【3つの実例から学ぶ】開花最盛期のクリスマスローズを120%楽しむ方法
今、開花の最盛期を迎えているクリスマスローズ。今年開花株を入手した方は、1年目を寄せ植えで楽しんでみてはいかがでしょうか。これなら花数が少なく寂しいポット苗も、華やかに楽しめますよ。寄せ植えのコツと見頃を過ぎた後の管理を、エム・アンド・ビー・フローラの寄せ植え名人「ナンバッチ」こと難波良憲さんが教えてくれます。
目次
寒冷地でも丈夫に美しく咲く宿根草クリスマスローズ

クリスマスローズは、花がまだ少ない早春に咲いてくれる宿根草です。私の暮らす山梨県北杜市は、冬の寒さが厳しく0℃を下回ることもしばしばですが、そんな中でも元気に育ち、年々株が充実して美しさを増していきます。まだ空気の冷たい早春の朝、うつむき気味の可憐な花を見つけると、毎年のことながらとても感動します。きれいだなぁと思うのはもちろん、寒冷地で暮らしているせいか、厳しい冬を耐えて美しい花を咲かせるというクリスマスローズの生き方に、思うところがあるのです。
入手直後の小さな開花株は寄せ植えで華やかに

3月は最も多くのクリスマスローズが開花する季節です。クリスマスローズの開花株を入手したら、1年目は寄せ植えにして楽しむのはいかがですか。買ったばかりの苗はまだ小さく、花は咲いていても1〜2輪で、葉っぱもあまりない状態のことが多いので、単植ではやや寂しい雰囲気になりがちです。季節の花と一緒に植えれば、より華やかな雰囲気でクリスマスローズが楽しめますよ。見頃が過ぎたら寄せ植えを解体し、地植えにするか別の鉢に植え替えれば、来年以降はより大きく生育し、単植でもクリスマスローズが十分堪能できるようになります。
クリスマスローズの寄せ植えのコツ

クリスマスローズの寄せ植えは、これまでご紹介してきた寄せ植えとは1つ異なる重要なポイントがあります。それは「根を崩さない・いじらない」ということです。寄せ植えをする際、多くの植物は根をほぐしてから植えることで、根が刺激されてその後の根張りがよくなります。一方、クリスマスローズは基本的に根を触られるのを嫌い、ダメージを受けやすい性質です。ですから、ポットから出したら根はそっとほぐす程度にして、切れないよう注意。寄せ植えを解体する際も、クリスマスローズの根はそっと扱うのがポイントです。
ピンク系クリスマスローズの寄せ植え実例

ピンク系のクリスマスローズと赤系の花を組み合わせ、華やかな1鉢に仕上げました。直径34cm、高さ22cmのテラコッタの鉢に植えています。クリスマスローズは早春の花の中では草丈が高いほうですが、このサイズの鉢では、クリスマスローズだけだとややボリューム感が足りないので、赤いカラーをプラスしてバランスをとりました。鉢の後方から手前へと植栽していくので、まずは、このカラーから植栽します。

カラーには水辺を好む湿地性のものもありますが、こちらの品種は畑地性。園芸店に並ぶカラフルなカラーは畑地性で水はけのよい環境を好むので、クリスマスローズの寄せ植えにも用いることができます。スラリとしたシンプルな株姿が特徴で、寄せ植えの後方に入れると堂々とした風格を出すことができ、大鉢や高さのある鉢では重宝する素材です。畑地性のカラーは春から夏に成長、開花します。真夏は半日陰で水はけのよい場所が適しているので、クリスマスローズと栽培環境は似ています。

カラーの手前、鉢の中央部に位置するようにクリスマスローズを植え、手前に草丈の低い草花を配置していきます。
① 花弁が白色で縁取られ、渦を巻いてバラのように咲く姿が豪華なプリムラ・ジュリアン‘リボン’。
② スイートアリッサム。生育するにしたがい、枝垂れて鉢との一体感を出してくれます。
③ カラーリーフのリシマキア‘リッシー’。
④ ミカニア・デンタータ。赤紫色がかる葉色が赤い花々と好相性。
⑤ ライムグリーンのもこもことした葉が個性的なオレガノ‘ミルフィーユリーフ’。
⑥ 寄せ植えに動きを加えるハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’。

空洞化を防ぐ組み合わせがポイント

組み合わせる植物は極端に性質が異ならなければ、季節の好きなものを選んでOKです。ただし、1つ組み合わせのポイントを挙げるなら、クリスマスローズの根鉢部分には、他の植物が植えられないということを考慮することです。上の写真を見ていただくと分かるように、クリスマスローズの根はくずして植えることができないので、他の植物はクリスマスローズの株元から離れた所にしか植えられません。ですから、ぽっかり目立つ空洞ができてしまわないように、この寄せ植えでは、立ち上がってふんわりとボリュームが出る⑤のオレガノ‘ミルフィーユリーフ’を手前に配置しています。

クリスマスローズには花ばかりでなく、葉っぱもきれいなものがあります。ギザギザのシルバーリーフに赤い葉脈が美しいこのクリスマスローズは、ステルニー。もちろん花も咲きますが、カラーリーフとしての楽しみが大きい品種で、この時期の寄せ植えでも活躍してくれます。
黄色系クリスマスローズの寄せ植え実例

黄色系のクリスマスローズを組み合わせた寄せ植えです。直径27cm、高さ20cmのテラコッタの鉢に植えています。組み合わせたのは黄色の補色になるアネモネ‘ポルトダブル ブルー’。クリスマスローズと同じキンポウゲ科の花で、開花期もぴったり合い、早春に咲いて夏前に地上部が枯れ、夏は休眠という生育過程もよく似ています。最も草丈が高いクリスマスローズを後方に配置し、中央にアネモネを。鉢の縁にいくにしたがい、草丈が低くなるようにします。

① クリスマスローズの株元には、やや赤紫がかるブラックリーフのユーフォルビア‘パープレア’を。立ち上がるように育つので、クリスマスローズの株元がスカッと空いてしまうのを防いでくれます。
② リバーシブルカラーのクリスマスローズと色を合わせたオレンジピンクのスイートアリッサム。
③ 黄色のクリスマスローズに合わせたライムイエローのリシマキア‘オーレア’。

クリスマスローズの寄せ植えのお手入れの方法

日が当たり、風通しのよい場所に置いて管理します。3月は新葉が伸び始め、生育が活発になってきます。生育にしたがい水もよく吸い上げるようになるため、水切れに注意して、表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでたっぷり水をあげてください。新葉が展開してきたら緩効性の固形肥料を与え、液肥を週1回程度与えるとよいでしょう。
クリスマスローズの見頃が終わったら

クリスマスローズの寄せ植えの見頃は、4月まで。4月に入ると、多くの花が咲き終わって色あせてきます。そうなったら、まず花茎を切りましょう。クリスマスローズの「花」と呼んでいる部分は、じつはガクで、散ることがありません。そのままにしておくとタネができますが、タネができると株が体力を消耗してしまい、来年の花に影響します。ですから色あせてきたなと思ったら、花茎を株元から折り取りましょう。花茎を切ったら寄せ植えを解体して、クリスマスローズはそれぞれ単体で別の鉢に植えるか、地植えにしましょう。
<鉢植えにする場合>
水はけのよい土に植えて、日の当たる風通しのよい場所に置きましょう。4〜5月はクリスマスローズが最も生育する時期なので、緩効性の固形肥料を与え、液体肥料も週1回程度与えるとよいでしょう。新葉が伸びて葉が増えると、水を吸い上げる量も増えるので、乾燥させないように、表土が乾いたら鉢底から流れ出るまでしっかり水をあげます。5月になったら半日陰に移動しましょう。
<地植えにする場合>
冬は日が当たり、夏は日陰ができる落葉樹の下などが最適です。必要があれば水はけがよくなるように土壌を改良し、植え穴を掘って植えます。夏に地温が上がりすぎたり、乾燥しすぎるのを防ぐために、株元はバークチップや堆肥などで覆っておくと効果的です。
以上に挙げたポイントを守れば、クリスマスローズは丈夫で何年も楽しめる宿根草です。そして大きな魅力は、豊かな花のバリエーション。個性豊かなクリスマスローズに合わせて、寄せ植え作りもぜひ楽しんでみてください!
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲(なんば よしのり)

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。ブーケ作りも得意。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。
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