まだあまり知られていない有望株。日本の庭に合う小型オージープランツ「コレア」と「エパクリス」の魅力
Wattlebird/Ken Griffiths/Shutterstock.com
近年人気のオージープランツですが、「大きくなりすぎる」とお悩みの方におすすめなのが、日本の庭や寄せ植えにもぴったりの小型サイズの「コレア」と「エパクリス」です。関東地方以西の気候に似た地域が原産のため育てやすく、花の少ない冬に愛らしいベル形の花を咲かせます。次に流行間違いなしの有望株の魅力をオージープランツ栽培歴30年の筆者がご紹介します。
目次
オージープランツのニューフェイスとは

私は、オージープランツを育て始めて30年ほどになります。30年前は超珍しかったオージープランツが、近年、国内でも苗が多数流通するようになり、専門店でなくても購入できるようになって、隔世の感があります。最近では、メラレウカなど、普通に住宅街の庭木としても見られるようになりました。

しかし、まだまだ素敵なオージープランツはたくさんあります。今回はその中から有望な品種ピックアップ。有望という根拠は、オージープランツの代表格であるユーカリ、アカシアなどは成長が早く、大きく育ちすぎる短所がありますが、今回紹介する植物は、小型で日本の庭にも向いている点、そして原産地がオーストラリア南東部で、気候が比較的、日本の関東地方以西に似ているため、育てやすい点です。小型の樹木なので寄せ植えに加えても可愛いですね。
花の少ない季節に咲く「コレア」
オーストラリア由来の植物で近年、園芸店でも見かけるようになったものに、「コレア」があります。コアラと似ている名前なので覚えやすいですね。花はフクシアに似ているので、Australian Fuchsiaとも呼ばれています。とても可愛らしいベルのような花で、花の少ない秋から冬に開花する有難い花です。

30年以上前に、メルボルン在住の頃、300坪くらいの敷地の広い庭付きの住宅(現地では平均的です)に住んでいましたが、家主さんがガーデニング好きで、じつにさまざまな植物が育てられていて、週に1回、ガーデナーさんとして庭の手入れに来てくださいました。その時にフクシアもコレアも庭の隅にあり、コレアが別名ではAustralian Fuchsiaだというのだと教えてもらいました。
私が帰国後、ガーデニングにのめり込んだ原点は、メルボルンの家の庭であり、家主さんとの出会いでもあり。当時の庭に育っていた植物が、とても懐かしく感じられます。
10年ぶりに再開した「コレア」

帰国してから、すっかりコレアのことは忘れていたのですが、10年ほど前に園芸店で見つけて、懐かしく、思わず連れ帰りました。植物は「思い出」が伴うので、より一層、美しく愛おしいのでしょうね。そんな思い出いっぱいのコレアです。

「Australia」の名が付く植物はたくさんありますが、例えば、「Australian Rosemary」と呼ばれる、ウエストリンギアが、この10年ぐらいで一般家庭の庭木として急速に普及したように、きっとコレアも近い将来、日本でも普及すると予測されます。原産地も比較的日本の関東地方以西の気候に似た、オーストアリア南東部なので育てやすいですし、Fuchsia(フクシア)という親しみのある名前がついています。

ところで、「Australian Fuchsia」あるいは「Native Fuchsia」と呼ばれるオージープランツには、「コレア」以外にもう一種、「エパクリス」という植物があります。両者とも主に赤い筒状の花を咲かせ、非常に姿が似ています。今回はAustralian Fuchsiaということで、コレアを中心に、エパクリスについてもご紹介します。
コレアとエパクリスのプロフィールと育て方
Correa (コレア)のプロフィール

科名:ミカン科 (Rutaceae) コレア属
特徴
- 低木で、葉は対生し、芳香を持つものもあります。
- 花は筒状または鐘形で、赤、ピンク、緑、白などさまざまな色があります。
- 花は枝の先端や葉腋に咲きます。
- オーストラリア南東部に分布します。
- 蜜を豊富に含み、鳥媒花として知られています。
代表的な品種:ホワイトコレア(Correa alba)、ネイティブフクシア(Correa reflexa)などです。
白花のホワイトコレア(Correa alba)

ピンク花のCorrea alba hybrid ‘Coastal Pink’

昔からあるポピュラーな品種、ネイティブフクシア(Correa reflexa)

育て方:原生地がオーストラリア南東部で、気候が地中海式気候に近く、夏乾燥し、冬は温暖湿潤なので、蒸し暑さを嫌います。従って、夏は半日陰程度の明るい風通しのよい所で育てます。冬は霜に当たらなければ、氷点下にならない程度で越冬しますが、東京郊外で冷え込む地域、及びそれ以北の地域では、屋内に取り込むのが無難です。鉢植えの場合、水はけのよい土を使用し、成長期には、たっぷり水やりをします。オージープランツですが、リン酸にも耐久性があるので、春と秋に堆肥などでマルチングするとよいです。
増やし方:実生または、挿し木で可能です。

では、次に、もう1つのおすすめである、エパクリスについて説明します。
Epacris (エパクリス)のプロフィール

Australian Fuchsiaのエパクリスは、メルボルンのあるビクトリア州の紋章にも使用された、現地ではポピュラーな植物です。1つひとつの花は、コレアと区別がつかないほど似ていますが、咲き方が異なります。
科名: ツツジ科 (Ericaceae) エパクリス属
特徴:
- 低木または小高木で、葉は小さく硬いものが多いです。
- 花は小さく、筒状または鐘形で、白、ピンク、赤などさまざまな色があります。
- 花は葉の付け根(葉腋)に沿って多数咲くことが多いです。
- オーストラリア南東部に多く分布します。
- 英名で「heath」と呼ばれることがあります。これは同じツツジ科のヒース(Erica)に似ているため。
代表的な種: Epacris longiflora(フクシアヒース)、Epacris impressa(コモンヒース)など。
フクシアヒース(Epacris longiflora)


コモンヒース(Epacris impressa)


原生地:ヴィクトリア州とタスマニア州
育て方、増やし方:コレアに準じます。
コレアとエパクリスの主な違い
コレアとエパクリスはどちらもオーストラリア原産の植物で、花が筒状をしているなど見た目が似ていますが、異なる科に属しており、いくつかの違いがあります。
| 特徴 | Correa (コレア) | Epacris (エパクリス) |
| 科名 | ミカン科 (Rutaceae) | ツツジ科 (Ericaceae) |
| 葉の形状 | 対生し、芳香を持つものもある | 小さく硬いものが多い |
| 花の色と付き方 | 赤・ピンク・白。枝の先端や葉腋に咲く | 赤。葉腋に沿って多数咲くことが多い |
| 花の形状 | 筒状または鐘形 | 筒状または鐘形 |
| 樹高 | 1~2m | 1~1.5m |
| 花期 | 10月~翌年5月 | 10月~翌年5月 |
| 耐寒性 | 0℃程度(霜に当てない) | 0℃程度(霜に当てない) |
| 土壌 | 水はけのよい酸性土壌を好む | 水はけのよい酸性土壌を好む |
| 分布 | オーストラリア南東部 | オーストラリア南東部・タスマニア |
| その他 | 蜜を豊富に含み、鳥媒花として知られる | 英名で「heath」と呼ばれることがある |
コレアとエパクリスの見分け方

- 葉の付き方: コレアは対生していることが多いのに対し、エパクリスは葉が密生していることが多い。
- 花の付き方: コレアは枝の先端や葉腋に数個咲くことが多いのに対しエパクリスは葉腋に沿って多数咲くことが多い。
- 葉の質感: コレアは比較的柔らかいものが多いのに対し、エパクリスは葉が小さく硬いことが多い。
このように、コレアとエパクリスは花の形が似ているために混同されることがありますが、科が異なるため、葉や花の付き方、分布などに違いがあります。
今回は、まだ、日本では、あまり馴染みの無いコレアとエパクリスに注目しました。きっと近い将来、ポピュラーなオージープランツになると思います。ぜひ、希少な苗に出会えたら、栽培にチャレンジしてみてください。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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