‘ストロベリーブロンド’×3株 ライスフラワー×3株 ワイヤープランツ‘スポットライト’×3株 植木鉢のサイズ/7号(直径約21cm) 今回の寄せ植えの主役は、アプリコットオレンジの花色がかわいいマリーゴールド‘ストロベリーブロンド’。7号サイズの鉢の場合、主役は1つに絞ったほうがまとまりが出ます。ですから、他の2つは主役を引き立たせる脇役として選びました。脇役の条件は、主役と個性が異なること。色の違いよりも、形の違いを意識して、むしろ色は統一感を持たせると初心者は失敗がありません。 今回は主役のマリーゴールドが丸い花形なので、脇役にはツンツンとした花姿のライスフラワーと、リーフのワイヤープランツをセレクトしました。どちらも花色、葉色に主役と同じカラーが入っているのがポイント。 お得! 春から秋まで咲くマリーゴールド‘ストロベリーブロンド’ マリーゴールド‘ストロベリーブロンド’は、シックなアンティークカラーが人気の花で、咲き進み具合や温度によって花色が変化するのも魅力。春先は紫色のつぼみからアプリコットオレンジの花が咲き、気温が高くなると黄色味が強くなり、低いと赤みが強くなります。よく枝分かれしてたくさんの花が咲き、秋遅くまで長期間花を咲かせ続けてくれるので、春の入手がお得。 かわいく仕上げる植え方のコツ 鉢に元肥入りの培養土を入れ、各種が三角形になるように植栽します。ポットから出した苗は土がたくさん付いていますが、そのまま植えると、この鉢のサイズでは全部入りません。 ポットから出したままだと、根鉢のサイズは赤線の大きさ。 そこで、根の部分をほぐしながら、土を1/3〜1/2ほど落とします。植物によっては根をいじられるのを嫌うものもありますが、今回使う花材はどれも根を大胆にほぐして植えても大丈夫です。根に刺激を与えることで、むしろ植えた後の生育がよくなります。 花が入り混じるようにします。 主役となるマリーゴールドとライスフラワーを隣り合うように三角形にしますが、手の中で二つを組み合わせてから三角形に植えてもOK。マリーゴールドの花の間から、ライスフラワーが出るように調整します。 ワイヤープランツは真ん中から苗を開き、苗の形を横長にして、鉢縁に沿わせるように植栽します。 苗の間に土が足りないところがあれば足し、水をやって完成です。 寄せ植えの管理 日当たりがよく風通しのよい場所に置き、表土を触って乾いていたら水やりをします。水やりをする際は鉢底から流れ出るまでたっぷりと。水やりの際に定期的に液肥を混ぜて水やりをすると、美しさを保てます。枯れた花は病気の原因になるので、こまめに切りましょう。 3種でかわいい寄せ植えからステップアップ! ペチュニア‘花衣’を主役にした寄せ植えです(鉢サイズ6号)。左は斑入り葉のアジュガ(両サイド)とライムグリーンの葉が美しいルー(手前中央)を組み合わせた3種の寄せ植えです。これでも十分素敵ですが、右はさらにリーフを2種加えた例。より複雑で繊細な雰囲気が出ていますよね。花をプラスするより、リーフを加えたほうが主役が際立ち、まとめやすいので初心者のステップアップにおすすめです。 リーフをプラスするときのポイント この寄せ植えでプラスしたリーフは、斑入りのタイム(左)とオレガノ‘ゴールデン’(右)です。両方とも鉢の後方、ペチュニアの後ろに植栽しました。リーフ類は株分けできるものは1ポットを2つに分けて分散させて植栽すると、より繊細な雰囲気が出ます。ここでは斑入りのタイムを2つに株分けし、鉢の後方の両サイドに植栽。オレガノは苗の形を平らに成形し、鉢縁に沿わせるように植栽しました。 今回の脇役の選び方には2つポイントがあります。1つは、主役のペチュニア‘花衣’が紫色なので、その補色になる黄色味がかったルーやオレガノ‘ゴールデン’などの葉を選んだことです。2つ目は、ペチュニア‘花衣’の花縁に入る白色に合わせて、斑入り葉のアジュガとタイムを選んだこと。このように主役の特徴をよく観察して脇役を選び出すのが、寄せ植えを上手にまとめるコツです。 店頭にたくさんの草花が並ぶシーズンですから、さまざまな花材を使って寄せ植えを楽しんでくださいね。
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寄せ植え・花壇
【3つの実例から学ぶ】開花最盛期のクリスマスローズを120%楽しむ方法
寒冷地でも丈夫に美しく咲く宿根草クリスマスローズ 雪の中に咲くクリスマスローズ。Alex Manders/Shutterstock.com クリスマスローズは花がまだ少ない早春に咲いてくれる宿根草です。私の暮らす山梨県北杜市は、冬の寒さが厳しく0℃を下回ることもしばしばですが、そんな中でも元気に育ち、年々株が充実して美しさを増していきます。まだ空気の冷たい早春の朝、うつむき気味の可憐な花を見つけると、毎年のことながらとても感動します。きれいだなぁと思うのはもちろん、寒冷地で暮らしているせいか、厳しい冬を耐えて美しい花を咲かせるというクリスマスローズの生き方に、思うところがあるのです。 入手直後の小さな開花株は寄せ植えで華やかに エム・アンド・ビー・フローラの3号ポット苗。寄せ植えにも最適のサイズ。 3月は最も多くのクリスマスローズが開花する季節です。クリスマスローズの開花株を入手したら、1年目は寄せ植えにして楽しむのはいかがですか。買ったばかりの苗はまだ小さく、花は咲いていても1〜2輪で、葉っぱもあまりない状態のことが多いので、単植ではやや寂しい雰囲気になりがちです。季節の花と一緒に植えれば、より華やかな雰囲気でクリスマスローズが楽しめますよ。見頃が過ぎたら寄せ植えを解体し、地植えにするか別の鉢に植え替えれば、来年以降はより大きく生育し、単植でもクリスマスローズが十分堪能できるようになります。 クリスマスローズの寄せ植えのコツ 左はポットから出した状態。右のように軽くほぐす程度にとどめ、根はあまりいじらないようにする。 クリスマスローズの寄せ植えは、これまでご紹介してきた寄せ植えとは一つ異なる重要なポイントがあります。それは「根を崩さない・いじらない」ということです。寄せ植えをする際、多くの植物は根をほぐしてから植えることで、根が刺激されてその後の根張りがよくなります。一方、クリスマスローズは基本的に根を触られるのを嫌い、ダメージを受けやすいです。ですから、ポットから出したら根はそっとほぐす程度にして、切れないよう注意。寄せ植えを解体する際も、クリスマスローズの根はそっと扱うのがポイントです。 ピンク系クリスマスローズの寄せ植え実例 ピンク系のクリスマスローズと赤系の花を組み合わせ、華やかな1鉢に仕上げました。直径34cm、高さ22cmのテラコッタの鉢に植えています。クリスマスローズは早春の花の中では草丈が高いほうですが、このサイズの鉢では、クリスマスローズだけだと、ややボリューム感が足りないので、赤いカラーをプラスしてバランスをとりました。鉢の後方から手前へと植栽していくので、まずはこのカラーから植栽します。 カラーには水辺を好む湿地性のものもありますが、こちらのカラーは畑地性。園芸店に並ぶカラフルなカラーは畑地性で、水はけのよい環境を好むのでクリスマスローズの寄せ植えにも用いることができます。スラリとしたシンプルな株姿が特徴で、寄せ植えの後方に入れると堂々とした風格を出すことができ、大鉢や高さのある鉢では重宝する素材です。畑地性のカラーは春から夏に成長、開花します。真夏は半日陰で水はけのよい場所が適しているので、クリスマスローズと栽培環境は似ています。 カラーの手前、鉢の中央部に位置するようにクリスマスローズを植え、手前に草丈の低い草花を配置していきます。 ① 花弁が白色で縁取られ、渦をまいてバラのように咲く姿が豪華なプリムラ・ジュリアン‘リボン’。② スイートアリッサム。生育するにしたがい、枝垂れて鉢との一体感を出してくれます。③ カラーリーフのリシマキア‘リッシー’。④ ミカニア・デンタータ。赤紫色がかる葉色が赤い花々と好相性。⑤ ライムグリーンのもこもことした葉が個性的なオレガノ‘ミルフィーユリーフ’。⑥ 寄せ植えに動きを加えるハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’。 ピコティー(花弁が縁取られる花)のクリスマスローズに合わせて、ピコティーのバラ咲きプリムラ・ジュリアン‘リボン’を合わせて華やかに。 空洞化を防ぐ組み合わせがポイント 組み合わせる植物は極端に性質が異ならなければ、季節の好きなものを選んでOKです。ただし、一つ組み合わせのポイントを挙げるなら、クリスマスローズの根鉢部分には、他の植物が植えられないということを考慮することです。上の写真を見ていただくと分かるように、クリスマスローズの根はくずして植えることができないので、他の植物はクリスマスローズの株元から離れた箇所にしか植えられません。ですから、ぽっかり目立つ空洞ができてしまわないように、この寄せ植えでは、立ち上がってふんわりとボリュームが出る⑤のオレガノ‘ミルフィーユリーフ’を手前に配置しています。 クリスマスローズには花ばかりでなく、葉っぱもきれいなものがあります。ギザギザのシルバーリーフに赤い葉脈が美しいこのクリスマスローズは、ステルニー。もちろん花も咲きますが、カラーリーフとしての楽しみが大きい品種で、この時期の寄せ植えでも活躍してくれます。 黄色系クリスマスローズの寄せ植え実例 黄色系のクリスマスローズを組み合わせた寄せ植えです。直径27cm、高さ20cmのテラコッタの鉢に植えています。組み合わせたのは黄色の補色になるアネモネ‘ポルトダブル ブルー’。クリスマスローズと同じキンポウゲ科の花で、開花期もぴったり合い、早春に咲いて夏前に地上部が枯れ、夏は休眠という生育過程もよく似ています。最も草丈が高いクリスマスローズを後方に配置し、中央にアネモネを。鉢の縁にいくにしたがい、草丈が低くなるようにします。 ① クリスマスローズの株元には、やや赤紫がかるブラックリーフのユーフォルビア‘パープレア’を。立ち上がるように育つのでクリスマスローズの株元がスカッと空いてしまうのを防いでくれます。② リバーシブルカラーのクリスマスローズと色を合わせたオレンジピンクのスイートアリッサム。③ 黄色のクリスマスローズに合わせたライムイエローのリシマキア‘オーレア’。 パープルとイエローのバイカラーになるビオラ‘パンプキン’も株元にプラス。 クリスマスローズの寄せ植えのお手入れの方法 日が当たり、風通しのよい場所に置いて管理します。3月は新葉が伸び始め、生育が活発になってきます。生育にしたがい水もよく吸い上げるようになるため、水切れに注意して表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水をあげてください。新葉が展開してきたら緩効性の固形肥料を与え、液肥を週1回程度与えるとよいでしょう。 クリスマスローズの見頃が終わったら 4月半ば、色あせてきたクリスマスローズ。 クリスマスローズの寄せ植えの見頃は4月まで。4月に入ると多くの花が咲き終わって色あせてきます。そうなったらまず花茎を切りましょう。クリスマスローズの「花」と呼んでいる部分は、じつはガクで、散ることがありません。そのままにしておくとタネができますが、タネができると株が体力を消耗してしまい、来年の花に影響します。ですから色あせてきたなと思ったら、花茎を株元から折り取りましょう。花茎を切ったら寄せ植えを解体して、クリスマスローズはそれぞれ単体で別の鉢に植えるか、地植えにしましょう。 <鉢植えにする場合> 水はけのよい土に植えて、日の当たる風通しのよい場所に置きましょう。4〜5月はクリスマスローズが最も生育する時期なので、緩効性の固形肥料を与え、液体肥料も週1回程度与えるとよいでしょう。新葉が伸びて葉が増えると、水を吸い上げる量も増えるので、乾かないように表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでしっかり水をあげます。5月になったら半日陰に移動しましょう。 <地植えにする場合> 冬は日が当たり、夏は日陰ができる落葉樹の下などが最適です。必要があれば水はけがよいように土壌を改良し、植え穴を掘って植えます。夏に地温が上がりすぎたり、乾燥を防ぐために株元はバークチップや堆肥などで覆っておくと効果的です。 以上に挙げたポイントを守れば、クリスマスローズは丈夫で何年も楽しめる宿根草です。そして、大きな魅力は豊かな花のバリエーション。個性豊かなクリスマスローズに合わせて、寄せ植え作りもぜひ楽しんでみてください!
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寄せ植え・花壇
個性派パンジー&ビオラと鉢のコーディネートで冬のおしゃれな寄せ植え
冬はテラコッタや陶器鉢のひび割れに注意! GreenThumbShots/shutterstock.com 冬は個性豊かなパンジー&ビオラやガーデンシクラメンなど、素材が豊富で寄せ植えが楽しい季節。ただし、寄せ植えにする際の器選びは地域によって注意が必要です。寒冷地では、テラコッタや陶器の鉢は、鉢内部に残った水分が凍結することにより、ひび割れが生じることがあります。エム・アンド・ビー・フローラの本社がある山梨県北杜市は八ヶ岳の麓に位置し、冬は0℃以下になることが多いため、割れる心配のないブリキ製やFRP(繊維強化プラスチック)素材の鉢を用いるようにしています。これらの鉢は色彩やデザインの幅が多くあり、軽量で比較的安価なのも魅力。花に合わせて選ぶことで、より印象的な寄せ植えを作ることができます。 ビオラ‘恋みやび’をビンテージ風の鉢とコーディネート ビオラ‘恋みやび’はゆるっとしたフリルと一輪のグラデーションが美しい品種です。ピンク系からブルー系まで色幅がたくさんある中から、今回選んだのは水色のグラデーションの花。鮮やかすぎない落ち着いた色味に合わせて、ビンテージなムードを演出することにしました。そこで選んだのが「Voyage de J.B. 1768」と書かれた青い旅行カバン風のブリキの鉢。1768年にどこかの誰かが旅をしたことを意味するデザインですが、18世紀終わりはヨーロッパで探検や冒険が盛んだった時代。ワクワクするような気持ちを表現して、花があふれ出るように植栽しました。 ‘恋みやび’の花心の色と合わせ、淡いイエロー系のビオラとネメシアをセレクト。両サイドに入れたパープルのミニハボタンとスイートアリッサムはこんもり丸い形を出しつつ、色の引き締め役に。手前のヒューケラの色合いも、ビンテージ感を演出するのに活躍してくれます。少し高さと変化を出すために、一番後ろにオレガノ‘ミルフィーユリーフ’をプラス。落ち着いた雰囲気ながら、華やかにまとめました。 複数鉢をレイアウトしたコンテナガーデンでより印象的に 植物が地植えできない場所で、複数の鉢を組み合わせて空間を彩る手法を「コンテナガーデン」と呼びます。先ほどの寄せ植えと合わせて、フリルが優雅なパンジー‘フェデネージュ’や白花のスキミアを合わせたブルーの寄せ植えをもう1鉢組み合わせ、印象的な花のコーナーを作りました。コンテナガーデンを魅力的に見せるには、カラーコーディネートに加え、花台などを利用して高低差をつけてレイアウトするのもコツです。 物語を感じさせる本型のユニークな鉢と花とのコラボ ピンクとグリーンの2色の本が積み重ねられたようなユニークな植木鉢(FRP)を使った寄せ植えです。パンジー&ビオラも、‘マジックアワー’や‘ジュエルボックス パステルフリル’という個性的な花を選びました。鉢との一体感が出るように、ワイヤープランツやカルーナ・ブルガリス、ミカニア・デンタータなどのリーフ類を添え、全体的に草丈を低く抑えました。 優雅なフリルと個性的な色合いが魅力の‘ジュエルボックス パステルフリル’。さまざまな色の展開があり、その中から二つとないレアな色が見つかるのも個性派パンジー&ビオラの楽しみです。パンジー&ビオラではとても珍しいブラウン系の花ですが、寄せ植えの中では一際目立つ花色ではないので、リーフ類は花が引き立つようにフォルムの細やかなワイヤープランツやカルーナ・ブルガリスを近くに配置。ごく細かい点ですが、ワイヤープランツの茎の色も組み合わせの際のポイントにしています。 本を模した鉢は意外にもデザインのバリエーションがあり、個性的なだけに何を植えるか考えるのも心躍るものです。ガーデンの入り口や門柱の上などに置くと、目をひく存在になり、冬の寂しい庭にも楽しげな物語を感じさせてくれます。 ダークカラーの植栽と明るい鉢でコントラストを ダークカラーの植栽と淡いイエローの植木鉢(FRP)を組み合わせた寄せ植えです。黒や茶色といったダークカラーの植物はシックでおしゃれな雰囲気が出るのですが、庭の中に置くと意外に目立たなくなってしまうことがあります。そんなときこそ鉢色でコントラストを。明度の高いものを選ぶと寄せ植えの存在感を簡単に補うことができます。加えて中央から伸びるストックのピンクの花で、上品で明るいポイントを作り、華やかさをプラスしました。 繊細な虹色のグラデーションが美しい‘ジュエルボックス パステルフリル’に合わせて、ブラックのハボタンとキンギョソウ‘ブランルージュ’などのリーフ類を合わせました。 温もりを感じる植栽をナチュラルデザインの鉢で 白や黄色、淡いピンクを基調とした明るい配色で、やさしく親しみやすい雰囲気に仕立てました。寒い冬に元気が出そうな陽だまり色のパンジー‘花絵本’やプリムラを組み合わせ、ブリキの鉢と高さや色のバランスをとるように、後方にネメシアを植栽して立体感を。枕木やウッドデッキなどナチュラルなエクステリアに似合う一鉢です。 寒さの厳しくなる季節ですが、周囲の緑が少なくなる季節だからこそ、寄せ植えが大活躍します。個性あふれる花と鉢をコラボレーションさせ、冬のガーデニングを大いにお楽しみください。
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寄せ植え・花壇
新年の贈り物にぴったりの華やかなシクラメンの寄せ植え
横長の鉢でラウンド型の寄せ植え 中央を高く丸い山形に整えた寄せ植えは、均整が取れており飾る場所を選ばず楽しめるので、プレゼントにぴったりです。花束を贈るのと同じ感覚で受け取ってもらえ、なおかつ花束より長く春まで楽しめるので、喜びも長く続くでしょう。繊細なレースのレリーフ模様の鉢を使い、高級感漂う雰囲気にまとめました。一見重量感がありそうですが、FRP(繊維強化プラスチック)製で軽くて丈夫なので、贈り物にも適しています。 【使った花材】 ガーデンシクラメン 白×1ポット/ピンク×2ポット スキミア 1ポット ハボタン 1ポットを株分けして使用 カルーナ・ブルガリス 2ポット プリムラ 白×1ポット/ピンク×1ポット ワイヤープランツ 1ポット 【作り方】 ① 土を入れた鉢の中央やや後方にスキミアを植栽します。 ② スキミアの両サイドにピンクのガーデンシクラメンを植栽します。 ③ スキミアの手前に白のガーデンシクラメンを植栽します。 ④ 白のガーデンシクラメンの両サイドにハボタンを植栽します。ハボタンは1ポットに2〜3本仕立てになっている場合があり、1本ずつに分けられます。今回はそのうちの2本を使いました。 ハボタンを植栽する際、垂直に植栽するとハボタンのチャームポイントである花心の渦巻きが見えなくなってしまうため、やや前傾になるよう植栽するのがポイントです。 ⑤ カルーナ・ブルガリスをハボタンの外側に植栽します。ポットから出した苗の形は丸い形をしていますが、植栽スペースの形に合わせて苗を開くようにして植えると馴染みやすくなります。 ⑥ ハボタンの手前にプリムラを植栽します。プリムラの外側の葉は大きく、寄せ植えにした際にほかの植物と重なって密になるような場合は、植栽前に取り除いておきます。 ⑦ 一番手前の鉢縁にワイヤープランツを植栽します。ワイヤープランツもポットから出したままの形ではなく、植栽スペースの形に合うよう株分けして小さくしてから植栽します。 シクラメンのほか、縁起のよいハボタンや冬の寒さで赤みが増すリーフ類を入れ、特別な日の贈り物として「繁栄」や「幸運」のメッセージを伝える寄せ植えになりました。玄関や窓辺にも置きやすい、程よいサイズ感とインテリア性の高い鉢もポイントです。 横長のボックス形コンテナの寄せ植え 先ほどの寄せ植えとほぼ同じ種類を用いて作った寄せ植えです。手前に入れたシルバーリーフはサントリナ。シルバーリーフも縁起のよい雰囲気が演出できます。主役のガーデンシクラメンは三角形になるように植栽し、花と花の間を埋めるようにリーフ類を入れていくと、形よく華やかになります。 【使った花材】 ガーデンシクラメン 3ポット ハボタン 1ポットを株分けして使用 プリムラ 2ポット ワイヤープランツ 2ポット キンギョソウ‘ブランルージュ’ 1ポット 足つき鉢×バイカラーのシクラメンの寄せ植え 足つきのエレガントな白い鉢を用いて、白と赤のバイカラーのガーデンシクラメンを主役にしました。丸い鉢なのでどこから見てもいいように、中央に一番背が高くなる赤いストック‘ベイビー レッド’を植栽。草丈が20〜30cmのコンパクトなストックなので、ガーデンシクラメンとの相性も抜群です。その周囲に三角形になるようガーデンシクラメンを植栽し、間を埋めるようにキンギョソウ‘ブランルージュ’を。鉢縁にスイートアリッサムを植栽し完成です。 【使った花材】 ガーデンシクラメン 3ポット ストック‘ベイビー レッド’ 1ポット キンギョソウ‘ブランルージュ’ 3ポット スイートアリッサム 3ポット ナチュラルなバスケットの寄せ植え バスケットの寄せ植えは持ち運びやすく、贈り物として渡しやすいのでおすすめです。籐のバスケットはナチュラルな雰囲気で、どんな場所にも似合うのも魅力。この寄せ植えでも中央が最も高くなるように、ガーデンシクラメンを中央に集めて植栽し、鉢縁に向かって次第に草丈が低くなるように植物を選んでいます。 【使った花材】 ガーデンシクラメン 3ポット ハボタン 5ポット パンジー 4ポット キンギョソウ‘ブランルージュ’ 2ポット スイートアリッサム 2ポット ガーデンシクラメンを中央に、両サイドほぼ左右対称でハボタンやパンジー、スイートアリッサム、キンギョソウ‘ブランルージュ’を植栽しています。全体的に色はパープル系でまとめ、明るめのパンジーで軽やかさを出しました。 ラッピング用の透明なフィルムで包み、リボンをかけるとより洗練された贈り物になります。冬も美しいガーデンシクラメンの華やかな寄せ植えは、新年の訪問先で飾るアイテムとしてきっと喜んでいただけますよ。
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寄せ植え・花壇
【ハレの日の寄せ植え】高さを出して華やかに!クリスマス&お正月にぴったりの豪華寄せ植え
冬から春にかけて活躍するスキミア 「ドアーフタイプ」のスキミア。左から、レッドドアーフ、ホワイトグローブ、マジックマルロー、セレブレーション。 スキミアはミカン科ミヤマシキミ(スキミア)属の常緑低木。花期は春の3月頃ですが、11月頃に花芽ができはじめ、晩秋から冬にかけてプチプチとした赤や緑のつぼみが可愛らしく、クリスマスやお正月の飾りとしてぴったり。樹高は80~100cmほどとコンパクトで、ゆっくり生育するので寄せ植えにも取り入れやすい低木です。葉に白い斑が入る品種や、雌株と雄株を一緒に植えることで赤い実がつく品種など、さまざまな品種があります。 スキミアの赤色を生かす晴れやかな組み合わせの寄せ植え <鉢のサイズ> 約7号(直径約19cm) <使った植物> スキミア 1株 ガーデンシクラメン 2苗 キンギョソウ‘ブランルージュ’ 1苗 ハボタン 2苗 ネメシア 1苗 ワイヤープランツ 1苗 スイートアリッサム 1苗 【組み合わせのポイント】色のつながりを見つけ出そう 寄せ植えの植物の組み合わせを考える際、色のつながりを意識すると上手にまとまります。ここではスキミアのつぼみの赤色と合わせて、赤系の花やリーフを選びました。また、バイカラーのネメシアのクリームイエローと、キンギョソウやワイヤープランツの斑入りの色もつながりがあります。見落としがちですが、この小さなつながりも全体のまとまりに大きな影響を与えます。花や葉といった目立つ部分だけでなく、茎や斑の色、葉脈の色、葉裏の色などもよく観察して、色のつながりを見つけてみましょう。 【配置のポイント】植物の向きを見極め後方から順に 寄せ植えを作るときは、どの方面からどう見るかをまず決めます。一方向的に見るときは、鉢の前後を決めます。全方向的に見る場合は、中央部が最も高くなるように植えていきます。 この寄せ植えでは、鉢の青いラベルがある方を前側として、一方向的に見ることを前提に植えていくので、後方を草丈が高く、前方へ向かって低くなるように後ろから順に植物を配置します。 ① 今回使う花材の中で最も草丈が高いのはスキミアなので、スキミアを最初に鉢の最も後方へ配置します。このとき、植栽するときの苗の「向き」も仕上がりを左右する大事なポイントです。植物は正方形のような整形をしておらず、どこかが高かったり低かったり、ボリュームがあったりなかったり、有機的な形をしています。このスキミアの苗の場合、つぼみのついた枝が5本あり、3本のかたまりと2本のかたまりになっているので、ボリュームのある3本を鉢の後側へくるように配置すると、鉢の後方が最も背が高くボリュームが出てバランスがよくなります。 ② スキミアの次に草丈の高いガーデンシクラメンを鉢の中央両サイドに配置し、株元にハボタンをそれぞれ植栽。ハボタンは中心部のバラのような巻きが見えるように少し前方に傾けて植えます。 ③ スキミアとガーデンシクラメンの間の空間を埋めるようにネメシアを配置します。今回使うネメシアは赤紫と黄色のバイカラーの花が特徴です。全体に赤系の中に少量の黄色が入ることで変化が生まれます。 ④ ネメシアの前方にキンギョソウ、スイートアリッサムを順に植栽し、最前方の鉢縁にワイヤープランツを植栽します。ワイヤープランツは鉢縁の形に合わせて苗を開くようにすると空間を上手に埋められます。 【Point!】植え込む際、苗の根がギュウギュウになっている場合は根をほどきます。その際、苗土を3〜4割落としても大丈夫です。さらに、苗土を水に濡らし、手の中で一旦ぎゅっとまとめてから植え込むと植栽しやすいです。植物によっては根をいじられると弱るものもあるので、特性を確認してから植栽するといいでしょう。 例)クリスマスローズ、クレマチス、ポピーなど直根性の植物は根をいじられるのが苦手。今回使ったスキミアは生育がとてもゆっくりなので、根を傷めると回復まで時間がかかります。あまり根を切ったりしないほうがよいです。 ⑤ 株元に水やりをして完成です。水は上からやると根に行き渡らないことがあるので、株元の土にあげるようにしましょう。 【お手入れ】日の当たる場所に置いて、鉢土が乾いてから水をあげましょう。水のやり過ぎでも植物は傷みます。水をやる際は鉢底から水が流れ出るまでたっぷりあげます。冬の間はあまり生育しませんが、暖かくなると生育が旺盛になるので、定期的に液肥をあげると花色やボリュームを保てます。枯れた花や葉は摘み取りましょう。 【見頃が終わったら】 この寄せ植えの見頃はだいたい3月いっぱいです。スキミアの花が咲いて見頃が終わったら寄せ植えを解体して、植物ごとに養生したり、次のシーズンの寄せ植えに再活用したりもできます。 ●スキミア/一年中、庭に緑を提供してくれる常緑樹です。直射や強い光を好まないので、シェードガーデンの素材として活用できます。 ●ワイヤープランツ/寒冷地以外では一年中緑が楽しめる常緑低木です。他の寄せ植えにも活用できますし、グラウンドカバーにもできますが、地植えの場合は広がりすぎに注意が必要です。 ●ネメシア/6月くらいまで花が咲き続けるので、別の鉢に植え替えて液肥をあげながら楽しみましょう。宿根性のネメシアの場合は風通しのよい場所に置き、多湿にならないように気をつければ夏越しし、再び10月くらいから花が楽しめます。 ●ガーデンシクラメン/一年草扱いのことも多いですが、来年以降も楽しむ場合は、別鉢に球根の上部が表土の上に出るように植え替え、風通しのよい雨の当たらない場所で管理します。梅雨前までは日当たりの良い場所で、梅雨以降は明るい日陰へ。 ●ハボタン/一年草扱いのことも多いですが、来年以降も楽しむ場合は、別鉢に植え替えます。春になると中央から花芽が上がってきて菜の花のような花が咲きます。それを下の方で切ると株元から分枝して、新芽が秋に色づきます。 ●キンギョソウ‘ブランルージュ’/5月まで美しい葉色が楽しめる一年草です。 ●スイートアリッサム/一年草のものもありますが、暑さにも寒さにも強く一年中開花する強健種もあるので、別の寄せ植えに使ったり、地植えでカーペット状に咲き広がらせてもよいでしょう。 スキミアの寄せ植えバリエーション ヒューケラやカルーナ、ハボタンなどカラーリーフをたくさん使った寄せ植えです。冬はこれらのカラーリーフは寒さで発色が鮮やかになり、寄せ植えの名脇役として活躍してくれます。 <鉢のサイズ> 約7号(直径約19cm) <使った植物> スキミア 1株 ガーデンシクラメン 1苗 エリカ 1苗 ハボタン 3苗 カルーナ 1苗 ヒューケラ 1苗 スイートアリッサム 1苗 ミカニア・デンタータ 1苗 葉っぱや花のフォルムの違いも寄せ植えのポイントです。 スキミアは冬の花材のなかでは草丈が高く、このような高さのある鉢とのバランスがよい植物。高さのある寄せ植えは存在感が出て、玄関前を飾るのにぴったりです。同じ寄せ植えを2つ作って門扉の前に対で置くと、よりフォーマルな雰囲気になり品格を演出できます。対で置く場合、左右対象になるよう植物の配置を変えるとよいでしょう。 <鉢のサイズ> 約7号(直径約19cm) <使った植物> スキミア 1株 パンジー 1苗 エリカ 1苗 プリムラ 1苗 カルーナ 1苗 ヒューケラ 1苗 ワイヤープランツ 1苗 スキミアと個性的なカラーのパンジー、カラーリーフを組み合わせました。パンジーの花色やヒューケラの葉脈の色もスキミアとつながりがあります。明るいベージュの鉢を選んで軽やかな雰囲気に。 <鉢のサイズ> 約7号(直径約19cm) <使った植物> スキミア 1株 パンジー 1苗 オレガノ‘ミルフィーユリーフ’ 1苗 キンギョソウ‘ブランルージュ’ 1苗 カルーナ 1苗 ヒューケラ 1苗 ワイヤープランツ 1苗 ミカニア・デンタータ 1苗 スキミアを使った寄せ植えを複数集めて飾りました。鉢の周りにLEDのイルミネーションライトを巻きつけたり、松ぼっくりを置いてみたりすると、よりクリスマスらしいワンコーナーになります。金色や銀色の水引きを飾れば、お正月の雰囲気にもなります。スキミアの寄せ植えで晴れやかな年末年始をお迎えください。
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寄せ植え・花壇
【パンジー&ビオラ】フリル系から極小輪、枝垂れ系、オールドパンジーまで多彩な花で冬のかわいい鉢植え
人気品種のパンジー&ビオラは今が買いどき! パンジー&ビオラは秋から春までおよそ半年間、花を咲かせてくれる花期の長い一年草です。秋冬の間は病害虫の心配もなく、鉢植えでも地植えでも日当たりのよい場所で水をあげさえすれば、誰にでも難なく育てられるので、ガーデニング初心者にもおすすめ。苗は秋から店頭に並び始め、初春まで販売されますが、人気品種は年内にはなくなってしまうことが多いため、今が買いどきです。 パンジー&ビオラの人気の秘密 繊細な花色が揃う‘夢見るパンジー’シリーズ。 近年のパンジー&ビオラは、その色の進化が芸術的。水彩画のようににじむような色合いや、透明感のある繊細な色合いが多くありますが、繊細ゆえに個体差があり、同じ名前の花でも1株ずつ微妙に表情が異なります。ですから、できるだけ店頭で実物を見て買うのがおすすめ。この時期は花との運命的な出会いを求めて何軒もお店をめぐる‘パンジーハンター’の姿も珍しくありません。また、色のバリエーションだけでなく、極小輪や這って枝垂れ咲く、株姿が個性的な品種も注目を浴びています。加熱するパンジー&ビオラ人気の秘密を深掘りしてみましょう。 ひるがえる花弁の裏側が別色のコントラストバイカラー ボルドーカラーの花弁の裏側が白色の‘夢見るパンジー わんだーしぇーど’の一品種。 近年その人気を不動のものにしているのは花弁がひるがえるフリル系のパンジーですが、ただフリフリしているにとどまらず、その特徴を最大限に生かしたカラーが、コントラストバイカラーです。ひるがえった花弁の裏側が表とは別の色をしており、そのコントラストの差が大きい花は、1株でとてもおしゃれな雰囲気。1輪のなかに2色入るものをバイカラーと呼びますが、寄せ植えでもその色を目安に他の植物を選ぶと、必ず素敵にまとまるのでおすすめです。 花弁の縁が彩られるピコティ ピコティの特徴を持つ‘夢見るパンジー れいんぼーしぇーど’シリーズ。 花弁の縁に別色が入る花をピコティ(覆輪)と呼びます。花の形がくっきりと浮き上がるとともに、色のコントラストによって繊細ながら華やかな印象で、他の花と合わせても目を引く存在。ピコティは斑入りの現象の一つで、糸で細く縁をかがったようにクッキリと入る場合もあれば、水彩で色をにじませたようにフワッと入ることもあるので、店頭でお気に入りを探す楽しみがあります。 対照的なアンティークカラー&ブラッシュカラー アンティークカラーの‘夢見るパンジー はっぴーしぇーど’の一品種。 アンティークカラーとは少しくすんで落ち着いたトーンのカラーをいいます。経年変化し味が出たアンティークのような品があり、クラシカルで大人っぽい雰囲気が魅力です。 ブラッシュカラーの‘夢見るパンジー わんだーしぇーど’の一品種。 対してブラッシュカラーとは頬を染めたようなピンク色がサッと入るカラーリング。幼子の頬を思わせる愛らしく若々しい雰囲気があり、ガーデンを明るく彩る効果があります。 花径1〜2cmの極小輪系ビオラ ビオラ‘リトルコニー 夜空ノムコウ’ ゴージャスなフリル系のパンジーが人気を不動のものにする一方で、人気急上昇中なのが花径1〜2cmの極小輪系ビオラ。小さいものに惹かれるのは清少納言の時代からの日本人の特徴かもしれませんが、小さいながらも個性的な色合いの花に注目が集まっています。 ビオラ‘リトルコニー ライトブルー’ 極小輪系ビオラは花つきが非常によく、一輪は小さいながらも株のボリュームが出るのも特徴で、地植えでも鉢植えでも華やかになります。地植えではクリスマスローズなどの宿根草の足元を彩るのにも向いています。 這って枝垂れて、華麗な株姿のパンジー パンジーの中では珍しい這性を持つ‘プレンティーフォール’。 パンジー‘プレンティーフォール’は這うように広がる特徴で、他のパンジーとは一線を画す品種です。地植えにすると株幅なんと60cmにもなる驚異的な株張り力をもち、ハンギングにすると滝のように枝垂れ咲き、ふわんふわんの花かごができます。少し高さのある花壇やハンギング、鉢植えにするとこぼれ咲く姿が楽しめます。 絶対かわいい寄せ植えの鉄則「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」 アンティークカラーのパンジー‘夢見るパンジー はっぴーしぇーど’を使った寄せ植えです。一輪のなかに微妙な濃淡があるので、その色から大きくずれないように他の植物を選びました。そして、組み合わせの絶対法則といってもよいのが、形の違いの差をつけること。特にカラーを同系色でまとめた場合は、形が異なるものを組み合わせると変化に富んだ見応えのある寄せ植えになります。そこで覚えておきたい組み合わせが「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」のコンビネーション。これらが入っていれば、冬の寄せ植えは必ず可愛くなる絶対法則です。 写真左上から時計回りに■パンジー‘夢見るパンジー はっぴーしぇーど’/バイオレットのグラデーションカラーで、下の花弁に濃い色のベイン(筋のようなライン)が入ります。中輪〜小輪なので、他の花との寄せ植えに使いやすいです。■キンギョソウ‘ブランルージュ’、パンジー■カルーナ、ハツユキカズラ、スイートアリッサム■チェッカーベリー、ワイヤープランツ このほかに、鉢の後方にヒューケラと同系色のパンジーを植栽しています。 秋冬は植物がぐんぐん生育する時期ではないので、このくらいギュッと詰め込んで植えても問題ありません。春以降、株が生育して窮屈そうになってきたら、分解して2鉢に寄せ植えに作り直すのも楽しいですよ。 さまざまなカラーが入る場合でも、「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」の組み合わせは可愛くまとまります。この寄せ植えではカラーリーフにヒューケラと黒いハボタンを使っています。ヒューケラは葉が平らで比較的大きいので、鉢縁に配置すると効果的です。実もののチェッカーベリーも実がこぼれるような姿が可愛いので鉢縁が定席。 古くから愛されているオールドパンジーもおすすめ パンジーの原種となった三色スミレを思わせる補色対比がかわいらしいビオラ‘ソルベ XP’シリーズ。 個性を競い合う近年の流行の一方で、昔から親しまれているオールドパンジーもおすすめ。丸くて整った花形は愛らしく、寄せ植えにしなくてもこの通り単植でこんなに可愛らしいのも魅力です。何十年も変わらず愛されるのには理由があり、花形や色合いにバラつきがなく、丈夫で株張りに優れ、価格が比較的安価で入手しやすいことから、オールドパンジーはガーデナーから厚い信頼を寄せられる花です。 花径9cmの巨大輪パンジー‘インスパイアデラックス ホワイトブロッチ’。 ブロッチと呼ばれる花心の模様が顔のように見える花もオールドパンジーの一つ。大輪のものが多く、ガーデンでの存在感は抜群です。オールドパンジーは性質が丈夫だからこそ古くから残っており、生産しやすいため安価に提供ができます。パンジー&ビオラの育苗は真夏の最も暑い時期にハウス内で行われるため、生産者さんの環境は年々過酷なものになっています。オールドパンジーは耐暑性に優れ、株張りがよく、徒長しづらい特性なので、過酷な暑さの中で育苗する生産者さんも安心して生産できる花であるということも、花選びの参考になるかもしれません。もちろん、愛好家の庭でもその魅力を十分に発揮してくれますよ。 パンジー&ビオラを上手に育てるコツ ■場所/日当たりがよく水はけのよい場所。水やりをしたときに水たまりが数十分以上残ってしまうような土は水はけが悪いです。春以降は特に株が茂ってくるので、鉢植えは風通しの良い環境に置きます。 ■土/鉢植えの場合は元肥入りの培養土に植えましょう。地植えの場合も元肥を施すと生育が良好です。 ■水やり/地植えは基本的に自然の降雨に任せます。プランターは土がかわいたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりあげます。 ■手入れ/花がら(しぼんだ花)があったら、タネになる前に都度摘み取ると、株の寿命が長くなり、次々に花を咲かせます。春以降は頻回になります。 ■肥料/春以降生育旺盛になったら定期的に液肥を与えると生育がよくなります。 協力/エム・アンド・ビー・フローラ https://www.instagram.com/m_b_flora_official/
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寄せ植え・花壇
【プロが動画で解説】たった2種でかわいい! 秋冬のかんたん寄せ植え
フレンチマリーゴールド×ケイトウの寄せ植え フレンチマリーゴールド‘ファイヤーボール’とケイトウ‘イエローテイル’の2種を組み合わせました。ファイヤーボールの丸い花に、ツンツンとした花形のケイトウを組み合わせることで、互いの個性が引き立ちます。花の形は異なるものの、花色はどちらもヴィヴィッドで暖かみを感じさせ、また草丈は20〜30cmという共通点も寄せ植えにまとまりを出す大事なポイント。どちらか一方の花色が淡すぎるとボヤけた印象になってしまいますし、どちらか一方の草丈が高すぎても間が抜けてバランスが悪くなります。 フレンチマリーゴールド‘ファイヤーボール’は、気温が下がるにつれ花色が赤く濃くなり、シックなワインレッドに変化していく様子が魅力です。ケイトウには草丈が50cm以上と高くなる品種もあるので、組み合わせる植物とのバランスに注意して選びましょう。 【植え方のポイント】 7号ポット(直径約21cm)にそれぞれ3株ずつ、計6株を植栽しています。配置は、それぞれの花で三角形を作るようにします。 植栽前には株をよくチェックし、枯れた葉や花は取り除き、根が回っていたらほぐしてから植栽します。秋冬は寒さで生育がゆっくりなので、ギュッと詰め込むように植えても問題ありません。植え込んだら葉や花をなじませるように微調整します。 元肥入りの草花用培養土を用いると、花の見頃が長もちします。最終的な土の量は、鉢の縁から2〜3cmほど下になるようにします。この空間は、水やりをしたときに土が流れ出ないための「ウォータースペース」と呼びます。 【植栽後のお手入れ】 ■置き場所/どちらも日光を好む植物なので、日の当たる場所で管理しましょう。 ■水やり/表土が乾いたら鉢底から流れ出るまで水やりをします。花に水がかからないように株元に水をやりましょう。 ■施肥/液肥を定期的に(2週間に1回程度)やると花色や花もちがよくなります。 ■花がら摘み/枯れてきた花は、美観の維持と病害虫を防ぐために摘み取りましょう。 ■花後/どちらも一年草なので、見頃は1シーズンです。花が終わったら抜き取りますが、抜き取った後の土にそのまま次の花を植えるのは避けましょう。元の土の団粒構造や栄養バランスが崩れていたりするため、うまく育ちません。再生材などを利用して使用するか、廃棄します(地域によっては土のリサイクル施設があるので確認してみてください)。 フレンチマリーゴールド×アルテルナンテラの寄せ植え フレンチマリーゴールド‘ファイヤーボール’とアルテルナンテラ‘マーブルクイーン’の2種の組み合わせです。こちらは‘ファイヤーボール’を中央に、草丈の低い‘マーブルクイーン’を鉢縁にぐるりと植栽。どちらも一年草なので、植栽後の手入れなどは上記を参考に。植え方のコツは動画で解説しています。 ポットマム×アルテルナンテラ・ポリゲンスの寄せ植え ガーデン用のキク、ポットマム‘ダンテ サーモン’とアルテルナンテラ・ポリゲンスの2種を組み合わせた寄せ植えです。ポットマムの花心の色とアルテルナンテラの花色を合わせました。アルテルナンテラ・ポリゲンスは一年草のセンニチコウによく似ていますが、耐寒性多年草で寒くなってからも花が楽しめます。ポットマムも多年草で、どちらも翌年以降も繰り返し花を咲かせるコスパのよい素材です。30〜40cmの草丈は、どちらも買った最初の年限りで、翌年以降はより大きくなります。 【植え方のポイント】 7号ポットにそれぞれを3株ずつ植栽しています。そのまま植えるのではなく、1株を株分けして小さくするのがポイント。ポットマムもアルテルナンテラ・ポリゲンスも、1ポットに2株ずつ入っていることが多いので、根元を見て分かれやすいところで分割します。小さくすることで細かく入り交じらせて植えることができ、仕上がりにまとまりが出ます。 ポットマムの大きな下葉は寄せ植えしたときに邪魔になるので、あらかじめ取り除いておきます。 こちらは株分けしないで植栽した寄せ植え。花色の組み合わせは可愛いのに、まとまりがありません。惜しい! 【植栽後のお手入れ】 ■置き場所/どちらも日光を好む植物なので、日の当たる場所で管理しましょう。 ■水やり/表土が乾いたら鉢底から流れ出るまで水やりをします。花に水がかからないように株元に水をやりましょう。 ■施肥/液肥を定期的に(2週間に1回程度)やると花色や花もちがよくなります。 ■花がら摘み/枯れてきた花は、美観の維持と病害虫を防ぐために摘み取りましょう。 ■花後/どちらも多年草で、この大きさは買った最初の年限りです。翌年以降は草丈が50cm以上になるので、地植えにするか、より大きい鉢で栽培するとよいでしょう。
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寄せ植え・花壇
【プロのおすすめ夏花8選!】暑さに強くローメンテナンスで夏から秋までよく咲く花
真夏におすすめの花① ビデンス‘ブレイジング リングオブファイア’ 学名/Bidens ferulifolia種類/非耐寒性多年草開花期/4〜10月草丈/25〜30cm 株張り/25〜30cm ビデンスはもともと連続開花性に優れ、次々に花を咲かせてくれる多年草です。やせ地でもよく育つ丈夫な花で、たくさんの種類があります。秋から冬にかけて咲くものはウィンターコスモスの名前でも知られますが、この花は春から秋にかけて咲くグループのビデンスで、耐暑性に優れた新品種。ビデンスには黄色の花が多いなか、赤色が鮮やかで花心に向かって黄色くグラデーションになる美しい発色が魅力です。酷暑期にはいったん開花は途絶えますが、ひと休みすることで、秋にまたたくさんの花を咲かせてくれます。 真夏におすすめの花② バーベナ‘バネッサコンパクト’、‘ファイヤーハウス’ 学名/Verbena peruviana種類/非耐寒性多年草開花期/4〜10月‘バネッサコンパクト’ 草丈/20〜25cm 株張り/25〜30cm‘ファイヤーハウス’ 草丈/20〜30cm 株張り/35〜50cm バーベナは真夏の炎天下でも生育旺盛で、春から晩秋までよく咲きます。たくさんの品種がありますが、それぞれ株の大きさや這性・直立性など異なる特徴を持っています。 ‘バネッサコンパクト’は草丈が低くコンパクトながら、分枝性に優れ、間のびすることなくきれいな株姿にまとまります。鉢植えや寄せ植えに向いています。 ‘ファイヤーハウス’はバーベナがかかりやすいうどんこ病への耐性を備えた品種で、耐暑性にも非常に優れています。鉢植えなら6〜9号程度の大鉢や庭植えに向いています。‘ファイヤーハウス ペパーミント’は赤と淡いピンクがストライプになる愛らしい花です。 真夏におすすめの花③ サルビア‘ローマンレッド’ 学名/Salvia splendens×darcyi種類/耐寒性多年草開花期/6〜11月草丈/40〜60cm 株張り/50〜70cm 宿根サルビアと掛け合わせたハイブリッド種。一般的なハイブリッド系統は株が100cm以上に大きくなるものが多いなか、比較的コンパクトで庭植えでも鉢植えでも使い勝手のよい品種です。花と軸が赤く、緑の葉とのコントラストが美しい花姿は庭での存在感も抜群です。小さい苗のうちは寄せ植えでも使えます。大きくなってきたら地植えにすると、毎年庭を鮮やかに彩ってくれます。 ビデンス、バーベナ、サルビアを使った赤の寄せ植え 上でご紹介した花を使った寄せ植えです。赤い花に合わせて、カラーリーフのコリウス‘バレッティ リラ’とアルテルナンテラ‘パープルプリンス’を加えました。同じ組み合わせを地植えしても、夏から秋まで美しい彩りを庭にもたらしてくれます。 【使った植物】 ビデンス‘ブレイジング リングオブファイア’ バーベナ‘バネッサコンパクト レッド’ サルビア‘ローマンレッド’ コリウス‘バレッティ リラ’ アルテルナンテラ‘パープルプリンス’ 真夏におすすめの花④ ジニア‘ダブルザハラ’、‘クィーン’ 左/‘ダブルザハラ’ラズベリーリップル 右/‘クィーン’ライム 学名/Zinia marylandica(ダブルザハラ)、Zinia elegans(クィーン)種類/非耐寒性一年草開花期/6〜10月‘ダブルザハラ’ 草丈/40〜50cm 株張り/20〜30cm‘クィーン’ 草丈/50〜60cm 株張り/20〜30cm 開花期間の長さから「ヒャクニチソウ」の名前で古くから親しまれるジニア。‘ダブルザハラ’は大輪のダブル咲きで、庭を華やかに演出してくれます。耐乾性・耐暑性に優れ、真夏の直射日光下でも美しく発色します。 ‘クィーン’は花弁数が多く、花径は5〜6cm、地植えでは草丈が50〜60cmほどになります。ガーデンではもちろん、寄せ植えや切り花としても夏中楽しめます。 真夏におすすめの花⑤ ビンカ‘ミニナツ ホワイトチェリー’ 学名/Catharanthus roseus種類/非耐寒性一年草開花期/5〜10月草丈/約30cm 株張り/約70cm ニチニチソウの名でも知られるビンカ。‘ミニナツ’は高温多湿の環境に強い小輪のビンカで、2cmほどのかわいい花が真夏も休むことなく咲き続けます。地植えの場合、1株で株張りは70cmにも咲き広がり、白い花が夏の庭を涼しげに演出してくれます。小花は他の花とも組み合わせやすく、寄せ植えでも活躍します。 真夏におすすめの花⑥ ユーフォルビア‘グリッツ’ 学名/Euphorbia graminea種類/非耐寒性多年草開花期/5〜12月草丈/約30cm 株張り/約70cm 白い小さな苞(ほう)がふわふわと咲くユーフォルビア。魅力はなんといっても8カ月も咲き続ける驚異的な開花期間と、夏の暑さと乾燥にも強い点。単体でも涼しげですが、寄せ植えではどんな花とも相性がよく、全体をまとめる名脇役として大活躍します。 真夏におすすめの花⑦ コリウス‘フレームスローワー’、‘バレッティ’ 学名/Solenostemon種類/非耐寒性多年草開花期/5〜10月‘フレームスローワー’ 草丈/30〜45cm 株張り/40〜45cm‘バレッティ’ 草丈/30〜40cm 株張り/50〜60cm コリウスは、カラフルな葉を楽しむ夏のカラーリーフ。これまでは直射日光に当たると葉色があせてしまいがちでしたが、近年は直射日光下でも美しく発色する新品種が次々に登場しています。耐暑性に優れ、観賞期間が長くローメンテナンス。秋になると青紫色の花が咲きますが、花が咲くと葉は枯れてくるので、葉色を晩秋まで楽しみたい場合は、花芽をカットするとよいでしょう。 ジニア、ビンカ、ユーフォルビア、コリウスを使った爽やかな寄せ植え 上記でご紹介した植物を組み合わせた寄せ植えです。テーマカラーはライムとピンク。個性的なカラーですが、それぞれの植物にリンクする色が入っており、爽やかにまとまります。ユーフォルビア‘グリッツ’を中央に入れることで、ふんわりボリュームを出し、個性的な花をつなげる効果があります。 【使った植物】 ジニア‘ダブルザハラ’、‘ラズベリーリップル’ ジニア‘クィーン ライム’ ビンカ‘ミニナツ ホワイトチェリー’ ユーフォルビア‘グリッツ’ コリウス‘フレームスローワー チリペッパー’ 真夏におすすめの花⑧ ペチュニア ‘ビーズニーズ’ 学名/Petunia×hybrida種類/非耐寒性一年草開花期/4〜10月草丈/25〜30cm 株張り/25〜35cm ペチュニアの中ではこれまでにない鮮明な濃いイエローが、夏の庭に爽やかな雰囲気をもたらしてくれる品種。生育旺盛で、上の写真のように1株で7号鉢からあふれんばかりにふわふわとたくさんの花を咲かせます。これまでのペチュニアは雨に弱い傾向がありましたが、‘ビーズニーズ’は雨に打たれても花がすぐにシャキッときれいに戻り、美しい株姿を保ちます。耐暑性・耐雨性、鮮やかな色などが評価され、アメリカや日本で多数の賞を受賞している優良品種です。春から育てている株は梅雨頃に一度切り戻しをすると、晩秋まで長く楽しめます。 ペチュニア‘ビーズニーズ’を使ったレモンイエローの寄せ植え ペチュニア‘ビーズニーズ’を主役に、葉色に黄色が入るカラーリーフを5種類組み合わせました。暑さが厳しい夏の庭でも元気に育ち、爽やかな雰囲気をもたらしてくれる寄せ植えです。 【使った植物】 ペチュニア‘ビーズニーズ’ 斑入りアメリカヅタ アルテルナンテラ‘マーブルクイーン’ ヘーベ‘バリエガータ’ ロータス‘ブリムストーン’ 黄金フウチソウ <Point!> 連続開花性に優れ花が咲き続けるので、緩効性肥料か液肥を定期的に与えて育てるとよいでしょう。
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寄せ植え・花壇
【プロが伝授】これで完璧! 秋まで楽しむためのペチュニアの切り戻し
ペチュニアってどんな植物? 1ポットが3カ月程度でこんなにふんわり大きな株に育つ、ペチュニア‘ビーズニーズ’。 ペチュニアは暑さに強い一年草で、品種が多く鉢植えや寄せ植えなどで親しまれています。枝垂れたり、カーペットのように這って育ったり、こんもり茂ったり、大輪、小輪、八重咲きなど、さまざまな品種があり、成長が早く丈夫なので、初心者にもおすすめです。春から秋まで長期間花が楽しめますが、春から育ててきた株は大きく育って、多少姿が乱れてきているものもあるでしょう。そこで、行いたいのが「切り戻し」です。 切り戻しとは 切り戻しとは、大きく成長した植物を剪定し、草丈を低くしたり、混み合った枝を減らすこと。こうすることで、大きくなって乱れた姿や風通しの悪さなど、悪化した生育環境が一度リセットされ、元の美しい姿や良好な環境に戻るため「切り戻し」といわれます。 春から育ててきたペチュニア‘ショックウェーブ ピンクベイン’は、見応えたっぷり。せっかく株が大きくなりキレイに開花しているので、このまま楽しみたいですが、このままの状態で梅雨を過ごすと風通しが悪く、株が弱るので切り戻しが必要なタイミング。 ペチュニアは夏の暑さにはとても強いですが、ジメジメとした湿気が苦手。ですから、梅雨時期に風通しのよい状態で過ごさせてあげるために、梅雨前に切り戻しが必要なのです。もし、まだ切り戻しをしていなければ、梅雨の晴れ間を狙って切り戻しをしましょう。切り戻しをして梅雨さえ快適に乗り越えることができれば、ペチュニアは暑さには非常に強いので、梅雨明け2週間程度で再びこんもり茂って秋遅くまで花を楽しむことができます。逆に切り戻しをしないと、梅雨時期に弱ってしまい、暑さに向かってどんどん傷みが進んで、本来の美しい姿を楽しむことができません。まだ花がたくさん咲いていてもったいないような気がすると思いますが、長く美しいペチュニアの花姿を楽しむためにも、梅雨前に切り戻しをしましょう。 ペチュニアの切り戻しの仕方 Step 1 まずは鉢縁に沿って、ざっくり茎を切っていきます。この時点で、茎のどこを切るなどは気にしなくてOK。 Step 2 鉢の中央のほうの茎も、Step 1と同じくらいの草丈に切ります。 Step 3 株の下のほうの茎を見ると、葉っぱのすぐ横からもう1枚小さな葉が発生している箇所があります。それが脇芽(わきめ)です。その脇芽のすぐ上で切ります。 Step4 ここまでの段階で、株の内側や下側をめくるようにして見ると、黄色の葉や茶色く枯れた葉があります。そうした葉はそのままにしておくとカビが発生したり病気の原因になるので、この時点で取り除き、土の上もきれいにお掃除しておきましょう。 Step5 花が終わった後のサヤも残さず取り除きましょう。サヤの中にはタネが入っており、そのままにしておくとタネのほうに株の体力を使ってしまいます。梅雨明け後に再び開花するための体力を温存するために、サヤは切り戻し時に取り除いておきます。 さっぱり切り戻しました。 切り戻し後の管理 【置き場所】日当たりと風通しのよい場所に置きましょう。雨が続く場合は、軒下などに移動して湿気に注意しましょう。 地表付近の気候のことを微気候といい、10cm程度でも植物にとっての風通しは変わります。鉢植えの場合、鉢を地面より少し高い場所に置くだけでも風通しがよくなるので、花台などを使って高さを上げるといいでしょう。花台を置くスペースがなければ、鉢の底に挟み込むように使う「ポットフィート」というグッズも便利です。 特に、底部がぴったり接地するような鉢の場合は、「ポットフィート」を使って鉢と地面の間に空間をつくることでも風通しがよくなります。 鉢底に「ポットフィート」を置くことで、通気性と排水性がよくなり、根腐れなどが防げる。Aaron Finn/Shutterstock.com 【肥料】梅雨の最中にはあまり生育せず、梅雨が明けると再び生育が活発になります。梅雨が明けたら液肥を定期的に与えて、株を再び生育させましょう。一般に固形肥料は効き目が緩やかで、液肥は即効性があります。切り戻し後のペチュニアには即効性のあるものが向いています。 【水やり】葉っぱが少なくなった株は、葉からの蒸散も少ないため、切り戻し前より水を必要としません。表土が乾いたのをしっかり確認してから水やりをしますが、この時期は雨も多いので、やりすぎによる根腐れのほうに気をつけましょう。 切り戻し後は再びきれいにこんもり茂ります。ペチュニア‘ショックウェーブ ホワイト’。 ペチュニアのほかに、生育旺盛なカリブラコアやハーブ類なども梅雨前に切り戻しをすることで、梅雨明け後から再びきれいに生育します。 切り戻しは、植物の生育期に行う作業です。生育が衰える時期に向かっているタイミングに切ると、生育せずに花がない状態になってしまうので、ペチュニアの場合は夏以降は切り戻しはしないほうがよいです。ペチュニアに限らず、切り戻しをする場合は、生育期や開花期を確認してから行いましょう。 動画でも切り戻しをご紹介しています!
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寄せ植え・花壇
【新鮮!】アジサイの寄せ植えで梅雨時も庭をかわいく美しく
小さな花姿が魅力のヤマアジサイ ‘藍姫’。ヤマアジサイらしいガク咲きの花姿で、濃密な藍色の花が印象的。 ヤマアジサイは一般的なアジサイより株姿が小さく、茎が華奢で葉も細く、楚々とした風情で咲きます。もともと半日陰の林や沢沿いなどに自生する植物で、日本の気候に合い、丈夫で初心者にもおすすめ。生育がゆっくりなので、コンパクトな株姿のまま育てられるのも魅力。小さな庭やコンテナガーデン、寄せ植えなどでも活躍します。 ‘伊予獅子てまり(いよししてまり)’。淡いピンクの小ぶりの花がたくさん咲く。 そんなヤマアジサイの中でも、近年人気急上昇中なのが、埼玉県の生産者吉岡麗子さんの手まり状に咲くヤマアジサイです。私も吉岡さんのヤマアジサイが大好きで、自宅の庭でもいくつか育てていますが、ころんと愛らしい花と草花のような繊細な株姿で寄せ植えでも活躍してくれます。 ‘伊予獅子てまり’。土が酸性に傾くと花色が淡い水色になる。 ヤマアジサイとバーベナの寄せ植え ヤマアジサイ‘てててまり’を主役にした寄せ植えです。一般的なアジサイは枝の先端にしか花が咲かないのに対し、ヤマアジサイは枝の途中から伸びた側枝にも花が咲くため、株の下のほうにも花数があり、他の草花との馴染みがよい点も寄せ植えにおすすめのポイントです。 ‘てててまり’は吉岡さんの妹、真美子さんの作出品種。 淡いブルーとライムグリーンのグラデーションが美しいヤマアジサイに、淡いライムグリーンの花色のバーベナ‘バネッサコンパクト ライム’を組み合わせました。花の大きさは、ちょうど‘てててまり’と同じくらい。草丈は20cm程度なので、ヤマアジサイの下におさまります。 バーベナ‘バネッサコンパクト ホワイト’。 バーベナ‘バネッサコンパクト’もアジサイと同じように小さな花が集まって、まり状に咲きます。また多花性で秋まで連続して開花するので、この季節の寄せ植え花材としておすすめです。 リーフ類は葉がシルバーがかった黒葉のヒューケラと、斑入りのコデマリ‘ピンクアイス’、ライムイエローのリシマキアを鉢縁に入れました。ヒューケラのような存在感のあるカラーリーフを花と花の間に入れると、それぞれの花の魅力を引き立ててくれる緩衝材のような役目を果たしてくれます。 カラーリーフの代表選手ヒューケラは、美しい葉色のものがいくつもあります。一年中彩りを提供してくれる常緑の宿根草なので、寄せ植えでも地植えでも名脇役として活躍します。一般に日陰に向くシェードプランツですが、上の写真のヒューケラ‘カーニバル’シリーズのように、日陰はもちろん直射日光下でも葉焼けしない品種は、より使い勝手がよくおすすめです。 ヤマアジサイとインパチェンスの寄せ植え ヤマアジサイ‘倉木てまり’を主役に、淡い水色の花が引き立つよう、ソフトピンクの花がかわいいインパチェンスとラミウム、チョコレート色のヒューケラ、コデマリ‘ピンクアイス’を組み合わせました。ヤマアジサイはコンパクトとはいえ低木なので、ほかの草花と比較すると、やはり草丈は高く、鉢の中では株元が寂しく感じられます。ですから、草丈の低い草花でヤマアジサイの株元の空間を埋めるように植栽するとよいでしょう。 インパチェンス(左)はヤマアジサイと開花期が同じで、半日陰を好むので、組み合わせるにはぴったり。ここでは、バラのように花心が渦巻いて咲くインパチェンス‘カリフォルニアローズ フィエスタ’のアップルブロッサムをセレクトしました。インパチェンスの中には梅雨時に発生するべと病に罹患しやすいものがありますが、フィエスタのアップルブロッサムはべと病への耐性があり丈夫なのでおすすめです。 ラミウム(右)も同様に、開花期が同じで日陰でも育つ常緑性の宿根草です。丈夫で這うように育つので、グラウンドカバーとして植栽する場合もありますが、生育が非常に旺盛であっという間に庭中にはびこるので、地に下ろす場合は場所を選ぶことをおすすめします。 べと病への耐性を備えた丈夫なインパチェンス‘カリフォルニアローズ フィエスタ’のアップルブロッサム。 ヤマアジサイの寄せ植えの置き場所と管理 ピンクのヤマアジサイ ‘伊予獅子てまり’を主役にした寄せ植え。ピンクの花色に合わせ、ライスフラワーや葉にピンクの斑が入るワイヤープランツを組み合わせて。 【置き場所】 ヤマアジサイはほかのアジサイに比べ、強い日差しが苦手ですが、より耐陰性には優れた植物です。直射日光や西日は避け、半日陰になる場所に置くといいでしょう。上の写真の傘形のプランターのように、持ち手がついていて移動しやすいものを選ぶと、日当たりコントロールがしやすいです。 【水やり】 もともと沢沿いなどに自生する植物で、湿り気のある土壌を好みます。水切れを繰り返すと花付きが悪くなるので、注意。表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり水をあげます。 【肥料】 冬期に堆肥と寒肥(かんごえ)として固形状の油かすなどを施します。それに加えて2年目以降は、花後にも同様に追肥するとよいでしょう。 【剪定】 成長がゆっくりなので必ずしも剪定する必要はありませんが、剪定によって花枝が増え、翌年の花付きもよくなります。花が終わった直後に緑色の枝の部分を選んで、下から2〜3節を残して剪定します。