お正月や記念日、家族が集まる日。そんなハレの日に、庭や玄関先で写真を撮る人も多いのでは。人が立ち、言葉を交わし、写真を撮る——その時間ごと包み込む空間を、自分の手で作ってみませんか。庭や玄関先を「祝うための舞台」に変えてくれる寄せ植え作りをご紹介します。ガーデニングには、幸せな時間が生まれる場所を、自分自身で演出できる力があります。その価値を、この1鉢とともに感じてみてください。
目次
ハレの日の寄せ植えに求めたいのは「華やかさ」と「品」
ハレの日の寄せ植えというと、どうしても派手さに目が向きがちですが、ハレの日に本当に必要なのは目立つ装飾ではなく、場の空気を整える存在。この寄せ植えは穏やかな華やかさと品を兼ね備え、主役が“寄せ植え”になりすぎないのがポイント。

ピンク、ベージュ、乳白色、淡紫など、見る人の目に「刺激」として入らないやさしい色を重ね合わせ、安心感のある華やぎを演出しています。これらの花色は直射日光でも、曇りの日でも、光をやさしく受け止めてくれます。だから記念撮影などで人が近くに立ったときも、肌の色を自然に見せ、寄せ植えそのものが、そっと光を添える“レフ板”のような存在に。
華美ではないけれど、確かに特別。それが、この寄せ植えの“ハレ”のかたちです。
主役は小型ストック‘ベイビー’。お祝いの場に似合う理由

中心に据えたのは、小型で扱いやすいストック‘ベイビー’。通常のストックよりもコンパクトで、寄せ植えにすると全体のバランスが取りやすいのが魅力です。
八重から半八重咲きのふんわりと重なる花びらは、どこかブーケのよう。その立ち姿は、鉢全体を引き締めながら、祝福の象徴としてしっかり存在感を放ちます。
また、香りが穏やかに漂うのもポイント。人が集まるハレの日に、強すぎず、心地よく空間を満たしてくれます。
名脇役たちが生む、奥行きとリズム
この一鉢の完成度を支えているのは、主役のストックを引き立てる植物たち。組み合わせのポイントは前述した色に加え、以下の3つがあります。
① 形の違い|「立つ・揺れる・広がる」を重ねている
まず注目したいのは、花や草姿の形の違いです。

- ストック‘ベイビー’、キンギョソウ‘トゥイニー’
→ 花穂がまとまった“直立型”。ブーケの芯のような役割

- エリカ類、カルーナ、ビデンス‘ハニーピーチ’
→ 細い花茎が立ち上がる“線の植物”。軽やかさと動きを演出

- パンジー‘きもの’、アリッサム
→ 横に広がる“面の植物”。株元を安定させる
この寄せ植えは、「芯」となるストック‘ベイビー’を中心に、縦のリズムを生む花と、足元をまとめる花を重ねることで、一鉢の中に奥行きと立体感のある構成にしています。
② 草丈の違い|自然な“段差”があるから美しい
高さのバランスも、この寄せ植えの完成度を高めています。
- 高さを出す:ストック‘ベイビー’、エリカ類、カルーナ
- 中間をつなぐ:キンギョソウ‘トゥイニー’、ビデンス
- 低く抑える:パンジー、アリッサム

極端な高低差ではなく、なだらかな段差にしているのがポイント。これにより、見た目が穏やかながら、祝いの席にふさわしい“品”が生まれ、どの角度から見ても美しいのです。
③ 生育特性|「同じリズムで育つ」植物だけを選んでいる
この組み合わせが優れている理由のひとつが、生育スピードと好む環境がほぼ同じという点です。
共通点は、
- 日当たり~明るい半日陰を好む
- 冬〜春に調子が出る
- 極端な乾燥や過湿を嫌う
- 生育が比較的おだやか
どれか1つだけ暴れる、弱る、ということが起きにくく、寄せ植え初心者にも向いている、安定感のある組み合わせです。
大鉢が冬に効果的な理由&小鉢にリサイズする方法

この寄せ植えは、大鉢ならではのスケール感を活かした作品ですが、考え方はそのまま、小さな鉢にも応用できます。もしスペースがあるなら、大鉢には以下のようなメリットがあります。
① 冬の庭に“高さのある華やかさ”を出せる
冬はどうしても、草丈が低く、視線が下がりがちになります。そこに高さのある鉢を使うことで、花が目線に近づき、冬でも立体的な景色が生まれ、遠くからでも存在感が出ます。冬の庭にこそ、大鉢は効きます。
② 記念撮影で、人と花の距離が自然に近づく
この高さの鉢は、人が立ったとき、花が腰〜胸の高さに来るのが大きな利点。ハレの日・記念日との相性がとてもいい理由です。
- しゃがまなくても花と一緒に写れる
- 顔の近くに花が来ることで、写真が華やぐ
- 寄せ植えが“背景”ではなく“共演者”になる
③ 土量が多く、管理が安定する
見た目だけでなく、管理面でも以下のメリットが挙げられます。
- 水切れしにくい
- 温度変化を受けにくい
- 生育がゆっくりで、形が崩れにくい
「こんな大鉢、置けない…」という人へ
安心してください。考え方はそのまま、小さい鉢でも可能です。鉢台やテーブルを使えば、視線の高さは玄関やベランダでも再現可能です。目線に近く、写真映えもバッチリ。
✔ おすすめサイズ
- 直径30〜40cm程度の鉢+鉢台(テーブルなど)の組み合わせ

<リサイズするときの考え方>
使う花苗の数を減らします。ただし「役割」を減らさないのがポイントです。前述したように「芯・線・面」の構造は残せば小さいサイズでもハレの日に相応しい寄せ植えが作れます。
例えば:
- 芯(ストック):1〜2株
- 縦のリズム(エリカ or キンギョソウ):2〜3株
- 面(パンジー+アリッサム):3〜4株
植え込みの基本順序
① まず「芯(柱)」を決める
ストック‘ベイビー’、キンギョソウ‘トゥイニー’
- 鉢の中央〜やや奥に配置
- 真上から見たとき、円の中心を意識
この時点で「この鉢はどこを正面にするか」も同時に決めています。
② 次に「縦のリズム」をつくる

エリカ類、カルーナ
- ストックの周囲に、放射状に配置
- 高さはバラけさせ、同じ高さに揃えない
大鉢はスペースがある分、高さを出す植物を“まとめて植えない”のがコツです。
③ 最後に「面」でまとめる
パンジー‘きもの’、アリッサム、ビデンス‘ハニーピーチ’
- 鉢縁に沿って、リズムよく配置
- 色が固まらないよう、交互に入れる
株元が埋まることで、一気に「完成形」に近づきます。
「その日だけ」で終わらない、時間を楽しむ寄せ植え

この寄せ植えは、12月頃に作り、冬を越えて春まで、約4〜5カ月楽しめる設計です。ストックやキンギョソウは厳寒期に一旦花がお休みするものの、分枝力に優れているため、寒さが緩むと同時に再び咲き進んできます。その間にもエリカやカルーナは長く彩りを保ち、パンジーやアリッサムが寒さの中で表情を深めていきます。
ハレの日の余韻を長く庭に残すためのお手入れのポイントをご紹介します。
手入れのポイント|ハレの日の美しさを長く保つために
水やり
- 表土が乾いたら、鉢底から水が流れるまでたっぷり
- 冬は夕方を避け、午前中の水やりがおすすめ
花がら摘み
- ストック、キンギョソウ、パンジーは花が終わったら早めに摘む
- アリッサムは軽く切り戻すと、再び咲き揃う
伸びすぎたら
- キンギョソウやビデンスは、伸びた分だけ軽く切り戻してOK
- エリカやカルーナは基本的に切り戻さず観賞が基本
肥料
- 植え付け時に元肥が入っていれば、2〜3週間後から薄めの液肥を月2回ほど
- 肥料過多は草姿が乱れるので控えめに
ハレの日を迎えるための、舞台づくりをその手で

ハレの日を祝うために、花を選び、鉢を置き、そこに人が集まる余白をつくる——それだけで、日常の中に「幸せの場所」は生まれます。
この寄せ植えは、花そのものを楽しむためだけのものではありません。写真を撮り、笑顔が重なり、その時間が記憶として残っていく——そんな瞬間を迎えるための舞台装置です。
ガーデニングの本当の魅力は、植物を育てることだけではなく、幸せな時間が生まれる空間を、自分でつくれること。
ハレの日の気持ちを、これからも何度でも迎えられるように。
この一鉢が、そのきっかけになれば幸いです。
寄せ植え制作:安酸友昭さん(鳥取県米子市・ガーデンデザイナー)
Credit
撮影協力 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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