ハツユキカズラを育てたい! 日当たりや水やりなど育て方のポイントをご紹介!

meiko_KODAKA/Shutterstock
つるを旺盛に伸ばして生育するハツユキカズラは、白やピンクの新芽が展開し、カラーリーフプランツとして重宝する植物です。フェンスなどの面をみずみずしく彩ったり、コンテナやハンギングバスケットの寄せ植えに取り入れて動きのあるラインを出したりと、用途の幅が広いのが特徴。この記事では、ハツユキカズラについて、基本情報から育て方まで詳しく解説していきます。
「ハツユキカズラ(初雪カズラ)」とは?
美しい名前の通り、葉にうっすらと雪をのせたような葉姿を楽しめるハツユキカズラ。カラーリーフとして主役にも脇役にもなるこの植物について、もっと知識を深めてみませんか? ここでは、ハツユキカズラの特性や基本情報などについて、幅広くご紹介していきます。
ハツユキカズラの特徴!

ハツユキカズラは、キョウチクトウ科テイカカズラ属の常緑性つる植物。テイカカズラを品種改良した園芸品種で、学名はTrachelospermum asiaticum ‘Hatsuyukikazura’です。
原種のテイカカズラの原産地は、日本、朝鮮半島。古くから日本に自生してきたテイカカズラを品種改良したハツユキカズラももちろん、日本の気候によくなじんで、寒さ暑さに強く、手をかけずとも丈夫に育つ植物です。寒さに強いとはいっても、耐寒性はマイナス5℃くらいまでなので、それよりも気温が下がる寒冷地では、冬は鉢上げして暖かい場所に移動するとよいでしょう。
テイカカズラのライフサイクルは、以下の通りです。4月頃に新芽が動き始めて葉を展開し、5月中旬〜6月中旬に開花。その後も新芽が展開して秋まで生育し続け、晩秋になると葉に赤みが増して紅葉してきます。冬にも葉を落としませんが、寒くなると生育が止まるようです。寒風にさらされると葉が傷んで枯れこむことがありますが、枯れたと判断して掘り上げて捨てないでください。冬を越せば、また春に新芽を出して生育期に入ります。このように一度植え付ければ、毎年楽しませてくれるコストパフォーマンスに優れた植物です。
ハツユキカズラは、ピンクや不定形の斑が混じる新葉が展開するのが特徴で、主に葉の美しさを楽しむ植物です。新葉はピンクから白の斑入り葉へ変化し、やがては緑一色になりますが、生育期は次々と新葉が出るため、一株でも変化に富んだ葉色を展開します。また、落葉せずに冬もみずみずしい葉を保つため、一年を通して観賞できるのも魅力です。5月中旬〜6月中旬に、カザグルマのような形をした白い5弁花が咲きます。花径3cmほどの小さな花ですが、開花すると嬉しいものです。
ハツユキカズラはつる性の枝を伸ばして、匍匐しながら覆うように茂っていく植物です。草丈は10〜30cm程度ですが、つるの長さは50cm以上になります。美しい新芽はカラーリーフプランツとしても、草花の引き立て役としても魅力を発揮。コンテナやハンギングバスケットの寄せ植えでは、縁取りに利用すると、つる植物特有の流れるようなラインを作り出し、動きのある景色を演出してくれます。
名前の由来や花言葉

ハツユキカズラの名前は、新芽に白い不定形な斑が入る様子が、うっすらと雪をかぶったように見えることから、「初雪」を連想して名付けられたとされています。「カズラ」は、古くからつる植物を指す言葉です。
ハツユキカズラの花言葉は、「化粧」「素敵になって」「心の灯」など。いずれも、ピンクや白がほんのりとのる新葉の美しさを表現しているようです。
ハツユキカズラの種類・品種について

ハツユキカズラは、テイカカズラを品種改良して作られた園芸品種です。テイカカズラの園芸品種として、他にも葉に白い斑が入る‘ニシキテイカカズラ’、葉が黄色くなる‘オウゴンニシキ’、ピンクや白などの斑が入る‘ゴシキカズラ’などがあります。
ハツユキカズラの育て方
ピンクや白がのる新芽が美しいハツユキカズラについて、ここまで特性や基本情報、花言葉やその他の種類などについてご紹介してきました。ここからは、ガーデニングの実践編として、育て方について詳しく解説していきます。年中美しいエバーグリーンを楽しめるハツユキカズラの栽培に、ぜひチャレンジしてみてください。
日当たり・温度

ハツユキカズラは、日当たり、風通しのよい場所を好みます。基本種のテイカカズラは、半日陰の場所でも生育しますが、ハツユキカズラの美点である斑入り葉を十分に発色させるには、日当たりのよい場所で管理するのがポイントです。植え替え初期のうちは、真夏の強光線にさらされると葉が焼けて茶色く枯れ込んでくるケースがありますが、株が充実して環境に慣れてくると耐性がつく傾向にあるようです。
暑さ寒さに耐えて戸外で越年する丈夫な性質ですが、寒風が吹きつける場所では葉が傷むことがあります。地植えにする場合は北風が吹きつける場所を避け、鉢植えの場合は冬は暖かい陽だまりに移動して管理するとよいでしょう。
土

【地植え】
ハツユキカズラは乾燥するのが苦手で、適度に水はけ・水もちのよい土壌を好みます。植え付けの際は、腐葉土や完熟堆肥などの有機質資材を土壌にすき込んで、ふかふかの土作りをしておきましょう。
【鉢植え】
赤玉土(小粒)6、腐葉土3、バーミキュライト1の割合でブレンドした土がおすすめです。または赤玉土(小粒)6、腐葉土4の割合にしてもOK。ビギナーなら市販の草花用に配合された培養土を利用すると便利です。
植え付け

ハツユキカズラの植え付けは4〜6月か、9〜10月が適期です。これ以外の時期に花苗店などで買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。
【地植え】
土作りをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より1〜2回り大きな穴を掘って、軽く根鉢をほぐして植え付けましょう。つるを伸ばして生育するので、複数株を植え付ける場合は50cm以上はあけて、広めの間隔を取っておきます。最後にたっぷりと水やりをしましょう。
【鉢植え】
鉢の大きさは、6〜7号鉢に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ハツユキカズラの苗をポットから取り出して軽く根鉢をほぐして鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
置き場所は、日当たり、風通しのよい環境を選びます。暑さ寒さに強いので、一年を通して戸外に置いて越年できますが、真夏は半日陰の涼しい場所、真冬は暖かい陽だまりに移動するのが無難です。
また、ハツユキカズラは根の生育が旺盛で、鉢植えの場合は根詰まりしやすくなります。根詰まりすると斑の発色が悪くなるので、鉢栽培の場合は植え付け適期に植え替えるのがポイントです。
水やり

【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は地中から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
また、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないようにします。気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は鉢内が乾きにくくなるので、水やりを控えめにして管理します。
肥料

ハツユキカズラは、一度植え付ければ毎年新芽を伸ばす息の長い植物のため、肥料を補って株の勢いを保ちましょう。美しい斑が入る新芽を盛んに出して生育し続けることが、見映えを保つポイントです。地植え、鉢植えともに、4〜10月の生育期に1〜2カ月に1度を目安に緩効性肥料を与えます。
剪定

生育が旺盛なため、どこで切ってもかまいません。込みすぎて風通しが悪くなっている部分があれば、適宜切り取ってスッキリさせましょう。また、繁茂しすぎて邪魔になる場合も適宜カットし、全体のバランスを整えます。ハツユキカズラの開花を楽しみたい場合は、花が終わった後の6月下旬以降に剪定しましょう。
病害虫予防

ハツユキカズラは病害虫に強いため、ガーデニングの初心者におすすめの植物です。
ただし、繁茂しすぎて風通しが悪くなると、アブラムシやカイガラムシがつきやすくなります。アブラムシ対策として、土壌に混ぜておくタイプの薬剤を植え付け時に施しておくと安心です。カイガラムシは、見つけ次第ハブラシなどでこすり落として退治します。密に茂りすぎるのを避け、定期的に剪定して風通しよく管理しましょう。
夏越し・冬越しはどうする?

ハツユキカズラは暑さに強いので、特に対策は必要ありません。植え付けた後に真夏の強い日差しにさらされると葉焼けを起こすことがありますが、株が充実すると環境に慣れて順応していきます。
また、ハツユキカズラは耐寒性も強いほうで、マイナス5℃までは耐えられます。霜が降りたり雪が降ったりしても、問題なく戸外で越冬可能です。強い北風にさらされると葉が傷むことがありますが、春になれば再び新芽を出して生育を始めるので心配ありません。
ハツユキカズラが枯れる原因

ハツユキカズラは生命力旺盛で大変丈夫なため、メンテナンスの手間はかかりませんが、枯れてしまうのにはそれなりの原因があります。一番のポイントは、水やりのタイミングです。「ハツユキカズラは乾燥に弱い」という特性に注意がいきすぎ、水を与えすぎて枯らしてしまうことが多いといいます。
ハツユキカズラは乾燥を嫌うとはいっても、いつもジメジメとした多湿の状態にしてしまうと根腐れするので注意しましょう。鉢植えで栽培している場合は、「表土が白く乾いたのを確かめてから、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与える」のを目安にしてください。
ハツユキカズラを増やすには?

旺盛に生育するハツユキカズラは、簡単に株を増やすことができます。ここでは、2つの増やし方についてご紹介しましょう。
挿し木
5〜7月が適期です。勢いのある茎葉を5cmほど切り取り、清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した茎葉(挿し穂)を挿しておきます。切り戻して切り取った茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。
取り木
ハツユキカズラは伸びたつるが土につくと、そこから根を出す性質があります。その発根した部分を掘り取って枝を途中で切り分け、別の場所に植え付けると簡単に増やせます。伸びているつるに土をかぶせて、発根を促してもよいでしょう。取り木のメリットは、採取した株のクローンになることです。
丈夫に育つハツユキカズラ! 白とピンクの芽を楽しもう

一年を通して美しいエバーグリーンを楽しめるハツユキカズラ。新芽には白やピンクがのって美しく、晩秋に昼と夜の温度差が大きくなると紅葉する姿も楽しめます。つるを仕立てて面を彩ったり、コンテナやハンギングバスケットの縁取りとして取り入れたり、主役にも脇役にもなる用途の広い植物です。丈夫でメンテナンスの手間もかからないので、ぜひ庭に取り入れてみてください。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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