「暗い庭」をあきらめない! 日陰でも1年中緑を絶やさない常緑低木の「サルココッカ」
Alex Manders/Shutterstock.com
日当たりが悪いからと、理想の庭づくりをあきらめていませんか? じつは、そんな日陰の悩みを一掃してくれる植物が、常緑低木の「サルココッカ」です。1年中茂る艶やかな緑の葉に加え、冬の寒さの中で漂う甘い芳香は、暗くなりがちな庭の雰囲気を劇的に変えてくれます。病害虫に強く、剪定の手間もほとんどかからないため、忙しい方や初心者にも最適です。近年日本でも注目を集めているこの「優秀な名脇役」の魅力と主な種類や品種、育て方を、栽培のプロが分かりやすく解説します。
目次
サルココッカの基本情報

植物名:サルココッカ
学名:Sarcococca
英名:Sweet box 、Christmas box
別名:コッカノキ
科名:ツゲ科
属名:サルココッカ属
原産地:東アジア、ヒマラヤ、中央アメリカ
形態:常緑低木
サルココッカの仲間は、ヒマラヤ、インドから中国、マレーシア、台湾に14種、メキシコとグアテマラに1種が分布します。中国原産の種類が多いです。
冬頃に甘い芳香のある白花を咲かせる種類が多く、花後に黒か紫、赤色などの果実を実らせます。常緑の葉が密に茂りますが、大きくなりすぎることはありません。コンパクトな樹姿のため、鉢植えやプランターにも適します。地植えでは、グラウンドカバーや低めの生け垣にも利用できます。
イギリスなどのヨーロッパでは人気のある樹木です。日本では近年になって栽培されるようなり、徐々に人気が高まっています。
サルココッカの特徴・性質

園芸分類:庭木、花木
樹高:2m以内
開花期:2~4月
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:白、部分的にピンクなど
多くの種類は大きくなっても1~2mほどの高さに収まります。生育が遅く樹形がまとまりやすいので、剪定の手間があまりかかりません。
艶のある葉は細長く厚みがあり、濃い緑色です。日差しが強すぎたり、ひどく乾燥すると葉色は黄色っぽくなります。
花は冬の2月頃から春の4月頃まで長く咲きます。花色は定番の白色のほか、部分的にピンクになるものがあります。花後にできる果実に毒性はなく、やや甘い香りがありますが食用には利用されません。
病害虫の被害が少なく、丈夫です。放置気味でもよく育ち、初心者でも育てやすいです。
サルココッカの種類と品種
サルココッカ・フーケリアナ Sarcococca hookeriana

中国~ネパール、チベットに広く分布します。直立した樹形で、樹高は1.5mほどです。香りのよい花が咲き、黒色の果実がなります。樹高70㎝ほどの矮性品種で分枝性に優れる‘ウインタージェム’やなどの品種があります。
サルココッカ・ルスキフォリア Sarcococca ruscifolia

中国が原産で、‘ドラゴン・ゲート’などの品種があります。コンパクトな樹形で、最大でも1mほどの大きさです。香りのよい白い花が咲いた後、鮮やかな赤い果実がなります。
サルココッカ・コンフサ(コンフューサ) Sarcococca confusa

中国西部原産で、1.5~2mほどの大きさに育ちます。枝葉がよく密集し、ゆったりと広がった株姿になります。黒色の果実は、5mmほどの大きさです。
サルココッカ・サリグナ Sarcococca saligna

パキスタン~ミャンマー、マレーシア、台湾などが原産です。樹高1mほどで、葉は細長い槍形です。緑がかった白い花には、わずかな芳香があり、花後に紫色の果実がなります。耐寒性がやや劣り、栽培可能な最低温度はマイナス5~マイナス10℃です。
サルココッカの栽培12カ月カレンダー
植え付け:4~6月、10~11月
植え替え:4~6月
肥料:5月
サルココッカの栽培環境

適した環境・置き場所
明るい日陰から午前中だけ日光が当たる半日陰が適します。吹きさらしのような風当りの強い場所は避けてください。
湿った土壌や水やりして乾燥させないように管理すれば、やや強めの直射日光に耐えます。
生育温度
15~28℃が生育に適した温度です。春と秋に最もよく育ちます。
冬越し
最低温度の目安はマイナス10~マイナス15℃です。冬の北風が当たりにくい場所なら、より低い最低温度に耐えます。冷たい北風が強く当たる場所は避けたほうがよいでしょう。東北地方や北海道南部の比較的温暖な海沿いの地域などでも植栽可能です。
サルココッカの植え付け・植え替え

植え付け
土質はあまり選びませんが、腐植質の多い肥沃で水はけのよい土壌を好みます。根鉢の3倍くらいの幅と深さの植え穴を掘り、掘り上げた土7に対して、腐葉土か堆肥などの有機物3を混ぜて植え土とします。
植え付けの適期は、春の4~6月と、秋の10~11月です。春に植え付けた場合は、初めて迎える夏に土壌が乾燥したら水やりしてください。
鉢植えの植え替え
2年に1回、4~6月に植え替えてください。根鉢を1/5程度軽くくずし、一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。
用土
多くの植物に使える一般的な培養土を利用するとよいでしょう。配合する場合は、赤玉土小粒7に腐葉土3を混ぜた用土を使います。
サルココッカの育て方・日常の手入れ

水やり
明るい日陰から半日陰に地植えした場合、根付けば水やりの必要はほぼありません。ただしひどく乾燥すると、葉が黄色くなります。長期間雨が降らず土壌が乾燥したら、適度に水やりするとよく育ちます。
鉢植えやプランターは、用土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。
肥料
多く与える必要はありませんが、花後に3要素が等量の緩効性化成肥料を与えます。春先頃に、株元の周囲に腐葉土や堆肥などの有機物を5cm程度の厚さで敷き詰めると乾燥が防せげて、生育もよくなります。
病害虫
目立った病害虫の被害はありません。
サルココッカの作業

剪定
あまり剪定の必要はありません。大きくなりすぎたら春の開花後に剪定してください。
増やし方
6月に挿し木で増やすことができます。新しく充実した枝を10~15cmほどの長さで切り、新しい葉を2枚残して挿し穂とします。赤玉土小粒のような清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理してください。新芽がよく伸び始めたら、3号ポット鉢などに鉢上げします。
サルココッカの栽培ポイント

- 明るい日陰や半日陰で育てる
- 強風が当たりやすい場所は避ける
- 夏の強い乾燥に注意
強い日光や強風の当たる場所を嫌いますが、病害虫の被害が少なく、ローメンテナンスで場所をとりません。住宅街など限られたスペースでのガーデニングには最適な植物です。
近年栽培されるようになった樹木ですが、数少ない日陰で育つ常緑樹です。他の植物と相性がよく、あまり知られていないので目新しさもあります。派手な美しさはありませんが、花の少ない時期に咲く可愛い花は芳香が強いのも魅力です。通路沿いなどに植えて、花と甘い香りを楽しんでください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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