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「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート

「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート

2025年12月中旬、第4回目となる「東京パークガーデンアワード」の作庭が、夢の島公園(東京・江東区)でスタートしました。 作庭期間の5日間、書類審査で選ばれた5人の入賞者はそれぞれ独自の方法で土壌を整え、吟味した植物を植え付けました。ここ数年の庭づくりで大きなテーマとなっているのは、酷暑を健やかに乗り切ること。その課題に挑みつつ、あらゆる工夫を施しながら庭を仕上げていきます。選ばれし5人のローメンテナンスな庭づくりを、ガーデンごとにレポートします。

第4回のコンテスト会場の全貌

今回の舞台となる「夢の島公園」は、運河に囲まれた人工島内にある海辺の都立公園です。かつてはゴミの埋立地として知られていましたが、そのイメージを払拭すべく、ユーカリやデイゴ、ソテツなど異国情緒漂う樹木が多く植えられています。コンテスト会場の背後に広がるユーカリの大木群と、今回制作するガーデンがいかに調和するかも、見どころのひとつです。

コンテストガーデンのエリアには、あらかじめ事務局によって、木枠で縁取られた1.2×10mの波打つ花壇が2対1組で設置されています。黒土をメインとした客土が施され、ガーデナーたちはそれをベースに、植栽計画に沿って土壌を整え、苗や球根を植え付けました。土壌改良や施肥の方法はデザイナーによって異なります。

各花壇は高さ約15cmの木枠で縁取られているため、見学者がうっかり手前の植物を踏んでしまう心配がなく安全。
作庭が完了した12月下旬の様子。カラス避けの水糸が張られたガーデンもあり、スタートからガーデンの様相が大きく異なっている。

ガーデン制作にあたり、デザイナーが踏まえておくこと

コンテストガーデンAの作庭の様子。

デザイン・植栽について

・コンテストのテーマ「海辺のサステナブルガーデン」を踏まえ、宿根草をメインとしたガーデンを制作すること。
・ロングライフ・ローメンテナンスで、コンテスト終了後も持続可能な花壇を制作すること。
・国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は使用不可)。
・公園内で爆発的に繁殖するおそれがある植物は使用不可。
・主たる植物は宿根草を使用すること。容易に制御が可能な、草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。
・ 構造物やガーデンオーナメント、バイオネスト等の設置は不可。植物のみで構成すること。

コンテストガーデンBの作庭の様子。

メンテナンスについて

・展示期間中(2025年12月~2026年12月末)は入賞者がメンテナンスをし、それ以降は事務局が管理。
・補植は可能。
・最低限植物の状態を保つ週1回程度の灌水は事務局が行う。
・薬剤の散布は不可。自然素材の忌避剤の使用についても不可。
・メンテナンス計画を提出すること。

コンテストガーデンEの作庭の様子。

区画・土壌について

・花壇の基礎土壌は、既存の土壌の下を約50cm掘削し、浸透性処理を施している。
・事務局にて準備した土を使用して整備を行うが、ガーデン制作時に施肥など土壌改良が可能。
・事務局にて既存地盤の上に盛土(5cm内外)を行い、植栽基盤厚を確保。
・各コンテストガーデン区画は、土留め機能を有する部材で囲った状態で引き渡す。

コンテストガーデンCの作庭の様子。

【審査基準】

公園の景観と調和していること/ 公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価
※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。

コンテストガーデンDの作庭の様子。

「第4回 東京パークガーデンアワード」作庭

5人のガーデンデザイナーの庭づくりのこだわりをチェック! 

コンテストガーデンA
花の巡り、風と大地の詩

松田 恵(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。

◆使用資材◆

土壌改良材:桐生砂、くん炭、有機石灰、矢作砂、バットグアノ入り有機堆肥完熟腐葉土

◆ガーデン制作工程◆

桐生砂、有機石灰を混ぜ込む準備をする。

さらにくん炭を加え、混ぜ込みながら耕す(左)。/宿根草のポット苗を配置する(右)。

ポット苗を植え込む。長期的に花を咲かせる植物には、バットグアノ入り有機堆肥と完熟腐葉土を、乾燥を好む植物には矢作砂を植穴の底にすき混む。植栽後は、土の表面は水はけを良くするため平らにする。

球根植込みチーム(左)。/球根数量確認(右)。

球根を配置する。

球根配置完了(左)。/球根を植込みし、最後に全体に水やりする。

【作庭完了】

◆デザイナーのこだわり◆

乾いてやせた土地が好きな植物をたくさん入れているため、土壌を豊かにせず、可愛がりすぎないように育てる予定です。華やかな開花のリレーが楽しめるように、彩り豊かなガーデンを目指します。

【作庭を終えて】

【作庭を終えて】

当初よりも多くの品種を迎え、作庭日当日は皆で相談し合い配置を何度も調整しました。信頼できる仲間との作庭は、植物談義が尽きることのない充実した楽しいひとときでした。多くの力が重なり合って生まれた花壇は、エネルギーに満ちた表情を見せています。これからも植物たちがその力を存分に発揮できるよう、丁寧に見守っていきます。

コンテストガーデンB
潮風に揺れるプレイフルガーデン
-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 

MOTe. (モト)茂木大樹(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。

◆使用資材◆

土壌改良材:赤土小粒、堆肥(籾殻、糠、ピーナツの殻、そば殻を燻蒸で発酵させたもの)
マルチング材:マルチバーク(のり付き)

◆ガーデン制作工程◆

まずは樹木を配置。基本的に植え穴を掘って植えるが、レベルを上げて植えたいものは穴を掘らずにそのまま置く。

赤玉土と堆肥を載せていき、樹木の根鉢を覆いながらレベルの起伏を作る(左)。/根鉢のまわりに水を入れて土中の隙間をなくしてなじませる(右)。

赤玉土と堆肥で起伏を作り、表面を木の板でなだらかに整える(左)。ユーカリの枕木を数個用いてステップを設ける(右)。

宿根草のポット苗を配置してバランスを確認する(左)。/樹高2m以内の規定に合わせて伸びすぎている樹木の枝を剪定(右)。

ポット苗・球根を植え付ける。

グラスの枯れ葉を除去(左)。/マルチバークで表土にマルチングをする(右)。

【作庭完了】

◆デザイナーのこだわり◆

オージープランツが多いので栄養はそれほど必要ないと考え、もともとの土壌に発酵させた堆肥を加える程度に留めています。堆肥は籾殻や米糠、ピーナツの殻、ソバ殻を燻蒸で発酵させたものを用いました。ソバ殻の炭素分が多く、空気の層を作ることができるので、根の伸長を促してくれます。

植え付けは、植え穴を掘らずに根鉢を土の上に載せるだけで堆肥を盛ることで高さを出して風景に立体感を作り、微気候を生み出しています。植栽は花の彩りは控えめに、常緑の植物を多く使って瑞々しい緑を生かしつつ、植物の直線的、造形的なフォルムを楽しんでいただけるようにしています。

【作庭を終えて】

【作庭を終えて】

設計段階で図面や3Dモデルを用い、植栽配置と四季のボリュームを徹底検証することで、現地で判断に集中できる余白を確保しました。樹種の限定や盛土を生かした工夫により、意匠と施工性を両立。現場では図面で捉えきれない木々の枝ぶりや宿根草の個体差と向き合い、配り付けを楽しむことができました。スピーディかつセンスあふれる施工をしてくれたチームに感謝です

コンテストガーデンC
Stewardship Garden: The Way 

ぐりんぐりん 横田拓伸(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。

◆使用資材◆

土壌改良材:堆肥(植物の枝葉を15年ほど寝かしたもの)、米糠(肥料としても有効)
ライン引きのための材:赤玉小粒
マルチング材:ウッドチップ、洗い砂、クルミの殻
その他:ユーカリの枝葉

◆ガーデン制作工程◆

斜めのラインの位置出しをして、花壇の縁に目印のテープを貼る。

土壌を耕したあと、堆肥と米糠を加えて混ぜ耕す。

位置出しで貼ったテープの目印を頼りに、小粒の赤玉土を使って表土に斜めのラインを描く。その後、ポット苗や球根を配置。

苗と球根を植え付ける(左)。/球根を植え付けた場所に棒切れで目印を立てる(右)。

ウッドチップをマルチングする(左)。/ガーデンの端にはウッドチップでマルチングをせず、洗い砂を敷いて砂浜の風景をつくる(右)。

ガーデンの一部に溝をつくり、その両側に棒を2本渡してユーカリの葉を敷き詰める。また、その傍らにクルミの殻を敷き詰めるコーナーをつくる。

【作庭完了】

◆デザイナーのこだわり◆

人間もマッチョだけじゃダメ、健康であることが大切なように、植物もなりたい大きさで育つように、ここの環境に合う植物を持ってきました。栄養分は堆肥のみで、そこに米糠を加えて微生物の働きを促します。積極的にサポートするのは植え付け時のみ。土中の微生物は地域で種類が違うので、堆肥はこの会場に近い場所で生育する植物の枝葉を15年ほど寝かしたものにしました。

【作庭を終えて】

【作庭を終えて】

経験豊富なメンバーと確かな生産者さんから譲っていただいた植物と資材たち。これ以上ない条件のなか、素敵な庭づくりが出来ました。お庭で大切なことの半分は地中にある、だけど地上部は見た目も重要! 思わずお庭に近づいてしまう仕掛けがたくさんある。作って楽しい! 見て楽しい! 参加して楽しい! そんな庭づくりが出来たことに感謝します!

コンテストガーデンD
SurFIVE Garden 

PICNIC garden design  河野友香(栃木県)さん率いる作庭メンバーの皆さん。

◆使用資材◆

土壌改良材:エコロベース、堆肥
元肥:マグァンプ大粒
ライン引きのための材:赤玉小粒
マルチング:バークチップ

◆ガーデン制作工程◆

よく耕してから、エコロベースソイルを盛土する。

微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて混ぜ込み、起伏を作りながら表面を平らにする。

デザイン通りのゾーニングのラインを赤玉小粒で描く。

25cmほどにカットした木の幹を3本1束にして、5cmほど顔を出すようにして埋め込む。後々のメンテナンスのときを考え、片足を踏み込める小さな足場を作った。

ポット苗と球根を配置し、植え込む。

花を咲かせる苗の株穴には、マグァンプL(大粒)を適量入れる(左)。/球根を植え込む(右)。

植えた苗のまわりに堆肥をまく(左)。/最後にバークチップでマルチングする。

【作庭完了】

◆デザイナーのこだわり◆

海に近く風の強い夢の島公園の環境を踏まえ、宿根草の根張りを最優先に考えて選びました。エコロベースソイルを盛土することで、しっかりとした根張りに必要な水はけと通気性を確保して、微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて団粒構造をつくり、バークチップのマルチングで乾燥と雑草を抑えました。あわせて、花付きが安定し来園者に長く楽しんでもらえるよう、ゆっくり効く化成肥料(マグァンプ大粒)を必要最小限加えました。

【作庭を終えて】

【作庭を終えて】

年末の忙しさや体力面も考慮して、2日間で終えられるよう綿密に段取りを組みました。メンバーの協力のおかげで、思い描いた通りに無事完成させることができました。テーマカラーのオレンジは友情を表す色でもあり、オレンジの糸を張り巡らせたカラスよけも、想いを重ねた私たちのガーデンのシグネチャーとして表現できたことが印象に残っています。

コンテストガーデンE
「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 

本田ハビタットデザイン 本田直也(北海道)さん率いる作庭メンバーの皆さん。

◆使用資材◆

土壌改良材:黒土
マルチング材:マルチバーク

◆ガーデン制作工程◆

花壇全体に黒土を載せ、苗を配置する。

苗の植え付け(左)。/バークマルチでマルチングをする(右)。

【作庭完了】

◆デザイナーのこだわり◆

今回植え付けたのはグラス類など宿根草なので、排水性と少しの保水性があれば十分と考え、栄養分は極力少なくして植物の成長を抑え気味にしました。以前、動物園でゾウのフンを堆肥にバタフライガーデンをつくった際、一年目から背丈を越すほど成長してしまい(なかには2mを超すものも!)、開花の見頃を迎えるタイミングに倒れてしまったり、切り戻しせざるを得なかったり。「肥料が多くて見苦しくなる」という過去の苦い経験を踏まえました。

【作庭を終えて】

【作庭を終えて】

北海道から車で苗を運び込み、4日間かけて作庭する予定でしたが、悪天候の影響でフェリーが2日連続欠航。作業は実質1日半という厳しい状況になりましたが、現場で力を尽くしてくれた心強いメンバーのおかげで、なんとか無事に完成しました。とにかく安堵と感謝の気持ちでいっぱいです。

コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立夢の島公園「グリーンパーク」内
所在地: 東京都江東区夢の島2-1
電話: 03-3522-0281
https://www.tokyo-park.or.jp/park/yumenoshima/index.html#traffic
開園時間:常時開園
※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。
入園料:無料(一部有料施設あり)
アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分
駐車場:有料

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