【パンジー&ビオラ】フリル系から極小輪、枝垂れ系、オールドパンジーまで多彩な花で冬のかわいい鉢植え
パンジー&ビオラの魅力はなんといっても圧倒的に多彩な個性。不動の人気を誇るフリル系パンジーが進化する一方で、極小輪のかわいらしい品種や古くから愛されるオールドパンジーも熱い注目を集めています。エム・アンド・ビー・フローラの寄せ植え名人、難波良憲さんが、そんな注目のパンジー&ビオラの可愛い鉢植えをご提案します。
目次
人気品種のパンジー&ビオラは今が買いどき!
パンジー&ビオラは秋から春までおよそ半年間、花を咲かせてくれる花期の長い一年草です。秋冬の間は病害虫の心配もなく、鉢植えでも地植えでも日当たりのよい場所で水をあげさえすれば、誰にでも難なく育てられるので、ガーデニング初心者にもおすすめ。苗は秋から店頭に並び始め、初春まで販売されますが、人気品種は年内にはなくなってしまうことが多いため、今が買いどきです。
パンジー&ビオラの人気の秘密
近年のパンジー&ビオラは、その色の進化が芸術的。水彩画のようににじむような色合いや、透明感のある繊細な色合いが多くありますが、繊細ゆえに個体差があり、同じ名前の花でも1株ずつ微妙に表情が異なります。ですから、できるだけ店頭で実物を見て買うのがおすすめ。この時期は花との運命的な出会いを求めて何軒もお店をめぐる‘パンジーハンター’の姿も珍しくありません。また、色のバリエーションだけでなく、極小輪や這って枝垂れ咲く、株姿が個性的な品種も注目を浴びています。加熱するパンジー&ビオラ人気の秘密を深掘りしてみましょう。
ひるがえる花弁の裏側が別色のコントラストバイカラー
近年その人気を不動のものにしているのは花弁がひるがえるフリル系のパンジーですが、ただフリフリしているにとどまらず、その特徴を最大限に生かしたカラーが、コントラストバイカラーです。ひるがえった花弁の裏側が表とは別の色をしており、そのコントラストの差が大きい花は、1株でとてもおしゃれな雰囲気。1輪のなかに2色入るものをバイカラーと呼びますが、寄せ植えでもその色を目安に他の植物を選ぶと、必ず素敵にまとまるのでおすすめです。
花弁の縁が彩られるピコティ
花弁の縁に別色が入る花をピコティ(覆輪)と呼びます。花の形がくっきりと浮き上がるとともに、色のコントラストによって繊細ながら華やかな印象で、他の花と合わせても目を引く存在。ピコティは斑入りの現象の一つで、糸で細く縁をかがったようにクッキリと入る場合もあれば、水彩で色をにじませたようにフワッと入ることもあるので、店頭でお気に入りを探す楽しみがあります。
対照的なアンティークカラー&ブラッシュカラー
アンティークカラーとは少しくすんで落ち着いたトーンのカラーをいいます。経年変化し味が出たアンティークのような品があり、クラシカルで大人っぽい雰囲気が魅力です。
対してブラッシュカラーとは頬を染めたようなピンク色がサッと入るカラーリング。幼子の頬を思わせる愛らしく若々しい雰囲気があり、ガーデンを明るく彩る効果があります。
花径1〜2cmの極小輪系ビオラ
ゴージャスなフリル系のパンジーが人気を不動のものにする一方で、人気急上昇中なのが花径1〜2cmの極小輪系ビオラ。小さいものに惹かれるのは清少納言の時代からの日本人の特徴かもしれませんが、小さいながらも個性的な色合いの花に注目が集まっています。
極小輪系ビオラは花つきが非常によく、一輪は小さいながらも株のボリュームが出るのも特徴で、地植えでも鉢植えでも華やかになります。地植えではクリスマスローズなどの宿根草の足元を彩るのにも向いています。
這って枝垂れて、華麗な株姿のパンジー
パンジー‘プレンティーフォール’は這うように広がる特徴で、他のパンジーとは一線を画す品種です。地植えにすると株幅なんと60cmにもなる驚異的な株張り力をもち、ハンギングにすると滝のように枝垂れ咲き、ふわんふわんの花かごができます。少し高さのある花壇やハンギング、鉢植えにするとこぼれ咲く姿が楽しめます。
絶対かわいい寄せ植えの鉄則「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」
アンティークカラーのパンジー‘夢見るパンジー はっぴーしぇーど’を使った寄せ植えです。一輪のなかに微妙な濃淡があるので、その色から大きくずれないように他の植物を選びました。そして、組み合わせの絶対法則といってもよいのが、形の違いの差をつけること。特にカラーを同系色でまとめた場合は、形が異なるものを組み合わせると変化に富んだ見応えのある寄せ植えになります。そこで覚えておきたい組み合わせが「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」のコンビネーション。これらが入っていれば、冬の寄せ植えは必ず可愛くなる絶対法則です。
写真左上から時計回りに
■パンジー‘夢見るパンジー はっぴーしぇーど’/バイオレットのグラデーションカラーで、下の花弁に濃い色のベイン(筋のようなライン)が入ります。中輪〜小輪なので、他の花との寄せ植えに使いやすいです。
■キンギョソウ‘ブランルージュ’、パンジー
■カルーナ、ハツユキカズラ、スイートアリッサム
■チェッカーベリー、ワイヤープランツ
このほかに、鉢の後方にヒューケラと同系色のパンジーを植栽しています。
秋冬は植物がぐんぐん生育する時期ではないので、このくらいギュッと詰め込んで植えても問題ありません。春以降、株が生育して窮屈そうになってきたら、分解して2鉢に寄せ植えに作り直すのも楽しいですよ。
さまざまなカラーが入る場合でも、「パンジー&ビオラ×カラーリーフ×実もの」の組み合わせは可愛くまとまります。この寄せ植えではカラーリーフにヒューケラと黒いハボタンを使っています。ヒューケラは葉が平らで比較的大きいので、鉢縁に配置すると効果的です。実もののチェッカーベリーも実がこぼれるような姿が可愛いので鉢縁が定席。
古くから愛されているオールドパンジーもおすすめ
個性を競い合う近年の流行の一方で、昔から親しまれているオールドパンジーもおすすめ。丸くて整った花形は愛らしく、寄せ植えにしなくてもこの通り単植でこんなに可愛らしいのも魅力です。何十年も変わらず愛されるのには理由があり、花形や色合いにバラつきがなく、丈夫で株張りに優れ、価格が比較的安価で入手しやすいことから、オールドパンジーはガーデナーから厚い信頼を寄せられる花です。
ブロッチと呼ばれる花心の模様が顔のように見える花もオールドパンジーの一つ。大輪のものが多く、ガーデンでの存在感は抜群です。オールドパンジーは性質が丈夫だからこそ古くから残っており、生産しやすいため安価に提供ができます。パンジー&ビオラの育苗は真夏の最も暑い時期にハウス内で行われるため、生産者さんの環境は年々過酷なものになっています。オールドパンジーは耐暑性に優れ、株張りがよく、徒長しづらい特性なので、過酷な暑さの中で育苗する生産者さんも安心して生産できる花であるということも、花選びの参考になるかもしれません。もちろん、愛好家の庭でもその魅力を十分に発揮してくれますよ。
パンジー&ビオラを上手に育てるコツ
■場所/日当たりがよく水はけのよい場所。水やりをしたときに水たまりが数十分以上残ってしまうような土は水はけが悪いです。春以降は特に株が茂ってくるので、鉢植えは風通しの良い環境に置きます。
■土/鉢植えの場合は元肥入りの培養土に植えましょう。地植えの場合も元肥を施すと生育が良好です。
■水やり/地植えは基本的に自然の降雨に任せます。プランターは土がかわいたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりあげます。
■手入れ/花がら(しぼんだ花)があったら、タネになる前に都度摘み取ると、株の寿命が長くなり、次々に花を咲かせます。春以降は頻回になります。
■肥料/春以降生育旺盛になったら定期的に液肥を与えると生育がよくなります。
協力/エム・アンド・ビー・フローラ
https://www.instagram.com/m_b_flora_official/
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲
八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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まとめ・写真 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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