日本初のオーストラリア植物の図鑑『はじめてのオージープランツ図鑑』著者インタビュー

近年、日本でも多くの種類が入手できるようになった“オーストラリア特有の植物”のグループ「オージープランツ」を、神奈川県の自宅の庭で100種以上育ててきた経験を持つガーデンプロデューサー遠藤昭さん。遠藤さんによる新著『はじめてのオージープランツ図鑑』が発売され、ますますオージープランツが日本のガーデニングに取り入れやすくなりました。ここでは、著者の遠藤さんに図鑑の見どころ、読みどころを教えていただきます。
ガーデンストーリーにご紹介してきた品種も多数登場

2020年来のコロナ禍で、おうち時間が増えたことにより、いまガーデニングブームが再来しています。特にオージープランツが若い世代を中心に人気で、オージープランツの苗が品不足だといいます。そんな中で、書籍『はじめてのオージープランツ図鑑』が発売されました。
私は、オーストラリアに駐在したことで魅了されたオーストラリア原産の植物を帰国後30年間、栽培し続けてきました。実体験から得た日本での栽培のコツを分かりやすく解説しながら、育てやすい品種や流通する品種を見やすく一冊にまとめたのが本書です。また、オージープランツに似合う南アフリカの植物や、最近流行の「ドライガーデン」に用いられる植物なども解説しています。

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これまで、日本ではオージープランツに特化した図鑑や育て方を詳しく解説した書籍は無かったところに、私が著者として初めて発行させていただくことは、大変光栄に思います。

当サイト「ガーデンストーリー 」では、4年前の公開スタートから毎月連載としてオージープランツをテーマに記事を書かせていただきました。その3年間の情報整理と蓄積が書籍化の助けとなりました。また、書籍担当者さんも、「ガーデンストーリー」の愛読者となってくれました。
庭木・草花200種を網羅した図鑑作成

図鑑というからには、100種、200種は掲載したいもので、一番苦労したのは写真のセレクトでした。
PCの中には、私がこれまで20年間、撮影し続けてきたオリジナル写真が約20万枚あり、その中から選び出した200種のオージープランツを掲載することができました。これまで、私が撮影の際に意識してきたのは、花のアップではなく、周りの風景の中で、その花があることで如何に庭が美しく見えるかという観点でしたから、図鑑用にセレクトするというのは、少々骨の折れる作業でした。

さまざまな種類の苗を入手し、育てて開花する過程をコツコツと撮りためてきたおかげで、約500枚の写真を使った図鑑となりました。なかには、メルボルンや西オーストラリアに旅行に行った際に撮った、現地の様子などの写真も収録されています。
学名や流通名、育て方などを丁寧に解説

写真が決まったら、次は各植物の基本的な情報として、学名や育て方を含めた文章の作成です。これもまた一つの難関で、その写真の属名+種小名を明らかにするのに細心の注意を払いました。
参考文献はすべてオーストラリアの図鑑などだったため、英語との格闘です。まるで受験勉強でもしているような日々でした。原産地も州ごとの単位まで明らかにし、開花時期、樹高、育て方などを調べるのに、大変な労力と時間を費やしました。
オージーBBQやお菓子づくりなど7つのコラム

間違いの許されない「図鑑づくり」はとても緊張する作業で、途中、幾度も投げ出したい気持ちになったものです。そんな時に救われたのが、出版社との打ち合わせで確認した「学術書ではなく、楽しめる図鑑」であり、「遠藤さんらしさが出る図鑑」という点でした。自分でも、「学者でもなく、30年間オージープランツを楽しんできた趣味の人間なので背伸びはしない」と決めており、コラムでBBQやお菓子づくりに触れたり、巨木ユーカリと環境問題などのコラムを挿入するなど、息抜きができる図鑑を目指しました。
上手に育てるヒントや育て方、実例集と盛り沢山

見本誌が届いたときは、感無量でした。
今振り返ると、コロナ禍だからこそ集中して執筆できたことや、たまたまオーストラリアで5年間を過ごし、その後30年近く、オージープランツを育ててきた自分だからこそ出来たことだと思えてきました。私でも、微力ながら、日本のガーデニング文化の振興に貢献できたなら嬉しく思います。おうち時間に、是非、個性的で明るいオージープランツたちの写真を眺め、親しんでいただき、オージープランツの魅力を身近に感じていただけたらと思います。
本書の紹介ビデオも制作しました。ご覧ください。
BGMはオーストラリアの愛国歌のWaltzing Matilda(ワルチング・マチルダ)です。
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Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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