秋冬の寒空の中で鮮やかな花を咲かせているあの花は、椿(ツバキ)か山茶花(サザンカ)か? 一見して区別がつきにくい2種の樹木の見分け方のポイントをご紹介します。散歩の途中で見つけたら、どちらの樹木か見分けることができるようになりますよ。

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そっくりなのに違う品種の椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)

古くから美しい花が観賞され、特に茶花として好まれたほか、タネから採れる油もさまざまに利用されてきたツバキと、童謡の「たき火」でも歌われているように、生け垣などにもよく使われているサザンカ。どちらも私たちの暮らしに馴染み深く、人々に愛されている花ですが、その2つの違いは? と聞かれたときに、はっきりしないという人も多いのではないでしょうか。

日本原産の花、学名はどちらもツバキ科ツバキ属のCamellia

ツバキとサザンカはどちらもツバキ科ツバキ属に属する植物で、学名はそれぞれCamellia japonicaCamellia sasanquaといい、日本を原産とする樹木。ツバキは台湾や朝鮮半島にも自生していますが、サザンカは日本の固有種です。

椿と山茶花を見分ける3つのポイント

サザンカの中には、ツバキとの交雑によって生まれた品種もあります。そのため、花や樹形がそっくりなのも無理からぬこと。この2つの花を見分けるポイントには、主に次のようなものがあります。

  1. 開花期
  2. 葉の特徴
  3. 花の咲き方・散り方

では、それぞれのポイントについて、どのような違いがあるのか見てみましょう。

1. 開花期で見分ける

椿と山茶花を花で見分ける

ツバキとサザンカは、どちらも冬に花を咲かせますが、開花期には少し違いがあります。

ツバキの開花期は12~4月頃。対するサザンカは10月頃から花を咲かせます。また、サザンカには大きく分けて、サザンカ群、カンツバキ群、ハルサザンカ群の3つがあり、最も早く花を咲かせるサザンカ群は10~12月、カンツバキ群は11~3月頃、そしてツバキとの交雑種が祖だと考えられるハルサザンカ群が12~3月頃と、順番に咲き継いでいきます。

このように、秋咲き始めるのがサザンカ、少し遅れて冬になってから咲き始めるのがツバキという特徴があります。でも、咲く時期が重なっていることもあり、まだちょっと見分けにくいですよね。ほかの特徴も見てみましょう。

2.葉の大きさと葉柄の毛の有無で見分ける

椿と山茶花を見分けるのは葉の大きさと毛の有無

ツバキとサザンカを見分けやすいポイントとなるのが葉。葉の形はよく似ていますが、サザンカの葉は、ツバキと比べると一回り小ぶりです。そして葉の付け根部分にあたる葉柄に細かい毛が生えているものがサザンカ、毛が生えていないものがツバキです。ツバキの品種によっては、ユキツバキのように葉柄部分に毛が生えているものもわずかながらありますが、これで大体区別をつけられるはず。ちなみに、実のもととなる子房の部分にも、サザンカは毛が生えていますが、ツバキにはほとんど生えていません。

毛のあるなしは有効な判定方法ですが、手の届く範囲まで近寄って、よーく観察しないと見分けがつかないのも事実。そこで、遠目から見ても一番分かりやすい特徴が、花の咲き方・散り方です。

3. 花の咲き方・散り方で見分ける

椿と山茶花の違い

ツバキとサザンカには、花の咲き方にもそれぞれ特徴があります。ツバキの花は、平たく開いて咲くことはほとんどなく、カップ状になることが多いのに対し、サザンカの多くは完全に平開して咲きます。パッと見たときに、一番見分けやすい特徴ですね。

もう一つの特徴は、花の散り方。これはよく知られていることでもありますが、ツバキの花は、そっくり丸ごとポトリと落ちるのに対し、サザンカの花は花弁がバラバラになってそれぞれ散っていきます。ただし、ツバキの園芸品種の中には、花弁が分かれて散っていくものもあるので、注意が必要です。

いかがでしたか。

近所に咲いているあの木の花、ツバキだったかな、サザンカだったかな、なんて思ったときには、上の特徴を見てみると違いが分かるかもしれません。園芸品種によっては、これらの特徴が当てはまらないこともありますが、原種の場合はきっと判断がつけられるでしょう。このほかにも、一般的にサザンカの花には香りがありますが、ツバキには香りのある品種は少ないなどの違いもあります。

ツバキとサザンカには、このように細かい違いがありますが、どちらも日本に自生し、長く愛されてきた花木。どちらも日本の気候風土の中で育てやすく、常緑で、冬に花を咲かせるという、ガーデナーにとっても嬉しい樹木です。ガーデンに取り入れてみるのもオススメですよ。

では、最後にクイズ! 下の写真はツバキ? サザンカ?

山茶花の花

そう! 花びらが平たく、咲いていたのは12月だったので、正解はサザンカ。

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Credit

文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Photo/ 1)Ole Schoener/ 2)Svetlana Lukienko, Ken Kojima/ 4)Inmt24 /Shutterstock.com

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