「ガーデニングを始めるなら春まで待たなきゃダメかな」と思っているビギナーは多いのでは? じつは、春に花でいっぱいの庭を楽しみたいなら、秋から庭づくりを始めるのが基本なのです! この記事では、春のガーデンのために秋から準備しておきたい庭仕事について、ご紹介していきます。

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秋に植えた花はいつ咲く?

春の花
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チューリップやスイセン、ムスカリ、アネモネ、ヒヤシンスなどは「秋植え春咲き球根植物」に分類されています。文字通り、秋に球根を植え付けて、春に開花する草花です。寒さにあうことで開花する性質があるので、春に球根を植えるのではもう遅く、秋に植えることがポイントです。

また、春に花を咲かせる一年草も、種まきの適期が秋であることが多いもの。これらは寒さに強い性質を持っているものが多く、種をまいて育苗し、冬を乗り越えると春の生育期には環境に馴染んで驚くほどよく茂ってくれますよ! デイジーやスイートピー、ワスレナグサ、ネモフィラなどが、この「秋まき一年草」に分類されています。

また、パンジーやビオラ、プリムラ・ポリアンサ、スイートアリッサムなどは晩秋から花苗が出回るようになります。冬から晩春まで長く咲き続けてくれる植物を植えるのもおすすめです。

「宿根草」は秋がベスト!

宿根草
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宿根草とは、一度植え付けて根付けば越年して毎年決まった時期に開花する、息の長い植物のことです。冬に地上部が枯れるタイプと、落葉せずに常緑のまま越年するタイプとがありますが、これらの宿根草は、秋に植え付けるのがベスト。秋のうちに根づかせておけば寒さへの耐性が高まり、越年後に春の生育期を迎えるとエネルギーが爆発するように生育します。春に株が充実することによって、さらには夏の暑さも乗り切るだけの体力をつけることができますよ! 秋に植えるのにおすすめの宿根草は、フロックス、ベロニカ、プリムラ、ガウラ、コレオプシスなどです。

秋に花を植える注意点

花々が爛漫に咲く春の庭を目指すなら、秋から下準備を始めるのがガーデニングの基本です。ここからは、秋に花を植える際の注意点について解説します。

残暑に注意

球根の植え付け
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地球温暖化とともに日本の夏も年々厳しくなり、暑さがいつまでも残るようになってきました。以前は「暑さ寒さも彼岸まで」と言われていたように、9月下旬頃からを種まきや球根の植え付けを始める目安にしていたものです。でも、ちょっと待って! 近年は9月下旬になってもまだ30℃を超えるような日もありますよね!? 秋にタネを播いたり、球根を植えたりする植物は、寒さを乗り越えて春に咲く力が備わっている一方で、夏の暑さに弱い一面もあるのです。そのため、残暑によって球根が腐ったり、蒸れて生育が悪くなったりすることも。近年では、人間も快適なくらいに涼しくなった頃まで待ってから、秋の庭仕事を始めるのが主流になってきています。

冬越しは万全に

マルチング
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秋植えの植物は、寒さに強いのが一般的ですが、寒風が常に吹きつける場所や、大きな霜柱ができやすい場所に植え付けるのは、避けたほうが無難です。霜が降りるような場所では、バークチップや腐葉土などを表土にかぶせておく「マルチング」をするとよいでしょう。また、種まきした苗があまりに幼いうちに定植すると、寒さに耐えられない場合もあるので、太くてがっしりと締まった苗になるまで育苗しましょう。球根植物の場合は、寒さにあうことで開花の準備を始めるので、冬越し対策の心配はほとんどありません。

秋に植える! おすすめの花

ここでは、秋に植えてガーデニンングをスタートするのに最適な植物をご紹介します。寒さにあうことで春にたっぷりと開花する植物や、晩秋から咲き始めて庭を彩る植物など、幅広くピックアップしています。

チューリップ

チューリップ
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チューリップはユリ科チューリップ属の球根植物です。原産地は中央アジア〜北アフリカで、寒さに強い性質を持っています。開花期は4月頃です。約15系統、5,000種以上の品種があり、花色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、緑、紫、黒、複色など、色のニュアンスもパステルカラーからビビッドカラーまで多様です。花姿もさまざまで、一重咲き、八重咲き、ユリ咲き、フリンジ咲き、パーロット咲きなどがあり、個性的な花姿の品種もあります。草丈は10〜70cmほど。

球根の植え付け適期は10月中旬〜12月中旬で、球根2個分の深さに植え付けます。複数植える場合は、球根2個分の間隔を取りましょう。チューリップは球根を1〜2球植えるよりは、同じ品種を5〜10球ずつ植えるマス植えにすると見映えがよく迫力が出ます。冬の寒さにあわせることが大切なので、必ず戸外で管理しましょう。球根植物ですが、温暖な地域では球根を太らせることが難しいので、一年草として扱うのが無難。寒冷地では地上部が枯れたら掘り上げて風通しのよい場所で管理し、秋に再び植え付けます。

デイジー

デイジー
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デイジーは、キク科ヒナギク属の一年草です。原産地はヨーロッパ、地中海沿岸で、暑さに弱い性質があります。開花期は3月〜5月上旬です。花色は白、ピンク、赤、紫、複色があり、花姿は一重咲きやポンポン咲きなどがあります。草丈は15〜30cm程度で、花壇やコンテナの前面に向いています。

デイジーは花苗店にも多く流通し、12月〜3月頃に出回るので、ビギナーなら苗を買い求めて、植え付けからスタートするのがおすすめです。日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥などをすき込んで植え付け、土が乾いたら水やりします。3月頃から開花が旺盛になるので、10日に1度を目安に液肥を与えると株が充実してよく咲きます。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。開花後は枯死して越年しないので、抜き取って処分します。

パンジー、ビオラ

パンジー
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パンジー、ビオラはスミレ科スミレ属の一年草です。原産地はヨーロッパで、暑さに弱い性質をもっています。開花期は長く、開花株を購入すれば11月頃から楽しめますが、最盛期は3〜5月です。花色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、紫、青、茶、黒、複色など多様。花の大きさも小輪から大輪まで幅が広く、花弁にフリルが入るものなど個性的な品種も多く出回っています。草丈は20〜40cmくらいです。

パンジー、ビオラは人気が高いこともあって、花苗店で気軽に苗を購入できるので、苗の植え付けからスタートするとよいでしょう。開花株は11月〜4月頃に出回ります。日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥などをすき込んで植え付け、土が乾いたら水やりします。3月頃から開花が旺盛になるので、10日に1度を目安に液肥を与えると、次から次に花を咲かせてくれます。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。開花後は枯死して越年しないので、抜き取って処分します。

スイートピー

スイートピー
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スイートピーはマメ科レンリソウ属、つる性の一年草です。原産地はイタリア・シチリア島で、暑さや寒さにやや弱い傾向があります。開花期は4月下旬〜5月頃で、花色は赤、ピンク、紫、白、複色など。花が咲くと甘い香りが漂います。つる性の植物で、つるを旺盛に伸ばして生育して1.5m以上になるので、フェンスなどに這わせて管理するとよいでしょう。

スイートピーは連作を嫌うので、前年にマメ科の植物を植え付けていない場所を選びましょう。10〜11月に日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥をすき込んで種をまき、間引きながら育成します。苗を購入して植え付けからスタートする場合は、根鉢を崩さずに植え付けることがポイントです。3月頃から開花が旺盛になるので、10日に1度を目安に液肥を与えると、花数が多くなります。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。開花後は枯死して越年しないので、抜き取って処分します。

ウインターコスモス

ウインターコスモス
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ウインターコスモスは、ビデンスとも呼ばれています。キク科センダングサ属の一・二年草・多年草で、原産地は北アメリカ、メキシコを中心とする世界各地に分布。開花期は、品種によって幅があり、11〜5月頃です。花色は黄色、白、ピンク、複色などがあります。花つきが大変よく、株いっぱいに咲いて大変華やかです。草丈は30〜100cmほど。

花苗店で開花株を購入し、苗の植え付けからスタートするとよいでしょう。日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥などをすき込んで植え付け、土が乾いたら水やりします。開花期には10日に1度を目安に液肥を与えると、次から次に花を咲かせてくれます。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。

クリスマスローズ

クリスマスローズ
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クリスマスローズはキンポウゲ科クリスマスローズ属(ヘレボルス属)の常緑性多年草で、寒さに強い性質です。開花期は10〜3月頃で、さびしくなりがちな冬の庭をシックに彩ってくれます。花色は紫、ピンク、白、黄色、グリーン、茶色、黒、複色など。花姿も一重や八重など多様です。草丈は10〜50cm程度で、うつむくように咲く清楚な佇まいに人気があります。

クリスマスローズは11月頃から苗が出回るので、花苗店で購入して苗の植え付けからスタートするのがおすすめ。風通しのよい明るい半日陰が適地で、腐葉土や堆肥などをすき込んで苗を植え付けましょう。開花期はまめに花がらを摘んで株周りを清潔にし、10日に1度を目安に液肥を与えて株の勢いを保ちます。大株に育ったら掘り上げて株分けし、株の若返りをはかるとよいでしょう。

スノードロップ

スノードロップ
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スノードロップは、ヒガンバナ科マツユキソウ属の球根植物です。原産地は東ヨーロッパで、寒さに強い性質があります。2〜3月頃に白い花が開花し、花弁に小さくグリーンがのるのが特徴的です。草丈は30cmくらい。聖書にはアダムとイブがエデンの園から冬の国へ追放された時に、天使が雪をスノードロップの花に変えて二人に希望を与えたというストーリーがあります。

スノードロップは10月頃に球根を植え付けます。深さ1〜2cmに植え、複数植える場合は5cmほどの間隔を取りましょう。開花中は花がらを摘んで株周りを清潔にし、10日に1度を目安に液肥を与えて株の勢いを保ちます。夏前には葉を枯らして、休眠に入ります。休眠中でも乾かさない方がよいので、掘り上げずそのままにしておくとよいでしょう。大株に育った場合は掘り上げて分球し、植え直します。

忘れな草

ワスレナグサ
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忘れな草は、ムラサキ科ワスレナグサ属の一年草です。原産地のヨーロッパなどでは多年草ですが、暑さに弱くて日本の夏には耐えられずに枯死してしまうので、一年草として扱われています。開花期は3〜5月で、花色は青、紫、白、ピンクなど。一つひとつの花は小さく可憐ですが、花穂をあげてたっぷりと咲くので華やかさも併せ持っています。草丈は20cmくらいで、花壇のエッジなどに向いています。

ワスレナグサは人気の草花で、花苗店では安価で手に入るので苗の植え付けからスタートするのがおすすめ。日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥をすき込んで、苗を植え付けます。複数植える場合は15〜20cmほどの間隔を取るとよいでしょう。開花期には10日に1度を目安に液肥を与えると、次から次に花を咲かせてくれます。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。初夏になると暑さに弱って枯死するので、抜き取って処分します。

「秋に咲く花」は?

秋に咲く花の中でも、特に人気の高い植物をご紹介しましょう。冴えた花色が魅力の花、香りのよい花、花の女王と賞賛される花たちです。

リンドウ

リンドウ
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リンドウはリンドウ科リンドウ属の落葉性多年草で、古くから日本の野山に自生してきた植物です。開花期は9月下旬〜10月頃。花色はクールな青や青紫色で、花茎を伸ばしてベル型の花を複数個咲かせます。草丈は30〜50cmほど。切り花としても人気の高い花です。

花苗店で開花株を購入し、苗の植え付けからスタートするとよいでしょう。日当たり、風通しのよい場所に腐葉土や堆肥などをすき込んで植え付け、乾燥したら水やりします。開花期には10日に1度を目安に液肥を与えると、株の勢いを保てます。終わった花がらは早めに摘み取り、株周りを清潔にしておきましょう。初冬に地上部を枯らして休眠し、翌春になると再び新芽を出して生育します。

キンモクセイ

キンモクセイ
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キンモクセイは、モクセイ科モクセイ属の常緑高木。原産地は中国で、やや寒さに弱い性質です。10月頃に小さなオレンジ色の花がたっぷりと開花。花が白色のギンモクセイの変種とされており、日本では雄株のみが流通しています。「千里先まで届く」と表現されるほどの強い芳香を持っており、秋の風物詩として親しまれています。樹高は5〜6mほどになりますが、毎年の剪定で樹高をコントロールすることが可能です。

庭に取り入れる場合は、花苗店やホームセンターなどで苗木を購入し、植え付けからスタートしましょう。日当たりがよい場所に、腐葉土や堆肥をすき込んで土づくりをしておいた場所に植え付けます。剪定は3月頃が適期です。

バラ

バラ
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バラはバラ科バラ属の落葉性の低木です。バラは花の女王とも評されるほど、世界中の人々に愛されている花で、古くから品種改良されてきたこともあり、その品種数は3万種以上とされています。バラの開花は5月頃が最盛期ですが、「四季咲き」に分類されるバラの品種は、秋にも充実した開花を見せてくれます。

バラの大苗は11〜2月、新苗は5〜6月によく出回るので、お気に入りの品種を探して植え付けるとよいでしょう。日当たり、風通しのよい場所を選び、腐葉土や堆肥をすき込んだ肥沃な土壌に植え付けます。剪定の適期は落葉後の1〜2月です。

秋に植えて冬〜春には美しい花壇にしよう!

春の花
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春に草花がたっぷりと咲くガーデンやベランダの景色を夢見て、秋に計画を立てて苗や球根を植え付けていく作業は楽しいものです。冬を乗り越えることで改めて植物に対する「気づき」もたくさん出てくるので、ステップアップにもなりますよ! ぜひ涼しく作業のしやすい秋から、春のガーデニングの準備を始めてはいかがでしょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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