小川恭弘 -園芸研究家-
小川恭弘 -園芸研究家-の記事
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一・二年草

ほぼ放置で美しく育つ! 夏の庭を彩る「ハゲイトウ」の失敗しない育て方
ハゲイトウの基本情報 MR. AEKALAK CHIAMCHAROEN/Shutterstock.com 植物名:ハゲイトウ学名:Amaranthus tricolor英名: Joseph's coat, Tricolor amaranth和名:ハゲイトウ(葉鶏頭)別名:ガンライコウ(雁来紅)科名:ヒユ科属名:ヒユ属原産地:アジアの熱帯地域形態:一年草 ハゲイトウは春まきの一年草で、インドからフィリピンなどの熱帯アジアの広い地域が原産です。生育が早く大きく育ち、人目を引く派手な色彩の葉が魅力的です。同じヒユ科のケイトウが花を観賞目的に栽培されるのに対し、ハゲイトウは美しい葉を観賞するために栽培されることからハゲイトウ(葉鶏頭)の和名があります。ただしケイトウとは同じ属には分類されず、同じ仲間ではありません。 ハゲイトウの鮮やかな葉は、明るくトロピカルな景観の演出に最適です。花壇などに地植えしたり、鉢植えやプランターでもよく育ちます。初心者でも育てやすく、日当たりと水はけのよい場所なら放置気味でもよく育ちます。 ハゲイトウには亜種のヒユナがあり、暑さに強い葉物野菜として熱帯地域で広く利用されています。また同じ属の仲間にはヒモ状の花がユニークで美しいヒモゲイトウ(アマランサス)があり、種子が雑穀として利用され、栄養豊富なスーパーフードとして人気があります。 ハゲイトウの特徴・性質 SUPEE PURATO/Shutterstock.com 園芸分類:草花観賞期:7~10月(葉)草丈:60~120cm耐暑性:強い耐寒性:弱い 茎は直立して伸び、株元は太くなります。肥沃な土壌では人の背丈くらいまで大きくなることがあります。砂や石の多い乾燥気味の痩せた土壌などでは、株が大きく育たたない状態で葉が色づきます。 葉が赤色の品種は小苗のうちから葉が赤紫色です。葉は最初は緑色でも、夏が近づくにつれて赤やオレンジ、黄色などに鮮やかに色づきます。 花は葉の付け根にかたまって咲き、葉の中に隠れて目立たず、ほとんど観賞価値はありません。 暑さや乾燥に強く、夏のガーデニングで重宝します。 ハゲイトウの品種・近縁の種類 ‘トリカラー・パーフェクタ’ Amaranthus tricolor ‘Tricolor Perfecta’ Wirestock Creators/Shutterstock.com 黄色と赤、本来の葉色の緑色の3色の対比が美しい品種です。 ‘アーリー・スプレンダー’ Amaranthus tricolor ‘Early Splendor’ glory_yabe/Shutterstock.com 葉が早く色づく早生種で、鮮やかな赤色が人目を引きます。 ‘イエロー・スプレンダー’ Amaranthus tricolor ‘Yellow Splendor’ feawt/Shutterstock.com 細長い葉は黄色く色づき、明るい印象の美しさが特徴です。 ‘イルミネーション’ Amaranthus tricolor ‘Illumination’ Nuk2013/Shutterstock.com 明るい赤紫色に頂点付近が黄色がかり、美しいグラデーションが魅力の品種です。 ヒユナ Amaranthus tricolor spp.mangostanus YueStock/Shutterstock.com ヒユナはハゲイトウの亜種で、夏に収穫できる貴重な葉物野菜です。葉色はさまざまで、熱帯地域でよく栽培されています。 ヒモゲイトウ(アマランサス) Amaranthus caudatus Golden Shark 2/Shutterstock.com エクアドルやアルゼンチン、ペルー、ボリビアの亜熱帯地域が原産の一年草です。栄養価の高い種子が穀物として食用に利用され、アマランサスの名で流通します。ヒモ状の花穂が特徴的で、観賞目的にも栽培されます。 ハゲイトウの栽培12カ月カレンダー 種まき:4月中旬~6月植え付け:5~6月肥料:6~8月 ハゲイトウの栽培環境 bobbyphotos/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日なたの風通しのよい場所が適します。よく日光に当たることで葉が鮮やかになりますが、夏の暑さが厳しい場合は西日の当たらない半日陰の場所でよく育ちます。乾燥しやすい鉢植えやプランターは、猛暑時は半日陰で育てたほうがよいでしょう。 土壌 乾燥には比較的耐えますが、過湿にすると根腐れします。あまり用土は選ばず育ちますが、水はけのよい場所に植えるようにしてください。 生育温度 生育に適した温度の目安は、20~30℃です。夏を中心に温度の高い時期によく成長します。 ハゲイトウの種まき・植え付け Mahmudul-Hassan/Shutterstock.com 栽培をはじめるには? ハゲイトウの苗が販売されていることはほとんどないので、種まきから育てるのが一般的です。種まきから育てても成功しやすく、根が直根性で移植を嫌うので、植える場所に直播きするとよいでしょう。苗を多く作って植える場合は、根を傷つけると生育が衰えやすいので早めに植え付けるようにしてください。 ハゲイトウを育てる場所にあらかじめ腐葉土や堆肥をすき込んで準備しておくと、よく生育します。 種まき 発芽適温が20~25℃と高いので、5月から種まきします。温度が足りない場合は播種箱などに種まきして室内で管理するとよいでしょう。 5mmくらい覆土し、発芽まで用土を乾かさないように水やりしてください。本葉が3~枚になったら、根を傷めないようにやさしく鉢上げします。 苗の植え付け 育成した苗を植え付ける際は深植えを避け、やや浅めに植えるとよいでしょう。大きく育つので、株間は30cmくらいあけてください。 鉢植えやプランターの用土 水はけと排水のよい用土が適します。多くの植物に使える一般的な培養土か、赤玉土小粒7:腐葉土を混ぜた用土などを使います。 ハゲイトウの育て方・日常の手入れ bobbyphotos/Shutterstock.com 水やり 地植えした場合は、ほとんど水やりの必要はありません。ただし夏に長期間雨が降らず、土壌がひどく乾燥したら水やりしてください。 鉢植えやプランターで育てている場合は、用土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。夏に株が大きく育ってくると、水切れしやすいので注意してください。水やりが不十分だと、下葉が枯れあがってきます。 肥料 油かすなどの窒素分が多い肥料を与えると葉色が鮮明にならず、軟弱に育って強風などで倒れやすくなります。 腐葉土や堆肥などを混ぜて土づくりした土壌なら、元肥を施せば追肥しなくてよいでしょう。 鉢植えやプランターで育てている場合は、6~8月に3要素が等量くらい含まれた緩効性化成肥料などを規定量の半分程度与えてください。 病害虫 目立った病害虫の被害は少ないです。小苗のうちは、ナメクジやイモムシ類の食害に注意してください。また軟弱に育つとアブラムシが発生することがあります。 間引き 花壇などに直まきした場合は、株間20~30cmくらいになるように間引きしてください。あまり間引きせず密植気味にすると、株が小さくなって全体的にコンパクトな株姿になります。 支柱立て 背が高くなってくると強風で倒れることがあります。支柱を立てて支えてください。 ハゲイトウの栽培ポイント nnattalli/Shutterstock.com 日当たりと風通しのよい場所で育てる 過湿にすると根腐れする 特に窒素分など、肥料の与えすぎに注意 直まきで育ちやすく、移植を嫌う 花壇では色彩豊かな葉はよく目立ち、草丈も高いので植栽のよいアクセントになります。いろいろな品種を混合して多くの株を群生させても非常に見応えがあります。初心者でも種子から育てやすく、手間がかかりません。ハゲイトウを育てれば、夏から秋にワンランク上の見応えのあるガーデニングを楽しめることでしょう。
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果樹

【プロが解説】関東でも1年で実がなる!? 美容効果抜群の「青パパイヤ」を庭やベランダで失敗なく育てる方法
パパイヤの基本情報 Topnmp/Shutterstock.com 植物名:パパイヤ学名:Carica papaya英名:Papaya和名:チチウリ(乳瓜)、モッカ/モクカ(木瓜)別名:パパイア科名:パパイヤ科属名:パパイヤ属原産地:熱帯アメリカ形態:常緑低木 樹高10mにも生育する常緑の低木で、世界の熱帯地域で広く栽培されているフルーツです。生育適温は高く、25~30℃で最もよく成長します。茎は柔らかいので風で倒れやすく、特に台風の強風では容易に折れます。そのため、台風の多い日本では矮性の品種が主に栽培されています。矮性品種なら1mほどの高さから開花結実するので、家庭で育てても開花結実します。ただし寒さには強くないので、冬は室内で鉢植えとして冬越しさせます。 結実させるのは比較的簡単ですが、甘い完熟果実を収穫するには23℃以上の温度が必要とされます。開花から収穫まで夏で4カ月ほどかかるので、秋に完熟して収穫できる果実は糖度が高くなります。 近年は未熟の青い果実が、健康野菜として知られるようになってきました。美容効果が高くダイエットにも効果があるとされているので、女性からの注目度が高いです。 成長が早いので、関東地方で春に小さな苗を植えても冬前に未熟の大きな果実が収穫でき、一年草のように育てることも可能です。北は東北地方までの国内各地で野菜としてのパパイヤの栽培が報道されてから、徐々に栽培が増えています。 パパイヤの利用方法 sunabesyou/Shutterstock.com 栄養成分、効能 未熟な青い果実に多く含まれる消化酵素のパパインは、タンパク質や糖質、脂肪を分解する働きがあります。肉を柔らかくする効果があり、体内の消化を助け脂肪燃焼を促進するので、ダイエット効果が期待できます。酵素洗顔料としても人気があり、余分な角質を効果的に取り肌のバランスを整えます。 また果実にはポリフェノールやビタミン類、特にビタミンCが多く含まれます。またカロテン、リコピンなども豊富で、シミを予防し肌のアンチエイジングに役立ちます。その他、胃腸のトラブルを改善して免疫力を向上させ、生活習慣病の対策にも効果が期待されます。 青パパイヤの料理 Thanai Sriphaisal/Shutterstock.com 味や香りにくせはありません。熟して黄色くなってきた果実は、特有のくせが強くなるので注意してください。 ピーラーなどで皮をむき、スプーンで種子とワタを取り除きます。スライサーなどで千切り、薄切りにしてから、10~15分水にさらします。水気を切って下ごしらえしたら、サラダに使えます。肉野菜炒めに入れると、沖縄風のチャンプルーになります。 パパイヤの特徴・性質 園芸分類:果樹樹高:1.5~3m開花期:5~10月耐寒性:弱い耐暑性:普通 パパイヤの栽培12カ月カレンダー 植え付け適期:4月下旬~5月肥料:5~10月(鉢植え)、6~10月(地植え)挿し木:6~8月 パパイヤの栽培環境 適した環境・置き場所 1日中日光が当たる日なたが適し、排水の悪い土壌を嫌います。また強風が当たりにくい場所を選ぶことも大切です。強い風が当たると、幹が折れたり葉が破損するなど深刻な被害になりやすいです。ビニールハウスの中などで栽培するのが望ましいです。ただし夏のハウス内は暑すぎて生育が弱る場合があるので、注意してください。 冬越し 戸外では越冬しないので、室内の暖房が入る温かい場所で冬越しさせます。少量の水やりで育てますが、切り戻した株は特に乾燥に管理してください。 パパイヤの植え付け 苗の入手 tirtaperwitasari/Shutterstock.com 矮性品種のポット苗が、春に販売されます。大型のグリーンショップやホームセンターなどで販売されることが多くなってきました。沖縄のホームセンターでは普通に売られています。入手できない場合はネット通販を利用するとよいでしょう。 鉢植え aimpol buranet/Shutterstock.com 台風が来た場合や冬越しなどで移動できるので、年間を通して比較的失敗なく育てられます。 5月から10月は日当たりのよい戸外で栽培し、冬は室内の日当たりのよい場所に置いてください。 ポット苗を購入したら5~6号鉢に植え替え、最終的に10号以上の鉢に植え替えてください。ただし10号鉢でも実をならすには小さめで、よく収穫するためには13~14号鉢を使うのが望ましいです。 また実が付いている場合は安定が悪く倒れやすいので、しっかりした支柱や壁などに固定するようにしてください。 地植え ChaiyonS021/Shutterstock.com 一年草として扱うなら、春に高さ15~30cmくらいの苗を植え、秋に未熟の青い果実を多く収穫できます。果実が完熟する前に冬を迎え、株は枯れます。 植え付け前の準備として2~3週間前に直径、深さともに30~50cmほどの穴を掘り、腐葉土や堆肥などの有機物と草花用の化成肥料を混ぜて埋め戻します。特に粘土質の土壌は深く掘るようにしてください。 4月下旬から5月に苗を植え、株間は2~2.5mあけるようにします。5月中は苗キャップなどを用いて、保温するとよいでしょう。 用土 肥沃で排水のよい用土が適します。赤玉土小粒に腐葉土を3割程度混ぜた用土などが適しています。また大鉢に植えるときには、排水のよい赤玉土の中粒を使うとよいでしょう。 パパイヤの日常の手入れ Uud N. Hudana/Shutterstock.com 水やり 果実が肥大するには水分を多く必要としますが、水分過剰になると根が傷みやすいので注意してください。 鉢植えは、表土が乾いてから水やりします。株が小さく5~6月の生育適温より温度が低い時期は、過湿で特に立ち枯れしやすいので注意してください。 肥料 窒素とカリ肥料の要求量が高く、果実を多く収穫するには十分な肥料が必要です。カリ肥料の補給方法として、草木灰やくん炭を与えてもよいでしょう。 鉢植えでは、5月から10月まで肥料を切らさないように与えてください。花を咲かせてから果実が肥大する時期は、置き肥の他に液体肥料を1週間に1回併用して与えるとよいでしょう。 地植えは生育が盛んになる6月から肥料を与え、10月まで肥料を与えます。 病害虫 水はけが悪いと、立ち枯れ病または疫病による立ち枯れが発生します。 果実の種まき bteeranan/Shutterstock.com 購入した果実の種を播いても発芽します。ただし家庭では持て余すほど背が高くまで成長しないと、実がつかない可能性が高いです。観葉植物として楽しむだけなら問題ないでしょう。 挿し木 脇芽などが伸びた場合、さし木で増やすことができます。適期は6~8月で、枝を20~30㎝ほど切り、上部の葉を2~3枚残してさし穂とします。鹿沼土などの清潔な土にさし、湿度が高めの明るい日陰で管理すると1カ月ほどで発根します。 鉢植えの剪定、切り戻し herry prasetyo utama/Shutterstock.com 幹の葉の付け根からでる腋芽を伸ばすと株姿が乱れます。早めに切ってください。 背が高くなりすぎた場合、秋に切り戻すことで数年間繰り返し栽培できます。地際から50㎝の高さで切り戻し、新芽が出るまで水を与えないでください。春になると生育をはじめ、ポット苗を春に購入して育てるより早く実を付けます。 パパイヤを楽しく育ててヘルシー果実を味わおう phortun/Shutterstock.com 風の当たりにくい場所に地植えができれば、意外と手間をかけずに自宅で青パパイヤを多く収穫できます。鉢植えも植え替えを適切に行えば、青パパイヤを収穫するのは難しくありません。観葉植物としてもトロピカルムードがいっぱいの株姿です。実がなると多くの人の目を引き、自慢の鉢植えになります。見た目も楽しいパパイヤを育てて、効能いっぱいの果実を味わってください。
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樹木

猛暑でも休まず咲き続ける! 病害虫にも強くて初心者向けの「ランタナ」失敗しない育て方
ランタナの基本情報 Nopparat Khokthong/Shutterstock.com 植物名:ランタナ学名:Lantana camara英名:Lantana和名:七変化(しちへんげ)別名:ランタナ・カマラ科名:クマツヅラ科属名:シチヘンゲ属(ランタナ属)原産地:メキシコ、熱帯アメリカ形態:常緑性低木 ランタナは、クマツヅラ科シチヘンゲ属(ランタナ属)、立ち性~半つる性の常緑性低木。原産地はメキシコから熱帯アメリカにかけての地域で、近縁の種との交配種も含めてランタナといわれます。 日本における歴史としては、江戸時代末期に園芸植物として渡来したことが始まりです。繁殖形態は虫媒花であり、核果(種子)は風雨や鳥などの動物によって遠方に運ばれます。 Ibenk_88/Shutterstock.com ランタナの仲間は世界の熱帯から亜熱帯地域に約110種が広く分布します。多くの種類は、アメリカの熱帯から亜熱帯地域が原産地です。花の美しい種類もありますが、日本で一般に流通するのは匍匐性で花や葉が小さいコバノランタナだけです。 熱帯地域原産の植物の中でも、夏の暑さに特に強いのが特徴。真夏でも次から次へと開花し、庭を明るく彩る樹木です。一方で、冬の寒さには強くなく、マイナス3~マイナス5℃以下になる地域では、地植えでの越冬は厳しくなります。寒冷地では鉢栽培にして楽しむのがおすすめ。春先に地植えして開花を楽しみ、晩秋に鉢に植え替えて凍結しない暖かい場所に移動するという具合に、地植えと鉢上げを繰り返して一年を過ごしてもよいでしょう。 ランタナの花や葉の特徴・開花時期 園芸分類:庭木開花時期:5〜10月樹高:30〜200cm耐寒性:やや弱い耐暑性:強い花色:オレンジ、黄色、赤、ピンク、白、複色 ランタナの開花時期は、5〜10月です。真夏に中休みをすることなく、絶え間なく咲き続けてくれます。花色は、オレンジ、黄色、赤、ピンク(赤紫)、白など大変多彩で、複色のものが多いです。品種によっては、花が咲き進むにしたがって黄色からオレンジに変わるもの、クリーム色からピンクに変化するものなどがあります。また、花が咲かない時期も庭を彩ってくれる、斑入り葉をもつ品種もあります。 ランタナの花は一つひとつは小さいのですが、花茎を伸ばした先に集まって、直径2〜3cmの球状になります。次から次へとつぼみを上げてくる多花性で、夏の季節にはたっぷりと咲く姿がガーデンの主役となるでしょう。 ランタナの樹高は30〜200cm。樹高の幅が広い理由は、人の背丈くらいまで高くなる立ち性タイプ、枝が地を這うようによく伸びる匍匐性タイプ、低い位置で比較的まとまって鉢栽培にも向くコンパクトタイプがあるからです。 ランタナの種類や品種によって樹形が異なるので、花壇の後方または前方に使いたいのか、鉢栽培にしたいのかなど、ガーデニングの用途やデザインによって選ぶとよいでしょう。 ランタナの名前の由来や花言葉 Stanley Ford/Shutterstock.com ランタナの名前の由来は、ラテン語で「曲げる」という意味の「lentare」から来ているという説が有力とされていますが、実際は定かではありません。しなるように生育する樹形に由来しているのかもしれませんね。日本では、「七変化」という別名があります。これはランタナ(カマラ種)の花が咲き進むにしたがって、色が変化するさまから名づけられたとされています。 ランタナの花言葉は、「厳格」「確かな計画」「協力」「合意」など。「厳格」「確かな計画」は、半年以上の長い期間にわたって絶え間なく咲き続けるため、堅実さをイメージさせることから。また、「協力」「合意」は、小さい花が集まって、より大きな花として魅せる咲き姿が由来しているようです。 ランタナの種類・品種 JAKKRIT SAELAO/Shutterstock.com ランタナの仲間は約110種あるとされていますが、ガーデニングで主に栽培されているのは、ランタナ・カマラとコバノランタナで、これらを交雑させた園芸品種なども多く出回っています。 ランタナ・カマラ Lantana camara ランタナ・カマラは樹高約2mの低木で、花色が変化していく特性があります。熱帯では、他の樹木などにもたれかかるように生育すると、6mまでの高さになることがあります。野生種に近い種類はトゲが目立ち、群落を形成すると人が容易に入れなくなります。 コバノランタナ Lantana montevidensis Quang nguyen vinh/Shutterstock.com ボリビア、ブラジルからアルゼンチンが原産のコバノランタナは、花や葉がランタナ・カマラより小さく、枝をつるのように伸ばして這うように伸びます。タネはほとんどできません。平坦な場所では地面を低く覆うように生育しますが、枝が壁や樹木などによりかかって上方向に伸びることもあります。花色は紫色と白色があり、カマラのようには変化しません。 ‘コンフェッティ’ Lantana camara ‘Confetti’ ayakka3/Shutterstock.com ピンクとイエローの2色咲きが華やかな、ランタナの園芸品種。立ち性で生育旺盛です。 ‘バリエガタ’ Lantana camara ‘Variegata’(=L. camara ‘Samantha’ ) Gurcharan Singh/Shutterstock.com 葉に明るい黄緑色の斑が入ったカラーリーフが楽しめる、ランタナの園芸品種。樹形はドーム状で低くまとまりやすいです。黄色の花が咲き、タネはほとんどできません。 「スーパーランタナ」シリーズ Manfred Ruckszio/Shutterstock.com 1株でこんもりと丸くまとまる樹形で多花性の「スーパーランタナ」シリーズ。‘トロピカルサンセット’や‘ムーンホワイト’、‘レインボーオレンジ’、‘サニーイエロー’など、さまざまな色の品種があります。 ‘トロピカルサンセット’はオレンジやピンク、黄色の小花が1つの房に集まっている、常夏の南国を思わせる華やかな品種です。1つのポットで50~60cmほどに育ちます。 ほのかに甘い爽やかな香りが楽しめる白い花弁のスーパーランタナ‘ムーンホワイト’は、2018年のフラワー・オブ・ザ・イヤー最優秀賞に選ばれています。連続開花性に優れますがタネがほとんどできないため、花がら摘みの必要はないでしょう。 ‘レインボーオレンジ’は赤色がかった鮮やかなオレンジが特徴。暑さに強く、花つきがよいため、夏の庭にぴったりの品種です。 明るい黄色の花が目を引く‘サニーイエロー’は、丸くまとまった花房が特徴の品種です。ほかの品種と同じく開花期が長いため、長い期間花を楽しめます。 「ブルーミファイ」シリーズ nnattalli/Shutterstock.com 世界初のタネができない品種です。タネに栄養が取られないので、特に夏の連続開花性に優れます。樹形はドーム状で、コンパクトにまとまります。 代表的な種類は‘ブルーミファイ・レッド’や‘ブルーミファイ・ローズ’、‘ブルーミファイ・ピンク’、‘ブルーミファイ・マンゴー’など。それぞれ咲き始めから満開にかけて花色が変化するのが特徴です。 ‘ブルーミファイ・レッド’は黄色から赤みがかったオレンジへ、‘ブルーミファイ・ローズ’は黄色からサーモンピンク、その後は赤味の強いピンクへと変化します。‘ブルーミファイ・ピンク’は黄色からピンクへ、‘ブルーミファイ・マンゴー’は黄色から明るいオレンジに変わります。 ランタナに似た花 ヒメイワダレソウ Doikanoy/Shutterstock.com ヒメイワダレソウ(リッピア)は、クマツヅラ科イワダレソウ属の外来種で、グラウンドカバープランツとして植栽されることもある多年草。日本では「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されているため、栽培の際には適切な管理が必要です。匍匐性の品種やコバノランタナに似ていますが、花が非常に小さく葉もやや小さいです。 クラピア photo/3and garden 沖縄に自生するイワダレソウを品種改良した宿根草で、踏みつけにも耐える丈夫なグラウンドカバープランツとして人気です。ヒメイワダレソウは、タネが飛んで繁茂するのに対し、クラピアはタネをつくらないという特徴をもち、広がる範囲を人がコントロールすることができる環境に配慮した日本生まれの植物としても近年注目されています。よく似たヒメイワダレソウと同じく、花や葉が小さいです。 バーベナ Kabar/Shutterstock.com 種類や品種によって葉の形がかなり違いがありますが、宿根性のバーベナ、花手毬シリーズなどの品種がよく似ています。花手毬は、ランタナにないカラフルな単色の花色があり、茎が木質化せず葉や茎が濃い緑色で柔らかい印象です。 ランタナを植えてはいけないといわれる理由とは? La Su/Shutterstock.com ランタナは、じつのところ自生している熱帯地方では「植えてはいけない」といわれている植物なんです。こんなに可愛いのに、どうして!? 繁茂しすぎてしまう恐れがある 1つ目の理由は、ランタナが自生地では爆発的に繁殖し続けてしまうほど生命力が旺盛だということ。世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれており、日本においては、生態系に被害を及ぼす恐れがある外来生物として、環境省が作成する「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されており、小笠原や沖縄など、一部地域では野生化していると言われています。 日本でも年々温暖化が進んでいるため、自生地である熱帯地域で繁殖が問題になっているように、注意が必要になってくる可能性があります。 冬に霜が降りにくい関東南部の地域でも、こぼれ種で増えることが多くなっています。増えすぎないように花がら摘みをすると労力がかかり、繁茂しすぎないように剪定を繰り返すと開花数も減ってしまいます。近年はコンパクトで結実しない品種がよく流通するので、こうした品種を育てれば問題ないでしょう。 毒性がある 2つ目の理由は、ランタナのタネには「ランタナン」と呼ばれる毒が含まれていること。食べると、下痢や呼吸困難、最悪の場合は死に至る可能性もあります。幼い子どもがいる家庭では、口にすることのないよう注意しましょう。 トゲがあるので注意 「植えてはいけない」といわれるほどの理由ではないかもしれませんが、こぼれ種で増えたようなランタナには、茎や葉に細かなトゲがある場合があり、素手で触ると痛みを感じる恐れがあります。手入れをする際にはガーデニンググローブを着用するか、一般的に流通しているトゲのない品種を育てるとよいでしょう。 ランタナの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜10月植え替え適期:5〜9月肥料:5〜10月植え付け時期:4〜10月(梅雨時期と真夏を除く) ランタナの栽培環境 pangcom/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】水はけがよく日当たりのよい場所が最適ですが、半日陰の環境でも生育可能。ただし、日当たりがよいほうが花つきがよく、木も間延びせずにがっしりと締まって旺盛に枝葉を伸ばします。 【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。 【置き場所】ランタナはあまり寒さに強くないため、寒風を避けた霜が降りない場所で育てましょう。関東南部以北や寒冷地では鉢栽培にして楽しむのがおすすめ。冬も温暖な地域では、増え広がりすぎてしまうことがあります。タネがつかない品種を育てるようにしましょう。 耐寒性・耐暑性 夏の暑さに大変強いのが特徴。真夏でも次から次へと開花し、庭を明るく彩る樹木です。一方で、冬の強い寒さには耐えないので、マイナス5℃以下になる地域では、地植えでの越冬は厳しくなります。 ランタナの育て方のポイント 用土 DedovStock/Shutterstock.com 【地植え】 まず、一年を通して日当たり、風通しのよい場所を選びましょう。植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花などに広く使える、一般的な培養土を利用すると手軽です。または、赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜた用土などを使います。 水やり cam3957/Shutterstock.com 【地植え】 植え付け後2~3週間は、表土が乾いたら水やりしてください。乾燥には比較的強いので、根付けばその後水やりしなくても育ちます。ただし真夏に晴天が続いて葉がしおれてきたら、水やりするとよいでしょう。 真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりが必要な場合があります。 真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は生育が止まるので、控えめにして管理します。 肥料 Vaakim/Shutterstock.com 【地植え】 5月と9月の年に2回を目安に、緩効性化成肥料を株周りにまいて土に混ぜ込みます。 【鉢植え】 5〜10月に3要素が等量、またはリン酸が多めの緩効性化成肥料を規定量与えてください。 夏の開花期間中は、液肥に切り替えるのもおすすめです。暑さが厳しい時は化成肥料は濃度が濃くなりやすいので、液体肥料のほうが安全です。開花を促すリン酸を多めに配合した液体肥料を10日に1回を目安に与えると、次々に花を咲かせてくれます。ただし真夏は液体肥料の倍率を通常の半分程度に控えて与えてください。 注意する病害虫 病害虫の心配はほとんどなく、手がかかりません。 ランタナの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入するときは、ヒョロヒョロと徒長したものや病害虫の痕があるもの、葉が黄色くなっているものを避け、葉の色つやのよい苗を選びましょう。また、ポットを触ってみて、根でカチカチになっていないか(根詰まりしていないか)どうかも確認するとよいでしょう。 植え付け・植え替え J-Amethyst Photography/Shutterstock.com 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 ポット鉢を入手した場合は5~6号鉢に植替え、最終的に8~10号鉢に植えます。用意した鉢の底穴が1つしかない場合は鉢底ネットを敷き、草花用の培養土を半分くらいまで入れます。 苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 ランタナはよく育つ植物なので、根詰まりを防ぐために鉢植えの場合は毎年植え替えましょう。鉢から株を引き上げる際に根の状態をチェックして、必要に応じて根切りを行います。大きく育てたい場合は一回り大きな鉢に、成長を抑えたい場合は同じサイズの鉢に植え替えましょう。 花がら摘み Ketut Mahendri/Shutterstock.com 開花期間中、終わった花がらは、まめに摘み取りましょう。花びらは自然に落ちやすいのですが、タネをつけると株がエネルギーを消耗し、花数が少なくなるので、株の勢いを保って次々と咲かせるためにも一手間かけてください。終わりかけた花や、すでに花びらを散らして綿棒のような状態になったものを、花茎の根元から切り取りましょう。終わった花がらを放置せずに、まめに整理して株周りを清潔に保つことで、病気の発生を予防することにもつながります。 種まき Bakusova/Shutterstock.com 種まきで増やすことは可能ですが、雑草化するためおすすめしません。また、種子で増やした場合の株はトゲができて花付きが悪く、枝が伸びすぎて扱いにくくなる可能性が高いというデメリットがあります。 剪定・切り戻し RapunzielStock/Shutterstock.com ランタナの剪定適期は、生育期間中の4〜11月です。樹勢が強く旺盛に枝葉を伸ばすので、定期的に切り戻したり、透かしたりして、広がりすぎないように樹形をコントロールすることが大切です。 樹形が乱れてきたら、ドーム状になるように草丈の半分くらいまで切り戻しましょう。すると枝数が増えて再び盛り返し、花数も多くなります。樹形が乱れるごとに切り戻しを繰り返すとよいでしょう。開花が終わったら、再び切り戻して冬越しを。 夏越し 鉢植えの場合、真夏は水切れに注意し、晴れた日は毎日水やりしましょう。鉢底から水がよく流れ出るまで、たっぷり水を与えます。小株や根詰まり気味の株、枝葉がよく茂った株などは、朝夕2回の水やりが必要なことが多いです。 地植えの場合は基本的には自然にまかせて問題ありませんが、晴天が続いて乾燥しすぎる場合は、水やりをして補いましょう。 冬越し 冬は落葉し地上部の多くは枯れたような状態になるものの、関東以西では霜が降りない環境で冬越しできる場合があります。不織布などで寒風を避けるカバーをかけたり、落ち葉を被せるなどすると冬越しの成功率は上がります。 寒さの厳しい地域では、霜が降りる前の10月中に鉢上げし、室内で0℃以上を保てば越冬します。鉢上げする際は通常より小さめの鉢を使用し、腐葉土などの有機物を入れずに赤玉土小粒などで植えてください。 増やし方 挿し木(挿し芽)の適期は5〜9月。春に伸びた若くて勢いのある枝を選んで切り取ります。市販の園芸用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理を。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。 種子で増やすのは、前述のようにおすすめしません。 ランタナ栽培でよくあるトラブルQ&A 花が咲かない 花が咲かない主な原因としては、日照不足や肥料の過不足、結実などが挙げられます。 ランタナは日当たりの良い環境を好むため、日照が不十分だと花つきが悪くなってしまいがちです。 また、ランタナはやせた土地でも育つ強い植物です。肥料を与えすぎると繁殖の必要性が下がり、花が咲かないことがあります。反対に、肥料が不足していても栄養不足で花つきが悪くなるので注意しましょう。 実をつけることでエネルギーが偏り、花を咲かせる力が無くなってしまうことも。花を十分に楽しみたいなら、花がら摘みを適宜行い結実を防ぎましょう。 しおれる 鉢に植えたランタナの花は、水切れによってしおれてしまうことがあります。開花期間中はより多くの水を必要とするので、特に注意が必要です。 基本的には、土の表面が乾いたら水やりのタイミング。花や葉の元気が無くなるのも水切れのサインなので、すぐに水をあげましょう。 なお、水やりを十分に行っていても花がしおれてしまう場合は、根詰まりの可能性があります。ランタナは成長が早く根詰まりを起こしやすいので、根の不調が疑われる場合は、植え替えを検討しても良いでしょう。 葉が黒く枯れる ランタナは寒い空気に触れると、葉が黒く変色して落ちることがあります。暖地以外では冬になると落葉しますが、冬越しが適切にできていれば翌春には新しい葉が芽吹くでしょう。 暑い時期に葉が黒く変色したり枯れたりするのは、日光による葉焼けや根詰まりなどの可能性があります。 また基本的には病害虫に強いものの、ハダニが原因で葉が弱ることもあります。気になったら、葉の裏をチェックしてみましょう。 冬に枯れる ランタナは暖地以外では、冬になると落葉して枯れ枝のようになります。しかし、本コラムで紹介した冬越しができていれば、翌年以降も葉や花を楽しめます。冬越しをする場合は、晩秋から準備をはじめておきましょう。 なお、ランタナは開花期が長く、1年かぎりの栽培でも花を十分に楽しめます。冬越しが難しい場合は、一年草として扱ってもよいでしょう。 初心者にも! 暑さに強いランタナは夏花壇にぴったり Kaprisova/Shutterstock.com ランタナは生育旺盛で、近年の厳しい夏の暑さにも耐えられる、夏花壇にぴったりの花です。長い開花期間のなかで変化する花色が面白く、見る人を楽しませてくれるでしょう。丈夫で育てやすく、病害虫にも強いので初心者にもおすすめです。 ランタナは鉢植え、花壇のどちらでもよく育ちます。華やかな見た目ですが、主張が強すぎないので、ほかの花とも組み合わせやすいでしょう。葉がよく茂るので、芝生の緑ともよくなじみます。また、匍匐性のある品種はグランドカバーとしても活用できます。 ランタナを植える際は、十分にスペースを取りましょう。分枝力が強く大きくなるペースが早いので、株が小さなうちからほかの植物としっかりと空けておくことが大切です。
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樹木

【夏の花】ハイビスカス、じつは猛暑が苦手? 元気に夏を越す正しい育て方
ハイビスカスの基本情報 写真/小川恭弘 植物名:ハイビスカス学名:Hibiscus英名:Tropical hibiscus , China-rose和名:ブッソウゲ(仏桑花)科名:アオイ科属名:フヨウ属(ヒビスクス、ハイビスカス属)原産地:ハワイ諸島、マスカリン諸島形態:常緑低木 ハイビスカスとは、ハワイやマスカリン諸島などが原産の数種類を原種とした熱帯性低木の交配種群です。ムクゲやフヨウ、オオハマボウ、アメリカフヨウなど、同じフヨウ属のほとんどの種類とは交配できません。 花の寿命は短く、基本的には1日花です。大輪系の品種や鉢植え用品種には、適温下で2~4日花が長もちする品種があります。ただし夏の暑い時期は花が傷みやすく、短命なことが多いです。 ハイビスカスは品種数が大変多く、園芸品種の数は1万種くらいあり、花色も豊富です。赤やピンクがよくある色ですが、ほかにオレンジや黄色、白、紫や茶色、紫に近い青などほとんどの色が揃っているといえるでしょう。また豪華な八重咲きや2~3色の色が混ざった複雑な色合いなど、驚くほど多様な花があります。 一般に鉢花として流通する株は、矮化剤(わいかざい)が散布されていることが多いです。矮化剤により株姿がコンパクトになり、花が咲きやすくなります。 ハイビスカスの特徴・性質 lapsa03/Shutterstock.com 樹高:0.2~2m開花期:5~10月耐暑性:普通~弱い耐寒性:弱い 沖縄などの冬も温暖な地域では常緑ですが、寒さに当たると落葉します。鉢植えの10号鉢で育てると人の背丈くらいの大きさに育ちますが、沖縄などで地植えされた株は5mを越えることがあります。ただし種類や品種によってあまり大きくならないものと、非常に樹高が高くなるものまでさまざまです。 生育は比較的早く、根詰まりすると生育が衰えて花が咲かなくなり、枯れやすくなります。 生育しながら枝先に花を咲かせるので、最も生育状態がよいときに花もよく咲きます。ハイビスカスの多くの品種は、春と秋に生育が最も盛んになります。冬か夏に生育が停止状態でも株を傷めなければ、次の季節に最も多くの花を咲かせます。周年開花性があり、冬でも日当たりのよい場所で温度が保たれていれば花が咲きます。沖縄の温室などでは冬にも花がよく咲きます。 ハイビスカスの品種の系統 Hibiscus ‘Stormy Days’ 写真/小川恭弘 ハイビスカスの品種は、在来系と大輪系、コーラル系の3つの系統に分けられます。ただし特徴や性質をおおまかに分けたもので、中間的な品種も多くあります。 品種数が圧倒的に多いのが大輪系で花も多様ですが、性質が弱いです。また大株にならないと花が咲きにくい傾向があります。品種数が多い割には、一般に見られる機会が少ないです。 alifzahari/Shutterstock.com 在来系や鉢植え用の品種は大輪系より丈夫で、最もよく育てられます。鉢植え用の品種は大輪系との交配により花が大きく多様になってきています。 コーラル系は数が少ないですが、性質や耐暑性が強く、ハワイなどの熱帯地域の植栽によく使われます。 ハイビスカスは基本的には寒さに強くないので、冬は室内で越冬させます。在来系の丈夫な品種は、関東地方南部や都心部の環境のよい場所で庭木のように地植えして越冬することがあります。 ハイビスカスの種類・品種 ブッソウゲ(アカバナー) Hibiscus rosa-sinensis ハイビスカスの基本種とされ、ハイビスカスの初期の交配に多く使われました。ただし原種か、交配による品種か分かっていません。小さめの赤い花がうつむき加減に咲きますが、暑さに強く、5m以上まで大きく育ちます。最も多く植えられている沖縄では「アカバナー」の名でもよく親しまれており、広い意味ではハイビスカス全体を「アカバナー」と呼びます。 ハイビスカス・アーノッティアヌス Hibiscus arnottianus 写真/小川恭弘 ハワイ原産で、高さ10m以上になることがあります。原種の中でも特に花が美しく、ハワイの貴婦人ともいわれます。花付きが非常によいですが立ち枯れしやすく、水はけが悪いと調子がよくても突然枯れることがあります。 ‘ペインテッド・レディ’ Hibiscus 'Painted Lady'. Wirestock Creators/Shutterstock.com 暑さに強い丈夫な在来系品種です。沖縄で植栽によく使われます。 ‘フラミンゴ’ Hibiscus 'Flamingo' kariphoto/Shutterstock.com 2段咲きの花がユニークなコーラル系の品種です。枝が伸びやすいコーラル系なので、ピンチを繰り返すとコンパクトな株姿で花を多く咲かせます。赤やレモン色の花色の品種もあります。 「ニューロングライフ」シリーズ Hibiscus ‘Apollo’ Anderson N. Lopes/Shutterstock.com デンマークのグラフ社により、鉢物用のハイビスカスとして品種改良されたシリーズです。適温の15~25℃では3~4日間、花が咲き続け、耐陰性も強いです。花色は大輪系のように豊富でブルー系もあり、八重咲きの花も多くあります。暑さには強くない場合が多いので、注意してください。 ハイビスカスの栽培12カ月カレンダー 植え付け(地植え):5~6月植え替え(鉢植え):5~9月(根を切る場合は5~6月)肥料:5~10月挿し木:5~6月 ハイビスカスの栽培環境 Princess_Anmitsu/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりと風通しのよい場所を好みます。ただし大輪系の品種や弱った株は、夏は暑さを和らげるために遮光下や明るい日陰で管理したほうがよいです。 猛暑時の鉢植えも、午前中だけ日光が当たる半日陰、または明るい日陰に移動するのがおすすめです。またコンクリートやアスファルト、タイル敷きのテラスなどの上に直接鉢を置くと、照り返しで蒸れて弱りやすくなります。台の上など高い位置に鉢を置くと理想的です。 5~10月までは屋外で管理しますが、11月初旬頃までに室内に移動してください。11月も窓際でよく日光に当てれば、花が多く咲くことは珍しくありません。 生育温度 多くの品種の生育に適した温度は15~25℃です。春と秋の過ごしやすい季節に、ハイビスカスも生育と開花が最も盛んになります。 冬越し 品種により耐寒性は異なりますが、5℃以上を保つようにしてください。株元付近が鉛筆程度の太さの小株は性質が弱いので、できるだけ暖かい場所で冬越しさせるとよいでしょう。 ハイビスカスの暑さ対策 Oleksandr Berezko/Shutterstock.com 品種や花色、株の大きさなどによって異なる耐暑性 品種の系統別では大輪系の品種が暑さに弱く、特に注意が必要です。在来系は普通からやや弱い、コーラル系は普通程度です。現在よく流通する鉢植え用の品種は大輪系の品種が交配されていますが、耐暑性は在来系と同じくらいが多いです。 花色では赤やピンクに性質が強いものが多く、青に近い色や茶色など珍しい色は弱いものが多いです。また株元が細い小株は、成株に比べると暑さに弱いです。 暑さに強い品種 夏もハイビスカスの花を楽しみたい場合は、コーラル系や在来系の赤色の品種など暑さに強いハイビスカスを育てるのがおすすめです。一般に流通する暑さに強い品種を系統別に紹介します。 【コーラル系】ピンクバタフライ、ホワイトバタフライ、フラミンゴ 【在来系】レッドスター、イタリアンレッド、ブリリアント、ピンクアイス 暑さで弱った時の対処は? 遮光するのが最も効果的です。葉が落葉するほど弱っている時は明るい日陰、葉色が悪く花が咲かない場合などは午前中だけ日光が当たる半日陰に置いてください。 暑さで弱った時は、肥料を与えないでください。肥料を与えるとかえって調子が悪くなることが多く、根腐れすることもあります。活性剤は与えてもよく、効果が期待できます。ただし肥料入りの活性剤もあるので注意してください。 ハイビスカスの植え付け・植え替え alex_gor/Shutterstock.com 植え付け 在来系やコーラル系などの丈夫な品種は、5~6月に花壇に植え付けるのもおすすめです。根付けば水やりの手間が減り、管理しやすいです。 雨が降った後に水が溜まりやすい水はけの悪い場所は避けてください。アルカリ性の土壌に植えると葉が黄化しやすく、生育も衰えます。石灰を撒いてアルカリ性になった土壌などは避けてください。 鉢植えの植え替え 流通する鉢植えはやや根詰まり気味のことが多く、そのまま育てると水や肥料が不足しやすく育てにくいです。購入したらすぐに1~2回り大きな鉢に、根鉢をくずさずそのまま植え替えてください。根を切らずに植え替えする場合は、5~9月に行うことができます。 あまり大きくしたくない場合は5~6月に植え替え、同時に剪定します。根鉢を1/3~1/4程度くずし、同じ鉢か1回り大きな鉢に植え替えます。同時に伸びすぎた枝や弱い枝などを切って枝葉の量を1/3程度減らしてください。 用土 通気性と水はけのよい用土が適します。丈夫な品種は多くの植物に使える一般的な培養土、または赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜた用土などで育ちます。 大輪系の品種や立ち枯れしやすい「アーノッティアヌス」などは、赤玉土小粒3:鹿沼土3:腐葉土3:パーライト1を混ぜ、さらにふるいにかけて微塵を取り除いた用土がおすすめです。また7号以上の大きさの鉢を使う場合は、赤玉土の中粒を使って水はけよく植えたほうがよいでしょう。 ハイビスカスの育て方・日常の管理 DimaBerlin/Shutterstock.com 水やり 鉢土の表面が乾いてから水やりします。葉が多くついて根詰まり気味の株やよく花を咲かせている株が乾きやすい場合は、毎日水やりしてもよいでしょう。夏などによく乾燥する場合は、朝夕2回の水やりが必要なことがあります。 水をしっかり与えても落葉するなど調子が悪い株は水やりを控え、涼しい場所で管理してください。また冬も乾かし気味に管理します。 地植えした場合は、根付けば水やりの必要性は少なくなります。ただし土壌が乾燥したら水やりしてください。 肥料 生育期の5月~11月初旬は、肥料を切らさないように与えます。ただし株の調子が悪かったり、夏に生育を停止している場合は、肥料を与えないでください。また生育がよい場合でも暑さが厳しい時は、液体肥料を規定の半分程度に薄めて与えると根を傷めることが少なくなります。 秋になって株の生育がよくなったら、即効性がある液体肥料を1週間に1回、規定の倍率で与えてください。冬に室内で花を咲かせている場合は、月に2回程度、液体肥料を規定の半分程度に薄めて与えるとよいでしょう。 病害虫 葉を食害する害虫やアブラムシ、カイガラムシなどがよく発生します。生育期間中はオルトラン粒剤など、用土に撒くタイプの薬剤を使ってあらかじめ予防するのがおすすめです。 ハイビスカスの栽培ポイント Alex Marc Wagner/Shutterstock.com 暑さに強くない品種が多い 夏より秋や春のほうが花が咲きやすい 暑さ対策には遮光が効果的 害虫の発生が多い 根詰まりすると生育が衰えやすい 春から初夏頃に購入したハイビスカスが夏に花が咲かなくても、問題ありません。夏に涼しい場所で養生しておけば、秋から花を咲かせます。ハイビスカスの花は、実際は秋が見頃の場合が多いです。夏に弱ってもあきらめず、秋に美しい花を咲かせて楽しんでください。
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じつはスイートバジルとは別物? 混同しやすい「バジルの種類」とプロが教える見分け方
バジルの仲間の基本情報 Hortimages/Shutterstock.com 植物名:バジル学名:Ocimum英名:Basil科名:シソ科属名:メボウキ属原産地:世界の熱帯から亜熱帯地域形態:一年草 バジルの仲間のメボウキ属は、世界の熱帯から亜熱帯の広い地域に65種もが知られています。自生地では多年草、または低木ですが、寒さに弱いので日本では冬に枯れる一年草として扱われます。 たくさんの栽培品種がありますが、食用として主に利用されます。薬用植物としても親しまれ、地中海の周辺地域では数千年にもわたって栽培されてきました。中国やインドなどの伝統医学でも使われます。共通の効能として殺菌や食欲増進、消化促進などの作用などがあります。 強い芳香があることから、ハエや蚊などの虫よけとして鉢植えを窓際などに置いて栽培されることもあります。 バジルとは? Nadya So/Shutterstock.com 学名:Ocimum basilicum和名:メボウキ(目箒)別名:スイートバジル英名:Basil原産:アジアの熱帯から亜熱帯地域、西太平洋地域、オーストラリア(クイーンズランド州、西オーストラリア州) 単にバジルという場合はバジリカム種(O.basilicum)であることがほとんどです。バジリカム種はメボウキの和名があり、品種名が特に無い場合はスイートバジルを指します。スイートバジルは、イタリアなどの地中海料理では重要なハーブで、日本でも食材として消費量が多いです。バジリカム種にはほかにもさまざまな芳香の品種や変種が多くあり、すべて料理に使うことができます。 夏から秋にかけてシソに似た花穂がつき、白い小花が輪生します。花後にできる種子は水を吸うと膨らみ、デザートや飲み物などにも使われます。 バジルの品種・変種 ダークオパールバジル Ocimum basilicum 'Dark Oparl' ISmiths/Shutterstock.com 株全体が暗紫色で、花はピンク色です。光沢のある濃い紫色の葉が美しく、花壇などに植えても映えます。葉の香りはスイートバジルに近いですが、ややスパイシーでクローブにも似た香りがあります。 ダークオパールバジルから選抜された品種に、紫色の葉がより安定して発色する‘ルビン’があります。 タイバジル Ocimum basilicum var. basilicum (O. basilicum var. thyrsiflorum ) Kabar/Shutterstock.com タイだけでなく東南アジアで広く栽培され、主に料理に使われます。タイでは「ホーラパー」、中華料理では「九層塔」の名で呼ばれ、「台湾バジル」の別名もあります。 花穂や茎は赤紫色で草丈30~50cm、緑色の葉はやや紫色がかった色になることがあります。台湾では、茎が緑色の系統も多くあります。葉の芳香はスイートバジルより強く、甘くスパイシーな香りがあり、熱を加えても風味が落ちにくいです。 タイバジルの選抜品種に、アニスに似た風味がある‘シャムクイーン’があります。 ブッシュバジル Ocimum basilicum var.minimum Peter Turner Photography/Shutterstock.com 南インドとスリランカ原産で、高さ30cmほどの小型の変種です。非常に小さい葉が密に茂り、葉の香りはスイートバジルに似ています。寒さにはスイートバジルより強いです。 レタスリーフバジル Ocimum basilicum lettuce leaf(Ocimum basilicum 'Lettuce Leaf') Maljalen/Shutterstock.com やや多肉質の大きな葉は8~12cmほどで、表面が波打ちます。サンドイッチやサラダなどに最適です。似た品種に‘ナポリターノ’ (O. basilicum 'Napoletano')がありますが、同一の品種かもしれません。 シナモンバジル Ocimum basilicum 'Cinnamon' golfza.357/Shutterstock.com シナモンにも似た甘くスパイシーな香りがあり、メキシコで生まれた栽培品種のため、「メキシカンスパイスバジル」の名があります。茎は紫色で、白、またはピンクの花が咲きます。タイバジルに似ており、混同されていることがあります。タイバジルに比べると葉は細長く光沢があり、鋸歯が目立ちます。 ミセスバーンズ・レモンバジル Ocimum basilicum 'Mrs. Burns' レモンバジルより葉が大きく、レモンの香りが安定して強くあります。丈夫で暑さと乾燥に強く、収量も多いです。 バジルに近縁の種類 ツリーバジル(ヴァナ・トゥルシー) Ocimum gratissimum NPvancheng55/Shutterstock.com アフリカや東南アジアの熱帯、亜熱帯の広い地域が原産の低木、または多年草で、変異が多い種類です。「インドメボウキ(印度目箒)」の和名があるほか、「アフリカンバジル」や「クローブバジル」、「ワイルドバジル」などの英名があります。食用や薬用として幅広く利用され、特に西アフリカでは料理用として多く使われます。 カンファーバジル Ocimum kilimandscharicum ThangNguyenPhoto/Shutterstock.com 葉には清涼感のあるカンファー(樟脳)の香りがあります。アフリカ東部の熱帯地域が原産で、高さ1~2mくらいに育つ低木です。寒さにも比較的強く、0℃まで耐えます。米の風味付けや料理、お茶、蚊よけなどに利用されます。 バジルの種間交配種 レモンバジル Ocimum × africanum (O. basilicum × O. americanum ) Pum_April/Shutterstock.com 小型のヒメボウキ(O. americanum )との交配種で、葉はやや小さく、草丈30~40㎝ほどです。葉にはレモンのよい香りがあり、南アジアや北東アフリカ、アラブなどで料理によく使われます。花後にタネができ、一般にも種子が流通します。 アフリカンブルーバジル O. basilicum × O. kilimandscharicum crystaldream/Shutterstock.com ダークオパール・バジルとカンファーバジルの交配種です。丈夫で生育は旺盛です。0℃近くの低温に耐え、寒くなると葉は紫色がかります。不稔性でタネができないため、挿し芽で増やします。赤紫色の花は周年咲きやすく、観賞用や切り花にもおすすめです。 ホーリーバジル(トゥルシー)とは Meenu Varghese/Shutterstock.com 学名:Ocimum tenuiflorum英名:Holy basil和名:カミメボウキ(神目箒)別名:トゥルシー、ガパオ原産地:アジアの熱帯から亜熱帯地域、西太平洋地域、オーストラリア(クイーンズランド州) 茎の基部は木質化し、直立して伸びる多年草、または低木です。草丈30~100cmほどの大きさに成長し、マイナス1℃までの温度に耐えます。 ヒンズー教の神聖な植物とされて寺院などで栽培され、宗教儀式に使われます。またインドやスリランカ発祥の伝統医学・アーユルヴェーダでは、抽出物が治療薬として使われたり、ハーブティーの材料になります。タイでは葉は「ガパオ」と呼よばれ、挽き肉と合わせて炒めたガパオライスの材料となっています。スイートバジルと同様に、料理に幅広く使うことができ、クローブにも例えられるスパイシーな芳香と風味があります。葉に細かい毛があり、サラダなどの生食には適しません。 クリシュナトゥルシー Ocimum tenuiflorum 'Krishna'(Holy red) PICSLIBRARYIN/Shutterstock.com 葉や花が紫色で美しく、高い薬効があるとされます。 バジルの育て方 madorf/Shutterstock.com バジル栽培をはじめるには 苗を入手して育てれば確実ですが、種まきから育てるのも比較的簡単です。バジルのタネは比較的安価な値段で流通しており、発芽率もよいです。バジルをたくさん育てたい場合は、種まきから育てるのがおすすめです。また種子のほうが入手しやすい場合もあります。 適した環境・置き場所 屋外の日当たりと風通しのよい場所が適しますが、風当りの強い場所は避けてください。室内の明るい日陰でも育ちますが、徒長気味の株姿になります。 生育適温は20℃以上で、夏を中心に温度の高い時期に最もよく生育します。 水やりと肥料 乾燥に比較的強いですが、乾燥気味に育てると葉は硬くなります。地植えした場合は夏に土壌が乾燥したら水やりするとよいでしょう。鉢植えは、水切れさせないよう十分に水やりしてください。 肥料は、生育期間中に肥料を切らさないように与えると、質のよい葉を多く収穫できます。ただし油かすなど窒素分の多い肥料を与えると苦みが強くなり、アブラムシなども発生しやすくなります。 病害虫 バッタなどによる葉の食害が多いです。また地植えした場合は、ベト病によって全滅することが多くなっています。日当たりと風通しのよい環境で育てるようにしてください。また室内で育てたほうが病害虫の被害が少ないですが、ハダニが発生することがあります。 バジルの見分け方のポイント Fotema/Shutterstock.com 単にバジルという場合はスイートバジル、またはバジリカム種をさす バジルとホーリーバジルは別の種類 ホーリーバジルとタイバジル、シナモンバジルが混同されやすい レモンバジルやアフリカンブルーバジルなど種間交配種がある バジルは料理だけでなく、鉢植えを窓際に置けば虫よけの効果が期待できます。ブロンズリーフの品種は、花壇のおしゃれなアクセントになります。アフリカンブルーバジルは室内で冬越しさせれば長く花を楽しめ、葉も料理に使えます。シナモンやレモン、クローブなど、用途によって使い分けても楽しいでしょう。さまざまなバジルを育てて、豊かなハーバルライフを楽しんでください。
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樹木

「夏の庭が寂しい」を解決! ラベンダーのような花が3カ月咲き続ける、強健な西洋ニンジンボクが今おすすめの理由
セイヨウニンジンボクの基本情報 APugach/Shutterstock.com 植物名:セイヨウニンジンボク学名:Vitex agnus-castus英名:Chaste Tree和名:セイヨウニンジンボク(西洋人参木)別名:チェストベリー科名:シソ科属名:ハマゴウ属原産地:地中海沿岸~中央アジア、インド形態:落葉低木 ラベンダーのような涼しげな花を、夏に長期間咲かせる落葉低木です。花や葉、花後にできる果実に香りがあることから、チェストベリーの名でハーブとしても知られています。薬用植物やスパイスなどとして利用されます。 病害虫の被害が少なく、暑さや寒さに強いので、初心者でも育てやすいです。放置気味の管理でも樹姿は自然に整ってよく花が咲き、手間がかかりません。樹形は広がって多くの花を咲かせます。木が小さいうちから花を咲かせるので、鉢植えにも適しています。 セイヨウニンジンボクの特徴・性質 Wirestock Creators/Shutterstock.com 樹高:2〜3m 開花期:7~9月耐寒性:強い耐暑性:強い 手のひらのような形で光沢のある葉が、チョウセンニンジンに似ていることが、和名の由来です。 幹は複数あることが多く、温暖な地域では5m以上の大きさに生育します。落葉期の強剪定により低く樹高を抑えることができます。成長が早く、地上部が寒さなどでほとんど枯れても、1年で人の背丈ほどの高さになります。 太い直根が地中深くまで伸びるため、乾燥には強いです。直根が発達した成木は、移植を嫌います。 花は夏頃を中心に3カ月ほどの長期間、たくさんの花を咲かせます。花色は一般的な青紫色のほか、ピンクや白があります。近年は、人の背丈ほどの矮性種も流通しています。 セイヨウニンジンボクの利用方法 m-desiign/Shutterstock.com スパイシーな風味のある果実は、かつてコショウの代用とされました。香りのよい葉は、モロッコなどでスパイスとしても使われています。 ハーブとしてはチェストツリーの名で知られています。婦人病や更年期障害などの緩和などに効能が期待でき、薬用植物として古くから利用されてきた歴史あるハーブです。国内でもその効能などがテレビなどで紹介され、ハーブティーやサプリメントなどがよく流通しています。ただし決定的な科学的根拠はまだ得られていません。 妊婦や子供の利用は避けてください。重大な副作用はないとされますが、頭痛や胃腸障害などが発生することがあります。 セイヨウニンジンボクの仲間 ミツバハマゴウ ‘プルプレア’ Vitex trifolia 'Purpurea' alybaba/Shutterstock.com spline_x/Shutterstock.com 日本にも自生するミツバハマゴウの園芸品種です。温度が低くなってくると、葉裏がより鮮明な紫色になります。 ハマゴウ Vitex rotundifolia Skyprayer2005/Shutterstock.com 日本の海岸沿いの砂浜などに自生し、地面を這うように伸びる落葉低木です。 ‘ブルー ディドレ’ Vitex agnus-castus ´Blue Diddley´ コンパクトに改良された品種で、樹高は180cmほどです。ラベンダーブルーの爽やかな色の花が長期間よく咲きます。 ‘シカゴランド ブルース’ Vitex 'Chicagoland Blues' セイヨウニンジンボクとハマゴウとの交配によって作出された園芸品種です。ハマゴウの性質が強く、背丈は低いですが横方向に大きく広がります。 セイヨウニンジンボクの栽培12カ月カレンダー 植え付け適期:3~4月、10月植え替え適期:3~10月肥料:2~3月剪定:2~3月 セイヨウニンジンボクの栽培環境 tamu1500/Shutterstock.com 日当たりと水はけのよい場所を好みます。半日陰の場所でも育ちますが、日なたのほうが花付きがよいです。適した環境なら、石などが多いようなやせ地でも育ちます。排水がよければ土壌を選ばず、適応性が高いです。 樹高と同じくらい樹幅が広がることがあるので、広めのスペースに植えるのがおすすめです。成木は移植を嫌うので、注意してください。 生育温度 暑さには強く、夏に弱ることはほぼありません。 冬越し 落葉した状態で越冬します。最低温度の目安はマイナス17℃で、寒さには強いです。北海道南部などでも栽培できますが、厳しい寒さに当たると地上部の枝も枯れます。根が生存していれば春に芽を出して花を咲かせ、多年草のように栽培できます。ただし新葉が展開をはじめるのは比較的遅いので、捨てないように注意してください。 セイヨウニンジンボクの植え付け・植え替え xlibes/Shutterstock.com 植え付け 春の3~4月、秋の10月が植え付けの適期です。根鉢の2~3倍の大きさの植え穴を掘ります。掘り上げた土に2割くらいの量の腐葉土と3要素が等量の緩効性化成肥料を混ぜ、用土とします。根鉢の表面付近を軽くくずし、周囲よりやや高めになるように植え付けます。作業後、たっぷり水やりしてください。 鉢植えの植え替え 鉢植えで育てることもできます。購入した株はそのまま2回りほど大きな鉢に植え替えてください。根鉢をあまりくずさなければ、3~10月に植え替えできます。最終的に10号くらいの鉢に植えて育てます。 その後は2~3年おきに植え替えます。早春の3月頃に回りこんだ根や長い根を切って根鉢を1/3程度落とし、新しい用土で植えます。 用土 排水のよい用土が適します。幅広い植物に使える一般的な培養土か、赤玉土小粒7と腐葉土3を混ぜた用土などを使います。 ピートモスなどが多い水もちのよい用土を使うと、根腐れするので気をつけてください。培養土の水もちがよい場合は、パーライトや軽石を1~2割混ぜるとよいでしょう。 セイヨウニンジンボクの育て方・日常の手入れ Elena Odareeva/Shutterstock.com 水やり 地植えした場合は、根付けばほぼ水やり不要で育ちます。 鉢植えは用土の表面が乾いたら水やりします。枝葉がよく茂った株は乾燥しやすいので、夏場、晴れる日が続く場合は毎日水やりしてください。 肥料 肥料はあまり必要ありません。落葉期の2月から3月に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを与えてください。肥料が多いと、枝葉ばかり茂って花付きが悪くなります。 病害虫 目立った病害虫の被害はありません。 セイヨウニンジンボクの剪定 Konstantinos Livadas/Shutterstock.com 落葉期の2~3月が剪定の適期です。剪定しなくても自然に形が整うので、枯れた枝や伸びすぎた徒長枝などを切ればよいでしょう。 ただし生育が早く、放任した場合は比較的広いスペースを必要とします。 適期ならかなり強い剪定に耐えるので、好みの位置で切り戻すことができます。地面に近い位置で切れば大きくなるのを防ぎ、多年草のように育てることができます。ただし開花時期は遅れます。 生育期間中に剪定すると、花が咲かなくなったり、花数が少なくなります。生育期間中にサイズを小さくしたい場合は、伸びすぎた部分などを間引くように剪定しますが、全体の1/3以下になるようにとどめてください。 冬に地上部が枯れる寒冷地では、葉が落葉して枝が枯れ始めたら、すぐに地際付近で切っても問題ありません。 セイヨウニンジンボクの手入れ作業 NDanko/Shutterstock.com 花がら摘み 花後にそのままにすると、結実して種子がよくできます。咲き終わった花をこまめに摘み取ると実に栄養がとられないので、開花期間が長くなります。 温暖な地域では、こぼれ種で増えるので注意してください。 増やし方 挿し木で増やすことができます。前年度に伸びた枝を3~4月に10cmほど切り、赤玉土小粒を入れた容器などに挿します。明るい日陰に置き、用土の表面が少し乾いたら水やりしてください。2~3カ月後に発根したら、3号ポットなどに鉢上げします。 セイヨウニンジンボクの栽培ポイント Tupungato/Shutterstock.com 日当たりと水はけのよい場所を好む 庭木としては、広めのスペースで育てるとよい 冬に強く切り戻しても花が咲く 寒冷地では多年草のように生育する 日当たりのよい場所に地植えすれば、放置気味の管理でよく育ちます。夏に長期間美しい花を楽しめるおすすめの庭木ですが、国内ではまだあまり知られていません。世界では広く栽培される魅力的な花木を、ぜひ庭やベランダに迎えてはいかがでしょうか。
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ハーブ

ミントの地植えは要注意? 爆発的に増えるハーブを安全に楽しむ「仕切り」の裏ワザ
ミントの基本情報 alybaba/Shutterstock.com 植物名:ミント学名:Mentha英名:Mints科名:シソ科属名:ハッカ属原産地:北半球の温帯、アフリカ形態:多年草 ミントは清涼感のある香りが特徴で、ハーブの中でも特に有名です。古代ギリシアの時代から栽培されてきた歴史あるハーブで、現在でもさまざまに利用されています。日本では料理にはあまり使われませんが、東南アジアなど多くの国では食用としてもよく利用されます。一般にはペパーミント、スペアミント、アップルミントなどがよく栽培されます。国内にはハッカとヒメハッカが自生し、かつてハッカが産業用として栽培されていました。 ミントの仲間は24種類が、世界中に広く分布します。自然交雑種が多く、以前は約600種に分けられていました。同じ種類の中でも変異が多く、香りや草姿はさまざまです。 非常に多くの種類や品種がありますが、見分けるのは難しいです。大きく分けると、スペアミント系、ペパーミント系、アップルミント系、オレンジミント系、その他などがあります。意外な香りを持つミントがあり、オーデコロンやオレンジ、グレープフルーツ、レモン、チョコレート、ジンジャーなど、多様にあります。 ミントの特徴・性質 Kabar/Shutterstock.com 草丈:10~100cm開花期:7~9月耐寒性:強い(種によって異なる)耐暑性:強い(種によって異なる) 3月から4月頃に新芽が成長を始め、夏から秋頃に花が咲きます。花色は、白やピンク、藤色などがあります。花が咲く前頃に収穫すると、最も質のよいミントを収穫することができます。開花後に雑味の元になる成分が増え、収穫ごとに香りも弱くなってきます。 霜に当たると地上部は枯れますが、地下茎は生き残る多年草です。地下茎は生育が旺盛で、株は広がって繁殖します。ただし同じ場所で育てていると、次第に生育が悪くなる傾向があります。 多くの種類は湿った場所を好み、ウォーターミントなど水辺に自生する種類もあります。種類によっては茎が立ち上がらず、地を這うように伸びる匍匐性の種類もあります。 病害虫の被害も少なく育てやすいですいハーブです。ただし地植えでは旺盛に広がるので、放置すると問題になりやすいです。 ミントの仲間 ペパーミント Mentha x piperita Janisbija/Shutterstock.com スペアミントとウォーターミントの自然交雑種で、セイヨウハッカの和名があります。日本では最も人気のあるミントです。芳香の主成分はメントールで、ミントの中でも特に香りが強く、少量でもよく香ります。 スペアミント Mentha spicata Doikanoy/shutterstock.com ヨーロッパ原産で、欧米などでは最も一般的なミントです。芳香の主成分はカルボンで、ペパーミントより清涼感は劣りますが、料理などには程よい香りで使いやすいです。 ウォーターミント Mentha aquatica Manfred Ruckszio/Shutterstock.com ヨーロッパから中央シベリア、アフリカ、西アジアの広い地域が原産です。湿地に自生するミントで、香りが非常に強いです。葉や茎は紫色を帯びます。 アップルミント Mentha suaveolens Kabar/Shutterstock.com ヨーロッパ、地中海沿岸などの地域が原産です。丸みのある葉から、マルバハッカの和名があります。葉は柔らかく、香りはおだやかです。丈夫で繁殖力が強く、よく野生化しています。 パイナップルミント Mentha suaveolens ‘Variegata’ Skyprayer2005/Shutterstock.com 斑入りのアップルミントで、生育はアップルミントよりゆるやかです。暑さや蒸れにもやや弱い傾向があります。 ハッカ Mentha canadensis Zulashai/Shutterstock.com 日本にも自生するミントで、他に中国やシベリア、北アメリカ原産などの広い地域が原産です。ミントの中でもメントールの含有量が最も多いといわれ、戦前に北海道で盛んに栽培されました。 ペニーロイヤル Mentha pulegium Zulashai/Shutterstock.com ヨーロッパ、地中海沿岸、エチオピアなどが原産です。清涼感の強い芳香がありますが、毒性があるため飲食用には適しません。グラウンドカバーなどに使うとよく茂りますが、草丈が50cm近くまで高くなることがあります。ハエやアリ、ノミなどの虫よけに利用されます。 ミントの利用 Tom Gowanlock/Shutterstock.com 種類や品種によって特徴や性質が異なるので、それぞれ利用方法を使い分けてください。 【ペパーミント】メントールの強い芳香があり、ミントソースの材料や飲料に適しています。飲料に多く入れると、刺激が強すぎるので注意してください。生の葉は苦みがあるので、アイスクリームなどの食用には乾燥葉かエッセンスを用います。モヒートに使う場合は、少量がよいでしょう。 【スペアミント】程よい香りと刺激があります。料理に幅広く使え、エスニック料理の材料として有名です。肉料理のソースになり、サラダにも使われます。モヒートなどの飲料にも最適です。 【アップルミント】香りがおだやかで、スペアミントやペパーミントに比べると利用が少ないです。料理の香りづけや飲料に利用できます。 【すべての種類のミント】リースやポプリにして楽しむことができます。収穫した葉を袋に入れて入浴剤に使うと、清涼感のある香りが楽しめます。剪定して多く収穫できたら、乾燥させれば長期保存も可能です。 ミントの栽培12カ月カレンダー 植え付け:4~10月植え替え:4~6月、9月中旬~10月肥料:3~4月 ミントの栽培環境 danti sukmawati/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 西日の当たらない半日陰の、肥沃でやや湿り気のある土壌が適します。日なたから明るい日陰で育てることができますが、日光によく当てると芳香が強くなります。 日なたでは夏の土壌の乾燥に注意してください。株の周囲に腐葉土やバーク堆肥などを敷き詰めると、乾燥を防げます。乾燥しやすい鉢植えやプランターは、夏は西日の当たらない半日陰に移動してください。 風通しが悪いと、さび病が発生しやすくなります。 生育温度 15~25℃くらいの温度が生育に適した温度の目安です。春と秋に最もよく生育します。夏の暑さにも比較的強いですが、乾燥には注意してください。 這性のコルシカミントは、梅雨の多湿や夏の暑さで弱ることが多いです。 冬越し 寒さに強いので、特に対策は必要ありません。室内の日当たりのよい場所に鉢植えを置くと、冬も成長して収穫できます。 ミントの植え付け・植え替え Liga Petersone/Shutterstock.com 植え付けの注意点 地植えすると地下茎が旺盛に成長します。違う種類のミントを近くに植えると、根が伸びて混ざってしまいがちです。また放置すると至る所で繁殖し、持て余してしまうことが多いです。そのため植えてはいけない植物などといわれます。繁茂するのを防ぐには、仕切り用の板で株の周囲を囲うのがおすすめです。広範囲に覆う場合は、購入しやすい価格で入手できる水田用のあぜ板が便利です。 植え付け 植え付けは、生育期の4月から10月にいつでも行えます。腐葉土や堆肥などの有機物と肥料をすき込み、株間は30cmあけて植えます。夏に植え付けた場合は、根付くまで水を十分与えるようにしてください。 植え替え・改植 地下茎の成長が旺盛なので、すぐ根詰まりします。地植えでは土壌の劣化が激しく、質のよい葉を収穫するには毎年植え替えたほうがよいでしょう。特にスペアミントやペパーミントは、改植は重要な作業です。 夏を避けた生育期の4~6月、9月中旬~10月が植え替えの適期です。鉢植えやプランターでは1年に1回、地植えした場合は1~2年に1回掘り上げ、株分けしてから植えなおしてください。 用土 草花に広く使える一般的な培養土が気軽に利用できます。または赤玉土小粒6:腐葉土4を混ぜた用土などを使います。 ミントの育て方・日常の手入れ Jr images/Shutterstock.com 水やり 乾燥を嫌うので、やや多めの水やりが適します。春と秋は、鉢植えやプランターの表土が乾いたら水やりします。夏の晴れた日は毎日水やりするほか、乾燥が激しい場合は朝夕2回水やりをしてください。秋も枝葉がよく茂っている場合は、毎日水やりしたほうがよいでしょう。 地植えした場合は、夏に土壌が乾いたらたっぷり水やりしてください。 肥料 窒素肥料が多いと、香りが弱くなります。骨粉入り油粕や3要素が等量の緩効性化成肥料などを、春の3~4月に与えます。 病害虫 病害虫の発生は、比較的少ないです。ただし梅雨の時期に風通しが悪いと、葉に茶色い斑点ができるさび病が発生します。さび病が発生したら広がるので、株は処分してください。風通しよく育てることで、発生を防ぐことができます。 ベランダなどの乾燥しがちな場所では、ハダニが発生することがあります。夏の乾燥時などはこまめに葉水を与えると、発生を防げます。 ミントの作業 africa_pink/Shutterstock.com 剪定・切り戻し 草丈が伸びて下葉が落ちてきたら、半分から1/3程度残して切り戻します。また梅雨前に収穫を兼ねて切り戻すのがおすすめです。風通しや日当たりのよくない場所では、地際から切るとよいでしょう。風通しが非常によくなり、さび病の発生を防ぐことができます。 開花後も地際付近まで切り戻すと、柔らかい新芽が伸びてきます。強い寒さに当たると葉や茎は枯れますが、春に新芽が成長を始める前に枯れた部分を切ってください。 収穫 若い葉や茎を収穫して利用します。春から秋まで随時収穫しますが、5月から7月頃が最もよい状態で収穫できます。乾燥して保存する場合は、株元から切って風通しのよい場所などで吊るして乾燥させます。 増やし方 Gv Image-1/Shutterstock.com 水挿しで簡単に発根します。発根したら、下葉を少しとってから植え付けるとスムーズに活着しやすいです。 ミントの栽培ポイント Sveta Gavrilova/shutterstock.com 植えは株の周りを仕切って植えるとよい 根の発達が旺盛なので、1~2年おきに株分けする 乾燥と多肥に注意 梅雨時は風通しよくする よく生育させるには、毎年植え替える ポイントを把握して育てれば、ミントは栽培しやすいハーブです。枝葉が盛んに伸び、たくさん増やすのも簡単で、育てる楽しさを感じることができます。冬に室内で小鉢を観葉植物として育てるのもおすすめです。冬にミントのみずみずしい緑色が映え、香りも楽しめます。冬の間は水挿しでもよく育ちます。さまざまに利用できるミントは、栽培すれば重宝することでしょう。庭やベランダなどでミントを育てて、緑のある暮らしを楽しんでください。
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【プロが解説】切ってもまた生えてくる! 家庭菜園で「ニラ」を何度も収穫する育て方のコツ
ニラの基本情報 Juntee/Shutterstock.com 植物名:ニラ学名:Allium tuberosum英名:Chinese chive和名:ニラ(韮)科名:ヒガンバナ科属名:ネギ属原産地:中国形態:多年草 野菜のニラは、中国西部が原産の多年草で、アジアでは古くから食用として栽培されてきました。葉が主に食用とされますが、花茎とつぼみも食べることができます。 欧米やヨーロッパでは、夏頃に咲く花が美しい多年草の観賞用植物として主に栽培されています。 日本には9~10世紀頃に伝来し、古くから利用されてきた植物です。ただし葉の強い匂いから、戦前まで食材として多くは使われませんでした。戦後に中華料理の普及とともに栽培が急速に広がり、ギョウザの材料として、また、モツやレバーなどの肉料理に欠かせない野菜として人気です。近年人気の韓国料理でも定番の野菜でもあります。 一般に流通するのは施設栽培されたニラで、旬は冬から春とされます。生産が最も多いのは高知県で、温暖な気候がニラの生育に適しています。他に栃木県や群馬県、東北地方や北海道などでも多く生産されています。 ニラの特徴・生育サイクル ahmydaria/Shutterstock.com 草丈:30〜35cm開花期:7~8月耐寒性:強い耐暑性:普通 春の3~4月が種まきの適期で、その後5月中旬から6月に苗を定植します。生産農家での栽培の場合、1年間は収穫せず、株の充実を図ります。家庭菜園では、秋に収穫してもよいでしょう。 11月くらいから葉が枯れ始め、冬は地上部が枯れた状態で休眠します。2月下旬頃から根が動き始め、3月になると芽が出てきます。 春に生育が盛んになり、冬越しした株は4~7月まで収穫期を迎えます。夏頃に花茎が伸びて花を咲かせますが、花が咲くと株が弱ります。また、夏頃の葉は細く、厚みも薄くなり、収穫に適しません。 秋になると葉が充実して生育したら、収穫が可能です。 ニラの栄養・利用方法 riphoto3/Shutterstock.com 栄養成分が豊富で、カロテンや各種ビタミン類、カリウムやカルシウム、食物繊維などが含まれます。血流を促進して体を温めたり、免疫力向上、美肌効果、腸の働きを整える効果などが期待できます。 ニラの特有な香りは、硫化アリルによるものです。ネギやニンニクなどにも含まれ、ビタミンB1の吸収を促進し、疲労回復効果なども期待できます。 ビタミンB1を豊富に含む、豚肉やレバーなどと食べると、ビタミンB1を効果的に取り入れることができます。 特有の香りは肉との相性がよい他、炒めのものやスープ、鍋の具などさまざまに利用が可能です。 硫化アリルは熱に弱いので、生のまま細かく刻んで醤油漬けにするのがおすすめです。他にゴマ油やミリンなどを入れ、好みで唐辛子やニンニクを入れます。いろいろな料理と相性のよい調味料になり、長期間保存できます。 硫化アリルの香味成分は根元の白い部分に多く含まれます。香りを和らげたい場合は、葉先を利用するのがおすすめです。また油で炒めたり、卵とじなどにすると、香りを抑えることができます。 多く収穫した場合は、使いやすい大きさに切って冷凍保存してください。約1カ月保存でき、解凍せずにそのまま使えます。 ニラの品種 品種は、冬に休眠する大葉系と小葉(細葉)系、休眠しない花ニラに分けられます。 大葉系の品種 現在主流のニラで、葉の幅が広く、厚みもあります。休眠は浅く、栽培しやすいです。ただし乾燥に弱い傾向があります。 小葉系の品種 在来種の系統で、全体的に小型で葉が細いです。日持ちが悪く栽培されることは少ないですが、暑さに強くやさしい甘味があるのが特徴です。苗やタネの入手は困難です。現在となっては希少価値があるかもしれません。 花ニラ Lotus Images/Shutterstock.com 花茎とつぼみが食用できますが、葉は食用に適しません。長期間花茎が出てきますが、春から夏にかけての時期が最も収穫量が多いです。休眠せず、比較的高温を好みます。「テンダーポール」や「マルイチポール」などの品種があります。 黄ニラとは? 黄ニラは、暗い場所で葉ニラを育てたものです。ニラの香りが少なく、いろいろな料理に使えます。柔らかいので、サラダにも適しています。 黄ニラの作り方 収穫した後のニラに、バケツや箱を被せて暗くして栽培すれば収穫できます。株に負担がかかるので、2年目以降の充実した株を使います。また同じ株を連続して黄ニラ栽培に使うのも避けてください。 ニラの栽培12カ月カレンダー 植え付け:5月中旬~6月中旬植え替え:2月下旬~3月上旬肥料:6~9月 ニラの栽培環境 適した環境・置き場所 日当たりと水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。有機物の多い肥沃な土壌は、白絹病などの発生が少なくなります。雨が降った後に水が溜まりやすい場所は、避けてください。 連作 連作障害は少ないとされますが、連作によりネダニの被害が深刻になることがあります。最低1~2年はあけて植えると安心です。 生育温度 15~25℃が生育温度の目安です。春と秋に最もよく生育します。暑さで弱ることがありません。 冬越し 真冬は地上部が枯れた状態で越冬します。寒さで枯死することはありません。 ニラの苗の入手 JoannaTkaczuk/Shutterstock.com 種まきするか、市販のポット苗などを入手して植えます。種まきすることで、安価で大量の苗を入手できますが、本格的な収穫は2年目以降になります。初心者は手軽ですぐ収穫できる、ポット苗などを入手するのがおすすめです。 種まきの方法 発芽適温は20℃が目安になりますが、最低温度が10℃以上あればおおよそ発芽します。 3~4月が種まきの適期です。育苗箱などに種まきする場合は、深さと幅がともに1cmほどの溝を作り、溝の間は10cm程度あけます。溝の間にすじまきし、土をかぶせて軽く手などで押さえます。 プランターに植える場合は、直播します。5cm間隔で1cmの穴をあけ、種子を3~4粒ずつ播きます。種まき後はたっぷり水をやってください。 ニラの植え付け sopon_S/Shutterstock.com 苗の植え付け適期は、5月中旬~6月中旬です。地植えする場合は、同じ場所で数年にもわたって収穫を続けるためには、有機物をしっかりすき込んで土づくりを行ってください。 植え付け準備 2週間以上前に植え付け場所の準備をします。1㎡あたり、3要素が等量の化成肥料150g、腐葉土や堆肥などの有機物3kgを混ぜて耕しておきます。 酸性土壌では生育が悪くなります。苦土石灰などを適量施し、適した土壌酸度(pH)6.0~7.0に調整してください。 植え付け 株間を15~20cmあけ、深さ5cmほどの植穴を掘ります。1穴に3~5株まとめて植えます。適度にまとめて植えたほうが、生育がよくなります。購入したポット苗は、株分けせずにそのまま植えます。浅めに覆土して、植え穴の部分が周囲より低いようにします。後に土寄せしていきます。 土寄せ 地植えした場合は、植え付け後3週間ごとに2~3回、2~3㎝の厚さで土寄せします。 鉢やプランターへの植え付け ポット苗を入手した場合は、株分けせずに7~8号鉢に2株、65cmプランターに4株を目安に植えてください。深型のプランターや鉢を使う場合は、鉢底石を入れて排水をよくしてください。 用土 弱酸性から中性の、肥沃で排水のよい用土を好みます。野菜用の培養土が気軽に利用できます。 ニラの育て方・日常の手入れ 水やり 強い乾燥は嫌います。土壌の乾燥が激しい場合、たっぷり水やりしてください。 鉢植えやプランターは、表土が乾いたら水やりしてください。水やりが多いと根腐れするので注意しましょう。夏の乾燥が激しい場合は、晴れた日は毎日水やりしてもよいでしょう。 肥料 6~9月が、肥料を与える時期の目安です。収穫後に1㎡あたり化成肥料を30g追肥し、土寄せしてください。追肥を怠ると、生育が衰えます。種まきして1年目の株は、秋に追肥します。 地上部が枯れる12月~翌年1月に、株の周囲に堆肥をまいておくとよいでしょう。土壌改善効果があり、生育がよくなります。 病害虫 比較的病害虫は少ない野菜です。夏頃にアブラムシが発生することがあるので、見つけ次第、早めに防除します。 病気はさび病や乾腐病などが発生するので、見つけ次第防除してください。 ニラの収穫 kungfu01/Shutterstock.com 種まきから育てた場合は、本格的な収穫は2年目からになります。生育の早い「グリーンロード」など、品種によっては1年目の秋からの収穫が期待できます。 葉は1年の間に、4~5回収穫できます。葉が20cm以上伸びたら、地際から3~4cmの位置で切ります。夏は収穫すると株が弱るので、控えたほうがよいでしょう。 夏頃に花茎が伸びて花が咲きますが、つぼみのうちに地際から3cmの位置で切れば、花ニラとして食べることができます。 ニラの作業 捨て刈り 古い葉を刈り取って、質のよい新しい葉を出させるための作業です。夏に収穫しなかった古い葉などを、地際から3~4cmの位置で切ります。秋の収穫の15日前を目安に行いますが、作業は9月上旬までに済ませてください。 植え替え(改植)・株分け 植えたままにすると、葉が小さくなってきます。植えてから3~4年後の春か秋に掘り上げ、株分けしてから別の場所に植えます。 根が動き始める2月下旬~3月上旬に行うのがおすすめです。根から5cmくらい残して残りの葉は切り、1株ずつに分けます。2週間前から土づくりしておいた場所に3株くらいずつまとめて植えますが、葉が触れ合わないように少し間隔をあけてください。 ニラの栽培ポイント BK_graphic/Shutterstock.com 日当たりのよい場所で育てる 肥沃で排水のよい土壌を好む 種まきから1年目は多く収穫できない 柔らかい葉を多く収穫するには、肥料をしっかり与える 花を咲かせると、株に負担がかかる 3~4年ごとに植えなおす 鉢やプランターで栽培できるので、ベランダなどでも育てられ、新鮮なニラを繰り返し味わうことができます。栄養豊富で多く収穫できるので、重宝することでしょう。病害虫も少なく、栽培に失敗することも少ないです。ポット苗などを入手すれば栽培は簡単なので、気軽に挑戦してみてください。
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育て方

その挿し木、じつは間違ってるかも? 初心者によくある失敗と成功のコツ
挿し木とは kobkik/Shutterstock.com 枝や葉、根などの植物体の一部を切り取り、用土や水に挿して発根させる増やし方が挿し木です。草本植物の場合は、挿し芽として区別することもあります。 挿し木による繁殖は親の形質をそのまま受け継ぐので、品種の維持に適しています。また種まきからの実生苗と比べて開花や結実が早いというメリットがあります。一方、挿し木のデメリットは、実生苗と比べて根が深く伸びず短命な傾向があり、種まきによる繁殖と比べて大量生産するうえではコストがかかりやすいです。 植物の種類によっては挿し木が不可能な場合があります。また挿し木が可能でも、適当に枝を切って庭などに挿すだけで発根するものから、厳密な管理をしてやっと少数が発根するものまでさまざまです。 挿し木の基本用語 Kazakova Maryia/Shutterstock.com 挿し木に関連する専門用語があります。よく使う用語を紹介します。 挿し穂 挿し木に使う枝や茎のことです。 挿し床 用土を入れた鉢や育苗箱など、挿し木をするための場所です。 葉挿し 葉を切って用土の上に置いたり、一部を埋めて発根させる方法です。可能な植物は限られます。 根挿し 太い根を切り分けて繁殖する方法で、可能な植物は限られます。 天挿し 頂芽挿しの別名があり、一番上の芽がついた枝を切って挿すことです。 水挿し 挿し穂を用土ではなく、水につけて発根させる方法です。 植物によって違う挿し木の方法 La Huertina De Toni/Shutterstock.com 挿し木はすべて方法が同じで、梅雨時期に挿し木して多湿気味に保てばよいと思っている人が多いようです。また挿し木に関する初心者によくある失敗例として、観葉植物を冬場に挿し木する、日なたの風当りの強い場所で挿し木する、適当に枝を切ってそのまま挿すなどがあります 挿し木は、すべての植物が同じ方法ではありません。種類によっては梅雨の時期以外に挿し木を行い、乾かし気味に管理することもあります。挿し木の適期や、挿し穂の調整方法、挿し木後の管理などは、植物の種類などによって大きく異なります。それぞれの栽培適地や生育適温などの条件の他、落葉樹や常緑樹、草本植物など植物の形態なども、挿し木の方法に影響する重要なポイントになります。特に乾燥地に適応した多肉植物は、他の植物と挿し木の方法が大きく違うので注意してください。 挿し木の適期 VH-studio/Shutterstock.com 挿し木は生育期に行うのが基本です。ただし樹木類は例外も結構あります。落葉樹は、生育期前の2月中旬~3月頃に行うことができます。 春が挿し木の適期の植物が多いですが、熱帯植物の中には夏が適期の種類もあります。また冬でも生育する種類は、冬に挿し木が可能です。 電熱マットなどの保温器具があれば、冬でも室内で挿し木ができます。適温が保てれば、他の季節より挿し穂が腐りにくいというメリットがあります。 挿し穂の調整 Natallia Ustsinava/Shutterstock.com 挿し穂は健全で充実した枝や茎を使い、5~12cmくらいの長さで切ることが多いです。樹木類は半木質化した枝を挿し木に利用することが多いですが、例外も多いです。 硬い木の枝は、切り口が斜め45度になるように切ります。柔らかい木の枝や草花類の茎は、斜めに切ると用土にさす時に切り口を傷めるので、水平に切ります。 上部の葉を残し、余分な下葉を切り取ります。挿し穂の長さの半分程度の葉を切るか、葉を3枚程度残します。また大きすぎる葉は半分に切ります。 葉からの蒸散により水分がなくなるので、葉が多いとしおれやすくなります。一方、葉をすべて切ると、発根が遅れます。 メネデールなどの活性剤を薄めた溶液で1~2時間程度水あげすると、発根しやすくなります。また挿し穂の切り口に発根剤をつけると、挿し木の成功率が高くなることが多いです。挿し木が難しい植物は、発根剤の使用がおすすめです。 挿し穂は1/3くらいの長さをおおよその目安に用土に挿します。 挿し木後の管理 Aleksandra Cheremisova/Shutterstock.com 多くの植物は、明るい日陰の風当りの弱い場所に置きます。日光を好む植物でも強い日光に当てるのは避けます。 水やりは乾かさないようにしっかり与え、多湿気味に管理するのが一般的です。ただし蒸れを嫌う植物は適度に風通しのよい適湿な環境がよく、挿し木後1週間くらいからは用土の表面がやや乾いたら水やりします。 多くは1~2カ月後に発根しますが、半年近くかかることもあります。小さなポット鉢などに挿し穂を鉢上げ(植え付け)しますが、使用する用土には、いくつか注意点があるので、以下の項目を参考にして用意してください。 挿し木に使う用土 清潔で肥料分の少ない用土を使うのが基本です。赤玉土小粒や鹿沼土、砂、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、ミズゴケなどを使い、これらを混ぜて使うこともあります。 腐葉土や堆肥は、雑菌や有害物質によって挿し穂が腐りやすくなるので、挿し木には使いません。また肥料も施すと悪影響になるので、与えません。一般的な培養土は肥料や堆肥などが含まれるので、使用は避けてください。 パーライトやピートモスは単用では扱いにくいので、他の用土と混ぜて使うとよいでしょう。配合例として、粉状のパーライトとバーミキュライトを等量ずつ混ぜた用土は、挿し穂がビッチリとよく固定されます。赤玉土や鹿沼土にピートモスを3割から半分程度混ぜると、乾きにくい用土になります。 適度に乾燥させたほうが成功しやすい種類は、赤玉土小粒や鹿沼土、砂などを単用で使うのがおすすめです。 観葉植物の挿し木 denise1203/Shutterstock.com 観葉植物は、熱帯のジャングルなどが原産のものが多いです。そのような植物は、暖かい時期に多湿な環境で挿し木してください。具体的には、6月から9月までの温度が高い時期に、室内や屋外の風当りの弱い軒下などの明るい日陰に置き、水やりを多めにして管理します。空気が乾燥する場合はビニールなどで覆うか、こまめに霧吹きして湿度を保ちます。 多肉植物の挿し木 Christina Siow/Shutterstock.com 他の植物と、方法がかなり違うので注意してください。枝のある種類を挿し木する場合は、挿し穂を切ってから必ず明るい日陰で3~4日くらい切り口を乾かしてから挿します。赤玉土小粒や砂などの水はけのよい用土に挿し、発根するまで水やりしないでください。発根したら用土の表面が湿る程度に水やりし、用土の表面が乾いてから次の水やりをします。葉ざしも同様に発根するまでは水やりせず、発根後から徐々に水やりします。 観葉植物として扱われるサンスベリアやハートカズラなどは多肉植物でもあるので、多肉植物と同様の方法で挿し木します。 ハーブの挿し木 La Huertina De Toni/Shutterstock.com ラベンダーやローズマリー、タイムなどのハーブ類は風通しのよい場所を好み、蒸れを嫌います。挿し木後に多く水やりしたり多湿にすると、挿し穂が腐って失敗しやすくなります。 挿し床は適度に空気の循環のある適湿な場所に置くようにしてください。ビニールなどで密閉すると、かえって失敗します。用土は水はけのよい赤玉土小粒や鹿沼土、砂などを使います。水やりは用土の表面がだいたい乾いてから行ってください。常に用土がよく湿っていると腐ります。 日当たりのよい乾燥気味の草原などが原産の草花類も、ハーブ類と同様の方法で挿し木します。南アフリカ原産のガザニアやゼラニウム、カナリア諸島原産のマーガレット、北アメリカ原産のルドベキアやエキナセアなど多くの種類が多湿な環境を嫌います。 ゼラニウムは梅雨時に挿し木すると腐りやすいです。梅雨時に挿し木する場合は、切り口を1日程度乾かしてからさし、発根するまではやや乾燥気味に管理します。 水挿しのすすめ Mila Naumova/Shutterstock.com 切った枝は、水につけても発根します。清潔なのでテーブルの上などに置くことができ、根が出てくる様子を見るのも楽しいことでしょう。コップに水道水を入れ、調整した挿し穂を長めに切って挿します。 ニチニチソウやユーフォルビアなど切り口から白い乳液が出る植物は、10分ほど水につけて乳液を落としてから水挿ししてください。観葉植物のシェフレラなどは油分が多く水が腐りやすいので、避けたほうがよいです。 水挿ししたコップは、明るい日陰に置きます。コップを日光に当てると水温が上がりすぎたり、腐敗するので注意してください。コップの水が濁ってきたら、水を入れ替えます。 発根した挿し穂をそのまま用土に植えると、根が土から水分を吸収することに適応していないので、しおれてしまうことが多いです。下葉をとって葉の量を1/3から半分程度減らした後に用土に植えてください。 挿し木を成功させるためのポイント Mariia Boiko/Shutterstock.com 植物によって挿し木の方法が異なる 挿し木では発根しない植物がある 挿し穂の調整を必ず行う 用土は必ず清潔な用土を使う 挿し木後は、種類によっては適度に乾かす ハイビスカスは春に適湿な環境で挿し木するとよく、ブーゲンビレアは夏に多湿な環境で挿し木するとよく発根します。同じ熱帯植物ですが、それでも種類によって挿し木の方法は異なります。挿し木を成功させるには、できるだけ情報を集めてから行うとよいでしょう。 水ざしするだけで発根する植物も多くあります。いろいろ試してみるのも楽しいかもしれません。まずは野菜として購入したバジルやクレソン、クウシンサイなどから挑戦してみてください。
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宿根草・多年草

春から秋までずっと満開! 長く楽しめる宿根草「エリゲロン」の育て方と人気品種
エリゲロンの基本情報 Martin Fowler/Shutterstock.com 学名:Erigeron英名:Erigeron和名:ペラペラヨメナ、アズマギクなど科名:キク科属名:エリゲロン属(ムカシヨモギ属)原産地:北アメリカ原産が多い形態:多年草、一年草 エリゲロンの仲間は、約460種が世界に広く分布する多年草、または一・二年草です。北アメリカ原産の種類が多く、海沿いの地域から高山性の種類まで多様です。 身近に見られる花がきれいな雑草のハルジオンやヒメジョオンも同じ仲間で、いずれも園芸植物として渡来したものから野生化しています。エリゲロンの代表的な種類のカルビンスキアヌスも丈夫で繁殖力が強く、関東地方以南で野生化しています。ほかに栽培されるのは、北アメリカ原産のグラウカスやスペシオサスなどの種類、また、その園芸品種、国内の高山に自生するミヤマアズマギクなどがあります。流通量は少ないですが、丈夫で美しい花がよく咲くものが多いので、今後のさらなる普及が見込まれます。 エリゲロンの特徴・性質 pixel creator/Shutterstock.com 園芸分類:草花草丈:5~70cm開花期:5~7月に咲くものが多い耐暑性:強い~普通(高山性の種類は弱い)耐寒性: 強い 草丈は50~70㎝ほどまで背が高くなるものから、地面を低く覆うように伸びるものまで、種類によって性質はさまざまです。 花びらの色は、白やピンク、紫、青、黄、オレンジ、赤など多種多様で、明るく華やかな印象の花が多いです。夏の高温多湿を嫌い、乾燥や寒さには強い種類が多いです。高山性の種類は栽培がやや難しいですが、エリゲロンの名の宿根草として一般的に栽培される種類は比較的育てやすいです。中でも、カルビンスキアヌスは環境適応性が高く、特に丈夫で放置気味でも育ちます。 寒さには強いので、寒冷地のほとんどの地域で栽培できます。ただし水はけの悪い場所は、冬に傷みやすいです。 エリゲロンの種類・園芸品種 エリゲロン・カルビンスキアヌス Erigeron Karvinskianus Tom Meaker/Shutterstock.com メキシコからパナマ原産で、春から秋まで長期間花が咲く丈夫な宿根草です。花径2cmほどの小花は白からピンクに変化して美しく、白と赤みがかったピンクの二色咲きに見える様子から、ゲンペイコギク(源平小菊)の名前があります。 茎は細かく枝分かれして低くマット状に広がり、グラウンドカバーや花壇の前面などに最適です。白とピンクのカスミソウのような柔らかい雰囲気があり、いろいろな草花と合わせやすいです。 こぼれ種でよく増え、他の植物が育ちにくい石の間のわずかな隙間からも芽が出て、よく繁殖します。選抜品種の‘プロフュージョン’や、斑入り葉の品種なども流通しています。 ‘アズール・フェアリー’ Erigeron speciosus 'Azure Fairy' APugach/Shutterstock.com カナダからアメリカ、メキシコ原産のスペシオサスの選抜品種です。爽やかな青色の花が美しく、苗の流通が増えています。茎は直立して伸び、草丈40~50cmほどになります。5~7月に花径3cmほどの花を多く咲かせます。 エリゲロン・グラウカス Erigeron glaucus iPlantsman/Shutterstock.com カリフォルニア州からオレゴン州の沿岸地域が原産の多年草です。海岸に自生するため、シーサイドデージーの英名があります。草丈は15~30cmで、低いマット状によく茂って、花径5cmほどの花が初夏頃を中心に長く咲きます。花色はピンクや青、白など変異があります。 グラウカスの園芸品種には、コンパクトな株姿で薄い青色の花が咲く‘ビーチボーイブルー’などがあります。 ‘ロサ・ジュエル’ Erigeron 'Rosa Juwel' RukiMedia/Shutterstock.com ピンクの大輪の花を咲かせる種間交配種です。草丈50~70cmになり、花は6〜9月に咲きます。 エリゲロン・オーランティアカス Erigeron aurantiacus Robert Buchel/Shutterstock.com カザフスタン原産の多年草です。黄色やオレンジ、赤色などの鮮やかな花が咲き、国内では主に赤色の花が流通しています。開花期は5~7月です。草丈30~40cmで、やや乾燥気味の場所を好みます。 エリゲロン・オウレウス ‘カナリー・バード’ Erigeron aureus 'Canary Bird' Todd Boland/Shutterstock.com 北アメリカのオレゴンからカナダ西部原産のオウレウスの園芸品種で、草丈5~10㎝ほどとコンパクトな多年草です。夏に明るい黄色の花が咲きます。 ミヤマアズマギク Erigeron thunbergii ssp. glabratus backpacking/Shutterstock.com 山野草として栽培されるアズマギクの高山性の亜種で、本州中部から北海道の高山の砂礫地などに自生します。花色は薄い青色から青色、白まで変異があります。夏の暑さや蒸れに弱く、栽培は上級者向けです。花が美しいので人気があり、ネット通販などで入手できます。 エリゲロンの栽培12カ月カレンダー 植え付け:3~5月、9月下旬~11月上旬植え替え:3~4月、10月株分け:3~4月、10月肥料(鉢植え):4月、10月剪定:3月、11~12月 エリゲロンの栽培環境 Peter Turner Photography/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりと風通しがよく、乾燥気味の場所が適します。風当りの強い吹きさらしのような場所やロックガーデンなどに最適です。午前中だけ日光が当たる半日陰でも育ちますが、花付きは悪くなります。 排水がよく肥沃でない土壌が適します。砂利を敷いたような場所や砂礫地、石の隙間などで、引き締まった花付きのよい株に育ちます。 鉢植えは日当たりと風通しのよい場所に置きます。鉢を地面に直接置くと蒸れやすいので、高い位置に置くとよいでしょう。夏に調子が悪い株は西日を避けた半日陰の涼しい場所で管理してください。 カルビンスキアヌスは非常に丈夫で環境適応性が高いです。適した環境でなくても枯れにくく、明るい日陰でも少しの花を咲かせることがあります。 生育温度 生育温度の目安は15~25℃です。春と秋に最もよく生育します。多くの種類は高温多湿を嫌うので、夏は涼しく風通しのよい場所に置くとよいでしょう。 冬越し 寒さに強く、寒冷地でも栽培できます。冬越しのために対策する必要は特にありません。 エリゲロンの植え付け(地植え) APugach/Shutterstock.com 植え付け 植え付けの適期は、春の3~5月と秋の9月下旬~11月上旬です。丈夫なカルビンスキアヌスは適期が長く、3~6月、9月~11月上旬です。 水はけのよい場所が適するので、あまり排水のよくない場所では周囲より高めに土を盛って植え付けるとよいでしょう。専用のガーデンフレームなどを使うと、手軽に見栄えのよい花壇を作れます。また粘土質などの排水の悪い土壌は、軽石や砂などを足して土壌改良してください。 地植えした株の掘り上げ 植えたままにすると株が大きく育ち、蒸れやすくなります。2~3年ごとに1回、春の3~4月か秋の10月に株を掘り上げ、株分けしてから植え直してください。 エリゲロンの植え替え(鉢植え) Richard Griffin/Shutterstock.com 植え替え 大株になると腐りやすいので、1~2年に1回、春の3~4月か秋の10月に株分けしてから植え替えます。根鉢をくずして株を半分に分け、同じサイズか一回り小さな鉢に植えます。 ポット苗を購入した場合は、根鉢をくずさずそのまま一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。根鉢をくずさない場合とカルビンスキアヌスの植え替えの適期は、春の3~6月、または秋の9月~11月上旬です。 用土 水はけのよい用土が適します。赤玉土6:腐葉土2:軽石2を混ぜた用土や、一般的な草花用の培養土と山野草用の培養土を半分ずつ混ぜた用土などを使います。特に丈夫なカルビンスキアヌスは、一般的な培養土だけでもよいでしょう。 ミヤマアズマギクなど高山性の種類は、山野草用の培養土が適します。 エリゲロンの育て方・日常の管理 APugach/Shutterstock.com 水やり 地植えした場合は、水やりの必要はほぼありません。 鉢植えは、必ず用土の表面が乾いてから水やりします。水やりの回数が多いと過湿で根腐れするので、注意してください。 肥料 痩せた土壌で育つ植物なので、地植えした場合は肥料を与える必要はほとんどありません。肥料が多いと花があまり咲かずに枝葉ばかりがよく茂るようになり、蒸れやすくなります。 鉢植えは春の4月頃と秋の10月頃に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量の半分程度与えてください。 病害虫 病害虫の発生は少ないです。日照不足の場所などではアブラムシが発生することがあります。また風通しが悪く多湿にすると、スペシオサスの系統などはウドンコ病が発生します。 エリゲロンの作業・手入れ Tria Maret Aryuni/Shutterstock.com 花がら摘み 咲き終わった花は、そのままにすると枯れて見苦しくなります。こまめに摘み取るようにすると風通しがよくなり、花も長く咲きやすくなります。 増えすぎた株の撤去 カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えて、思わぬところから繁殖します。定期的に見回って余分な株は抜き取るといいでしょう。 エリゲロンの剪定 BOULENGER Xavier/Shutterstock.com 生育期前の早春頃に、地際に近い新芽が見える位置まで強く刈り込みます。寒冷地以外の地域では、晩秋の11月頃にカルビンスキアヌスに枯れた部分が目立つてきたら、地際近くまで刈り込んでください。他の種類も強い刈り込みを晩秋に行ってもよいでしょう。 枝葉がよく茂って風通しが悪くなると、夏の高温多湿や雨が長く続いた時に蒸れて腐ることがあります。夏前頃に全体を半分から1/3くらいまで残してバッサリと刈り込むと、トラブルが少なくなります。開花中の株は、花がら摘みも兼ねて花が咲き終わった茎をこまめに半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。 エリゲロンの増やし方 Andrew Fletcher/Shutterstock.com カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えます。意図しない場所に出た株を掘り上げて増やすことができます。 ほかの種類は、主に株分けで増やします。カルビンスキアヌス以外の種類は、大株に育つと蒸れて枯れやすくなります。春の3~4月、または秋の10月に行う植え替えなどの作業と同時に株分けしてください。2~3株に切り分けてから植えますが、秋に行う場合は地上部を1/3程度まで刈り込んでから作業してください。 エリゲロンの栽培ポイント APugach/Shutterstock.com カルビンスキアヌスは特に性質が丈夫 日当たりと水はけ、風通しのよい場所を好む 夏の蒸れや多湿を嫌う 肥料は控えめに カルビンスキアヌスは数ある園芸植物の中でも特筆すべき丈夫さで、放置してもよく育つ場合が多いです。開花期間も春から秋まで長く咲くので、重宝します。ほかの種類は夏の高温多湿には注意したほうがよいですが、あまり手間がかからず開花期間も比較的長いです。流通量は少ないですが、ネット通販などを利用すれば入手できる場合が増えています。エリゲロンは可憐な花をたくさん咲かせるものが多く、花色も豊富なので、コレクションしても楽しいでしょう。





















