パンジー&ビオラの冬の寄せ植え実例5選|育種家パンジー&ビオラを輝かせる“寄せ植え名人の技”公開
陽だまりのようなアプリコットからインクがにじむような青紫まで、繊細なグラデーションをまとった花びら。育種家による工芸品のようなパンジー&ビオラと、花メーカーが長い年月をかけて育てあげた“暮らしの相棒”としてのパンジー&ビオラ――。エム・アンド・ビー・フローラの寄せ植え名人、難波良憲さんはそのどちらにも強い愛着を持っています。「育種家さんの花は刺激と憧れ、自分たちメーカーの花は、ユーザーさんのいちばん近くにいる頼れる存在」と語る難波さん。今回は、そんな難波さんの寄せ植えを例に、日本のパンジー&ビオラの“2つの魅力”と、上手な楽しみ方をご紹介します。
目次
工芸品のような育種家パンジー&ビオラ――繊細な色と形の世界
一株のなかに、いくつもの表情がある

難波さんがまず敬意を込めて語るのが、各地の育種家が手がけるパンジー&ビオラ。なかでも心惹かれているのが、桂楓園さんが作る‘フェデネージュ’シリーズの青系だと話します。透明感のあるブルーがじんわりとにじむようなグラデーションになり、光の加減で見え方が変わる様子は、まさに“染め物”のよう。
こうした育種家ビオラの魅力は、
- 花びらの端から中心へと溶け込む繊細なグラデーション
- 1株の中でさえ1輪ずつ色合いが違う
- 表情の豊かさ
- フリルや多弁など、工芸品のような凝った花形
といった「情報量の多さ」。寄せ植えにひと株入れるだけで、そこに物語が生まれるような存在感があります。

ただし出会いは「一期一会」

一方で、育種家パンジー&ビオラは生産量が限られているため、流通数はごくわずか。1ポット千円前後というものも珍しくなく、人気品種は店頭でもネットでもすぐ完売してしまいます。最近は転売が問題になることもあり、全体としてやや“過熱気味”なムードも。
だからこそ難波さんは、「珍しい品種を全部追いかけようとするより、その年その場所で出会えた花を宝物のように楽しむ感覚がいいのかもしれませんね」と話します。
メーカーのパンジー&ビオラは「暮らしの相棒」
生産者とユーザー、両方にやさしい花を目指して

一方で難波さん自身は、花メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」の営業として、パンジー&ビオラを含めた多くの花を世に届ける役割を担っています。
メーカーの花づくりは、
- 生産者さんがそろって育てやすいこと
- ユーザーさんが失敗なく育てられること
この2点が大前提。そのために、何年もかけて試作・選抜を繰り返し、
- 花付きのよさ
- 病気や寒さへの強さ
- 草姿の乱れにくさ
などを細かくチェックし、「これなら安心」と判断したものだけが市場に出ていきます。
安定した花数と価格、手に入りやすさが大きなメリット

メーカー品種には、
- 初心者も花いっぱいを体験できる安定したパフォーマンス
- 流通量も価格も安定していて、同じ品種でたくさん揃えたいときにも入手しやすい
といったメリットがあります。
難波さんいわく、「メーカーのパンジー&ビオラは、日々の庭や玄関先を支えてくれる“暮らしの相棒”。長く咲き続けてくれる安心感や育てやすさが魅力です」。
育種家パンジー&ビオラの個性を活かすプロの寄せ植え5選
① 長方形プランターの淡色アプリコット寄せ植え

やわらかなアプリコット〜クリーム色のパンジーを主役に、斑入り葉やライムグリーンの葉もの、鮮やかな発色のエリカを合わせた大人かわいい寄せ植え。全体を同系色のベージュ〜オレンジでまとめて、主役は中央部に集めて見せ場を作ります。細長いプランターなので、鉢の両端にもリーフでサブの見所を作り、花の周囲は主役を引き立てるやわらかなクリーム色で囲んで。玄関ポーチや窓辺の手すりなど、横にスッと見せたい場所に似合うデザインです。

② バスケットのオレンジ&紅葉カラー寄せ植え

カゴいっぱいにオレンジ系の草花を組み合わせた、秋~初冬らしい暖色の寄せ植え。複雑そうに見えて、じつは花材は4種だけ。構成も「中央主役+左右対称リーフ」という、シンプル構成できれいにまとまります。持ち手付きバスケットを使うことで、「摘みたての花を集めたブーケ」のようなワクワクするストーリー性が演出できます。



③ ブルー系パンジー×葉ボタンの上品プランター

青〜紫のパンジーと、白〜クリーム色の葉ボタンを中心に、黄緑や黄色のリーフを組み合わせた、冷たすぎないブルーガーデン。クリームベージュの長方形プランターが、ブルーの透明感と葉ボタンのフリルを引き立てています。シックな印象なので、門柱の上やテラスの手すりなど、建物の外観と合わせて飾りたい一鉢です。


④ シックカラーのバスケット寄せ植え

フリル咲きのパンジーを中心に、黒紫のケール、シルバーがかったヒューケラ、黄斑入りリーフをぎゅっと詰め込んだ、ドラマティックな色合わせ。寒色寄りの葉ものと、ビビッドなパンジーのコントラストで、夜のステージのような雰囲気があります。同じバスケットでも②よりぐっと大人っぽく、ブルーの板塀ともよく調和していて、フォトスポットになりそうなデザイン。

⑤ 本型コンテナのリース風寄せ植え

本をモチーフにしたコンテナの中央に、こんもり円形に植え込んだ寄せ植え。紫のビオラをメインに、ブラック、黄色、シルバーのカラーリーフ、アリッサムを組み合わせ、物語の1ページから飛び出したような世界観を作っています。横から見ても上から見ても絵になるので、庭のコーナーやアプローチの足元に置いて、じっくり眺めたい一鉢です。

花から色のヒントをもらう難波さんの技

難波さんの寄せ植えをよく見ると、中心に据えた育種家パンジー&ビオラの花色から、周りの植物の色が抜き出されています。
例えば、
- アプリコット×ラベンダーが混ざる花には、ライムグリーンのヒューケラと斑入り葉を合わせて、やわらかな空気感に
- 青~紫のビオラには、シルバーリーフや淡い黄色の葉を合わせて、冷たいだけではない透明感のあるブルーガーデンに

「育種家さんのパンジー&ビオラは、色が本当に複雑なので、その中から“主役にしたい色”を一つ決めて、葉ものや脇役の花を選んでいきます。
そうすると、全体がまとまりつつ、主役の花のニュアンスもきちんと生かせるんです」と難波さん。
初心者にもおすすめのメーカーのパンジー&ビオラ

一方、数十年と古くから愛されているメーカーのパンジー&ビオラは、花色が安定しているので、計画的に色のリズムを作りやすく、たくさんの花数で華やかさを演出することができます。
花付きもよく、勝手にふんわりきれいな株姿に育ってくれるので、寄せ植えはもちろん1種類を育てても見応えを約束してくれる頼もしい存在。
花壇など広い面積を彩るのにも向いています。
それぞれの良さを知れば、パンジー&ビオラはもっと楽しくなる
“憧れの一鉢”と“日常の一鉢”を行き来して
育種家パンジー&ビオラは、なかなか出会えないからこそ憧れの存在。一方、メーカーのパンジー&ビオラは、いつもの庭を支えてくれる心強い味方。
どちらか一方を選ぶのではなく、
- 育種家パンジー&ビオラに出会えた年は、特別な1鉢をじっくり楽しむ
- 普段はメーカーの花で、玄関やベランダを明るく飾る
- メーカーの花で「舞台」作り、育種家パンジー&ビオラを「演者」に
そんなふうに、“特別”と“日常”を行き来しながら楽しむのが、パンジー&ビオラとの付き合い方を豊かにしてくれますよ。
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲(なんば よしのり)

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。ブーケ作りも得意。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。
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文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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