小川恭弘 -園芸研究家-
小川恭弘 -園芸研究家-の記事
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宿根草・多年草

初心者でも失敗しない! 丈夫で育てやすい洋ラン「オンシジウム」の栽培ポイントとQ&A
オンシジウムの基本情報 Ngan/Shutterstock.com 植物名:オンシジウム学名:Oncidium英名:Dancing Lady Orchid 、Dancing Doll Orchid別名:オンシジューム科名:ラン科属名:オンシジウム属原産地:熱帯・亜熱帯アメリカ形態:多年草 花をスカートを広げて踊る女性に見立てて、ダンシングレディオーキッドの英名があります。丈夫で寒さに強く、黄色い花を咲かせる交配種が以前より多く流通しています。花は1カ月間ほど開花し、黄色のボリュームのある花は切り花としても多く利用されています。 近年は、小型で花色のバリエーションもあり、香りもよい品種がよく流通しています。どれも丈夫で育てやすいので、初心者におすすめの植物です。 一般にはあまり流通しませんが、趣味家に人気がある高温性の種類もあり、バルブが小さく多湿を好むので、最低温度を10~15℃以上保つように育てます。 オンシジウムの特徴・性質 撮影:小川恭弘 園芸分類:ラン開花時期:12~1月、4~6月、9~10月(種類による)草丈:15~70cm耐寒性:弱い 耐暑性:普通花色:黄、ピンク、赤、オレンジ、クリーム オンシジウムは、木の幹に根を張り付けて生育する着生ランです。原産地では湿地付近や山岳地帯の東側斜面の樹木などに自生しています。 茎が膨らんだ部分をバルブと呼び、株元のバルブに水分や栄養を貯めています。 鉢植えとして主に流通するのは、葉が薄い「薄葉系」と呼ばれる系統のオンシジウムです。株元のバルブに1~2枚の葉を付けます。開花期は種類や品種によりさまざまです。丈夫で育てやすく、室内で比較的簡単に冬越しします。 オンシジウムの仲間・品種 現在の分類では、多くの種類が他属や新しい属に移行しています。以前のオンシジウムの主流の種類(Onc. flexuosum やOnc. varicosumなど)は、ゴメサ(Gomesa)属に移行しています。またオドントグロッサム属やコクリオダ属は無くなり、オンシジウム属他に移行しています。 オンシジウム・アロハイワナガ Oncidium Aloha Iwanaga PAUL ATKINSON/Shutterstock.com 以前から最もよく流通する大型の定番品種です。不定期咲きですが、栄養状態がよいと年に2~4回開花します。切り花にもよく利用されますが、花茎があまりのびず、鉢植えにも最適です。 オンシジウム・フレクスオサム Oncidium flexuosum ( =Gomesa flexuosa ) Andi P.P/Shutterstock.com ブラジルやアルゼンチン、パラグアイ原産で、さまざまな園芸品種の元になった原種です。開花期は秋から冬です。 オンシジウム・トゥインクル Oncidium Twinkle Gulsina/Shutterstock.com 花にバニラの芳香のある小型の交配種です。性質は強健で育てやすく、花も咲きやすいです。花色はクリーム色のほか、黄色やピンク、赤などがあります。開花期は冬から春です。 オンシジウム・ケイロホルム Oncidium cheirophorum PAUL ATKINSON/Shutterstock.com 中南米原産で、高さ15~20cmほどの非常に小型の種類です。寒さに強く丈夫で、花付きもよいです。黄色の花は冬に開花します。 オンシジウム・オーニソリンカム Oncidium ornithorhynchum NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com メキシコ、グアテマラ原産の小型種です。丈夫で育てやすく、芳香のある花は秋から冬に開花します。交配に使うと、香りのよい品種が生まれます。 オンシジウムの栽培12カ月カレンダー 植え替え適期:4~5月肥料:5~10月 オンシジウムの栽培環境 TiiBKK/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 強い直射日光は避けますが、できるだけ明るい場所で育てます。1年中室内に置いても育てられますが、5~10月は風通しがよい屋外で育てるのが理想的です。吊り鉢にするとよく育ち、病害虫などによるトラブルも少ないです。屋外では30%程度の遮光下に置き、風通しのよい場所に置きます。室内ではレースなど薄手のカーテン越しくらいの日光に当ててください。 夏に暑さが厳しい場合や風通しが悪い場所では、50~70%程度遮光してください。室内ではカーテン越しの日光が当たる場所か、北側の窓辺に置きます。夏の閉め切った室内では、温度が上がりやすい南や西側の窓付近に置くのは避けたほうがよいでしょう。 生育温度 15~30℃が生育温度の目安です。夏に遮光下に置けば、暑さで弱ることも少ないです。 冬越し 0℃付近まで温度が下がっても耐えますが、株が傷むことも多いです。11月からは室内に置き、最低温度を5℃以上に保つようにしてください。 葉焼けの心配がないので、窓越しの日光によく当てるとよいでしょう。ただし窓の近くは屋外と同じくらい冷える場合があります。冷え込みの厳しい時は、窓から離れた場所に移動させるとよいでしょう。 関東地方南部や都心部では、建物の南側近くなどの条件のよい場所で屋外でも越冬することがあります。ただしひどく株が傷んで枯れることも多いので注意しましょう。 オンシジウムの育て方・日常の手入れ wisely/Shutterstock.com 水やり 5~10月の成長期の水やりは、植え込み材料が完全に乾燥するような頻度では水不足になります。カトレアなど他の洋ランと比べて水を好む傾向があります。水不足でバルブにシワが増えている状態では、花も咲かなくなります。 ミズゴケで植えている場合は、表面が乾き始めたらたっぷり水やりしてください。環境や株の状態にもよりますが、乾燥する夏などは毎日与えてもよいでしょう。またミズゴケを完全に乾燥させた場合、うまく水分を吸収させるため、一晩ほど鉢を水につけてください。 ミックスコンポストで植えている場合は、ミズゴケ植えより乾きやすいです。春から秋の晴れた日は毎日与え、冬は表面が乾いたら水やりします。 冬に最低温度が10℃以下になる場合は、ミズゴケやミックスコンポスト(*)が乾いてから水やりしてください。 *ミックスコンポストとは、赤玉土やバーク、軽石、炭などの複数の素材を混合した、排水性と通気性に優れた園芸用の植え込み材料のこと。 肥料 成長期の5~10月に、3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の液体肥料を規定の倍率で1週間に1回与えます。 ランは草花類の鉢花や観葉植物などより薄めの倍率で与えるので、混同しないよう注意してください。目安として1,000倍程度に薄めて使用することが多いですが、必ず肥料のパッケージに記載された説明をよく読んで使用してください。また夏の猛暑などで株の調子が悪い場合は、肥料を与えないでください。 病害虫 屋外では花茎にナメクジなどの食害やアブラムシが発生することがあります。適用のある薬薬剤等で防除してください。 またカイガラムシが発生することもあります。見つけ次第、ブラシなどでこすり落としてください。 バルブが腐って枯れる軟腐病が発生することがあります。長雨に当てたり、植え替え後に水やりが多いと発生しやすいです。吊り鉢にするなど通風のよい場所で育てると発生を防げます。薬剤はストレプトマイシンなどの抗生物質を使用して防除します。 オンシジウムの作業 hasun chathu/Shutterstock.com 用土と鉢 通気性のよい素焼き鉢にミズゴケ、またはプラスチック鉢にラン用のミックスコンポストの組み合わせで植えます。鉢はやや小さめのサイズが適します。 生育に定評があるのはミズゴケ植えです。ただし水の与えすぎや、乾くと水が浸透しにくいので注意してください。 初心者でも植えやすいのはミックスコンポストです。乾燥しやすくミズゴケより水やりの頻度が多くなります。水やりが多すぎる傾向がある人におすすめです。 植え替えと株分け 株が鉢からはみ出したり、植え込み材料が古くなったら植え替えます。植え替えをしないと生育が悪くなり、立ち枯れなども多くなります。目安として2~3年間隔で植え替えてください。 植え替えの適期は、春の4~5月ですが、秋の9月中旬~10月中旬にも行うことができます。 混み入った株は、バルブを3個ほどつけて分けます。古い植え込み材料は丁寧に取り除き、新芽が伸びる方向をあけるように植えます。 増やし方 葉のない古いバルブは、切り離してミズゴケで植えつけると新芽を出します。 オンシジウムのQ&A Huy Thoai/Shutterstock.com Q バルブがしおれている、シワが多い 花後にしおれてきた場合は、バルブの水分を使って消耗したためと考えられます。単なる水不足なので花茎を切り、正しく水やりすれば回復します。開花中は霧吹きするほか、早めに花茎を切って、切り花で楽しむとバルブの消耗を防げます。 次に単なる水やりの不足が考えられます。水やりの頻度を多くしてください。またミズゴケは乾燥すると水分をはじくので注意してください。 根腐れの可能性もあります。水やりや肥料が多すぎると根腐れします。また植え替えせず植え込み材料が古くなっても根が傷みます。基本的な管理を見直してみてください。 Q 花が咲かない 花が咲かない原因として、日照不足がまず考えられます。葉焼けしない範囲でできるだけ明るい場所に置きます。 次に水やり不足も考えられます。ミックスコンポストなどで植えられている場合は、乾燥しやすいので注意してください。 オンシジウムは丈夫なので、以上の2点が改善されれば花が咲くことが多いです。その他の原因として肥料や水のやりすぎによる根腐れなども考えられます。 オンシジウムの栽培ポイント Janelle Lugge/Shutterstock.com 春から秋の成長期は、植え込み材料を完全に乾かさないように水やりする ミックスコンポストは乾きやすい できるだけ明るい場所で育てるが、強い直射日光は避ける 吊り鉢にすると病害虫の発生を防げ、生育もよい 丈夫で育てやすく、花も咲きやすいオンシジウム。初心者にもおすすめの洋ランです。バルブに水分をためるので、旅行などで短期的に乾燥しても問題ないのも魅力的です。耐陰性もあるので室内でもよく育ち、開花させるのも難しくありません。インドアプランツにも最適なオンシジウムの栽培にぜひ挑戦してみてください。
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樹木

ハリー・ポッター「ニワトコの杖」の正体! 魔法の木「エルダー」の意外な伝説と育て方
エルダーの基本情報 crystaldream/Shutterstock.com 植物名:エルダー学名:Sambucus nigra英名:Elder、Elderflower、Elderberry和名:セイヨウニワトコその他の名前:エルダーフラワー、サンブカス、Pipe tree、セイヨウセッコツボク(西洋接骨木)科名:レンブクソウ科属名 ニワトコ属原産地:ヨーロッパ、西アジア、形態:低木 ヨーロッパや西アジアなどの広い地域が原産の、落葉性低木です。美しい白い花やブルーベリーにも似た黒い実は食用や飲料、ソースなどさまざまに利用でき、花や実、葉と根まで薬用になります。万病に効果のある優れた薬用植物として、古くはエジプト文明時代やローマ時代から利用されてきました。ヨーロッパでは“田舎の薬箱”と言われ、生活に欠かせないハーブとして使われます。 昔から親しまれてきたエルダーには、さまざまな伝承があります。魔法の杖の木や精霊が棲む木、魔女の薬草、悪魔の木などと言われ、魔除けにも使われてきました。ちなみにハリーポッターの魔法の杖もニワトコから作られたそうです。 黄金葉や黒葉などの園芸品種がありますが、サンブカスの属名で流通することがあります。 エルダーの特徴・性質 Anastasiia Malinich/Shutterstock.com 園芸分類:庭木・庭木、ハーブ開花時期:5〜6月樹高:3~8m耐寒性:強い耐暑性:やや弱い花色:白 木の材質は堅いですが、若い枝は芯が抜きやすく、パイプツリーの別名があります。葉は羽状複葉で、枝の先端に花を咲かせます。生育が早いですが、樹齢は比較的短命です。自生地などでは樹高10m近くになりますが、園芸品種はそこまで大きく成長しません。剪定には強いので、定期的に切り戻す剪定をすることによって、扱いやすい高さに保つようにします。 病害虫に強く、環境が合えば放置気味で育つことが多いです。ただし乾燥が激しい場所は弱りやすく、水はけの悪い土壌では根腐れをおこしやすいです。また、風通しの悪い場所や、枝葉が茂りすぎると、夏に高温多湿で蒸れて弱ることがあります。 エルダーの利用方法 Madeleine Steinbach/Shutterstock.com 黒く熟した実は、ジャムやソースになります。ビタミンCやポリフェノールなどを豊富に含み、免疫力や体力を高めて健康の維持によい効果が期待できます。エルダーベリーのエキスやサプリメントなどが市販されています。 花はハーブティーやシロップ、ゼリーなどの香りづけに利用できます。特にハーブティーは、マスカットの香りと風味のする美味なハーブティーと言われます。薬効も期待でき、風邪の初期症状やアレルギーの緩和、感染症の予防効果などがあります。 花を砂糖などと煮詰めたシロップは、エルダーフラワーコーディアルとして市販品も流通します。 詳しい内容は、こちらの記事も参考にしてください。 エルダーの副作用・毒性 Anastasiia Malinich/Shutterstock.com 生の実は、軽度の毒があるので食べないでください。葉や樹皮は、食べるとひどい下痢になります。いずれも熱を加えることで毒性は消え、利用できるようになります。花も加熱して利用してください。未熟な実は一切食べないでください。 エルダーの仲間・品種 ‘オーレア’(ゴールデン・エルダー) Sambucus nigra 'Aurea' APugach/Shutterstock.com 黄金色の葉が美しい園芸品種です。春に葉の黄色味が強くなります。 ‘ゴールデン・タワー’ Sambucus nigra 'Golden Tower' photowind/Shutterstock.com 葉の切れ込みが深い黄金色のレース葉品種です。枝は横に広がらず、直立性の強い樹形になります。 ‘ブラック・レース’ Sambucus nigra 'Black Lace' Tatyana Bakul/Shutterstock.com 人目を引く黒い葉は細くレース状で、ほのかにピンク色がかった美しい花が咲きます。おしゃれな印象の庭づくりに最適です。肥料が多いと葉が緑色になりやすいです。 ニワトコ Sambucus sieboldiana 南西諸島を含む国内と、朝鮮半島やサハリンに分布します。実が赤くなるのが大きな特徴です。若い葉は山菜として知られ、天ぷらなど食用や民間薬として利用されます。黄金葉やレース葉の園芸品種があります。 エルダーの栽培12カ月カレンダー 開花時期:5〜6月植え付け・植え替え:2月下旬~4月肥料:5~6月、12月(鉢植え)剪定:12~3月挿し木:4~10月 エルダーの栽培環境 Spitzi-Foto/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日なたから半日陰の適度に湿り気のある場所を好みます。強い乾燥を嫌うので、夏の高温乾燥が厳しい場合は、鉢植えを西日の当たらない半日陰に移動してください。庭植えした株は、敷き藁などのマルチングで乾燥を防ぐとよいでしょう。また強風の当たりやすい吹きさらしのような場所は、避けたほうがよいです。 生育温度 寒さには強く、最低温度はマイナス20℃まで耐えます。5℃以上から生育が盛んになり、夏は35℃以下の温度が望ましいです。 気温が35℃以上の猛暑時は、葉先が枯れたり、葉焼けすることがあります。水切れさせると葉が傷みやすくなるので、水を十分与えて乾燥を防いでください。 エルダーの育て方・日常の手入れ Food Impressions/Shutterstock.com 水やり 鉢植えは、土の表面が乾いたら水やりしてください。夏に乾燥が激しい場合は、晴れた日は毎日水やりするとよいでしょう。 強い乾燥は嫌いますが、過湿にすると根腐れします。受け皿に水をためないようにしてください。また常に用土をよく湿らせていると、根腐れしやすくなります。 庭植えした場合は、ほぼ水やり不要です。ただし夏にひどく土壌が乾燥している場合は、水やりしたほうがよいでしょう。 肥料 鉢植えは春の5~6月と落葉後の12月に、3要素が等量の化成肥料などを与えます。庭植えは特に必要ありませんが、保湿と土壌改良を兼ねて牛糞堆肥をまくとよいでしょう。春の3~4月に株の周囲に軽くすき込んでください。 病害虫 ほとんど発生しません。 エルダーの作業 photowind/Shutterstock.com 剪定 成長が早いので、庭植えした株は剪定を怠ると大きくなり、枝葉も密に茂ります。毎年、成木は落葉期の12月~翌年3月に切り戻してください。扱いやすい高さに保ち、夏に蒸れて弱るのを防ぐことができます。 増やし方 4~10月に、挿し木で増やすことができます。枝を10~20cmほど切り、葉を3枚程度残して挿し穂とします。大きい葉は半分程度に切ってください。葉のない枝も発根しやすいです。 赤玉土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理すると、1カ月ほどで発根します。水挿しでもよく発根します。 植え替え 生育が旺盛なので、鉢植えは1~2年に1回、植え替えてください。 用土 弱アルカリ性の土壌を好みますが、比較的土壌を選ばず生育します。赤玉土小粒7:腐葉土3を混ぜた用土か、草花に広く使える一般的な培養土を使います。 植え付け 2月下旬~4月が植え付けの適期です。水はけがよく、適度に湿り気のある肥沃な土壌を好みます。成長が旺盛なので、小苗を植えつけても早く大きくなります。 直径と深さ30~50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土の1/3程度の量の腐葉土と一握り程度のくん炭、化成肥料を加えて混ぜ、植え土とします。やや高めに植え付けて支柱を立て、たっぷり水を与えて土と馴染ませてください。 エルダーの栽培・利用のポイント Jane Vershinin/Shutterstock.com 成長が早い 地植えした成木は、毎年切り戻す 夏の乾燥に注意 蒸れや土壌の多湿を嫌う 花や実などは必ず熱を通してから食用にする 観賞価値が高く、育てやすいエルダーは、庭木として魅力的です。薬効の高いハーブとして利用できるだけでなく、美味なハーブティーや実をジャムやソースに加工するなどしてさまざまに活用できます。エルダーを育てて、健康で素敵なガーデニングライフを楽しんでください。
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樹木

「青年の木」ユッカはなぜ初心者におすすめ?手間いらずで枯らさない育て方と置き場所
ユッカの基本情報 エレファンティペスの大木。Jordi Roy/Shutterstock.com 植物名:ユッカ学名:Yucca和名:イトラン科名:キジカクシ科属名:ユッカ(イトラン)属原産地:北アメリカ、中央アメリカ、バミューダ諸島形態:常緑低木 ユッカの仲間は、約50種類が知られています。比較的寒さに強いものが多く、造園に使われる種類も多いです。また、北アメリカの乾燥地域が分布の中心とされますが、中には熱帯雨林が原産の種類もあります。 観葉植物として主に育てられるのは、「青年の木」の名でも知られるエレファンティペスです。剣のような形の葉が上によく伸びる様子は、青年のような若さや力強さをイメージさせます。スピンレスユッカ(トゲのないユッカ)の英名があり、葉の先端にトゲがありません。葉が広がらないので場所をとらず、トゲの心配もないので、室内などで育てるには最適です。 自生地などで大きく育った株は、観葉植物として見るイメージとは違い、迫力ある株姿になります。 以前から庭木としてアツバキミガヨランやキミガヨランがよく植えられてきました。葉は鋭く尖りますが放置気味でよく育ち、花茎を長く伸ばして人目を引く美しい白花を咲かせます 最近はロストラタが造園用などとして流通します。おしゃれなイメージの植物として高価な価格で取引され、人気があります。他にもヨシュアツリーの名で知られるブレビフォリアなど、さまざまな種類が育てられるようになってきています。 ユッカの特徴・性質 aquatarkus/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物・庭木・多肉植物樹高:20~150cm耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白、黄色、緑 葉は放射状に付き、剣や針に例えられます。また多くの種類の葉は硬く厚みがあり、先端が尖ります。 根茎は多肉質で、ほとんどの種類が乾燥地に適応しています。乾燥気味に保てば寒さにも強く、成株は寒冷地でも地植えできる種類が多くあります。ただし観葉植物として育てられるエレファンティペスは寒さにあまり強くありません。 先端から花序を伸ばし、たくさんの花を咲かせます。花色は白が多いですが、種類によっては黄色や緑がかった色の花もあります。 小さなころの株姿は同じ科のアガベに似ていますが、成長につれて違いがよく分かるようになります。ユッカは幹が伸びて背が高くなる種類が多いです。またアガベは花が咲くと枯れてしまいますが、ユッカは開花後に枯れず、成株は毎年花が咲きます。 ユッカの仲間 多くの種類の葉は鋭く尖り、大きく広がるので、広めのスペースが必要です。 ユッカ・エレファンティペス Yucca elephantipes(=Yucca gigantea ) MAXSHOT.PL/Shutterstock.com 中央アメリカ、メキシコが原産で、高さが10m以上になります。夏頃に咲く美しい花は、エルサルバドルの国花とされます。原産地などでは花や茎の先端の柔らかい部分などが食用とされます。 環境適応性が高くトゲがないので、世界でも広く観葉植物として育てられます。観葉植物の中では寒さに強いほうですが、他のユッカに比べると耐寒性は強くありません。 ユッカ・ロストラタ Yucca rostrata Deena6/Shutterstock.com アメリカテキサス州、メキシコ原産で、世界でも広く植栽に利用される人気の種類です。日本のほとんどの地域で植栽可能なほどの耐寒性があるとされますが、雪が降り積もるような地域では鉢植えを室内で越冬させたほうがよいでしょう。また株全体をビニールなどで覆い、湿気を防ぐなどの対策も有効です。 アツバキミガヨラン Yucca gloriosa Vipul1989/Shutterstock.com アメリカ合衆国南部原産で、国内でも古くから最も多く植えられるユッカです。高さ2.5mほどに成長し、細長い葉は非常に硬く、先端は鋭いトゲがあります。マイナス20℃の低温に耐えると言われており、関東地方では地植えが十分可能です。6月頃と秋の2回開花することがあります。開花後に結実するので、関東南部の海沿いの地域などの暖地では帰化しています。 よく似たキミガヨラン(Yucca recurvifolia) も地植えにされますが、キミガヨランの葉はより薄くて柔らかく、少し垂れ下がります。 イトラン(フィラメントサ) Yucca filamentosa MemoSaBAM/Shutterstock.com アメリカ合衆国南東部原産で、高さ3mほどになります。イトランの和名は、葉の縁にねじれた糸状の繊維を出すことに由来します。初夏の頃に花茎が伸びて3mほどの高さになり、たくさんの白色の花を咲かせます。 ヨシュアツリー(ジョシュアツリー) Yucca brevifolia A. Viduetsky/Shutterstock.com アメリカ合衆国南西部、メキシコ北西部原産で、高さが10m以上になる大型種です。よく分枝して木のように見え、砂漠の中でも人目を引く存在です。絶滅が危惧される植物ですが、小苗や種子が少数流通します。栽培は難しく、夏に過湿などで突然枯れることがあります。 ユッカの栽培12カ月カレンダー 植え付け適期:5~6月植え替え適期:5~8月肥料:5~10月剪定:5~6月挿し木:5〜8月 ユッカの栽培環境 Alexeysun/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりと排水のよい場所を好みます。日光によく当てることで、剣状の葉が上方向に伸びる本来の株姿に育ちます。一方明るい日陰でも育ちますが、葉が細く間延びして垂れ下がるように育ち、ドラセナに似たような株姿になります。 生育温度 10~30℃が生育温度の目安です。夏の猛暑にも強いです。 エレファンティペスはマイナス3℃くらいまでの耐寒性があるので、室内なら容易に越冬します。関東地方南部の霜が降りにくい地域では屋外でよく越冬します。関東地方の多くの地域でも、屋外の雨や北風の当たらない軒下のような条件のよい場所などでは越冬します。 エレファンティペスは、熱帯の地域から太さ5~10cmくらいの幹がある苗を輸入し、芽を出させたものが流通しています。購入したばかりの鉢植えは根が少ないことが多く、寒さに比較的弱いです。暖地でも1年目は室内で越冬させてください。 ユッカの育て方・日常の手入れ Simol1407/Shutterstock.com 水やり 乾燥に強い植物なので、多く水やりする必要はありません。鉢土の表面が完全に乾いたら水やりします。ただし水やりする時は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えてください。 冬は乾かし気味に管理します。冬に水を与えすぎて過湿にすると、特に根腐れしやすいので注意してください。 肥料 5〜10月に3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。早く大きく育てたくない場合は、規定量の半分程度与えればよいでしょう。 病害虫 閉め切って風通しの悪い室内に長く置くと、カイガラムシが発生することがあります。見つけ次第ブラシなどでこすり落とし、薬剤などで防除してください。春から秋はできるだけ屋外でよく日光に当てたほうが、病害虫の発生を防ぐことができます。 ユッカの手入れ作業 Valerii Kolomiiets/Shutterstock.com 植え替え 根が肥大するので、植え替えを怠ると鉢が割れるほど根詰まりします。 管理方法によって植え替え間隔の目安が変わります。水や肥料を多めに育てている場合は、1~2年に1回、水や肥料を控え気味に育てている場合は、2~3年に1回植え替えてください。適期は5~8月です。 幹が数本寄せ植えになっている鉢植えは、根鉢を崩すと幹の安定が悪くなることがあります。幹がグラグラする場合は、倒れないように幹をすべてまとめて結束するとよいでしょう。 用土 観葉植物用、または多肉植物用の培養土が使えます。水を与えすぎる人は、多肉植物用の培養土を使うとよいでしょう。配合する場合は、赤玉土5:腐葉土3:軽石2の用土などが適します。 剪定・仕立て直し 伸びすぎた株は、幹を切り戻して仕立て直します。適期は5~6月です。何本かの幹が寄せ植えになっている鉢植えは、段差をつけて好きな位置で切り戻します。切り口の下の部分から新芽が出るので、バランスを考えながら切ってください。 同時に根鉢を崩して植え替えるとよいでしょう。 増やし方 5〜8月に挿し木で増やすことができます。枝を10cmくらいの長さで切り、赤玉土などに挿します。葉の付いた天芽は葉を半分くらいの大きさにカットしてください。1カ月くらいで発根したら、3号くらいの鉢に鉢上げします。 ユッカ栽培のQ&A Q ユッカ・ロストラタの鉢植えを早く大きく育てたい ZANTACUZ/Shutterstock.com 乾燥に強いので雨水だけでも育ちます。ただし水やりしないと生育は遅く、株の状態もよくありません。春から秋の生育期は、しっかり水やりしたほうが株姿もよくなります。また肥料も十分与えたほうが、早くよく育ちます。 用土も水はけがよいだけでなく、適度に肥料持ちのよい肥沃な用土のほうが生育が早いです。根詰まりすると生育が衰えるので、鉢もやや大きめのサイズが適します。 以上のようにロストラタの生産者は、水や肥料は多めに与えて育てます。ただし水やりや肥料が多いと根腐れで失敗しやすくなります。特に小苗は枯れやすいので注意してください。 Q 葉先が茶色く枯れてきました。株の生育も悪いようです。 植替えを行わず、放置しすぎたのが原因と思われます。ユッカは根が肥大するので、鉢の中が根でいっぱいになります。そのような状態では水分を十分吸収できないので、葉先から枯れこみます。 鉢から株を抜いて早めに根を整理し、早めに植え替えてください。 スタイリッシュで初心者も育てやすいユッカ horiyan/Shutterstock.com 暑さや寒さ、乾燥に強く、初心者や忙しい人におすすめの観葉植物です。庭木に使える種類は放置気味で育ち、美しい花も楽しめます。最近は迫力ある株姿が魅力のロストラタの人気が高く、注目されています。 ユッカは、室内やベランダ、庭など、さまざまな場所で楽しむことができます。またロストラタを玄関先などでシンボルツリーとして育てるのもいかがでしょうか?
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樹木

「暗い庭」をあきらめない! 日陰でも1年中緑を絶やさない常緑低木の「サルココッカ」
サルココッカの基本情報 FatimeBarut/Shutterstock.com 植物名:サルココッカ学名:Sarcococca英名:Sweet box 、Christmas box別名:コッカノキ科名:ツゲ科属名:サルココッカ属原産地:東アジア、ヒマラヤ、中央アメリカ形態:常緑低木 サルココッカの仲間は、ヒマラヤ、インドから中国、マレーシア、台湾に14種、メキシコとグアテマラに1種が分布します。中国原産の種類が多いです。 冬頃に甘い芳香のある白花を咲かせる種類が多く、花後に黒か紫、赤色などの果実を実らせます。常緑の葉が密に茂りますが、大きくなりすぎることはありません。コンパクトな樹姿のため、鉢植えやプランターにも適します。地植えでは、グラウンドカバーや低めの生け垣にも利用できます。 イギリスなどのヨーロッパでは人気のある樹木です。日本では近年になって栽培されるようなり、徐々に人気が高まっています。 サルココッカの特徴・性質 Tom Cardrick/Shutterstock.com 園芸分類:庭木、花木樹高:2m以内開花期:2~4月耐寒性:普通耐暑性:普通花色:白、部分的にピンクなど 多くの種類は大きくなっても1~2mほどの高さに収まります。生育が遅く樹形がまとまりやすいので、剪定の手間があまりかかりません。 艶のある葉は細長く厚みがあり、濃い緑色です。日差しが強すぎたり、ひどく乾燥すると葉色は黄色っぽくなります。 花は冬の2月頃から春の4月頃まで長く咲きます。花色は定番の白色のほか、部分的にピンクになるものがあります。花後にできる果実に毒性はなく、やや甘い香りがありますが食用には利用されません。 病害虫の被害が少なく、丈夫です。放置気味でもよく育ち、初心者でも育てやすいです。 サルココッカの種類と品種 サルココッカ・フーケリアナ Sarcococca hookeriana Maria Papworth/Shutterstock.com 中国~ネパール、チベットに広く分布します。直立した樹形で、樹高は1.5mほどです。香りのよい花が咲き、黒色の果実がなります。樹高70㎝ほどの矮性品種で分枝性に優れる‘ウインタージェム’やなどの品種があります。 サルココッカ・ルスキフォリア Sarcococca ruscifolia FatimeBarut/Shutterstock.com 中国が原産で、‘ドラゴン・ゲート’などの品種があります。コンパクトな樹形で、最大でも1mほどの大きさです。香りのよい白い花が咲いた後、鮮やかな赤い果実がなります。 サルココッカ・コンフサ(コンフューサ) Sarcococca confusa Peter Turner Photography/Shutterstock.com 中国西部原産で、1.5~2mほどの大きさに育ちます。枝葉がよく密集し、ゆったりと広がった株姿になります。黒色の果実は、5mmほどの大きさです。 サルココッカ・サリグナ Sarcococca saligna Md. Sala uddin Polash/Shutterstock.com パキスタン~ミャンマー、マレーシア、台湾などが原産です。樹高1mほどで、葉は細長い槍形です。緑がかった白い花には、わずかな芳香があり、花後に紫色の果実がなります。耐寒性がやや劣り、栽培可能な最低温度はマイナス5~マイナス10℃です。 サルココッカの栽培12カ月カレンダー 植え付け:4~6月、10~11月植え替え:4~6月肥料:5月 サルココッカの栽培環境 FatimeBarut/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 明るい日陰から午前中だけ日光が当たる半日陰が適します。吹きさらしのような風当りの強い場所は避けてください。 湿った土壌や水やりして乾燥させないように管理すれば、やや強めの直射日光に耐えます。 生育温度 15~28℃が生育に適した温度です。春と秋に最もよく育ちます。 冬越し 最低温度の目安はマイナス10~マイナス15℃です。冬の北風が当たりにくい場所なら、より低い最低温度に耐えます。冷たい北風が強く当たる場所は避けたほうがよいでしょう。東北地方や北海道南部の比較的温暖な海沿いの地域などでも植栽可能です。 サルココッカの植え付け・植え替え Peter Turner Photography/Shutterstock.com 植え付け 土質はあまり選びませんが、腐植質の多い肥沃で水はけのよい土壌を好みます。根鉢の3倍くらいの幅と深さの植え穴を掘り、掘り上げた土7に対して、腐葉土か堆肥などの有機物3を混ぜて植え土とします。 植え付けの適期は、春の4~6月と、秋の10~11月です。春に植え付けた場合は、初めて迎える夏に土壌が乾燥したら水やりしてください。 鉢植えの植え替え 2年に1回、4~6月に植え替えてください。根鉢を1/5程度軽くくずし、一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。 用土 多くの植物に使える一般的な培養土を利用するとよいでしょう。配合する場合は、赤玉土小粒7に腐葉土3を混ぜた用土を使います。 サルココッカの育て方・日常の手入れ Tom Meaker/Shutterstock.com 水やり 明るい日陰から半日陰に地植えした場合、根付けば水やりの必要はほぼありません。ただしひどく乾燥すると、葉が黄色くなります。長期間雨が降らず土壌が乾燥したら、適度に水やりするとよく育ちます。 鉢植えやプランターは、用土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。 肥料 多く与える必要はありませんが、花後に3要素が等量の緩効性化成肥料を与えます。春先頃に、株元の周囲に腐葉土や堆肥などの有機物を5cm程度の厚さで敷き詰めると乾燥が防せげて、生育もよくなります。 病害虫 目立った病害虫の被害はありません。 サルココッカの作業 Robert Buchel/Shutterstock.com 剪定 あまり剪定の必要はありません。大きくなりすぎたら春の開花後に剪定してください。 増やし方 6月に挿し木で増やすことができます。新しく充実した枝を10~15cmほどの長さで切り、新しい葉を2枚残して挿し穂とします。赤玉土小粒のような清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理してください。新芽がよく伸び始めたら、3号ポット鉢などに鉢上げします。 サルココッカの栽培ポイント Traveller70/Shutterstock.com 明るい日陰や半日陰で育てる 強風が当たりやすい場所は避ける 夏の強い乾燥に注意 強い日光や強風の当たる場所を嫌いますが、病害虫の被害が少なく、ローメンテナンスで場所をとりません。住宅街など限られたスペースでのガーデニングには最適な植物です。 近年栽培されるようになった樹木ですが、数少ない日陰で育つ常緑樹です。他の植物と相性がよく、あまり知られていないので目新しさもあります。派手な美しさはありませんが、花の少ない時期に咲く可愛い花は芳香が強いのも魅力です。通路沿いなどに植えて、花と甘い香りを楽しんでください。
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【プロが解説】今注目のオージープランツ「レプトスペルマム」入門。ギョリュウバイの仲間と最新品種&育て方
ギョリュウバイの基本情報 Peter Turner Photography/Shutterstock.com 植物名:レプトスペルマム学名:Leptospermum scoparium英名:New Zealand Tea Tree、Manuka和名:ギョリュウバイ(檉柳梅)別名:マヌカ、ニュージーランドティーツリー科名:フトモモ科属名:レプトスペルマム属原産地:ニュージーランド、オーストラリア南東部、タスマニア形態:常緑低木 ニュージーランドやオーストラリア南東部などが原産地の常緑低木です。白やピンク、赤の小花が冬から春にかけて長期間開花し、条件のよい場所で大きく育つと半年近く連続して開花します。一般には、冬頃に咲く花木のエリカなどと同様に、コンパクトな鉢植えとしてよく流通しています。ティーツリーの名がありますが、別属のメラレウカが同名でよく知られるので注意してください。園芸用の矮性品種が多く作出されていますが、国内では品種名の表記はほとんどなく流通しています。 オーストラリア東部原産で、アーチ状に伸びる枝に白花が多数開花するレプトスペルマム・ポリガリフォリウム。Rose Marinelli/Shutterstock.com 種間交配により、美しい花がたくさん咲き、育てやすい園芸品種が徐々に流通するようになってきています。またギョリュウバイが含まれるレプトスペルマム属の仲間も数種類ほど流通し、エキゾチックな雰囲気の花木として人気が徐々に高まっています。また、さまざまな種類や園芸品種が出回るにつれて、属名のレプトスペルマムの名で流通することが増えています。 ギョリュウバイの特徴・性質 Yvren22/Shutterstock.com 園芸分類:庭木、花木樹高:0.1~3m開花期:11月~翌年5月耐暑性:やや弱い耐寒性:やや弱い花色:白、ピンク、赤 細く小さい葉は革質で硬く、葉色は濃い緑から銅がかります。地植えすると、樹高3mほどまで大きくなります。オーストラリアやニュージーランドの原産地では、10mを超えるほど高木に成長しているものもあります。 開花時期は晩秋から春頃ですが、寒さが厳しいと花は咲かなくなります。花色は赤やピンク、白があり、八重咲きの品種が多いです。原産地では一重の白花が一般的です。 半耐寒性の常緑樹で、寒冷地では鉢植えとして室内で越冬させます。弱い霜なら若干耐えるので、関東地方以西の海沿いの地域などでは、庭木として育てることができます。 レプトスペルマムの仲間は雨が比較的多いオーストラリア東部原産種が多く、多湿に弱いオージープランツのなかでも育てやすいです。またギョリュウバイと同程度の耐寒性があります。 ギョリュウバイのハチミツ、ハーブティー M Rutherford/Shutterstock.com ギョリュウバイは、ニュージーランドでマヌカの名で知られています。マヌカの花を蜜源としたマヌカハニーは、貴重で高価なハチミツとして非常に人気があります。優れた抗菌作用や抗ウイルス作用などさまざまな効能があるとされ、治療目的でも使われます。 近年日本でもマヌカの知名度が上がり、一重の白花が咲くギョリュウバイが「マヌカ」の名で苗が販売されていることが増えています。 wasanajai/Shutterstock.com 葉が健康によいハーブティーになることから、ティーツリーの名でも知られています。現地のマオリ族が葉を煎じて飲用し、古来から薬用植物として利用されてきました。原産地の国々では観賞用としてだけでなく、ハチミツや製薬、エッセンシャルオイルのために栽培されています。 ギョリュウバイの仲間・園芸品種 ‘アフロディーテ’ Leptospermum ‘Aphrodite’ Ken Sequeira/Shutterstock.com 花付きのよい交配種です。枝が横方向にもよく伸びてボリューム感があり、剪定に比較的強いです。樹高約2.5m、幅約2m。 ‘ルドルフ’ Leptospermum ‘Rudolph’ KarenHBlack/Shutterstock.com 濃いピンクの美しい花が咲く交配種で、新葉は紫色がかった色です。樹高2~3m、幅1.5~2m。 レプトスペルマム 「ラウンドリーフ」 Leptospermum rotundifolium KarenHBlack/Shutterstock.com 東オーストラリアの沿岸地域原産で、樹高1~2mほどであまり大きくなりません。丈夫で春にピンクの花が咲きます。 レモンティーツリー Leptospermum petersonii ( =Leptospermum citratum ) Hanna Yohanna/Shutterstock.com オーストラリア東部原産で、樹高5mほどになります。葉にレモンの香りがあるのが特徴で、白い花が6~7月に開花します。 レプトスペルマム・ブラキアンドルム(シルバーティーツリー) Leptospermum brachyandrum Cheng Wei/Shutterstock.com オーストラリア東部原産で、樹高4~5mほどになります。葉は銀白色で、よく枝垂れる枝に白い花が咲き、シルバーティーツリーの名で流通します。主に川沿いの湿った場所に自生しますが、より乾燥した場所で生育する集団もあります。耐寒性はギョリュウバイよりやや強く、マイナス7℃の低温に耐えます。 レプトスペルマム・ポリガリフォリウム Leptospermum polygalifolium Softvisual/Shutterstock.com オーストラリア東部原産で、アーチ状に伸びる枝に白い花が春にたくさん開花します。銅色がかった葉が特徴の‘カッパーグロー’などの品種が流通します。 レプトスペルマム・セリセウム Leptospermum sericeum( Leptospermopsis sericea) alybaba/Shutterstock.com 西オーストラリア南西部の乾燥地が原産です。銀がかった葉色で、比較的大きなピンク色の花が咲きます。現在は別の属に分類されており、多湿やリン酸肥料に弱いと思われます。 ギョリュウバイの栽培12カ月カレンダー 植え付け・植え替え:4月中旬~5月肥料:5月、10月挿し木:4~5月 ギョリュウバイの栽培環境 patjo/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりと風通しがよく、排水のよい場所が適します。最低でも半日以上日光が当たる場所に置きますが、日当たりがよいほうが花付きがよく、枝も引き締まって育ちます。耐塩性があるので海沿いの植栽に利用できます。ただし、大きく育つと台風などの強風で倒れることがよくあるので、注意してください。 夏越し 高温多湿を嫌うので、夏は蒸れるような場所に置かないことが大切です。夏の猛暑時に鉢植えやプランターをコンクリートなどの床の上に直接置くと、照り返しで弱って枯れてしまうことがあります。午前中だけ日が当たる半日陰の高い場所に置くとよいでしょう。 冬越し 最低温度の目安はマイナス5℃で、軽い霜にあう程度なら枯れることはないでしょう。ただし、小株や購入したばかりの苗は、寒さに弱い傾向があるので注意してください。暖地でも強い北風が当たる場所は避け、建物の南側近くなどの暖かい場所に置いてください。 寒冷地では室内の日当たりのよい窓辺などに置いて越冬させてください。ただし春から秋は、室内での栽培は難しいです。 ギョリュウバイの植え付け・植え替え InfoFlowersPlants/Shutterstock.com 適期 植え付け・植え替えの適期は、4月中旬~5月です。 植え付け 日当たりと排水がよい場所が適します。また暖地でも寒さが心配な場合は、建物の南側などの冬の北風が当たらない場所がよいでしょう。深さと幅が40~50㎝ほどの植え穴を掘り、腐葉土などの堆肥をすきこんでから植え付けます。深植えは避け、周囲よりやや高めに植えるとよいでしょう。 鉢植えの植え替え 1~2年に1回は植え替えてください。根鉢をあまりくずさず、一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。 用土 弱酸性の水はけのよい用土を好みます。ハーブ用などのアルカリ性の用土では栄養障害を起こすので注意してください。鹿沼土6・腐葉土3・川砂1を配合した用土などを使います。 ギョリュウバイの育て方・日常の管理 Peter Turner Photography/Shutterstock.com 水やり 鉢植えは、鉢土の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。開花している鉢植えは意外と水分を多く必要とする場合があります。水やりを数日忘れただけで枯れることもあるので注意してください。 株の様子からは水切れしても分かりにくいので、土の様子をよくチェックするとよいでしょう。例えば、鉢を持ち上げて、軽ければ水切れしていることも。葉がだらんと垂れ下がっていたり、葉がチリチリと乾いているのが目で見て分かるほど水切れしていたら、手遅れの場合が多いです。 地植えした場合、根付くまでは土壌の表面が乾いたらたっぷり水やりしてください。1カ月ほどして根付けば、その後は水やりは不要です。 肥料 肥料は控えめで問題なく、多肥は避けてください。 地植えした場合は、肥料を与えなくても問題ありません。鉢植えは、5月と10月に3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の緩効性化成肥料を規定量の半分程度与えます。 病害虫 目立った病害虫の発生は少ないです。風通しの悪い場所で枝が密生すると、カイガラムシが発生することがあります。 ギョリュウバイの剪定 NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com 適した場所で育てれば、剪定せずに放任しても比較的問題なく育ちます。ただし、花後に枝先を切ったほうが、樹勢はよくなります。 剪定はひととおり花が咲き終わった夏前までに行います。ただし枯れた枝は見つけ次第切ってください。 細い枝がよく茂りますが、枝葉が茂りすぎて日当たりや風通しが悪くなると、部分的に枝が枯れます。適度に間引くような剪定をするとよいでしょう。 大きく仕立てたくない場合は、花後に葉がある部分の枝を、1/3~1/2程度まで切り詰めます。強い剪定は嫌うので注意してください。葉の少ない株は、控えめに切り戻したほうがよいです。 ギョリュウバイの増やし方 写真/小川恭弘 やや難易度が高いですが4~5月に挿し木で増やすことができます。枝を10~15cmほどに切って下葉を取り、鹿沼土などの清潔な用土に挿します。明るい日陰で管理し、挿し木後1週間くらいは乾かさないように水やりしてください。その後は挿し床の表土が乾いてから水やりします。 1~2カ月ほどで発根するので、2.5~3号ポット鉢などに鉢上げします。小苗は乾きやすく、乾燥すると深刻なダメージを受けるので、水切れに十分注意してください。夏は午前中だけ日が当たる半日陰で管理したほうがよいでしょう。 ギョリュウバイの栽培ポイント Rose Marinelli/Shutterstock.com 鉢植えは、夏は午前中だけ日が当たる半日陰に置くと失敗しにくい 鉢植えは水切れが分かりにくいので注意 剪定は夏前に行い、強い剪定は避ける 冬の強風や霜、雪は避ける 中型~大型の株は、台風などの強風に注意 ポイントを把握すれば、ギョリュウバイを育てるのは比較的簡単です。また、冬に寄せ植えなどで使うことができる貴重な花木でもあります。パンジーなどの苗類だけでは高さがないですが、ギョリュウバイを加えれば立体的になります。 地植えで育てることができる地域も多く、比較的手間いらずで可愛い小花を長期間たくさん咲かせます。丈夫で育てやすいギョリュウバイの仲間も徐々に流通するようになり、新しい花木として今後の普及が見込まれているので、ぜひ苗を見つけたら栽培にチャレンジしてください。
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観葉・インドアグリーン

室内でも元気に育つ! 耐陰性が強い「アレカヤシ」で叶えるグリーンのある暮らし
アレカヤシの基本情報 Michaelnero/Shutterstock.com 植物名:アレカヤシ学名:Dypsis lutescens(Chrysalidocarpus lutescens)英名:Golden Cane Palm、 Yellow Palm、 Bamboo Palm和名:コガネタケヤシ(黄金竹椰子)その他の名前:ヤマドリヤシ(山鳥椰子)科名:ヤシ科属名:ヒメタケヤシ属原産地:マダガスカル形態:低木 アレカヤシは、マダガスカル原産で、子株が多く出て株立する美しいヤシです。よく茂る葉はアーチ状に広がり、優雅な雰囲気があるのも魅力的。熱帯・亜熱帯地域では、庭園などの植栽によく使われています。株がよく密生するので、目隠し効果が高いです。 鉢植えの観葉植物としても、世界中で広く栽培されています。中型から大型の鉢植えが一般的ですが、ミニ観葉も流通しています。葉は生花・切り花などの葉物としても人気が高く、沖縄などで盛んに生産されています。 IZZ HAZEL/Shutterstock.com アレカヤシの名は、かつてアレカ属(ビンロウジュ属)に分類されていたことに由来します。またオウゴンタケヤシの和名の由来は、幹が竹のようで日なたでは株全体が黄金色になることによります。流通する鉢植えは遮光下で育てられ、緑の濃い葉色の株が出荷されています。‘コンパクタ’など矮性の品種がありますが、流通量は多くありません。 アレカヤシの特徴・性質 Onkar gawade/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物草丈:10~200cm耐寒性:弱い耐暑性:強い 幹はあまり太くならず、熱帯地域などで地植えすると高さ10m近くまで生育します。弓なりに伸びる羽根状の葉は、長さ2~3mほどになり、40~60対の小葉が茂ります。 雌雄同株で、1株でタネができます。しかし、ネット通販などでは雌雄異株で紹介されていることがあります。 地植えした株は、夏頃に黄色い花を咲かせ、1cmほどの実を多くつけます。実は熟すと甘いですが、食用には利用されません。新芽の柔らかい部分は毒性があるので注意しましょう。 アレカヤシの栽培12カ月カレンダー 植え替え:5~7月肥料:5~10月 アレカヤシの栽培環境 khak/Shutterstock.com 環境適応性が高く、日なたから明るい日陰で育ちます。暗すぎる場所に置くと、株姿が間延びして軟弱に育ちます。ただし急に日陰から日なたに移動すると葉焼けするので注意してください。 5月中旬から10月までは、屋外で育てることができます。日なたで育てると株姿が引き締まり、全体が黄色っぽい株姿になります。暗い場所から日なたに移動する場合は、葉焼けしにくい春の朝の日光から慣らしてください。 夏の日なたは、鉢植えの株の葉先が乾燥などで傷みやすいです。午前中だけ日光が当たる半日陰に置くと、最もトラブルなく育てることができます。また多くのタネから芽を出させた小型の鉢植えは、乾燥しやすいです。夏は明るい日陰に置いたほうが安心です。 生育温度 最低温度が15℃以上になると、生育が旺盛になります。耐暑性は強く、夏の暑さで弱ることはほとんどありません。 冬越し 大株は0℃付近の温度に耐えますが、葉がひどく傷みます。冬は室内の明るい場所に置き、最低温度を5℃以上に保つようにしてください。小株や葉を美しく保つには最低温度を10℃以上保つとよいでしょう。窓の近くは温度が下がりやすいので、冷え込みの厳しい夜間などは部屋の中央付近に移動すると安心です。 アレカヤシの育て方・日常の手入れ Melica/Shutterstock.com 水やり 鉢土の表面が乾いたら水やりしてください。夏に乾燥が激しい場合は、毎日水やりしてください。 冬は乾かし気味に管理します。 水やりの際は、鉢底から水が多く流れ出るまでたっぷり与えてください。水やりの量が少ないと鉢土に十分水が浸透せず、葉先や新芽付近などから枯れてきます。 肥料 5月から10月に、3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。 病害虫 枝葉などがよく茂って風通しが悪いと、カイガラムシが発生しやすくなります。 アレカヤシの植え替え Rainbow_dazzle/Shutterstock.com 根の生育が旺盛で、放置すると鉢が壊れるほど根詰まりします。また根詰まりしてくると水が鉢土に浸透しにくくなり、葉先が枯れやすくなります。5~6号くらいまでの鉢植えは1~2年に1回、中型から大型の鉢植えは2~3年に1回、植え替えてください。 大きな鉢への植え替え 4~9月に、そのまま1~2回り大きな鉢に植え替えます。作業後に特別な管理をする必要はありません。 鉢を大きくしたくない場合の植え替え・株分け 鉢を大きくしたくない場合は、5~7月に株分けで増やすのを兼ねて植え替えます。鉢底の部分にまわった根を切り、2~3株に切り分けます。中型から大型の株は、根切り用ノコギリなどを使って切り分けます。 同時に葉を1/3~1/4程度、古い葉から間引いてください。また古株の太く伸びすぎた幹は、切って取り除くとよいでしょう。 作業後1カ月程度は、明るい日陰で管理してください。 用土 肥沃で水はけのよい、一般的な用土が適します。赤玉土小粒6、腐葉土3、軽石1を混ぜた用土などを使います。観葉植物用の培養土なども手軽に利用できます。 アレカヤシの作業 Nonchanon/Shutterstock.com 子株の間引き 子株が密集すると風通しが悪くなり、カイガラムシなどの害虫が発生しやすくなります。適度に地際から切って間引いたほうが、トラブルなく育てることができます。 古い葉の除去 茶色っぽく変色した古い葉は、長期間残って見苦しいです。見つけ次第早めに切るとよいでしょう。風通しもよくなります。 アレカヤシの栽培ポイント Pixel-Shot/Shutterstock.com 日光に当てて育てると、全体が黄色っぽくなる 夏の強い乾燥に注意 古株の太く伸びすぎた幹は取り除く 寒さには弱い アレカヤシは葉がよく茂るのでボリューム感があり、チョウにも例えられる気品ある株姿です。部屋の雰囲気を明るく爽やかに変えたい場合に最適でしょう。冬の寒さに注意すれば丈夫で枯れにくく、栽培の失敗が少ない観葉植物です。アレカヤシを育てて、一年中トロピカルリゾートのような雰囲気を満喫してください。
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【プロが解説】自宅で「極上の一杯」を育てよう! チャノキ(茶の木)の育て方から茶葉にするまで
チャノキの基本情報 New Africa/Shutterstock.com 植物名:チャノキ学名:Camellia sinensis英名:Tea plant和名:チャノキ(茶の木)科名:ツバキ科属名:ツバキ属原産地:中国、アッサム、東ヒマラヤ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム形態:常緑低木 チャノキは、ツバキの仲間の常緑低木で、茶の生産のために世界で広く栽培されています。亜熱帯のやや雨の多い地域が生育適地です。ただし耐寒性もあり、イギリスでも商業栽培されています。 国内でも古くから栽培され、新芽を摘んで茶に加工されています。渡来時期の詳細は不明ですが、奈良時代にはすでに渡来していたとされます。チャノキは茶道や茶庭など、日本の文化にも深く影響を与えてきました。 寺院や民家の庭などでも植えられ、庭木や生け垣などに利用されます。葉が常緑で枝葉がよく密生し、刈り込みにも強いので、生け垣としても実用的に優れています。 秋から冬にかけて咲く白い花は、ツバキによく似ています。観賞用としてピンクや薄い赤色の花を咲かせる品種や、斑入り葉の品種などがあります。またツバキとの交配種もあり、鉢栽培にも向く小型の品種などがあります。 チャノキの特徴・性質 ranmaru/Shutterstock.com 園芸分類:庭木開花期:10~12月樹高:2~3m耐寒性:普通耐暑性:普通花色:白、ピンク、薄い赤色 国内で栽培される品種は、高さ2mくらいのものが多いです。楕円形の葉は互生し、葉の縁には細かい鋸歯があります。明るい緑色の柔らかい新葉は、お茶の原料として収穫されます。 小さな白い花は、直径2~4cmほどです。花弁はやや反り返り、おしべが多く目立ちます。春から伸びた新枝に花芽が夏に分化し、秋遅く頃に開花します。 寒さに比較的強く、商業栽培の北限は新潟県村上市です。岩手県や青森県、秋田県でも栽培されますが、多くは自家用として消費されるようです。 一度植えると、35~50年程度まで長く収穫できます。2年生の苗を植えた場合、大きくなるまで4~8年くらいかかります。 チャノキのお茶の種類や成分 DONOT6_STUDIO/Shutterstock.com 葉の発酵の度合などにより、不発酵茶の緑茶、半発酵茶のウーロン茶、発酵茶の紅茶に分けられます。最も多く生産されているのは紅茶で、全体の半分以上を占めます。次いで緑茶が3割ほどです。最も茶の生産量が多い中国はウーロン茶のイメージがありますが、実際は緑茶が最も好まれ、次に紅茶がよく飲用されます。 茶の成分にはカテキンやカフェイン、タンニンなどが含まれます。神経を刺激して覚醒作用があり、殺菌や解毒、利尿などの作用もあります。 紅茶の赤色は、カテキンが酸化して変化することによります。紅茶のカテキンは発酵してテアフラビンに変わり、抗ウイルス作用や抗酸化作用を強く持つとされます。 また、緑茶のカテキンは脂肪燃焼作用があると言われ、ダイエットや成人病予防などに効果が期待できます。 抹茶とは? 抹茶は、通常のお茶とは栽培と加工方法が違います。まず、収穫前に20日から30日間ほど遮光ネットを張って遮光下にする被覆栽培(ひふくさいばい)を行います。収穫した茶葉は蒸して揉まずに乾燥させ、粉状にしたものが抹茶です。粉状に加工せず、葉脈や茎を取り除いただけのものは「てん茶」とされます。 被覆栽培により茶葉が柔らかく緑色が濃くなり、味がまろやかになって苦みが少なくなります。うま味や甘味の成分のテアニンは、光に当たると渋みや苦み成分のカテキンに変わりますが、遮光によりテアニンの量が多くなり、うま味や甘味が強くなります。玉露やかぶせ茶も被覆栽培を行いますが、被覆期間が短いため抹茶よりうま味や香りが少なくなります。 抹茶は被覆するための費用がかかり、遮光により株にストレスがかかるので栽培は難しくなります。なお抹茶には、うま味や香りが強い品種が使われます。 チャノキの仲間・品種 栽培されるチャノキは主に、中国種とアッサム種の2つの変種があり、日本で栽培されている品種は、中国種に由来します。また、両種の交配種も栽培されています。 中国種 Camellia sinensis var. sinensis NPvancheng55/Shutterstock.com 中国南部が原産で、葉が小さく枝葉がよく茂り、樹高は3mほどです。渋みが少なく、緑茶に適します。 アッサム種 Camellia sinensis var. assamica Karnj Ayu/Shutterstock.com 東ヒマラヤから中国までの広い地域が原産で、アッサム地方などのインドで主に栽培されています。発酵しやすいため、主に紅茶や烏龍茶に使われます。10m以上の高さまで生育し、葉は大きく表面にしわがあり、渋み成分のカテキンが比較的多く含まれます。 ‘やぶきた’ 国内で多く栽培される品種です。樹勢や耐寒性は強く、育てやすいです。観賞用としても栽培されますが、やや病気に弱い傾向があります。 ‘天白(てんぱく)’ 直径4cmほどの大きめの花は、咲き進むにつれて赤色を帯びます。新芽が赤く、葉に白斑が入る‘天白錦’もあります。 ‘べにふうき’ アレルギー症状に改善効果が見込めるメチル化カテキンを多く含み、花粉症対策のお茶などとして人気があります。 紅茶向けとして、アッサム種と中国種の交配により作られた品種です。病気に強く、有機栽培にも適します。同様の交配により作られた紅茶向けの品種として、‘べにひかり’や‘べにほまれ’があります。 ‘せいめい’ やや早生で病気に強い品種で、有機栽培が可能です。栽培適地は関東地方以南で、抹茶向けに開発されました。うま味が強く、被覆栽培で品質や収量が優れます。同様の性質で病気に強い品種に‘さえあかり’もあります。 チャノキの栽培12カ月カレンダー 植え付け:4~5月植え替え:4月肥料:2~3月剪定:3~4月挿し木:6月 チャノキの栽培環境 適した環境・置き場所 1日中日光が当たる日なた、または午前中だけ日光が当たる半日陰の場所が適します。夏は半日陰のほうが栽培しやすいです。鉢植えは夏は半日陰に置き、他の季節は日なたで管理するとよいでしょう。 明るい日陰でも育ちますが、枝は間延びしがちです。また、病害虫の発生も多くなるので気をつけましょう。 土壌 排水と通気性がよく、適度に水分を含む酸性土壌を好みます。特に排水性が生育に影響しやすいです。 生育温度 10~25℃で生育が盛んになり、14~16℃が最も適した温度です。40℃以上になると葉焼けします。 冬越し 最低温度の目安はマイナス13~マイナス15℃です。東北地方より南に位置する地域まで栽培が可能です。しかし、北海道でも南部などの条件のよい場所では、屋外で越冬することが確認されています。 チャノキの植え付け・植え替え Scorpp/Shutterstock.com 植え付け 強い主根を持ち、1mくらいの深さまで根が伸びるので、移植は難しいです。移植する必要がないように植え付ける場所は慎重に選んでください。 4~5月が植え付けの適期です。植え付けは、深さと幅ともに50~60cmの穴を掘り、掘った土量に対して3割程度の腐葉土を混ぜて苗を植えます。植え付け後、株回りに敷き藁をして乾燥を防ぐとよいでしょう。多くの苗を植えた場合は、マルチングすると除草の手間も省けます。 鉢植えの植え替え 鉢植えでもよく育ちますが、前述の通り根が深く伸びるため深型の鉢を使うとよいでしょう。入手した苗は、すぐにそのまま1~2回り大きな鉢に植え替えてください。 植え替えは、2年に1回、4月に行ってください。植え替えを怠ると、根詰まりして生育が衰えます。植え替えの際は、根鉢の底と表層の部分を1/3程度落とし、新しい用土を足しながら1~2周り大きな鉢に植え替えてください。 用土 排水がよく、適度に水持ちのよい用土が適します。赤玉土小粒4、鹿沼土3、腐葉土3を混ぜた用土などを使います。8号以上の鉢を使う場合は、赤玉土は中粒を使うとよいでしょう。 チャノキの育て方・日常の手入れ afotostock/Shutterstock.com 水やり ひどい乾燥を嫌うので、地植えした場合でも夏に土壌が乾燥したら水やりしてください。 鉢植えは、用土の表面が乾いてから水やりします。夏によく乾燥する場合は、晴れた日は毎日水やりしてもよいでしょう。 肥料 2~3月に、骨粉入りの油粕などを株元に与えます。生育を旺盛にしたい場合や鉢植えは、5~6月と9月下旬頃にも肥料を与えるとよいでしょう。 病害虫 春から夏頃にかけて、葉にチャドクガの幼虫が発生します。葉の裏などに集団で付き、葉をひどく食害します。発生した箇所を取り除き、薬剤で防除します。 幼虫には有毒の毛がびっしり付いており、風で飛んだ毛が肌にふれるだけでかぶれることがあります。作業の際は十分注意してください。 チャノキの作業 Keaw Thewin/Shutterstock.com 剪定と仕立て方 剪定の適期は3~4月です。収穫を主な栽培目的とする場合は、低めの樹高を保ちます。植えてから10年くらい経過すると、新芽の発生が衰えてきます。その際は、半分くらいの高さまで全体を切り戻すとよいでしょう。その後は5年間隔くらいを目安に強く切り戻します。 自然樹形で楽しみたい場合は、あまり剪定しなくても形が整いやすいです。内側に向かって伸びる枝や混みすぎた部分は、見つけ次第、付け根から間引くように切ります。 花芽は、春から伸びた新しい枝に夏に分化します。花を咲かせる場合は、春に剪定を済ませてください。 増やし方 挿し木で増やすことができます。6月に新しく伸びた充実した枝を10~15cmの長さで切り取り、上部の葉を2~3枚残して葉をすべて切り落とし、挿し穂とします。赤玉土小粒や鹿沼土などの清潔な用土に挿し、明るい日陰に置きます。乾かさないように管理し、湿度の低い場所ではビニールなどで覆うとよいでしょう。1~2カ月ほどで発根したら、3号ポット鉢に1株ずつ鉢上げしてください。鉢上げの用土は、赤玉土や鹿沼土にピートモスを3割程度混ぜた用土などを使うとよいでしょう。 チャノキの栽培ポイント 水はけの悪い場所は避ける 強い乾燥を嫌う チャドクガの発生に注意 花を咲かせるには、春に剪定を済ませる 収穫した若い葉は、含まれる酸化酵素の働きで発酵が進みます。緑茶にする場合は、収穫してすぐに蒸すなどして熱を加え、手もみしながら乾燥させて茶葉にします。緑茶とは違う味わいになりますが、生の葉をそのまま使ってお茶にしても飲むことができます。またおひたしや天ぷらなど、食用にも利用できます。 生け垣としても優れ、白い花も咲き、観賞価値が高いです。意外と栽培適地が広く、育てるのも難しくありません。飲用や食用、観賞用とさまざまに楽しめるチャノキを、ぜひ家庭で栽培してみてください。
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観葉・インドアグリーン

福を呼び込む「縁起のよい観葉植物」カンノンチクをモダンに楽しむ! 失敗しない栽培の極意
カンノンチクの基本情報 Eny Strawberry/Shutterstock.com 植物名:カンノンチク学名:Rhapis excelsa和名:観音竹英名:レディパーム、バンブーパーム科名:ヤシ科属名:カンノンチク属(ラピス属)原産地:中国南東部形態:低木 幹や葉が竹類に似ているため竹がつく和名で呼ばれますが、ヤシの仲間の低木です。カンノンチクの日本への導入は江戸時代といわれ、古典園芸植物として栽培されてきました。耐寒性と耐陰性がともに強いので、現在でも室内に最適な和風の観葉植物として親しまれています。また、福を呼び込む縁起のよい植物とされ、祝い事などに鉢植えが贈り物にも利用されています。海外ではヨーロッパをはじめ、アメリカでもインドアプランツとして人気があり、ショッピングモールなどでよく見られます。 主に中型~大型の鉢植えが流通し、品種も豊富で、古典園芸植物でもあることから高値で取引される品種もあります。よく似た仲間にシュロチクがありますが、葉がより細く先端も尖る点で違いがあります。 日本には、昭和22年から続くカンノンチクとシュロチクの愛好家の団体、「日本観棕会」があり、団体では、カンノンチクとシュロチクを合わせて「カンソウチク(観棕竹)」と呼んでいます。日本観棕会は、展示会の開催や新品種の作出、品種保存などを行って観棕竹の普及に尽力しています。 カンノンチクの特徴・性質 Sakonboon Sansri/Shutterstock.com 園芸分類:観葉植物樹高:1~3m耐寒性:やや弱い耐暑性:強い 山地の木々に覆われた谷沿いなどに自生し、強い直射日光を避けた湿り気のある場所を好みます。雌雄異株で、地下茎から子株が出て株立ちします。葉は6~10裂して掌状になり、常緑で艶があります。 熱帯地域で地植えすると3~4mほどの高さになりますが、鉢植えにすると成長が遅く大きくはならないので、室内で楽しむ観葉植物に適しています。 カンノンチクの仲間 カンノンチクの仲間は、中国南部からインドシナに11種類が知られています。また、カンノンチクは園芸品種が多く、葉に斑が入らない「緑葉系」と、葉に斑が入る「斑入り系」に分けられます。 カンノンチク ‘綾錦’ Rhapis exelsa ‘Aya-nishiki’ 昭和に最もよく流通した斑入りの品種 ‘瑞晃錦(ずいこうにしき)’の芽変わりから作出されました。葉に黄白色の縦斑が安定して入り、性質も丈夫です。 シュロチク(棕櫚竹) Rhapis humilis nut_foto/Shutterstock.com カンノンチクと似ていますが葉が細く、スレンダーレディパーム(Slender lady palm)の英名があります。中国南部原産で、カンノンチクと同様に亜熱帯地域の気候が適します。育て方はカンノンチクに準じます。ただし寒さにはカンノンチクより強く、マイナス3℃ほどの低温に耐えます。 品種はカンノンチクほど多くないですが、斑入りの品種などもあります。 カンノンチクの栽培12カ月カレンダー 植え替え:5~7月肥料:5~10月入手時期:4~11月 カンノンチクの栽培環境 Galeh Nur Wihantara/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 強い直射日光に当てると葉焼けするので置き場所には気をつけましょう。ただし暗すぎる場所に長期間置くと間延びして育ち、葉も少なくなります。 室内では、春と秋はレースのカーテン越しがよく、特に夏はカーテン越しの日光が当たる場所に置いてください。また夏の窓辺付近は温度が異常に上がることがあるので、窓から離れた場所に置くようにしましょう。 5~10月は屋外に出して育てることができます。春と秋は明るい日陰から半日陰、夏は明るい日陰に置いてください。乾燥を嫌うので、風当りの強い場所は避けましょう。 冬は室内の東向きの窓際など午前中だけ日光が当たる場所、またはレースのカーテン越しの日光が当たる場所に置いてください。屋外で秋に半日陰で管理していた株は、冬は窓越しの日光がよく当たる場所で育てるとよいでしょう。 生育温度 生育温度の目安は、10~30℃です。夏に明るい日陰で育てている場合は、35℃程度の猛暑でも問題なく育ちます。大株はマイナス3℃程度の低温になら耐えることもありますが、一般の鉢植えは3℃以下にならないように管理しましょう。なお、葉を美しく保つには室内で冬越しさせるのが好ましいです。関東地方以南の地域では、室内なら容易に越冬します。 カンノンチクの育て方・日常の手入れ porjai kittawornrat/Shutterstock.com 水やり 乾燥を嫌うので、水やりは大切な作業です。水不足になると葉先が枯れこむので注意してください。 春と秋は、鉢土の表面が乾いたらたっぷり与えてください。最も旺盛に発育する夏は、晴れた日は毎日与えてください。冬はやや乾燥気味に管理します。 肥料 5~10月に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量与施しましょう。 病害虫 風通しの悪い室内では、カイガラムシが発生することがあります。葉の付け根などに発生しやすいので、見つけ次第早めに防除します。カイガラムシは薬剤が効きにくいので、ブラシ等でこすり落としてから適用のある薬剤を使用するとよいでしょう。 カンノンチクの植え替え・株分け Anshann/Shutterstock.com 用土 水はけのよい清潔な用土が適します。観葉植物用の培養土は手軽に使用することができます。自分で配合する場合は、桐生砂7:赤玉土小粒3などの用土が適します。 真夏に乾燥が激しいと感じた場合は、表面にミズゴケなどを敷き詰めるとよいでしょう。 植え替え 地下茎が発達する性質なので、植え替えを怠ると土の隙間がないくらいひどく根詰まりします。根詰まりすると葉先が枯れこんだり、生育が衰えて葉も少なくなります。2年に1回以上は植え替えてください。 なお、乾燥を嫌うので、植え替えの作業は日陰で行ってください。また作業中は根を乾燥させないよう注意してください。 植え替え後2週間くらいは、乾燥しないように毎日水やりします。また葉水も与えて湿度を保つとよいでしょう。 大きな鉢に植え替える場合 根を切らないので、5~9月の長期間作業を行えます。根鉢を水につけ、古い土を落としてください。1~2回り大きな鉢に新しい用土で植え付けます。 同じサイズの鉢に植え替える場合、株分け 2つに株分けして同じサイズかやや小さい鉢に植え替えます。根を切るので、作業は5月中旬~7月に行います。植え替えと同時に、葉全体の1~2割くらいの古い葉を根元から切るとよいでしょう。 カンノンチクの栽培ポイント funny face/Shutterstock.com 水はけのよい用土で植え、強い直射日光を避けた適度に明るい場所で水切れさせないように管理するのがポイントです。江戸時代から栽培されてきた植物なので、栽培は難しくありません。和風のイメージがある観葉植物ですが、エスニックや洋風などのインテリアと合わせても新鮮な印象です。 これまで、カンノンチクはあまり注目されることが少なく、愛好家も減ってきてはいますが、海外では人気がある植物のひとつです。古くて新しい観葉植物「カンノンチク」を、さまざまな飾り方で育ててみてください。
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果樹

ほったらかしでも鈴なり? 初心者におすすめの「最強柑橘」キンカンの育て方
キンカンの基本情報 manbo-photo/Shutterstock.com 植物名:キンカン学名:Citrus japonica英名:Kumquat、Cumquat和名:金柑(きんかん)、金橘(キンキツ)科名:ミカン科属名:ミカン属原産地:中国形態:常緑低木 小さい果実を皮ごと食べるキンカンは、古くから親しまれてきた柑橘類です。受粉樹は必要なく、1本で実がなります。 樹高も2mほどとあまり大きくならないので、庭木として地植えにしたり、鉢植えにして楽しんだり、家庭で栽培するのにも向いています。また、適地に地植えすると放任気味の管理であってもよく育ち、たくさんの実を付けます。丈夫で剪定に強いので、実のなる生け垣として植えるのもおすすめです。 キンカンの特徴 園芸分類:果樹開花時期:7〜9月収穫時期:2月中旬〜5月樹高:約2m耐寒性:普通耐暑性:強い花色:白 寒さには弱いとされる柑橘類の中で最も耐寒性が強く、耐寒温度の目安はマイナス5℃程度とされます。東北や北海道の寒冷地では屋外での越冬は難しいですが、東北の海沿いなど比較的温暖な地域や、関東地方以西では露地栽培できます。晩秋から黄色い実がたくさんなり、春まで実が落ちません。ただし遅くに収穫すると水分が抜けていたり、寒さなどで傷んでしまうことがあるので、収穫を先延ばしにしないほうがよいでしょう。 花は7~9月に3~4回、断続的に長期間開花します。そのため果実の大きさにバラツキがありますが、初期に実った果実のほうが大きくて高品質です。 キンカンには食用と観賞用品種がありますが、一般に流通している品種のほとんどは、ネイハキンカンです。果実の大きいオオミキンカンなども苗木がよく販売されますが、生食したい場合はネイハキンカンを育てるのがおすすめです。 皮ごと食べて食物繊維も摂れるキンカンの魅力 キンカンの果実は、年末〜2月に多く流通します。生産地は宮崎県が7割を占め、2割が鹿児島県です。また宮崎県のビニールハウスなどでは完熟したものを収穫し、甘味が強く高品質な果実が流通しています。 ビタミンCやEが多く含まれ、皮ごと食べられるので貴重な食物繊維もたくさん取り入れることができます。ほかにポリフェノール、クエン酸などが含まれ、栄養成分が豊富です。 キンカンの蜂蜜漬け jreika/Shutterstock.com のどの傷みや咳、初期の風邪などに効果があるとして、キンカンは昔から薬用にも使われてきました。キンカンの蜂蜜漬けは、皮に含まれる成分のヘスペリジンが炎症を抑え、蜂蜜の抗菌作用も期待できます。 作り方は簡単で、キンカンをよく洗い、串などで穴を多くあけてから蜂蜜に漬けるだけで出来上がりです。果実は空気に触れないよう、たっぷりの蜂蜜で漬けてください。3~4日で食べ頃になります。冷蔵庫で保存すれば、1カ月程度持ちます。 キンカンの仲間6選 以前はキンカン属(Fortunella)とされていましたが、現在はミカン属に分類されています。キンカンとして入手可能な6種類の仲間をご紹介します。 ネイハキンカン Citrus japonica ( = Fortunella crassifolia ) Luong Led/Shutterstock.com ニンポウキンカン(寧波金柑)や、メイワキンカン(明和金柑)などの別名があります。果実は球形〜卵形で重さは11〜13gと大きく、酸味や苦みが少ないので生食に向きます。 種無しキンカン・プチマル 種子がほとんどない人気の品種で、苗木の流通も多いです。皮に苦みもなく甘味が強い、生食して美味しいキンカンです。ネイハキンカンとナガキンカンの交配種で、やや楕円形の果実は重さ8~11gです。 ナガキンカン Citrus japonica ( = Fortunella margarita ) nnattalli/Shutterstock.com 高さ3mほどとやや大型になり、トゲはほとんどありません。楕円形の果実の重さは10〜12gで、果肉は酸味が強く、主に観賞用として育てられます。実が大きくたくさん収穫できるので、蜂蜜漬けやジャムにするとよいでしょう。 マルキンカン Citrus japonica ( = Fortunella japonica ) Beautiful lotus/Shutterstock.com 名前のとおり、丸く小さい果実で、重さは6~8g。果肉には酸味があります。 大実キンカン Citrus × obovata ( = Fortunella obovata ) 福州キンカンという別名があります。果実が大きく、重さは30~40gで見栄えがします。酸味が強く、生食には適しません。 キンカンライム Citrofortunella ×floridana Jose Luis Vega/Shutterstock.com マルキンカンとキーライム(メキシカンライム)の交配種で、耐寒性は両種の中間くらいです。ライムクアット(Limequat)という英名があります。木が小さくても実つきがよく、四季咲き性が強い性質です。 キンカンライムは寒さに弱いので、冬は鉢植えを室内に置いたり、ビニールハウス内で育てたほうがよいでしょう。木が小さい場合は特に保温に配慮してください。 実が青いうちはライムのような味ですが、黄色く熟すとレモンのような味に。完熟すると甘い品種もあります。 キンカンの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜9月植え付け・植え替え:3月下旬〜5月上旬肥料:2~3月、6~7月、9月剪定:3~5月収穫時期:2月中旬〜5月 キンカンの栽培環境 適した環境・置き場所 1日中日光が当たる日なたの水はけのよい場所が適します。雨が降ると水が溜まるような水はけの悪い場所は避けてください。水はけがよければ、あまり土壌を選ばず育ちます。 また強風がよく当たる場所は嫌いますが、風通しのよい環境を好みます。風通しが悪いと、病害虫の発生が多くなります。 生育温度 15℃以上の温暖な気候が適し、5~10月が生育期の目安です。暑さにも強く、日本の夏でも弱ることはほとんどありません。 キンカンの植え付け・植え替え Nataliia Sirobaba/Shutterstock.com 用土 比較的用土を選びません。多くの植物に使える一般的な培養土でよいでしょう。 植え付け(地植え) 植え付けの適期は、3月下旬~5月上旬です。植え付け1~2週間前に、直径・深さ共に50cmくらいの植え穴を掘ります。掘った土に化成肥料200g、掘った土の3割くらいの量の堆肥か腐葉土を加えてよく混ぜ、埋め戻します。 苗木は根を軽くほぐし、接ぎ木部分が埋まらないよう、やや浅めに植え付けてください。また、水やりすると埋め戻した土が沈むので、やや高めに植えるようにします。水をたっぷり与え、支柱を立てて完成です。 鉢植えの植え替え 生育が旺盛なので、1~2年に1回、3月下旬~5月上旬に植え替えをしてください。根鉢の底の部分を軽くくずし、1回り大きな鉢に植えます。 キンカンの育て方・日常の手入れ Freesia24/Shutterstock.com 水やり 鉢植えは、表土が乾いたら水やりしてください。 地植えの場合は、根付けば水やりはほとんど不要です。ただし夏に雨が長期間降らず、土を5cmほど掘り返しても乾いている場合は水やりしてください。夏に乾燥しやすい場所では、敷き藁などのマルチングをするとよいでしょう。 肥料 果実が多くなるので、木を弱らせないように肥料を与えてください。 鉢植えで育てている場合は、芽が出る前の寒肥として2~3月に、また開花前から開花初期の6~7月と、果実が肥大を始める9月に、3要素が等量の緩効性化成肥料や、骨粉入り油かすを与えてください。 地植えしている場合は、2~3月と9月に肥料を与えればよいでしょう。 注意する病害虫 適地で育て剪定を適切に行えば、病害虫の発生は非常に少ないです。 日当たり・風通しの悪い場所で管理したり、枝葉が密生するとカイガラムシやアブラムシが発生しやすいです。カイガラムシは、見つけ次第早めに水を強く当てるなどして落とします。アブラムシは、オーガニック栽培で使用できる薬剤で比較的防除しやすいです。 よく日光に当て、周囲に密集して植物を置くのは避けてください。また剪定なども適切に行い、予防に努めることが大切です。 キンカンの手入れ作業 ORION PRODUCTION/Shutterstock.com 剪定 自然に樹形が整いますが、枝が密集して付きます。そのまま放っておくとカイガラムシなどの害虫が発生しやすく、果実の品質も悪くなりがちです。3~5月に、木の内部まで日光が当たるように間引き剪定するとよいでしょう。 摘果 9月以降に全体の半分くらいを摘果すると、実が大きくなります。また摘果しないと、翌年実がつかない場合もあります。小さな実から摘果して大きな実を残し、実が密集しすぎている部分も多めに摘果してください。目安として10~15cmの枝に2~3個の果実が付くようにします。 キンカンの収穫 果実が黄色くなれば、収穫できます。できるだけ樹上で完熟させると甘味が強くなります。ただし霜にあたると果実も傷むので、寒い地域は早めに収穫するか、鉢植えは室内の日当たりのよい場所に移動するとよいでしょう。 花も実も、健康効果も。キンカンを育てて楽しむ「実り」のある暮らし HiTecherZ/Shutterstock.com キンカンは丈夫でよく実がなり、初心者にもおすすめの柑橘です。鉢植えでもよく育つので、ベランダなどで栽培を楽しむことができます。 夏頃に咲く白い花は長期間咲き続け、たくさんの黄色い果実は、暗くなりがちな秋から冬の庭を明るく彩ります。果実は栄養豊富で、樹上で完熟させたものは甘く、育てているからこその味わいです。また蜂蜜漬けは、初期の風邪やのどによい効果が期待できる飲み物としても美味しく味わうことができます。 ぜひキンカンを自宅で育てて、暮らしを楽しんでください。
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一年草

【プロが伝授】ブルーデージーを夏越し成功で長く楽しむ育て方|枯らさない秘訣を徹底解説!
ブルーデージーの基本情報 Ruth Swan/Shutterstock.com 植物名:ブルーデージー学名:Felicia amelloides英名:Blue Daisy、Blue Felicia、Blue Marguerite和名:ルリヒナギク(瑠璃雛菊)科名:キク科属名:フェリシア(ルリヒナギク)属原産地:南アフリカ・ケープ州形態:多年草 ブルーデージーは南アフリカ原産で、半耐寒性の常緑多年草です。こんもりと茂った株に、小花をたくさん咲かせます。花の中心部は鮮やかな黄色の筒状花で、まわりの青い舌状花とのコントラストが映えます。春と秋に開花し、夏越しできれば半年近く花を楽しめます。上手に育てれば大株になり、1株でも非常に見応えがあります。やや肉厚の葉は光沢があり、斑入りや黄金葉の品種もあります。 ブルーデージーとして主に流通するのはフェリシア・アメロイデスですが、フェリシア・アモエナもブルーデージーとして出回っています。種子ができると枯れる一年草のフェリシア・ヘテロフィラは、属名のフェリシアの名で種子や苗が流通しています。 ブルーデージーの特徴・性質 Krakenimages.com/Shutterstock.com 園芸分類:草花草丈:20~50cm開花時期:3~5月、10~12月耐寒性:やや弱い耐暑性:弱い花色:青、白、ピンク ブルーデージーの原産地は、夏はあまり暑くならず乾燥していて、冬は比較的温暖で湿潤な地中海性気候の地域です。自生地では基部が木質化し、高さ1mほどまで大きく育つことがありますが、暑さの厳しい日本では大きくても50~60cmにとどまります。茎は地際付近からよく分枝し、低い位置で茂ります。四季咲き性があり、気温が15~28℃の間は花が咲き続けます。 夏の高温多湿を嫌い、強い寒さにあたると枯れます。花を多く咲かせるには日光によく当てるようにしますが、夏は強い日差しや雨を避けたり、冬は防寒する必要があります。季節によって置き場所を移動できるよう、鉢植えやプランターで育てるのがおすすめです。 ブルーデージーの仲間・品種 ブルーデージー斑入り Felicia amelloides 'Variegata' 銀色がかった緑葉を黄色く縁取る斑入り葉の品種で、青い花と対比して美しいです。 フェリシア・ヘテロフィラ Felicia heterophylla Nahhana/Shutterstock.com ブルーデージーの仲間の一年草で、属名のフェリシアの名で流通しています。秋に種子を播くと春に花が咲き、花後に枯れるライフサイクルです。品種の1つ‘スプリング・メルヘン’の種子が、紫と白、ピンクの混合で販売されています。 ブルーデージーの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3~5月、10~12月植え付け・植え替え:3月中旬~5月、9月中旬~10月肥料:3~5月、9月中旬~11月切り戻し:6月中旬~7月上旬挿し芽:4~5月、10月 ブルーデージーの栽培環境 Lhoussain29/Shutterstock.com 適した環境・置き場所 日当たりのよい場所を好みます。生育期の春と秋は、一日中日光が当たる場所で育ててください。半日以上の日照を確保できれば花は咲きますが、長く日光に当てることでより多くの花を咲かせることができます。 生育温度 15~22℃が、最もよく生育する温度の目安です。 夏越し 7~9月は、高温多湿による蒸れで枯れやすい時期です。近年は暑さが厳しいので、夏に枯れることが多いです。 午後からの強い直射日光や雨に濡れるのを避け、涼しい場所で乾燥気味に管理してください。猛暑時は明るい日陰に移動してもよいでしょう。 建物の東側の軒下など、比較的涼しく、午前中に4時間ほど日光が当たる場所が理想です。地面から高い位置に置き、風通しのよく育てましょう。 冬越し 最低温度の目安は、マイナス3~マイナス5℃で、一時的に軽い霜にあたる程度なら耐えます。関東地方南部の海沿いの地域や都心部などでは、屋外の軒下などで越冬することが多いです。ただし気温が0℃以下まで下がると株が傷むことが多いので、室内の日当たりのよい場所で育てるのがおすすめです。 ブルーデージーの植え付け・植え替え becky's/Shutterstock.com 植え付け・植え替えの適期 3月中旬~5月、9月中旬~10月が適期です。根鉢をくずさず作業を行うので、開花中でも問題ありません。 植え付け 水はけがよく、ひさしなどのある雨が当たらない場所に植えるようにしてください。腐葉土などの有機物を混ぜてから、根鉢をくずさず苗を植え付けます。水はけがあまりよくない場所では、周囲より10~20cmほど土を高く盛って植えるとよいでしょう。専用のガーデンフレームなどを使用して花壇にすると見た目もきれいです。 鉢植えの植え替え ひどく根詰まりすることは少なく、根を傷つけると枯れやすいです。2年に1回、根鉢をくずさずに1~2回り大きな鉢に植え替えます。 用土 多湿を嫌うので、排水性のよい用土を使うようにしてください。草花に広く使える一般的な培養土に、山野草の用土を3割程度混ぜるとよいでしょう。または赤玉土小粒と鹿沼土、腐葉土、パーライトを等量ずつ混ぜた用土などを使います。鉢に植える場合は、赤玉土は中粒を使って水はけをよくしてください。 ブルーデージーの育て方・日常の手入れ LifeCollectionPhotography/Shutterstock.com 水やり 常に用土が湿っていると、過湿で根腐れします。必ず用土の表面が乾いてから水やりしてください。 冬は乾かし気味に管理します。 肥料 春の3~5月、秋の9月中旬~11月に、リン酸が多い緩効性化成肥料などを規定量与えてください。 病害虫 春頃に、つぼみや葉にアブラムシが発生することがあります。見つけ次第指でつぶすか、適用のある薬剤で防除してください。 夏頃に風通しが悪いと、茎に白い点のようなコナカイガラムシがつくことがありますが、切り戻しすることで予防できます。 ブルーデージーの手入れ作業 Pedal to the Stock/Shutterstock.com 切り戻し 葉がよく茂っていると風通しが悪くなり、蒸れて枯れやすくなります。7月上旬頃までに、株全体を半分程度の高さでバッサリ切り戻してください。夏越しさせるには、非常に重要な作業です。 増やし方 春の4~5月、秋の10月に挿し芽ができます。花の咲いていない充実した茎の先端部分を5~7cm切り、葉を3~4枚残して下葉を取り、挿し穂とします。赤玉土小粒などの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かないように管理してください。 ブルーデージーの栽培ポイント tulinphoto/Shutterstock.com 季節によって移動できる鉢植えで育てるのがおすすめ 夏以外の季節はできるだけ日光に当てる 夏前に切り戻して蒸れを防ぐ 夏は雨の当たらない涼しい場所に置く 強い霜や雪、凍結は避ける うまく夏越しできれば、数年にわたって長期間花を楽しめます。ブルーデージーだけの花壇や寄せ植えは、心を落ちつかせるような爽やかな美しさを楽しめます。ほかの植物とも相性がよく、まとまりのある洗練された美しさを演出できるでしょう。主役にも脇役にも活躍できるブルーデージーの青い花で、庭やベランダを素敵に彩ってください。


















