いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。ガーデニング以外の他分野のPR等にも携わる。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
井上園子 -ライター/エディター-
いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。ガーデニング以外の他分野のPR等にも携わる。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
井上園子 -ライター/エディター-の記事
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ガーデン&ショップ

365の季節をもつガーデンとは? 名古屋に誕生した「メグラスガーデン ナゴヤ」を徹底解説
季節がめぐり、植物の移ろう姿に魅せられる“五感で植物の営みを感じて” 前身の「名古屋港ワイルドフラワーガーデン ブルーボネット」の時代から受け継いだエントランスのアイアン門扉をくぐり、ガーデンハウスから入園すると、眼前に広がるのは青い空と美しい花×緑×水がきらめく開放的なガーデン。誰しもが瞬間的にハッとさせられるのびやかな風景です。 「メグラスガーデン ナゴヤ」の「メグラス(Megrass)」には、訪れる人が「私の庭」のようにゆったり庭をめぐり、時間や季節、植物の生長、そして自分の心など、あらゆることに思いをめぐらせてほしいという願いが込められています。最大の特徴は、「芽吹きから開花、結実、そして休眠へ」と、すべての生育ステージに宿る魅力を最大に引き出す設計がなされていること。芽吹きの瑞々しさに開花の華やかさ、豊かな結実、そして静かな生命の眠り……の植物の命の営みを身近に見られる「365の季節をもつガーデン」です。一日として同じ風景ではありません。 5月上旬の花の谷。 歩くたびに感動と新発見の連続! 6つの個性豊かなエリアをご紹介 約2.3ヘクタールの敷地は、6つの異なるエリアで構成されています。歩く向きで見える景色が違うので、ガーデンデザインを味わいながら、植物の生命の息吹を感じるなど、あなただけの「美しい発見」をたくさん見つけてみて。庭全体はバリアフリーで、ベビーカーや車いすでもめぐることができて安心です。 エリア1 見晴らしの広場 ガーデンに足を踏み入れるとまず目の前に広がるエリアで、円形劇場から着想を得た、モダンな芝生の広場。半円の中央に設けられたウッドデッキからのガーデンの眺めは最高です。 暑い日には最上段のカーブの縁から細かなミストが噴射し、訪れた人々を涼やかにもてなしてくれます。 ランドアートを思わせる、モダンな造形が楽しめる芝生の階段。 エリア2 花の谷 中央の小川がある谷部分の両側を囲むように広がる、高低差がある地形を生かしたエリア。宿根草をメインとした草花がなだらかな斜面で美しく共演しています。せせらぎの音を楽しみながら、青×白×黄、紫×ピンクなどの花色の美しいグラデーションを楽しめます。夏にはルドベキアやユーパトリウムなどの宿根草で、丈がぐっと高くなる予定。 美しい織物が次々に出現するように広がる、フロックスやダイアンサスなどの宿根草とアリウムやアネモネを中心とした球根類が緻密に組み合わされた植栽風景。 エリア3 光のグラベルガーデン 砂利(グラベル)と岩がデザイン的に敷かれた、ゆるやかな起伏が心地よいエリア。ユッカやアエオニウムなどの彫刻的なオーナメンタルプランツがいくつかの島を作るように植わっています。秋に現れるミューレンベルギアのピンクの穂の群れも見もの。ごつごつした岩部分は、流れの源流を表している枯山水で、これが花の谷の流れにつながっています。 水が湧き出るファウンテンなどが、オーナメンタルプランツと点在。歩みを進めると、次々に造形的な植物や点景物に出会える。 エリア4 そよ風のメドウ&トピアリー 風にそよぐ草花やグラス類の中に、大きな鳥形と半球状のトピアリーがいくつも点在する、愛らしいアートシーン。名古屋港のすぐそばというロケーションから、日本の伝統文様「青海波に千鳥」に着想を得てデザインしたものです。グラスと自然の趣の草花で広がる植栽は、メドウ(牧草地)をイメージしています。 丘に向かうにつれ、大きな鳥のトピアリーが出迎えてくれるメドウ。グラスのスティパ‘エンジェルヘアー’はアザミやポピーなどの素朴な草花と相性抜群。 エリア5 秘密の花園 最も色彩豊かでフォーマルなスタイルのイングリッシュガーデン。ツゲの列植で囲まれた空間には、春に楽しめる花が植えられており、ゾーンによって色分けされています。ここは春限定(春分の日〜6月頃)で公開される特別なエリアで、花の見頃が終わると重厚な扉は閉ざされます。この演出が、モチーフとなった物語「秘密の花園」への没入感をより高めています。 扉の向こうに広がる、静かに佇む花いっぱいの花園。囲まれ感たっぷりの、夢見心地になれる場所。 エリア6 こもれびの小径 モミジ、エゴ、クヌギ、ツバキなどの木々が落とす、緑陰が美しいエリア。木々の足元で花の美しい低木と宿根草が静かに咲くさまは、ほかのエリアとは趣が異なり、どこか和を感じる風情にほっと心が落ち着きます。 雲のような形をしたソフトなベンチと背景の樹木のコントラストが美しい。ベンチの形と白さが、モダンさと清潔感をもたらしている。 2人のプロフェッショナルがこだわり抜いたポイントとは? 約20年にわたりガーデンファンにも愛されてきた「名古屋港ワイルドフラワーガーデン ブルーボネット」。設備などの更新時期を迎えたことを機に、今の時代に合ったガーデンにアップデートするため、今から約5年前、リニューアル計画が発足しました。プロデューサーは、日本初の女性樹木医であり環境緑化コンサルタントや植物園の再建に携わる塚本こなみさん。ガーデンデザイナーには、日本と英国の両方で造園を学んだ気鋭のデザイナーの小倉珠子さんが選ばれ、リニューアルのプランが託されたのです。 静かにせせらぎの音を聞きながら過ごせるデザイン。モダンとナチュラルが入り混じった、都会のオアシスのような演出。 まず2人が考えたのが、環境に配慮した「ナチュラリスティック・プランティング(自然風植栽)」の考え方を色濃く取り入れた、サステナブルなガーデンにすること。一般的な庭園では、一年草の花が終わるとすぐに新しい花に植え替えていますが、ここでは基本的に植えっぱなし可能な宿根草をメインに植栽されています。 1年を通しておよそ450品種5万株の植物が育つ。そのうち宿根草が約80%を占める。 宿根草なら、基本的に開花が終わっても植え替える必要がなく、水やりや肥料も比較的少なくて済み、サステナブル。切り戻した植物を堆肥化して土に戻すなどの取り組みも行います。気候変動が激しい今の時代に合わせたガーデンづくりです。「ナチュラリスティックな庭づくりは、ヨーロッパではすでに根付いている考え方ですが、日本はまだ取り入れている場所は少ないです」と小倉さん。 メドウ(牧草地)の風景は、心を和ませてくれるナチュラルな場所。黄金色に輝く秋の風景も楽しみ。 植え替えをしない宿根草とグラス類は、花以外の時期も楽しめる利点もあります。植物の株姿や花形、そしてシードヘッド(種子がついた状態)が楽しめます。小倉さんは、フォルムなどが造形的な植物を積極的にセレクト。植物の「芽吹きから枯れる」までのライフサイクルすべてを「美しさ」として捉え、植物本来の魅力を見出すことができるように、デザインをしています。「ガーデン全体を、アートを観るように楽しんでもらいたい」と言うように、グラウンドデザインもナチュラルながらも造形的なラインを描き、モダンで洗練された空間に仕上げています。また、地元の愛知県立芸術大学にも声をかけ、コラボアート作品も点在させました。花の美しさを求めるだけでない、一歩先ゆく新しいデザインが盛り込まれています。 小倉さんが考案した、コクーンシルエットのガゼボ。庭の休息所という枠を超えて、ひとつの彫刻作品のような存在感を放っている。 「メグラスガーデン ナゴヤ」を楽しむ8つのポイント ① 宿根草のありのままの表情を楽しむ 華やかな一年草とは異なり、花の芽吹きの様子から開花、そして、花が枯れた後のシードヘッドや、冬の茶色くなった茎や葉をそのまま残して楽しめる宿根草を多用しています。ぜひ、植物のトゲトゲ、フワフワなどの個性的な造形も観察してみて。 ② しなやかなグラス類を楽しむ オーナメンタルグラスも積極的に用いています。たなびく穂が季節の風を感じさせてくれるほか、植栽をナチュラルに、時にはドラマチックに演出してくれています。ぜひグラスの魅力を感じてみて。 ③ 多様な混植 1カ所に1種の植物をまとめて植えるのではなく、異なる種類の植物を複雑に混ぜ合わせて植えることで、野生の植物群落のような奥行きと複雑な色彩を生み出しています。花の色形で織りなす表情豊かな風景をぜひ味わって。 ④ ランドスケープの造形を感じる ガーデンの手前側はモダンに、奥に行くにつれトラディショナルな趣に変化させています。ウッドデッキ付近からガーデン奥方向を眺めると、流れを軸に両脇から次々に花壇が折り重なるように出現し、視点を奥へ奥へと導いています。のびやかさをもたらしながら、心地よく歩みを進められるための工夫です。ぜひ視点を引いて、ガーデン全体を眺めてみて。 ⑤ 季節で花のボリューム感が異なる 春の初めの愛らしい春咲き球根類からスタートし、膝ぐらいの高さだった草花は、夏になると腰、肩、そして背丈ほどに成長します。年々成長しながら季節ごとに風景は異なるので、ぜひ季節を変えて毎年訪れてみて。 ⑥ 没入感を楽しむ 高低差のある斜面や列植に囲まれた場所にいると、花に包まれた感覚が味わえます。ぜひ日常を忘れる時間を過ごして。 ⑦ ベンチに座る ベンチは休むためのものだけでなく、点景物のような効果をもたらしています。また、ここぞという風景を見てもらいたい場所にも置いています。さらに、ベンチの素材にも工夫があり、マシュマロのような質感のユニークなベンチもあります。ぜひあちこちで座ってみて。 ⑧ オーナメントを探す 園内には、さまざまなストーリー性あふれるオーナメントが、庭に寄り添うように配されています。小倉さんが何度も工場に足を運び、フォルムや色にこだわり抜いた瀬戸焼の「鳥のオブジェ」は、名古屋港を背景に親子の鳥たちがひと休みしているよう。愛知県立芸術大学とのコラボレーションから生まれた、BIRD・RABBIT・HORSE・HUMANと名付けられた4つのオブジェも点在。ぜひお気に入りを探してみて。 味わう、買う、学ぶことができる「ガーデンハウス」&「サニーホール」 重厚なレンガのガーデンハウス内には、ガーデンカフェ(Me-Stand)とガーデンショップ(Me-Select)があります。カフェでは人気紅茶専門店TEAPONDの茶葉を使用したオリジナルの「メグラスブレンド」や自家製のスコーンなどが、ガラスのコンサバトリーの中で楽しめます。テイクアウトしてガーデンの好きな場所で楽しむのもおすすめ。 贅沢な香りが楽しめる紅茶や、おいしいケークサレやスコーンを楽しめる。優雅な雰囲気が漂うビクトリアンタイプのコンサバトリーでゆったり過ごせるのも魅力。 メニューは、ランチボックス1,300円やクリームティーセット1,350円、メグラスブレンド550円、秘密の花園ブレンド(期間限定)550円など(すべて税込)。 ショップ「Me-Select(ミーセレクト)」では、 ガーデンタイムやお出かけの気分を上げてくれる、ライフスタイルを彩るアイテムや、カフェで提供されている紅茶などを販売。屋外ではメグラスガーデナーがセレクトした宿根草の苗も販売しています。メグラスガーデン ナゴヤオリジナルアイテムもあるので、お土産としても喜ばれます。 ゆったりとショッピングができる落ち着いた館内。屋外テントの下では、メグラスガーデナーおすすめの苗が並んでいる。 ショップの一角で、今咲いている植物を紹介しているコーナーが設けられている。写真つきなので、今日見た花を見つけてみよう。 海になじむヨットの帆のような建物のサニーホールでは、トークショーなどのイベントが随時開催されます。ゴールデンウィークのイベントでは、塚本こなみさん・小倉珠子さん・ガーデンストーリーの倉重香理編集長の3人によるトークショーが開催されました。ガーデン誕生のストーリーや込められた思い、ガーデンの見どころなど、「メグラスガーデン ナゴヤ」の魅力について語られました。 「長年、どこかで形にしたいと心の中であたためていた小説『秘密の花園』のようなガーデンが、ここ『メグラスガーデン』で実現化しました。来園の皆さんにご覧いただけるのは、本当に美しい時期だけ。花に埋もれ包まれるという没入体験で、お客さまが『うわぁ~、きれい!』と幸せを感じてもらえればうれしいです。ぜひ、メグラスガーデンをマイガーデンとして、年々変わり続けるガーデンの成長を眺めてください」と塚本さん。 植物が息づく「ガーデン」とは。成長を続ける、永遠の未完成の場所 爽やかな海風を感じながら、植物の営みを感じることができる「メグラスガーデン ナゴヤ」。今の時代をけん引するナチュラリスティックなガーデンです。季節の移ろいとともに植物のありのままの姿を見て美しさを見出すという体験は、単なる視覚的な楽しみを超えて私たちに知恵や豊かな感受性を授けてくれるはず。これから2年、3年と、季節がめぐるたびにガーデンは進化し続けます。 ガーデンストーリー読者の方に! 開園を記念してペア入園チケットをプレゼント ※募集は終了いたしました 2026年4月23日にオープンした名古屋の「メグラスガーデン ナゴヤ」の入園チケットを10組20名様に抽選でプレゼントします。●応募締め切り 2026年5月27日(水)正午(12:00)※募集は終了しました。※当選は、チケットの発送をもって代えさせていただきます。 Information Megrass Garden Nagoya (メグラスガーデン ナゴヤ) 所在地:愛知県名古屋市港区潮⾒町42番地アクセス:伊勢湾岸自動車道「名港潮見IC」から車で約5分。詳しくはこちらTEL:052-870-6650公式HP:https://megrassgarden-n.com開園時間:9:30~17:00(3/1~11/30) 12/1~12/25は~16:00 ※最終入園は閉園の30分前まで休園日:【春分の日~5/31】無休【3/1~春分の日の前日まで、6/1~6/30・9/1~12/25】毎週火曜【7/1~8/31】毎週火曜・水曜、【12/26~翌2月末日】冬季休園入園料:大人500円~1,000円、小中 無料~500円(季節によって変動します)●オンラインチケットはこちらインスタグラム:https://www.instagram.com/megrass_garden_nagoya/
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公共ガーデン

都立公園を新たな花の魅力で彩る画期的コンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード」夢の島公園【花盛りの5月】
第4回コンテスト会場は「都立夢の島公園」 ユーカリやデイゴ、ヤシなどの熱帯・亜熱帯植物が茂る緑豊かな都立夢の島公園。コンテストガーデンの並びには、熱帯植物館も隣接。 2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園、第3回の砧公園に続き、4回目の舞台となる「夢の島公園」は、運河に囲まれた人工島の中にある都立公園です。園内には、熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な芝生広場があり、都心からもアクセスしやすい人気のスポット。この海辺の公園で、コンテストが繰り広げられます。 第4回のテーマは「海辺のサステナブルガーデン」 今回ガーデンが設けられるエリアは、『夢の島熱帯植物館』西側のグリーンパークの一画で、公園のシンボルであるユーカリの樹林地に面しています。広がる波をイメージした2本のウェーブガーデン(約24㎡)に、海辺の環境に適した宿根草を植栽。背景のユーカリとも調和する、ロングライフ・ローメンテナンスなガーデンが制作されます。2025年12月、土壌改良から作庭が行われ、11月の最終審査を迎えるまで、必要に応じてメンテナンスを実施。近年の激しい気候変動、とくに厳しい酷暑への対応も重要な課題です。3回の審査を経てグランプリが決定するまで、5名の入賞者はさまざまな予測を立てながら庭と向き合っていくことになります。 第4回のコンテストガーデン コンテストガーデンが設けられた敷地の平面図。A〜Eの各面積は約24㎡ 。どのエリアでガーデンを制作するかは、2025年10月に抽選で決定。 各コンテストガーデンは、波打つ曲線で縁取られた高さ15㎝ほどの木枠の中に作られました。5月の様子。 公園内の通路に沿って2対1組のウェーブガーデンが5つ並んでいます。常緑のユーカリを背景に、通路からコンテストエリア全体を眺めたり、2対のウェーブガーデンの間の通路を歩きながら、AからEへと移り変わる景色を楽しめるのも魅力。植物をすぐそばに感じられる、心地よい空間です。 写真左手前の西から東に向けて、A・B・C・D・Eの順にガーデンが並ぶ、5月の様子。右奥に見えるガラス張りの温室は、夢の島熱帯植物館。 2025年12月に行われた作庭時、ガーデン制作に関わった皆さん。 【第4回 東京パークガーデンアワード in 夢の島公園 最終審査までのスケジュール】 コンテストに挑戦する5名の入賞者が1年を通してガーデン制作に挑む「東京パークガーデンアワード」。2025年12月中旬に、それぞれの区画で作庭が完了しました。その後、4月は春の見頃を迎えた観賞性を審査する『ショーアップ審査』、7月は梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』、11月は秋の見頃の観賞性と年間の管理状況を審査する『ファイナル審査』が行われ、グランプリが決定します。 【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること /メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 全国から選ばれた入賞者5名のガーデンコンセプトと月々の様子 コンテストのテーマとルールをふまえて制作される5つのガーデン。それぞれのガーデナーが目指す庭を、作者の制作意図や図面、植物リストの一部を紹介しながら、月々の様子を撮影した写真とともにお伝えします。 Pick up 月々の植物の様子 5月の植物の様子 アリウム・カラタビエンセ‘アイボリークィーン’(Aエリア)、クラスペディア・グロボーサ(Aエリア)、シシリンチューム・ストリアタム(Bエリア)、サポナリア‘スノーチップ’(Cエリア) ベロニカ‘フェアリーテイル’(Cエリア)、ネペタ‘ウォーカーズロウ’(Dエリア)、クナウティア‘マースミジェット’(Eエリア)、モナルダ・ブラドブリアナ(Eエリア) 4月の植物の様子 チューリップ・ヒルデ(Aエリア)、フリチラリア・ツンベルギー(Bエリア)、チューリップ‘シルビア’(Bエリア)、フリチラリア・ペルシカ(Cエリア) シラー・シベリカ‘アルバ’(Cエリア)、ラナンキュラス・ラックス‘サティロス’(Dエリア)、チューリップ‘ショーグン’(Dエリア)、フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’(Eエリア) 3月の植物の様子 ミニアイリス‘ペインテッドレディ’(Aエリア)、シラー‘ミスクトスケンコアナ’(Aエリア)、ムスカリ‘アズレウム’(Aエリア)、クロッカス‘ロマンス’(Aエリア) グレビレア・プーリンダイルミナ(Bエリア)、ユーフォルビア・ウルフェニー(Bエリア)、チューリップ・ヒルデ(Bエリア)、アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ (Eエリア) ●トップへ戻る コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【作品のテーマ・制作意図】 海辺という特有の環境に調和しながら、自然の力を活かした設計によって、サステナブルな公共空間のあり方を提案します。風が通り抜け、植物が揺れ、大地がそれを支える——この空間では、自然の要素が互いに響き合いながら機能します。植栽には、乾燥や高温に強く、施肥を行わずとも育つ植物を選定。水やりやメンテナンスを最小限に抑えることで、環境負荷を軽減しながら、美しさと生態系の豊かさを両立する構成としました。また、宿根草とグラス類を中心に、こぼれ種によって自発的に広がる植物を組み合わせることで、季節や年月の変化に応じて風景が移ろい、訪れるたびに異なる表情を見せるよう工夫しています。風に反応する草姿や色彩の変化は、来訪者の感覚に静かに働きかけ、風・植物・大地の関係性を通じて、自然との関わりを見つめ直す場となることを目指しています。 【主な植物リスト】 宿根草:フロックス‘ムーディーブルー’/ゲラニウム‘サバニブルー’/アスフォデリネ・ルテア/ダイアンサス・カルスシアノルム/ゴリオリモン・コリナム‘シースプレイ’/エキナセア・テネシーエンシス/ユーコミス‘ビッグボーイ’/エリンジューム・パリフォリウム/バーノニア・レターマニー/スクテラリア・インカナ/アスター‘アンレイズ’グラス類:フェスツカ‘エリアブルー’/ブリザ・メディア‘ラッセルズ’/スティパ・イチュー/エラグロスティス・トリコデス/ペニセタム・マクロウルム/アンドロポゴン・テルナリウス/ミューレンベルギア・カピラリス・アルバ球根:スイセン‘ペーパーホワイト’/ミニアイリス‘ペインテッドレディ’/クロッカス‘ロマンス’/ミニチューリップ‘ヒルデ’/ダッチアイリス‘シンフォニー’/カマシア・クシッキー/アリウム・シルバースプリング/アリウム‘ピンボールウィザード’/ガルトニア・カンディカンス/リコリス・サンギネア コンテストガーデンA 月々の変化 5月の様子 この時期の主役は、高さの異なる3種類のアリウム。紫がかったピンク色の‘ピンボールウィザード’の球体がガーデンの全体にランダムに散りばめられ、縦に伸びる葉や茎のラインとともに、心地よい浮遊感を漂わせています。春先から続くピンク×黄×青の爽やかな彩りが、春の陽気と相まって楽しげな雰囲気を演出。ポイントで配した銅葉のルナリア‘チェドグロウ’が、植栽の色彩をぐっと引き締めています。 【写真中の主な植物】アリウム‘ピンボールウィザード’、アリウム・カラタビエンセ‘アイボリークィーン’、アリウム‘シルバースプリング’、ダッチアイリス‘シンフォニー’、ダイアンサス・カルスシアノルム、サルビア‘カラドンナ’、サルビア‘バイオレットクィーン’、フロックス・ピロサ、ユーフォルビア・ウルフェニー、アスフォデリネ・ルテア、ネペタ‘ジュニアウォーカー’、クラスペディア・グロボーサほか ●トップへ戻る 4月の様子 白×青×黄を基調とした花色が爽やかで、花咲く野原のようなナチュラルなデザインが、眺める人の心を和ませてくれます。一方、ところどころで大きな葉を伸ばすジャーマンアイリスやアリウム‘ピンボールウィザード’がアクセントとなり、景色に力強さをプラス。これから季節が進むにつれ、風景の印象がどのように移り変わっていくのか、今後の展開が楽しみです。 【開花中の植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、フロックス‘ムーディブルー’ほか 上右/ユーフォルビア・ウルフェニー、ムスカリ‘アズレウム’、スイセン‘ペーパーホワイト’ほか 下左/ユーフォルビア・ウルフェニー、スイセン‘ペーパーホワイト’、ネペタ‘フェリックスほか 下右/ユーフォルビア・ウルフェニー、スイセン‘ペーパーホワイト’、チューリップ・タリア’ 3月の様子 ミニアイリス‘ペインテッドレディ’、シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’など、可憐な小球根が次々に開花し、早春ならではの愛らしい風景が広がっています。小球根のかたわらでは、盛りを迎えたユーフォルビア・ウェルフェニーが小さな花々を見守るようにやさしく佇み、庭の表情をいっそう豊かにしてくれています。先月中旬から咲いているミニアイリスはそろそろ見頃の終盤に差しかかり、これからは白いスイセンへと、開花のバトンが引き継がれていきます。 【写真中の主な植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、ミニアイリス‘キャサリンホジキン’、シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’ほか 上右/シラー‘ミスクトスケンコアナ’、クロッカス‘ロマンス’、ムスカリ‘アズレウム’ほか 下左/スイセン‘ペーパーホワイト’、クロッカス‘ロマンス’、ギリア‘レプタンサ’、フェスツカ‘アメジスティナ’ほか 下右/アスフォデリネ・ルテア、カマッシア‘クシキー’ 2月の様子 まだ寒々しさの残るガーデンの中で、チューリップやスイセン、クロッカスの芽が、艶やかな緑の彩りを添えています。成長前のグラス類やロゼット状の植物などが休眠している姿には、地味ながらも、どこか味わいが感じられます。 【写真中の主な植物】上左/ユーフォルビア・ウルフェニー、ペニセタム・マクロウルム、フェスツカ‘エリジャブルー’ほか 上右/エリンジウム・バリフォリウム、ダイアンサス・カルスシアノルム 下左/エラグロスティス・トリコデス、アリウム‘丹頂’ほか 下右/フェスツカ・アメジスティナ、ダッチアイリス‘シンフォニー’、ミニチューリップ‘ヒルデ’、アリウム‘シルバースプリング’ほか 1月の様子 どことなく荒涼とした雰囲気が漂うこの時期。植え付け時から数輪の白花をつけているスキゾスティリス・コッキネア‘シルキーピンク’が、冬の日差しを受けて、ぽつんと一点、輝きを放っています。ほかにもミニスイセンや球根の芽吹きがところどころに見られ、まだ遠いながらも、春の訪れをほんのりと感じさせてくれます。 【写真中の主な植物】上左/スキゾスティリス・コッキネア‘シルキーピンク’、ユーフォルビア・ウルフェニー、ジャーマンアイリスほか 上右/アスフォデリネ・ルテア 下左/アリウム ‘シルバースプリング’ 下右/スイセン‘初雪’、アガパンサス‘ゲッティホワイト’ほか 12月の様子 コンテストガーデンA『花の巡り、風と大地の詩』12月中旬、作庭後の様子。 ●トップへ戻る コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【作品のテーマ・制作意図】 ■ユーカリ樹林や公園風景を主役にする庭 ―夢の島公園の景観と調和した植物選び―・公園の象徴であるユーカリ林を主役に、遠くからは樹林の前景として眺める花壇、入り込めばユーカリの壁を借景に、緑に包まれる植栽空間を創出。背後の樹林と庭の植栽がつながるよう視線の抜けや緑の連続感を意識し、園全体との一体感を演出します。・バンクシア、カリステモン、ハマゴウやメリアンサスなど、海辺の環境に耐えながら、豪州庭園を有する公園の既存植生や景観、海風の雰囲気に馴染む庭景を演出します。・冬季に訪れる来園者にも配慮し、花後も景観を彩るグラスや常緑樹、カラーリーフ類を混植し、季節ごとに表情が変わり、秋冬も映えるガーデンとします。 ■公園遊具・風景のきっかけとしての庭―利用者の関心を引き、居心地を生む仕掛け―・子ども用遊具が少ない園内に、アスレチックや回遊ごっこを誘発する植栽空間を提案します。地面のウェーブ(アンジュレーション)と植栽の高低差で、歩くたびに景色が見え隠れする立体的な庭を演出し、眺めても歩いても楽しめる空間とします。・大人の見守りの視線は通しつつ、子どもにとっては草花のトンネルのように感じられる空間体験を演出します。園路沿いベンチを起点に、子どもの好奇心を植物へ導き、自然への関心を育む場とし、二列花壇の適所に通り抜けポイントを設けることで、アクセス性と回遊性を高めます。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーフォルビア・ウルフェニー/ユーフォルビア・セギリアナ/トリトマ‘グリーンシェイド’/モナルダ・フィッツローザ/エキナセア‘ミニベル’/エキナセア・パリダ/シシリンチウム・ストリアタム/スターチス・ラティフォリウム/ホソバチョウジソウ/オレガノ‘マルゲリータ’/アキレア‘マシュマロ’グラス類:パンクスグラス‘プミラロゼア’/ミューレンベルギア・リンドハイメリ/ペニセタム・アロペクロイデス/カレックス‘フェニックスグリーン’/カレックス・フラッカ低木:カリステモン・ドーソンリバー/コースト・バンクシア/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’/グレビレア ・ジョンエバンス/グレビレア‘ドーン・パープル’/メラレウカ‘タイムハニーマータル’/ハマゴウ‘プルプレア’/ギョリュウバイ‘ナニューム・ルブルム’球根: チューリップ・トルケスタニカ/チューリップ‘シルビア’/チューリップ‘ヒルデ’/チューリップ・タルダ‘インタラクション’/チューリップ・クレティカ‘パニア’/チューリップ・マーラ/チューリップ‘ビオレッタ’/カマッシア‘カエルレア’/カマッシア‘アルバ’ コンテストガーデンB 月々の変化 5月の様子 花を咲かせ始めたオージープランツならではの美しい葉が、足元の草花とともに春の光にやわらかく溶け込んでいます。ビルベリーの赤みを帯びた葉や、メリアンサスのユニークな赤花が、ボリュームのある植栽の中で印象的なアクセントに。ユーフォルビア・セギリアナやタイムなど、繊細な草花でまとめたステップまわりも、明るくみずみずしさにあふれています。 【開花中の植物】グレビレア‘ドーンパープル’、ダイアンサス・カルスシアノルム、アキレア‘マシュマロ’、シシリンチューム・ストリアタム、ジギタリス‘クリームベル’、メリアンサス・マヨール、ユーフォルビア・セギリアナ、ビルベリー、カリステモン‘ドーソンリバー’、エキナセア・パリダ、フォプシス・スティローサほか ●トップへ戻る 4月の様子 楚々とした佇まいが魅力の瑞々しい原種チューリップ数種と、ドライな雰囲気を持つオージープランツのグレビレアが、ともに満開を迎えています。周囲には、若緑のグラデーションが美しい宿根草が配され、異なる趣をもつ植物が見事につながり、一体感のある風景を演出。また、低木類が生み出す陰影が植栽全体の表情に奥行きを与え、見応えのある景色を楽しませてくれます。 【写真中の主な植物】上左/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’、チューリップ‘シルビア’、カリステモン‘ドーンリバー’ほか 上右/メリアンサス・マヨール、チューリップ・クレティカ ‘ハニア’ ほか 下左/グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’、メリアンサス・マヨール、チューリップ・クレティカ ‘ハニア’ ほか 下右/ユーフォルビア・ウルフェニー、チューリップ‘シルビア’、コーストバンクシア、ヒルベリーほか 3月の様子 当初から低木などで立体的にデザインされていたガーデンですが、そこに瑞々しい葉を伸ばす宿根草や、グレビレアの赤い花といった彩りが加わり、少しずつにぎわいを見せ始めています。なだらかな斜面の陽だまりでは、原種チューリップ・ヒルデの第一号が開花。冬の終わりにカットバックしたグラス類は、古葉の塊の中から幾本もの新芽を伸ばし始めています。 【写真中の主な植物】上左/グレビレア・プーリンダイルミナ、ウエストリンギア‘スモーキー’、メリアンサス・マヨールほか 上右/チューリップ・ヒルデ、ジギタリス‘クリームベル’ほか 下左/ユーフォルビア・ウルフェニー、コーストバンクシアほか 下右/チューリップ‘シルビア’、ダイアンサス・カルシアノルム、アルテミシア‘モリスストレイン’ほか 2月の様子 パンパスグラスの枯葉がバッサリと刈り込まれ、すっきりとした姿に。切り口のフォルムもユニークです。ユーフォルビアは茎を伸ばし、うなだれながらも花穂をつける準備を始めています。また、数種の原種系チューリップが愛らしい芽を出し始めました。 【写真中の主な植物】上左/オレガノ‘マルゲリータ’、メリアンサス・マヨールほか 上右/ユーフォルビア・ウルフェニーほか 下左/チューリップ・ヒルデほか 下右/チューリップ・シルビアほか 1月の様子 常緑の植物を多く取り入れているこのガーデンでは、真冬でもグリーンのにぎやかなグラデーションを楽しむことができます。マルチングの色とのコントラストも美しく、寒さにあたって赤みを帯びた葉や、やや退色した緑など、この時期ならではの葉色が、植栽全体の表情を豊かに演出しています。 【写真中の主な植物】上左/ウエストリンギア‘スモーキー’、メリアンサス・マヨール、グレビレア‘プーリンダ・イルミナ’ほか 上右/ジギタリス‘クリームベル’、オレガノ‘マルゲリータ’、ヒルベリーほか 下左/アガパンサス‘ファイアーワークス’ 、ユーフォルビア・ウルフェニーほか 下右/矮性パンパスグラス、メリアンサス・マヨールほか 12月の様子 コンテストガーデンB『潮風に揺れるプレイフルガーデン -Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze-』12月中旬、作庭後の様子。 ●トップへ戻る コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【作品のテーマ・制作意図】 この庭は、まるで人の一生を映し出すかのような場所。最初は何も育たない砂地が、植物や小さな生き物たちのチカラ、そしてそこに暮らす人々の手によって、ゆっくりと豊かな土壌へと育っていく。それはまるで、子供が成長して大人になり、やがて成熟世代へと人生を重ねていく時間の流れと、重なり合っているかのよう。子供たちは砂のような柔らかな心で庭と遊び、自然からたくさんのことを学ぶ。大人になれば、その庭は家族や友人と収穫や語らいを楽しむ場所になり、成熟世代になれば、その成長した庭を眺めながら穏やかな、心豊かな時を過ごす。この庭は自然と人が共に成長し、砂が子供、豊かな土壌が大人へと成熟していくように、自然の再生と成熟への時、人生の旅路を映す『道』を示している。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーパトリウム/トリトマ/ヘリオプシス/オミナエシ/オトコエシ/ペンテスモン/エキナセア/ベロニカなどグラス類:カールフォスター/ミスカンサス/ディプカンシア/カレックス/モリニア/コメガヤなど球根:アリウム/スイセン/ダッチアイリス/フリチラリア/カマシア/オダマキ/ラナンキュラス・ラックス/ゲイソリザ/ツベロサム/シラーなど コンテストガーデンC 月々の変化 5月の様子 2色のラナンキュラス・ラックスが、ふんわりとした彩りでガーデンを華やかに包み込みます。その中で、花火が弾けたようなフォルムのアリウム・シュベルティが植栽に個性的なアクセントを添え、風景をより印象的に見せています。一方、ガーデンの端に設けられた砂浜のエリアには白花のサポナリアとグラス類が広がり、清楚で素朴な表情を演出しています。 【開花中の植物】ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、ラナンキュラス・ラックス‘ミネルバ’、アリウム・シュベルティ、サポナリア‘スノーチップ’、カマシア・レイヒトリー‘アルバ’、 ベロニカ‘フェアリーテイル’ほか ●トップへ戻る 4月の様子 ガーデンの中央では、‘オレンジ・ビューティー’とペルシカ、2種のフリチラリアが花茎をぐんと伸ばして開花。個性的な組み合わせで印象深い風景を描いています。それとは対照的に、砂浜のエリアでは、ほんの小さな花を咲かせるシラー・シベリカ‘アルバ’やムスカリ、ゲラニウム・ツベロサムが可憐な表情を見せ、繊細でやさしい景色を演出しています。 【写真中の主な植物】上左/スイセン‘タリア’、フリチラリア・ペルシカほか 上右&下左/フリチラリア‘オレンジ・ビューティー’、フリチラリア・ペルシカほか 下右/シラー・シベリカ‘アルバ’、ムスカリ‘ダブルマジック’ほか 3月の様子 ガーデンの中でもひときわ青々と成長している数株のラナンキュラス・ラックスが、いよいよ花芽を上げ始めました。クルミの殻を押し上げて芽を出した球根の中には、殻を帽子のように載せたまま葉を伸ばしているものもあり、どことなくメルヘンな雰囲気を漂わせています。また、堆肥でカバーしたエリアでは球根の成長が力強く進む一方、両端の砂のエリアの成長は穏やか。さまざまな芽吹きが庭全体に豊かな表情をもたらしています。 【写真中の主な植物】上左/ラナンキュラス・ラックス‘サティロス’、アキレア‘テラコッタ’、ディスカンプシア・パラダほか 上右/ラナンキュラス・ラックス‘ミネルバ’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ 下左/アリウム・シューベルティ、アリウム・コワニー、アリウム‘レッドモヒカン’ 下右/カマッシア‘アルバ’、ムスカリ‘ダブルマジック’ほか 2月の様子 3種類のマルチングを施した個性的なガーデンには、オーナメンタルな株姿のカレックス‘プレーリーファイアー’や銅葉のペンステモン‘ハスカーレッド’がよく似合います。先月から芽吹いていたアリウム‘レッドモヒカン’に続き、アリウム・コワニーやアリウム・シューベルティも芽を出し始めました。 上左/ペンステモン‘ハスカーレッド’、オダマキほか 上右/カレックス‘プレーリーファイアー’ 下左/ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、アリウム‘レッドモヒカン’、アリウム・コワニーほか 下右/アリウム・シューベルティ 1月の様子 あちこちに植えられたラナンキュラス・ラックスの青々とした葉が、どことなく寂しい冬の植栽にやわらかな彩りを添えています。植物がまだ小ぶりなこの時期は、3種類のマルチング(バークチップ、クルミの殻、洗い砂)の遊び心がいっそう際立ち、デザイナーのこだわりを感じさせます。 【写真中の主な植物】上左/カラマグロスティス・ブラキトリカ、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、セダム‘マトロナ’ほか 上右/カラマグロスティス・ブラキトリカ、ペンステモン‘ハスカーレッド’、ほか 下左/カレックス‘プレーリーファイアー’、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ほか 下右/カラマグロスティス‘カールフォスター’、ベロニカ‘フェアリーテイル’、ペンステモン‘ハスカーレッド’ほか 12月の様子 コンテストガーデンC『Stewardship Garden:The Way』12月中旬、作庭後の様子。 ●トップへ戻る コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【作品のテーマ・制作意図】 夏の猛暑や乾燥といった「過酷な環境を生き延びる力強さ(Survive)」×「海の波や生命のうねりを感じさせる (Surf)」を掛け、その植物のパワーが波のように広がり未来へとつながっていくイメージと、五感を刺激する植物の組み合わせを『SurFIVE』という言葉で表現しています。またガーデンのテーマカラーとしてオレンジの花色の植物を多く取り入れ、親しみやすさや太陽のもとで元気に咲く植物の生命力をアピールします。 【主な植物リスト】 宿根草: カンナ/クニフォフィア・ルーペリ/メリアンサス・マヨール/エキノプス /ロシアンセージ/アキレア/バーベナ・ボナリエンシスグラス類:カラマグロスティス‘カールフォスター’/カラマグロスティス・ブラキトリカ/パニカム‘シェナンドア’/エラグロスティス・スペクタビリス球根: アリウム‘マジック’/ミニチューリップ‘ショーグン’/イフェイオン‘ウィズレーブルー’/スイセン‘タリア’ コンテストガーデンD 月々の変化 5月の様子 前列では、ゲウムやアキレアのボリュームのある茂みの中から、幾本ものアリウムが立ち上がり、中央部分で鮮やかな調和を見せています。また花壇の端では、深紅のキンギョソウが満開を迎え、濃厚なカラーが差し色になっています。一方、後列には開花を控えたボリュームのある植栽が並び、前列を引き立てるグリーンの背景として存在感を発揮しています。 【開花中の植物】アリウム‘マジック’、ネペタ‘ウォーカーズロウ’、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、キンギョソウ‘ブラックプリンス’、ゲウム‘トータリータンジェリン’、アキレア‘ウォルターフンク’、メリアンサス・マヨール、リクニス・コロナリアほか ●トップへ戻る 4月の様子 先月まで静かだったガーデンは、球根類が一気に花を咲かせ始め、本格的な春の訪れを感じさせています。白×青×オレンジのビビッドな花色が際立ち、全体的にパキッとした印象です。そのにぎやかな花々を取り囲むように、宿根草の葉がふんわりと茂り、ボリューム感のある景観をつくり出しています。遠くから眺めても目を引く、表情豊かなガーデンです。 【写真中の主な植物】上左/上右/スイセン・タリア、チューリップ‘ショーグン’、ムスカリほか 下左/キンギョソウ‘ブラックプリンス’、ムスカリほか 下右/ハナニラほか 3月の様子 先月まで、ガーデンの大部分がバークの色で覆われていましたが、球根類が一斉に芽吹き始めてから、景色は一気に瑞々しく彩り豊かな表情へと変わりました。芽吹いたばかりの緑が、ひときわ美しく輝いています。まだ丈の低い宿根草と球根類のなかで、メリアンサス・マヨールが存在感を放ち、まるで象徴的なアイコンのように、ガーデン全体の成長を牽引しています。 【写真中の主な植物】上左/アリウム‘マジック’、フェスツカ・グラウカ‘ブルーセレクト’、アキレア‘テラコッタ’、バーベナ ボナリエンシスほか 上右/ムスカリ、フェスツカ・グラウカ‘ブルーセレクト’ほか 下左/アリウム‘マジック’ 、エキノプス‘リトロ’、スイセン ‘タリア’ ほか 下右/メリアンサス・マヨール、銅葉キンギョソウほか 2月の様子 成長の早い銅葉キンギョソウと、丈のあるメリアンサス・マヨールの組み合わせが、この時季ならではの見どころです。ブルーグレーの葉が美しいアシズリノジギクの、こんもりとした姿も印象的。一角では、ムスカリ・アルメニアカムの芽出しが確認できます。 【写真中の主な植物】上左/銅葉キンギョソウ‘ブラックプリンス’、メリアンサス・マヨール 上右/アシズリノジギク 下左/サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、ゲウム‘トータリータンジェリン’ほか 下右/ムスカリ・アルメニアカム 1月の様子 大きめなバークでごつごつとマルチングされたガーデンは、一見ワイルドな印象です。しかし、植物はやわらかな趣の宿根草が多く使われていて、そのギャップが面白みを感じさせます。この時期は、メリアンサス・マヨールがオーナメンタルな存在感を発揮。 【写真中の主な植物】上左/カラマグロスティス‘カールフォスター’、クニフォフィア ‘ルーペリ’ほか 上右/アキレア‘ウォルタープング’、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’、ラックス‘ラックス’ほか 下左/メリアンサス・マヨール、銅葉キンギョソウ ‘ブラックプリンス’ほか 下右/ラナンキュラス・ラックス ‘サティロス’、エキノプス ‘リトロ’ほか 12月の様子 コンテストガーデンD『SurFIVE Garden』12月中旬、作庭後の様子。 ●トップへ戻る コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【作品のテーマ・制作意図】 かつて廃棄物で埋め立てられたこの島には、現在ユーカリの森を中心とした強健な植生が根づき、都市にありながら原始的で異国的な景観を生み出しています。今回、植栽地となるこの森の縁に広がる強い日射と潮風にさらされた芝生を目にしたとき、「ここは都市の果てに現れたアーバン・サバンナだ!」と直感しました。 植物を単なる装飾に限らず、この地固有の「環境を翻訳する存在」と捉え、来園者が海風・光・湿度・熱といった目に見えない環境を感覚・知覚できる場をつくります。「東京サバンナ」は景観的なサバンナの模倣ではなく、夢の島の歴史と環境条件から必然的に現れた都市の新しい風景です。都市と自然の狭間に生まれたこの庭を通じて、来園者が環境や植物との関わりを見つめ直し、都市園芸の新たな可能性を感じ取るきっかけとなることを願います。そしてこのガーデンが、見た目の美しさと維持のしやすさを兼ね備えた、持続可能な宿根草ガーデンの新しいスタンダードとして育まれれば幸いです。 【主な植物リスト】 宿根草:ビゲロウィア・ヌッタリー/エゾノヨロイグサ/ハマボウフウ/ヒューケラ・シャムロックなどグラス類:カラマグロスティス‘カールフォスター’/パニカム・ヘビーメタル/セスレリア・オータムナリス/フェスツカ・アメジスティナなど コンテストガーデンE 月々の変化 5月の様子 ガーデンのあちらこちらで草花の開花が進み、春のにぎわいを見せ始めました。野草のような華奢な草花とグラス類で構成された原野を思わせる風情の中、ひときわ目を引くのがアンテミス‘ドワーフフォーム’。元気をもらえるようなビタミンカラーが、見る人に初夏の訪れを感じさせます。 【開花中の植物】アンテミス‘ドワーフフォーム’、ダイアンサス・カルスシアノルム、アルメリア‘アルバ’、モナルダ・ブラドリアナ、アルケミラ・サクサティリス、ペンステモン・メンサラム、ネペタ‘キャッツパジャマ’、ゲウム‘バナナダイキリ’、アルメリア‘モーニングスターディーブピンク’ ●トップへ戻る 4月の様子 ほかの植物よりひと足早く丈を伸ばしていたフロックス‘ラファミー’が満開を迎えました。春風にふわふわと揺れる淡いブルーの花が可憐で、ナチュラルな風景を描いています。先月から咲いているアルメリアのピンクの花も花数を増やし、ゲウムやネペタもちらほらと花を咲かせ始めました。まだ小さく柔らかなグラスの葉が、やさしく目に映ります。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ほか 下左/ゲウム‘マイタイ’、セスレリア‘グリーンハイブリッド’ほか 下右/ネペタ‘キャッツパジャマ’、ゲウム‘バナナダイキリ’ほか 3月の様子 長い乾季を越えて雨季を迎えたサバンナのように、ガーデンが静かに動き出しました。宿根草はまだ成長を始めたばかりで、近くに寄らないとその姿がよく見えないほどですが、そんななか、早くもアルメリア ‘モーニングスターディープピンク’が一輪、小さな花を咲かせ始めています。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/アリウム‘ミレニアム’ほか 下左/アンテミス‘ドワーフフォーム’ 下右/アルメリア‘モーニングスターディープピンク’ 2月の様子 先月はまだ見られなかった植物があちこちで姿を現し、静けさに包まれていたガーデンも、少しずつ活動を始めました。苗はまだ小さいものの、さまざまな葉形が見られ、デザイン的にバラエティに富んでいるのが、この段階からうかがえます。 【写真中の主な植物】上左/フロックス・ディバリカタ‘ラファミー’ 上右/ダイアンサス・カルシアナム 下左/ペルシカリア・アフィニス 下右/トリトマ‘グリーンジェイド’ 1月の様子 バーク堆肥でマルチングされたガーデンには、植物たちがまだまだぬくぬくと眠っているかのような静けさが広がっています。しかし表土をよく観察すると、小さな葉をのぞかせ始めた宿根草の姿があり、強い生命力が感じられます。これからどのような風景が描かれていくのか、まったく想像がつかないだけに、今後の成長への期待がいっそう高まります。 【写真中の主な植物】上左/ゲウム‘バナナダイキリ’ 上右/リベルティア‘ゴールドストライプ’ 下左/ヒゲロウィア・ヌッタリー 下右/ポテンティラ‘ヘレンジェーン’ 12月の様子 コンテストガーデンE『「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭』12月中旬、作庭後の様子。 ●トップへ戻る 5つの花壇のコンセプトと作庭について詳しいレポートはこちらをチェック! 5月4日(日)イベント開催のお知らせ ※終了しました 第4回のコンテスト会場となっている夢の島公園で、楽しみながら、宿根草をはじめとする花・みどりに親しめるイベント「TOKYO PARK GARDEN AWARD ガーデンフェスティバル @夢の島公園」を開催します。夢の島の花壇をつくったガーデナー自らがコンテストガーデンの見どころを解説する「ガーデンツアー」をはじめ、泥んこあそび感覚で楽しめる「たねダンゴ®作り」、ハーブやユーカリを使った「サシェ作り」など、子どもから大人まで楽しめるプログラムが盛りだくさん! 新緑あふれる春の夢の島公園へ、ぜひご家族・ご友人お誘いあわせのうえ、お出かけください。■日 時 2026年5月4日(月)10:00~16:00 ※小雨決行・荒天中止■会 場 夢の島公園「グリーンパーク」(東京都江東区)■参加費 無料■内 容 1.ガーデンツアー(所要時間:各ガーデン約15分) <開催時間> ・ガーデンA 10:15~10:30、13:15~13:30 ・ガーデンB 10:35~10:50、13:35~13:50 ・ガーデンC 10:55~11:10、13:55~14:10 ・ガーデンD 11:15~11:30、14:15~14:30 ・ガーデンE 11:35~11:50、14:35~14:50 2.たねダンゴ作り(所要時間:約20分) 3.ハーブ&ユーカリの天然サシェ作り(所要時間:約10分) 4.お花のセレクトショップカー 5.キッチンカー <開催可否について> 本イベントは 小雨決行・荒天中止です。開催の可否は、当日朝までに「夢の島公園」および「夢の島熱帯植物館」の公式サイト、Instagram、X(旧Twitter)等でお知らせいたします。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.yumenoshima.jp/park開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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春光うららか!「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」の『ショーアップ審査』を迎えた5人の庭と審査の様子をご紹介
最初の審査を迎えた夢の島公園での「東京パークガーデンアワード」 4回目の開催となる今回のテーマは「海辺のサステナブルガーデン」。コンテスト会場が海辺という環境にあることから、これまで以上に注目が集まっています。 審査は4月・7月・11月の年3回実施されます。第1回目となる4月は、『春の見ごろを迎えたガーデンの観賞性』が審査されます。春の美しさが植栽で的確に表現されているかに加え、単に華やかであるだけでなく、植物の個性や魅力が生かされているか、また、花や葉の組み合わせに美しいデザイン性が見られるかといった点が問われます。さらに、公共空間に設けられたガーデンとして、訪れる人をどのように楽しませ、心地よいと感じてもらえるかも評価されます。 審査期間:2026年4月8日~15日 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 【コンテスト審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること /メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 ※今回行われた審査結果の公表はありません。 4月のショーアップ審査を迎えた5名のガーデンをご紹介! コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころブルーやバイオレットを中心に、多様な花が咲きそろい、平坦に広がる野原のような風景です。力みのない植栽は、みずみずしくさわやかな印象。そのやさしく柔らかな表情が、訪れた人をリラックスさせてくれます。 【開花を迎えていた植物】ユーフォルビア・ウルフェニー、ゲラニウム‘サバニブルー’、フロックス‘ムーディーブルー’、ネペタ‘フェリックス’、チョウジソウ、フロックス・ピロサ、ルナリア‘チェドグロウ’、ブルビネ・フルテスセンス、ムスカリ、ドリメリア‘スイートドリーム’、ダイアンサス・カルスシアノルム、ギリア(白)、カマシア・クシキー コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ背景のユーカリの林に自然になじむ植栽はボリュームがあり、包み込まれるような没入感が感じられます。グレヴィレアや球根類の鮮やかな花色が、下草のグリーンのグラデーションに美しく映え、表情豊かな風景をつくり出しています。 【開花を迎えていた植物】グレヴィレア‘プーリンダ・イルミナ’、ユーフォルビア・ウルフェニー、カマシア・カエルレア、チューリップ‘マーラ’、フリチラリア・ツンベルギー、ダイアンサス・カルスシアノルム、ジギタリス‘クリームベル’ コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ波型の花壇の中で、植栽のデザインが交差するように構成され、美しいアンジュレーションが印象的です。グラウンドカバーの使い方も独特で、海の砂や貝を取り入れることで、海辺の庭というテーマがユニークに表現されているところも見どころ。草花一つひとつの造形も際立ち、個性あふれる植栽が楽しめます。 【開花を迎えていた植物】フリチラリア・ペルシカ、ゲラニウム・ツベロサム、シラー・シヴェリカ‘アルバ’、ラナンキュラス・ラックス‘アリアドネ’、ラナンキュラス・ラックス‘ミネルバ’、ムスカリ‘ダブルマジック’、スイセン‘タリア’ コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ起伏の頂部をクロスさせながら絶妙な株間で植え込まれた植栽は、ボリューム感たっぷり。群植されたラナンキュラス・ラックス‘サティロス’がウェーブ状に広がる風景は、遠くからでも目を引き、強いインパクトを残しています。 【開花を迎えていた植物】ラナンキュラス・ラックス‘サティロス’、ゲウム‘トータリータンジェリン’、ムスカリ、ハナニラ、キンギョソウ‘ブラックプリンス’ コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころまだボリュームは控えめですが、力強く芽を出す植物の様子からは、確かな春の訪れが感じられます。グラス類の多いワイルドな植栽の中に、ピンクや青紫、黄色、白といった花色が効果的に配され、これから迎えるピーク時の見応えを予感させます。 【開花を迎えていた植物】アルメリア‘モーニングスターディープピンク’、ゲウム‘バナナダイキリ’、ゲウム‘マイタイ’、ネペタ‘キャッツパジャマ’、フロクス・デバリカタ‘ラファミイ’ コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.yumenoshima.jp/park開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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「東京パークガーデンアワード@夢の島公園」でガーデン制作に挑む! 5人のガーデンデザイナーの庭づくりにかける思い
コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 Q1. 東京パークガーデンアワード(TPGA)に参加した理由 私はマンション住まいで、自分のお庭を持っていません。自分の好きにデザインした庭をつくってみたくて、TPGAに挑戦し始めました。また、公園という誰でも集える公共の場に、ガーデンという憩いの空間を生み出すことにも強く惹かれました。植物があるだけで、人が立ち止まり、会話が生まれ、心がふっとやわらぐ——そんな場を自分の手で形にしてみたいと思いました。TPGAは、その思いを実際のデザインとして表現できる貴重な機会だと感じ、参加を決めました。 尊敬するガーデン@服部牧場 Q2. 植物に携わる仕事に就くようになった理由 雹(ひょう)被害をきっかけに、マンションの仲間が始めた地域のゴミ拾い活動が、ガーデニングに触れる最初の一歩でした。活動の途中で気づいた、枯れていたツツジの代わりに、イベントで余った花を植えて世話をするようになったことが、植物との関わりを深めるきっかけとなりました。 ちょうどその頃、マンションで緑化クラブを立ち上げ、植栽管理日に一緒に作業するようになりました。そこで出会ったガーデナーさんが、植物との向き合い方を丁寧に教えてくださり、植物の世界に強く惹かれていきました。 「もっといろんな植物を知りたいなら」と庭仕事の現場を紹介していただいたことが大きな転機となり、植物に携わる仕事を始める決心につながりました。 マンション植栽@モンヴィラージュ仙川 Q3. 仕事に向き合う時のこだわり 「その時の自分の120%を、誠実に」。これは、仕事に向き合ううえで大切にしている姿勢です。 仕事は自分ひとりでは成り立たないからこそ、どんな場面でも誠実でありたいと思っています。また、100%では現状維持のまま。自分に無理のない範囲で120%を目指して取り組むことで、ほんの少しの気遣いや挑戦が自分を成長させ、やがて自信にもつながっていくと感じています。 植栽デザインの管理をしているガーデン@あいかわ公園 Q4. 制作したガーデンで表していること、見てほしいポイント 風に応えるしなやかさと、根を張る力強さが共存し、自然との共鳴を体感できる場を目指しました。自然はたくましく、偉大です。できることは、植物を適切に選び、適切に見守ること。東京湾に面した海岸沿いの波形2本(@1.2m×10m)のロングボーダーガーデンという条件のもと、耐乾性・塩耐性・耐暑性のある植物を自分なりに選びました。花壇全体に統一感を持たせつつ、単調にならないよう品種構成や配置に工夫を重ね、歩きながら変化を楽しめるようにしています。通年を通して自然に美しいガーデンであるよう細やかに整えていきますので、四季それぞれの表情を感じてください。 植栽工事@夢の島公園コンテストガーデン Q5. 長年の趣味、もしくは今夢中になっていること ガーデニングです。仕事と趣味の境目はほとんどなく、空いた時間があればライフワークにしている地域のボランティア花壇や、住んでいるマンション植栽の見守りをしています。 担当しているガーデンの管理計画を立てたり、植栽を考えたりする時間も、悩ましさと楽しさが同居する大切なひとときです。また、気になるテーマの講演に参加したり、興味をひかれたガーデンを訪れたりと、日々の中で自然と植物に触れる時間を楽しんでいます。 ライフワーク「せんがわ緑化部」@仙川なかよし公園 コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- Q1. 東京パークガーデンアワード(TPGA)に参加した理由 庭は、誰かの意図によって始まりながら、ほどなく人の手を離れ、環境や時間の無意識に委ねられていくものだと思います。設計された秩序の内外から、予期しない振る舞いや関係性、余白が静かなざわめきとして立ち上がってくる。そのずれやノイズとの応答を、私たちは愛おしく感じるのではないでしょうか。TPGAは、庭を完成形として閉じるのではなく、育ち、使われ、変わっていく時間そのものに立ち会える場だと感じました。意識と自然のあいだに生じる揺らぎを、つぶさに愛で観察し、これからの空間づくりの糧にしたいと考え、参加しました。 Q2. 植物に携わる仕事に就くようになった理由 建築と緑を等価に扱う設計事務所で実務を積みました。植物の扱いが空間の完成度を大きく左右する一方で、自身の理解が十分でないと感じる場面に何度も直面しました。そこで自宅の空地を試験庭とし、植え付けや剪定、季節ごとの変化を観察しながら、植物の性質や管理の感覚を体で学びました。教科書には載っていない経験や、図面だけでは捉えきれない草木の振る舞いに触れることで、建築と植栽を切り分けずに捉える視点が少しずつ育まれました。こうした実感を重ねる中で、自然や風景づくりへの愛着が深まり、それを生業にしたいと考えるようになりました。 Q3. 仕事に向き合う時のこだわり フォトジェニックな景色を作ることよりも、その空間や環境が課題解決のツールとして機能しているかを常に意識しています。施設や企業の理念、持ち主の考え方が空間として無理なく表れていること、周辺環境や建築と関係を結ぶことで、場の社会性や利用価値が高まり、結果として集客や売上など経済的な側面にもつながる場所づくりであることを重視しています。多様な使われ方を受け止める余地を備えることが、人の愛着を育み、建築や庭の持続性を支える一つの生存戦略になると考えています。 Q4. 制作したガーデンで表していること、見てほしいポイント 単体として完結する庭ではなく、周辺環境と関係を結ぶことで、公園全体に小さな発展や気づきを生む場所をイメージしました。島のシグニチャーであるユーカリ樹林を主役とする前景構成に、回遊ステップや草木による見え隠れを重ね、園内に不足がちな遊具的な体験性やヒューマンスケールの空間性を補完。熱帯・亜熱帯植生や豪州庭園との調和に配慮した樹種で園内の一施設として風景の連なりを意識しました。眺望の制約となりがちな前面ベンチや照明ポールも、視点場や景色のリズム要素として読み替え、人の行為で意味が広がる場所となることを意図しています。 Q5. 長年の趣味、もしくは今夢中になっていること 学生時代の恩師の教えをきっかけに、訪れた建築や風景、植物、そして日常の中の何気ない場面をスケッチするようにしています。趣味のドローイングではありますが、アイデアの記録という側面もあり、環境やものごとの成り立ち、そこに込められた考え方を観察することで、自分なりの小さな発見につながることもあります。スケッチブックは設計検討のスクラップ帳も兼ねており、描き留めた気づきやフィードバックをもとに考えをチューニングできる点も、意外と重宝しています。 コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way Q1. 東京パークガーデンアワード(TPGA)に参加した理由 僕がいつも実現している庭づくりは、植物が日常生活に深く根付いているスタイルのお庭です。TPGAの特徴の“宿根草の持続可能なガーデン”は、僕たちの目指す『庭と、新しい暮らし』の基礎となるテーマです。このコンテストを通じて、僕はより広く深く知識と経験を得ることができ、世界中の皆さんの“心豊かな暮らし”の実現に、より貢献できると思い参加させていただきました。また一つの作品を仲間と作り上げるということは、とても楽しい祭りごとであり、成長するチャンスでもあります。TPGAは未来の可能性を押し広げる貴重な時間になると信じています! 子供と一緒に庭づくり。 Q2. 植物に携わる仕事に就くようになった理由 『なぜ人に植物が必要なのか?』僕は知っているんです。“挑戦”それが僕の人生のキーワード。しかし若い頃はあきれられるぐらい無知で未熟でした。挑戦したことは全て失敗、自分が何をやったらいいのか分からなくなった、人生の迷子になったんです。その時、ほったらかしの観葉植物の存在に気付いたんです。なぜかとても癒やされ、心落ち着ける時間を与えてくれることを知ったんです。『ありがとう』植物に伝えた言葉は“感謝”でした。それから庭づくりという世界に飛び込み、世界を見て回った。そして今『何でもできる』そう思って今日まで挑戦を続けています! 植物と子供とブランコ。 Q3. 仕事に向き合う時のこだわり 全てにおいて一番大切なことは『聞くこと』です。暮らしと密着したお庭を提案している僕たちは、皆さんが“心豊かな暮らし”を実現できれば幸せなのです。何が“心豊か”であるかは、皆さん人それぞれです。だから僕たちは皆さんに聞くのです。『困っていることは?』『どうなったら幸せですか?』そして僕たちは他にも聞くことがある。土の状態、日当たり、風通し。それら全部をふまえて、皆さんの新しい暮らしを明確にイメージして、実現することが僕たちの幸せなのです。だからいつも聞くのです『まずあなたの話を聞かせてください!』それが“僕のこだわり”です。 庭に作った植物いっぱいのブランコ。 Q4. 制作したガーデンで表していること、見てほしいポイント 僕のガーデンは『変化』がキーワードです。端っこは砂浜で、中心に向かって土壌は豊かになっていく。それは植物が生まれ枯れる、昆虫や動物が暮らし、土に還っていく。そういった自然の循環が影響している、そんなことを表現しています。それはまるで人の一生のようで、砂浜は柔らかい心を持った子供たち。それから色んな影響や経験を通じて、花や実を育てる子育て世代になり、最後は人生の全てを謳歌してきた成熟世代へと変化していく。ガーデンは四季によりどんどん変化していきます。皆さんの記憶に残る、キラッ! と輝く一瞬をお見逃しなく! 左/東京パークガーデンイメージ図。右/夢の島のコンテストガーデンに作った砂浜。 Q5. 長年の趣味、もしくは今夢中になっていること 『趣味が仕事で、仕事にはまっています』僕のホームページでも公表していますが、かつて俳優や伝統工芸士、生け花の池坊を学んでいました。映画鑑賞は2,000本以上、20年間ずっと月に一度は美術館に行くなど芸術が好きです。いくつかの賞をいただいたり、皆さんご存じの有名人と一緒に仕事をしたり、海外にも何度か作品を持って行きました。それらの体験が与えた僕の感性への影響は計り知れなく、今でも人生の基礎となっています。今後は『庭づくりから暮らしへ』と新しい暮らしの提案をしながら、皆さんと一緒に楽しめる空間づくりの実現に向けて、『ぐりんぐりんパーク』の実現を加速していきます! ぐりんぐりんパークイメージ図。右/伝統工芸作品。 コンテストガーデンDSurFIVE Garden Q1. 東京パークガーデンアワード(TPGA)に参加した理由 2023年に参加した代々木公園ガーデナー養成講座がきっかけです。ガーデンの歴史や社会的な意義、設計に向き合う姿勢など、多くの考え方と技術を学び、それらを自分なりにアウトプットしたいと考えて応募しました。今回の舞台となる夢の島公園はかつて廃棄物処理の島として生まれ、緑豊かな公園へと再生してきた歴史があります。都市と自然との関係を象徴するような場所で庭づくりに関われること、1年を通して植物と向き合えるこの貴重な機会に大きな魅力を感じています。 夢の島コンテストガーデンの作庭メンバーと記念の一枚。 Q2. 植物に携わる仕事に就くようになった理由 1990年頃、NHKで放送されていたバーネット原作のアニメ『ひみつの花園』に夢中になったことが、植物の仕事に惹かれる原点です。自分の地面や庭を持ち、整えることで暮らしの質が高まり、その心地よさが周囲や街へと広がっていくことを実感してきました。身近な自然に触れる中で育まれるセンス・オブ・ワンダーの大切さを、仕事を通して次の世代にも伝えていきたいと考えています。屋号「PICNIC」には、外で過ごす喜びを日常に取り戻したいという想いを込めています。 「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」のガーデン部門で受賞した作品(作品名『Little Gardener's Nest 小さなガーデナーの秘密基地』)です。センス・オブ・ワンダーをコンセプトにしています。 Q3. 仕事に向き合う時のこだわり 新築住宅のエクステリア提案や庭のリフォームを中心に、限られたスペースでも外で過ごす心地よさを感じていただける庭づくりを心がけています。日差しや人目を気にせずに過ごせることや、窓からの眺め、使いやすい動線や道路からお家が素敵に見えるかなど、さまざまな角度から検討します。植物は住まいを美しく見せる最もコストパフォーマンスの高い要素なので、無理なく続けられるローメンテナンスな植栽との付き合い方まで含めて提案することを大切にしています。 ご依頼主へのプレゼン資料として毎回作成しているエクステリアの完成3Dパース。 Q4. 制作したガーデンで表していること、見てほしいポイント このガーデンで最も大切にしたのは、季節を通して全体のシルエットが崩れないことです。 雨や風で植物が倒れていると、見る人に残念な印象を与えてしまうため、倒れにくく生命力の強い植物を選び、植え付け時からしっかり根を張れるよう土づくりにも工夫を重ねました。夏の厳しい暑さの中でもサバイヴする植物のエネルギーと、個性的な葉の形と色鮮やかな花々が作る景色を楽しんでいただけたら嬉しいです。 夢の島公園のコンテストガーデンの制作で参考にした、ロンドンのガーデン。 Q5. 長年の趣味、もしくは今夢中になっていること 旅行が趣味です。自然そのものよりも、都市の街並みや建築、美術、庭園など、人の手が加わった空間を見ることに惹かれて、作られた背景や意図を想像しながら歩く時間が好きです。最近は一昨年に手に入れた自宅の庭を、荒地だった状態から少しずつ改装しています。気になる植物を植えてみたり配置を変えてみたりと、暮らしの中で試行錯誤する時間が、いま一番の楽しみになっています。 改装している自宅の庭の一部。 コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 Q1. 東京パークガーデンアワード(TPGA)に参加した理由 知人から紹介を受け、「宿根草」というテーマであれば、これまで自分が取り組んできた領域とも重なると感じ、応募しました。動物園デザインや生息環境の再構築に携わる中で、植物は常に重要な役割を担ってきました。TPGAは、そうした実践や思考を、都市のガーデンという場で試し、表現できる機会だと感じています。 Q2. 植物に携わる仕事に就くようになった理由 動物園デザインでは動物だけでなく、その背景となる生息地を空間として表現する必要があります。その中核にあるのが植物です。植物を単なる素材として扱うのではなく、性質や個性を理解する必要性を感じ、自らガーデンを開設し、実践を通して学び始めました。現在の植物との関わりは、その延長線上にあります。 Q3. 仕事に向き合う時のこだわり 求められている要望や背景を丁寧に咀嚼し、その上で、条件や文脈を自分なりに言語化し、デザインに落とし込む。先入観にとらわれず、環境や植物そのものの本質に向き合いながら、要望と現実をつなぐ提案を目指しています。 Q4. 制作したガーデンで表していること、見てほしいポイント 都市の果てにある過酷な埋立地に、洗練された都会的なサバンナを作ることをコンセプトとしました。オーナメンタルグラスによって生まれる構造と、その足元を支える繊細な小花たちが織りなす、静かで地味だけど、可憐でインパクトある風景を目指しています。近づくほどに、植物同士の関係性を感じてほしいです。 Q5. 長年の趣味、もしくは今夢中になっていること 物心ついた頃からホラー好きで、幼稚園の頃に初めて自分で買った本は中岡俊哉の『恐怖の心霊写真集』。寝る時も怪談を聴きながらじゃないと安眠できません。動植物との関わりについては、趣味というよりライフワークに近く、生活そのものの一部になっています。 TPGAだけではない! たくさんの植物に出会える夢の島公園 夢の島公園には、一般的な公園とはひと味違う植物が数多く植えられています。その背景にあるのが、東京湾に面し、運河と水路に囲まれた人工島という立地です。塩害や強風への対策が必要だったことに加え、かつてゴミの埋め立て地だった場所のイメージを払拭したい、という目的もありました。こうした環境のもとで選ばれたのが、異国情緒あふれる植物たちです。なかでもひときわ目を引くのが、コンテストガーデンの背後で茂るユーカリの木々。ユーカリは、異国の植物がこの土地でどの程度成長するかを検証する実験的な目的で植えられたほか、都内の動物園で飼育されているコアラのためのエサとして、品種選びや葉の供給候補地としても活用されてきました。 【園内で見られる草花】スイセン、菜の花、ナツズイセン、イペー、ジャーマンアイリス、カンナ、シュクシャ、ツワブキ、メドーセージ、ローズマリーほか 【園内で見られる樹木】ミモザ、アセビ、ドウダンツツジ、ツバキ、トベラ、キンモクセイ、オオシマザクラ、八重ベニオオシマザクラ、ユキヤナギ、シャリンバイ、ヤブツバキ、アベリア、ユーカリほか 左/コンテストガーデンの背後に広がるユーカリ林。冬の間につける花と実は、ほかではなかなか見られない。右/コンテストガーデンの脇の晩秋の風景。 ガラスのドームが目を引く緑のシャワーを浴びに「夢の島熱帯植物館」に行こう! コンテストガーデンの隣のエリアに見えるのは、キラキラと陽の光に反射する大きなガラスのドーム。ここは、約1,000種類もの熱帯植物がひしめく「夢の島熱帯植物館」です。宿根草とはひと味もふた味も異なる、熱帯植物の世界。力強く葉を広げる植物の生命力と甘く漂う花の香りで、驚くほどリラックスできます。ガーデン観賞を楽しんだあとは、ゆっくりと館内をめぐりながら、トロピカルムードに浸るのがおすすめです。 ここは、隣接する「新江東清掃工場」の余熱を利用して熱帯植物を生育している、東京都運営の熱帯植物館。年間を通じて気温20℃、湿度60%に保たれており、広さ約1,500㎡、高さ約28mの空間に、熱帯雨林の世界が再現されています。なかでも印象的なのは、最初のドームに設けられた大きな滝。絶え間なく流れ落ちる水音が、訪れた人を出迎えてくれます。 視線を上げると、天井付近で30m級のヤシ類が葉を展開。熱帯植物の重なりと、アーチを描くドームの鉄骨が観る人を圧倒する。 テーマが異なる3つのドームで熱帯雨林の世界を楽しもう Aドーム 水辺の植物のエリア 滝からのしぶきは迫力ある景観を演出するだけでなく、館内の湿度を上げる効果も。 滝と池のまわりには、熱帯性スイレンをはじめ、水辺に生育する植物が数多く見られます。滝の下をくぐるように設けられた通路では、マイナスイオンをたっぷり体感。通路の脇には、あでやかなラン類が彩りを添え、足元から視線の先まで、南国らしい風景が広がります。 気根を伸ばすマングローブなどが植えられた池のほとりでは、サガリバナが白い花を下げています。「ぽとりぽとりと落ちる花が水面を一面に覆うさまが幻想的」と、その姿に魅了される人も多い人気の植物です。おもな開花期は7月頃ですが、ここでは開花に適した温度が保たれているため、長期間花を咲かせています。 このエリアの植物で圧巻の姿を見せているのは、ドームの一角で勢いよくズドンと伸びる、巨大なゾウタケ(象竹)。世界一大きな竹として知られ、そのスケール感は、見上げると思わず足が止まるほど。 Bドーム 実がなる植物のエリア 南国の果物を集めたエリアです。バナナやカカオ、マンゴー、パイナップル、ゴレンシなど、さまざまな植物がユニークな果実を実らせています。果実のつき方も植物ごとに個性豊か。枝先につくものもあれば、幹に直接実をつけるものもあり、その違いを間近に観察できます。植物の前には、果実の紹介や展示も設けられているため、子どもから大人まで、楽しく学ぶことができます。 本物そっくりの果実の模型と分かりやすい解説パネルが設けられている。 左から/カカオ、バナナ、ゴレンシ(スターフルーツ)が結実中。 バナナの株元では、個性的な植物が生い茂っている。 左から/カラテア・クロタリフェア、レッドジンジャー、クロトン Cドーム 小笠原諸島のエリア 東京都・小笠原諸島の植物を集めたエリアで、希少な固有種も観察することができます。ユニークな気根を伸ばすタコノキや、大きな葉を広げるタビビトノキなど、迫力のある樹木が数多く植えられており、没入感満点。小笠原諸島の雰囲気を、肌で感じ取れる空間です。 左/頭上を覆うタコノキの葉。右/タコノキに似ているアダンが実をつけている。 美しい鳥のさえずりが聞こえてきそうな、トロピカルなシーンの連続。 Cドームの出口近くにある見晴らし台からの眺め。植栽の重なりや細い滝の流れ、石積みのディテールまでがリアルに再現され、まるで秘境を訪れたかのような感覚を楽しめる。 左上から時計回りに/タビビトノキ、バニラ、ハナキリン、サンタンカ、ドンベヤ・ウォリッキー。 温室ドームの熱帯エリアを出た先にある「食虫植物温室」と、オースラリアの植物が集まる「オーストラリア庭園」も必見です。熱帯植物とは大きく趣が異なり、生育環境によって植物の姿がここまで変わるのかと、その奥深さをあらためて実感させてくれます。 【オーストラリア庭園】 バンクシアやウエストリンギアなど、今人気のオージープランツが植えられた、雰囲気のよいルーフガーデン。 【食虫温室】 さまざまな形態の食虫植物が育てられている。子どもたちの自由研究にもピッタリ。 植物の展示のほかにも、日本の自然を紹介する貴重なアーカイブ映像を上映する「映像ホール」や、ワークショップやコンサートが開催される「イベントホール」、ユニークな切り口で植物について学べる「企画展示室」など、楽しい企画が目白押し。一年を通して心地よい温度に保たれているため、ぜひ季節ごとに訪れて、その時々の魅力を味わってみてください。 Information 夢の島熱帯植物館 住所:東京都江東区夢の島2-1-2 入場料:大人250円,65歳以上120円,中学生100円(小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料) 開館時間:9:30~17:00(入館は16:00まで) 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)*12月29日~1月3日は年末年始休館 https://www.yumenoshima.jp/botanicalhall
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「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート
第4回のコンテスト会場の全貌 今回の舞台となる「夢の島公園」は、運河に囲まれた人工島内にある海辺の都立公園です。かつてはゴミの埋立地として知られていましたが、そのイメージを払拭すべく、ユーカリやデイゴ、ソテツなど異国情緒漂う樹木が多く植えられています。コンテスト会場の背後に広がるユーカリの大木群と、今回制作するガーデンがいかに調和するかも、見どころのひとつです。 コンテストガーデンのエリアには、あらかじめ事務局によって、木枠で縁取られた1.2×10mの波打つ花壇が2対1組で設置されています。黒土をメインとした客土が施され、ガーデナーたちはそれをベースに、植栽計画に沿って土壌を整え、苗や球根を植え付けました。土壌改良や施肥の方法はデザイナーによって異なります。 各花壇は高さ約15cmの木枠で縁取られているため、見学者がうっかり手前の植物を踏んでしまう心配がなく安全。 作庭が完了した12月下旬の様子。カラス避けの水糸が張られたガーデンもあり、スタートからガーデンの様相が大きく異なっている。 ガーデン制作にあたり、デザイナーが踏まえておくこと コンテストガーデンAの作庭の様子。 デザイン・植栽について ・コンテストのテーマ「海辺のサステナブルガーデン」を踏まえ、宿根草をメインとしたガーデンを制作すること。・ロングライフ・ローメンテナンスで、コンテスト終了後も持続可能な花壇を制作すること。・国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は使用不可)。・公園内で爆発的に繁殖するおそれがある植物は使用不可。・主たる植物は宿根草を使用すること。容易に制御が可能な、草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。・ 構造物やガーデンオーナメント、バイオネスト等の設置は不可。植物のみで構成すること。 コンテストガーデンBの作庭の様子。 メンテナンスについて ・展示期間中(2025年12月~2026年12月末)は入賞者がメンテナンスをし、それ以降は事務局が管理。・補植は可能。・最低限植物の状態を保つ週1回程度の灌水は事務局が行う。・薬剤の散布は不可。自然素材の忌避剤の使用についても不可。・メンテナンス計画を提出すること。 コンテストガーデンEの作庭の様子。 区画・土壌について ・花壇の基礎土壌は、既存の土壌の下を約50cm掘削し、浸透性処理を施している。・事務局にて準備した土を使用して整備を行うが、ガーデン制作時に施肥など土壌改良が可能。・事務局にて既存地盤の上に盛土(5cm内外)を行い、植栽基盤厚を確保。・各コンテストガーデン区画は、土留め機能を有する部材で囲った状態で引き渡す。 コンテストガーデンCの作庭の様子。 【審査基準】 公園の景観と調和していること/ 公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 コンテストガーデンDの作庭の様子。 「第4回 東京パークガーデンアワード」作庭 5人のガーデンデザイナーの庭づくりのこだわりをチェック! コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 松田 恵(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:桐生砂、くん炭、有機石灰、矢作砂、バットグアノ入り有機堆肥完熟腐葉土 ◆ガーデン制作工程◆ 桐生砂、有機石灰を混ぜ込む準備をする。 さらにくん炭を加え、混ぜ込みながら耕す(左)。/宿根草のポット苗を配置する(右)。 ポット苗を植え込む。長期的に花を咲かせる植物には、バットグアノ入り有機堆肥と完熟腐葉土を、乾燥を好む植物には矢作砂を植穴の底にすき混む。植栽後は、土の表面は水はけを良くするため平らにする。 球根植込みチーム(左)。/球根数量確認(右)。 球根を配置する。 球根配置完了(左)。/球根を植込みし、最後に全体に水やりする。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 乾いてやせた土地が好きな植物をたくさん入れているため、土壌を豊かにせず、可愛がりすぎないように育てる予定です。華やかな開花のリレーが楽しめるように、彩り豊かなガーデンを目指します。 コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- MOTe. (モト)茂木大樹(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:赤土小粒、堆肥(籾殻、糠、ピーナツの殻、そば殻を燻蒸で発酵させたもの)マルチング材:マルチバーク(のり付き) ◆ガーデン制作工程◆ まずは樹木を配置。基本的に植え穴を掘って植えるが、レベルを上げて植えたいものは穴を掘らずにそのまま置く。 赤玉土と堆肥を載せていき、樹木の根鉢を覆いながらレベルの起伏を作る(左)。/根鉢のまわりに水を入れて土中の隙間をなくしてなじませる(右)。 赤玉土と堆肥で起伏を作り、表面を木の板でなだらかに整える(左)。ユーカリの枕木を数個用いてステップを設ける(右)。 宿根草のポット苗を配置してバランスを確認する(左)。/樹高2m以内の規定に合わせて伸びすぎている樹木の枝を剪定(右)。 ポット苗・球根を植え付ける。 グラスの枯れ葉を除去(左)。/マルチバークで表土にマルチングをする(右)。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ オージープランツが多いので栄養はそれほど必要ないと考え、もともとの土壌に発酵させた堆肥を加える程度に留めています。堆肥は籾殻や米糠、ピーナツの殻、ソバ殻を燻蒸で発酵させたものを用いました。ソバ殻の炭素分が多く、空気の層を作ることができるので、根の伸長を促してくれます。 植え付けは、植え穴を掘らずに根鉢を土の上に載せるだけで堆肥を盛ることで高さを出して風景に立体感を作り、微気候を生み出しています。植栽は花の彩りは控えめに、常緑の植物を多く使って瑞々しい緑を生かしつつ、植物の直線的、造形的なフォルムを楽しんでいただけるようにしています。 コンテストガーデンCStewardship Garden: The Way ぐりんぐりん 横田拓伸(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:堆肥(植物の枝葉を15年ほど寝かしたもの)、米糠(肥料としても有効)ライン引きのための材:赤玉小粒マルチング材:ウッドチップ、洗い砂、クルミの殻その他:ユーカリの枝葉 ◆ガーデン制作工程◆ 斜めのラインの位置出しをして、花壇の縁に目印のテープを貼る。 土壌を耕したあと、堆肥と米糠を加えて混ぜ耕す。 位置出しで貼ったテープの目印を頼りに、小粒の赤玉土を使って表土に斜めのラインを描く。その後、ポット苗や球根を配置。 苗と球根を植え付ける(左)。/球根を植え付けた場所に棒切れで目印を立てる(右)。 ウッドチップをマルチングする(左)。/ガーデンの端にはウッドチップでマルチングをせず、洗い砂を敷いて砂浜の風景をつくる(右)。 ガーデンの一部に溝をつくり、その両側に棒を2本渡してユーカリの葉を敷き詰める。また、その傍らにクルミの殻を敷き詰めるコーナーをつくる。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 人間もマッチョだけじゃダメ、健康であることが大切なように、植物もなりたい大きさで育つように、ここの環境に合う植物を持ってきました。栄養分は堆肥のみで、そこに米糠を加えて微生物の働きを促します。積極的にサポートするのは植え付け時のみ。土中の微生物は地域で種類が違うので、堆肥はこの会場に近い場所で生育する植物の枝葉を15年ほど寝かしたものにしました。 コンテストガーデンDSurFIVE Garden PICNIC garden design 河野友香(栃木県)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:エコロベース、堆肥元肥:マグァンプ大粒ライン引きのための材:赤玉小粒マルチング:バークチップ ◆ガーデン制作工程◆ よく耕してから、エコロベースソイルを盛土する。 微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて混ぜ込み、起伏を作りながら表面を平らにする。 デザイン通りのゾーニングのラインを赤玉小粒で描く。 25cmほどにカットした木の幹を3本1束にして、5cmほど顔を出すようにして埋め込む。後々のメンテナンスのときを考え、片足を踏み込める小さな足場を作った。 ポット苗と球根を配置し、植え込む。 花を咲かせる苗の株穴には、マグァンプL(大粒)を適量入れる(左)。/球根を植え込む(右)。 植えた苗のまわりに堆肥をまく(左)。/最後にバークチップでマルチングする。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 海に近く風の強い夢の島公園の環境を踏まえ、宿根草の根張りを最優先に考えて選びました。エコロベースソイルを盛土することで、しっかりとした根張りに必要な水はけと通気性を確保して、微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて団粒構造をつくり、バークチップのマルチングで乾燥と雑草を抑えました。あわせて、花付きが安定し来園者に長く楽しんでもらえるよう、ゆっくり効く化成肥料(マグァンプ大粒)を必要最小限加えました。 コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 本田ハビタットデザイン 本田直也(北海道)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:黒土マルチング材:マルチバーク ◆ガーデン制作工程◆ 花壇全体に黒土を載せ、苗を配置する。 苗の植え付け(左)。/バークマルチでマルチングをする(右)。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 今回植え付けたのはグラス類など宿根草なので、排水性と少しの保水性があれば十分と考え、栄養分は極力少なくして植物の成長を抑え気味にしました。以前、動物園でゾウのフンを堆肥にバタフライガーデンをつくった際、一年目から背丈を越すほど成長してしまい(なかには2mを超すものも!)、開花の見頃を迎えるタイミングに倒れてしまったり、切り戻しせざるを得なかったり。「肥料が多くて見苦しくなる」という過去の苦い経験を踏まえました。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.yumenoshima.jp/park開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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“ロングライフ・ローメンテナンス”で都立公園を豊かに彩るコンテスト「第4回東京パークガーデンアワード 夢の島公園」全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト
第4回会場となる「夢の島公園」 「東京パークガーデンアワード」は、公益財団法人東京都公園協会が主催するコンテストです。気候変動が激しい現代において、“持続可能でロングライフ・ローメンテナンス”なガーデンづくりを目指しています。デザインはもとより、植物や土壌の高度な知識が求められ、今までのものとは一線を画すコンテスト。このアワードを通じて、サステナブルガーデンの制作、普及を後押しします。 今回の舞台となる『夢の島公園』は、東京都江東区にある海辺の都立公園で、運河に囲まれた人工島の中に位置しています。「夢の島」といえば、かつてはゴミの埋め立て地として知られていましたが、その負のイメージを払拭するため、1978年に『夢の島公園』が開園しました。その後、整備が進められ、現在ではユーカリやデイゴ、ヤシなどの熱帯・亜熱帯植物が植えられた緑豊かな海辺の公園に生まれ変わりました。園内には熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な芝生広場があり、都心からアクセスしやすい人気スポットとなっています。 コンテストのテーマは「海辺のサステナブルガーデン」 今回ガーデンが設けられるエリアは、『夢の島熱帯植物館』西側のグリーンパークの一画で、公園のシンボルであるユーカリの樹林地に面しています。広がる波をイメージした2本のウェーブガーデン(約24㎡)に、海辺の環境に適した宿根草を植栽。背景のユーカリとも調和する、ロングライフ・ローメンテナンスなガーデンが制作されます。2025年12月、土壌改良から作庭が行われ、11月の最終審査を迎えるまで、必要に応じてメンテナンスを実施。近年の激しい気候変動、とくに厳しい酷暑への対応も重要な課題です。3回の審査を経てグランプリが決定するまで、さまざまな予測を立てながら庭と向き合っていくことになります。 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査で見る重要なポイント 2025年に行われた「第3回東京パークガーデンアワード」の審査の様子。今回の審査員は、福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚さん(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー)、本木一彦さん(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子さん(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)。 第4回も“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることが欠かせないルールです。丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に、季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りに咲くようデザインすることが求められています。 ●公園の景観と調和していること ●公園利用者の関心が得られる工夫があること●公園利用者が心地よく感じられること●植物が会場の環境に適応していること ●造園技術が高いこと●四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること●「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること●メンテナンスがしやすいこと●テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること ●総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 第3回開催の砧公園で見られた“ロングライフ・ローメンテナンス”を実現しながら豊かに彩るための工夫 ここ数年、猛烈な酷暑が続いています。この異常な気候変動を乗り切るためには、耐暑性や耐乾性のある植物の選定、そして強くても爆発的に繁茂する種類は避けるなどの知識が必要です。またメンテナンスも欠かせない要素で、手入れのテクニックも審査の対象となります。メンテナンスはガーデナーの申請によって行うことが条件ですが、手入れの頻度(回数)も評価の参考になります。 そこで、「ロングライフ・ローメンテナンス」を実践するために、前回開催のコンテストガーデンで取り入れられた工夫をいくつか紹介します。 1. メンテナンス時の発生材(剪定枝など)をガーデン内で循環するためのバイオネストの設置 ガーデンの中央で大きなオブジェのような存在感を放っていた、印象的なバイオネスト(エリアA)。 2. ガーデンの土中に空気を送り込むための通気口の設置 直径20cmほどの穴に枝を組んで作った通気口。入り口部分にグラスの穂をあしらい、鳥の巣のような愛らしさを演出(エリアB)。 3. テントウムシを呼ぶための、バンカープランツを植栽 テントウムシがエサとして好むアブラムシが早春に集まるように植え込んだ原種のチューリップ(エリアC)。 4. 土中の微生物を活性化させるための、菌糸のステップを配置 キノコの菌床を円盤形に固めたステップ。植物の根の伸長を促すのに効果的(エリアD)。 5. シードヘッドになる植物を積極的に使う カールドン、アリウム、バーバスカム、バーベナのシードヘッドを巧み組み合わせ、秋~冬の景色に深みを与える(エリアE)。 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト どのエリアでガーデンを制作するかを決めるため2025年10月中旬に集合した5名のガーデナー。 コンテストのテーマとルールをふまえて制作するそれぞれのガーデンのコンセプトをご紹介します。 コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【作品のテーマ・制作意図】 海辺という特有の環境に調和しながら、自然の力を活かした設計によって、サステナブルな公共空間のあり方を提案します。風が通り抜け、植物が揺れ、大地がそれを支える——この空間では、自然の要素が互いに響き合いながら機能します。植栽には、乾燥や高温に強く、施肥を行わずとも育つ植物を選定。水やりやメンテナンスを最小限に抑えることで、環境負荷を軽減しながら、美しさと生態系の豊かさを両立する構成としました。また、宿根草とグラス類を中心に、こぼれ種によって自発的に広がる植物を組み合わせることで、季節や年月の変化に応じて風景が移ろい、訪れるたびに異なる表情を見せるよう工夫しています。風に反応する草姿や色彩の変化は、来訪者の感覚に静かに働きかけ、風・植物・大地の関係性を通じて、自然との関わりを見つめ直す場となることを目指しています。 【植栽計画について】 海辺の環境に適応する植物を中心に構成し、自然の力を活かしながら持続的に育つガーデンを目指しました。潮風や強い日差し、乾燥といった海辺特有の条件に耐える宿根草やオーナメンタルグラスを主体とし、無施肥・最小限の水やりで維持できる植物を選定しています。これにより、環境負荷を抑えつつ、自然のリズムに寄り添う植栽管理を実現しています。 また、春から秋まで花が咲き継ぐ「開花リレー」を軸に、季節の移ろいが視覚的にも感じられるよう、色彩の重なりや草姿の変化を丁寧に計画しました。風に揺れるグラス類は海辺の風景に軽やかな動きを与え、球根植物は季節のアクセントとして景観に深みをもたらします。こぼれ種で広がる植物を組み合わせることで、植栽が自ら更新され、年月とともに自然に成熟していく仕組みも取り入れています。さらに、宿根草の間に一年草を適宜加えることで、季節ごとの彩りや変化を柔軟に補い、訪れるたびに異なる表情が楽しめる風景をつくります。こうした構成により、自然の動き・時間の流れ・生態系の豊かさが重なり合う、持続可能な植栽を目指しました。 【主な植物リスト】 宿根草:フロックス ムーディーブルー/ゲラニウム サバニブルー/アスフォデリネ ルテア/ダイアンサス カルスシアノルム/ゴリオリモン コリナム シースプレイ/エキナセア テネシーエンシス/ユーコミス ビッグボーイ/エリンジューム パリフォリウム/バーノニア レターマニー/スクテラリア インカナ/アスター アンレイズグラス類:フェスツカ エリアブルー/ブリザ メディア ラッセルズ/スティパ イチュー/エラグロスティス トリコデス/ペニセタム マクロウルム/アンドロポゴン テルナリウス/ミューレンベルギア カピラリス アルバ球根:スイセン ペーパーホワイト/ミニアイリス ペインテッドレディ/クロッカス ロマンス/ミニチューリップ ヒルデ/ダッチアイリス シンフォニー/カマシア クシッキー/アリウム シルバースプリング/アリウム ピンボールウィザード/ガルトニア カンディカンス/リコリス サンギネア コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【作品のテーマ・制作意図】 ■ユーカリ樹林や公園風景を主役にする庭 ―夢の島公園の景観と調和した植物選び― ・公園の象徴であるユーカリ林を主役に、遠くからは樹林の前景として眺める花壇、入り込めばユーカリの壁を借景に、緑に包まれる植栽空間を創出。背後の樹林と庭の植栽がつながるよう視線の抜けや緑の連続感を意識し、園全体との一体感を演出します。 ・バンクシア、カリステモン、ハマゴウやメリアンサスなど、海辺の環境に耐えながら、豪州庭園を有する公園の既存植生や景観、海風の雰囲気に馴染む庭景を演出します。 ・冬季に訪れる来園者にも配慮し、花後も景観を彩るグラスや常緑樹、カラーリーフ類を混植し、季節ごとに表情が変わり、秋冬も映えるガーデンとします。 ■公園遊具・風景のきっかけとしての庭―利用者の関心を引き、居心地を生む仕掛け― ・子ども用遊具が少ない園内に、アスレチックや回遊ごっこを誘発する植栽空間を提案します。地面のウェーブ(アンジュレーション)と植栽の高低差で、歩くたびに景色が見え隠れする立体的な庭を演出し、眺めても歩いても楽しめる空間とします。 ・大人の見守りの視線は通しつつ、子どもにとっては草花のトンネルのように感じられる空間体験を演出します。園路沿いベンチを起点に、子どもの好奇心を植物へ導き、自然への関心を育む場とし、二列花壇の適所に通り抜けポイントを設けることで、アクセス性と回遊性を高めます。 【植栽計画について】 ■潮風に揺れる宿根草の庭 ―海岸環境に寄り添い、四季の移ろいを感じる庭―・バンクシア、カリステモン、ハマゴウ、シーラベンダーやコースタルローズマリーなど、耐風・耐塩・耐乾性に優れた海岸性の樹種をポイント的に配置し、庭全体に変化と海浜の雰囲気を映します。 ・海風に耐え支柱を必要としない樹種と、装飾性が高くもやや繊細な樹種を試験的に混植し、コースタルガーデンの新しい組み合わせを探ります。 ・もたれやすい草姿は、繁りやすい植栽やグラス類のそばに置き、互いに補完し合うよう計画。歩くことで植栽の色や草姿の変化を楽しめる配置とし、訪問者に発見や驚きを与えます。 ・強健種中心で単調になりやすい海辺の環境にも対応し、植栽の組み合わせや色・草姿のコントラストで多様な景観を実現し、季節や光の変化による表情も楽しめる庭を目指します。 ■微地形による環境の多様化と骨格植物の採用 ―気候変動下での持続性を生む工夫・ローメンテナンス―・アンジュレーション(微地形)を設けて排水性を確保し、乾燥に強いグラス類や低木を尾根部分に配置するなど、適所適植で植栽の安定性を高めます。 ・高低差や樹木ボリュームで異なる微気候(採光・通風・排水性の多様化)をつくり、異常気象による植物の全滅リスクを軽減。今後の気候変動(猛暑・豪雨・乾燥)を前提に、グラス類や強健種を一定割合植え込み、庭の骨格を安定化。 ・管理も容易なアガパンサス、エキナセア、グラス類や強剪定も可能な南半球由来の低木を視認性の高い要所(起伏の尾根やコーナー)に配置。マルチングやグランドカバーで乾燥防止と雑草抑制を図ります。 ・赤土を主として燻蒸したそば殻、有機物をすきこんで完熟発酵させた特製客土を用い、持込み雑草を最小化。団粒構造形成による排水性の向上とリン過多にならず、根付きもよい土づくり。あえて無肥料とすることで華美になりすぎない海辺らしい風景づくりと、オージープランツのリン酸やけに配慮。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーフォルビア ウルフェニー/ユーフォルビア セギリアナ/トリトマ グリーンシェイド/モナルダ フィッツローザ/エキナセア ミニベル/エキナセア パリダ/シシリンチウム ストリアタム/スターチス ラティフォリウム/ホソバチョウジソウ/オレガノ マルゲリータ/アキレア マシュマログラス類:パンクスグラス プミラロゼア/ミューレンベルギア リンドハイメリ/ペニセタム アロペクロイデス/カレックス フェニックスグリーン/カレックス フラッカ低木:カリステモン ドーソンリバー/コースト バンクシア/グレビレア プーリンダ イルミナ/グレビレア ジョン エバンス/グレビレア ドーン パープル/メラレウカ タイムハニーマータル/ハマゴウ プルプレア/ギョリュウバイ ナニューム ルブルム球根: チューリップ トルケスタニカ/チューリップ シルビア/チューリップ ヒルデ/チューリップ タルダ インタラクション/チューリップ クレティカ パニア/チューリップ マーラ/チューリップ ビオレッタ/カマッシア カエルレア/カマッシア アルバ コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【作品のテーマ・制作意図】 この庭は、まるで人の一生を映し出すかのような場所。最初は何も育たない砂地が、植物や小さな生き物たちのチカラ、そしてそこに暮らす人々の手によって、ゆっくりと豊かな土壌へと育っていく。それはまるで、子供が成長して大人になり、やがて成熟世代へと人生を重ねていく時間の流れと、重なり合っているかのよう。子供たちは砂のような柔らかな心で庭と遊び、自然からたくさんのことを学ぶ。大人になれば、その庭は家族や友人と収穫や語らいを楽しむ場所になり、成熟世代になれば、その成長した庭を眺めながら穏やかな、心豊かな時を過ごす。この庭は自然と人が共に成長し、砂が子供、豊かな土壌が大人へと成熟していくように、自然の再生と成熟への時、人生の旅路を映す『道』を示している。 【植栽計画について】 砂地を豊かな土壌へと育ててくれるのは植物、微生物、細菌、虫たち、そして少しの人の手。はじめに漉き込む堆肥は、その土地の土壌で作られたもの。なぜなら微生物や細菌は地域性があるからです。どこか遠くから良い資材を持ってきたとしても永続的な自然の循環は行われません。その土地だけの‘自然循環の在り方’を作り出すことが重要です。植える植物たちは潮風や乾燥に強い宿根草、そして環境に溶け込むような亜熱帯の宿根草を主軸とします。植栽は観る人々が‘思わず触りたくなるような’仕掛けを施します。それは、私が日々庭づくりで行っている‘参加型の庭づくり’に基づいています。驚きと興味は参加を促し、よき体験を生み出す。その‘関心’と’体験’こそ、サステナブルを巻き起こすものだと信じています。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーパトリウム/トリトマ/ヘリオプシス/オミナエシ/オトコエシ/ペンテスモン/エキナセア/ベロニカなどグラス類:カールフォスター/ミスカンサス/ディプカンシア/カレックス/モリニア/コメガヤなど球根:アリウム/スイセン/ダッチアイリス/フリチラリア/カマシア/オダマキ/ラナンキュラス ラックス/ゲイソリザ/ツベロサム/シラーなど コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【作品のテーマ・制作意図】 夏の猛暑や乾燥といった「過酷な環境を生き延びる力強さ(Survive)」×「海の波や生命のうねりを感じさせる (Surf)」を掛け、その植物のパワーが波のように広がり未来へとつながっていくイメージと、五感を刺激する植物の組み合わせを『SurFIVE』という言葉で表現しています。またガーデンのテーマカラーとしてオレンジの花色の植物を多く取り入れ、親しみやすさや太陽のもとで元気に咲く植物の生命力をアピールします。 【植栽計画について】 熱帯を思わせる個性的な形の植物をメインにして、一年を通してはっきりとしたシルエットを保つように計画しています。いくつかの同じ植物を違う場所にもリピートして植えることで、前後の花壇のつながりと、歩きながらガーデンのリズムを感じてもらえるように植物を配置しています。植え付け後は、剪定や水やりなどの手入れを最小限に抑え、人にも植物にとってもサステナブルで美しいガーデンを維持します。 【主な植物リスト】 宿根草: カンナ/クニフォフィア ルーペリ/メリアンサス マヨール/エキノプス /ロシアンセージ/アキレア/バーベナ ボナリエンシスグラス類:カラマグロスティス カールフォスター/カラマグロスティス ブラキトリカ/パニカム シェナンドア/エラグロスティス スペクタビリス球根: アリウム マジック/ミニチューリップ ショーグン/イフェイオン ウィズレーブルー/スイセン タリア コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【作品のテーマ・制作意図】 かつて廃棄物で埋め立てられたこの島には、現在ユーカリの森を中心とした強健な植生が根づき、都市にありながら原始的で異国的な景観を生み出しています。今回、植栽地となるこの森の縁に広がる強い日射と潮風にさらされた芝生を目にしたとき、「ここは都市の果てに現れたアーバン・サバンナだ!」と直感しました。 植物を単なる装飾に限らず、この地固有の「環境を翻訳する存在」と捉え、来園者が海風・光・湿度・熱といった目に見えない環境を感覚・知覚できる場をつくります。「東京サバンナ」は景観的なサバンナの模倣ではなく、夢の島の歴史と環境条件から必然的に現れた都市の新しい風景です。都市と自然の狭間に生まれたこの庭を通じて、来園者が環境や植物との関わりを見つめ直し、都市園芸の新たな可能性を感じ取るきっかけとなることを願います。そしてこのガーデンが、見た目の美しさと維持のしやすさを兼ね備えた、持続可能な宿根草ガーデンの新しいスタンダードとして育まれれば幸いです。 【植栽計画について】 土地の過酷な条件を読み解き、徹底したローメンテナンス性、持続可能性を踏まえながら、美しく景観が維持できる計画としました。植栽計画は、強光、潮風、乾燥に耐える大型グラスをメインとした外皮構造を先に築き、その内側に小型宿根草を群植する二層構造としました。外層が強い環境要因を受け止めて微気候を生み、内層ではナース植物の効果により小型植物が守られながら安定して育ちます。 植物は侵略性が低く、かつ姿が乱れにくく支柱や過度な手入れを必要としない丈夫な種を厳選しました。内層の植栽は配置の自由度が高く、どこに植えても風景が破綻せず、誰もが維持・再現可能です。また低層種を入れ替えるだけで新たな景観を生み出せる柔軟性も持ち、さらに密植により除草の労力を軽減します。 そして、四季を通じて花や実を供給し、チョウや他の昆虫類に生息の場を与えることで都市に自然のリズムを呼び戻し、この地域の生物多様性に寄与します。「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」は、美観・管理性・生態系の循環を兼ね備えた、海辺にふさわしい真のサステナブルガーデンの姿を示します。 【主な植物リスト】 宿根草:ビゲロウィア・ヌッタリー/エゾノヨロイグサ/ハマボウフウ/ヒューケラ・シャムロックなどグラス類:カラマグロスティス・カールフォスター/パニカム・ヘビーメタル/セスレリア・オータムナリス/フェスツカ・アメジスティナなど コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.yumenoshima.jp/park開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
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公共ガーデン

「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」1年の取り組み
毎日見学者が訪れる第3回コンテスト会場は「都立砧公園」みんなのひろば前 コンテスト会場となった砧公園‘みんなのひろば’前に設けられたコンテストエリアの1年間の景色の移り変わり(右上/4月 左下/7月 右下/11月)。公園の正門や駐車場からコンテストガーデンに向かうと見えてくる「東京パークガーデンアワード」の開催を示す2カ所の看板が目印。 2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、成城学園、二子玉川など閑静な住宅街からほど近い場所にある都立砧公園(東京都世田谷区)が舞台です。芝生の広場と樹林で構成されたファミリーパークのほか、運動施設や遊具などが設置された広場が整備され、区民みんなに親しまれている公園でコンテストが繰り広げられました。 東京都立砧公園は、芝生が青々とした「みんなのひろば」をはじめ、バラ園、サイクリングコース、‘子供の森’など多数のエリアがあり、秋にはイチョウなどの紅葉・黄葉が楽しめます。 第3回のテーマは「みんなのガーデン」 今回のコンテストエリアは、‘みんなのひろば’前に広がるスペース。5つのガーデンは公園を訪れる多くの人の目を楽しませました。 天気のよい休日には、家族連れがお弁当を広げる光景もあちこちで見られ、地域の住民をはじめ、多くの人々に親しまれている砧公園。‘みんなのひろば’前で開催された「第3回 東京パークガーデンアワード」のコンテストテーマは『みんなのガーデン』です。「東京パークガーデンアワード」の目指す“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることはもちろん、訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れたガーデンであることが求められました。植栽のメインとなる宿根草は、丈夫で長生きすることから、季節ごとの植え替えは行わず、四季ごとに花の彩りがあることも期待されました。 第3回のコンテストガーデン コンテストガーデンが設けられた敷地の平面図。A〜Eの各面積は約40㎡ 。どのエリアでガーデンを制作するかは、2024年10月に抽選により決定しました。 各コンテストガーデンは、高さ40cmの枠に囲まれた区画内に作られました。子どもたちの目線にも近い高さで、かがまずに植物を間近で観賞できるのも今回の特徴です。4月の様子。 今回のガーデンでは、通路を挟んで対に設けられた2つ1組の花壇が5つ連なっています。隣接する‘みんなのひろば’や‘ねむのき広場’からコンテストエリア全体を眺めたり、花壇に挟まれた通路を歩きながら、左右に育つ植物を観賞したりするなど、さまざまな角度からガーデンを堪能することができました。 写真手前の北から奥の南に向けて、A・B・C・D・Eの順に花壇が並ぶ。7月の様子。 2024年12月に行われた第1回作庭。5つのガーデン制作に関わった皆さん。 【第3回 東京パークガーデンアワード in 砧公園 最終審査までのスケジュール】 コンテストに挑戦する5名の入賞者が1年を通してガーデン制作に挑む「東京パークガーデンアワード」。2024年12月中旬に、それぞれの区画で1回目の作庭が完了し、2025年2月下旬に2回目の作庭日が設けられました。その後、4月は春の見頃を迎えた観賞性を審査する『ショーアップ審査』、7月は梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』、11月は秋の見ごろの鑑賞性と年間の管理状況を審査する『ファイナル審査』が行われ、グランプリが決定しました。 2025年11月に行われた授賞式後、審査員と授賞者を囲んで、コンテストガーデンエリアに集まった東京パークガーデンアワードに関わった皆さんと記念撮影。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」すべての審査が終了しました! 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 4月、7月、11月の3回の審査は、5名の審査委員による採点と協議により行われました。【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われました。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」授賞式 2024年12月のガーデンの施工から約1年が経過し、3回目の審査となる『ファイナル審査』が2025年11月6日に行われ、入賞5作品の中より「グランプリ」、「準グランプリ」、「審査員特別賞」が決定。晴天の2025年11月22日、東京都世田谷区にある上用賀アートセンターにて授賞式が行われました。式典では、賞状とクリスタルメダルの贈呈、4名の審査員による講評、授賞者5名による喜びのコメントが発表され、参列者より大きな拍手が贈られました。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の受賞者と審査員。 審査員の講評 審査員 吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー) 東京パークガーデンアワード・砧公園のコンテストに入賞されたみなさん、本当におめでとうございます。そして、過去に神代植物園や代々木公園でのコンテストに参加してくださった方々にも、心から感謝申し上げます。 このコンテストでは、造園や園芸といった枠を越え、これからの地球に必要なことを、小さな一歩から取り組み始めていると感じています。21世紀の今、新しい局面に立ち、幅広い視野で重要なテーマを探し続けているのではないでしょうか。 33年前、私はイギリスの庭に出会いました。イギリスでは100年以上前から自然主義の思想があり、庭や造園の世界で多くの草花が使われてきました。産業革命による自然破壊が進んだ1800年代末、自然保護運動が始まった国でもあります。 日本とイギリスの園芸・造園には違いがあります。 イギリスでは園芸と造園が密接で、ランドスケープデザイナーは宿根草の生態や育ち方を深く理解しています。私はそれをいつも素晴らしいと感じてきましたが、日本はまだ追いつけていない状況でした。しかし、このコンテストでは、それを覆すような躍進的な取り組みが見られたと感じています。 今回の5組のみなさんは、それぞれに素晴らしく、グランプリを決めるのは非常に難しいものでした。実際、全員がグランプリだと思っています。その中で、私が重視したのは「レジリエンスガーデン」、つまり「9月のダメージをどのように11月に乗り越えたか」という視点です。宿根草だけが生き残る庭が最良とは思いませんし、一年草を装飾的に取り入れるのもよいと思います。 私が尊敬するガーデンデザイナー、トム・スチュアート・スミスも、自宅の庭で宿根草に一年草のコスモスを取り入れています。そもそも、なぜ庭をつくるのか。それは、美しく育つ草花やその風景に、私たちが喜びを感じるからです。花が咲いている庭、咲いていない庭、どちらにも価値があります。 ちなみに、多くの人は花を見て喜びますが、私は最近、葉だけの世界が好きです。心が「気持ちよい」「癒やされる」と感じることが重要なのです。 今回のテーマ「みんなのガーデン」では、公園に訪れる小さなお子さんから幅広い世代の方々が楽しめることが最も重要でした。しかし、コンテストを重ねる中で、目に見えない部分まで審査する段階に来たと感じています。 私は土中環境を感覚的には理解していますが、数値的な詳細は分かりません。それでも、今回グランプリを獲得したガーデンは、光や風の通り方が素晴らしく、眺めているだけで生物としての喜びが広がるのを感じました。花の有無ではなく、光と風が宿根草の庭をいかに心地よく通るかが最大の焦点でした。 心と体の健康は大切です。ガーデンから「気持ちよい」と感じることは心や体の栄養になり、さらに「ここから離れたくない」と思えることが重要です。 今回のコンテストでは、5組すべてがその点で素晴らしかったと思います。順位をつけることになり、最後に「ごめんなさい!」とお伝えしたいです。 みなさん、ご参加いただき、本当にありがとうございました! 5名の授賞ガーデンと審査員講評 グランプリ コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 ●コンテストガーデンCの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 「てんとう虫たちの食卓」というテーマがよく表現された庭でした。アブラムシを増やす植物をあえて入れてテントウムシを誘い、剪定した枝葉を作業通路に置いてナメクジなどを引き寄せ植物たちを守るなど、生態系を豊かにすることで庭も美しくするプランが成功しているようでした。プランツタグのQRコードで植物や虫たちを紹介する発信も素晴らしい取り組みです。広めに確保された作業通路が風の道となり植物が蒸れにくく、景観的にも奥行きや抜け感を生み、植物の表情をより豊かに演出していました。グラスの穂が風に揺れる姿は野原で遊んでいるような気持ちにさせ、多彩な植物たちが混み合うことなく絶妙に風を通しながら公園の風景に溶け込む様は、見るほどに引き込まれる美しい眺めでした。予測の難しい酷暑を越えた先に秋の自然な美しさが際立つことこそが、宿根草ガーデンの真骨頂だと気づかせてくれるガーデンでした。 小野雄大さん コンテストを終えた受賞者のコメント 今回、大切にして目指したのは、季節とともにガーデンの表情が変わって、植物と小さな生き物たちの営みが共存する庭です。原生地の群落を意識し、春から初夏に向けて景色が大きく変わるように植栽を工夫しました。テントウムシなどの益虫が増えるように、越冬場所を作ったりアブラムシがつくようバンカープランツを植えたりと工夫しました。また、近年の気候変動に強いレジリエントガーデン(回復力を備えた庭)というものにチャレンジし、水の流れを作ったり、土中の保水性を高めるなどして夏場の暑さに耐えられるようにしました。 印象に残ったことは、子どもたちがまわりで網を振って虫捕りをしていたこと。それがすごく微笑ましくて、虫かごに蝶々をいっぱい入れて見せあったりして楽しんでいました。たまにその網で花首が取れたり、植栽の奥まで足を踏み入れたり、ということもありましたが、それは本当に子どもたちにとっても心に残ったのではないかなと思います。この庭ができて、自然と遊ぶことができるようになったのではないかなと思っています。 準グランプリ コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 ●コンテストガーデンAの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 タイトル通り、花束のような素敵なガーデンでした。公園に溶け込んだ遠景は絵画的で美しく、近づいてみると、植物どうしが響き合って作る美しいシーンが随所に見られました。バイオネストはサステナブルな機能だけでなく、庭を特徴づける造形物としても効果的に働いていました。花壇の場所的に一部が松の木陰になってしまうハンディがありましたが、植物選択やメンテナンスの工夫でうまく対処されていました。厳しい夏を越えられなかった植物も見受けられましたが、春の華やかな景色は今なお強く印象に残っており、都会的で洗練された美しさが秋に至るまで展開されていました。多くの人々に楽しさや幸福感、季節の移ろいの喜びを与えてくれるガーデンでした。 保坂悠平さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私自身、宿根草ガーデンを作る機会はこれまで非常に少なく、普段はマンションや商業施設の植栽計画を計画段階から携わっています。そうした現場では、周辺環境への配慮や在来種の使用を求められることが多いのですが、今回特に印象的だったのは、子どもたちや近隣の皆様から多くのお声掛けをいただいたことです。これまで携わった植栽計画では、なかなか直接お声掛けをいただく機会はなかったので、今回、「花の力」を強く感じました。 私は第1回の代々木公園から応募に挑戦してきましたが、当時は宿根草のことが本当に分かりませんでした。ですが、今回に至るまで、日本各地のいろいろな素敵なガーデンを訪れたり、先輩から教わったりして宿根草について学んできました。今回、私自身で剪定ばさみを持って、休日公園に通い、仲間に教わりながら剪定を行いました。こうした経験を通じ、今後は緑を通して人と人をつなぐ仕事をしていきたいと思っています。 審査員特別賞 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ ●コンテストガーデンEの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 個性が際立つ植物を巧みに組み合わせ、まるでジャングルの中に入り込んだような感覚を味わえるガーデンでした。多種多様な植物を数多く使い、植物の可能性をとことん追及したカラフルでダイナミックな植栽デザインが特徴的で、その圧倒的な色彩の豊かさが多くの来園者の目を惹きつけていました。花壇の多角形を生かし、見る角度によって、構築的で造形的におもしろい植物、質感のバラエティ豊かな組み合わせ、多彩に変化する色合いなどを楽しめる点が印象的でした。遠くから見ても植物たちの存在感が力強く、厳しかった今夏を乗り越えた姿には感動を覚えます。写真を撮りたくなるシーンが随所に散りばめられ、見る人を自然と滞留させる魅力に富んだガーデンでした。 太田敦雄さん コンテストを終えた受賞者のコメント このガーデンは、写真や映像に映らないかもしれない「愛や他者への思いやり」という抽象的な概念を、SNSでつながった花好きなボランティアのみなさんと共に表現するという、私にとっても大きな挑戦でした。絶え間なく変化する開花のリレーを引き継ぎながら、人と植物と虫たち、人と人、そして人と環境が繋がる、美しくて尊い共存の風景を、この庭とその創作活動を通じて表現することができました。サステナビリティやメンテナンスという概念に挑戦する中で感じたのは、植物が苦しいとき、人間が愛や思いやりの手を差し伸べることで、植物は幸せに生きながらえることができるということです。園芸をする方なら分かることと思いますが、愛情を受けている植物は表情が違うのです。私たちのチームは、毎週その日に来られる人が、自分が楽しいと思える範囲で植物の手入れをしました。負担にならなければ、メンテという労働作業ではなく、仲間と会える趣味の活動になるんですよね。何かを「好き」と思う気持ちで行うことは、現代において、最もエコで尽きることのないクリーンエネルギーであり、かつ合理的なシステムだと考えています。それを、1年間かけてチームのみんなと一緒にこの庭で実践し、示すことができました。 私は、庭づくりは時間軸を伴う文脈を持った「劇」のような時間芸術であり、心から生まれ、人の心に届くものでなければならないと思っています。コンテストには順位がありますが、庭は勝負ではありません。移り行く時間や季節の中で、どれだけの感動や意義や問いを人や社会に投げかけることができるか。それが大切だと思っています。春に私のガーデンを見るために車椅子で来られたお客様が、車椅子から立ち上がって歩いて見てくださったという奇跡の瞬間。無数の蝶や虫たちが花と戯れる中で花壇の手入れする人の姿も楽園のように美しく渾然一体となった夏の日の光景。最終審査前のメンテの後、ボランティアの方がかけてくださった「青春のような1年でした」というひと言。庭とはここまで人や世界を幸せにする力があるのだ、と。この庭を通して、多くの方が愛や思いやりを受けとってくださったこと、それこそが私にとって一番の尊い賞でした。 入賞 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 ●コンテストガーデンBの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 イチゴやイチジクなど、自分の庭に取り入れたくなるカジュアルな提案がたくさん詰まった庭でした。見ているうちに「美味しそう!」と感じ、ガーデンの先にある家族の物語まで想像させてくれます。剪定枝で作った可愛いサークルネストなど、子どもと一緒に楽しめそうな工夫も魅力的です。植栽デザインは年間を通して全体の色合いが美しく、コーナーごとに設けられたテーマカラーをぐるりと一周しながら眺める楽しみがありました。特に秋には、黄・オレンジなど暖色系の構成から、目を転じるとアスターなどの寒色系へと色調が変化する眺めが絵画のようでした。季節ごとに多彩なシーンを提供してくれ、幅広い世代の来園者が訪れる砧公園という場所にふさわしい、元気をもらえるガーデンでした。 石野夕華さん、有瀧佳実さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私たちは、公園から自転車で 10分くらいのところに住んでいるママ友です。第3回の開催地が砧公園だと知ったとき、ぜひ地元のメンバーで応募したいと相方の有瀧を誘い、お世話になっているbajicoの母体であるNPO法人子育て支援グループamigoさんにも挑戦をしたいと伝え、これまでたくさんのフォローをしていただきました。仕入れやガーデン製作、そしてメンテナンスまで、日々仕事でお世話になっている職人さんやガーデナーの皆さんに、たくさん助けていただきました。また、砧公園入賞者皆さんの植物への思いも、たくさん知ることができ、とても勉強になりました。地元の方々にもたくさん見ていただき、ガーデンを愛してもらい、そして私たち自身も、楽しんでコンテストに参加できたこと、それだけで優勝だなと思いました。私がいま身につけているピンクのピアスやバッグは、じつは冬にカラス除けでカーデン内に張っていたピンクの水糸なんです。これを有瀧が編んで仕上げてくれました!(石野) ママ友の2人なので、夜遅くまで植え込みをした後、自転車にまたがり「今日の夕飯、何にしようか」「この後夕飯作って子どもをお風呂に入れて寝かせなきゃね」と、毎日同じような会話を繰り返しながら、メンテナンスを楽しみました。作業が終わればまた“お母さん”に戻るという繰り返しでしたが、私たちらしいコミュニケーションの取り方で、楽しんで取り組むことができ、本当に感謝しています。(有瀧) 入賞 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden ●コンテストガーデンDの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 微生物など土の中のことまでよく考えられたガーデンで、土壌改良のため取り入れた菌糸平板からツヤツヤのキノコが生えてきた様は、まるでアート作品のようにも感じられました。「土壌環境が豊かになることで植物本来の力が発揮され、豊かな景観や生態系に繋がる」という自身のコンセプトに真正面から取り組み、生物多様性の面では、実際に虫たちを多く呼び寄せることに成功していました。景観的に植物の高さのバランスに欠ける面もありましたが、できるだけ自然に任せたおおらかな景色とも言えます。メンテナンスの回数も少なく、持続可能な公園の庭づくりという点でも、今後のパフォーマンスに注目していきたいガーデンです。 高橋祐眞さん、齋藤集平さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私たちは「ローメンテナンス・ロングライフなガーデン」をどう実現できるか、真剣に取り組んできました。メンテナンスの回数は圧倒的に少なかったと思います。そこもすごくこだわったところです。土の中に微生物をいっぱい入れた結果、勢いよく育って正直驚きましたが、私たちが目指したのは、この 1年で勝つ、 1年目がすごくよい、ということではなく、2年、3年、そして10年先まで続いていくガーデンです。じつは私たち、1回しか自分たちで散水していないんです。砧公園では、夏に雨はほとんど降らなかったと思うのですが、ほとんどの植物が枯れなかったというのは、私たちの取り組みの成果かなと思っています。(齋藤) 「みんなのガーデン」というのが何かということを考えたときに、人や植物、微性物、虫、すべて含めて、みんなを癒やすということで、One Healthという考えにたどり着きました。僕はランドスケープデザインに携わっており、いつも広い視点で見ているため、思った以上に植物が大きく育ってしまうこともありました。ほかのガーデンを見ると、そこが自分には足りていないなと思いました。ただ、僕たちの中では、微生物であったり、生態系であったり、植栽であったり、コミュニティであったりと、生態系を主軸にしながら「みんなのガーデン」を考えられたことは、とても有意義なことでした。今後、ランドスケープデザインの世界でもっと議論され、もっとみんなが考えていくべきテーマだと思います。植物に携わる人間が、先ほど太田さんが植物に対する愛ということをおっしゃっていましたように、そうしたことを、もっと真剣に考えていくべきなのではないかなと思いました。(高橋) Pick up 月々の植物の様子 11月の植物の様子 シュウメイギク‘パミナ’(Aエリア)、アスター‘パープルドーム’(Aエリア)、シュウメイギク‘雪ウサギ’(Bエリア)、アロニア(Cエリア) アスター‘シロクジャク’(Cエリア)、アメジストセージ(Dエリア)、アマランサス‘ホピレッドダイ’(Eエリア)、ダリア‘ブラックナイト’(Eエリア) 10月の植物の様子 サルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’(Aエリア)、アガスターシェ‘モレロ’(Aエリア)、ヒガンバナ(Bエリア)、ルエリア(Bエリア) アスター・アンベラータ(Cエリア)、シュウメイギク‘ハドスペン アバンダンス’(Cエリア)、ハギ(Dエリア)、アスター ‘ジンダイ’(Eエリア) 9月の植物の様子 アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’(Aエリア)、ユーパトリウム・コエレスティナム(Bエリア)、オジギソウ(Bエリア)、リアトリス・スカリオサ‘アルバ’(Cエリア) アロニア‘メラノカルバ’(Dエリア)、ヒルベリー(Dエリア)、ヒビスクス・コッキネウス(モミジアオイ)(Eエリア)、 オキシペタルム・カエルレウム(Eエリア) 8月の植物の様子 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’(Aエリア)、カラミンサ‘ブルークラウド’(Aエリア)、コレオプシス‘ガーネット’(Bエリア)、ヘレニウム‘シエスタ’(Cエリア) エキナセア‘メローイエロー’(Cエリア)、モナルダ(Dエリア)、カンナ‘ベンガルタイガー’(Eエリア)、ルドベキア‘リトルヘンリー’(Eエリア) 7月の植物の様子 ユーパトリウム‘ベビージョー’(Aエリア)、ゲラニウム‘アズールラッシュ’(Aエリア)、ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’(Bエリア)、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’(Bエリア) ヘメロカリス‘クリムゾンパイレーツ’(Cエリア)、オミナエシ(Dエリア)、ネリウム(=キョウチクトウ)’ペティットサーモン’(Eエリア)、エリンジウム・ユッキフォリウム(Eエリア) 6月の植物の様子 ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’(Aエリア)、ムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’(Bエリア)、リシマキア‘ミッドナイトサン’(Bエリア)、ブリザ・メディア(Cエリア) ユリ‘リーガルリリー’(Cエリア)、ウスベニアオイ(Dエリア)、アザミ(Dエリア)、ベロニカ・ロンギフォリア‘マリエッタ’(Eエリア) 5月の植物の様子 シラー‘ブルーアロー’(Aエリア)、オーニソガラム・アラビカム(Aエリア)、チャイブ(Bエリア)、ギリア・レプタンサ(Bエリア) カマッシア・クシッキー(Cエリア)、ビバーナム・ハリアナム(Dエリア)、パパベル・コムタツム‘レディーバード’(Eエリア)、エスコルチア ピンク(Eエリア) 4月の植物の様子 スイセン‘タリア’(Aエリア)、フロックス・ディバリカタ‘メイブリーズ’( Aエリア)、アジュガ‘ディキシーチップ’(Bエリア)、チューリップ‘エデュアルトペルガー’(Bエリア) 原種チューリップ・ヒルデ(Cエリア)、フリチラリア・インぺリアス‘オレンジビューティー’(Cエリア)、ベニバナマンサク(Dエリア)、ユーフォルビア・ウルフェニー(Eエリア) 3月の植物の様子 スイセン‘テータテート’(Aエリア)、ブラックローズリーフレタス(Bエリア)、原種系チューリップ‘アルバ コエルレア オクラータ’(Cエリア)、プルモナリア‘ダイアナ クレア’(Cエリア) ユーフォルビア・リギダ(ガーデンD)、アザレアツバキ(ガーデンD)、ナルキッスス ‘ペーパーホワイト’(ガーデンE)、クロッカス ‘アードジェンク’(ガーデンE) 2月の植物の様子 シラー・シベリカ‘アルバ’(Aエリア)、シラー・ミシュチェンコアナ(Aエリア)、日本スイセン(Bエリア)、イタリアンパセリ(Cエリア) ローズマリー(Dエリア)、カレックス・オメンシス‘エヴァリロ’(Dエリア)、ナルキッスス カンタブリクス モノフィルス(Eエリア)、コルヌス ‘ケッセルリンギィ’(Eエリア) 1月の植物の様子 左から/ロータス ‘ブリムストーン・ライムゴールド’(Aエリア)、ワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’(Bエリア)、コトネアスター(Bエリア)、エリンジウム パンダニフォリウム ‘フィジックパープル’(Cエリア) 左から/庭人さんのビオラ(Cエリア)、モンタナハイマツ(Dエリア)、アロエ ストリアツラ(Eエリア)、ユッカ ‘ゴールデンスウォード’ (Eエリア) 全国から選ばれた入賞者5名のガーデンコンセプトと月々の様子 コンテストのテーマとルールをふまえて制作される5つのガーデン。それぞれのガーデナーが目指す庭を、作者の制作意図や図面、植物リストの一部を紹介しながら、月々の様子を撮影した写真とともにお伝えします。 コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【作品のテーマ・制作意図】 皆さんの日常に癒やしや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香りなどを楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。 【主な植物リスト】 宿根草:エキナセア‘マグナススーペリア’/ペンステモン‘ストリクタス’/アガパンサス‘ピッチュンホワイト’/クラスペディア‘ゴールドスティック’/オルレア・グランディフローラ‘ホワイトレース’ などグラス類:ペニセタム・ビロサム‘銀狐’/メリニス‘サバンナ’/ホルデューム・ジュバタム/カラマグロスティス・ブラキトリカ など低木:コルヌス・ステラピンク/ビルベリー‘ローザスブラッシュ’/ニシキギ・コンパクター/コバノズイナ など球根:チューリップ‘フレーミングピューリシマ’/レウコジャム‘スノーフレーク’/アリウム‘グレイスフルビューティ’ など コンテストガーデンA 月々の変化 11月の様子 たくさんのグラス類と季節の草花が織りなすトーンに渋みが加わり、中央に配されたバイオネストと相まって、全体にワイルドな雰囲気が漂います。シュウメイギクやアガスターシェ、オミナエシといった秋の花々が、控えめながらも確かな彩りを添えています。カラミンサやロータスのふんわりと広がる草姿が、爽やかで軽やかな印象を演出しています。 上左/夏からずっと咲き続けているアガスターシェ‘ブルーフォーチュン’と9月中旬から開花し始めたシュウメイギク‘パミナ’。午後には日陰になる場所でこっくりとした花色を見せている。上右/黄葉のホスタ‘サムアンドサブスタンス’と光沢のあるケイトウの輝きが、シーンの明るいアクセントに。下左/オミナエシやエリンジウム‘ホワイトグリッター’のシードヘッドが野趣あふれるシーンを引き立てている。下右/繊細なグラス類やカラミンサ、ロータスが、爽やかな空気を感じさせている。 10月の様子 一時は花数が減ったガーデンも、秋の訪れとともに再びたくさんの花が咲き始めました。なかでも目を引くのは、ピンクや赤、オレンジなど鮮やかな色合いのケイトウの穂。そのつややかな光沢は、シュウメイギク、ホトトギス、アガスターシェなどの花々を一層あでやかに引き立て、ペニセタムやミューレンベルギアなどのグラスの穂とともに、秋のガーデンをにぎやかに彩っています。 上左/アガスターシェ‘モレロ’やサルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’などの草花の合間で、ピンクやアイボリーのケイトウが目を引くアクセントに。上右/オミナエシの群生が、コルヌス‘ステラピンク’の株元でひっそりと野趣を感じさせている。下左/直立する赤褐色のワレモコウとカーブを描くイトシマススキ、ふんわりやわらかい印象のカラミンサなど、バラエティに富んだフォルムで自然な風景を織り成して。下右/ミューレンベルギア・カピラリスやペニセタム・ビロサム‘銀狐’などのグラス類や、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、ケイトウなど、彩り豊かな秋風を感じるワンシーン。 9月の様子 花壇のそばに植わるマツの木が、やわらかな木陰を落とすこのガーデンには、ほかのエリアよりもひと足早く、秋の気配が訪れています。花数はかなり減ったものの、アジサイ‘アナベル’の花がらやグラス類、さまざまなシードヘッドが、ダイナミックな造作のバイオネストに寄り添いながら、季節の移ろいを感じさせています。 上左/アジサイ‘アナベル’の丸い花がらや細いイトススキ、幅が広く長い葉のシランなど、さまざまなフォルムの植物が組み合わさって、花が無くても表情は豊か。一角では、アネモネ‘パミナ’のピンクのつぼみが膨らんできている。上右/夏に伸びきった枝葉がすっきりと剪定され、バイオネストがよく見えるようになった。一定方向に組まれた枝が、植栽に規則的な流れを生み出している。 下左/グラス類が風になびくさまが、秋を感じさせる。下右/ルドベキア‘リトルヘンリー’の控えめな花が、落ち着きを見せ始めたいまの季節にピッタリ。 8月の様子 7月に主役的存在だった淡い黄花のルドベキア‘フラメンコ・バニラ’は影を潜め始めました。 代わりに鮮やかな黄花のルドベキア‘ゴールドスターム’が咲き始め、先月から咲き続けているオレンジ花の‘フラメンコ・ブライトオレンジ’やアガスターシェ‘モレロ’とともに、鮮やかさと深みのある色彩を織り成しています。また、中央のバイオネストの傍らでは、小型の西洋フジバカマや、ユーパトリウム‘ベビージョー’が、グラス類とともにワイルドな趣を演出。ホトトギスやシュウメイギクなどの秋の植物も成長し始めています。 上左/盛夏もバイオネストがオーナメンタルな存在感を発揮。上右/ユーパトリウム‘ベビージョー’の群植が印象的。中左/赤(アガスターシェ‘モレロ’)×青(サルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’)×黄(ルドベキア‘ゴールドスターム’)のカラフルな花色の連なりが、夏らしさを強めている。中右/カラミンサのふんわりとした草姿が植栽に涼をもたらしている。下左/ルドベキア‘ゴールドスターム’やアガスターシェ‘ブルーフォーチューン’、グラスの爽やかなシーン。下右/アジサイ‘アナベル’やエキナセア‘サンシーカーズ レインボー’の花が色褪せ始め、ミスカンサスの穂がほんのりと秋の訪れを感じさせている。 7月の様子 ルドベキアにエキナセア、アガスターシェ、アスターなどの素朴な中に、華のある草花がメインとなり、この時季の彩りとなっています。その中で、アガパンサスとアジサイ‘アナベル’の白花が清涼感をプラス。ディスカンプシアやミスカンサス、ペニセタムなどのグラス類が花の間をつなぎ、この時季ならではの風景に一体感をもたらしています。 上左/ルドベキア ‘フラメンコ・バニラ’とアガパンサス‘エバーホワイト’の涼やかな組み合わせ。コンパクトなルドベキアを選んでいるので、抜群のまとまりに。上右/アガスターシェ‘モレロ’とアスター‘ロイヤルルビー’、ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’の濃厚な花色の取り合わせが印象的なシーンを描いている。中左/素朴な雰囲気のエキナセア・マグナススーペリアとディスカンプシア‘ゴールドタウ’のフォルムのコントラストの妙が味わいを出している。中右/コルヌス‘ステラピンク’の白斑の葉とアジサイ‘アナベル’の白花が離れたところで呼応し、まとまり感をアップ。下左/バイオネストのダークカラーにアジサイ‘アナベル’の白さが際立ち、他の植物も美しく映える。下右/カレックス・エラータ‘オーレア’とヒューケラの葉の明るさがアクセントに。 6月の様子 この時季は、全体的にボリュームがありながらも、デザイン的に抑制が感じられる大人っぽい雰囲気の風景となりました。数種のグラス類に、少量の赤やオレンジ、青の花の存在感が見事に引き立てられています。ふわふわとした植物群の中で、アリウムの丸いつぼみやエリンジウム・プラナム‘ホワイトグリッター’の青花が描くドットが、心地よいアクセントとなっています。 上左/植物の茂みの奥で、鮮やかなオレンジ花のルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’が目を引き、視線を植栽の奥へと誘っている。上右/コルヌス‘ステラピンク’の斑入り葉やエリンジウム・プラナム‘ホワイトグリッター’の青みがかった株が見せる、幻想的なワンシーン。中左/花が少ないエリアで、赤花が落ち着いた彩りを添えているアガスターシェ‘モレロ’。中右/アガパンサス‘エバーサファイア’の濃いブルーの花が、風景に深みを与えて。下左/デスカンプシア・セスピトーサ ‘ゴールドタウ’が伸ばす繊細な穂が光を透過し、軽やかさときらめきをプラス。下右/アリウム・シュベルティのシードヘッドが、オブジェのような存在感を発揮。 5月の様子 たくさんの繊細な植物が風に揺られるさまは、花に満たされた野原のよう。全体的に白・ピンク・黄・青にまとめられた花色が、この時季ならではの軽やかでやさしい雰囲気を生み出しています。ナチュラルな景色の中に大小さまざまなアリウムが球状の花穂を上げ、特にアリウム・シュベルティが造形的なデザインを添えています。 上左/ホルデューム・ジュバタムのツヤのある穂がアクセントとなりながら、シーンの切り替えにも一役買っている。上右/オーニソガラム・アラビカムやダッチアイリス、アリウム‘シルバースプリング’などの球根類を、レースのような白花のオルラヤや紫のクナウティアがふわりと優しく繋いでいる。中左/ダッチアイリス ‘ブルーマジック’ の重量感とクナウティア・アルベンシスの浮遊感が対照的。中右/そばに植わるマツの木で日陰となるエリアは、ダッチアイリス ‘ブルーマジック’がキリッとしたアクセントに。下左/バプティシア・アウストラリスの量感が、シーンの見応えを高めている。下右/つぼみを下げるコバノズイナが野趣を漂わせて。 4月の様子 数種類のチューリップが、ピンク色を軸とした色合いで一斉に咲き始めました。黄色が混ざった小ぶりの花‘ガボタ’がピリリとスパイスを効かせています。周りにはオルラヤやグラス類がふわふわとした草姿で合間を埋めつくし、まさに『ギャザリング=花束』の雰囲気が表現され始めました。 上左/前面を彩っているチューリップ‘パープルエレガンス’と‘ガボタ’。圧倒するようなボリュームで訪れた人を出迎えている。上右/チューリップ‘ガボタ’に寄り添い咲くのは、ナチュラルな雰囲気のブーケに近年よく使われているナズナ(タラスピ・オファリム)。中左/松の枝でやや日陰気味になるコーナーはオルラヤがメイン。中右/後方は明るいピンクのチューリップ‘フレーミングピューリシマ’が賑やかさをアップ。下左/アリウムの隆々とした葉が植栽に立体感をもたらして。下右/下方を軽やかに埋めているフロックス・ディバリカタ‘メイブリーズ’。チューリップ‘ガボタ’とのコントラストが素敵。 3月の様子 2月から東側のガーデンの一角で咲き始めたシラー・ミシュチェンコアナが、黄色いスイセン‘テータテート’とともに、ガーデンのあちらこちらで咲き始めました。また、対の花壇それぞれに一株ずつ植わるユキヤナギが咲き始め、植栽に立体感が出始めています。 左上/林の中の一角を切り取ったような、自然味あふれるシーン。右上/早い時点から勢いよく葉を伸ばす、瑞々しいアリウムが植栽にインパクトを与えている。左下/奔放に枝を広げるユキヤナギがデザインに動きを出している。右下/あちらこちらから顔を出すシラー・ミシュチェンコアナ。先月より花穂が伸びて存在感が増している。 2月の様子 全体的に楚々とした植物で構成されているナチュラルなガーデン。枯れた花茎を残し、頭上から落ちるたくさんのマツの葉を味方につけることで、優しい野の趣が見事に表現されています。白花の2種の球根植物が、いち早く咲き始めました。 左上/クジャクアスターなどの株間で、ひっそりと白い花を咲かせているシラー・ミシュチェンコアナ。草丈2cmにも満たない極小の球根植物。 右上/清楚な彩りを添えるシラー・シベリカ‘アルバ’。原種ならではの繊細さが、ここにはよく似合う。 左下/マツ葉の布団の下から、いくつもの球根が一斉に芽吹き始めて。 右下/1月まで咲いていたアガスターシェ‘モレロ’の立ち枯れの姿が、野趣あふれるシーンを描いている。 1月の様子 2つの花壇の中央に据えられたバイオネストは、線の細い枝で組まれているので、まだ小さく幼い植物ともよく馴染み、オブジェのような存在感を放っています。昨年からちらほらと咲いている名残の花が、高さ20cm程に芽を成長させた球根とともに冬の庭に明るさをプラス。ガーデンの上に伸びるマツから落ちる影ともよく似合い、植栽をより自然な風景に見せています。 左上/クジャクアスターやアガスターシェ‘モレロ’の残花の彩りが、冷たい空気を温めているよう。 右上/ロゼット状に広がるアキレア‘カシス’の株の合間に、球根の芽がひょっこりと顔を出して。 左下/ビルベリー‘ローザスブラッシュ’の赤褐色の照り葉が、冬の光をきらきらと反射。 右下/成長を牽引するかのように球根類の芽が勢いよく伸びて、リズミカルで楽しげ。 12月の様子 コンテストガーデンA Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【作品のテーマ・制作意図】 季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。 【主な植物リスト】 宿根草:バプティシア‘ブルーベリーサンデー’/アガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’ /糸葉丁子草/スタキス・オフィシナリス などグラス類:カレックス‘プレーリーファイア’/メリニス‘サバンナ’/ぺニセタム・オリエンターレ など低木:ブルーベリー/イチジク/紫式部 など球根:アリウム各種/チューリップ各種 など コンテストガーデンB 月々の変化 11月の様子 多種多様な秋の花々とグラス類が自由に広がり、混ざり合いながら一体となって、この季節ならではの庭の表情を生み出しています。高低差を活かした植栽は、いまもなおガーデンに豊かな表情を与えています。4つに色分けされたガーデンでは、そのテーマカラーに沿った花々が咲き続け、訪れるたびに新たな発見がある、飽きのこない風景が楽しめます。 上左/爽やかな青花のアスター‘リトルカーロウ’と斑入りのムラサキシキブが交じり合う、見応えのあるコーナー。上右/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’のオレンジ花と糸ススキ‘モーニングライト’の華奢な穂が秋のぬくもりを感じさせる。下左/茂みの隙間の向こうで、陽の光を透過したグラス類が輝いて見える。下右/銅葉×シルバーリーフが広がるシックなエリアに、シュウメイギク‘雪ウサギ’と白花細弁のクジャクアスターが加わり、透明感と明るさを添えている。 10月の様子 にぎやかだったガーデンは、葉の色が少しずつ落ち着きを見せ始め、ナチュラルで愛らしい雰囲気と、シックで大人っぽい趣が混在する秋らしい風景へと変化しています。ひときわ目を引くのは、種子から育ったオジギソウの花と、静かな存在感を放つ白花のヒガンバナ。趣の異なるさまざまな草花が見事に共存し、多種多様なリーフ類とともに豊かな表情を見せています。 上左/パトリニア・プンクティフローラのライムグリーンの花後の穂がダイナミックに広がり、斑入りのニューサイランやヘリアンサス‘ブリーディングハーツ’とともに見応えのあるコーナーを演出。上右/ピンクのポンポン型の小花が愛らしいオジギソウと、ロータス‘ブリムストーン’のやわらかな緑が、ガーデンの縁をふんわりカバー。下左/ヒガンバナ(白花)とシュウメイギク‘雪ウサギ’が清楚で上品な印象。傍らでルエリアの紫色の花がほどよいアクセントに。下右/銅葉のニューサイランのまわりを、濃ピンクのケイトウやユーパトリウム’マスク‘の立ち枯れが囲み、シックな色彩に。 9月の様子 真夏の勢いを多分に残しながらも秋の気配を感じさせる、生命力あふれるガーデンです。オレンジや黄色のビタミンカラーの花々が、白い穂を出すグラス類とともに、初秋の日差しをまぶしく反射しています。春に種まきされたオジギソウの株が、花壇の縁で勢いよく生育中。 上左/ルドベキアやバーベナ、パトリニア・プンクティフローラの群生からユニークに飛び出すペニセタム・マクロウルム‘テールフェザーズ’が、植栽に躍動感をもたらして。上右/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ブラックジャックゴールド’のホットな色彩が、秋の陽光に照らされたカレックスとともに、落ち着きと温かみを演出。下左/ムラサキシキブの斑入り葉が植栽のトーンを抑え、メリハリを与えている。下右/ユーパトリウム‘マスク’が、アメリカテマリシモツケ‘サマーワイン’とともに勢いよく伸びている。ペニセタム・オリエンターレの白い穂とのコントラストも面白い。 8月の様子 親しみを感じさせてきたナチュラルなガーデンは、濃厚な色彩の大人っぽい雰囲気に変わり始めました。ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’とルドベキア‘ゴールドスターム’の赤花×黄花がつくる波が、この時期のガーデンの印象を強めています。また、ニンジンについたキアゲハの幼虫が旺盛に葉を食べており、数週間後にはたくさんのアゲハ蝶がここから旅立ちそうです。 上左/ホットな印象を与えるヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ゴールドスターム’が、淡く素朴な花を咲かせるパトリニア・プンクティフローラと対比的な風景を創り出す。上右/ムラサキシキブの斑入り葉とコトネアスターのシルバーリーフが植栽にアクセントを添えている。中左/先月に引き続き咲き群れる白花の群れに、メリニス‘サバンナ’の白い穂が加わり、移りゆく季節を感じさせる。中右/アキレア‘ラブパレード’やコレオプシス‘ガーネット’の奥にもペニセタム・オリエンターレが加わり、装飾的な雰囲気を醸し出す。下左/ワインレッドの深みがぐっと増しているレッドコーナー。下右/ペニセタム・マクロウルム‘テールフェザーズ’の直立した細長い穂が、ガーデンの中心でユニークに揺れている。 7月の様子 強烈な存在感で人目を引いているのは、大輪の純白のユリ、オリエンタルリリー・プロポーザル。2つのガーデンの中央部でたくさんの花を咲かる姿は圧巻です。続けて印象的なのが、オリエンタルリリー・プロポーザルの手前に広がるシャスタデージーとムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’が広がるホワイトエリア。ユリとともに、周囲の赤やピンク、黄色の花の鮮やかさを引き立てています。 上左/ユーパトリウム‘マスク’やアンジェリカ・ギガス、エキナセア・テネシーエンシス、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’で魅せるレッドエリア。上右/シャスタデージーとムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’が広がるホワイトエリア。中左/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’の赤花とアキレア‘テラコッタ’の黄花、ブロッコリーのブルーグレーの葉、ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’の組み合わせが印象的。中右/スタキス・オフィシナリスとアリウム‘ミレニアム’、バーベナ‘バンプトン’のピンクの花に、ペニセタム・ビロサムがやさしく寄り添って。下左/オリエンタルリリー・プロポーザルの周りにバーベナ・ボナリエンシスやバレリアナ・オフィシナリスがワイルドに丈を伸ばしている。下右/ブルーベリーの実がおいしそうに色づいてきた。 6月の様子 色分けした各ゾーンがいずれもボリュームが出て、見応え満点の風景となりました。春はオレンジや黄、ピンクの花で、カラフルで楽しげな雰囲気でしたが、初夏になると黄×銅葉、白花と黒花など、シックで大人っぽい色合わせに変化しています。一角では、種子から育ったブロッコリーやニンジンが発芽して育ち、傍らではネジバナも咲くなど、のどかなシーンを展開。ガーデン内にはカナヘビも棲みついているようです。 上左/アリウム‘パープルセンセーション‘や斑入りのムラサキシキブのシックな植栽に、アキレア・クリペオラータがピリリとスパイスを効かせている。上右/ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’の黄緑葉とヘリオプシス’ブリーティングハーツ’の銅葉、ブロッコリー‘スティックセニョール’のブルーグレーがかった葉で魅せる、重厚な雰囲気が漂うコーナー。中左/ピンク花のスタキス・オフィシナリスと終わりかけのアリウム‘クリストフィー’の造形的な対比がユニーク。中右/シャスタデイジーやホタルブクロの白花と、アジュガ‘バニラチップ’やムラサキシキブの斑入り葉を組み合わせた、涼やかなエリア。下左/白花のサンギソルバテヌイフォリアアルバ、黒花のスカビオサ‘エースオブスペード’など草丈のあるもので構成された、シックでワイルドなエリア。下右/ニューサイランとサニーレタスの銅葉がガーデンの印象を引き締めている。 5月の様子 2月末に植えたサニーレタスがこんもりと茂り、種子を筋まきした一角ではニンジンが芽を出し、イチゴも赤く育ち始め、実りある景色が楽しめるようになりました、この庭のコンセプトである‘命の育み’が強く表現されはじめています。一方、アリウムが咲き群れるエリアには、シックで大人っぽい雰囲気が漂うなど、眺める角度によって楽しめるシーンが大きく異なっています。 上左・上右/ギリア・レプタンサ×アリウム‘パープルセンセーション’の花が宙を浮いているように咲いていて幻想的な雰囲気。中左/2種のアリウム、スティビタツム‘ホワイトジャンアントとクリストフィー。異なる色形・高さでリズミカルに競演。中右/アキレア‘テラコッタ’の銀葉とリシマキア‘ファイヤークラッカー’の銅葉の組み合わせが、シックなアクセントを添えている。下左/サニーレタスを軸に赤褐色がにじむ植物でまとめられたエリア。下右/チャイブや実をつけるワイルドストロベリーがのどかな時間を演出。 4月の様子 西側のガーデンではピンクのチューリップの開花の盛りが過ぎ、東側のガーデンのオレンジ×黄のチューリップにバトンタッチしました。温かみのある色鮮やかな組み合わせが遠くからでも目を引き、心浮き立つ風景が広がっています。中央に植わるブルーベリーの開花がピークを迎え、収穫期の楽しい風景が待ち遠しいガーデンです。 上左/チューリップ‘バレリーナ’とスイセン‘フォーチューン’の元気が出る色合わせ。上右/こんもりと茂るギリア‘レプタンサブルー’の群生の中にチューリップ‘エデュアルトペルガー’が大人っぽいアクセントを加えている。中左/アジュガ‘ブロックスカップ’が広がる傍らで、ポツンポツンと咲くムスカリ・ラティフォリウム。中右/ピンクのチューリップ‘フレーミングピューリシマ’の株元でワレモコウのやわらかい新葉が無数に上がっている。下左/コーナーを彩る矮性のチューリップ‘ポップコーン’。 訪れた人を華やかに出迎えているよう。下右/イチゴと原種のチューリップ・ヒルデの素朴な愛らしさを漂わせるワンシーン。 3月の様子 モコモコとしたバークのマルチングの中からさまざまな小球根が芽を出し、ちらほらと花を咲かせ始めました。先月から開花し始めたニホンスイセンは花数が増え、植栽にやさしい華やぎをもたらしています。ガーデンの手前の方では、シラー・シベリカ‘アルバ’やピンクやブルーのムスカリの愛らしい姿が見られるようになりました。 左上/素朴な風情あふれる植栽にニホンスイセンがよく似合っている。右上/2月下旬に植えられたダークカラーのレタス。茶色いカレックスをクッションにして、ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’との色の対比を効かせている。左下/花壇の縁でひょっこり顔を出すムスカリ‘ピンクサンライズ’。右下/イチゴの株の中から花を上げるムスカリ・アズレウム。 2月の様子 やわらかい新葉を芽吹かせる宿根草のグリーンが、冬の日差しにまぶしく輝き、春の訪れを感じさせています。一番乗りでスイセンが咲き始めましたが、その他にもたくさんの球根類が芽を出し始め、のどかな風景が広がっています。 左上/大株のユンカス・ブルーアローがまだ寂しい植栽にボリューム感を与えている。 右上/日本スイセンが開花し始め、ほんのりと華やぎ始めた。 左下/繊細な細葉を上げるアリウム・レッドモヒカンなどの球根類の芽吹き。 右下/青みがかったルー(ヘンルーダ)の葉が、イエロートーンの植栽のアクセントになっている。 1月の様子 ふかふかとした明るい色のマルチングの中に、瑞々しくやわらかい草花の株が点在する様子は、まさに春遠からじといった風景。やわらかい葉のグラス類が風を受けて花壇に動きを感じさせています。グリーンを残すギリア ‘レプタンサブルー’やシシリンチウム ‘ストリアタム’や黄葉のワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’が表土に明るさをもたらしています。S字状の溝部分に入れたトチノキの実やその殻が愛らしく、花壇の中にストーリーを感じさせます。 左上/ギリア‘レプタンサブルー’やシシリンチウム ‘ストリアタム’の明るいグリーンが、花壇に瑞々しい景観を作り出している。 右上/数カ所に設けたサークルネストが、愛らしい鳥の巣を思わせる。左下/冬の陽光に黄金色に輝く、黄葉のワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’とブラウンがかったカレックス ‘プレイリーファイアー’の取り合わせが美しい。 右下/赤い実をつけるコトネアスターのシルエットがユニーク。 12月の様子 コンテストガーデンB Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【作品のテーマ・制作意図】 砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。 【主な植物リスト】 バンカープランツ:へメロカリス/ユウスゲ/イタリアンパセリ など宿根草:モナルダ‘ブラドブリアナ’/エキナセア‘メローイエロー’/アスター‘オクトーバースカイ’ などグラス類:スキザキリウム‘ハハトンカ’/ぺニセタム・カシアン/パニカム‘シェナンドア’ など低木:キンカン/アロニア/コバノズイナ など球根:ダッチアイリス‘ブルーマジック’/カマシア/カノコユリ‘ブラックビューティー’ など コンテストガーデンC 月々の変化 11月の様子 中央部ではスキザキリウムが一面に穂を立ち上げ、どこまでも続くような荒涼とした風景を思わせます。視線を移すと、アスターの花が豊かに咲き群れ、景色の趣が一変するのも見どころ。グラス類やシードヘッド、名残の花々が織りなす絶妙なバランスが、秋ならではのしみじみとした情趣を美しく表現しています。 上左/スギザキリウム‘ハハトンカ’の細長い穂の赤みが増し、ガイラルディア‘グレープセンセーション’やシュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’とともに、ピンクがかった柔らかな風景を見せて。上右/赤い実をつけるアロニアや花後のリアトリス・エレガンス、アスター・アンベラータスが野趣に富んだシーンを織りなしている。下左/アスター‘シロクジャク’やペニセタム‘カシアン’がのびやかに広がりワイルド。下右/アスター‘オクトーバースカイズ’が花壇の縁からあふれ出るように咲く姿は、遠目からも楽しめる。 10月の様子 多様なグラス類が一面に花穂を伸ばし、吹き渡る秋風と競演するように、情趣あふれるガーデンが広がっています。自然の風景を切り取ってそのまま据えたような佇まいは、この時季も健在。先月から咲いているガイラルディア‘グレープセンセーション’に加え、シュウメイギクやリアトリス‘エレガント’のピンクの花も咲き始め、ふわりふわりとグラスに寄り添いながら、落ち着いた彩りを添えています。植栽のあちらこちらでは、カマキリの姿も楽しめます。 上左/ガイラルディア‘グレープセンセーション’、シュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’が静かな風景にやさしい彩りをプラス。上右/草丈の低いアシズリノジギクのシルバーリーフとフウチソウの明るい緑葉が美しく広がる、安定感抜群のエリア。下左/アジサイ‘アナベル’のドライの花がつなぐ、ぺニセタム‘カシアン’×パニカム‘シェナンドラ’のたわむれ。下右/春にチューリップが咲いていたエリアには、赤みを帯びたスキザキリウム‘スタンディングオベーション’が静かに群生。 9月の様子 先月に続き、自然の風合いや趣が楽しめるガーデンです。この時期ひときわ目を引くのは、ぺニセタムやカラマグロスティスのグラス類。どこまでも広がる草原の風景を思わせるような群生が、残暑の厳しいこの季節に、爽やかな空気を運んでくれています。 上左/先月から花壇の中央付近に広がるスキザキリウム‘ハハトンカ’が一段と草丈を伸ばし、ワイルドな魅力が増してきた。上右/カノコユリのタネが大きく膨らみ、にぎやかだった夏の風景を思い出させるような、ノスタルジックな雰囲気を漂わせている。下左/花壇全体を高台から見守るように丈を伸ばしているのは、キンカンやカラマグロスティス‘カールフォスター’。下右/花穂が乾いたユーパトリウム‘マスク’の株元で、にぎやかな黄花を咲かせているのはルドベキア‘ゴールドスターム’。 8月の様子 花数が減り、リーフで魅せる時期となりました。さまざまな色形のグラスが穂を上げ、花後の株とともに、葉の魅力を生き生きと見せています。キンカンの奥にあたる西側エリアは、開花するルドベキア‘ゴールドスターム’とヘレニウム‘シエスタ’の群生が広がり、にぎやかな雰囲気が楽しめる一角になっています。 上左/ガーデンの縁から溢れんばかりのぺニセタム‘カシアン’のダイナミックな穂が、訪れる人々を出迎える。上右/先月、モナルダやアリウムが咲き群れた花壇の中心部では、スキザキリウム‘ハハトンカ’のブルーグリーンの細い葉が風に揺れる美しい姿を見せている。中左/ペニセタム‘カシアン’と反対側の角に植わるモリニア‘エディスダッチェス’の繊細な穂が、キンカンと宿根草をうまくつなぎながら、野趣のあるエリアを作っている。中右/ホスタ‘オーガストムーン’の花後の花茎が、ライムグリーンの葉とともに、さりげないアクセントになっている。下左/ユーパトリウム‘ベビージョー’やカラマグロスティス‘カールフォスター’、ペニセタム‘カシアン’が風に揺れる野趣あふれるワンシーン。下右/キンカンとカラマグロスティス‘カールフォスター’の向こうに広がるエキナセア‘メローイエロー’やルドベキア‘ゴールドスターム’、ヘレニウム‘シエスタ’がにぎやかに花色を添えている。 7月の様子 中央に横たわる谷筋の両側に生き生きと広がる植栽は、どこか高原のワンシーンを想起させる野性味あふれる雰囲気。小川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてくるよう。ガーデン内に植わる2種類のヘメロカリス。通常アブラムシだらけになりがちな花のつぼみに、まったく姿が見られないのは、テントウムシが食べてくれたから。植物が力強く育っている健康的なガーデンです。 上左/ぺニセタム‘カシアン’の白緑に輝く穂や紫ピンクのモナルダの群生が爽やかな風を感じさせている。上右/アジサイ‘アナベル ピンク’やホスタ、アスチルベ・タゲッティ‘スペルマ’のピンクがやさしい雰囲気。中左/ユーパトリウム・マスクとユーパトリウム‘ベイビージョー’やカラマグロスティス‘カールフォスター’、カマツカがワイルドに広がる谷間に咲くのは、ヘメロカリス‘クリムゾンパイレーツ’の朱色の花。ひっそりとした佇まいが目にとまる。中右/アリウム‘ミレニアム’とエキナセア‘メローイエロー’の丈の低い群植とエリンジウム・ユッキフォリウムやカラマグロスティス‘カールフォスター’の草丈の差がメリハリを生んで。下左/カシワバアジサイ‘ルビースリッパー’の赤みが差した花がナチュラルな彩りを加えている。下右/明るいアクセントをもたらすホスタ‘オーガストムーン’を軸にした、野趣にあふれるエリア。カンパニュラ‘アメリカーナ’の青い花穂が爽やか。 6月の様子 先月まで咲き誇っていたアリウム‘マイアミ’の花が終わり、茶色い枯れ穂がユニークな風景を描いています。ナチュラルなガーデンだけに、カシワバアジサイやユリ‘リーガルリリー’の白い花の豪華さが際立ち、アクセントになっています。また、庭のあちらこちらで、テントウムシの幼虫がたくさん見られるようになりました。これは、冬の内にテントウムシが棲みやすい状態に整えていたことと、バンカープランツとしての原種系チューリップやイタリアンパセリを植えたからこそ。まさにこのガーデンは、テントウムシたちの食卓となっています。 上左/アリウム’マイアミ‘の株元を、モナルダ‘ブラドブリアナ’やピンクのモナルダがカバー。上右/コバノズイナ‘ヘンリーズガーネット’が白花を咲かせる穂を下げ、ホスタ‘ファーストブラッシュ’などと共に、瑞々しいシーンを描いている。中左/カシワバアジサイ‘ルビースリッパーズ’の大きな穂が目を引き、植栽の見応えをアップ。 中右/ユリ‘リーガルリリー’が堂々と咲いて華やかな雰囲気。下左/サルビア・カラドンナの群生と数本のアロニアで作る野趣の漂うワンシーン。下右/ホスタ‘オーガストーム’や原種のジギタリス・ルテアなどがグリーンの美しいグラデーションを見せている。 5月の様子 先月開花したフリチラリア‘オレンジビューティー’の株元で静かに待機していたアリウム‘マイアミ’が一斉に開花。落ち着いた色形の品種が選ばれていることで、デザイン的な風景にまとまっています。東側のガーデンでは先月末まで咲いていたカマッシアが終わり、ダッチアイリス‘ブルーマジック’にバトンタッチ。西側のガーデンでは主役が原種チューリップからアリウム‘カメレオン’に移り変わりました。無数にあがる花後のカマッシアが、野趣を強く漂わせています。 上左/太くしっかり伸びた花茎に小さめな花が咲くアリウム‘マイアミ’。無数の花が整然と並ぶ風景は、まるでインスタレーション作品のよう。上右/ダッチアイリス‘ブルーマジック’の背後に伸びるカマッシア・ライトヒトリニ‘カエルレア’の花後の姿にも風情が。中左/谷筋にカマッシア‘クシッキー’やソテツ、ユリがワイルドに広がる。中右/原種チューリップの花後の莢のまわりに広がるのは、コンパクトな草丈のアリウム‘カメレオン’。下左/肉厚で赤い葉脈を持つホスタ‘ファーストブラッシュ’の葉が地際に広がりデザインを引き締めている。下右/プルモナリア‘ダイアナクレア’×ツワブキ×メリカ・ヌタンスと、異なる色形のリーフを組み合わせているエリア。 4月の様子 ビオラ中心の素朴だった風景に、オレンジのフリチラリアや純白のスイセンが開花し、華やかさとボリュームが加わりました。静かに眠っていたガーデンの‘目覚め’が強く感じられます。花壇の縁や通路沿いでは小さなスミレや原種のチューリップ、プルモナリアが開花。コンパクトな株姿が斜面に植わる様子はまるでヨーロッパの自生地のようです。 上左/フリチラリア・インぺリアス‘オレンジビューティー’×アリウムの葉が、動きのあるユニークな風景を創り出す。上右/プルモナリア‘ダイアナクレア’とスイセン‘タリア’の色合わせが上品な雰囲気の一角。中左/小さなビオラ・ラブラドリカとグラスのメリカ・ヌタンスの華奢な組み合わせが、眺める人の視点をぐっと寄せつけている。中右/春の日差しを愛らしく反射する、原種のチューリップ・トルケスタニカとヒルデの群落エリア。下左/エピデディウム‘ピンクエルフ’とビオラが描く、野趣に富んだ風景。下右/アシズリノジギクの上にゲラニウム・ツベロサムが咲くまでは、スイセン‘タリア’が華やぎをもたらしているエリア。 3月の様子 2月下旬の作業でビオラと数種類の苗が加わったことで、宿根草や球根の花が咲くまでのガーデンは、よりにぎやかになりました。ビオラは楚々としながらもニュアンスのある品種を用いているので、デザインに深みを感じさせます。植栽の中をよく見ると、チューリップやアイリスが広がる中で、勢いよくフリチラリア‘オレンジビューティー’の新芽が上がり始めました。 左上/パープルのビオラが広がるエリアで、フリチラリア‘オレンジビューティー’がニョキリと芽を伸ばし始めた。右上/東側のガーデンの一角でひっそりと咲くプルモナリア‘ダイアナ クレア’。左下/ダッチアイリスの群植がユニークな景色を作る。右下/原生地を思わせる咲き姿の原種系チューリップ‘アルバ コエルレア オクラータ’。 2月の様子 なだらかな丘に咲くビオラの株が少しずつ大きく育ってきました。全体的には大きな変化はありませんが、よく見ると球根類の小さな芽があちらこちらに芽吹き始め、これから先の時期への期待が高まります。 左上/ビオラの花色やモナルダ・ブラドブリアナの紫葉、グラスの赤みが、このエリアのメインカラーとなっている。 右上/腐葉土をかぶり、葉をつけたまま越冬したアシズリノジギクが、ひっそりと顔をのぞかせて。 左下/愛らしい綿毛が、晩冬の風情を高めているツワブキ。 右下/枯木立のアロニアやコバノズイナの合間に芽を出しているのは、ダッチアイリス‘ブルーマジック’。 1月の様子 花壇の中は盛土された場所や溝が掘られた場所があることで全体に起伏があり、いくつもの丘が広がるような風景を思わせます。斜面に植わる落葉した数本の灌木と冬枯れの宿根草が沢沿いのようなシーンを連想させたり、ビオラが群植する様子がのびやかに広がる丘のようなシーンを感じさせたりするなど、さまざまな素朴な風景が展開。全体にのどかな雰囲気が漂っています。 左上/落葉したアロニアやノリウツギの数本の幹が、野趣のあるシーンを演出。 右上/長い花茎の先に残るツワブキの花が、侘びと力強さを感じさせる。 左下/丘の斜面に咲き群れるように広がるビオラたち。 右下/まだ厳しい寒さを物語るほかのエリアとは異なり、青々としたイタリアンパセリとエリンジウム パンダニフォリウム ‘フィジックパープル’が明るい透明感を添えている。 12月の様子 コンテストガーデンC Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden 【作品のテーマ・制作意図】 ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。 【主な植物リスト】 宿根草(蜜源植物):ルドベキア/オミナエシ/モルダナ/アザミ/ガウラ/スミレ/チェリーセージ など宿根草(四季の移ろい):グラス類のフェスツカ/カレックス/イトススキ/フウチソウ/チカラシバ/レモングラス/ミューレンベルギア・カピラリスなど低木類(鳥類・昆虫類来訪):スモークツリー‘グレース’/ガマズミ/アロニア‘メラノカルパ’カラーリーフ:カラスバセンリョウ/カリステモン‘リトルジョン’/イリシウム‘フロリダサンシャイン’その他(季節の果実や葉):ビルベリー/コバノギンバイカ/レモンマートル コンテストガーデンD 月々の変化 11月の様子 中央に寄せられた木々が落葉しはじめ、旬を迎えた草花の生き生きとした姿を際立たせています。ピンクや紫の花を咲かせながら自由に枝を伸ばすアメジストセージやハギがふんわりと広がるグラス類とつながり、常緑のリーフ類が彩るエリアとともに、見応えのある風景を作り出しています。 上左/常緑のテンジクスゲやモンタナマツとともに、ハマギクが落ち着いた佇まいで白花を開花。上右/落葉したガマズミのまわりで思いのままにハギが咲き乱れるさまは、愛らしくありながらもワイルド。下左/ボリューム感のあるロマンドラ・ロンギフォリアや明るい葉のカレックス‘エヴァリロ’の勢いある姿がひと際目を引く。アメジストセージのあでやかさが際立つシーン。下右/ミューレンベルギア・カピラリスの赤く透ける繊細な穂が印象的。 10月の様子 勢いに満ちた若々しい植栽は、季節の移ろいとともに落ち着きを見せ始め、樹木と草丈のある宿根草がガーデンに穏やかな雰囲気をもたらしています。植栽に立体感を与えているのは、フサアカシアとユーパトリウム‘グリーンフェザー’。その合間には、紫の花が爽やかなアメジストセージやサンジャクバーベナがふんわりと咲き群れ、ドライになったアジサイやアーティチョークの風合いを引き立てています。 上左/軽やかな植栽にアジサイ‘アナベル’の枯れ色が落ち着きをプラス。上右/ライトピンクのブッドレアとダークトーンのアーティチョークの相反するバランスが絶妙。下左/イリシウム‘フロリダサンシャイン’の黄緑の葉が、シードヘッドや優しいピンク色のシュウメイギクを背後から明るく照らしている。下右/カレックス‘エヴァリロ’、ラムズイヤー、ローズマリー、ペニセタム・アロペクロイデスなどの彩り豊かなリーフ類の植栽を、紅一点のチェリーセージの花でキリリと引き締めて。 9月の様子 若々しく成長していたガーデンも、少しずつ落ち着いたトーンに変わってきました。初夏から独特なオーラを放っていたアーティチョークの花がらは褐色に変わり、ユーパトリウム‘グリーンフェザー’を背景に、より一層の存在感を示しています。 上左/ブッドレアやバーベナ・ボナリエンシスが重なる茂みが、秋の陽光に照らされ、初秋のきらめきを放っている。上右/枯れ色を帯びたアーティチョークの大きな花がらが、ワイルドな植栽の中で宙に浮かび上がり、ガーデンの表情を豊かにしている。下左/アジサイ‘アナベル’の枯れた花穂が秋の訪れを感じさせる。下右/初夏から咲き続けるバーベナ・ボナリエンシスが、いまもなお植栽にナチュラルな彩りを添えている。 8月の様子 盛夏らしく全体的にググっと大きく成長し、見上げて楽しむ風景となりました。春よりもシンプルな植栽ですが、それぞれにボリュームが増して、見応えのある植栽となっています。なかでも特に目を引くのは、ルドベキア‘ゴールドスターム’。旺盛に茂るグリーンを背景に、濃厚な黄色が効果的に映えています。 上左/シンボリックな存在感を放っていたアーティチョークの花が終わり、開花時以上に彫刻的な姿を見せている。上右/花色が少ないエリアでは、アジサイ‘アナベル’の褪せはじめた花が上品な雰囲気を漂わせている。中左/ルドベキア‘ゴールドスターム’のにぎやかな群植が、植栽のインパクトを強めて。中右/ビルベリーの実が色づき始め、風景の小さなスパイスに。下左/花を終えたウスベニアオイがさらに成長を続け、大人の背丈をはるかに超える高さに。よく見ると花茎が帯化(たいか:植物の茎や根などが帯状に平らになる現象)した姿がおもしろい。下右/思わず触わって香を確かめたくなるハーブ類もイキイキと成長。 7月の様子 宿根草が灌木類に寄り添うように大きく育ち、インパクトのある植栽となりました。とくに力強くアピールしているのは、初夏からぐんぐんとつぼみを膨らませてきたアーティチョークの紫色の花。シルバーがかった切れ込みの深いリーフとともに、彫刻的な存在感を放っています。そのほかモナルダ(赤)やルドベキア‘ゴールドストラム’などの赤や黄色の花が、若々しい夏のシーンを描き始めました。また、アロニアやビルベリーの実が色づき始めた様子も楽しめます。 上左/春の終わりから咲き続けているクナウティア・マケドニカが、まだまだ元気に咲き続けている。 上右/発色のよいモナルダ(赤)が、カレックス‘エヴァリロ’やラムズイヤーのカラーリーフに映え、鮮やかさがさらにアップ。中左/ユーパトリウム‘グリーンフェザー’が2mほどに成長し、アーティチョークとバランスを取りながら、植栽にボリューム感を与えている。中右/アーティチョークの紫花とイリシウム‘フロリダサンシャイン’の色のコントラストや、スモークツリーのふわふわとした花が印象的。下左/ルドベキア‘ゴールドストラム’が咲き始め、オミナエシとともに黄色い花が瑞々しい風景に。下右/アジサイ’アナベル‘の豊かな花房と対比して、背景ではアロニア‘メラノカルバ’が小さな紫の実をつけている。 6月の様子 6月に入り植物たちは爆発的な成長を見せ始め、爽やかな初夏を謳歌しています。4月から咲いているクナウティアに加え、ゼニアオイの紫がかった濃いピンク色の花が加わりました。そのシックな雰囲気の中でアジサイ‘アナベル’が明るさを、モナルダやブラシの木の赤花がアクセントを添えています。ところどころに置いた菌糸のステップは、朽ちて崩れ、菌糸たちは土の中の微生物とともに植物の旺盛な成長を促しています。 上左/2種のクナウティアとゼニアオイの濃いピンクの花が、瑞々しい背景につややかに映えている。上右/この時季、遠くからでも目を引く2株のアーティチョーク。間の茂みに、イリシウム‘フロリダサンシャイン’の黄金葉とアジサイ‘アナベル’の白花が、明るさを添えている。中左/向かい合うエリア同士は軽重のバランスを変え、飽きの来ない風景をデザインしているのが分かる。中右/バイオネストが顔をのぞかせ、まるでオブジェのよう。下左/植栽手前側は、カレックス‘エヴァリロ’やラムズイヤーなどのカラーリーフで色彩豊かに。下右/バーベナ・ボナリエンシス(サンジャクバーベナ)が幻想的な風景を作り出す。 5月の様子 植物の成長が全体的に進み、こんもりと茂って生命力が感じられるガーデンに。特にウスベニアオイの旺盛な成長からは、健やかな土中の状態が伝わってきます。そんな重量感のある風景に軽やかさと彩りを添えているのは、2種のクナウティア・マケドニカやアルベンシス。スモークツリーやカリステモン‘リトルジョン’、ビバーナムなどの花も咲き始め、カラーリーフが主体の庭も変化に富んだ表情を見せています。 上左/濃いピンクのクナウティア・マケドニカと紫花のクナウティア・アルベンシスが風になびく姿が、見る人の心和ませる。上右/銅葉のツツジとガウラの新芽が、シーンに深みを与えて。中左/この時季は花が少ないものの、青々と茂るウスベニアオイや黒ずんだ葉のカラスバセンリョウ、陽に透ける美しい葉のスモークツリー‘ロイヤルパープル’など、リーフのバリエーションで楽しめる。中右/ピンクの小花をつけ始めたラムズイヤーのシルバーリーフは、思わず触れたくなる質感。下左/白い粒々とした花を咲かせるビバーナム・ハリアナム。下右/大きな葉を広げるアーティチョークのつぼみが膨らんできた。 4月の様子 先月までは主に灌木が存在感を放っていましたが、4月になると数種の球根が咲き、ほんのり華やぎが加わり始めました。この時季の主役はあちらこちらに点在するピンクのチューリップ。濃緑の葉や銅葉の灌木を背景に、つややかさを際立たせています。2月末に据えた菌糸を固めたステップにオオヒラタケが生え始め、地中の活発な様子がうかがえます。 上左/カラーリーフの中でチューリップ‘メンフィス’の華やぎが際立っている。上右/冬の間からふっくら生成り色のつぼみをつけていたベニバナマンサクがようやく開花。中左/カリステモン‘リトルジョン’のホットな赤花が、他とは異なる異国情緒を漂わせて。中右/まだ銅葉のような葉色をしたヒメハマヒサカキが、植栽に陰影をプラス。下左/手前側を軽やかに埋めているのは、ユーフォルビア・リギダとフェスツカ・グラウカ。下右/ひらひらとしたオオヒラダケのキノコが、菌糸ステップからヒョコリと現れている。こんな風景もこのガーデンならでは。 3月の様子 冬の景色として残していたアスターやススキなどのシードヘッドを2月末の作業で切り戻し、すっきりとした風景となりました。ガーデン手前側のラムズイヤーやクリーピングタイムは茶色い葉が整理され、芽を出した球根類と共に、植栽の瑞々しさをアップ。茶~黄の色彩だった風景は、徐々に緑色の風景へと移ろいつつあります。 左上/つややかな緑が映えるチューリップの芽出し。右上/アザレアツバキが開花。褐色の葉がカラーリーフとして活躍し、イリシウムの黄葉やアカシアの銀葉との色の対比が楽しめる。左下/ラムズイヤー、クリーピングタイムが青々と成長し、ガーデンの色合いをグリーンに牽引。右下/ニョキリと伸びる茎の先に花をつけるユーフォルビア・リギダ。株元では新しい芽をたくさん確認。 2月の様子 冬の装いをした低木の下で、成長の早い宿根草や球根類が成長を始めています。ふわふわとした枯れ姿のノコンギクの株元には、新たな葉がびっしりと広がっています。マルチングに用いたナシのチップがキノコの菌糸と絡み合い、朽ちて土に馴染み始めました。 左上/ベルベット調の質感を持つベニバナミツマタのつぼみが日に日に膨らんでいる。 右上/まわりとの取り合わせで、朽ちた姿にも風情があるアメジストセージやフェスツカ・グラウカ。 左下/ひと足早く青々と成長しているバーベナ・ボナリエンシス。 右下/ラムズイヤーの傍らで芽吹く、赤い新芽のガウラ。奥には球根類がたくさん芽を出している。 1月の様子 落葉した灌木類と冬枯れしたススキやノコンギクなどの宿根草とのコンビネーションが、冬の日差しに反射し、きらめきのある風景を描いています。一方、常緑樹のモンタナハイマツやローズマリーの瑞々しくどっしりとした重量感が、花がないこの時期にも豊かな表情を見せてくれます。所々に配された菌糸を固めて作った平板をめくると、接地面から菌糸が広がっており、土中の微生物たちがぐんぐんと成長しているのが分かります。 左上/アーティチョークのギザギザとした葉で、空間に造形的な面白さをプラス。 右上/枯れ姿のノコンギクが風情たっぷり。フサアカシアなどの灌木同士を、ふんわりとつないでいる。 左下/赤みを帯びたユーフォルビアのユニークなフォルムが、植栽のデザインに動きをもたらしている。 右下/冬の間も楽しめる、モンタナハイマツ×テンジクスゲ×ツワブキの造形の異なる常緑植物の組み合わせ。 12月の様子 コンテストガーデンD KINUTA “One Health” Garden 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【作品のテーマ・制作意図】 私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。 【主な植物リスト】 宿根草:マンガベ ‘マッチョモカ’/アムソニア ‘ストームクラウド’/アガパンサス ‘ブラックマジック’ /アネモネ トメントーサ/ジンジバー(ミョウガ)斑入り/イリス・エンサタ(ハナショウブ)‘バリエガータ’/パトリニア プンクティフローラ/タリクトラム ‘エリン’ /ユーフォルビア ‘ファイアーグロー’/ユーパトリウム ‘リトルレッド’ などグラス類:カラマグロスティス ‘カールフォースター’/モリニア ‘トランスペアレント’ /アンドロポゴン ‘ブラックホークス’ /スキザキリウム ‘ハハトンカ’ /コルタデリア ‘ミニパンパス’/メリニス ‘サバンナ’/ムーレンベルギア/スティパ/ホルデウム など低木:ネリウム(キョウチクトウ)‘ペティットサーモン’/コルヌス(サンゴミズキ)‘ケッセルリンギィ’/ロロペタルム (トキワマンサク) ‘黒雲’ /ブッドレア・ グロボサ など球根:ナルキッスス(スイセン)タリアなど数種/チューリップ(原種、園芸種含めて多品種)/アリウム (開花期をずらして数種)/イキシア・バビアナ・ワトソニアなどの南アフリカ原産種 など コンテストガーデンE 月々の変化 11月の様子 のびのびと広がる多種多様な植物たちは、それぞれ個性を保ちながらも、深まる秋の寂の趣を漂わせるようになってきました。オクラやヒモゲイトウなど昔ながらの植物が植えられた一画は、民家の庭先を思わせるような秋の風情を感じさせます。アスターやシュウメイギク、アスクレピアスなどの花々がひと際艶やかに咲き誇り、情趣豊かな世界を織りなしています。 上左/カリオプテリスやミューレンベルギア・カピラリスがふんわりと広がるその傍らで、アガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’のシードヘッドとシュウメイギク‘パミナ’、アスター‘ジンダイ’が存在感を放ち、対比の妙を演出。上右/今にも綿毛を飛ばしそうなカルドンやバーベナ‘ブルースパイヤ—’などのシードヘッドとパニカム’ダラスブルース’の組み合わせが、デザイン的でありながらのどかな雰囲気を醸している。下左/ユッカ’ゴールデンスウォード’ の直線的で硬い質感と、線が細く柔らかいグラスのスティパの質感の対比が印象的。下右/ミューレンベルギア・カピラリスから透かしてみるルドベキア‘リトルヘンリー’が秋の味わい。 10月の様子 開花のピークがひと段落したガーデンでは、花やリーフが落ち着いた色合いへと変化し、味わいを増し始めています。さまざまなシードヘッドやグラス、リーフの魅力が際立つ季節の到来です。ルドベキア・マキシマやエリンジウム・ユッキフォリウム、カールドン、バーバスカムのシードヘッドのシルエットが爽やかな秋空に浮かび上がり、彫刻のような美しさを堪能できます。たくさんのトンボたちが羽を休めている姿が楽しめるのも、この時季ならではの光景。 上左/カールドンやバーバスカムの黒褐色になったシードへッドと、アスクレピアス・チュベロサの鮮やかなオレンジの花との対比が抜群。上右/エリンジウム・ユッキフォリウムとルドベキア・マキシマのシードヘッドが、空に向かってリズミカルにシルエットを描いている。下左/カンナ‘ベンガルタイガー’の存在感ある立ち姿が、まわりの植物の秋の趣を一層際立たせて。下右/アロエ・ストリアツラ、ベスコルネリア・セプテントリオナリス × デコステリアナ、カレックス‘エバリロ’、セトクレアセア‘プルプレア’の個性的な組み合わせは、秋に入ってもつややかさを維持。茶色になり始めたグラス類との対比が、コーナーを豊かな表情に。 9月の様子 彩り豊かな植栽は、少しずつ深みのある色調に変化しながらも、まだまだたくさんの花々でにぎやかです。マンガベやユッカなど、繊細な植栽のなかで重量感のある植物、乾き始めて軽やかさが増しているグラス類、ダリアやアマランサス‘ホピレッドダイ’など植栽を引き締めている赤葉や銅葉など、それぞれの役割をもった植物が必然性のある配置で、輝きを放っています。赤いオクラや綿の花も見頃。 上左/酷暑を乗り越え、なお元気に育つ多様な草花の中で、カンナ‘ベンガルタイガー’の明るい葉が、圧倒的な存在感で花壇全体をまとめている。上右/どっしりと葉を広げるマンガベ‘マッチョモカ’と、バーベナ‘バンプトン’の霞のような株姿の重量感のコントラストが、組み合わせの妙を感じさせる。下左/パトリニア・プンクティフォリアの花後の白緑色の種穂が輝く重層的な植栽。下右/ユッカ‘ゴールデンスウォード’のまわりで開花を迎えた、ビゲロウィア・ヌッタリィとアリウム‘メデューサズヘア’。スティパ・テヌイッシマも合わせた、このガーデンの晩夏のシンボリックなエリアの一つ。 8月の様子 酷暑の真夏も引き続き多種多様な花が咲き続けています。個性的な色彩とフォルムの対比をさまざまなグラス類が巧みに繋ぎ、混沌しているようでありながら、植物と人、虫たちまでもが見事に一体化された生命の空間を感じられます。グラス類や線の細い植物に対し、カルドンやエリンジウムなどのシードヘッドの彫刻的フォルムが対照的で魅力的。 上左/中央部分では大人の背丈を超える高さにまで植物が生育。アリウム‘サマードラマー’やルドベキア・マキシマのシードヘッドの間で、ヒビクス・コッキウス(モミジアオイ)が赤い花を咲かせている。上右/赤紫葉のアマランサス‘ホピレッドダイ’を引き立てるように、煙のような穂をつけているのはグラス、エラグロスティス・スペクタビリス。中左/線の細い植物を支えるように、ピクナンセマム・ムティクム(広葉マウンテンミント)の白い苞葉が広がっている。中右/日本で古くから育てられていて懐かしさを感じるムラサキゴテン(セトクレアセア・パリダ)と細かい穂のグラス、エラグロスティス・スペクタビリスの組み合わせや、エリンジウム・ユッキフォリウムの丸いシードヘッドが、幻想的な風景を描く。下左/ダウクス‘ブラックナイト’やルドベキア・マキシマのシードヘッドと黒葉のダリア‘ブラックナイト’のシルエットが個性的な風景を演出。下右/強烈な印象を放つカンナ‘ベンガルタイガー’とソフトな草姿のシルフィウム・モーリーや斑入りのグラス、ミスカンサス‘モーニングライト’との取り合わせが好対照。 7月の様子 花壇の中央部の草花は人の背丈を超え、見上げる景色になりました。この時季でも多種多様な花が咲き続けて、日々大きく変化する絵画的シーンとの一期一会の場になっています。あえて無造作に見せるカッティングと目立たないよう支柱を添えることで、整いすぎない植栽の野生みを楽しみながら、植物の生命力まで感じることができます。 上左/にぎやかに咲くコレオプシス’ガーネット’の濃いピンクや、その背後から顔を出すエキナセア’マーマレード’、赤紫葉のアマランサス’ホピレッドダイ’などのこっくりとしたカラーを、スティパのエアリーな褪せた穂がひと際あでやかに引き立てている。上右/エリンジウム’ブルーグリッター‘やアキレア’ヘラ・グラショフ‘などさまざまな色形の植物が、一幅のタペストリーのようなシーンを描いて。中左/リリウム・ライヒトリニィ(=コオニユリ)やフロックス‘ハーレクイン’、モナルダ’ファイアーボール‘のビビッドな花色が、強烈なインパクトを放つ。中右/リアトリス‘コボルト’とダリア‘ブラックナイト’など比較的コンパクトな品種で安定感を出したエリア。下左/ニューサイランの縦ラインを中核に、ブロンズフェンネルやダウクス‘ブラックナイト’などセリ科の花特有の水平感を対比させ、そこにアリウム‘サマードラマー’の球状のシードヘッドがふわりと浮かぶシーンはどこか幻想的。下右/ヘレニウム‘モーハイムビューティー’の花に、ニュアンスある銅葉のクロコスミア‘ソルファタラ’ が寄り添う。その黄〜濃オレンジ花の色彩と、奥に咲くバーベナ・ボナリエンシスやサルビア・グアラニチカなどの青紫花との補植対比が風景にリズムを加えて。 6月の様子 春に引き続き、初夏の花がにぎやかに開花しています。パレットのように豊かな色彩が展開し、花姿・草姿もじつに多種多様。グラス類のメインはホルデウム・ユバツムからスティパに移行しています。中でも繊細でいて堂々とした存在感を放つのは、大型種のスティパ・ギガンテア。ニューサイランやカールドン、エルムルスとともに、造形的でありながら野趣のある風景を織り成し、観る人の関心をぐっと引き寄せています。 上左/ダイアンサス・カルスシアノルムの濃いピンクの花とペルシカリア‘ゴールデンアロー’の黄金葉のコントラストが、シーンの印象をぐっと高めて。上右/さまざまな草姿・花姿の植物が美しいレイヤーをつくり、重層的な風景を紡ぎ出している。中左/ダリア‘ブラックナイト’やバーバスカムなどの多様なリーフの中で、アキレア’アプリコットディライト’、シシリンチウム・ストリアツムが効果的に彩りを添えている。中右/ニューサイランやスティパ・ギガンテア、カラマグロスティス‘カールフォースター’で魅せる、独創的なシーン。すらりと伸びるアリウム‘サマードラマー’のつぼみがユニーク。下左/アロエ・ストリアツラの手前側に合わせられたピンク花のマツバギクと黄葉のカレックス‘エヴァリロ’。ガーデンの入り口にふさわしいウェルカムコーナーとして存在感を放っている。下右/アルストロメリア‘サマーブリーズ’ のオレンジ×黄の花が、灰紫色の葉とともに植栽の表情を豊かに演出。 5月の様子 4月まで個々の形が際立っていた植栽もすくすくと成長し、様々な花が風に揺れる野原のようなナチュラルな風景に様変わりしました。主役はチューリップから、バリエーションもさまざまなアリウムにバトンタッチ。ガーデンのあちらこちらでユニークな花姿が楽しめます。色形のバラエティ豊かな植栽のなかで、特に目を引くのは、ピンクのエスコルチアやパパベル’レディーバード’の花とホルデウム・ユバツムのキラキラした穂。風に揺れる花がビビッドなスパイスとなりつつ、牧歌的・幻想的な光景を演出しています。 上左/目にも鮮やかなピンクのエスコルチアとトラディスカンティア‘スイートケート’、ロロペタルム’黒雲’の配色取り合わせ。アリウム・シューベルティがシーンに形のリズムも添えて。 上右/パパベル’レディーバード’の真っ赤とネペタ’ウォーカーズロウ’の青紫の花色対比が遠目からでも色鮮やかに映える。 中左/ホルデウム・ユバツムの穂が陽光に輝いて描き出す幻想的な野の風景。 中右/花壇中央、ボリュームのあるバプティシア’キャロライナムーンライト’のクリーム色の花穂とアリウム’グラディエーター’と紫色の球形花序で色形のコントラストを表現。 下左/サルビア‘カラドンナ’の深みのある暗紫花がシーンの色彩をぐっと引き締めてより印象を強化。 下右/やわらかく軽やかな色・質感の植物の中、個性の強いアロエ・ストリアツラやベスコルネリアが、優しい表情に溶け合いつつ同時に重量感のあるフォーカルポイントに。 4月の様子 グラベルガーデンのような趣から一転! スイセンやチューリップ、フリチラリアなどの球根に加えてラナンキュラス・ラックスも満開を迎え、一気に華やぎのある風景となりました。 花色の美しさに加え、楽しませてくれるのが個性豊かな春咲き球根の開花リレーやリーフの鮮やかな芽吹き。独創的、かつ景色の移ろいと生命の歓喜を堪能できる季節です。 上左/コーナーで満開を迎えたロロペタルム’黒雲’の濃厚な銅葉と濃赤花が目を引く。黄金葉のトラデスカンティア‘スイートケイト’、青紫花のシラー・シベリカとのコントラストが挑発的。中央のアンティーク調の一輪はチューリップ‘ラ・ベルエポック’、その左、細い外弁に緑色がのる咲き方がユニークな白半八重チューリップは‘ホワイトバレイ’。 上右/ピンク花で黒軸のチューリップ‘ライトアンドドリーミー’やスイセン‘タリア’、銅葉のアスチルベ‘ダークサイドオブザムーン’の濃厚な対比がやわらかい葉群の中で際立っている。中左/ペルシカリア‘ゴールデンアロー’の黄金葉とチューリップ‘ハッピーフィート’の明暗の対比が鮮やか。 中右/大型で彫刻的な姿・不穏な花色のフリチラリア・ペルシカがシーンをぐっと劇的に引き締めて。下左/ユッカ‘ゴールデンスウォード’の株元を軽やかに彩るアスフォデリネ・ルテアの細葉とベロニカ‘ジョージアンブルー’の紫花。下右/原種系のチューリップ ‘ジャイアントオレンジサンライズ’。独特な葉模様と巨大花が個性的なフォーカルポイントに。 3月の様子 グラベル仕上げの地面で個性を放つ植物たち。それら一つひとつにフォーカスして楽しめるのは、地上部が少なく隙間があるこの時季ならではの見どころです。さまざまな芽が小さな景色を織り成す中、今春の一番手で花をつけているのはスイセンとクロッカスの2種。このガーデンでは真っ白い花が見られるのは春の初めだけで、これからカラフルに色づく植栽の静かなイントロダクションとして、清楚な彩りを添えています。 左上/世界の多種多様な植物が、健やかに成長できるよう配慮して植えられたガーデン。右上/ベタっと広がるアリウム ‘マイアミ’。アリウムだけでも大小・姿形さまざまに展開する多様な種類が用いられている。左下/透明感あふれるナルキッスス パピラケウス。右下/白花の外側の花弁が紫色のクロッカス ‘プリンスクラウス’。自然界で見られる“コロニー(群生)”のように、ぎゅっとまとめて植えている。 2月の様子 中央のニューサイランを軸にして渦を描くように設けられた花壇に、早くも植物たちが色形の異なる個性を見せ始めました。現在は、造形的なフォルムのアロエやエリンジウム ‘フィジックパープル’、黒葉のベルゲニア ‘レッドスタート’、ペンステモン ‘ダークタワーズ’などの植物が、他にリードして存在感を放っています。その間では小さな宿根草や球根が愛らしく芽を伸ばして。 左上/芽出しから独特な姿を見せるチューリップ ‘ジャイアントオレンジサンライズ’。 右上/葉の縁が赤く色づくチューリップ シルベストリスと黒みがかる繊細なダイアンサス カルスシアノルム、そしてベタっと大きめの葉を広げるフロミスなどが植わるエリア。どこを切り取っても組み合わせの妙が感じられる。 左下/ユッカの傍らに植わる、クルクルと渦を描く姿がユニークなアスフォデリネ ルテア。個性的だがブルーがかるやわらかい質感が、ユッカの強烈な雰囲気を和らげている。 右下/マットな革質の黒葉ならではの質感で存在感を放っているのはベルゲニア‘レッドスタート’。 1月の様子 化粧砂利のような明るい表土とアールを描く通路のデザインは、植物が小さなこの時期の大きな見せ場の一つとなっています。見下ろした風景はまるでノットガーデンのよう。常緑性のニューサイランやアロエなどのほかは、冬季落葉性の宿根草や低木類で、地上部がとても小さかったり枝のみだったりしますが、冬越しのロゼット葉の造形やカラーステムがとてもユニーク。それだけに、これからの成長と風景の変化も大きな見どころです。 左上/幹立ちして展開するアロエ ストリアツラと、カレックス ‘エヴァリロ’のライムイエローの葉が、植えたてのため不織布を被せて防寒養生中のベスコルネリアをやんわりと目隠し。右上/鹿沼土と軽石をブレンドした明るい表土をトキワマンサク ‘黒雲’の照りのある黒葉で引き締めている。左下/細い葉をふんわりと広げるルッセリア エキセティフォルミスやカレックス ‘プレイリーファイアー’、ロドコマ カペンシスに矮性のネリウム (キョウチクトウ) 、ネリウム ‘ペティットサーモン’を組み合わせた、植物の多様な面白さが感じられるシーン。右下/多くの植物が冬季落葉中のなか、放射状に葉を広げるエリンジウム ‘フィジックパープル’が、目を引くアクセントとして活躍しながら空間を埋めている。 12月の様子 コンテストガーデンE 「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 12月下旬、作庭後の様子。 「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」の参加者募集! ※締め切りました 2022年にスタートしたガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」が、代々木公園・神代植物公園・砧公園での開催を経て、2025年、夢の島公園で始まります。第4回のコンテストの舞台は、夢の島公園「グリーンパーク」内(東京都江東区)。コンテストのテーマは、「海辺のサステナブルガーデン」です。応募の締め切りは、2025年8月31日(日)18時必着。応募方法など詳細は、以下のバナーをクリック! 5月25日(日)「入賞者イベント」開催! ※終了しました 第3回東京パークガーデンアワードの入賞ガーデナー5組によるガーデンイベントを5月25日(日)に開催しました。入賞ガーデナーが案内する「ガーデンツアー」や「たねダンゴづくり」、「微生物観察ワークショップ」など、子どもから大人まで楽しめるガーデンイベントで当日は賑わいました。 ■日 時:2025年5月25日(日)10:00~15:10(雨天中止)■会 場:都立砧公園(東京都世田谷区)コンテストガーデンエリア(みんなのひろば前)■参加費用:無料 第3回 東京パークガーデンアワードの入賞者によるオンライン座談会イベント 都立砧公園にて開催中の第3回コンテストガーデン入賞者5名によるオンライン座談会を2025年8月1日(金)15:30~17:00に開催しました。座談会では、入賞者それぞれの応募書類の紹介、植物の調達から造園、メンテナンスまで、参加したからこそ分かる”ナマ”の声をお届けしました。 11月9日(日) 「ガーデンフェスティバル@砧公園」開催!※終了しました 「東京パークガーデンアワード」のコンテストをより深く知ってもらうためのイベント「ガーデンフェスティバル@砧公園」を11月9日(日)に開催しました。入賞ガーデナーが案内する「ガーデンツアー」や「生き物クイズ」、「ミニブーケづくり」など、秋の花咲く庭を眺めながら過ごす特別な1日。人気のキッチンカーもやってきて、大人も子どもも楽しめるイベントとなりました。 ■日 時:2025年11月9日(日)10:00~16:00(雨天中止)■会 場:都立砧公園(東京都世田谷区)コンテストガーデンエリア(みんなのひろば前)■参加費用:無料 5つの花壇のコンセプト・作庭・審査様子の詳しいレポートはこちらをチェック! コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせください。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料
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ガーデン

グランプリ決定!「第3回東京パークガーデンアワード砧公園」の『ファイナル審査』を迎えた11月の庭と審査の様子をご紹介
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 制作が始まってから約1年が経過するコンテストガーデン。「最終審査」では、今回のテーマである『訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れた‘みんなのガーデン’が表現されているか』に加え、『秋の美しい風景が楽しめる健やかなガーデンとなっているか』という観点から評価が行われました。これまでに実施された「ショーアップ審査」(4月)と「サステナブル審査」(7月)の結果も踏まえ、総合的に判断されます。審査日:2025年11月6日※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 【コンテスト審査基準】丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りと咲かせられること/公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 11月の審査時期を迎えた5名の授賞ガーデンと一年の振り返りコメントをご紹介 コンテストガーデンA 【準グランプリ】Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【審査員講評】 タイトル通り、花束のような素敵なガーデンでした。公園に溶け込んだ遠景は絵画的で美しく、近づいてみると、植物どうしが響き合って作る美しいシーンが随所に見られました。バイオネストはサステナブルな機能だけでなく、庭を特徴づける造形物としても効果的に働いていました。花壇の場所的に一部が松の木陰になってしまうハンディがありましたが、植物選択やメンテナンスの工夫でうまく対処されていました。厳しい夏を越えられなかった植物も見受けられましたが、春の華やかな景色は今なお強く印象に残っており、都会的で洗練された美しさが秋に至るまで展開されていました。多くの人々に楽しさや幸福感、季節の移ろいの喜びを与えてくれるガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 サルビア‘ミスティックスパイヤーブルー’、アガスターシェ‘モレロ’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、アネモネ・フペンシス‘パミナ’、ノコンギク‘夕映’、クジャクアスター‘紫八重’、ヘリオプシス‘ブリーティングハーツ’、カラミンサ、チョコレートコスモスほか 【今回の庭づくりを振り返って】 季節ごとの草丈・開花期・色彩の変化を踏まえつつ、視覚的な彩りと空間の広がりを備えた「庭の花束」を表現しました。限られた面積を鑑みて、小さな配植を丁寧に重ね、グラス類は緩やかに束ねることで、配植の繊細さを際立たせています。夏の開花量を抑える切り戻しを行い、植物の体力を温存させることで、秋まで開花期を延ばす工夫を実践。その結果アガスターシェ、ヘリオプシス、アネモネなどは再び蕾を上げ、秋の構成美においても重要な役割を果たしてくれました。また、子供から大人まで楽しめるように、目線の高さに配慮した多層的な花壇構成を目指しました。宿根草に柔らかな日陰を提供するバイオネストを中心に据えることで、植物の生育特性に応じた配置に多様性を生むことが出来たと考えています。その結果、ガーデン全体に奥行きが生まれ、来園者の視線や動線を自然に誘導してくれる花壇構成が実現しました。 ガーデンにバイオネストがもたらした機能と可能性が、新たな気づきとなりました。管理作業で発生した植物残渣はすべてここに収めることができ、廃棄物の削減と土壌循環の促進に貢献。また、景観要素としても機能し、冬は構造物としての存在感を、春以降は宿根草を始めとする草花の背景として視覚的なアクセントを担ってくれました。ナチュラリスティックな場の質を高めると同時に、来園者の興味を引く造形として、ガーデンに物語性を添える存在となってくれたことは思わぬ発見の1つです。 年間を通しての最大の成果は、ガーデンを介して来園者のまわりで生まれる交流です。植物単体の美しさだけではなく、風景としての調和を大切にしながら「このガーデンがみんなの記憶の中で輝きますように!」と想いを込めて管理に取り組みました。 コンテストガーデンB 【入賞】Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【審査員講評】 イチゴやイチジクなど、自分の庭に取り入れたくなるカジュアルな提案がたくさん詰まった庭でした。見ているうちに「美味しそう!」と感じ、ガーデンの先にある家族の物語まで想像させてくれます。剪定枝で作った可愛いサークルネストなど、子どもと一緒に楽しめそうな工夫も魅力的です。植栽デザインは年間を通して全体の色合いが美しく、コーナーごとに設けられたテーマカラーをぐるりと一周しながら眺める楽しみがありました。特に秋には、黄・オレンジなど暖色系の構成から、目を転じるとアスターなどの寒色系へと色調が変化する眺めが絵画のようでした。季節ごとに多彩なシーンを提供してくれ、幅広い世代の来園者が訪れる砧公園という場所にふさわしい、元気をもらえるガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 シュウメイギク‘雪ウサギ’、ヘリオプシス‘ブリーティングハーツ’、ルエリア、アスター‘リトルカーロウ’、クジャクアスター、ケイトウ、青花フジバカマほか 【今回の庭づくりを振り返って】 来園者の興味を引く野菜類やオジギソウなど、みんなのガーデンというテーマに沿った独自のチョイスができました。なかでもオジギソウはとても吸引力があり、子どもだけでなく大人も足を止めて楽しんでもらえていたと思います。また、テーマカラーで分けたりガーデン内でも見所を点在させたりすることで、どの角度からでも楽しめるガーデンになりました。 自分たちで考案した、メンテナンス時の発生材を利用したサークルネストは、生き物の拠り所になるだけでなく季節感の演出にも一役買いました。シンボリックな姿ですが植物の邪魔をせず、ガーデンともよくマッチしたと思います。一年という期間もあり、当初のアイデアの中にあった「たくさんの生きとし生けるものたち全てがやってきてくれる」、というところまで辿り着くことはできませんでしたが、今後も管理事業者によるメンテナンスが続いていくなかで、その姿に徐々に近づいていくことはできるだろうという手応えは感じることができました。 私達の住む世田谷の地の親しみある砧公園で、地域でつながった仲間たちとコンテストに挑戦し、ガーデンをつくり上げ、管理しながら見守ることができました。今後も地元を盛り立てたツールとして、このガーデンが区民の憩いの場になることを期待しています。ガーデンは人と植物だけではなく、人と人とのつながりを生み出すコンテンツ。メンテナンス中などに、来園者にガーデンの説明や見所、今後の楽しみなど、ガーデンの意図を直接伝えることの重要性に気づきました。 コンテストガーデンC 【グランプリ】Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【審査員講評】 「てんとう虫たちの食卓」というテーマがよく表現された庭でした。アブラムシを増やす植物をあえて入れてテントウムシを誘い、剪定した枝葉を作業通路に置いてナメクジなどを引き寄せ植物たちを守るなど、生態系を豊かにすることで庭も美しくするプランが成功しているようでした。プランツタグのQRコードで植物や虫たちを紹介する発信も素晴らしい取り組みです。広めに確保された作業通路が風の道となり植物が蒸れにくく、景観的にも奥行きや抜け感を生み、植物の表情をより豊かに演出していました。グラスの穂が風に揺れる姿は野原で遊んでいるような気持ちにさせ、多彩な植物たちが混み合うことなく絶妙に風を通しながら公園の風景に溶け込む様は、見るほどに引き込まれる美しい眺めでした。予測の難しい酷暑を越えた先に秋の自然な美しさが際立つことこそが、宿根草ガーデンの真骨頂だと気づかせてくれるガーデンでした。 開花(結実)期を迎えていた植物 アスター‘シロクジャク’、アスター・アンベラータス、アスター‘オクトーバースカイズ’、ガイラルディア‘グレープセンセーション’、シュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’、リアトリス・エレガンス、キヨスミシラヤマギク、アロニアほか 【今回の庭づくりを振り返って】 原生地で見られるような群落を意識し、季節──とくに春から初夏にかけて──の移ろいによって雰囲気が大きく変わるように植栽を構成しました。ネスト通路を挟んで各エリアがレイヤーをつくるよう工夫しており、立つ位置によって奥行きが生まれ、印象や見え方が変わったのではないかと思います。 テーマは「昆虫などの小さな生きもの」。そのため、越冬のための枝を敷いたり、春先にアブラムシがつきやすい“原種系チューリップ”を植えたりと、ガーデンの象徴となったテントウムシが早い時期から活動しやすい環境づくりを行いました。その結果、アブラムシなど特定の虫が過剰に増えることもなく、ガーデン全体の生態系をバランスよく保つことができたと感じています。 「バンカープランツ」の手法は予想以上に効果的で、初夏にアブラムシで真っ黒になるはずのヘメロカリスが、ほぼ無傷だったのには驚きました。今回もっとも食害が多かったのはマメコガネでしたが、コガネムシの幼虫に寄生するツチバチが多く飛来していたので、来年の変化が楽しみです。8月の時点で観察できた昆虫はおよそ120種類。ガーデンの存在が、砧公園の生態環境に少しでも寄与できたのではないかと感じています。 一年を通して華やかさを保ちながらローメンテナンスを目指すことは、やはり反比例の関係にあると実感しました。広大ではない1つのガーデンで“見どころ”とのバランスをとる難しさは、大きな学びになりました。 また、施工から約3年後に全体がよく馴染む景観になるよう意識してデザインしましたが、土壌改良(微生物・空気・水の流れを意識)を丁寧に行ったことで、一部の植物がまるで3年の風格をまとったかのように成長し、驚かされました。今後はその部分をさらに深めていけたらと思っています。 コンテストガーデンD 【入賞】KINUTA “One Health” Garden 【審査員講評】 微生物など土の中のことまでよく考えられたガーデンで、土壌改良のため取り入れた菌糸平板からツヤツヤのキノコが生えてきた様は、まるでアート作品のようにも感じられました。「土壌環境が豊かになることで植物本来の力が発揮され、豊かな景観や生態系に繋がる」という自身のコンセプトに真正面から取り組み、生物多様性の面では、実際に虫たちを多く呼び寄せることに成功していました。景観的に植物の高さのバランスに欠ける面もありましたが、できるだけ自然に任せたおおらかな景色とも言えます。メンテナンスの回数も少なく、持続可能な公園の庭づくりという点でも、今後のパフォーマンスに注目していきたいガーデンです。 開花期を迎えていた植物 アメジストセージ、ハギ、チェリーセージ、ハマギク、ブッドレアほか 【今回の庭づくりを振り返って】 子どもたちの遊び場であり、天気のよい日には老若男女が思い思いに過ごす場所。そんな“日常の延長にある公園”の中で、ガーデンを「眺める」「触れる」、時には「花や葉を持ち帰る」など、さまざまな行動を通して、人と人、生き物、植物、微生物が自然に交わる世界を表現したいと考えました。宿根草の花色や種類の配置、低木との高低差などを工夫することで、2つの花壇でありながら統一感と自然な広がりを両立した空間を表現することができました。それぞれの植物の特性を活かしながら、ナチュラルな景観を形成できたと感じています。また、「生き物との共生」をテーマの一つとして掲げ、普遍的なチョウやウグイスなどの小鳥だけでなく、オオセイボウといった珍しい昆虫も観察され、多くの来園者に楽しんでいただけました。 ガーデンは1年間を通してローメンテナンスで維持。刈り込みや枝の更新をしない剪定管理、季節ごとの補植をするのではなく、最初に植えた植物たちが育ちたいように育てました。 今回のコンテストに使用した原産地もバラバラで多種多様な植物たちは、限定的な植栽帯の中でコミュニティを作り生存競争をしています。昆虫や鳥などの生き物は上手くその空間にニッチを見つけて入り込みます。人はガーデンにより五感を刺激され、微生物を浴びることで、心身の本質的な健康を享受しています。この環境、ヒト、微生物の連関こそが“One Health”を体現しています。 さらに、イベントでの案内やメンテナンス、写真撮影などを通じて出会った方々には、「生態系のぬか床」といった取り組みも紹介し、微生物の世界にも関心を持っていただくことができました。私たちの目指す“One Health”の視点からガーデンを体感してもらえたのではないかと感じています。このメンバーで、“One Health”のガーデンを砧公園で提案できたことは、最大の成果だと思います。 コンテストガーデンE 【審査員特別賞】「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【審査員講評】 個性が際立つ植物を巧みに組み合わせ、まるでジャングルの中に入り込んだような感覚を味わえるガーデンでした。多種多様な植物を数多く使い、植物の可能性をとことん追及したカラフルでダイナミックな植栽デザインが特徴的で、その圧倒的な色彩の豊かさが多くの来園者の目を惹きつけていました。花壇の多角形を生かし、見る角度によって、構築的で造形的におもしろい植物、質感のバラエティ豊かな組み合わせ、多彩に変化する色合いなどを楽しめる点が印象的でした。遠くから見ても植物たちの存在感が力強く、厳しかった今夏を乗り越えた姿には感動を覚えます。写真を撮りたくなるシーンが随所に散りばめられ、見る人を自然と滞留させる魅力に富んだガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 アネモネ・フペンシス‘パミナ’、カンナ‘ベンガルタイガー’、アスター‘ジンダイ’、アスクレピアス・チュベロサ、ルドベキア‘リトルヘンリー’、オキシペタラム・カエルレウム、ダリア‘ブラックナイト’、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、サルビア・レウカンサ‘フェアピンク’ほか 【今回の庭づくりを振り返って】 この庭には、私自身にとっても初めての挑戦や試み、そして心からのメッセージをたくさん盛り込んでいます。単に「きれいで気持ちのよい場所」ではなく、「人に力や学び、芸術的な希望を与える場」を目指して、深い思索と実践を重ねた一年でした。ほかでは見られない多種多様で個性的な植物を組み合わせ、審査の時だけでなく常に美しい開花リレーを織り成し、絶え間なく、そして常に変化し続ける美しさを保つことができました。その風景の変化には、私が追い求めてきた“漸進的な生命の美”が宿っていました。世界中の植物を混沌と調和させながらも、日本の夏冬の気候を生き抜ける植物選び。オクラやミョウガなど、どこか懐かしい日本の「民家の庭」の情景へとつながる—そんな新しい都市生態系を示す試みでもありました。 経験値やバックグラウンドの異なるボランティアの方々と心を一つにすることも難しい課題でしたが、皆が庭を心から愛し、活き活きと動いてくださる姿に何度も胸を打たれました。ボランティアの方々と互いをリスペクトし合いながら、人間も植物も共に成長していくこのプロセスは、気候変動により、個人でガーデンを作ることがますます難しくなる現代において、とても心優しく美しい行為でもあり、人と人を結ぶ社会的・コミュニティ的な意義においても大きな希望を与える取り組みであると実感しました。 春、車イスでいらした方が、「私の庭を背景に写真を撮りたい」と車イスから立ち上がり歩いてくださったその時、植物と人との間に底知れないパワーが生まれているのを感じました。愛と思いやりをもって接すれば、植物にも人にも力が宿る。ガーデンは勝負ではない。庭を造る者の情熱や優しさ、心の美しさを映す鏡・器なのだと学びました。「あなたはその時ひとつの奇跡に気づくだろう。愛の報酬は愛であるということを」(リチャード・カールソン)
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暮らし

グリーンコーディネーターが教える!インドアグリーンを格上げする「雑貨と鉢の選び方」&3つの飾り方ポイント
グリーンの個性をコンテナや雑貨でつなぐ 植物は、それぞれ生まれた土地の空気感を持っています。そのまったく異なる表情をうまく組み合わせることで、空間に変化と奥行きを生み出し、表情豊かなインテリアを完成させることができます。 例えば、乾いた地域で育つサボテンや多肉植物はシンプルでクールな雰囲気を、高温多湿の場所で育つ観葉植物はトロピカルで明るい印象をお部屋にもたらしてくれます。 このように趣が異なる植物でも、コンテナや雑貨の合わせ方次第で、同じ空間に同居させることは可能。うまく取り合わせることで多様性が生まれ、表情が豊かになります。 観葉植物と多肉植物やサボテンを自然になじませるにはコツがあります。それは、どんな植物にも合うようなシンプルなデザインのコンテナや雑貨を合わせること。上の写真のようにグレー~ブラウン系のアイテムを選ぶと、テイストの異なる植物をうまくつないで多様な表情を生み出すことができます。 アイテム選びだけでなく、バランスよく配することも大切。いくつかのポイントを押さえて、人を招きたくなるようなインテリアづくりを目指しましょう。 スタンドや雑貨でシーンの魅力を一気に上げる!3つのポイント 【ポイント1】ラックやボックスで高低差をつけてリズムを出す 植物を並べるのに高さを揃えてしまうと、どうしても平坦で単調な印象になってしまいます。そこで、スタンドや木箱を使って高さに変化をつけると、上下左右に視線が自然に動き、空間にリズムが生まれます。小さな鉢でも少し高い位置に置けば、視線に入りやすくなり、グリーンの存在感がぐっとアップ。また、スタンドを使うことで直置きより通気性がよくなるので、イキイキとした姿が維持しやすくなります。 リズミカルに回旋する3段ラック(左)と、キャスターのついたスクエアのボックスを使って、立体的にディスプレイ(右)。 【ポイント2】壁面を雑貨と合わせて飾る グリーンは、床や棚に置くだけでなく、壁にも。お気に入りのアートパネルのまわりに絡ませれば、まるでギャラリーのような空気感を漂わせ、部屋全体の雰囲気がワンランクアップします。 パネルや木箱(ダリアボックス)を壁にかけて、ドライフラワーやグリーンとディスプレイ。視線が空間から壁へと抜けることで奥行き感が生まれ、独特の世界観を演出することができる。フェイクグリーンも活躍! 【ポイント3】かたわらに雑貨を飾る 植物のそばにアニマルオブジェやブックボックスなど、気分がふっと上がるアイテムを添えると、グリーンと雑貨が互いを引き立て合い、部屋全体がやさしく心地よい雰囲気に包まれます。 ここのコーナーの住人はおサルさん。古い洋書風のボックスやアルファベットのオーナメントなども合わせて、ストーリー性のある飽きのこないシーンに。 淡いグレーの鉢やガラス瓶は、ナチュラルで心地よい空間を作りやすくておすすめ。 コンテナの素材で印象が大きく変わる 鉢やコンテナ選びも空間を作るうえで大切なポイントです。大きさや質感で雰囲気が大きく異なるので、よく吟味してください。 無機質な鉢 重厚なステンレスの鉢は、無骨でヴィンテージ感があります。一方、ブリキはジャンクでカジュアルな印象。どちらもあらゆる植物が合いますが、特に多肉植物やドライ系のものがおすすめ。 陶器鉢 光沢感があり、観葉植物の瑞々しさを際立たせます。藻やカビが生えにくく清潔感があるので、テーブルの上や寝室など、衛生面に気をつけたい場所におすすめ。 天然素材のコンテナ 木製やバスケットなど自然素材のアイテムは、ナチュラルでやわらかな印象をもたらし、お部屋全体が温かみのある雰囲気になります。どんな植物にもしっくりなじみやすいのも特徴。 そのほか、あると嬉しいお役立ちアイテム 植物を飾る際に、プラスアルファアイテムを1つ加えると、見栄えがぐっと高まるほか、お手入れも断然楽になります。ぜひ取り入れてみて。 【アイテム1】ココヤシファイバーなどのマルチング材 大きなコンテナの土の表面は、ココヤシファイバーやストーンで覆って目隠しをしましょう。土が隠れると清潔感が出て、よりインテリアに調和します。 【アイテム2】キャスター付き台 大きな観葉植物になると重くて移動もひと苦労します。しかも、そのまま引きずると床を傷つけてしまう心配も。そんな時に便利なのがキャスター付きの台(プランツキャリー)。葉水を浴びさせたり模様替えをしたりする時に、スムーズに動かせて安心、大活躍してくれるアイテムです。 【アイテム3】ハンギングできるもの 「空間にグリーンを取り入れたいけれど、重い素材だと落下した時に床を傷つけてしまったら……」。そんな不安がある場合は、軽くて割れにくい素材を選んで吊すのがおすすめです。 雑貨や鉢は、グリーンをより輝かせてくれる大切なパートナー ショップに行くと、さまざまなアイテムが並んでいて、どれを選んでいいか迷ってしまうもの。けれど、カフェのように落ち着いた空間をつくるために、私はグリーンにさりげなくなじむような主張が控えめなものを選び、植物の魅力が最大限引き立つように心がけています。 主役である植物にそっと寄り添うアイテムたちが、空間全体を自然とやさしくまとめてくれるので、どんなストーリーを描きたいかを考えながらアイテム選びをしていきましょう。
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ガーデン&ショップ

素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪41 大阪「NOAH(ノア)」
園芸を楽しむすべての人のためにメーカーとの間を橋渡し 入り口に立ててある、木製の小さな看板が目印。 大阪花き園芸地方卸売市場など植物関連の業者が集まるエリアに位置する、ガーデニング資材やナチュラル雑貨の問屋「NOAH(ノア)」。センスのよいものが揃い、園芸やフラワー関係のバイヤー、ガーデンまたはインテリアのコーディネーターなど、さまざまな業界の人たちに頼りにされている問屋です。オープンから20年経った今年、多くの声に応えられるようにと、一般の方々も買えるようになりました。 店舗の造りは倉庫そのもの。約300坪もの広大なフロアに1万点以上ものアイテムが並ぶさまに圧倒されます。 商品はメーカーごとに並んでおり、多様な商品が次から次へと展開されていきます。「取引メーカー数は200社ほどあります。さまざまな要望に応えるために、雰囲気・好みに偏りなくあらゆるテイストのものを置くように、多くの業者から仕入れています」と代表の山野井良夫さん。 以前、ガーデンストーリーでベランダガーデンの演出の記事にご登場くださった奥様のRIKAさんとともに、ガーデニングのショップ『みどりの雑貨屋』を兵庫や大阪、京都に5店舗も展開している山野井さん。 現在のRIKAさんのベランダガーデン。ほとんどの鉢はNOAHで入手できる。 RIKAさんがコーディネートするこの店舗は一般の方向けで、ナチュラルなコーディネートに定評があります。「『みどりの雑貨屋』で扱うアイテムは、当然ながらカラー(雰囲気)が統一されています。それ以外の雰囲気のものが欲しいという方のために、NOAHに一般の方にも買えるようなシステムを設けたんです」と山野井さん。 基本的に各メーカーの担当者が自分の商品をディスプレイしており、ブースごとに雰囲気は異なります。「私たちが行うといつも同じようになってしまうので、可能な限りメーカーさんそれぞれに飾ってもらっています。これならイチオシや旬の商品が分かりやすく陳列され、いつも新鮮な売り場になるからです」。そのほか什器も多様で、パーゴラにカゴを吊したり、ポテトボックスを積んで鉢を並べたりと、飽きがこないよう展示にもこだわっています。 あんなものも、こんなものも!広い店内をフロアごとにご紹介 多数の商品が所狭しと並ぶ店内から、一部のコーナーをピックアップしてご紹介します。一般店舗とは異なる問屋の雰囲気も楽しんで。 【1F】 1Fは、基本的にガラスや陶器など、割れ物の鉢や雑貨、重量感のある大物がメイン。ガーデニングをするのに、あると嬉しいアイテム(土や肥料、ペイント材、リボンなど)も揃っています。 ■寄せ植え向きコンテナ グレイッシュなカラーの鉢が今人気。どんな植物とも相性抜群。 ■素焼き等コンテナ 昔ながらのスタンダードな素焼き鉢もたくさん。 ■大型コンテナ ビックリするほど大きなコンテナも。インテリアにこだわりのある男性に人気。 ■コンテナ(素材いろいろ) 軽くて便利な樹脂製の器。観葉植物や多肉植物にもピッタリ。 ロングヒットのモスポット。什器として使われているポテトボックスとの相性抜群。 ■インテリア用コンテナ(陶器タイプ) どんな空間にも馴染みやすいモノトーンの器は、ショップやレストランなどで人気。 ■ミニコンテナ コーヒーのテイクアウト容器形のミニコンテナ(上)と、動物の顔形の陶器のミニコンテナ(下)。遊び心あふれるアイテムもずらり。 ■インテリア用花器 落ち着きのある色・質感の花器。オーナメントとして飾ることもできるデザイン。 ■ガラス瓶 空間に透明感ときらめきを添えてくれるガラス瓶。見ているだけで楽しい。 ■ガーデニング雑貨 人気のオーナメントやアイアンフェンスなども充実。 ■インテリア雑貨 室内に素敵な彩りを添えてくれるアイテムもいっぱい。 ■カゴ類 籐製に見えるバスケットは、じつはポリプロピレン・ポリエチレン製。寄せ植えの器としても活躍してくれる。 アルファベットパーツ(左)やマクラメ(右)など、空間づくりを楽しくしてくれるアイテムも充実。 ナチュラルな仕上がりが魅力の“ミルクペイント”など、人気の塗料も販売。 【2F】 1Fの半分ほどのスペースの上に、2Fの売り場が設けられています。ここには比較的軽いアイテムとガーデン雑貨類が並べられています。 ■ガーデン雑貨 シーンに味わいを添えてくれる、ブリキなどの雑貨類。庭に挿したり、アーチにかけたりと、使い方いろいろ。 ■軽量コンテナ 軽量で耐久性抜群のグラスファイバーポット。デザインもエレガント。 気持ちがほっこりと和むような、ユニークなデザインのものも。 ■流木 なにかと便利な流木。サイズはいろいろ。 ■アンティーク イギリス・フランスのアンティークアイテムが2F奥のエリアに並ぶ。庭のシーンの雰囲気を高めるのにぴったり。 【SALEコーナーとSDGsコーナー】 NOAHでは地球環境・資源に配慮し、半端もの、型落ち、壊れなどの訳アリ商品をお得な価格で積極的に販売しています。販売タイプは2種類で、「SALEコーナー」は、各メーカーが型落ちや製造終了のものを、各ブースで販売。それに対し「SDGsコーナー」は、主に壊れてしまったもの、古くなったもの、部品が足りないものなどを2Fの一部エリアにまとめて並べています。どちらも掘り出し物が見つかる確率大! 各ブースで行っているセール。赤いSALE・値下げマークが目印。 木の棚に並ぶたくさんのアイテム。動かなかったり欠けたりしていても、庭に飾るだけなら問題なし。屋外でも惜しみなく使える。 園芸関連資材とナチュラルな雑貨の問屋として、プロの仕入れのみならずガーデニングを楽しむすべての人をサポートする「NOAH(ノア)」。1万点もの厳選されたアイテムの中からお気に入りを見つけ出す時間は、まるでプロの気分。当日登録・購入が可能です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは阪急宝塚線「服部天神」駅より徒歩20分、阪急バス「上津島バス停」より徒歩5分。車の場合、名神高速道路・豊中IC(池田方面出口)より約5分、阪神高速道路「豊中南IC」より約5分。



















