個性的で丈夫なセダム! 園芸初心者でも扱いやすいセダムの育て方
ぷくぷくと膨らむ葉や彩りも幅広く、可愛らしい見た目が魅力的な多肉植物の一つ、セダム。園芸店でもたくさんの寄せ植えが並んでおり、他の植物にはない魅力があるので、興味がある方も多いのではないでしょうか。この記事では、セダムの栽培について詳しくご紹介していきます。
目次
セダムの特徴!丈夫で種類が豊富
「セダム(sedum)」という名前は、ラテン語の「sedre(座るという意味)」に由来します。これはセダムが山地や海岸地などの岩上のわずかな土に根を張って生育する特性を持っていることにちなんでつけられたともいわれています。日本でも30種類以上が流通している、非常にポピュラーな春秋生育型の多肉植物です。
セダムの楽しみ方
セダム類は乾燥に耐え、繁殖力が強い植物で、グラウンドカバーに向いています。ごく少ない土壌で生育でき、軽量で風にも強いので、屋上緑化にも適しています。
そのほか石垣の間に植えたり、ロックガーデンや寄せ植えにも最適です。小ぶりなセダムはリースにアレンジすることもできます。その際は、適切な大きさにカットして日陰でしっかりと乾燥させること、また性質や育て方が異なる植物と一緒にしないことが必要ですので注意しましょう。
セダムの種類
いろいろな種類があるセダムですが、ここでは代表的なものをご紹介します。
虹の玉
虹の玉は丸い葉が可愛らしい、中米原産の品種です。秋になり気温が低くなると全体的に葉の色が赤くなり紅葉も楽しめます。開花の時期は春で、繊細な黄色の花が咲きます。
ゴールデンカーペット
セダム ‘ゴールデンカーペット’ は成長のスピードが速く、暑さや寒さにも強いため、多肉植物初心者でも育てやすい品種です。
高さがなく、横に広がって増えていくタイプなので、庭でグラウンドカバーとして使うのにも適しています。
秋になると葉の色が赤く色づく紅葉も楽しめます。この品種は葉挿しには向かないので増やす時は注意が必要です。
ミセバヤ
ミセバヤは日本原産の品種で、茎が伸びて高さが出るタイプのセダムです。
2年目以降の株は葉の縁がピンク色になる可愛らしい様子を見せてくれます。
冬は地上部は枯れてしまいます。
挿し芽で増やすことができるセダムの中では、やや上級者向けの種類といえます。
セダムのライフサイクル
セダムの開花時期は品種によりさまざまですが、およそ2~10月となっています。
植え付けや植え替えに適している時期は、3~4月か、9~10月です。
真冬の寒い時期は活動が鈍りますが、春から晩秋まではよく育ち、夏には暑さで生育が緩やかになるというライフサイクルです。
セダムを育てる準備
いろいろな種類があり、可愛らしいセダムですが、育てるためにはどのような準備が必要なのでしょうか。ここからは、セダムの栽培のための準備について詳しくご紹介します。
栽培環境
セダムは、日本では春秋生育型として栽培するのが基本です。
全ての落葉種と一部の常緑種は耐寒性が強いため、強い霜に当たっても傷むことはありません。
一方で、高温多湿には弱いので、梅雨から夏にかけては雨に当たらない風通しがよい場所で管理しましょう。
秋になったら戸外の日当たりのよい場所に移動させましょう。庭などに地植えする場合は、水はけのよい場所に植えます。夏場に雨が当たらずに半日陰になるような環境が理想的な環境です。
植え付け・植え替え
セダムの植え替えは1~2年に1回を目安に行います。
鉢植えの場合は、底に穴があいているものであれば、どんな容器に植え付けてもかまいません。
根が落ち着くまでの4~7日程度は水やりを行わずに日陰に置いて休ませ、根が定着したら日当たりのよい所で管理します。
地植えの場合は、過湿を嫌うため水はけのよい用土を準備します。植え付ける場所を決めたら10cm程度の深さに庭土を掘り起こし、苗の根をほぐしながら植え付けます。根が落ち着くまでの4~7日のうちは水やりを控えるようにします。
セダムの育て方
セダムを育てるにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここからはセダムの育て方について詳しくご紹介します。
温度・湿度
セダムは0~25℃が育成に適切な温度です。
高温多湿が苦手なので、夏の暑さには注意が必要です。
また、冬の寒さには耐えられる品種が多いですが、霜や雪にあたって株が凍ると弱ってしまいますので、冬の寒冷地域では室内に入れて管理したほうがよいでしょう。
水やり・肥料
セダムは多肉植物なので、葉に水をため込む性質があります。また、過湿の環境が苦手です。鉢植えの場合、水やりは3~6月と9~11月の生育期には2~3日に1回ほど。土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにします。冬は生育が衰えるため、月に1~4回、霧吹きで与える程度に。梅雨~夏の多湿の時期も水やりの回数を減らします。地植えの場合は自然の雨のみで十分なので、基本的に水やりの必要はありません。
剪定
セダムの剪定は3月または9月頃に行います。剪定は新芽の生育を促すことにつながる大切な作業なので、1年に1回行います。グラウンドカバーによく使われる、こんもりと広がるタイプのセダムは蒸れやすいので、込み合っている枝をすいたり、半分くらいの高さでカットしたりして風通しをよくします。
セダムの病害虫
湿気が苦手なセダムは乾燥気味に育てるため、害虫を洗い流せなくなります。ここでは、セダムにつきやすい害虫と、その対策をご紹介します。
【カイガラムシ】
貝殻のような形のものが葉の部分につきます。排泄物がウイルスを媒介したり、スス病という病気を媒介することもあります。葉に白い粉のようなものがついているように見える時は、消毒用アルコールをピンセットや楊枝につけてかき出すように除去しましょう。
【ネジラミ】
土の中につくため他の害虫に比べて被害が分かりにくく対策が難しい害虫です。葉が枯れてきたり成長していないように感じたら、一度鉢から取り出して清潔な土に植え替えをします。
【ハダニ】
葉につく害虫で、被害にあった部分が白や黄色に変色します。
セダムの増やし方
セダムは形状に合わせて「挿し芽」「葉挿し」「株分け」といった方法で増やすことができます。増やす時期は、植え替えと同じ時期が最適です。
挿し芽は、一番増やしやすい方法です。カットした茎の切り口を乾燥させて、根が出てきたら新しい土に植え付けます。
株分けは、大きく成長した株で行う方法です。親株の根から土を取り除いて小分けにし、根の部分を乾燥させて行います。
葉挿しは、落ちたり取れたりした葉で行います。取れた葉は色がきれいなものであれば葉挿しに使えます。清潔な土の上に葉を置き、軽く土をかけて根が出るまで半日陰の場所に置きます。
個性的で丈夫なセダムを育ててみよう!
この記事では、セダムの基本的な情報から詳しい育て方までをご紹介しました。さまざまな株姿とその変化が可愛らしく、楽しみ方も幅広いセダム。ぜひこれを機に育ててみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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