今年は2倍! 大量発生で危険度が増すスズメバチ対策に簡単“置くだけ”蜂トラップ
近年、温暖化に伴って越冬する女王蜂が増え、スズメバチがどんどん増加しています。2025年はスズメバチの駆除依頼が例年の2倍といわれ、庭やベランダでの遭遇リスクが高まっています。そんな中、手軽に設置できて可愛いと人気を集めているのが 「蜂トラップ」。ハチを刺激せず、スズメバチやアシナガバチを安全に減らせる実用的な対策です。この記事ではハチの生態や蜂トラップの効果、設置のコツ、さらにハチ以外の害虫への応用まで安心して取り入れられる知恵をご紹介します。
目次
庭に暮らすさまざまなハチ、それぞれの役割
庭で見かけるハチにはさまざまな種類があります。ミツバチは花粉を運び、果樹や花壇の実りに欠かせない存在としてよく知られています。一方、「刺すハチ」として恐れられがちなアシナガバチやスズメバチも、じつは自然界では重要な役割を担っています。それぞれのハチがどのように暮らしているのか、まずは彼らの生活を見てみましょう。
“小型捕食者”アシナガバチの暮らし

春、女王バチが目覚めると、木の繊維をかじって唾液と混ぜ、紙のような素材にして巣を作ります。巣はシャワーヘッドのような形で、規模は数十匹ほどの小さな家族単位。成虫は蜜や樹液を舐めて暮らし、幼虫のために毛虫や青虫といった庭木の害虫を狩って与えます。ですから、見た目の怖さに反して、ガーデニングでは庭木を守ってくれる益虫です。
“大型肉食ハンター”スズメバチの暮らし

春、女王バチが営巣し、夏から一気にコロニーが拡大します。その数は数百から数千匹規模に膨れ上がり、厚い層で覆われた球状の巣を作ります。成虫は樹液や果汁を舐めて暮らし、幼虫にはバッタやハエ、他の昆虫を狩って与えます。獲物の範囲が広く、大型昆虫まで捕食するので、昆虫の個体数調整を担う「自然界のハンター」という大事な役割も果たしています。

ですから、ミツバチが花粉や蜜を食べる“草食系”、アシナガバチが毛虫などを食べる“小型捕食者”だとすれば、スズメバチはバッタや他のハチまで襲う“大型肉食ハンター”です。その強い肉食性が、庭で見かけたときに人にとって“迫力ある存在”に映る理由の1つでもあります。
アシナガバチとスズメバチの違い
アシナガバチもスズメバチも、女王をトップとし、巣の中で役割分担をしながら暮らしを営む社会性昆虫ですが、その営みには以下のような違いがあります。
| 特徴 | アシナガバチ | スズメバチ |
| 巣の規模 | 数十匹 | 数百〜数千匹 |
| 巣の形 | 開放型(六角形がむき出し) | 球状で閉鎖型 |
| 役割分担 | 緩やか | 厳格 |
| 防衛性 | 穏やか(刺激がなければ刺さない) | 攻撃的(フェロモンで集団防衛) |
アシナガバチは「小さな家族のコミュニティ」、スズメバチは「軍隊のような大組織」といえるでしょう。この暮らし方の違いが、スズメバチの‘恐ろしい’と思われる特性につながる鍵になっています。
なぜスズメバチは攻撃的なのか?

スズメバチは攻撃性が強く、恐ろしい存在として知られていますが、それは「性格が荒いから」ではありません。その理由は、前述のように彼らの巣が大規模コロニーであるためです。大規模コロニーであるスズメバチの巣は、それを狙うクマなどの天敵にとっては膨大な栄養エネルギー源であり、「攻める価値のあるターゲット」です。一方、狙われる側のスズメバチにとっては、
- 大規模コロニーを守る必要:数千匹規模の仲間と膨大な幼虫を抱えるため、外敵に襲われれば壊滅的打撃を受ける。
- 捨てられない巣:アシナガバチの巣は解放構造かつ小規模家族なので、天敵から襲われた場合には巣を捨てて逃げることも珍しくない。しかし、スズメバチの巣は閉鎖的構造で「城」のように膨大な資源が集中しているため、放棄するより「徹底抗戦」を選ぶ。
- 肉食性と縄張り意識:狩りの場や巣の周辺を侵されると、大家族を養うための貴重な餌資源が失われるため、防衛的に先制攻撃。
- 集団防衛システム:警戒フェロモンで仲間を呼び寄せ、組織的な攻撃が可能。
- 進化の背景:クマなどの大型捕食者が多い環境で進化してきたため、防衛力を強化せざるを得なかった。
つまり、スズメバチは大家族が住む巨大な巣を守るために、防衛行動を進化させてきたことによって、「攻撃的に見える」というわけなのです。

庭でハチと安全に付き合うために

アシナガバチもスズメバチも、本来は人間を狙って攻撃する生き物ではありません。庭木の害虫を食べたり、ほかの昆虫の数を調整したりする自然界の調整役です。しかし、巣が人の生活圏に近づきすぎると「防衛本能」が働き、思わぬ事故につながることがあります。庭で過ごしたり、屋外で食事を楽しむときなどは、ハチとの距離感を上手に保つ工夫が必要です。
スズメバチから見た「安全な距離」とは
では、ハチから見たときの安全な距離感とは、どういうものでしょうか。

巣の警戒圏
公的な資料によると、スズメバチは巣の周囲数m〜10mに入ったものを警戒対象にします。特に2〜3m以内は最も危険で、強い威嚇や攻撃を受ける可能性が高いとされています。
追跡距離
いったん攻撃を受けると、10〜50mほど追いかけてくる場合があることが報告されています。つまり「刺された場合、逃げ切るには、最低でも数十メートルは距離を取る必要がある」ということです。
※この距離は種(キイロ・オオ・コガタ等)や季節(秋は攻撃性高)、営巣場所、過去の刺激経験で広がることがあります。上記は“目安”であり、迷ったら絶対に近づかず、専門業者へ相談しましょう。
住宅街での注意
狭い庭や住宅街に巣を作られた場合は、常に “警戒圏”の中で生活することになり、共存は現実的に難しい状況です。この場合は決して自分で駆除を試みず、自治体や専門業者に相談することが最も安全です。
ハチと安全な距離を保つための「蜂トラップ」
そこで活躍するのが、ガーデンストーリーシリーズのガラス製蜂トラップです。このトラップは「ハチを根絶やしにするため」ではなく、人の生活圏に近づきすぎたハチを引き寄せて捕獲し、前述の「安全な距離」を確保するための道具です。

ガラス瓶の底面に開いた小穴から、誘引液(酢+砂糖水など)に誘われて蜂が侵入。一度入ると、上部はしっかり栓をしたコルクで閉じられていて脱出できず、ガラス内壁は滑りやすく登れない構造になっており、ハチは出口を見失ってそのまま捕獲される仕組みです。
- ハチの生態を踏まえ、蜜や果汁、砂糖水など甘い香りで誘引します。
- 設置のタイミングは「ハチが庭に頻繁に現れるようになったとき」。
- 逆にまったくハチがいない状況では不要。必要なときにだけ設置するのが賢い使い方です。
庭になじむ、美しいガラス製デザイン
一般的な蜂トラップは「捕獲器具」として無骨なものが多いですが、この製品は庭のアクセントになるような美しいデザインが魅力。

- ガラスの透明感が花や緑と調和し、装飾的な美しさを持つ。
- 吊しても、棚やフェンスに置いても、自然に景観に溶け込む。
- ガラスに施されたデザインにより、中の昆虫の姿が見えにくく、不快感がない。
実用性だけでなく、「庭の雰囲気を壊さない」という点でガーデンライフに寄り添うアイテムです。
蜂トラップを安全に活用するポイント

- 誘引液には砂糖+酢+水、あるいはレモネードなどを使用。
- 設置場所は、人の通り道や遊び場から離れた庭の隅に。
- ハチが多い時期(初夏〜秋)に限定して使うのがおすすめ。
蜂トラップに関するFAQ(よくある質問)
Q1. 庭でスズメバチの巣を見つけました。どうすればいい?
A. 自分で駆除するのは大変危険です。巣の近くは半径5〜10m以内が警戒圏内で、2〜3m以内に入ると攻撃されるリスクが高まります。住宅街など距離が取れない環境では共存は難しいため、専門業者や自治体に相談してください。蜂トラップは補助具であり、巣そのものを取り除くことはできません。
Q2. 子どもがいる庭では、どこにトラップを置けばいい?
A. 遊び場や通路から離れた庭の隅に設置してください。庭が狭い場合は、最も子どもが近寄らないエリアに。高さは地上1.5m程度に設置すると、子どもやペットの手が届きにくく安全です。
Q3. 誘因液には何を入れるのがいいですか?
A. 砂糖水や果汁、レモネードなどの甘い液体が効果的です。少量の酢を混ぜるとより誘引力が高まるといわれています。ただし、こぼした液は拭き取るようにしてください。周囲に匂いが残ると、人の生活圏にハチを呼び寄せることになります。
Q5. ハチを全然見かけない時期に設置してもいいですか?
A. ハチがまったくいない状況で使うのはおすすめしません。かえって周囲からハチを誘引する結果になることがあります。設置はハチを頻繁に見かけるようになったときに限定してください。
Q6. ハチ以外の庭の害虫にも効果はありますか?
A. 甘い匂いに誘われる昆虫には効果があります。たとえば以下のようなものです。
- ハエ類(キンバエ、イエバエなど)
- 蛾類(夜行性の成虫が甘い匂いに寄ってくることがあります)
- アブ類(吸血性のものも果汁や蜜に引き寄せられます)
これらはトラップに入りやすく、庭や屋外での生活の快適さを守る点で副次的な効果があります。
効果が期待できないもの
- カミキリムシ
カミキリムシは成虫が樹皮や枝葉をかじり、幼虫が木の内部を食い進めて加害します。餌は木質部や葉であり、砂糖水や果汁の匂いには基本的に誘引されません。したがって蜂トラップでは捕獲できません。 - ヨトウムシ・ナメクジ・ダンゴムシなど
これらは土壌や植物を直接食べる性質があり、甘い匂いには反応しないため、対象外です。
庭を守るのは力ではなく知恵。賢いガーデナーの選択
庭に現れるハチは、ただ「怖い存在」だけではありません。ミツバチは受粉を助け、アシナガバチやスズメバチは害虫を捕らえる自然界のハンター。彼らは庭や生態系に欠かせない仲間です。ただし、その生活圏に近づきすぎると、防衛本能から刺されるリスクが生まれます。
こうしたハチの生態を理解すれば、むやみに恐れる必要はありません。大切なのは、適切な距離を保つことです。スズメバチの巣からは最低でも10m、場合によっては50m以上の距離が安全とされ、住宅街では専門業者の助けが不可欠です。

ガラス製の蜂トラップは、この「距離をつくる」ための補助具。ハチやハエなど甘い匂いに誘われる昆虫を引き寄せることで、テラスや遊び場から遠ざけ、庭の安全を守ります。
つまり、蜂トラップは「ハチを根絶する道具」ではなく、美しい庭で人と自然が共存するための工夫です。正しい知識と使い方を身につければ、庭で過ごす時間はもっと安全で、もっと心地よいものになりますよ。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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