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春の草花でガーデニング! 初心者にもおすすめ宿根草5選
新芽が伸び、花が次々と咲く嬉しい季節ですね。今年こそガーデニングに挑戦したい!まずは育てやすい植物から始めたい!という人にオススメなのが宿根草(しゅっこんそう)。一度植えれば手間がかからず、簡単に育つ植物のグループ、宿根草から「春を告げる旬の宿根草」を5種、宿根草ショップ「おぎはら植物園」の店長、荻原範雄さんにピックアップしていただきます。
目次
春のガーデニングシーズンの開幕を知らせる宿根草
いよいよ春も近づき、花の登場が待ち遠しくなってきました。これから庭の宿根草は少しずつ芽吹き、顔を出し始めます。宿根草の多くは冬の間、土の中で休眠をするので、春に芽吹きが始まると、それを見つける度に今年も会えた喜びを感じます。前年より芽吹きが多く、成長した姿を見せてくれる宿根草もあり、ますます開花が楽しみになります。
四季折々、癒しと楽しみを与えてくれる宿根草は、庭にぜひ、取り入れてほしい種類がたくさんあります。今回は、初心者でも育てやすい、春に咲くオススメの5種を選びました。
春に咲く!白い花が株を覆うほどに咲く
イベリス・センパービレンス
春に白い花が一面に咲き揃う、グラウンドカバー向けの宿根草。白く平面的な花なので、地面を覆い隠すように姿よく咲きます。緑の葉と白花の組み合わせも爽やかで、春に咲くカラフルな球根類との相性も抜群です。最近は、淡いピンクの品種や、葉が黄金色のタイプも登場し、人気があります。
‘ピンクアイス’
咲き始めの淡いピンクが可愛い。
‘ゴールデン キャンディ’
鮮やかな葉色はカラーリーフとしても楽しめる。
イベリス・センパービレンスの生育の様子
育て方のポイント
土質を選ばず、暑さ、寒さに強い宿根草なので、一度植えればほとんど放任でかまいません。唯一、夏の暑い時期の多湿を嫌うので、水はけのよい土を使うか、風通しがよく、少し乾きぎみの場所を選んで植えてください。日陰でも咲きますが、徒長して姿が悪くなるので、日当たりのよい場所を選びましょう。
株が大きくなってきたら、姿を整えるために花後に刈り込んでコンパクトに育てます。刈り込みは、花が咲き終わった夏前に行うのがベストで、秋冬など遅い時期に切ると翌春の花が減ってしまうので注意しましょう。
【DATA】
■ アブラナ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:春
■ 草 丈 : 20㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約マイナス15℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向
よく広がり一面に青紫の花を春に咲かせる
フロックス‘シアウッド・パープル’
春に咲くフロックスの一種で、大きな分類ではシバザクラの仲間です。シバザクラにはない濃い青紫の花で、草丈も少し高く、ふわっと咲き揃って目を引きます。春から初夏にかけて、たくさんの花を咲かせ、開花が終わるとつるのような茎を横に伸ばして成長します。その姿から、和名は「ツルハナシノブ」と呼ばれています。暑さ、寒さに強く生育スピードも早いので、初心者でも育てやすい宿根草です。
フロックス‘シアウッド・パープル’の生育の様子
育て方のポイント
土質を選ばず、暑さ、寒さに強い花なので、一度植えればほとんど放任でかまいません。日向を好みますが、少し半日陰でも問題なく育ちます。花後に横に広がる茎は、根を下ろし広範囲に伸びますが、この茎を切ったり、誘引したりすることで育つ範囲をコントロールできます。
【DATA】
■ ハナシノブ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:春~初夏
■ 草 丈 : 20㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰
春に咲く可憐な美しさの原種系アネモネ
アネモネ・フルゲンス
アネモネは切り花や鉢植えで人気の球根植物です。一般的には大輪咲きの品種が多く出回りますが、フルゲンスはこれら大輪のアネモネのもととなった種類で、原種に近い雑種のため、シンプルな一重咲きで、素朴な美しさがあります。性質も丈夫で、植えっぱなしで育てられるアネモネです。花色のバラエティが豊富なのも魅力です。
アネモネ・フルゲンスの生育の様子
育て方のポイント
春から初夏にかけて、小さめの花が次々に開花します。花が終わると葉が徐々に枯れて、夏には休眠します。秋になると再び葉が伸び出て、暖地では常緑で越冬、寒冷地では冬に落葉して越冬します。
アネモネの球根は夏前に掘り上げるのが一般的ですが、アネモネ・フルゲンスは丈夫なので植えっぱなしでも問題ありません。土質は選びませんが、夏の落葉期は乾燥を好むため、水はけのよい、少し乾きぎみの場所に植えます。
【DATA】
■ キンポウゲ科 宿根草(耐寒性球根植物)
■ 主な花期:春
■ 草 丈 : 20㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約マイナス12℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰
近年注目されている春に咲く「古きよき花」
ヒマラヤユキノシタ
ヒマラヤユキノシタは日本で古くから栽培されている宿根草で、昔ながらの日本庭園などで目にする機会の多い、親しみのある花です。常緑の葉は厚く、とても丈夫で、寒さ、暑さ、乾燥、多湿など、あらゆる環境に耐えます。そのうえ、春の可憐な花に加え、秋冬の赤い紅葉と、四季の変化も楽しめます。ヨーロッパやアメリカでは、学名のベルゲニアの名で人気があり、新しい品種も多く登場しています。日本では見慣れた印象の「古き良き花」というイメージがありますが、今一度、見直すべき優秀な多年草だと思います。
‘スプリング・フリング’
花つきのよい改良品種。
‘ブレッシングハム・ホワイト’
白花の大輪品種。
‘ドラゴンフライ・サクラ’
花形の美しい品種で、半八重も咲く。
‘ダンボ’
大きな耳を思わせる葉を持つユニークな品種。
ヒマラヤユキノシタの生育の様子
育て方のポイント
厚みのある葉が一年を通じて茂るので、常に緑がほしい場所にぜひ取り入れたい宿根草です。日陰でも日向でも、花がよく咲き、土質も選びません。乾燥にも耐えますが、少し湿り気があり、土の栄養が多い場所では、特に大きく茂ります。暖地、寒冷地を問わず、冬も葉が落ちません。気温が低いほど紅葉の色は濃くなります。
【DATA】
■ ユキノシタ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:早春~春
■ 草 丈 : 30~60㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰
ふんわりと春に咲き揃う青い花が魅力
ベロニカ‘オックスフォード ブルー’
早春から初夏にかけて咲く花で、こんもりとクッションのような草姿から、濃い青い花が一斉に咲きます。花が咲き終わっても、ブロンズ色の光沢のある葉が地面を隠すように広がって育ち、観賞価値があります。ベロニカ‘オックスフォード ブルー’は、2017年の人気の宿根草、第一位に選ばれた宿根草です。●詳しくは『宿根草ショップの店長が教える! 2017年度の人気ガーデン植物ベスト5』をご覧ください。
ベロニカ‘オックスフォード ブルー’の生育の様子
育て方のポイント
日当たり、水はけのよい場所に植えれば、あとは放任でかまいません。暑さ、寒さにも強く、とても丈夫です。気軽に育てられる多年草として人気です。グラウンドカバーに向く植物ですが、広がりすぎないので、ちょっとした狭いコーナーにも使え、鉢植えや寄せ植えで楽しむこともできます。
常緑で、春に花が咲き、夏は葉が青々と茂り、秋冬にはブロンズ色の紅葉と、季節ごとに魅力があります。
【DATA】
■オオバコ科 宿根草(耐寒性多年草)
■ 主な花期:早春~初夏
■ 草 丈 : 10㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性:強い
■ 耐暑性:強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰
宿根草を身近な場所に植えれば、花が咲いたり、葉が増えていたり、草丈が高くなっていたりと、通りがかるたびに変化を見せてくれます。特に今回ご紹介している「春を告げる宿根草」は、一度植えれば毎年、春をあなたに伝えるように花を咲かせるので、デッドスペースになっているような敷地の片隅に1種、植えてみてはいかがでしょうか。季節の変化を知らせてくれる草花を植えることから、ガーデニングをスタートしてみませんか?
Credit
写真&文 / 荻原範雄 - 「おぎはら植物園」店長 -
おぎはら・のりお/長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『咲かせたい!四季の宿根草で庭づくり』『決定版 カラーリーフ図鑑』(ともに講談社)。
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