個性派パンジー&ビオラと鉢のコーディネートで冬のおしゃれな寄せ植え
育種が盛んなパンジー&ビオラは、一言で「何色」とは呼べない複雑精緻な色彩が多くあります。その色彩を生かして寄せ植えを作る際、植える鉢も吟味すると、おしゃれな雰囲気がグッと高まります。エム・アンド・ビー・フローラの寄せ植え名人ナンバッチこと難波良憲さんが、個性派パンジー&ビオラと鉢をコーディネートした冬のおしゃれな寄せ植えをご提案します。
目次
冬はテラコッタや陶器鉢のひび割れに注意!
冬は個性豊かなパンジー&ビオラやガーデンシクラメンなど、素材が豊富で寄せ植えが楽しい季節。ただし、寄せ植えにする際の器選びは地域によって注意が必要です。寒冷地では、テラコッタや陶器の鉢は、鉢内部に残った水分が凍結することにより、ひび割れが生じることがあります。エム・アンド・ビー・フローラの本社がある山梨県北杜市は八ヶ岳の麓に位置し、冬は0℃以下になることが多いため、割れる心配のないブリキ製やFRP(繊維強化プラスチック)素材の鉢を用いるようにしています。これらの鉢は色彩やデザインの幅が多くあり、軽量で比較的安価なのも魅力。花に合わせて選ぶことで、より印象的な寄せ植えを作ることができます。
ビオラ‘恋みやび’をビンテージ風の鉢とコーディネート
ビオラ‘恋みやび’はゆるっとしたフリルと一輪のグラデーションが美しい品種です。ピンク系からブルー系まで色幅がたくさんある中から、今回選んだのは水色のグラデーションの花。鮮やかすぎない落ち着いた色味に合わせて、ビンテージなムードを演出することにしました。そこで選んだのが「Voyage de J.B. 1768」と書かれた青い旅行カバン風のブリキの鉢。1768年にどこかの誰かが旅をしたことを意味するデザインですが、18世紀終わりはヨーロッパで探検や冒険が盛んだった時代。ワクワクするような気持ちを表現して、花があふれ出るように植栽しました。
‘恋みやび’の花心の色と合わせ、淡いイエロー系のビオラとネメシアをセレクト。両サイドに入れたパープルのミニハボタンとスイートアリッサムはこんもり丸い形を出しつつ、色の引き締め役に。手前のヒューケラの色合いも、ビンテージ感を演出するのに活躍してくれます。少し高さと変化を出すために、一番後ろにオレガノ‘ミルフィーユリーフ’をプラス。落ち着いた雰囲気ながら、華やかにまとめました。
複数鉢をレイアウトしたコンテナガーデンでより印象的に
植物が地植えできない場所で、複数の鉢を組み合わせて空間を彩る手法を「コンテナガーデン」と呼びます。先ほどの寄せ植えと合わせて、フリルが優雅なパンジー‘フェデネージュ’や白花のスキミアを合わせたブルーの寄せ植えをもう1鉢組み合わせ、印象的な花のコーナーを作りました。コンテナガーデンを魅力的に見せるには、カラーコーディネートに加え、花台などを利用して高低差をつけてレイアウトするのもコツです。
物語を感じさせる本型のユニークな鉢と花とのコラボ
ピンクとグリーンの2色の本が積み重ねられたようなユニークな植木鉢(FRP)を使った寄せ植えです。パンジー&ビオラも、‘マジックアワー’や‘ジュエルボックス パステルフリル’という個性的な花を選びました。鉢との一体感が出るように、ワイヤープランツやカルーナ・ブルガリス、ミカニア・デンタータなどのリーフ類を添え、全体的に草丈を低く抑えました。
優雅なフリルと個性的な色合いが魅力の‘ジュエルボックス パステルフリル’。さまざまな色の展開があり、その中から二つとないレアな色が見つかるのも個性派パンジー&ビオラの楽しみです。パンジー&ビオラではとても珍しいブラウン系の花ですが、寄せ植えの中では一際目立つ花色ではないので、リーフ類は花が引き立つようにフォルムの細やかなワイヤープランツやカルーナ・ブルガリスを近くに配置。ごく細かい点ですが、ワイヤープランツの茎の色も組み合わせの際のポイントにしています。
本を模した鉢は意外にもデザインのバリエーションがあり、個性的なだけに何を植えるか考えるのも心躍るものです。ガーデンの入り口や門柱の上などに置くと、目をひく存在になり、冬の寂しい庭にも楽しげな物語を感じさせてくれます。
ダークカラーの植栽と明るい鉢でコントラストを
ダークカラーの植栽と淡いイエローの植木鉢(FRP)を組み合わせた寄せ植えです。黒や茶色といったダークカラーの植物はシックでおしゃれな雰囲気が出るのですが、庭の中に置くと意外に目立たなくなってしまうことがあります。そんなときこそ鉢色でコントラストを。明度の高いものを選ぶと寄せ植えの存在感を簡単に補うことができます。加えて中央から伸びるストックのピンクの花で、上品で明るいポイントを作り、華やかさをプラスしました。
繊細な虹色のグラデーションが美しい‘ジュエルボックス パステルフリル’に合わせて、ブラックのハボタンとキンギョソウ‘ブランルージュ’などのリーフ類を合わせました。
温もりを感じる植栽をナチュラルデザインの鉢で
白や黄色、淡いピンクを基調とした明るい配色で、やさしく親しみやすい雰囲気に仕立てました。寒い冬に元気が出そうな陽だまり色のパンジー‘花絵本’やプリムラを組み合わせ、ブリキの鉢と高さや色のバランスをとるように、後方にネメシアを植栽して立体感を。枕木やウッドデッキなどナチュラルなエクステリアに似合う一鉢です。
寒さの厳しくなる季節ですが、周囲の緑が少なくなる季節だからこそ、寄せ植えが大活躍します。個性あふれる花と鉢をコラボレーションさせ、冬のガーデニングを大いにお楽しみください。
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲
八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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撮影 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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