‘ドラキュラ’や‘ヌーヴェルヴァーグ’などで大人気!「サトウ園芸」のパンジー新品種を橋本景子さんが寄せ植えに!
2021年冬、全国各地の園芸店で売り切れ続出の強烈な人気を見せている育種家のパンジー&ビオラ。なかでも‘ドラキュラ’や‘ローブ・ドゥ・アントワネット’、‘ヌーヴェルヴァーグ’、‘エッグタルト’など数々の美しい花を発表している「サトウ園芸」から、さらなる魅力を持った最新品種が登場しました。これまで、「サトウ園芸」で作られる魅力的なビオラを6年以上見続けてきた橋本景子さんが、品種誕生秘話と6つの最新品種のお披露目に加え、新品種を主役にした寄せ植え作品を初公開します。
目次
育種家が世に送り出す新しい表情のパンジー&ビオラとの出合い
近年ブームに火がつき、今や晩秋から春にかけての植物のトレンドとなっているパンジー&ビオラですが、私が初めてその魅力にはまったのは、2013年頃。
それまでも、商業施設の装飾用として制作したハンギングバスケットに一般品種のパンジー&ビオラを使ってはいましたが、それらは毎年同じ花形で安定的に市場に出てくるもので、少々マンネリを感じていたのかもしれません。しかし2013年頃に、それまでとは明らかに異なる表情を持つ個性的なパンジー&ビオラと出合い、気がつけば毎年、晩秋になると唯一無二の花に出合える! という、新しい楽しみに心奪われるようになっていました。そう、それは、今や「育種家パンジー&ビオラ」として有名になった、育種家さんの手によって生み出されるパンジー&ビオラのことです。
2016年2月に、今では“育種家ビオラの聖地”と呼ばれるようになった、宮崎の園芸店アナーセンで開催されていた育種ビオラ展を訪ねると、そこには個性あふれるビオラたちがずらりと並んでいました。それを機に、私のパンジー&ビオラへの興味はさらに深まり、以来毎年のように、時には年に何度も宮崎を訪れるまでのご縁となりました。
サトウ園芸が作るパンジー‘ドラキュラ’との衝撃的な出合い
その初めて訪れたパンジー&ビオラ展で話題をさらっていたのが、サトウ園芸のパンジー‘ドラキュラ’でした。
その年にデビューした‘ドラキュラ’は、花びらがまるでドラキュラがひるがえすマントのようなフリンジになり、黄色や黒といったくっきりとした配色が特徴です。ここまでフリンジが見事に現れたものはかつてなく、画期的なことでした。まるで八重咲きのような豪華さですが、‘ドラキュラ’は花弁が5枚。
本当に5枚の花びらで構成されているのかを、花弁を分解して説明してくださったことも記憶に深く残っています。
女性目線の意見を取り入れた育種の現場
群馬県の高崎に住む友人たちが、サトウ園芸のハウスで毎年ビオラを買っていたことがご縁で、その年、親株を見学させていただくことになりました。そこで、好きな色や花の形など、女性目線での感想を伝えるという機会をいただいたのですが、それ以来毎年、出荷時期にハウスに通っては、親株の選抜のお手伝いをすることになりました。
育種や栽培、販売に関わる方の多くは男性です。しかし、購買者は圧倒的に女性が多い。そのことからも、私たちのようにガーデニング経験の長い女性目線での意見は、消費者サイドからの直接の感想ととらえて参考にしたいという佐藤さんのお考えがありました。でも、実際には一方的に好きなことを言い放題(笑)。それでも、そんな作業もはや6シーズン目を迎えました。
試験販売された「サトウ園芸」の新品種
サトウ園芸のパンジー&ビオラの代表的な品種には、‘ヌーヴェルヴァーグ’、‘エッグタルト’、パンジー‘ドラキュラ’、‘ローブ・ドゥ・アントワネット’などがありますが、昨シーズンは“夜会”をイメージする赤系のシリーズ‘ローブ・ドゥ・アントワネット・ソワレ’が試験販売され、今シーズンは、さらに‘ヌーヴェルヴァーグ’から選抜された上写真の4品種と、‘ローブ・ドゥ・アントワネット’からの新品種‘クレール・ドゥ・リュンヌ’が試験販売されました。
そこで、6つの新品種の魅力をお伝えしながら、これらを引き立てる寄せ植えもご紹介します。
最新品種①
ローブ・ドゥ・アントワネット・ソワレ
もともとは淡いピンクやイエロー、ホワイトなどのパステル系が主流だった‘ローブ・ドゥ・アントワネット’ですが、年々濃い色目の親株を残していくうちに、その中から特に黒っぽい赤系の花が出現しました。それを特別の品種として名前をつけ、本格的に生産、今年から販売されています。
‘ドラキュラ’の中にも「赤ドラ」という通称で人気の赤花種がありますが、‘ローブ・ドゥ・アントワネット・ソワレ’は横張り性の‘ドラキュラ’は全く違う性質を持つパンジーで、直立性で株は縦に伸びます。
‘ソワレ’は‘ドラキュラ’に比べて高さが出るので、高さのあるコロキアに渋い色に紅葉したコプロスマと、濃いピンクの葉脈が映える黒い葉ボタンを使って、黒赤系の大人なイメージでシンプルな寄せ植えにしました。
最新品種②
クレール・ドゥ・リュンヌ
上の写真は、今年の2月、ハウス見学会での撮影です。この時、見学に来られたインスタグラマーの方々にお見せしたところ、大変好評を得たことから、今季、試験販売となりました。
‘ローブ・ドゥ・アントワネット’よりやや小ぶりの花は、上品で優雅なフリルに月明かりを思わせるニュアンスカラーで、さらに時々、紫がにじみます。花つきのよさは、サトウ園芸の品種に共通する特徴です。
玄関先の大きなポットに植え込み、ここで華やかに咲いてもらうことにしました。
ヘーベやカルーナ、シロタエギクやアジュガは、他の寄せ植えからの再利用で、手前に根締めとして黄金色のエリカ・ダーレンシスを入れました。
最新品種③
エクリプス
美しいブルーにくっきりと白い覆輪が現れる、どことなく和のイメージを感じさせる‘エクリプス’。こちらは、特に男性からの人気があったものを選抜されたそうです。
‘エクリプス’の花色を生かすように、メタリックな銅葉が美しい葉牡丹‘ブラックサファイア’と黄金葉のエリカ、タイム、銅葉のスミレ、ラブラドリカといった、あまり主張しない花が咲く植物を組み合わせました。
ラブラドリカが咲き始めたら、その小さな紫の花と‘エクリプス’との競演がちょっと楽しみな寄せ植えです。
最新品種④
ルールブルー
‘ルールブルー’を2株使って、スクエアの鉢に植えました。
中央に葉ボタンを配置、隙間を埋めるようにモクビャッコウやタイム、オレアリア、アジュガ‘サンパワー’などを入れて。真上から見ても美しい寄せ植えを意識しました。
最新品種⑤
アンジュ
‘アンジュ’は、その柔らかい花色と花つきのよさ、可愛らしいフリルの三拍子で、寄せ植えにも使いやすく、販売店などにも人気が高いという理由で選抜されました。
外気温が低くなるとピンクが濃くなる‘アンジュ’の魅力が引き立つ組み合わせです。
クラシックなピンクからクリームへと移ろう花色に、細く縁取られた白の覆輪を見せる魅力的なこの花には、可愛いリボン形のシロタエギクやバロータ、オレアリア‘リトルスモーキー’、エレモフィラ・ニベアなどシルバー系のリーフを数種類合わせて、大人ガーリーな寄せ植えにしました。
越冬に不安なシルバー系のリーフが多めなので、軒下で大事に育てたいと思います。
最新品種⑥
アクアレール
毎年たくさんの‘ヌーヴェルヴァーグ’を見ていると、好きだなぁ〜と思う品種が出てくるのですが、昨年、すごくいい! と思ったのが、この‘アクアレール’でした。
ほどよく波打つ上品なフリルと変化を楽しめるアンティークな花色に魅了されて、惚れ惚れと「綺麗ですよねぇ〜〜」と、佐藤さんに言い続けていたら、なんと新品種として発表する4品種の一つとして選抜してくださったのです。
好きな‘ヌーヴェルヴァーグ’から、こうして新品種として確定されると、本当に嬉しいものです。
ラウンド型の浅いポットを使い、エリカ・グリフィスシー‘バレリグリフィス’を中央に、周りを囲むように、黄金葉のリュウノヒゲやバロータと一緒に植え込んでいます。
今回は5つの新品種を、それぞれ主役にした寄せ植えにしてご紹介しましたが、サトウ園芸の苗はどれも立派に株が育ち、花があふれ咲くので、寄せ植えではなく、十分なスペースを確保して単体で植え込むのが理想だと思います。
どの苗も、春には驚くほどのパフォーマンスを見せてくれます。
そして、来シーズンの新作も、すでに戦略会議で決まりつつあります。
サトウ園芸のパンジー&ビオラの魅力を、より深く多くの皆さんに楽しんでいただくために、これからも微力ながらお手伝いさせていただくつもりです。
●併せて、『冬のかわいい花に行列200人! ドラキュラ、ローブ・ドゥ・アントワネット、ヌーヴェルヴァーグ、サトウ園芸のパンジー&ビオラ』もご覧ください。
●ガーデンストーリーにて当記事公開と同時に、橋本さんによるYouTubeにて、寄せ植え作成動画も配信中。また、動画をご視聴の方には、‘ヌーヴェルヴァーグ’の花苗をプレゼントする企画も! 併せてご覧ください。
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.6万人に。大好きなDIYで狭い敷地を生かした庭をどうつくろうかと日々奮闘中。花より枯れたリーフの美しさに萌える。
YouTube 「Kay garden」
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
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