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秋や冬に咲く冬桜とはどのような花? 主な品種や名所もご紹介!

秋や冬に咲く冬桜とはどのような花? 主な品種や名所もご紹介!

zzz555zzz/Shutterstock.com

桜といえば春に咲くイメージが強いですが、じつは秋冬に花を咲かせる「冬桜」と呼ばれる品種もあります。この記事では、冬桜とはどんな植物なのか、その概要やメカニズム、主な品種とその特徴、冬桜が見られる名所などについて詳しくご紹介します。

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冬桜とはどんな花?

桜
lydiarei/Shutterstock.com

「桜」はバラ科サクラ属の落葉樹を指します。多くの自生種と野生種があり、これらを交配することで、多彩な園芸品種が生まれています。園芸品種の中には、秋や冬に咲くものも含まれており、これらは一般に「冬桜」と呼ばれます。もっとも、冬桜は秋冬だけではなく春にも咲き、多くは秋冬の開花は控えめですが、春には盛大に花を咲かせます。また、品種として「冬桜」という名前を用いることもあり、これはヤマザクラとマメザクラが自然交配して生まれたものを指します。

冬桜が生まれた過程とは

桜
Jozef Sowa/Shutterstock.com

冬桜には園芸品種として生み出されたものが多くあります。秋冬に咲く桜が生まれた過程について解説しましょう。

桜が咲くメカニズム

桜
Stone36/Shutterstock.com

まずは一般的な桜が春に咲くメカニズムをご紹介します。一般的な桜は春に開花し、花が散った後の夏に新たな花芽を形成します。そして秋になると、成長を抑える植物ホルモンが供給されて桜は休眠状態に入り、冬の間は休眠したまま過ごします。

一定期間冬の寒さに晒されると、成長を促す植物ホルモンが供給され、桜の休眠状態が解除されます(休眠打破)。これにより、春になると桜は花を咲かせます。つまり、桜の花が咲くためには寒さが必要なのです。

冬に咲く桜ができた過程とは

桜
Africa Studio/Shutterstock.com

日本に自生している桜の祖先は、ヒマラヤに分布するヒマラヤザクラで、その開花期は秋です。しかし、ヒマラヤザクラが日本に来てからは、気候に対応するために冬は休眠し、春に咲くように変化していったと考えられています。

ヒマラヤザクラ
日本の桜の祖先と考えられるヒマラヤザクラ。Jindowin/Shutterstock.com

こうして日本の桜は春に開花するようになったものの、先祖返り的に季節外れの秋冬に開花する変異枝が出現しました。これらの変異枝を接ぎ木などで性質を固定化させることで、秋冬に咲く品種の桜が誕生しました。

春咲きの品種が季節外れに咲く理由

桜
aijiro/Shutterstock.com

春に開花する品種の桜が、まれに季節外れの秋や冬に咲くことがあります。このような咲き方は「不時(ふじ)現象」といい、一般に「狂い咲き」や「返り咲き」と呼ばれます。

狂い咲きは、台風や虫害などで桜の葉が失われると起こりやすくなります。葉がないと休眠ホルモンが出ず、その結果、夏に形成された花芽がそのまま成長し、秋に低温の日が続いた後に暖かい日が来ると、桜は春になったと勘違いして咲きやすくなります。

狂い咲きしてしまうつぼみは基本的に一部に限られ、狂い咲きした桜の木も、翌春には通常の開花を楽しむことができます。

冬桜の品種や花の特徴

冬桜
Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com

冬桜と呼ばれる桜の中にもいくつかの品種があります。ここでは代表的な冬桜について、それぞれの花の特徴を解説します。

フユザクラ(冬桜)

フユザクラ

フユザクラは、野生種のヤマザクラ(またはサトザクラ)とマメザクラの種間雑種と考えられています。秋冬には中輪の花を、春には大輪の花をつけます。その花は白色で一重咲きです。また、葉が小さいためコバザクラ(小葉桜)とも呼ばれています。

シキザクラ(四季桜)

シキザクラ
Pastel 4 Tenshi/Shutterstock.com

シキザクラは、野生種のマメザクラとエドヒガンの種間雑種と考えられています。この桜は白からピンク色の一重咲きの花を咲かせます。フユザクラとよく似た花ですが、シキザクラは萼筒が膨らんでいる点で見分けられます。

ジュウガツザクラ(十月桜)

ジュウガツザクラ
Yoshihide KIMURA/Shutterstock.com

ジュウガツザクラは、エドヒガンとマメザクラの種間雑種とされるコヒガンザクラの園芸品種です。この桜は10月から春にかけて、白色や薄いピンク色の八重咲きの花を断続的に咲かせます。

コブクザクラ(子福桜)

コブクザクラ
STUDIO GIUSTO/Shutterstock.com

コブクザクラの起源は、カラミザクラとコヒガンザクラ、カラミザクラとエドヒガン、またはカラミザクラとジュウガツザクラの交配種とする説があり、意見が分かれています。この桜は、白色から淡いピンク色の八重咲きの花を咲かせます。子福桜という名前は、1つの花から2つ以上のサクランボができることに由来します。

カンヒザクラ(寒緋桜)

カンヒザクラ
NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com

単純に寒い季節に咲く桜を総称して冬桜と呼ぶ場合、カンヒザクラも含まれることがありますが、カンヒザクラは早春に1回咲く早咲きの桜であり、秋冬と春の2回咲く冬桜とは異なります。カンヒザクラは沖縄県、台湾、中国南部、東南アジア北部に分布する野生種で、花色が濃いピンクであることが特徴。沖縄で「桜」といえばカンヒザクラを指し、今帰仁城跡(なきじんじょうあと)などが名所として知られています。別名はヒカンザクラ(緋寒桜)。

今帰仁城跡
世界遺産にも登録されている今帰仁城跡の入り口に咲くカンヒザクラ。Mei Yi/Shutterstock.com

冬桜が楽しめる名所

冬桜
Rittis/Shutterstock.com

冬桜は長い期間美しい花を楽しめるため、さまざまな公園や庭園にも植えられています。

ここからは、冬桜を楽しめる名所をいくつかご紹介します。

城峯公園

城峯公園
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埼玉県児玉郡神川町にある城峯公園は、神山の中腹である標高500mの高台にあり、自然の美しさを満喫できる場所として知られています。特に十月桜の名所として有名で、同時に紅葉も楽しむことができます。シーズン中は夜のライトアップが行われ、幻想的な風景を作り出します。例年10月下旬には「冬桜まつり」も開催されています。

小原の四季桜

小原の四季桜
Pond Thananat/Shutterstock.com

愛知県豊田市の小原地区は四季桜で有名で、地区内のいたるところに1万本を超える四季桜が植栽されています。周辺ではさまざまな場所で四季桜が見られ、小原ふれあい公園ではおよそ300本、川見四季桜の里ではおよそ1,200本の四季桜と紅葉のコントラストを楽しむことができます。例年、11月中旬からは「小原四季桜祭り」も開催されます。

桜山公園

冬桜
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群馬県藤岡市にある桜山公園では、約7,000本の冬桜が見られます。主な品種は小葉桜や十月桜などです。特に11月中旬には、冬桜と紅葉の両方を楽しむことができ、美しい風景が広がります。また毎年12月1日には「桜山まつり」が開催されます。

瑞泉寺

瑞泉寺
master-J/Shutterstock.com

神奈川県鎌倉市にある瑞泉寺は、臨済宗のお寺で、境内にはさまざまな花が楽しめる国指定名勝の庭園があります。本堂前に咲く冬桜は、水戸黄門こと徳川光圀のお手植えだとされています。

冬桜の名所を訪れ観賞しよう

冬桜
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冬桜は秋冬から春まで長い期間楽しめる桜で、さまざまな品種があります。桜といえば春に満開に咲くイメージが一般ですが、秋冬に咲く冬桜も凛とした雰囲気があり、美しいものです。冬桜が有名な公園やお寺などもたくさんありますので、ぜひ名所を訪れてみてはいかがでしょうか。

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