今年も、クリスマスローズが美しく花開く季節が巡ってきました。毎年、数々の新品種が登場し、私たちを驚かせてくれるクリスマスローズ。鉢植えや地植えで育てることができ、長生きするコストパフォーマンスがよい宿根草です。数々の植物を育てているなかでも、クリスマスローズとは付き合いが長いという千葉県在住の橋本景子さんに、栽培遍歴と好みの花などについて教えていただきます。
目次
栽培歴13年以上のクリスマスローズ
冬の貴婦人と呼ばれるクリスマスローズは、冬から早春にかけて花の少ない時期に咲く貴重な植物ですね。寒さに強いうえにお手入れもほとんど必要がないくらい栽培も簡単。ガーデニング初心者の方にも人気の植物です。
「私がクリスマスローズの魅力に惹かれ始めたのは、いつ頃だったのだろう?」と、古い写真から推測してみたところ、2009年の写真にはすでに花壇に植え込まれて咲いているシーンがありました。
ダブルの花がまだ高価な頃で、数万円もの値段にもかかわらず、東京・池袋サンシャインシティーで開催される「クリスマスローズの世界展」には入場者が列をなし、苗の売り場はまるでバーゲン会場のよう。殺気だった人々が、カゴに高価なクリスマスローズの株をいくつも入れては買っていたという記憶があります。
- クリスマスローズ Christmas Rose
- クレマチス Clematis
- バラ Rose
の頭文字を取って「CCR園芸」と呼び、オシャレなガーデナーの庭に欠かせない植物3種と言われ始めたこともありましたが、それもちょうど同じ時期だった気がします。
私が好きなクリスマスローズの花姿
さて、それから10年以上が経ち、私の今のガーデンに育つクリスマスローズはというと、現在所有しているものは、地植えとポット植えのものを合わせて二十数株でしょうか?
一番好きなのはセミダブルです。そのなかでも、できるだけネクタリー(蜜腺)が大きく、モコモコしているのが好みのタイプ。
原種交配系も大好きです。渋カッコいい、大人な感じが好み。
クリスマスローズはとても丈夫な植物で、極端な話をすると、水さえ切らさなければ枯れることはありません。
しかし、丈夫すぎるので地植えにしていると、どんどん株が大きくなっていきます。ガーデンの植栽に取り入れている場合、冬場に他の植物が休眠している時期はいいのですが、狭い庭だと大きな葉が目立ちすぎて、他の植物とのバランスが気になることがあります。せめて斑入りやカラーリーフだと植栽のアクセントとして使いやすいのですが、花の魅力を追求するとリーフは二の次になってしまうようです。
小さな庭で育てるクリスマスローズの一年
そこで、うちではいろいろな植物が植え込まれている植栽の中にクリスマスローズを入れることは数年前からやめて、できるだけポットで育てています。
クリスマスローズは、秋からは日向に出しますが、花が終わってしまうと、この北側にあるバックヤードに引退して、夏の暑さから避難させます。
灌水装置のノズルが最大14しか使えないという縛りがあって、買いたい気持ちのリミッターに役立っているものの、どうしても新しい苗が欲しい場合は、どれかを里子に出すなどしています。
過酷な栽培環境の現場をチェック
今年、我が家で一番最初に咲いたクリスマスローズは、上写真のような狭い通路の端っこに作った幅10cm強の植え込みに植わっている株でした。
肥料どころか、軒下なので雨もかからないのに、水もほとんど与えてもらっていない場所。さらには、西向きで夏場は強烈な西日にさらされるという過酷な環境ですが、どの株も順調に育っています。クリスマスローズは落葉樹の下でとか、決して西日が当たらないように遮光して、などという定説はどうなの? と思ってしまいます。
「クリスマスローズを買いたいけれど、植える場所も置き場所もない」と悩んだ末、所有欲に負けて「小さい苗だし、枯れても仕方ないや〜」と環境的には最悪の条件下に、半分ヤケで植え付け。夏場には暑さのせいで庭にも出なくて、忘れ去っていた私の仕打ちに耐えて、こんな悪環境でも健気に生き延びてくれた5株の生命力! やはりクリスマスローズならではなのだと、ちょっと感動しています。
そういえば、日当たりのとてもよい友人の庭などでも、元気に育っているクリスマスローズをよく見ますので、地植えなら日向でも大丈夫なのかもしれません。
クリスマスローズを飾る楽しみとその理由
ポット植えのクリスマスローズは、相性がよいビオラや小球根と一緒に並べたり、小さなアンティークのポットに入れて飾るのも楽しいものです。
クリスマスローズは、いつまでも花をつけたままにしておくと、株の体力のためにはよくないのです。種子をつけさせるだなんてもってのほか。それだけは忠実に守ってきました。種子をつけさせないように、膨らんできた雌しべだけを取り、萼(花びらのように見える部分)を長く楽しむ方法もあるのですが、それでもうちではたくさんの花を咲かせているので、切り花として楽しんでいます。
今年のバードバスは、美しいフリルのビオラ(ノブコセレクション)や白のフリンジ咲きジュリアン‘ポンポンラパン’など、甘さ控えめの大人色でまとめてみました。
たくさんの花を部屋中に飾ったり、ブーケにしたり花瓶に入れたり、お友達にプレゼントしたり。クリスマスローズの華やかさが、これからやってくる春本番を前に、花遊びの楽しさを後押ししてくれるようです。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.8万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
YouTube 「Kay garden」
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
新着記事
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」全国から選ばれた…
2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、東京都立砧公園(世田谷区)で開催されます。宿根草を活用して「持続可能なロングライフ・ローメ…
-
家庭菜園
アイスプラントの育て方 ペットボトルで水耕栽培も可能な新感覚野菜!
多肉植物に分類されるアイスプラントは、キラキラとした粒に覆われており、食べると塩気を感じる新感覚の野菜。耐塩性が高く、塩水でも栽培できるユニークな植物です。この記事では、アイスプラントの基本情報や特…