かわいさアップ! クリスマスローズと咲かせる早春の花&寄せ植えアイデア

春の訪れをいち早く感じさせてくれる宿根草、クリスマスローズ。多くの品種があり、端正に花びらを重ねた凛とした花姿や、シフォンのようにふわっと繊細に咲くものまで、さまざまな表情が楽しめます。1株でも美しいクリスマスローズですが、早春の花と組み合わせることで、よりかわいらしさが引き立ちます。早春の草花とともにクリスマスローズを楽しむ面谷ひとみさんに組み合わせのアイデアをうかがいます。
目次
クリスマスローズとは? 豪華な八重咲きから魅惑の原種まで多彩な魅力

クリスマスローズはまだ花が少ない1〜3月にうつむき加減の可憐な花を咲かせます。年々株が大きくなり、花数が増えていく宿根草で、地植えでも鉢植えでも育てられます。原種はヨーロッパから地中海沿岸、西アジアにかけて自生し、これらを掛け合わせて生まれた園芸品種は多数。日本には熱心な育種家がいるおかげで、毎年新しい品種が生まれ、魅力は深まるばかりです。あなた好みの花もきっと見つかるはず!
クリスマスローズの栽培の基本

育てやすさは品種ごとに異なり、例えば標高1,500m付近に自生するチベタヌスは高山植物のように特別なケアが必要となり、上級者向きです。しかし、多くは寒さに強く丈夫で初心者でも育てられます。地植えでは夏の直射日光を避けられる落葉樹の側などを選んで栽培するのがポイント。また、クリスマスローズの生育サイクルは以下のように他の多くの植物と少し異なるので、それに合わせて適期適切な手入れをすれば、ほとんど病害虫に悩まされることなく育てられます。
- 1〜3月/開花期
- 4〜5月/生育期
- 6〜9月/半休眠
- 10〜12月/生育期
① 開花期・生育期は日が当たり、休眠期は日影になる場所を選んで育てる。落葉樹の側がおすすめ。
② 生育期に肥料を与える。特に、八重咲き品種は花を咲かせるのに一重よりパワーが必要なので、たっぷりあげる。
③ タネをつけると株が衰えるので、咲き終わった花は遅くとも4月中に花茎を切る。
④ 11月以降、内側の花芽に日があたるよう春に伸びた葉を折り取る(古葉取り)。周辺に植わる宿根草や球根にも日を当てる目的があります。
クリスマスローズと相性のよい早春の花

クリスマスローズは草丈が30〜40cmになり、早春の庭にボリュームを出してくれる貴重な素材です。早春の草花は草丈の低いものが多く、うつむき加減に咲くクリスマスローズと咲かせると、花同士がおしゃべりをしているように見えて、なんとも愛らしいのです。組み合わせのポイントは以下の3つ。
① クリスマスローズと開花期が揃うもの
② クリスマスローズと栽培条件が似ているもの
③ 大きくなりすぎないもの
クリスマスローズとの組み合わせにおすすめの早春の花を6つピックアップしました。
1.アネモネ・フルゲンス

アネモネ・フルゲンスは春に咲くキンポウゲ科の球根花で、アネモネの原種です。細く繊細な茎を伸ばし、上向きの丸い花を咲かせます。草丈は20〜30cmほどで、クリスマスローズと同じくらいの草丈で咲き、花が寄り添うような風景がとても愛らしいです。冬〜早春にかけて花苗が販売されています。球根は植えっぱなしで何年も咲いてくれており、ローメンテナンスなのも魅力。

2.ナルキッスス・バルボコディウム

ナルキッスス・バルボコディウムは、草丈10〜20cmの小型の原種スイセンです。鮮やかな黄色や柔らかなクリーム色があり、赤紫色の花が多いクリスマスローズと好相性。株元を明るく鮮やかに彩り、レフ板効果でクリスマスローズの花も際立ちます。花が終わると茎が次第に枯れて茶色くなり、夏は休眠に入ります。ちょうどその頃にはクリスマスローズの葉が茂って、枯れた葉を隠してくれるとともに、夏の日差しからも守ってくれるので、栽培環境としても好相性です。球根は晩秋〜冬に植え付け、植えっぱなしでOKです。

3.ユキワリソウ

ユキワリソウは草丈10〜20cmの宿根草。北陸や東北地方原産の日本の植物で、鮮やかな小花が素朴で愛らしい花です。「雪割草」の名前どおり、雪国の春を代表する花なので、夏の暑さや直射日光にはクリスマスローズ以上に注意が必要です。落葉樹の下で、なおかつ夏は直射日光がほとんど当たらない場所のみ残って咲いてくれているので、場所選びがポイントです。植え付けのタイミングは春と秋のお彼岸前後です。

4.パンジー&ビオラ

パンジー&ビオラは冬の庭を愛らしく彩る一年草。前年の晩秋から春までと開花期が長く、クリスマスローズが咲き出す頃には、花のボリュームが出て株元を華やかに彩ります。カラーバリエーションが豊富で花形もフリルや小輪などさまざまなものがあるので、クリスマスローズの個性に合わせて組み合わせるのが楽しい花です。秋から冬に開花株を植え付けます。一年草なので花後は抜き取るだけで、気楽に育てられるのも魅力。

5.プリムラ・マラコイデス

プリムラ・マラコイデスは小花が群れ咲き、ふわふわと柔らかな雰囲気が素敵です。花径が大きくフォルムがはっきりしているクリスマスローズの花とは対照的で、組み合わせると互いの魅力が引き立ちます。本来は多年草ですが暑さに弱いので日本では一年草扱いになります。秋から冬に開花株を植え付けます。一年草なので花後は抜き取るだけで、気楽に育てられるのも魅力。開花期間中は液肥を定期的に施すと次々に花が咲き、見頃が長くなります。


6.原種シクラメン・コウム

原種シクラメン・コウムは、地際7〜8cmの高さで咲き、花も小さく素朴でクリスマスローズとよく似合います。落葉樹の下では、球根が分球してどんどん増えていってくれるのもお気に入りの点です。原種シクラメンには秋に咲くヘデリフォリウムと冬から早春に咲くコウムがあります。2種類植えておくと、クリスマスローズが咲く前から開花中まで、花が寂しくなりがちな季節にも庭を彩ってくれます。

クリスマスローズの寄せ植えアイデア
クリスマスローズの花色には赤茶がかるものが多く、割と渋めのカラーが多くあります。それゆえに古くから茶花としても愛されてきましたが、寄せ植えでも和の雰囲気に仕立てたり、はたまた華やかシックに演出したりと、組み合わせる植物次第でさまざまな表情を引き出せるのが寄せ植えの面白いところです。クリスマスローズと早春の花の寄せ植えをご紹介します。
渋めカラーのクリスマスローズで野の風情を演出した寄せ植え

クリスマスローズの‘レッドサン’や‘パピエ’を直径60cmの大鉢に寄せ植えにしました。この2種は花が上向き気味に咲き、花の表情がよく見える品種です。控えめな色で和の雰囲気を感じさせる上品な花に合わせて選んだのは、スミレ‘エビ茶’や‘紅花ヒラツカ’、ミヤマオダマキなどの山野草。さらに、クリスマスローズと同じ栽培環境を好む宿根草のティアレラもプラス。鉢の縁には茎がレッドサンと同じブロンズレッドのベロニカ‘オックスフォードブルー’を植えてあります。

円形鉢の寄せ植えの一つのセオリーとして、中央が高くなるよう主役となる花を配置し、鉢縁にいくにつれ草丈を低くし、こんもり丸い整った形を作る方法がありますが、今回はあえてさまざま草丈のものが入り混じるように仕立ててあります。クリスマスローズも主役として目立たせる植え方ではなく、山野草類と入り混じらせて咲かせることで、野の風情を演出しました。

小輪で葉も小さく、野生っぽい雰囲気のクリスマスローズに合わせて、ハナニラやアッツザクラを寄せ植えしました。スイートアリッサムとベロニカ‘オックスフォードブルー’は鉢縁にグラウンドカバーとして。

立ち枯れた樹木の根っこを活用し、森の中をイメージして作った寄せ植えです。渋めのカラーのクリスマスローズ2種に、ミヤマオダマキやハナニラ、原種シクラメン・コウムなど森林にも自生する素朴な花と組み合わせました。鉢縁にはここでもベロニカ‘オックスフォードブルー’を。
チョコレートカラーの花を華やかに寄せ植え

渋めのカラーのクリスマスローズも、組み合わせる花を変えるとシックで華やかな雰囲気に変わります。フリフリの花びらが華やかなパンジーを、クリーム色、チョコレートカラー、アプリコットの3種合わせ、ハツユキカズラとスイートアリッサムを鉢縁に植栽。こんもりドーム状に仕立てました。
クリスマスローズの寄せ植えで気をつけること

寄せ植えの場合は開花した株、または開花しそうな株を選んで寄せ植えするので、2〜3月初旬頃に作業します。この時期はクリスマスローズの根は軽くほぐす程度で、あまり大胆にいじらないようにします。基本的にクリスマスローズの根は直根性といい、真っ直ぐ下に深く伸びる性質があり、根をいじられるのを嫌います。ダメージを受けると、本来夏越しに向けて温存しておかなければならない体力を回復のほうに消費してしまい、うまく夏越しできなくなってしまうので、根を傷めないようそっと扱います。
花が終わったら花茎を切り、寄せ植えをバラしてクリスマスローズは落葉樹の下など適所へ地植えにするか、単独で鉢植えにし、直射日光の当たらない風通しのよい場所で養生させます。この際も根は傷めないようそっと扱います。
2月はクリスマスローズの開花苗が出回る季節です

クリスマスローズは早春の庭に立体感や奥行きを与えてくれる宿根草。場所や栽培のちょっとしたポイントを押さえれば、何年も続けて庭で咲いてくれます。同時期に咲く一年草や春の球根類などと組み合わせることで、庭をいっそう華やかにしたり、イメージを変えたりすることができます。クリスマスローズの開花株がたくさん出回るこの季節に、さまざまな花とのコーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
話 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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撮影・取材・まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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