ガーデンをデザインするときにぜひ取り入れたいのが、グラウンドカバー(グランドカバー)と呼ばれる植物グループ。木々などの株元をカバーして地面を隠し、庭をきれいに見せてくれます。芝生の代わりにもなり、背丈が低くよく広がり、花が咲く品種もあります。使い勝手のよいグラウンドカバーにおすすめの植物を17種ご紹介します。
目次
グラウンドカバーとは?

グラウンドカバー(グラウンドカバー)とは、地を這うように広がり、足元を彩る植物のこと。グラウンドカバーで地面を覆うことで、土が露出せずにガーデンをよりきれいに演出したり、傾斜地などの土が流出するのを根が抑えたり、乾燥を防止したりすることができます。また、グラウンドカバーで背景をつくれば、花々や木々がいっそうきれいに見え、高低の変化もある立体的な庭に。花が咲く植物を選べば季節には一面に小花で覆われるかわいらしい光景が楽しめます。
さらには、地面を這うように広がる匍匐性(ほふく性)の性質により地面を覆ってしまうので、雑草対策としても効果的。踏んでも平気な丈夫なものが多いので、石やレンガを敷いた小径やステップの隙間、花壇の縁取りや低木の株元などを彩るのにもぴったりです。芝生のように日頃から借り込む必要もないので、ガーデニング初心者さんが庭づくりに慣れてきたら、ぜひグラウンドカバーを取り入れて、ガーデンをおしゃれにセンスアップしましょう。グラウンドカバープランツは生育旺盛なものが多いので、隣家の庭など、広がってほしくない区画には入れないようにご用心を。増えすぎたらはみ出した分を切って縁を整えたり、間引いたりするだけで手間いらずなのもグラウンドカバーの魅力です。
グラウンドカバーの魅力とメリット

グラウンドカバーを取り入れると、景観がナチュラルで瑞々しい印象になりますが、ほかにもさまざまなメリットがあります。
まずは、雑草対策です。グラウンドカバーは地中に根を密集させ、地表を覆うように繁殖するため、雑草を生えにくくする効果があります。無農薬なので他の庭木への影響を抑制できますし、雑草を抜く手間が減るので、少ない労力で庭の景観を維持しやすくなります。
次に暑さ対策です。植物は、根から吸い上げた水分を葉から放出する「蒸散」を行います。グラウンドカバーを植えておくと、この蒸散作用により地表面付近がミスト冷却をしたときのように冷やされ、地表温度の上昇を防ぎます。
また、地中に根を張ることで土や石を固定し、土壌流出の防止にも役立ちます。また、雨や霜などによるぬかるみ防止効果も期待できます。さらに、地表を覆う茎葉により埃や砂の飛散が軽減されるのもメリットです。
では、植えるとメリットがいっぱいのグラウンドカバーにおすすめの植物17選をご紹介します。
おすすめのグラウンドカバー1
タイム

小さな葉が可愛いタイム(Thymus)はグラウンドカバーにもオススメのハーブ。木立性のものもありますが、グラウンドカバーには這うように横に広がるクリーピングタイムを選びましょう。歩くたびに広がる清々しい香りも楽しめます。。水はけがよい場所にも育ちやすいので、傾斜した場所の土どめとして植えられることもあります。
同じハーブの仲間のミントは増えすぎるので、グラウンドカバーとして取り入れるのは避けたほうがよいでしょう。
おすすめのグラウンドカバー2
プラティア

春から秋にかけて、星形のブルーの小花をちりばめたように咲かせる可愛らしいグラウンドカバーのプラティア(エクボソウ/Pratia angulata)。小さな葉がマット状に広がります。生育は遅めなので、小さなスペースや隙間のカバーにオススメです。
おすすめのグラウンドカバー3
リシマキア

黄金葉の‘オーレア’や、濃い褐色の‘ミッドナイトサン’など、カラーリーフが美しいリシマキア(Lysimachia)。やや湿りけのある環境を好み、日陰でも丸い葉をよく茂らせます。日当たりのよい場所で育てれば、梅雨時に濃い黄色の小花を咲かせます。

おすすめのグラウンドカバー4
クラピア

踏みつけにも耐える、丈夫なグラウンドカバープランツとして、また日本生まれで環境にも配慮した植物としても近年注目されているクマツヅラ科イワダレソウ属のクラピア(Lippia nodiflora L.)。小さな丸いかわいい花が咲きながら這って広がり、雑草の侵入を防ぎます。また、クラピアの葉は丸くて柔らかいので裸足でもチクチクせず、ペットやお子様のいる庭にもおすすめ。刈り込む事で美しいグリーンカーペットのような仕上がりも楽しめます。メンテナンスが楽なので、芝生の代わりに選ぶ人も増えています。
●クラピアについて詳しくはこちらへ
おすすめのグラウンドカバー5
ツルニチニチソウ

紫色の花が美しいつる性植物のツルニチニチソウ(Vinca major)。鮮やかな緑色の葉を一年中茂らせる常緑性で、樹木の足元などのカバーにぴったりです。生育旺盛で、地面を覆うように育てたり、上から垂らしたりといろいろな仕立て方が楽しめます。斑入りや白花品種も。
おすすめのグラウンドカバー6
イブキジャコウソウ

日本原産のタイムの仲間で、茎葉に触れると爽やかなよい香りが立ち上るのも魅力なイブキジャコウソウ(Thymus quinquecostatus)。花つきがよく、初夏には株全体が小さなピンクの花で覆われるほど。冬には葉が落ちますが、春になるとまた芽を吹きます。
おすすめのグラウンドカバー7
シバザクラ

横に広がる性質を生かして、グラウンドカバーとしても利用されるシバザクラ(芝桜/Phlox subulata)。春に白やピンク、藤色の花を、辺り一面に咲かせる様子は見応えがあります。踏みつけには強くないので、通路には植栽しないようにしましょう。上写真で、シバザクラの周囲の黄色はリシマキア・ヌンムラリア。
おすすめのグラウンドカバー8
イオノプシジウム

明るい緑色の葉に、淡い紫色の花を株いっぱいに咲かせる一年草のイオノプシジウム(Ionopsidium acaule Rchb.)。花後は枯れてしまいますが、秋になるとこぼれダネから発芽してよく増える性質。その性質から、種をまくだけで花と緑のカーペットが欲しい場合にもおすすめの植物です。耐寒性が強いため、暖地であれば冬でも開花することがあります。
おすすめのグラウンドカバー9
アジュガ

耐寒性もあり、湿った場所に育ちやすいアジュガ(Ajuga reptans)は、半日陰のガーデンでのグラウンドカバーにも向く多年草です。匍匐してマット状に株が増えて広がり、3〜5月には花穂を立ち上げて青紫やピンクの花を咲かせます。

葉が銅色などシックな色味の種類もあり、カラーリーフとして、寄せ植えなどで組み合わせる草花としても人気です。洋風の庭に限らず、和風の庭にも似合います。
おすすめのグラウンドカバー10
セダム

ベンケイソウや万年草(マンネングサ)とも呼ばれる多肉植物の仲間であるセダム(Sedum)も、グラウンドカバーに向きます。病害虫が発生する心配がほとんどなく、暑さや乾燥に強く、用土の厚みが比較的少なくても育つので、屋上緑化やリース仕立ての寄せ植えなどでも取り入れられる植物です。葉の形や色味など種類も豊富なので、複数の種類を混ぜながら植えると、色味の変化のあるグラウンドカバーになります。苗は園芸店やホームセンターなどで年中販売されているので、入手しやすく、暖かい地域ならば植えっぱなしで冬も緑を保ちます。
おすすめのグラウンドカバー11
ベロニカ‘オックスフォードブルー’

耐寒性、耐暑性ともに優れているベロニカ‘オックスフォードブルー’(Veronica peduncularis ‘Oxford Blue’)もグラウンドカバーに適した植物です。日向や半日陰を好み、早春に可愛らしい青い花をつけます。広がりすぎないため、寄せ植えなどにも使いやすく、人気の高い多年草です。夏には葉が茂り、秋冬は紅葉するので四季折々の表情も楽しめます。
おすすめのグラウンドカバー12
メカルドニア

メカルドニア(Mecardonia)は、別名がキバナオトメアゼナやアメリカシソクサで、その名のとおりたくさんの黄色い花を咲かせます。夏の暑さや乾燥にも強く、開花期は6~10月と長いのが特徴です。日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。丈夫な植物ですが、やや寒さに弱く、耐寒可能な最低温度は0度です。
おすすめのグラウンドカバー13
ダイコンドラ(ディコンドラ)

横に広がって這うように伸びる長い茎に、ハート形の葉が特徴のダイコンドラ(ディコンドラ/Dichondra)は、グラウンドカバーとしてだけでなく、寄せ植え用でも人気の高い多年草です。春から初夏にかけて葉の付け根に3mm程度の花をつけます。暑さには強いものの、耐寒性はあまりありません。また、踏み付けにも弱いので、往来が多い場所などには向きません。
おすすめのグラウンドカバー14
タピアン

花名の由来は、フランス語で絨毯を意味する「tapis」であるタピアン(Verbena×hybrida ‘tapian’)。クマツヅラ科バーベナ属の植物で、開花時期が4~11月と長く、花色も4色あるので植え方次第でさまざまな楽しみ方ができます。風通しがよく日当たりのよい場所を好み、日陰では成長しません。また、踏み付けにも弱いので、往来が多い場所は避けたほうがよいでしょう。成長が早く、病気にも強いですが、寒冷地での越冬はできません。
おすすめのグラウンドカバー15
ローマンカモミール

ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)は、リンゴのような爽やかな香りが特徴のハーブで、耐寒性に優れ、踏み付けにも強い多年草です。開花時期は4~7月で、小さな白い花を咲かせます。日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。比較的アブラムシが発生しやすいので注意が必要です。
おすすめのグラウンドカバー16
クローバー(シロツメクサ)

クローバー(シロツメクサ/Trifolium repens)は繁殖力が強く、雑草に近いイメージもありますが、グラウンドカバーにもなります。ただし、放置しておくと背丈が伸びて雑草然としてくるので、こまめに踏んで背丈を抑え、横に広がるように育てるとよいでしょう。4~10月にかけて白い球形の花をつけます。耐寒性、耐暑性も強く、日陰地以外であれば土壌を選ばず生育が可能です。
おすすめのグラウンドカバー17
ハツユキカズラ

ハツユキカズラ(Trachelospermum asiaticum ‘Hatuyukikazura’)は、古くから日本に自生してきたテイカカズラを品種改良した植物であり、日本の気候で育てやすく、丈夫です。ただし、寒冷地での越冬は鉢上げしたうえで暖かい場所に移すことをおすすめします。開花時期は5~6月で、小さな白い花をつけます。葉は新芽の頃はピンクでその後、白い斑入りから緑へと変化し落葉しないため、一年を通して楽しめます。
庭に適したグラウンドカバーの選び方

グラウンドカバーに適した植物は、前述したようにさまざまな種類がありますが、基本的には這うように旺盛に生育し、見た目が美しく丈夫で一年中楽しめる常緑のものがおすすめです。
これらを踏まえて、植える場所の環境に合った種類を選ぶようにしましょう。選ぶ際に考慮すべきポイントとしては、日陰か日向か、水はけの良し悪し、通路として使うか(踏圧に強いか)、花が咲くかどうか、などがあります。
また、種類によっては繁殖力が強すぎて、予定外の場所まで覆いつくしたり、他の庭木の生育を阻害したりするなどの問題が生じる場合もあります。そうならないためにも、種子をつけない不稔性かどうかや、広がりをコントロールしやすいかどうかなど、管理のしやすさも重要なポイントです。
グラウンドカバーの基本のお手入れ

グラウンドカバーを移植する際は、あらかじめ雑草やほかの植物は除去しておきましょう。とくに雑草が残った状態だと、養分を雑草に奪われてしまうのでグラウンドカバーが生育しにくくなってしまいます。
グラウンドカバーの植え付け後、根付くまでは土が乾いたら水やりをしましょう。肥料は根付いた後に液肥を与え、その後は通常の草花と同様に緩効性肥料などを与えます。とくに、花をつける植物の場合はしっかり肥料を与えることが必要です。種類に応じて、必要な時期に施肥をしましょう。
根付いてからは、どんどん繁殖していくので、広がり過ぎた分は適宜切り落とし、枯れた下枝なども除去しておきます。とくに梅雨時は蒸れやすくカビや病気の原因になるので、あまり密集しすぎている場合は枝を間引いて風通しをよくしておき、雑草なども除去しておきましょう。花が終わった後の花柄はこまめに摘み取ると、見た目が良いだけでなく、カビや病害虫予防になります。
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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