春を告げる縁起花「フクジュソウ」の品種バリエと育て方|夏越しや「株分け」のコツも解説
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旧暦の正月頃に咲くことから「元日草」とも呼ばれるフクジュソウ。明るい黄色い花を咲かせ、一足早く春を告げる縁起植物として人気があります。日本に自生する植物ですが、中には朱金色の花を咲かせる珍しい種類も存在します。開花後の夏場は地上部を枯らして休眠するため、水やりや置き場所には少し注意が必要です。本記事では、名前の由来や花言葉、代表的な品種に加え、失敗しない育て方や株の老化を防ぐ「株分け」の手順など、フクジュソウを長く楽しむための秘訣を徹底ガイドします。
目次
フクジュソウの基本情報

植物名:フクジュソウ
学名:Adonis ramosa
英名:Far East Amur adonis、Amur adonis、Pheasant’s eye
和名:フクジュソウ(福寿草)
その他の名前:元日草、元旦草、朔日草、エダウチフクジュソウなど
科名:キンポウゲ科
属名:フクジュソウ属
原産地:北海道~本州
形態:宿根草(多年草)
フクジュソウの学名は、Adonis ramosa(アドニス・ラモサ)。キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草です。原産地は日本で、主に山野に自生してきた植物です。漢字では「福寿草」と書き、縁起のよい名前からお正月に飾る花として昔から人気を集めてきました。そのため12月頃から鉢植えの開花株が出回りますが、これらはお正月に合わせて咲くよう開花調整したもので、自然の環境下での開花期は2〜4月です。寒さに強く、早春から開花した後は、夏前に地上部を枯らして休眠します。草丈は20〜30cmです。
フクジュソウの自生地の一つ、埼玉県秩父郡皆野町の開花の様子。例年の開花時期は2月下旬~3月中旬。Hironori_Takita/Shutterstock.com
フクジュソウの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:2〜4月
草丈:20〜30cm
耐寒性:普通
耐暑性:普通
花色:黄、クリーム色
フクジュソウの開花期は2~4月です。花色は黄色が基本ですが、赤や緑の花色の品種も生まれています。地面から花茎を伸ばした頂部に、3cmほどの花を咲かせます。花や葉などは太陽の動きに合わせて向きを変える性質を持ち、夜間や曇りの日は花弁を閉じます。したがって、開花期は日当たりのよい場所で管理するのがポイントです。葉は羽状複葉で互生につきます。
フクジュソウの名前の由来や花言葉

早春からほかの植物に先駆けて花を咲かせるため、春を告げるという意味で「フクツグソウ(福告ぐ草)」と名付けられ、語路の悪さからフクジュソウ(福寿草)になったとされています。別名のガンジツソウ(元日草)やツイタチソウ(朔日草)は、旧暦の正月頃に咲くことが由来です。
学名のアドニス・ラモサの「アドニス」は、ギリシャ神話に登場する美少年アドニスに由来しています。アドニスは、愛と美の女神であるアフロディーテにこよなく愛されていましたが、イノシシの牙に突き刺されて命を落としてしまいます。アドニスの死を嘆き悲しんだアフロディーテは、アドニスの血をフクジュソウ(アドニス)に変えたとされています。
日本のフクジュソウは黄色い花が多く、この神話に違和感を覚えるかもしれませんが、ヨーロッパ産のフクジュソウは赤い花が多いので、神話の世界をイメージしやすいのではないでしょうか。
なお、種小名の「ラモサ(ramosa)」は、ラテン語で「枝分かれした」という意味です。
フクジュソウの花言葉は、「幸せを招く」「永久の幸福」など。縁起がよいので贈り物にもいいですね。
日本のフクジュソウは4種類

フクジュソウは多くの園芸品種が出回っていますが、日本に自生しているのは、フクジュソウ、キタミフクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、シコクフクジュソウの4種類。ここでは日本に自生する4種のフクジュソウについて、フクジュソウ以外の特徴をガイドします。
キタミフクジュソウ

北海道の北東、シベリア東部、中国に自生。萼片が花弁とほぼ同じ長さかやや長く、赤紫色を帯びるのが特徴です。1茎の頂部に1つずつ花を咲かせます。フクジュソウの葉はほぼ無毛ですが、キタミフクジュソウは葉裏に毛が密生しています。茎は中実。
ミチノクフクジュソウ

東北から九州、朝鮮半島、中国に自生。萼片が花弁よりも短く、淡い色をしているのが特徴です。1本の茎から分枝して多数の花が咲くタイプもあります。葉裏はわずかに産毛があり、茎毛があります。茎は中空。
シコクフクジュソウ

本州、四国、九州の一部に自生。萼片が花弁とほぼ同じ長さかやや短いのが特徴です。1本の花茎の先端に一つの花が咲くか、または分枝して多数の花をつけます。葉裏は無毛で、茎は中空。
フクジュソウの代表的な園芸品種
‘福寿海’

もっとも一般的な園芸品種であり、ミチノクフクジュソウとフクジュソウの雑種です。花弁が多く大輪のため、見栄えがします。丈夫で育てやすく、庭植えにも適しています。
‘秩父紅’

「幻のフクジュソウ」と言われている秩父地方の固有種を、地元で増殖選別し、今では秩父地方の各地で植栽されています。花色は朱金やオレンジ色で、通常のフクジュソウに比べて赤みを帯びているのが特徴です。
‘白寿’
咲き始めはクリーム色で、次第に花色が白くなっていく、珍しい品種です。白花とも呼ばれています。
‘紅撫子’

花びらの先がギザギザに切れ込むナデシコ弁が特徴です。朱橙色で勲章のような大輪の花を咲かせます。見栄えがよく、丈夫で育てやすい品種です。
‘三段咲き’
大輪の八重咲きで、その名のとおり異なる色の花弁が三段重なるのが特徴の美しい花です。咲き始めは黄色ですが、咲き進むと緑色に変化し、さらにもう一段、中心部が盛り上がるように黄色い層が現れます。江戸時代から伝わる希少種です。
フクジュソウに似た花
セツブンソウ

フクジュソウに似た植物に、セツブンソウ(節分草/学名Eranthis pinnatifida)があります。セツブンソウは、フクジュソウと同じキンポウゲ科、セツブンソウ属の球根植物です。開花時期もフクジュソウとほぼ同じ2~4月初旬頃で、節分の頃に花が咲くことから、この花名が付けられたと言われています。草丈は10~20cm程度で、直径2cmほどの白い可憐な花を一輪ずつ咲かせます。関東地方以西の落葉樹林に自生していましたが、近年は開発などにより激減してしまいました。
セツブンソウの仲間に南ヨーロッパ原産で、黄色い花を咲かせるキバナセツブンソウがあります。鮮やかな黄色い花が上向きに咲くので、冬枯れの中で目に付きやすく、春の訪れを感じさせてくれる可愛らしい存在です。
ナツザキフクジュソウ

ナツザキフクジュソウ(別名エステバリス)は、フクジュソウの名を持つ別の植物です。フクジュソウ属キンポウゲ科、学名はアドニス・アエスティバリス(Adonis aestivalis L.)、英語名がSummer pheasant’s-eye(夏の雉子の目)です。学名のアエスティバリスは「夏の」という意味です。南ヨーロッパ、北アフリカ原産の一年草で、草丈は50cm、直径4cmほどの花を茎頂に咲かせます。開花時期は4~6月です。
花色は朱紅色から赤色で、葉っぱは無毛の明るい緑色で羽状に裂けています。花弁の基部の黒い部分が雉子の目に見えることが、英語名Summer pheasant’s-eye(夏の雉子の目)の由来とされています。
フクジュソウの栽培12カ月カレンダー
開花時期:2〜4月
植え付け・植え替え:10〜11月
肥料:1〜5月
種まき:5月頃
フクジュソウの栽培環境

置き場所
【日当たり/屋外】フクジュソウは落葉樹の株元などで自生するので、落葉樹がまだ芽吹く前の開花時期は日当たりがよく、木々が芽吹く頃からは半日陰になる環境を好みます。梅雨前には地上部がなくなって休眠し、休眠期間中の日照は必要ありません。
【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。ただし、鉢が凍結する恐れのある寒冷地では、鉢植えの場合は室内に取り込んだほうが無難です。
【置き場所】庭植えにする場合は落葉樹の下が最適。鉢栽培にする場合は落葉樹の休眠期は日なたで、生育期は半日陰で管理することがポイントです。休眠期間中は涼しい場所で管理しましょう。
耐寒性・耐暑性
寒さに強く、マイナス10℃程度であれば地植えでも越冬し、特に防寒対策なども必要ありません。ただし、乾燥や凍結には弱いので注意しましょう。積雪があれば地面は保温されるため凍結の心配はありません。暑さにはやや弱いので、休眠期である夏は涼しい場所で管理します。
フクジュソウの育て方のポイント
用土

【地植え】
植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
市販の山野草用の培養土を利用すると手軽です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。
【地植え】
根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理しましょう。特に、地上部が枯れる休眠期は水やりを忘れがちなので、乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。ただし、休眠期はあまり水を必要とせず、また植物の様子も分かりにくいので、過湿にしすぎて枯らさないように注意しましょう。いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。水やりの基本は、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え・鉢植えともに】
元肥として緩効性肥料を施した後は、越年して新芽が動き始めた頃から地上部が枯れるまで、1週間に1度を目安に液体肥料を与えます。フクジュソウは休眠期が長いため、生育期間中にしっかりと太らせるのが栽培のコツです。
注意する病害虫

【病気】
フクジュソウが発症しやすい病気は、白絹病、灰色かび病などです。
白絹病はカビが原因の周囲に伝染しやすい病気です。根や茎に発生しやすく、発症初期は地際あたりに褐色の斑点が見つかります。病状が進むと株元の土に白いカビがはびこり、やがて株は枯れてしまうので注意が必要。病株を発見したら、周囲に蔓延させないためにただちに抜き取り、土ごと処分してください。土づくりの際に、水はけのよい環境に整えることが予防につながります。
灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほどで、多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
【害虫】
フクジュソウに発生しやすい害虫は、ナメクジ、アブラムシなどです。
ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉などを食害します。体長は40〜50mmで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に粘液がついた痕があれば、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。不可能な場合は、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
フクジュソウの詳しい育て方
苗の選び方
フクジュソウの苗を購入する際は、なるべく芽のしっかりした大きめの株で、節間ががっしりと締まって勢いのあるものを選びます。葉が傷んでいるものや、ヒョロヒョロと間のびしているものは避けたほうが無難です。またお正月の鉢花として人気のフクジュソウは、12月頃にはさまざまな場所で苗が販売されますが、こうした苗は促成栽培で育てられ、根が切られているものも多いため、その後の成長がよくない場合もあり、注意が必要です。地掘り苗なら根が大きいものを選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え

フクジュソウの植え付け適期は、10〜11月です。ただし、植え付け適期以外に花苗店などで入手した場合は、早めに植え付けるとよいでしょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmくらいの間隔を取ってください。
庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。しかし、大株になると込み合いすぎて弱ってくることがあるので、その際は掘り上げて株分けし、植え直しましょう。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから山野草用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出し、根鉢をくずさずに鉢の中に入れて仮置きして高さを決めます。少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えで楽しんでいる場合、2年に1度は植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢を軽くくずし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。根を切り詰めすぎずに、丁寧に扱うことがポイントです。もっと大きく育てたい場合は、それまで育てていた鉢よりも大きい号数の鉢を準備し、根鉢をくずさずに植え替えるとよいでしょう。
日常のお手入れ

【花がら摘み】
フクジュソウの終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。種子を採取したい場合は、開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめて、種子をつけさせるとよいでしょう。
増やし方

フクジュソウは、株分け、種まきで増やすことが可能です。それぞれの方法についてご紹介します。
【株分け】
フクジュソウの株分け適期は10〜11月です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。あまり小分けにしない方が無難です。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていきます。
【種まき】
フクジュソウは開花後に結実するので、そのタイミングで果実を採取します。果実を採取したら、間を置かずにすぐに播きましょう。ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせ、フクジュソウの種子をそのまま数粒播きます。種子は腐りやすいので1週間ほどは土をかぶせないことがポイント。その後に薄く覆土して明るい日陰で管理。越年して春の生育期を迎えると発芽するので、その後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。種まきから4〜5年すると開花し始めるので、それまでは株の育成に努めます。
フクジュソウは毒成分に注意

フクジュソウの根茎は生薬として使われることがありますが、全草に毒成分を含み、毒性が強いので、一般家庭では利用しないでください。芽がフキノトウと似ているため、間違って誤食するケースも多いようです。誤食すると、嘔吐、呼吸困難、心臓麻痺などの強い症状が現れるので注意。「強心によい」という話を参考に根茎を煎じて飲み、死亡した例も報告されています。
フクジュソウとフキノトウの違い

早春が旬のフキノトウと、毒をもつフクジュソウは、芽出しの頃の姿が似ているので、誤食は避けたいもの。ここで、両者の見分け方をご紹介しましょう。フキノトウはキク科のフキのつぼみで、出蕾した時は産毛があって白っぽく見え、強い香りをもっています。フキノトウにも毒成分が含まれているので、食べる際にはあく抜きが必要です。
一方、フクジュソウの芽は茶色~緑色で、綿毛がなく光沢があるのが見分けるポイント。フキノトウより小さくてやわらかく、やや弱い香りをもちます。全草に毒があるので、誤食に注意しましょう。
日本文化の中のフクジュソウ

フクジュソウは、旧暦の正月頃に咲き、花名に幸福の「福」と長寿の「寿」を持つことから縁起のよい花とされてきました。そのため、江戸時代には、難(ナン)を転(テン)じると考えられたナンテン(南天)や、常緑樹であることから長寿の象徴とされた松とともに、正月飾りに使われるようになりました。花名の縁起のよさもさることながら、フクジュソウの黄金色、ナンテンの赤い実、松の緑色は目にも鮮やかで美しく、ハレの日にふさわしい姿だったことも、重用された理由といえるでしょう。
また、フクジュソウは正月の季語にもなっていて、江戸時代から現代にいたるまで、さまざまな短歌や俳句が詠まれてきました。江戸時代の歌人、橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌に「正月立つすなはち華のさきはひを受けて今歳も笑ひあふ宿」があります。フクジュソウの花を見て、正月に身を寄せ合いながら笑う家族の姿のようだ、と詠んだものです。ほかにも、幕末の歌人大隈言道(おおくまことみち)の「うれしくも年の始めのけふの日の名におひいでてさくやこの花」や、大正から昭和の歌人斎藤茂吉の「福寿草を縁の光に置かしめてわが見つるとき心は和ぎぬ」などがあります。
俳句では、江戸時代の俳人、与謝蕪村の「朝日さす弓師が見せや福寿草」、井原西鶴の「花ぞ時元日草やひらくらん」があります。いずれもフクジュソウにかけて正月の風情や心情を詠んでいます。さらに、女流俳人の先駆けとなった加賀千代女は、花よりもその名こそめでたくて価値があるとして「花よりも名に近づくや福寿草」を詠みました。明治の俳人、正岡子規と文豪夏目漱石は、それぞれ「暖炉たく部屋暖かに福寿草」、「光琳の屏風に咲くや福寿草」と詠んでフクジュソウを愛でました。
フクジュソウを育てて春の訪れを楽しもう

黄色い花を咲かせるフクジュソウは、縁起のよい植物として大変人気があります。早春に咲くことから、いち早く春の訪れを感じられることができるので、庭やベランダに取り入れて、季節感を演出してはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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