- TOP
- ガーデン&ショップ
ガーデン&ショップ
-
東京都

「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート
第4回のコンテスト会場の全貌 今回の舞台となる「夢の島公園」は、運河に囲まれた人工島内にある海辺の都立公園です。かつてはゴミの埋立地として知られていましたが、そのイメージを払拭すべく、ユーカリやデイゴ、ソテツなど異国情緒漂う樹木が多く植えられています。コンテスト会場の背後に広がるユーカリの大木群と、今回制作するガーデンがいかに調和するかも、見どころのひとつです。 コンテストガーデンのエリアには、あらかじめ事務局によって、木枠で縁取られた1.2×10mの波打つ花壇が2対1組で設置されています。黒土をメインとした客土が施され、ガーデナーたちはそれをベースに、植栽計画に沿って土壌を整え、苗や球根を植え付けました。土壌改良や施肥の方法はデザイナーによって異なります。 各花壇は高さ約15cmの木枠で縁取られているため、見学者がうっかり手前の植物を踏んでしまう心配がなく安全。 作庭が完了した12月下旬の様子。カラス避けの水糸が張られたガーデンもあり、スタートからガーデンの様相が大きく異なっている。 ガーデン制作にあたり、デザイナーが踏まえておくこと コンテストガーデンAの作庭の様子。 デザイン・植栽について ・コンテストのテーマ「海辺のサステナブルガーデン」を踏まえ、宿根草をメインとしたガーデンを制作すること。・ロングライフ・ローメンテナンスで、コンテスト終了後も持続可能な花壇を制作すること。・国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は使用不可)。・公園内で爆発的に繁殖するおそれがある植物は使用不可。・主たる植物は宿根草を使用すること。容易に制御が可能な、草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。・ 構造物やガーデンオーナメント、バイオネスト等の設置は不可。植物のみで構成すること。 コンテストガーデンBの作庭の様子。 メンテナンスについて ・展示期間中(2025年12月~2026年12月末)は入賞者がメンテナンスをし、それ以降は事務局が管理。・補植は可能。・最低限植物の状態を保つ週1回程度の灌水は事務局が行う。・薬剤の散布は不可。自然素材の忌避剤の使用についても不可。・メンテナンス計画を提出すること。 コンテストガーデンEの作庭の様子。 区画・土壌について ・花壇の基礎土壌は、既存の土壌の下を約50cm掘削し、浸透性処理を施している。・事務局にて準備した土を使用して整備を行うが、ガーデン制作時に施肥など土壌改良が可能。・事務局にて既存地盤の上に盛土(5cm内外)を行い、植栽基盤厚を確保。・各コンテストガーデン区画は、土留め機能を有する部材で囲った状態で引き渡す。 コンテストガーデンCの作庭の様子。 【審査基準】 公園の景観と調和していること/ 公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 コンテストガーデンDの作庭の様子。 「第4回 東京パークガーデンアワード」作庭 5人のガーデンデザイナーの庭づくりのこだわりをチェック! コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 松田 恵(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:桐生砂、くん炭、有機石灰、矢作砂、バットグアノ入り有機堆肥完熟腐葉土 ◆ガーデン制作工程◆ 桐生砂、有機石灰を混ぜ込む準備をする。 さらにくん炭を加え、混ぜ込みながら耕す(左)。/宿根草のポット苗を配置する(右)。 ポット苗を植え込む。長期的に花を咲かせる植物には、バットグアノ入り有機堆肥と完熟腐葉土を、乾燥を好む植物には矢作砂を植穴の底にすき混む。植栽後は、土の表面は水はけを良くするため平らにする。 球根植込みチーム(左)。/球根数量確認(右)。 球根を配置する。 球根配置完了(左)。/球根を植込みし、最後に全体に水やりする。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 乾いてやせた土地が好きな植物をたくさん入れているため、土壌を豊かにせず、可愛がりすぎないように育てる予定です。華やかな開花のリレーが楽しめるように、彩り豊かなガーデンを目指します。 コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- MOTe. (モト)茂木大樹(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:赤土小粒、堆肥(籾殻、糠、ピーナツの殻、そば殻を燻蒸で発酵させたもの)マルチング材:マルチバーク(のり付き) ◆ガーデン制作工程◆ まずは樹木を配置。基本的に植え穴を掘って植えるが、レベルを上げて植えたいものは穴を掘らずにそのまま置く。 赤玉土と堆肥を載せていき、樹木の根鉢を覆いながらレベルの起伏を作る(左)。/根鉢のまわりに水を入れて土中の隙間をなくしてなじませる(右)。 赤玉土と堆肥で起伏を作り、表面を木の板でなだらかに整える(左)。ユーカリの枕木を数個用いてステップを設ける(右)。 宿根草のポット苗を配置してバランスを確認する(左)。/樹高2m以内の規定に合わせて伸びすぎている樹木の枝を剪定(右)。 ポット苗・球根を植え付ける。 グラスの枯れ葉を除去(左)。/マルチバークで表土にマルチングをする(右)。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ オージープランツが多いので栄養はそれほど必要ないと考え、もともとの土壌に発酵させた堆肥を加える程度に留めています。堆肥は籾殻や米糠、ピーナツの殻、ソバ殻を燻蒸で発酵させたものを用いました。ソバ殻の炭素分が多く、空気の層を作ることができるので、根の伸長を促してくれます。 植え付けは、植え穴を掘らずに根鉢を土の上に載せるだけで堆肥を盛ることで高さを出して風景に立体感を作り、微気候を生み出しています。植栽は花の彩りは控えめに、常緑の植物を多く使って瑞々しい緑を生かしつつ、植物の直線的、造形的なフォルムを楽しんでいただけるようにしています。 コンテストガーデンCStewardship Garden: The Way ぐりんぐりん 横田拓伸(東京都)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:堆肥(植物の枝葉を15年ほど寝かしたもの)、米糠(肥料としても有効)ライン引きのための材:赤玉小粒マルチング材:ウッドチップ、洗い砂、クルミの殻その他:ユーカリの枝葉 ◆ガーデン制作工程◆ 斜めのラインの位置出しをして、花壇の縁に目印のテープを貼る。 土壌を耕したあと、堆肥と米糠を加えて混ぜ耕す。 位置出しで貼ったテープの目印を頼りに、小粒の赤玉土を使って表土に斜めのラインを描く。その後、ポット苗や球根を配置。 苗と球根を植え付ける(左)。/球根を植え付けた場所に棒切れで目印を立てる(右)。 ウッドチップをマルチングする(左)。/ガーデンの端にはウッドチップでマルチングをせず、洗い砂を敷いて砂浜の風景をつくる(右)。 ガーデンの一部に溝をつくり、その両側に棒を2本渡してユーカリの葉を敷き詰める。また、その傍らにクルミの殻を敷き詰めるコーナーをつくる。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 人間もマッチョだけじゃダメ、健康であることが大切なように、植物もなりたい大きさで育つように、ここの環境に合う植物を持ってきました。栄養分は堆肥のみで、そこに米糠を加えて微生物の働きを促します。積極的にサポートするのは植え付け時のみ。土中の微生物は地域で種類が違うので、堆肥はこの会場に近い場所で生育する植物の枝葉を15年ほど寝かしたものにしました。 コンテストガーデンDSurFIVE Garden PICNIC garden design 河野友香(栃木県)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:エコロベース、堆肥元肥:マグァンプ大粒ライン引きのための材:赤玉小粒マルチング:バークチップ ◆ガーデン制作工程◆ よく耕してから、エコロベースソイルを盛土する。 微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて混ぜ込み、起伏を作りながら表面を平らにする。 デザイン通りのゾーニングのラインを赤玉小粒で描く。 25cmほどにカットした木の幹を3本1束にして、5cmほど顔を出すようにして埋め込む。後々のメンテナンスのときを考え、片足を踏み込める小さな足場を作った。 ポット苗と球根を配置し、植え込む。 花を咲かせる苗の株穴には、マグァンプL(大粒)を適量入れる(左)。/球根を植え込む(右)。 植えた苗のまわりに堆肥をまく(左)。/最後にバークチップでマルチングする。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 海に近く風の強い夢の島公園の環境を踏まえ、宿根草の根張りを最優先に考えて選びました。エコロベースソイルを盛土することで、しっかりとした根張りに必要な水はけと通気性を確保して、微生物系の土壌改良材(ミラクルバイオFDS)を加えて団粒構造をつくり、バークチップのマルチングで乾燥と雑草を抑えました。あわせて、花付きが安定し来園者に長く楽しんでもらえるよう、ゆっくり効く化成肥料(マグァンプ大粒)を必要最小限加えました。 コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 本田ハビタットデザイン 本田直也(北海道)さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:黒土マルチング材:マルチバーク ◆ガーデン制作工程◆ 花壇全体に黒土を載せ、苗を配置する。 苗の植え付け(左)。/バークマルチでマルチングをする(右)。 【作庭完了】 ◆デザイナーのこだわり◆ 今回植え付けたのはグラス類など宿根草なので、排水性と少しの保水性があれば十分と考え、栄養分は極力少なくして植物の成長を抑え気味にしました。以前、動物園でゾウのフンを堆肥にバタフライガーデンをつくった際、一年目から背丈を越すほど成長してしまい(なかには2mを超すものも!)、開花の見頃を迎えるタイミングに倒れてしまったり、切り戻しせざるを得なかったり。「肥料が多くて見苦しくなる」という過去の苦い経験を踏まえました。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.tokyo-park.or.jp/park/yumenoshima/index.html#traffic開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
-
東京都

“ロングライフ・ローメンテナンス”で都立公園を豊かに彩るコンテスト「第4回東京パークガーデンアワード …
第4回会場となる「夢の島公園」 「東京パークガーデンアワード」は、公益財団法人東京都公園協会が主催するコンテストです。気候変動が激しい現代において、“持続可能でロングライフ・ローメンテナンス”なガーデンづくりを目指しています。デザインはもとより、植物や土壌の高度な知識が求められ、今までのものとは一線を画すコンテスト。このアワードを通じて、サステナブルガーデンの制作、普及を後押しします。 今回の舞台となる『夢の島公園』は、東京都江東区にある海辺の都立公園で、運河に囲まれた人工島の中に位置しています。「夢の島」といえば、かつてはゴミの埋め立て地として知られていましたが、その負のイメージを払拭するため、1978年に『夢の島公園』が開園しました。その後、整備が進められ、現在ではユーカリやデイゴ、ヤシなどの熱帯・亜熱帯植物が植えられた緑豊かな海辺の公園に生まれ変わりました。園内には熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な芝生広場があり、都心からアクセスしやすい人気スポットとなっています。 コンテストのテーマは「海辺のサステナブルガーデン」 今回ガーデンが設けられるエリアは、『夢の島熱帯植物館』西側のグリーンパークの一画で、公園のシンボルであるユーカリの樹林地に面しています。広がる波をイメージした2本のウェーブガーデン(約24㎡)に、海辺の環境に適した宿根草を植栽。背景のユーカリとも調和する、ロングライフ・ローメンテナンスなガーデンが制作されます。2025年12月、土壌改良から作庭が行われ、11月の最終審査を迎えるまで、必要に応じてメンテナンスを実施。近年の激しい気候変動、とくに厳しい酷暑への対応も重要な課題です。3回の審査を経てグランプリが決定するまで、さまざまな予測を立てながら庭と向き合っていくことになります。 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」であることに加え、審査で見る重要なポイント 2025年に行われた「第3回東京パークガーデンアワード」の審査の様子。今回の審査員は、福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚さん(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー)、本木一彦さん(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子さん(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)。 第4回も“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることが欠かせないルールです。丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に、季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りに咲くようデザインすることが求められています。 ●公園の景観と調和していること ●公園利用者の関心が得られる工夫があること●公園利用者が心地よく感じられること●植物が会場の環境に適応していること ●造園技術が高いこと●四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること●「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること●メンテナンスがしやすいこと●テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること ●総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 第3回開催の砧公園で見られた“ロングライフ・ローメンテナンス”を実現しながら豊かに彩るための工夫 ここ数年、猛烈な酷暑が続いています。この異常な気候変動を乗り切るためには、耐暑性や耐乾性のある植物の選定、そして強くても爆発的に繁茂する種類は避けるなどの知識が必要です。またメンテナンスも欠かせない要素で、手入れのテクニックも審査の対象となります。メンテナンスはガーデナーの申請によって行うことが条件ですが、手入れの頻度(回数)も評価の参考になります。 そこで、「ロングライフ・ローメンテナンス」を実践するために、前回開催のコンテストガーデンで取り入れられた工夫をいくつか紹介します。 1. メンテナンス時の発生材(剪定枝など)をガーデン内で循環するためのバイオネストの設置 ガーデンの中央で大きなオブジェのような存在感を放っていた、印象的なバイオネスト(エリアA)。 2. ガーデンの土中に空気を送り込むための通気口の設置 直径20cmほどの穴に枝を組んで作った通気口。入り口部分にグラスの穂をあしらい、鳥の巣のような愛らしさを演出(エリアB)。 3. テントウムシを呼ぶための、バンカープランツを植栽 テントウムシがエサとして好むアブラムシが早春に集まるように植え込んだ原種のチューリップ(エリアC)。 4. 土中の微生物を活性化させるための、菌糸のステップを配置 キノコの菌床を円盤形に固めたステップ。植物の根の伸長を促すのに効果的(エリアD)。 5. シードヘッドになる植物を積極的に使う カールドン、アリウム、バーバスカム、バーベナのシードヘッドを巧み組み合わせ、秋~冬の景色に深みを与える(エリアE)。 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト どのエリアでガーデンを制作するかを決めるため2025年10月中旬に集合した5名のガーデナー。 コンテストのテーマとルールをふまえて制作するそれぞれのガーデンのコンセプトをご紹介します。 コンテストガーデンA花の巡り、風と大地の詩 【作品のテーマ・制作意図】 海辺という特有の環境に調和しながら、自然の力を活かした設計によって、サステナブルな公共空間のあり方を提案します。風が通り抜け、植物が揺れ、大地がそれを支える——この空間では、自然の要素が互いに響き合いながら機能します。植栽には、乾燥や高温に強く、施肥を行わずとも育つ植物を選定。水やりやメンテナンスを最小限に抑えることで、環境負荷を軽減しながら、美しさと生態系の豊かさを両立する構成としました。また、宿根草とグラス類を中心に、こぼれ種によって自発的に広がる植物を組み合わせることで、季節や年月の変化に応じて風景が移ろい、訪れるたびに異なる表情を見せるよう工夫しています。風に反応する草姿や色彩の変化は、来訪者の感覚に静かに働きかけ、風・植物・大地の関係性を通じて、自然との関わりを見つめ直す場となることを目指しています。 【植栽計画について】 海辺の環境に適応する植物を中心に構成し、自然の力を活かしながら持続的に育つガーデンを目指しました。潮風や強い日差し、乾燥といった海辺特有の条件に耐える宿根草やオーナメンタルグラスを主体とし、無施肥・最小限の水やりで維持できる植物を選定しています。これにより、環境負荷を抑えつつ、自然のリズムに寄り添う植栽管理を実現しています。 また、春から秋まで花が咲き継ぐ「開花リレー」を軸に、季節の移ろいが視覚的にも感じられるよう、色彩の重なりや草姿の変化を丁寧に計画しました。風に揺れるグラス類は海辺の風景に軽やかな動きを与え、球根植物は季節のアクセントとして景観に深みをもたらします。こぼれ種で広がる植物を組み合わせることで、植栽が自ら更新され、年月とともに自然に成熟していく仕組みも取り入れています。さらに、宿根草の間に一年草を適宜加えることで、季節ごとの彩りや変化を柔軟に補い、訪れるたびに異なる表情が楽しめる風景をつくります。こうした構成により、自然の動き・時間の流れ・生態系の豊かさが重なり合う、持続可能な植栽を目指しました。 【主な植物リスト】 宿根草:フロックス ムーディーブルー/ゲラニウム サバニブルー/アスフォデリネ ルテア/ダイアンサス カルスシアノルム/ゴリオリモン コリナム シースプレイ/エキナセア テネシーエンシス/ユーコミス ビッグボーイ/エリンジューム パリフォリウム/バーノニア レターマニー/スクテラリア インカナ/アスター アンレイズグラス類:フェスツカ エリアブルー/ブリザ メディア ラッセルズ/スティパ イチュー/エラグロスティス トリコデス/ペニセタム マクロウルム/アンドロポゴン テルナリウス/ミューレンベルギア カピラリス アルバ球根:スイセン ペーパーホワイト/ミニアイリス ペインテッドレディ/クロッカス ロマンス/ミニチューリップ ヒルデ/ダッチアイリス シンフォニー/カマシア クシッキー/アリウム シルバースプリング/アリウム ピンボールウィザード/ガルトニア カンディカンス/リコリス サンギネア コンテストガーデンB潮風に揺れるプレイフルガーデン-Playful Garden Swaying in the Coastal Breeze- 【作品のテーマ・制作意図】 ■ユーカリ樹林や公園風景を主役にする庭 ―夢の島公園の景観と調和した植物選び― ・公園の象徴であるユーカリ林を主役に、遠くからは樹林の前景として眺める花壇、入り込めばユーカリの壁を借景に、緑に包まれる植栽空間を創出。背後の樹林と庭の植栽がつながるよう視線の抜けや緑の連続感を意識し、園全体との一体感を演出します。 ・バンクシア、カリステモン、ハマゴウやメリアンサスなど、海辺の環境に耐えながら、豪州庭園を有する公園の既存植生や景観、海風の雰囲気に馴染む庭景を演出します。 ・冬季に訪れる来園者にも配慮し、花後も景観を彩るグラスや常緑樹、カラーリーフ類を混植し、季節ごとに表情が変わり、秋冬も映えるガーデンとします。 ■公園遊具・風景のきっかけとしての庭―利用者の関心を引き、居心地を生む仕掛け― ・子ども用遊具が少ない園内に、アスレチックや回遊ごっこを誘発する植栽空間を提案します。地面のウェーブ(アンジュレーション)と植栽の高低差で、歩くたびに景色が見え隠れする立体的な庭を演出し、眺めても歩いても楽しめる空間とします。 ・大人の見守りの視線は通しつつ、子どもにとっては草花のトンネルのように感じられる空間体験を演出します。園路沿いベンチを起点に、子どもの好奇心を植物へ導き、自然への関心を育む場とし、二列花壇の適所に通り抜けポイントを設けることで、アクセス性と回遊性を高めます。 【植栽計画について】 ■潮風に揺れる宿根草の庭 ―海岸環境に寄り添い、四季の移ろいを感じる庭―・バンクシア、カリステモン、ハマゴウ、シーラベンダーやコースタルローズマリーなど、耐風・耐塩・耐乾性に優れた海岸性の樹種をポイント的に配置し、庭全体に変化と海浜の雰囲気を映します。 ・海風に耐え支柱を必要としない樹種と、装飾性が高くもやや繊細な樹種を試験的に混植し、コースタルガーデンの新しい組み合わせを探ります。 ・もたれやすい草姿は、繁りやすい植栽やグラス類のそばに置き、互いに補完し合うよう計画。歩くことで植栽の色や草姿の変化を楽しめる配置とし、訪問者に発見や驚きを与えます。 ・強健種中心で単調になりやすい海辺の環境にも対応し、植栽の組み合わせや色・草姿のコントラストで多様な景観を実現し、季節や光の変化による表情も楽しめる庭を目指します。 ■微地形による環境の多様化と骨格植物の採用 ―気候変動下での持続性を生む工夫・ローメンテナンス―・アンジュレーション(微地形)を設けて排水性を確保し、乾燥に強いグラス類や低木を尾根部分に配置するなど、適所適植で植栽の安定性を高めます。 ・高低差や樹木ボリュームで異なる微気候(採光・通風・排水性の多様化)をつくり、異常気象による植物の全滅リスクを軽減。今後の気候変動(猛暑・豪雨・乾燥)を前提に、グラス類や強健種を一定割合植え込み、庭の骨格を安定化。 ・管理も容易なアガパンサス、エキナセア、グラス類や強剪定も可能な南半球由来の低木を視認性の高い要所(起伏の尾根やコーナー)に配置。マルチングやグランドカバーで乾燥防止と雑草抑制を図ります。 ・赤土を主として燻蒸したそば殻、有機物をすきこんで完熟発酵させた特製客土を用い、持込み雑草を最小化。団粒構造形成による排水性の向上とリン過多にならず、根付きもよい土づくり。あえて無肥料とすることで華美になりすぎない海辺らしい風景づくりと、オージープランツのリン酸やけに配慮。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーフォルビア ウルフェニー/ユーフォルビア セギリアナ/トリトマ グリーンシェイド/モナルダ フィッツローザ/エキナセア ミニベル/エキナセア パリダ/シシリンチウム ストリアタム/スターチス ラティフォリウム/ホソバチョウジソウ/オレガノ マルゲリータ/アキレア マシュマログラス類:パンクスグラス プミラロゼア/ミューレンベルギア リンドハイメリ/ペニセタム アロペクロイデス/カレックス フェニックスグリーン/カレックス フラッカ低木:カリステモン ドーソンリバー/コースト バンクシア/グレビレア プーリンダ イルミナ/グレビレア ジョン エバンス/グレビレア ドーン パープル/メラレウカ タイムハニーマータル/ハマゴウ プルプレア/ギョリュウバイ ナニューム ルブルム球根: チューリップ トルケスタニカ/チューリップ シルビア/チューリップ ヒルデ/チューリップ タルダ インタラクション/チューリップ クレティカ パニア/チューリップ マーラ/チューリップ ビオレッタ/カマッシア カエルレア/カマッシア アルバ コンテストガーデンCStewardship Garden:The Way 【作品のテーマ・制作意図】 この庭は、まるで人の一生を映し出すかのような場所。最初は何も育たない砂地が、植物や小さな生き物たちのチカラ、そしてそこに暮らす人々の手によって、ゆっくりと豊かな土壌へと育っていく。それはまるで、子供が成長して大人になり、やがて成熟世代へと人生を重ねていく時間の流れと、重なり合っているかのよう。子供たちは砂のような柔らかな心で庭と遊び、自然からたくさんのことを学ぶ。大人になれば、その庭は家族や友人と収穫や語らいを楽しむ場所になり、成熟世代になれば、その成長した庭を眺めながら穏やかな、心豊かな時を過ごす。この庭は自然と人が共に成長し、砂が子供、豊かな土壌が大人へと成熟していくように、自然の再生と成熟への時、人生の旅路を映す『道』を示している。 【植栽計画について】 砂地を豊かな土壌へと育ててくれるのは植物、微生物、細菌、虫たち、そして少しの人の手。はじめに漉き込む堆肥は、その土地の土壌で作られたもの。なぜなら微生物や細菌は地域性があるからです。どこか遠くから良い資材を持ってきたとしても永続的な自然の循環は行われません。その土地だけの‘自然循環の在り方’を作り出すことが重要です。植える植物たちは潮風や乾燥に強い宿根草、そして環境に溶け込むような亜熱帯の宿根草を主軸とします。植栽は観る人々が‘思わず触りたくなるような’仕掛けを施します。それは、私が日々庭づくりで行っている‘参加型の庭づくり’に基づいています。驚きと興味は参加を促し、よき体験を生み出す。その‘関心’と’体験’こそ、サステナブルを巻き起こすものだと信じています。 【主な植物リスト】 宿根草:ユーパトリウム/トリトマ/ヘリオプシス/オミナエシ/オトコエシ/ペンテスモン/エキナセア/ベロニカなどグラス類:カールフォスター/ミスカンサス/ディプカンシア/カレックス/モリニア/コメガヤなど球根:アリウム/スイセン/ダッチアイリス/フリチラリア/カマシア/オダマキ/ラナンキュラス ラックス/ゲイソリザ/ツベロサム/シラーなど コンテストガーデンDSurFIVE Garden 【作品のテーマ・制作意図】 夏の猛暑や乾燥といった「過酷な環境を生き延びる力強さ(Survive)」×「海の波や生命のうねりを感じさせる (Surf)」を掛け、その植物のパワーが波のように広がり未来へとつながっていくイメージと、五感を刺激する植物の組み合わせを『SurFIVE』という言葉で表現しています。またガーデンのテーマカラーとしてオレンジの花色の植物を多く取り入れ、親しみやすさや太陽のもとで元気に咲く植物の生命力をアピールします。 【植栽計画について】 熱帯を思わせる個性的な形の植物をメインにして、一年を通してはっきりとしたシルエットを保つように計画しています。いくつかの同じ植物を違う場所にもリピートして植えることで、前後の花壇のつながりと、歩きながらガーデンのリズムを感じてもらえるように植物を配置しています。植え付け後は、剪定や水やりなどの手入れを最小限に抑え、人にも植物にとってもサステナブルで美しいガーデンを維持します。 【主な植物リスト】 宿根草: カンナ/クニフォフィア ルーペリ/メリアンサス マヨール/エキノプス /ロシアンセージ/アキレア/バーベナ ボナリエンシスグラス類:カラマグロスティス カールフォスター/カラマグロスティス ブラキトリカ/パニカム シェナンドア/エラグロスティス スペクタビリス球根: アリウム マジック/ミニチューリップ ショーグン/イフェイオン ウィズレーブルー/スイセン タリア コンテストガーデンE「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」 〜地の記憶と環境を翻訳する庭 【作品のテーマ・制作意図】 かつて廃棄物で埋め立てられたこの島には、現在ユーカリの森を中心とした強健な植生が根づき、都市にありながら原始的で異国的な景観を生み出しています。今回、植栽地となるこの森の縁に広がる強い日射と潮風にさらされた芝生を目にしたとき、「ここは都市の果てに現れたアーバン・サバンナだ!」と直感しました。 植物を単なる装飾に限らず、この地固有の「環境を翻訳する存在」と捉え、来園者が海風・光・湿度・熱といった目に見えない環境を感覚・知覚できる場をつくります。「東京サバンナ」は景観的なサバンナの模倣ではなく、夢の島の歴史と環境条件から必然的に現れた都市の新しい風景です。都市と自然の狭間に生まれたこの庭を通じて、来園者が環境や植物との関わりを見つめ直し、都市園芸の新たな可能性を感じ取るきっかけとなることを願います。そしてこのガーデンが、見た目の美しさと維持のしやすさを兼ね備えた、持続可能な宿根草ガーデンの新しいスタンダードとして育まれれば幸いです。 【植栽計画について】 土地の過酷な条件を読み解き、徹底したローメンテナンス性、持続可能性を踏まえながら、美しく景観が維持できる計画としました。植栽計画は、強光、潮風、乾燥に耐える大型グラスをメインとした外皮構造を先に築き、その内側に小型宿根草を群植する二層構造としました。外層が強い環境要因を受け止めて微気候を生み、内層ではナース植物の効果により小型植物が守られながら安定して育ちます。 植物は侵略性が低く、かつ姿が乱れにくく支柱や過度な手入れを必要としない丈夫な種を厳選しました。内層の植栽は配置の自由度が高く、どこに植えても風景が破綻せず、誰もが維持・再現可能です。また低層種を入れ替えるだけで新たな景観を生み出せる柔軟性も持ち、さらに密植により除草の労力を軽減します。 そして、四季を通じて花や実を供給し、チョウや他の昆虫類に生息の場を与えることで都市に自然のリズムを呼び戻し、この地域の生物多様性に寄与します。「東京サバンナ・バイ・ザ・ベイ」は、美観・管理性・生態系の循環を兼ね備えた、海辺にふさわしい真のサステナブルガーデンの姿を示します。 【主な植物リスト】 宿根草:ビゲロウィア・ヌッタリー/エゾノヨロイグサ/ハマボウフウ/ヒューケラ・シャムロックなどグラス類:カラマグロスティス・カールフォスター/パニカム・ヘビーメタル/セスレリア・オータムナリス/フェスツカ・アメジスティナなど コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立夢の島公園「グリーンパーク」内所在地: 東京都江東区夢の島2-1電話: 03-3522-0281https://www.tokyo-park.or.jp/park/yumenoshima/index.html#traffic開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料(一部有料施設あり)アクセス:東京メトロ有楽町線(Y24)・JR京葉線・りんかい線「新木場」下車、徒歩7分。東京メトロ東西線「東陽町」(T14)から都バス(東陽町-新木場、東陽町-若洲海浜公園)「夢の島」下車。高速湾岸線「新木場インター」より5分駐車場:有料
-
東京都

「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」1年の取り組み
毎日見学者が訪れる第3回コンテスト会場は「都立砧公園」みんなの広場前 コンテスト会場となった砧公園みんなの広場前に設けられたコンテストエリアの1年間の景色の移り変わり(右上/4月 左下/7月 右下/11月)。公園の正門や駐車場からコンテストガーデンに向かうと見えてくる「東京パークガーデンアワード」の開催を示す2カ所の看板が目印。 2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、成城学園、二子玉川など閑静な住宅街からほど近い場所にある都立砧公園(東京都世田谷区)が舞台です。芝生の広場と樹林で構成されたファミリーパークのほか、運動施設や遊具などが設置された広場が整備され、区民みんなに親しまれている公園でコンテストが繰り広げられました。 東京都立砧公園は、芝生が青々とした「みんなのひろば」をはじめ、バラ園、サイクリングコース、‘子供の森’など多数のエリアがあり、秋にはイチョウなどの紅葉・黄葉が楽しめます。 第3回のテーマは「みんなのガーデン」 今回のコンテストエリアは、‘みんなのひろば’前に広がるスペース。5つのガーデンは公園を訪れる多くの人の目を楽しませました。 天気のよい休日には、家族連れがお弁当を広げる光景もあちこちで見られ、地域の住民をはじめ、多くの人々に親しまれている砧公園。‘みんなのひろば’前で開催された「第3回 東京パークガーデンアワード」のコンテストテーマは『みんなのガーデン』です。「東京パークガーデンアワード」の目指す“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることはもちろん、訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れたガーデンであることが求められました。植栽のメインとなる宿根草は、丈夫で長生きすることから、季節ごとの植え替えは行わず、四季ごとに花の彩りがあることも期待されました。 第3回のコンテストガーデン コンテストガーデンが設けられた敷地の平面図。A〜Eの各面積は約40㎡ 。どのエリアでガーデンを制作するかは、2024年10月に抽選により決定しました。 各コンテストガーデンは、高さ40cmの枠に囲まれた区画内に作られました。子どもたちの目線にも近い高さで、かがまずに植物を間近で観賞できるのも今回の特徴です。4月の様子。 今回のガーデンでは、通路を挟んで対に設けられた2つ1組の花壇が5つ連なっています。隣接する‘みんなのひろば’や‘ねむのき広場’からコンテストエリア全体を眺めたり、花壇に挟まれた通路を歩きながら、左右に育つ植物を観賞したりするなど、さまざまな角度からガーデンを堪能することができました。 写真手前の北から奥の南に向けて、A・B・C・D・Eの順に花壇が並ぶ。7月の様子。 2024年12月に行われた第1回作庭。5つのガーデン制作に関わった皆さん。 【第3回 東京パークガーデンアワード in 砧公園 最終審査までのスケジュール】 コンテストに挑戦する5名の入賞者が1年を通してガーデン制作に挑む「東京パークガーデンアワード」。2024年12月中旬に、それぞれの区画で1回目の作庭が完了し、2025年2月下旬に2回目の作庭日が設けられました。その後、4月は春の見頃を迎えた観賞性を審査する『ショーアップ審査』、7月は梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』、11月は秋の見ごろの鑑賞性と年間の管理状況を審査する『ファイナル審査』が行われ、グランプリが決定しました。 2025年11月に行われた授賞式後、審査員と授賞者を囲んで、コンテストガーデンエリアに集まった東京パークガーデンアワードに関わった皆さんと記念撮影。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」すべての審査が終了しました! 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 4月、7月、11月の3回の審査は、5名の審査委員による採点と協議により行われました。【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われました。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」授賞式 2024年12月のガーデンの施工から約1年が経過し、3回目の審査となる『ファイナル審査』が2025年11月6日に行われ、入賞5作品の中より「グランプリ」、「準グランプリ」、「審査員特別賞」が決定。晴天の2025年11月22日、東京都世田谷区にある上用賀アートセンターにて授賞式が行われました。式典では、賞状とクリスタルメダルの贈呈、4名の審査員による講評、授賞者5名による喜びのコメントが発表され、参列者より大きな拍手が贈られました。 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の受賞者と審査員。 審査員の講評 審査員 吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー) 東京パークガーデンアワード・砧公園のコンテストに入賞されたみなさん、本当におめでとうございます。そして、過去に神代植物園や代々木公園でのコンテストに参加してくださった方々にも、心から感謝申し上げます。 このコンテストでは、造園や園芸といった枠を越え、これからの地球に必要なことを、小さな一歩から取り組み始めていると感じています。21世紀の今、新しい局面に立ち、幅広い視野で重要なテーマを探し続けているのではないでしょうか。 33年前、私はイギリスの庭に出会いました。イギリスでは100年以上前から自然主義の思想があり、庭や造園の世界で多くの草花が使われてきました。産業革命による自然破壊が進んだ1800年代末、自然保護運動が始まった国でもあります。 日本とイギリスの園芸・造園には違いがあります。 イギリスでは園芸と造園が密接で、ランドスケープデザイナーは宿根草の生態や育ち方を深く理解しています。私はそれをいつも素晴らしいと感じてきましたが、日本はまだ追いつけていない状況でした。しかし、このコンテストでは、それを覆すような躍進的な取り組みが見られたと感じています。 今回の5組のみなさんは、それぞれに素晴らしく、グランプリを決めるのは非常に難しいものでした。実際、全員がグランプリだと思っています。その中で、私が重視したのは「レジリエンスガーデン」、つまり「9月のダメージをどのように11月に乗り越えたか」という視点です。宿根草だけが生き残る庭が最良とは思いませんし、一年草を装飾的に取り入れるのもよいと思います。 私が尊敬するガーデンデザイナー、トム・スチュアート・スミスも、自宅の庭で宿根草に一年草のコスモスを取り入れています。そもそも、なぜ庭をつくるのか。それは、美しく育つ草花やその風景に、私たちが喜びを感じるからです。花が咲いている庭、咲いていない庭、どちらにも価値があります。 ちなみに、多くの人は花を見て喜びますが、私は最近、葉だけの世界が好きです。心が「気持ちよい」「癒やされる」と感じることが重要なのです。 今回のテーマ「みんなのガーデン」では、公園に訪れる小さなお子さんから幅広い世代の方々が楽しめることが最も重要でした。しかし、コンテストを重ねる中で、目に見えない部分まで審査する段階に来たと感じています。 私は土中環境を感覚的には理解していますが、数値的な詳細は分かりません。それでも、今回グランプリを獲得したガーデンは、光や風の通り方が素晴らしく、眺めているだけで生物としての喜びが広がるのを感じました。花の有無ではなく、光と風が宿根草の庭をいかに心地よく通るかが最大の焦点でした。 心と体の健康は大切です。ガーデンから「気持ちよい」と感じることは心や体の栄養になり、さらに「ここから離れたくない」と思えることが重要です。 今回のコンテストでは、5組すべてがその点で素晴らしかったと思います。順位をつけることになり、最後に「ごめんなさい!」とお伝えしたいです。 みなさん、ご参加いただき、本当にありがとうございました! 5名の授賞ガーデンと審査員講評 グランプリ コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 ●コンテストガーデンCの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 「てんとう虫たちの食卓」というテーマがよく表現された庭でした。アブラムシを増やす植物をあえて入れてテントウムシを誘い、剪定した枝葉を作業通路に置いてナメクジなどを引き寄せ植物たちを守るなど、生態系を豊かにすることで庭も美しくするプランが成功しているようでした。プランツタグのQRコードで植物や虫たちを紹介する発信も素晴らしい取り組みです。広めに確保された作業通路が風の道となり植物が蒸れにくく、景観的にも奥行きや抜け感を生み、植物の表情をより豊かに演出していました。グラスの穂が風に揺れる姿は野原で遊んでいるような気持ちにさせ、多彩な植物たちが混み合うことなく絶妙に風を通しながら公園の風景に溶け込む様は、見るほどに引き込まれる美しい眺めでした。予測の難しい酷暑を越えた先に秋の自然な美しさが際立つことこそが、宿根草ガーデンの真骨頂だと気づかせてくれるガーデンでした。 小野雄大さん コンテストを終えた受賞者のコメント 今回、大切にして目指したのは、季節とともにガーデンの表情が変わって、植物と小さな生き物たちの営みが共存する庭です。原生地の群落を意識し、春から初夏に向けて景色が大きく変わるように植栽を工夫しました。テントウムシなどの益虫が増えるように、越冬場所を作ったりアブラムシがつくようバンカープランツを植えたりと工夫しました。また、近年の気候変動に強いレジリエントガーデン(回復力を備えた庭)というものにチャレンジし、水の流れを作ったり、土中の保水性を高めるなどして夏場の暑さに耐えられるようにしました。 印象に残ったことは、子どもたちがまわりで網を振って虫捕りをしていたこと。それがすごく微笑ましくて、虫かごに蝶々をいっぱい入れて見せあったりして楽しんでいました。たまにその網で花首が取れたり、植栽の奥まで足を踏み入れたり、ということもありましたが、それは本当に子どもたちにとっても心に残ったのではないかなと思います。この庭ができて、自然と遊ぶことができるようになったのではないかなと思っています。 準グランプリ コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 ●コンテストガーデンAの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 タイトル通り、花束のような素敵なガーデンでした。公園に溶け込んだ遠景は絵画的で美しく、近づいてみると、植物どうしが響き合って作る美しいシーンが随所に見られました。バイオネストはサステナブルな機能だけでなく、庭を特徴づける造形物としても効果的に働いていました。花壇の場所的に一部が松の木陰になってしまうハンディがありましたが、植物選択やメンテナンスの工夫でうまく対処されていました。厳しい夏を越えられなかった植物も見受けられましたが、春の華やかな景色は今なお強く印象に残っており、都会的で洗練された美しさが秋に至るまで展開されていました。多くの人々に楽しさや幸福感、季節の移ろいの喜びを与えてくれるガーデンでした。 保坂悠平さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私自身、宿根草ガーデンを作る機会はこれまで非常に少なく、普段はマンションや商業施設の植栽計画を計画段階から携わっています。そうした現場では、周辺環境への配慮や在来種の使用を求められることが多いのですが、今回特に印象的だったのは、子どもたちや近隣の皆様から多くのお声掛けをいただいたことです。これまで携わった植栽計画では、なかなか直接お声掛けをいただく機会はなかったので、今回、「花の力」を強く感じました。 私は第1回の代々木公園から応募に挑戦してきましたが、当時は宿根草のことが本当に分かりませんでした。ですが、今回に至るまで、日本各地のいろいろな素敵なガーデンを訪れたり、先輩から教わったりして宿根草について学んできました。今回、私自身で剪定ばさみを持って、休日公園に通い、仲間に教わりながら剪定を行いました。こうした経験を通じ、今後は緑を通して人と人をつなぐ仕事をしていきたいと思っています。 審査員特別賞 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ ●コンテストガーデンEの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 個性が際立つ植物を巧みに組み合わせ、まるでジャングルの中に入り込んだような感覚を味わえるガーデンでした。多種多様な植物を数多く使い、植物の可能性をとことん追及したカラフルでダイナミックな植栽デザインが特徴的で、その圧倒的な色彩の豊かさが多くの来園者の目を惹きつけていました。花壇の多角形を生かし、見る角度によって、構築的で造形的におもしろい植物、質感のバラエティ豊かな組み合わせ、多彩に変化する色合いなどを楽しめる点が印象的でした。遠くから見ても植物たちの存在感が力強く、厳しかった今夏を乗り越えた姿には感動を覚えます。写真を撮りたくなるシーンが随所に散りばめられ、見る人を自然と滞留させる魅力に富んだガーデンでした。 太田敦雄さん コンテストを終えた受賞者のコメント このガーデンは、写真や映像に映らないかもしれない「愛や他者への思いやり」という抽象的な概念を、SNSでつながった花好きなボランティアのみなさんと共に表現するという、私にとっても大きな挑戦でした。絶え間なく変化する開花のリレーを引き継ぎながら、人と植物と虫たち、人と人、そして人と環境が繋がる、美しくて尊い共存の風景を、この庭とその創作活動を通じて表現することができました。サステナビリティやメンテナンスという概念に挑戦する中で感じたのは、植物が苦しいとき、人間が愛や思いやりの手を差し伸べることで、植物は幸せに生きながらえることができるということです。園芸をする方なら分かることと思いますが、愛情を受けている植物は表情が違うのです。私たちのチームは、毎週その日に来られる人が、自分が楽しいと思える範囲で植物の手入れをしました。負担にならなければ、メンテという労働作業ではなく、仲間と会える趣味の活動になるんですよね。何かを「好き」と思う気持ちで行うことは、現代において、最もエコで尽きることのないクリーンエネルギーであり、かつ合理的なシステムだと考えています。それを、1年間かけてチームのみんなと一緒にこの庭で実践し、示すことができました。 私は、庭づくりは時間軸を伴う文脈を持った「劇」のような時間芸術であり、心から生まれ、人の心に届くものでなければならないと思っています。コンテストには順位がありますが、庭は勝負ではありません。移り行く時間や季節の中で、どれだけの感動や意義や問いを人や社会に投げかけることができるか。それが大切だと思っています。春に私のガーデンを見るために車椅子で来られたお客様が、車椅子から立ち上がって歩いて見てくださったという奇跡の瞬間。無数の蝶や虫たちが花と戯れる中で花壇の手入れする人の姿も楽園のように美しく渾然一体となった夏の日の光景。最終審査前のメンテの後、ボランティアの方がかけてくださった「青春のような1年でした」というひと言。庭とはここまで人や世界を幸せにする力があるのだ、と。この庭を通して、多くの方が愛や思いやりを受けとってくださったこと、それこそが私にとって一番の尊い賞でした。 入賞 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 ●コンテストガーデンBの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 イチゴやイチジクなど、自分の庭に取り入れたくなるカジュアルな提案がたくさん詰まった庭でした。見ているうちに「美味しそう!」と感じ、ガーデンの先にある家族の物語まで想像させてくれます。剪定枝で作った可愛いサークルネストなど、子どもと一緒に楽しめそうな工夫も魅力的です。植栽デザインは年間を通して全体の色合いが美しく、コーナーごとに設けられたテーマカラーをぐるりと一周しながら眺める楽しみがありました。特に秋には、黄・オレンジなど暖色系の構成から、目を転じるとアスターなどの寒色系へと色調が変化する眺めが絵画のようでした。季節ごとに多彩なシーンを提供してくれ、幅広い世代の来園者が訪れる砧公園という場所にふさわしい、元気をもらえるガーデンでした。 石野夕華さん、有瀧佳実さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私たちは、公園から自転車で 10分くらいのところに住んでいるママ友です。第3回の開催地が砧公園だと知ったとき、ぜひ地元のメンバーで応募したいと相方の有瀧を誘い、お世話になっているbajicoの母体であるNPO法人子育て支援グループamigoさんにも挑戦をしたいと伝え、これまでたくさんのフォローをしていただきました。仕入れやガーデン製作、そしてメンテナンスまで、日々仕事でお世話になっている職人さんやガーデナーの皆さんに、たくさん助けていただきました。また、砧公園入賞者皆さんの植物への思いも、たくさん知ることができ、とても勉強になりました。地元の方々にもたくさん見ていただき、ガーデンを愛してもらい、そして私たち自身も、楽しんでコンテストに参加できたこと、それだけで優勝だなと思いました。私がいま身につけているピンクのピアスやバッグは、じつは冬にカラス除けでカーデン内に張っていたピンクの水糸なんです。これを有瀧が編んで仕上げてくれました!(石野) ママ友の2人なので、夜遅くまで植え込みをした後、自転車にまたがり「今日の夕飯、何にしようか」「この後夕飯作って子どもをお風呂に入れて寝かせなきゃね」と、毎日同じような会話を繰り返しながら、メンテナンスを楽しみました。作業が終わればまた“お母さん”に戻るという繰り返しでしたが、私たちらしいコミュニケーションの取り方で、楽しんで取り組むことができ、本当に感謝しています。(有瀧) 入賞 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden ●コンテストガーデンDの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 微生物など土の中のことまでよく考えられたガーデンで、土壌改良のため取り入れた菌糸平板からツヤツヤのキノコが生えてきた様は、まるでアート作品のようにも感じられました。「土壌環境が豊かになることで植物本来の力が発揮され、豊かな景観や生態系に繋がる」という自身のコンセプトに真正面から取り組み、生物多様性の面では、実際に虫たちを多く呼び寄せることに成功していました。景観的に植物の高さのバランスに欠ける面もありましたが、できるだけ自然に任せたおおらかな景色とも言えます。メンテナンスの回数も少なく、持続可能な公園の庭づくりという点でも、今後のパフォーマンスに注目していきたいガーデンです。 高橋祐眞さん、齋藤集平さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私たちは「ローメンテナンス・ロングライフなガーデン」をどう実現できるか、真剣に取り組んできました。メンテナンスの回数は圧倒的に少なかったと思います。そこもすごくこだわったところです。土の中に微生物をいっぱい入れた結果、勢いよく育って正直驚きましたが、私たちが目指したのは、この 1年で勝つ、 1年目がすごくよい、ということではなく、2年、3年、そして10年先まで続いていくガーデンです。じつは私たち、1回しか自分たちで散水していないんです。砧公園では、夏に雨はほとんど降らなかったと思うのですが、ほとんどの植物が枯れなかったというのは、私たちの取り組みの成果かなと思っています。(齋藤) 「みんなのガーデン」というのが何かということを考えたときに、人や植物、微性物、虫、すべて含めて、みんなを癒やすということで、One Healthという考えにたどり着きました。僕はランドスケープデザインに携わっており、いつも広い視点で見ているため、思った以上に植物が大きく育ってしまうこともありました。ほかのガーデンを見ると、そこが自分には足りていないなと思いました。ただ、僕たちの中では、微生物であったり、生態系であったり、植栽であったり、コミュニティであったりと、生態系を主軸にしながら「みんなのガーデン」を考えられたことは、とても有意義なことでした。今後、ランドスケープデザインの世界でもっと議論され、もっとみんなが考えていくべきテーマだと思います。植物に携わる人間が、先ほど太田さんが植物に対する愛ということをおっしゃっていましたように、そうしたことを、もっと真剣に考えていくべきなのではないかなと思いました。(高橋) Pick up 月々の植物の様子 11月の植物の様子 シュウメイギク‘パミナ’(Aエリア)、アスター‘パープルドーム’(Aエリア)、シュウメイギク‘雪ウサギ’(Bエリア)、アロニア(Cエリア) アスター‘シロクジャク’(Cエリア)、アメジストセージ(Dエリア)、アマランサス‘ホピレッドダイ’(Eエリア)、ダリア‘ブラックナイト’(Eエリア) 10月の植物の様子 サルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’(Aエリア)、アガスターシェ‘モレロ’(Aエリア)、ヒガンバナ(Bエリア)、ルエリア(Bエリア) アスター・アンベラータ(Cエリア)、シュウメイギク‘ハドスペン アバンダンス’(Cエリア)、ハギ(Dエリア)、アスター ‘ジンダイ’(Eエリア) 9月の植物の様子 アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’(Aエリア)、ユーパトリウム・コエレスティナム(Bエリア)、オジギソウ(Bエリア)、リアトリス・スカリオサ‘アルバ’(Cエリア) アロニア‘メラノカルバ’(Dエリア)、ヒルベリー(Dエリア)、ヒビスクス・コッキネウス(モミジアオイ)(Eエリア)、 オキシペタルム・カエルレウム(Eエリア) 8月の植物の様子 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’(Aエリア)、カラミンサ‘ブルークラウド’(Aエリア)、コレオプシス‘ガーネット’(Bエリア)、ヘレニウム‘シエスタ’(Cエリア) エキナセア‘メローイエロー’(Cエリア)、モナルダ(Dエリア)、カンナ‘ベンガルタイガー’(Eエリア)、ルドベキア‘リトルヘンリー’(Eエリア) 7月の植物の様子 ユーパトリウム‘ベビージョー’(Aエリア)、ゲラニウム‘アズールラッシュ’(Aエリア)、ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’(Bエリア)、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’(Bエリア) ヘメロカリス‘クリムゾンパイレーツ’(Cエリア)、オミナエシ(Dエリア)、ネリウム(=キョウチクトウ)’ペティットサーモン’(Eエリア)、エリンジウム・ユッキフォリウム(Eエリア) 6月の植物の様子 ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’(Aエリア)、ムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’(Bエリア)、リシマキア‘ミッドナイトサン’(Bエリア)、ブリザ・メディア(Cエリア) ユリ‘リーガルリリー’(Cエリア)、ウスベニアオイ(Dエリア)、アザミ(Dエリア)、ベロニカ・ロンギフォリア‘マリエッタ’(Eエリア) 5月の植物の様子 シラー‘ブルーアロー’(Aエリア)、オーニソガラム・アラビカム(Aエリア)、チャイブ(Bエリア)、ギリア・レプタンサ(Bエリア) カマッシア・クシッキー(Cエリア)、ビバーナム・ハリアナム(Dエリア)、パパベル・コムタツム‘レディーバード’(Eエリア)、エスコルチア ピンク(Eエリア) 4月の植物の様子 スイセン‘タリア’(Aエリア)、フロックス・ディバリカタ‘メイブリーズ’( Aエリア)、アジュガ‘ディキシーチップ’(Bエリア)、チューリップ‘エデュアルトペルガー’(Bエリア) 原種チューリップ・ヒルデ(Cエリア)、フリチラリア・インぺリアス‘オレンジビューティー’(Cエリア)、ベニバナマンサク(Dエリア)、ユーフォルビア・ウルフェニー(Eエリア) 3月の植物の様子 スイセン‘テータテート’(Aエリア)、ブラックローズリーフレタス(Bエリア)、原種系チューリップ‘アルバ コエルレア オクラータ’(Cエリア)、プルモナリア‘ダイアナ クレア’(Cエリア) ユーフォルビア・リギダ(ガーデンD)、アザレアツバキ(ガーデンD)、ナルキッスス ‘ペーパーホワイト’(ガーデンE)、クロッカス ‘アードジェンク’(ガーデンE) 2月の植物の様子 シラー・シベリカ‘アルバ’(Aエリア)、シラー・ミシュチェンコアナ(Aエリア)、日本スイセン(Bエリア)、イタリアンパセリ(Cエリア) ローズマリー(Dエリア)、カレックス・オメンシス‘エヴァリロ’(Dエリア)、ナルキッスス カンタブリクス モノフィルス(Eエリア)、コルヌス ‘ケッセルリンギィ’(Eエリア) 1月の植物の様子 左から/ロータス ‘ブリムストーン・ライムゴールド’(Aエリア)、ワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’(Bエリア)、コトネアスター(Bエリア)、エリンジウム パンダニフォリウム ‘フィジックパープル’(Cエリア) 左から/庭人さんのビオラ(Cエリア)、モンタナハイマツ(Dエリア)、アロエ ストリアツラ(Eエリア)、ユッカ ‘ゴールデンスウォード’ (Eエリア) 全国から選ばれた入賞者5名のガーデンコンセプトと月々の様子 コンテストのテーマとルールをふまえて制作される5つのガーデン。それぞれのガーデナーが目指す庭を、作者の制作意図や図面、植物リストの一部を紹介しながら、月々の様子を撮影した写真とともにお伝えします。 コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【作品のテーマ・制作意図】 皆さんの日常に癒やしや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香りなどを楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。 【主な植物リスト】 宿根草:エキナセア‘マグナススーペリア’/ペンステモン‘ストリクタス’/アガパンサス‘ピッチュンホワイト’/クラスペディア‘ゴールドスティック’/オルレア・グランディフローラ‘ホワイトレース’ などグラス類:ペニセタム・ビロサム‘銀狐’/メリニス‘サバンナ’/ホルデューム・ジュバタム/カラマグロスティス・ブラキトリカ など低木:コルヌス・ステラピンク/ビルベリー‘ローザスブラッシュ’/ニシキギ・コンパクター/コバノズイナ など球根:チューリップ‘フレーミングピューリシマ’/レウコジャム‘スノーフレーク’/アリウム‘グレイスフルビューティ’ など コンテストガーデンA 月々の変化 11月の様子 たくさんのグラス類と季節の草花が織りなすトーンに渋みが加わり、中央に配されたバイオネストと相まって、全体にワイルドな雰囲気が漂います。シュウメイギクやアガスターシェ、オミナエシといった秋の花々が、控えめながらも確かな彩りを添えています。カラミンサやロータスのふんわりと広がる草姿が、爽やかで軽やかな印象を演出しています。 上左/夏からずっと咲き続けているアガスターシェ‘ブルーフォーチュン’と9月中旬から開花し始めたシュウメイギク‘パミナ’。午後には日陰になる場所でこっくりとした花色を見せている。上右/黄葉のホスタ‘サムアンドサブスタンス’と光沢のあるケイトウの輝きが、シーンの明るいアクセントに。下左/オミナエシやエリンジウム‘ホワイトグリッター’のシードヘッドが野趣あふれるシーンを引き立てている。下右/繊細なグラス類やカラミンサ、ロータスが、爽やかな空気を感じさせている。 10月の様子 一時は花数が減ったガーデンも、秋の訪れとともに再びたくさんの花が咲き始めました。なかでも目を引くのは、ピンクや赤、オレンジなど鮮やかな色合いのケイトウの穂。そのつややかな光沢は、シュウメイギク、ホトトギス、アガスターシェなどの花々を一層あでやかに引き立て、ペニセタムやミューレンベルギアなどのグラスの穂とともに、秋のガーデンをにぎやかに彩っています。 上左/アガスターシェ‘モレロ’やサルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’などの草花の合間で、ピンクやアイボリーのケイトウが目を引くアクセントに。上右/オミナエシの群生が、コルヌス‘ステラピンク’の株元でひっそりと野趣を感じさせている。下左/直立する赤褐色のワレモコウとカーブを描くイトシマススキ、ふんわりやわらかい印象のカラミンサなど、バラエティに富んだフォルムで自然な風景を織り成して。下右/ミューレンベルギア・カピラリスやペニセタム・ビロサム‘銀狐’などのグラス類や、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、ケイトウなど、彩り豊かな秋風を感じるワンシーン。 9月の様子 花壇のそばに植わるマツの木が、やわらかな木陰を落とすこのガーデンには、ほかのエリアよりもひと足早く、秋の気配が訪れています。花数はかなり減ったものの、アジサイ‘アナベル’の花がらやグラス類、さまざまなシードヘッドが、ダイナミックな造作のバイオネストに寄り添いながら、季節の移ろいを感じさせています。 上左/アジサイ‘アナベル’の丸い花がらや細いイトススキ、幅が広く長い葉のシランなど、さまざまなフォルムの植物が組み合わさって、花が無くても表情は豊か。一角では、アネモネ‘パミナ’のピンクのつぼみが膨らんできている。上右/夏に伸びきった枝葉がすっきりと剪定され、バイオネストがよく見えるようになった。一定方向に組まれた枝が、植栽に規則的な流れを生み出している。 下左/グラス類が風になびくさまが、秋を感じさせる。下右/ルドベキア‘リトルヘンリー’の控えめな花が、落ち着きを見せ始めたいまの季節にピッタリ。 8月の様子 7月に主役的存在だった淡い黄花のルドベキア‘フラメンコ・バニラ’は影を潜め始めました。 代わりに鮮やかな黄花のルドベキア‘ゴールドスターム’が咲き始め、先月から咲き続けているオレンジ花の‘フラメンコ・ブライトオレンジ’やアガスターシェ‘モレロ’とともに、鮮やかさと深みのある色彩を織り成しています。また、中央のバイオネストの傍らでは、小型の西洋フジバカマや、ユーパトリウム‘ベビージョー’が、グラス類とともにワイルドな趣を演出。ホトトギスやシュウメイギクなどの秋の植物も成長し始めています。 上左/盛夏もバイオネストがオーナメンタルな存在感を発揮。上右/ユーパトリウム‘ベビージョー’の群植が印象的。中左/赤(アガスターシェ‘モレロ’)×青(サルビア‘ミスティックスパイヤーズブルー’)×黄(ルドベキア‘ゴールドスターム’)のカラフルな花色の連なりが、夏らしさを強めている。中右/カラミンサのふんわりとした草姿が植栽に涼をもたらしている。下左/ルドベキア‘ゴールドスターム’やアガスターシェ‘ブルーフォーチューン’、グラスの爽やかなシーン。下右/アジサイ‘アナベル’やエキナセア‘サンシーカーズ レインボー’の花が色褪せ始め、ミスカンサスの穂がほんのりと秋の訪れを感じさせている。 7月の様子 ルドベキアにエキナセア、アガスターシェ、アスターなどの素朴な中に、華のある草花がメインとなり、この時季の彩りとなっています。その中で、アガパンサスとアジサイ‘アナベル’の白花が清涼感をプラス。ディスカンプシアやミスカンサス、ペニセタムなどのグラス類が花の間をつなぎ、この時季ならではの風景に一体感をもたらしています。 上左/ルドベキア ‘フラメンコ・バニラ’とアガパンサス‘エバーホワイト’の涼やかな組み合わせ。コンパクトなルドベキアを選んでいるので、抜群のまとまりに。上右/アガスターシェ‘モレロ’とアスター‘ロイヤルルビー’、ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’の濃厚な花色の取り合わせが印象的なシーンを描いている。中左/素朴な雰囲気のエキナセア・マグナススーペリアとディスカンプシア‘ゴールドタウ’のフォルムのコントラストの妙が味わいを出している。中右/コルヌス‘ステラピンク’の白斑の葉とアジサイ‘アナベル’の白花が離れたところで呼応し、まとまり感をアップ。下左/バイオネストのダークカラーにアジサイ‘アナベル’の白さが際立ち、他の植物も美しく映える。下右/カレックス・エラータ‘オーレア’とヒューケラの葉の明るさがアクセントに。 6月の様子 この時季は、全体的にボリュームがありながらも、デザイン的に抑制が感じられる大人っぽい雰囲気の風景となりました。数種のグラス類に、少量の赤やオレンジ、青の花の存在感が見事に引き立てられています。ふわふわとした植物群の中で、アリウムの丸いつぼみやエリンジウム・プラナム‘ホワイトグリッター’の青花が描くドットが、心地よいアクセントとなっています。 上左/植物の茂みの奥で、鮮やかなオレンジ花のルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’が目を引き、視線を植栽の奥へと誘っている。上右/コルヌス‘ステラピンク’の斑入り葉やエリンジウム・プラナム‘ホワイトグリッター’の青みがかった株が見せる、幻想的なワンシーン。中左/花が少ないエリアで、赤花が落ち着いた彩りを添えているアガスターシェ‘モレロ’。中右/アガパンサス‘エバーサファイア’の濃いブルーの花が、風景に深みを与えて。下左/デスカンプシア・セスピトーサ ‘ゴールドタウ’が伸ばす繊細な穂が光を透過し、軽やかさときらめきをプラス。下右/アリウム・シュベルティのシードヘッドが、オブジェのような存在感を発揮。 5月の様子 たくさんの繊細な植物が風に揺られるさまは、花に満たされた野原のよう。全体的に白・ピンク・黄・青にまとめられた花色が、この時季ならではの軽やかでやさしい雰囲気を生み出しています。ナチュラルな景色の中に大小さまざまなアリウムが球状の花穂を上げ、特にアリウム・シュベルティが造形的なデザインを添えています。 上左/ホルデューム・ジュバタムのツヤのある穂がアクセントとなりながら、シーンの切り替えにも一役買っている。上右/オーニソガラム・アラビカムやダッチアイリス、アリウム‘シルバースプリング’などの球根類を、レースのような白花のオルラヤや紫のクナウティアがふわりと優しく繋いでいる。中左/ダッチアイリス ‘ブルーマジック’ の重量感とクナウティア・アルベンシスの浮遊感が対照的。中右/そばに植わるマツの木で日陰となるエリアは、ダッチアイリス ‘ブルーマジック’がキリッとしたアクセントに。下左/バプティシア・アウストラリスの量感が、シーンの見応えを高めている。下右/つぼみを下げるコバノズイナが野趣を漂わせて。 4月の様子 数種類のチューリップが、ピンク色を軸とした色合いで一斉に咲き始めました。黄色が混ざった小ぶりの花‘ガボタ’がピリリとスパイスを効かせています。周りにはオルラヤやグラス類がふわふわとした草姿で合間を埋めつくし、まさに『ギャザリング=花束』の雰囲気が表現され始めました。 上左/前面を彩っているチューリップ‘パープルエレガンス’と‘ガボタ’。圧倒するようなボリュームで訪れた人を出迎えている。上右/チューリップ‘ガボタ’に寄り添い咲くのは、ナチュラルな雰囲気のブーケに近年よく使われているナズナ(タラスピ・オファリム)。中左/松の枝でやや日陰気味になるコーナーはオルラヤがメイン。中右/後方は明るいピンクのチューリップ‘フレーミングピューリシマ’が賑やかさをアップ。下左/アリウムの隆々とした葉が植栽に立体感をもたらして。下右/下方を軽やかに埋めているフロックス・ディバリカタ‘メイブリーズ’。チューリップ‘ガボタ’とのコントラストが素敵。 3月の様子 2月から東側のガーデンの一角で咲き始めたシラー・ミシュチェンコアナが、黄色いスイセン‘テータテート’とともに、ガーデンのあちらこちらで咲き始めました。また、対の花壇それぞれに一株ずつ植わるユキヤナギが咲き始め、植栽に立体感が出始めています。 左上/林の中の一角を切り取ったような、自然味あふれるシーン。右上/早い時点から勢いよく葉を伸ばす、瑞々しいアリウムが植栽にインパクトを与えている。左下/奔放に枝を広げるユキヤナギがデザインに動きを出している。右下/あちらこちらから顔を出すシラー・ミシュチェンコアナ。先月より花穂が伸びて存在感が増している。 2月の様子 全体的に楚々とした植物で構成されているナチュラルなガーデン。枯れた花茎を残し、頭上から落ちるたくさんのマツの葉を味方につけることで、優しい野の趣が見事に表現されています。白花の2種の球根植物が、いち早く咲き始めました。 左上/クジャクアスターなどの株間で、ひっそりと白い花を咲かせているシラー・ミシュチェンコアナ。草丈2cmにも満たない極小の球根植物。 右上/清楚な彩りを添えるシラー・シベリカ‘アルバ’。原種ならではの繊細さが、ここにはよく似合う。 左下/マツ葉の布団の下から、いくつもの球根が一斉に芽吹き始めて。 右下/1月まで咲いていたアガスターシェ‘モレロ’の立ち枯れの姿が、野趣あふれるシーンを描いている。 1月の様子 2つの花壇の中央に据えられたバイオネストは、線の細い枝で組まれているので、まだ小さく幼い植物ともよく馴染み、オブジェのような存在感を放っています。昨年からちらほらと咲いている名残の花が、高さ20cm程に芽を成長させた球根とともに冬の庭に明るさをプラス。ガーデンの上に伸びるマツから落ちる影ともよく似合い、植栽をより自然な風景に見せています。 左上/クジャクアスターやアガスターシェ‘モレロ’の残花の彩りが、冷たい空気を温めているよう。 右上/ロゼット状に広がるアキレア‘カシス’の株の合間に、球根の芽がひょっこりと顔を出して。 左下/ビルベリー‘ローザスブラッシュ’の赤褐色の照り葉が、冬の光をきらきらと反射。 右下/成長を牽引するかのように球根類の芽が勢いよく伸びて、リズミカルで楽しげ。 12月の様子 コンテストガーデンA Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【作品のテーマ・制作意図】 季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。 【主な植物リスト】 宿根草:バプティシア‘ブルーベリーサンデー’/アガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’ /糸葉丁子草/スタキス・オフィシナリス などグラス類:カレックス‘プレーリーファイア’/メリニス‘サバンナ’/ぺニセタム・オリエンターレ など低木:ブルーベリー/イチジク/紫式部 など球根:アリウム各種/チューリップ各種 など コンテストガーデンB 月々の変化 11月の様子 多種多様な秋の花々とグラス類が自由に広がり、混ざり合いながら一体となって、この季節ならではの庭の表情を生み出しています。高低差を活かした植栽は、いまもなおガーデンに豊かな表情を与えています。4つに色分けされたガーデンでは、そのテーマカラーに沿った花々が咲き続け、訪れるたびに新たな発見がある、飽きのこない風景が楽しめます。 上左/爽やかな青花のアスター‘リトルカーロウ’と斑入りのムラサキシキブが交じり合う、見応えのあるコーナー。上右/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’のオレンジ花と糸ススキ‘モーニングライト’の華奢な穂が秋のぬくもりを感じさせる。下左/茂みの隙間の向こうで、陽の光を透過したグラス類が輝いて見える。下右/銅葉×シルバーリーフが広がるシックなエリアに、シュウメイギク‘雪ウサギ’と白花細弁のクジャクアスターが加わり、透明感と明るさを添えている。 10月の様子 にぎやかだったガーデンは、葉の色が少しずつ落ち着きを見せ始め、ナチュラルで愛らしい雰囲気と、シックで大人っぽい趣が混在する秋らしい風景へと変化しています。ひときわ目を引くのは、種子から育ったオジギソウの花と、静かな存在感を放つ白花のヒガンバナ。趣の異なるさまざまな草花が見事に共存し、多種多様なリーフ類とともに豊かな表情を見せています。 上左/パトリニア・プンクティフローラのライムグリーンの花後の穂がダイナミックに広がり、斑入りのニューサイランやヘリアンサス‘ブリーディングハーツ’とともに見応えのあるコーナーを演出。上右/ピンクのポンポン型の小花が愛らしいオジギソウと、ロータス‘ブリムストーン’のやわらかな緑が、ガーデンの縁をふんわりカバー。下左/ヒガンバナ(白花)とシュウメイギク‘雪ウサギ’が清楚で上品な印象。傍らでルエリアの紫色の花がほどよいアクセントに。下右/銅葉のニューサイランのまわりを、濃ピンクのケイトウやユーパトリウム’マスク‘の立ち枯れが囲み、シックな色彩に。 9月の様子 真夏の勢いを多分に残しながらも秋の気配を感じさせる、生命力あふれるガーデンです。オレンジや黄色のビタミンカラーの花々が、白い穂を出すグラス類とともに、初秋の日差しをまぶしく反射しています。春に種まきされたオジギソウの株が、花壇の縁で勢いよく生育中。 上左/ルドベキアやバーベナ、パトリニア・プンクティフローラの群生からユニークに飛び出すペニセタム・マクロウルム‘テールフェザーズ’が、植栽に躍動感をもたらして。上右/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ブラックジャックゴールド’のホットな色彩が、秋の陽光に照らされたカレックスとともに、落ち着きと温かみを演出。下左/ムラサキシキブの斑入り葉が植栽のトーンを抑え、メリハリを与えている。下右/ユーパトリウム‘マスク’が、アメリカテマリシモツケ‘サマーワイン’とともに勢いよく伸びている。ペニセタム・オリエンターレの白い穂とのコントラストも面白い。 8月の様子 親しみを感じさせてきたナチュラルなガーデンは、濃厚な色彩の大人っぽい雰囲気に変わり始めました。ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’とルドベキア‘ゴールドスターム’の赤花×黄花がつくる波が、この時期のガーデンの印象を強めています。また、ニンジンについたキアゲハの幼虫が旺盛に葉を食べており、数週間後にはたくさんのアゲハ蝶がここから旅立ちそうです。 上左/ホットな印象を与えるヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ゴールドスターム’が、淡く素朴な花を咲かせるパトリニア・プンクティフローラと対比的な風景を創り出す。上右/ムラサキシキブの斑入り葉とコトネアスターのシルバーリーフが植栽にアクセントを添えている。中左/先月に引き続き咲き群れる白花の群れに、メリニス‘サバンナ’の白い穂が加わり、移りゆく季節を感じさせる。中右/アキレア‘ラブパレード’やコレオプシス‘ガーネット’の奥にもペニセタム・オリエンターレが加わり、装飾的な雰囲気を醸し出す。下左/ワインレッドの深みがぐっと増しているレッドコーナー。下右/ペニセタム・マクロウルム‘テールフェザーズ’の直立した細長い穂が、ガーデンの中心でユニークに揺れている。 7月の様子 強烈な存在感で人目を引いているのは、大輪の純白のユリ、オリエンタルリリー・プロポーザル。2つのガーデンの中央部でたくさんの花を咲かる姿は圧巻です。続けて印象的なのが、オリエンタルリリー・プロポーザルの手前に広がるシャスタデージーとムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’が広がるホワイトエリア。ユリとともに、周囲の赤やピンク、黄色の花の鮮やかさを引き立てています。 上左/ユーパトリウム‘マスク’やアンジェリカ・ギガス、エキナセア・テネシーエンシス、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’で魅せるレッドエリア。上右/シャスタデージーとムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’が広がるホワイトエリア。中左/ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’の赤花とアキレア‘テラコッタ’の黄花、ブロッコリーのブルーグレーの葉、ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’の組み合わせが印象的。中右/スタキス・オフィシナリスとアリウム‘ミレニアム’、バーベナ‘バンプトン’のピンクの花に、ペニセタム・ビロサムがやさしく寄り添って。下左/オリエンタルリリー・プロポーザルの周りにバーベナ・ボナリエンシスやバレリアナ・オフィシナリスがワイルドに丈を伸ばしている。下右/ブルーベリーの実がおいしそうに色づいてきた。 6月の様子 色分けした各ゾーンがいずれもボリュームが出て、見応え満点の風景となりました。春はオレンジや黄、ピンクの花で、カラフルで楽しげな雰囲気でしたが、初夏になると黄×銅葉、白花と黒花など、シックで大人っぽい色合わせに変化しています。一角では、種子から育ったブロッコリーやニンジンが発芽して育ち、傍らではネジバナも咲くなど、のどかなシーンを展開。ガーデン内にはカナヘビも棲みついているようです。 上左/アリウム‘パープルセンセーション‘や斑入りのムラサキシキブのシックな植栽に、アキレア・クリペオラータがピリリとスパイスを効かせている。上右/ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’の黄緑葉とヘリオプシス’ブリーティングハーツ’の銅葉、ブロッコリー‘スティックセニョール’のブルーグレーがかった葉で魅せる、重厚な雰囲気が漂うコーナー。中左/ピンク花のスタキス・オフィシナリスと終わりかけのアリウム‘クリストフィー’の造形的な対比がユニーク。中右/シャスタデイジーやホタルブクロの白花と、アジュガ‘バニラチップ’やムラサキシキブの斑入り葉を組み合わせた、涼やかなエリア。下左/白花のサンギソルバテヌイフォリアアルバ、黒花のスカビオサ‘エースオブスペード’など草丈のあるもので構成された、シックでワイルドなエリア。下右/ニューサイランとサニーレタスの銅葉がガーデンの印象を引き締めている。 5月の様子 2月末に植えたサニーレタスがこんもりと茂り、種子を筋まきした一角ではニンジンが芽を出し、イチゴも赤く育ち始め、実りある景色が楽しめるようになりました、この庭のコンセプトである‘命の育み’が強く表現されはじめています。一方、アリウムが咲き群れるエリアには、シックで大人っぽい雰囲気が漂うなど、眺める角度によって楽しめるシーンが大きく異なっています。 上左・上右/ギリア・レプタンサ×アリウム‘パープルセンセーション’の花が宙を浮いているように咲いていて幻想的な雰囲気。中左/2種のアリウム、スティビタツム‘ホワイトジャンアントとクリストフィー。異なる色形・高さでリズミカルに競演。中右/アキレア‘テラコッタ’の銀葉とリシマキア‘ファイヤークラッカー’の銅葉の組み合わせが、シックなアクセントを添えている。下左/サニーレタスを軸に赤褐色がにじむ植物でまとめられたエリア。下右/チャイブや実をつけるワイルドストロベリーがのどかな時間を演出。 4月の様子 西側のガーデンではピンクのチューリップの開花の盛りが過ぎ、東側のガーデンのオレンジ×黄のチューリップにバトンタッチしました。温かみのある色鮮やかな組み合わせが遠くからでも目を引き、心浮き立つ風景が広がっています。中央に植わるブルーベリーの開花がピークを迎え、収穫期の楽しい風景が待ち遠しいガーデンです。 上左/チューリップ‘バレリーナ’とスイセン‘フォーチューン’の元気が出る色合わせ。上右/こんもりと茂るギリア‘レプタンサブルー’の群生の中にチューリップ‘エデュアルトペルガー’が大人っぽいアクセントを加えている。中左/アジュガ‘ブロックスカップ’が広がる傍らで、ポツンポツンと咲くムスカリ・ラティフォリウム。中右/ピンクのチューリップ‘フレーミングピューリシマ’の株元でワレモコウのやわらかい新葉が無数に上がっている。下左/コーナーを彩る矮性のチューリップ‘ポップコーン’。 訪れた人を華やかに出迎えているよう。下右/イチゴと原種のチューリップ・ヒルデの素朴な愛らしさを漂わせるワンシーン。 3月の様子 モコモコとしたバークのマルチングの中からさまざまな小球根が芽を出し、ちらほらと花を咲かせ始めました。先月から開花し始めたニホンスイセンは花数が増え、植栽にやさしい華やぎをもたらしています。ガーデンの手前の方では、シラー・シベリカ‘アルバ’やピンクやブルーのムスカリの愛らしい姿が見られるようになりました。 左上/素朴な風情あふれる植栽にニホンスイセンがよく似合っている。右上/2月下旬に植えられたダークカラーのレタス。茶色いカレックスをクッションにして、ワイルドストロベリー‘ゴールデンアレキサンドリア’との色の対比を効かせている。左下/花壇の縁でひょっこり顔を出すムスカリ‘ピンクサンライズ’。右下/イチゴの株の中から花を上げるムスカリ・アズレウム。 2月の様子 やわらかい新葉を芽吹かせる宿根草のグリーンが、冬の日差しにまぶしく輝き、春の訪れを感じさせています。一番乗りでスイセンが咲き始めましたが、その他にもたくさんの球根類が芽を出し始め、のどかな風景が広がっています。 左上/大株のユンカス・ブルーアローがまだ寂しい植栽にボリューム感を与えている。 右上/日本スイセンが開花し始め、ほんのりと華やぎ始めた。 左下/繊細な細葉を上げるアリウム・レッドモヒカンなどの球根類の芽吹き。 右下/青みがかったルー(ヘンルーダ)の葉が、イエロートーンの植栽のアクセントになっている。 1月の様子 ふかふかとした明るい色のマルチングの中に、瑞々しくやわらかい草花の株が点在する様子は、まさに春遠からじといった風景。やわらかい葉のグラス類が風を受けて花壇に動きを感じさせています。グリーンを残すギリア ‘レプタンサブルー’やシシリンチウム ‘ストリアタム’や黄葉のワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’が表土に明るさをもたらしています。S字状の溝部分に入れたトチノキの実やその殻が愛らしく、花壇の中にストーリーを感じさせます。 左上/ギリア‘レプタンサブルー’やシシリンチウム ‘ストリアタム’の明るいグリーンが、花壇に瑞々しい景観を作り出している。 右上/数カ所に設けたサークルネストが、愛らしい鳥の巣を思わせる。左下/冬の陽光に黄金色に輝く、黄葉のワイルドストロベリー ‘ゴールデンアレキサンドリア’とブラウンがかったカレックス ‘プレイリーファイアー’の取り合わせが美しい。 右下/赤い実をつけるコトネアスターのシルエットがユニーク。 12月の様子 コンテストガーデンB Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【作品のテーマ・制作意図】 砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。 【主な植物リスト】 バンカープランツ:へメロカリス/ユウスゲ/イタリアンパセリ など宿根草:モナルダ‘ブラドブリアナ’/エキナセア‘メローイエロー’/アスター‘オクトーバースカイ’ などグラス類:スキザキリウム‘ハハトンカ’/ぺニセタム・カシアン/パニカム‘シェナンドア’ など低木:キンカン/アロニア/コバノズイナ など球根:ダッチアイリス‘ブルーマジック’/カマシア/カノコユリ‘ブラックビューティー’ など コンテストガーデンC 月々の変化 11月の様子 中央部ではスキザキリウムが一面に穂を立ち上げ、どこまでも続くような荒涼とした風景を思わせます。視線を移すと、アスターの花が豊かに咲き群れ、景色の趣が一変するのも見どころ。グラス類やシードヘッド、名残の花々が織りなす絶妙なバランスが、秋ならではのしみじみとした情趣を美しく表現しています。 上左/スギザキリウム‘ハハトンカ’の細長い穂の赤みが増し、ガイラルディア‘グレープセンセーション’やシュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’とともに、ピンクがかった柔らかな風景を見せて。上右/赤い実をつけるアロニアや花後のリアトリス・エレガンス、アスター・アンベラータスが野趣に富んだシーンを織りなしている。下左/アスター‘シロクジャク’やペニセタム‘カシアン’がのびやかに広がりワイルド。下右/アスター‘オクトーバースカイズ’が花壇の縁からあふれ出るように咲く姿は、遠目からも楽しめる。 10月の様子 多様なグラス類が一面に花穂を伸ばし、吹き渡る秋風と競演するように、情趣あふれるガーデンが広がっています。自然の風景を切り取ってそのまま据えたような佇まいは、この時季も健在。先月から咲いているガイラルディア‘グレープセンセーション’に加え、シュウメイギクやリアトリス‘エレガント’のピンクの花も咲き始め、ふわりふわりとグラスに寄り添いながら、落ち着いた彩りを添えています。植栽のあちらこちらでは、カマキリの姿も楽しめます。 上左/ガイラルディア‘グレープセンセーション’、シュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’が静かな風景にやさしい彩りをプラス。上右/草丈の低いアシズリノジギクのシルバーリーフとフウチソウの明るい緑葉が美しく広がる、安定感抜群のエリア。下左/アジサイ‘アナベル’のドライの花がつなぐ、ぺニセタム‘カシアン’×パニカム‘シェナンドラ’のたわむれ。下右/春にチューリップが咲いていたエリアには、赤みを帯びたスキザキリウム‘スタンディングオベーション’が静かに群生。 9月の様子 先月に続き、自然の風合いや趣が楽しめるガーデンです。この時期ひときわ目を引くのは、ぺニセタムやカラマグロスティスのグラス類。どこまでも広がる草原の風景を思わせるような群生が、残暑の厳しいこの季節に、爽やかな空気を運んでくれています。 上左/先月から花壇の中央付近に広がるスキザキリウム‘ハハトンカ’が一段と草丈を伸ばし、ワイルドな魅力が増してきた。上右/カノコユリのタネが大きく膨らみ、にぎやかだった夏の風景を思い出させるような、ノスタルジックな雰囲気を漂わせている。下左/花壇全体を高台から見守るように丈を伸ばしているのは、キンカンやカラマグロスティス‘カールフォスター’。下右/花穂が乾いたユーパトリウム‘マスク’の株元で、にぎやかな黄花を咲かせているのはルドベキア‘ゴールドスターム’。 8月の様子 花数が減り、リーフで魅せる時期となりました。さまざまな色形のグラスが穂を上げ、花後の株とともに、葉の魅力を生き生きと見せています。キンカンの奥にあたる西側エリアは、開花するルドベキア‘ゴールドスターム’とヘレニウム‘シエスタ’の群生が広がり、にぎやかな雰囲気が楽しめる一角になっています。 上左/ガーデンの縁から溢れんばかりのぺニセタム‘カシアン’のダイナミックな穂が、訪れる人々を出迎える。上右/先月、モナルダやアリウムが咲き群れた花壇の中心部では、スキザキリウム‘ハハトンカ’のブルーグリーンの細い葉が風に揺れる美しい姿を見せている。中左/ペニセタム‘カシアン’と反対側の角に植わるモリニア‘エディスダッチェス’の繊細な穂が、キンカンと宿根草をうまくつなぎながら、野趣のあるエリアを作っている。中右/ホスタ‘オーガストムーン’の花後の花茎が、ライムグリーンの葉とともに、さりげないアクセントになっている。下左/ユーパトリウム‘ベビージョー’やカラマグロスティス‘カールフォスター’、ペニセタム‘カシアン’が風に揺れる野趣あふれるワンシーン。下右/キンカンとカラマグロスティス‘カールフォスター’の向こうに広がるエキナセア‘メローイエロー’やルドベキア‘ゴールドスターム’、ヘレニウム‘シエスタ’がにぎやかに花色を添えている。 7月の様子 中央に横たわる谷筋の両側に生き生きと広がる植栽は、どこか高原のワンシーンを想起させる野性味あふれる雰囲気。小川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてくるよう。ガーデン内に植わる2種類のヘメロカリス。通常アブラムシだらけになりがちな花のつぼみに、まったく姿が見られないのは、テントウムシが食べてくれたから。植物が力強く育っている健康的なガーデンです。 上左/ぺニセタム‘カシアン’の白緑に輝く穂や紫ピンクのモナルダの群生が爽やかな風を感じさせている。上右/アジサイ‘アナベル ピンク’やホスタ、アスチルベ・タゲッティ‘スペルマ’のピンクがやさしい雰囲気。中左/ユーパトリウム・マスクとユーパトリウム‘ベイビージョー’やカラマグロスティス‘カールフォスター’、カマツカがワイルドに広がる谷間に咲くのは、ヘメロカリス‘クリムゾンパイレーツ’の朱色の花。ひっそりとした佇まいが目にとまる。中右/アリウム‘ミレニアム’とエキナセア‘メローイエロー’の丈の低い群植とエリンジウム・ユッキフォリウムやカラマグロスティス‘カールフォスター’の草丈の差がメリハリを生んで。下左/カシワバアジサイ‘ルビースリッパー’の赤みが差した花がナチュラルな彩りを加えている。下右/明るいアクセントをもたらすホスタ‘オーガストムーン’を軸にした、野趣にあふれるエリア。カンパニュラ‘アメリカーナ’の青い花穂が爽やか。 6月の様子 先月まで咲き誇っていたアリウム‘マイアミ’の花が終わり、茶色い枯れ穂がユニークな風景を描いています。ナチュラルなガーデンだけに、カシワバアジサイやユリ‘リーガルリリー’の白い花の豪華さが際立ち、アクセントになっています。また、庭のあちらこちらで、テントウムシの幼虫がたくさん見られるようになりました。これは、冬の内にテントウムシが棲みやすい状態に整えていたことと、バンカープランツとしての原種系チューリップやイタリアンパセリを植えたからこそ。まさにこのガーデンは、テントウムシたちの食卓となっています。 上左/アリウム’マイアミ‘の株元を、モナルダ‘ブラドブリアナ’やピンクのモナルダがカバー。上右/コバノズイナ‘ヘンリーズガーネット’が白花を咲かせる穂を下げ、ホスタ‘ファーストブラッシュ’などと共に、瑞々しいシーンを描いている。中左/カシワバアジサイ‘ルビースリッパーズ’の大きな穂が目を引き、植栽の見応えをアップ。 中右/ユリ‘リーガルリリー’が堂々と咲いて華やかな雰囲気。下左/サルビア・カラドンナの群生と数本のアロニアで作る野趣の漂うワンシーン。下右/ホスタ‘オーガストーム’や原種のジギタリス・ルテアなどがグリーンの美しいグラデーションを見せている。 5月の様子 先月開花したフリチラリア‘オレンジビューティー’の株元で静かに待機していたアリウム‘マイアミ’が一斉に開花。落ち着いた色形の品種が選ばれていることで、デザイン的な風景にまとまっています。東側のガーデンでは先月末まで咲いていたカマッシアが終わり、ダッチアイリス‘ブルーマジック’にバトンタッチ。西側のガーデンでは主役が原種チューリップからアリウム‘カメレオン’に移り変わりました。無数にあがる花後のカマッシアが、野趣を強く漂わせています。 上左/太くしっかり伸びた花茎に小さめな花が咲くアリウム‘マイアミ’。無数の花が整然と並ぶ風景は、まるでインスタレーション作品のよう。上右/ダッチアイリス‘ブルーマジック’の背後に伸びるカマッシア・ライトヒトリニ‘カエルレア’の花後の姿にも風情が。中左/谷筋にカマッシア‘クシッキー’やソテツ、ユリがワイルドに広がる。中右/原種チューリップの花後の莢のまわりに広がるのは、コンパクトな草丈のアリウム‘カメレオン’。下左/肉厚で赤い葉脈を持つホスタ‘ファーストブラッシュ’の葉が地際に広がりデザインを引き締めている。下右/プルモナリア‘ダイアナクレア’×ツワブキ×メリカ・ヌタンスと、異なる色形のリーフを組み合わせているエリア。 4月の様子 ビオラ中心の素朴だった風景に、オレンジのフリチラリアや純白のスイセンが開花し、華やかさとボリュームが加わりました。静かに眠っていたガーデンの‘目覚め’が強く感じられます。花壇の縁や通路沿いでは小さなスミレや原種のチューリップ、プルモナリアが開花。コンパクトな株姿が斜面に植わる様子はまるでヨーロッパの自生地のようです。 上左/フリチラリア・インぺリアス‘オレンジビューティー’×アリウムの葉が、動きのあるユニークな風景を創り出す。上右/プルモナリア‘ダイアナクレア’とスイセン‘タリア’の色合わせが上品な雰囲気の一角。中左/小さなビオラ・ラブラドリカとグラスのメリカ・ヌタンスの華奢な組み合わせが、眺める人の視点をぐっと寄せつけている。中右/春の日差しを愛らしく反射する、原種のチューリップ・トルケスタニカとヒルデの群落エリア。下左/エピデディウム‘ピンクエルフ’とビオラが描く、野趣に富んだ風景。下右/アシズリノジギクの上にゲラニウム・ツベロサムが咲くまでは、スイセン‘タリア’が華やぎをもたらしているエリア。 3月の様子 2月下旬の作業でビオラと数種類の苗が加わったことで、宿根草や球根の花が咲くまでのガーデンは、よりにぎやかになりました。ビオラは楚々としながらもニュアンスのある品種を用いているので、デザインに深みを感じさせます。植栽の中をよく見ると、チューリップやアイリスが広がる中で、勢いよくフリチラリア‘オレンジビューティー’の新芽が上がり始めました。 左上/パープルのビオラが広がるエリアで、フリチラリア‘オレンジビューティー’がニョキリと芽を伸ばし始めた。右上/東側のガーデンの一角でひっそりと咲くプルモナリア‘ダイアナ クレア’。左下/ダッチアイリスの群植がユニークな景色を作る。右下/原生地を思わせる咲き姿の原種系チューリップ‘アルバ コエルレア オクラータ’。 2月の様子 なだらかな丘に咲くビオラの株が少しずつ大きく育ってきました。全体的には大きな変化はありませんが、よく見ると球根類の小さな芽があちらこちらに芽吹き始め、これから先の時期への期待が高まります。 左上/ビオラの花色やモナルダ・ブラドブリアナの紫葉、グラスの赤みが、このエリアのメインカラーとなっている。 右上/腐葉土をかぶり、葉をつけたまま越冬したアシズリノジギクが、ひっそりと顔をのぞかせて。 左下/愛らしい綿毛が、晩冬の風情を高めているツワブキ。 右下/枯木立のアロニアやコバノズイナの合間に芽を出しているのは、ダッチアイリス‘ブルーマジック’。 1月の様子 花壇の中は盛土された場所や溝が掘られた場所があることで全体に起伏があり、いくつもの丘が広がるような風景を思わせます。斜面に植わる落葉した数本の灌木と冬枯れの宿根草が沢沿いのようなシーンを連想させたり、ビオラが群植する様子がのびやかに広がる丘のようなシーンを感じさせたりするなど、さまざまな素朴な風景が展開。全体にのどかな雰囲気が漂っています。 左上/落葉したアロニアやノリウツギの数本の幹が、野趣のあるシーンを演出。 右上/長い花茎の先に残るツワブキの花が、侘びと力強さを感じさせる。 左下/丘の斜面に咲き群れるように広がるビオラたち。 右下/まだ厳しい寒さを物語るほかのエリアとは異なり、青々としたイタリアンパセリとエリンジウム パンダニフォリウム ‘フィジックパープル’が明るい透明感を添えている。 12月の様子 コンテストガーデンC Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden 【作品のテーマ・制作意図】 ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。 【主な植物リスト】 宿根草(蜜源植物):ルドベキア/オミナエシ/モルダナ/アザミ/ガウラ/スミレ/チェリーセージ など宿根草(四季の移ろい):グラス類のフェスツカ/カレックス/イトススキ/フウチソウ/チカラシバ/レモングラス/ミューレンベルギア・カピラリスなど低木類(鳥類・昆虫類来訪):スモークツリー‘グレース’/ガマズミ/アロニア‘メラノカルパ’カラーリーフ:カラスバセンリョウ/カリステモン‘リトルジョン’/イリシウム‘フロリダサンシャイン’その他(季節の果実や葉):ビルベリー/コバノギンバイカ/レモンマートル コンテストガーデンD 月々の変化 11月の様子 中央に寄せられた木々が落葉しはじめ、旬を迎えた草花の生き生きとした姿を際立たせています。ピンクや紫の花を咲かせながら自由に枝を伸ばすアメジストセージやハギがふんわりと広がるグラス類とつながり、常緑のリーフ類が彩るエリアとともに、見応えのある風景を作り出しています。 上左/常緑のテンジクスゲやモンタナマツとともに、ハマギクが落ち着いた佇まいで白花を開花。上右/落葉したガマズミのまわりで思いのままにハギが咲き乱れるさまは、愛らしくありながらもワイルド。下左/ボリューム感のあるロマンドラ・ロンギフォリアや明るい葉のカレックス‘エヴァリロ’の勢いある姿がひと際目を引く。アメジストセージのあでやかさが際立つシーン。下右/ミューレンベルギア・カピラリスの赤く透ける繊細な穂が印象的。 10月の様子 勢いに満ちた若々しい植栽は、季節の移ろいとともに落ち着きを見せ始め、樹木と草丈のある宿根草がガーデンに穏やかな雰囲気をもたらしています。植栽に立体感を与えているのは、フサアカシアとユーパトリウム‘グリーンフェザー’。その合間には、紫の花が爽やかなアメジストセージやサンジャクバーベナがふんわりと咲き群れ、ドライになったアジサイやアーティチョークの風合いを引き立てています。 上左/軽やかな植栽にアジサイ‘アナベル’の枯れ色が落ち着きをプラス。上右/ライトピンクのブッドレアとダークトーンのアーティチョークの相反するバランスが絶妙。下左/イリシウム‘フロリダサンシャイン’の黄緑の葉が、シードヘッドや優しいピンク色のシュウメイギクを背後から明るく照らしている。下右/カレックス‘エヴァリロ’、ラムズイヤー、ローズマリー、ペニセタム・アロペクロイデスなどの彩り豊かなリーフ類の植栽を、紅一点のチェリーセージの花でキリリと引き締めて。 9月の様子 若々しく成長していたガーデンも、少しずつ落ち着いたトーンに変わってきました。初夏から独特なオーラを放っていたアーティチョークの花がらは褐色に変わり、ユーパトリウム‘グリーンフェザー’を背景に、より一層の存在感を示しています。 上左/ブッドレアやバーベナ・ボナリエンシスが重なる茂みが、秋の陽光に照らされ、初秋のきらめきを放っている。上右/枯れ色を帯びたアーティチョークの大きな花がらが、ワイルドな植栽の中で宙に浮かび上がり、ガーデンの表情を豊かにしている。下左/アジサイ‘アナベル’の枯れた花穂が秋の訪れを感じさせる。下右/初夏から咲き続けるバーベナ・ボナリエンシスが、いまもなお植栽にナチュラルな彩りを添えている。 8月の様子 盛夏らしく全体的にググっと大きく成長し、見上げて楽しむ風景となりました。春よりもシンプルな植栽ですが、それぞれにボリュームが増して、見応えのある植栽となっています。なかでも特に目を引くのは、ルドベキア‘ゴールドスターム’。旺盛に茂るグリーンを背景に、濃厚な黄色が効果的に映えています。 上左/シンボリックな存在感を放っていたアーティチョークの花が終わり、開花時以上に彫刻的な姿を見せている。上右/花色が少ないエリアでは、アジサイ‘アナベル’の褪せはじめた花が上品な雰囲気を漂わせている。中左/ルドベキア‘ゴールドスターム’のにぎやかな群植が、植栽のインパクトを強めて。中右/ビルベリーの実が色づき始め、風景の小さなスパイスに。下左/花を終えたウスベニアオイがさらに成長を続け、大人の背丈をはるかに超える高さに。よく見ると花茎が帯化(たいか:植物の茎や根などが帯状に平らになる現象)した姿がおもしろい。下右/思わず触わって香を確かめたくなるハーブ類もイキイキと成長。 7月の様子 宿根草が灌木類に寄り添うように大きく育ち、インパクトのある植栽となりました。とくに力強くアピールしているのは、初夏からぐんぐんとつぼみを膨らませてきたアーティチョークの紫色の花。シルバーがかった切れ込みの深いリーフとともに、彫刻的な存在感を放っています。そのほかモナルダ(赤)やルドベキア‘ゴールドストラム’などの赤や黄色の花が、若々しい夏のシーンを描き始めました。また、アロニアやビルベリーの実が色づき始めた様子も楽しめます。 上左/春の終わりから咲き続けているクナウティア・マケドニカが、まだまだ元気に咲き続けている。 上右/発色のよいモナルダ(赤)が、カレックス‘エヴァリロ’やラムズイヤーのカラーリーフに映え、鮮やかさがさらにアップ。中左/ユーパトリウム‘グリーンフェザー’が2mほどに成長し、アーティチョークとバランスを取りながら、植栽にボリューム感を与えている。中右/アーティチョークの紫花とイリシウム‘フロリダサンシャイン’の色のコントラストや、スモークツリーのふわふわとした花が印象的。下左/ルドベキア‘ゴールドストラム’が咲き始め、オミナエシとともに黄色い花が瑞々しい風景に。下右/アジサイ’アナベル‘の豊かな花房と対比して、背景ではアロニア‘メラノカルバ’が小さな紫の実をつけている。 6月の様子 6月に入り植物たちは爆発的な成長を見せ始め、爽やかな初夏を謳歌しています。4月から咲いているクナウティアに加え、ゼニアオイの紫がかった濃いピンク色の花が加わりました。そのシックな雰囲気の中でアジサイ‘アナベル’が明るさを、モナルダやブラシの木の赤花がアクセントを添えています。ところどころに置いた菌糸のステップは、朽ちて崩れ、菌糸たちは土の中の微生物とともに植物の旺盛な成長を促しています。 上左/2種のクナウティアとゼニアオイの濃いピンクの花が、瑞々しい背景につややかに映えている。上右/この時季、遠くからでも目を引く2株のアーティチョーク。間の茂みに、イリシウム‘フロリダサンシャイン’の黄金葉とアジサイ‘アナベル’の白花が、明るさを添えている。中左/向かい合うエリア同士は軽重のバランスを変え、飽きの来ない風景をデザインしているのが分かる。中右/バイオネストが顔をのぞかせ、まるでオブジェのよう。下左/植栽手前側は、カレックス‘エヴァリロ’やラムズイヤーなどのカラーリーフで色彩豊かに。下右/バーベナ・ボナリエンシス(サンジャクバーベナ)が幻想的な風景を作り出す。 5月の様子 植物の成長が全体的に進み、こんもりと茂って生命力が感じられるガーデンに。特にウスベニアオイの旺盛な成長からは、健やかな土中の状態が伝わってきます。そんな重量感のある風景に軽やかさと彩りを添えているのは、2種のクナウティア・マケドニカやアルベンシス。スモークツリーやカリステモン‘リトルジョン’、ビバーナムなどの花も咲き始め、カラーリーフが主体の庭も変化に富んだ表情を見せています。 上左/濃いピンクのクナウティア・マケドニカと紫花のクナウティア・アルベンシスが風になびく姿が、見る人の心和ませる。上右/銅葉のツツジとガウラの新芽が、シーンに深みを与えて。中左/この時季は花が少ないものの、青々と茂るウスベニアオイや黒ずんだ葉のカラスバセンリョウ、陽に透ける美しい葉のスモークツリー‘ロイヤルパープル’など、リーフのバリエーションで楽しめる。中右/ピンクの小花をつけ始めたラムズイヤーのシルバーリーフは、思わず触れたくなる質感。下左/白い粒々とした花を咲かせるビバーナム・ハリアナム。下右/大きな葉を広げるアーティチョークのつぼみが膨らんできた。 4月の様子 先月までは主に灌木が存在感を放っていましたが、4月になると数種の球根が咲き、ほんのり華やぎが加わり始めました。この時季の主役はあちらこちらに点在するピンクのチューリップ。濃緑の葉や銅葉の灌木を背景に、つややかさを際立たせています。2月末に据えた菌糸を固めたステップにオオヒラタケが生え始め、地中の活発な様子がうかがえます。 上左/カラーリーフの中でチューリップ‘メンフィス’の華やぎが際立っている。上右/冬の間からふっくら生成り色のつぼみをつけていたベニバナマンサクがようやく開花。中左/カリステモン‘リトルジョン’のホットな赤花が、他とは異なる異国情緒を漂わせて。中右/まだ銅葉のような葉色をしたヒメハマヒサカキが、植栽に陰影をプラス。下左/手前側を軽やかに埋めているのは、ユーフォルビア・リギダとフェスツカ・グラウカ。下右/ひらひらとしたオオヒラダケのキノコが、菌糸ステップからヒョコリと現れている。こんな風景もこのガーデンならでは。 3月の様子 冬の景色として残していたアスターやススキなどのシードヘッドを2月末の作業で切り戻し、すっきりとした風景となりました。ガーデン手前側のラムズイヤーやクリーピングタイムは茶色い葉が整理され、芽を出した球根類と共に、植栽の瑞々しさをアップ。茶~黄の色彩だった風景は、徐々に緑色の風景へと移ろいつつあります。 左上/つややかな緑が映えるチューリップの芽出し。右上/アザレアツバキが開花。褐色の葉がカラーリーフとして活躍し、イリシウムの黄葉やアカシアの銀葉との色の対比が楽しめる。左下/ラムズイヤー、クリーピングタイムが青々と成長し、ガーデンの色合いをグリーンに牽引。右下/ニョキリと伸びる茎の先に花をつけるユーフォルビア・リギダ。株元では新しい芽をたくさん確認。 2月の様子 冬の装いをした低木の下で、成長の早い宿根草や球根類が成長を始めています。ふわふわとした枯れ姿のノコンギクの株元には、新たな葉がびっしりと広がっています。マルチングに用いたナシのチップがキノコの菌糸と絡み合い、朽ちて土に馴染み始めました。 左上/ベルベット調の質感を持つベニバナミツマタのつぼみが日に日に膨らんでいる。 右上/まわりとの取り合わせで、朽ちた姿にも風情があるアメジストセージやフェスツカ・グラウカ。 左下/ひと足早く青々と成長しているバーベナ・ボナリエンシス。 右下/ラムズイヤーの傍らで芽吹く、赤い新芽のガウラ。奥には球根類がたくさん芽を出している。 1月の様子 落葉した灌木類と冬枯れしたススキやノコンギクなどの宿根草とのコンビネーションが、冬の日差しに反射し、きらめきのある風景を描いています。一方、常緑樹のモンタナハイマツやローズマリーの瑞々しくどっしりとした重量感が、花がないこの時期にも豊かな表情を見せてくれます。所々に配された菌糸を固めて作った平板をめくると、接地面から菌糸が広がっており、土中の微生物たちがぐんぐんと成長しているのが分かります。 左上/アーティチョークのギザギザとした葉で、空間に造形的な面白さをプラス。 右上/枯れ姿のノコンギクが風情たっぷり。フサアカシアなどの灌木同士を、ふんわりとつないでいる。 左下/赤みを帯びたユーフォルビアのユニークなフォルムが、植栽のデザインに動きをもたらしている。 右下/冬の間も楽しめる、モンタナハイマツ×テンジクスゲ×ツワブキの造形の異なる常緑植物の組み合わせ。 12月の様子 コンテストガーデンD KINUTA “One Health” Garden 12月下旬、作庭後の様子。 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【作品のテーマ・制作意図】 私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。 【主な植物リスト】 宿根草:マンガベ ‘マッチョモカ’/アムソニア ‘ストームクラウド’/アガパンサス ‘ブラックマジック’ /アネモネ トメントーサ/ジンジバー(ミョウガ)斑入り/イリス・エンサタ(ハナショウブ)‘バリエガータ’/パトリニア プンクティフローラ/タリクトラム ‘エリン’ /ユーフォルビア ‘ファイアーグロー’/ユーパトリウム ‘リトルレッド’ などグラス類:カラマグロスティス ‘カールフォースター’/モリニア ‘トランスペアレント’ /アンドロポゴン ‘ブラックホークス’ /スキザキリウム ‘ハハトンカ’ /コルタデリア ‘ミニパンパス’/メリニス ‘サバンナ’/ムーレンベルギア/スティパ/ホルデウム など低木:ネリウム(キョウチクトウ)‘ペティットサーモン’/コルヌス(サンゴミズキ)‘ケッセルリンギィ’/ロロペタルム (トキワマンサク) ‘黒雲’ /ブッドレア・ グロボサ など球根:ナルキッスス(スイセン)タリアなど数種/チューリップ(原種、園芸種含めて多品種)/アリウム (開花期をずらして数種)/イキシア・バビアナ・ワトソニアなどの南アフリカ原産種 など コンテストガーデンE 月々の変化 11月の様子 のびのびと広がる多種多様な植物たちは、それぞれ個性を保ちながらも、深まる秋の寂の趣を漂わせるようになってきました。オクラやヒモゲイトウなど昔ながらの植物が植えられた一画は、民家の庭先を思わせるような秋の風情を感じさせます。アスターやシュウメイギク、アスクレピアスなどの花々がひと際艶やかに咲き誇り、情趣豊かな世界を織りなしています。 上左/カリオプテリスやミューレンベルギア・カピラリスがふんわりと広がるその傍らで、アガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’のシードヘッドとシュウメイギク‘パミナ’、アスター‘ジンダイ’が存在感を放ち、対比の妙を演出。上右/今にも綿毛を飛ばしそうなカルドンやバーベナ‘ブルースパイヤ—’などのシードヘッドとパニカム’ダラスブルース’の組み合わせが、デザイン的でありながらのどかな雰囲気を醸している。下左/ユッカ’ゴールデンスウォード’ の直線的で硬い質感と、線が細く柔らかいグラスのスティパの質感の対比が印象的。下右/ミューレンベルギア・カピラリスから透かしてみるルドベキア‘リトルヘンリー’が秋の味わい。 10月の様子 開花のピークがひと段落したガーデンでは、花やリーフが落ち着いた色合いへと変化し、味わいを増し始めています。さまざまなシードヘッドやグラス、リーフの魅力が際立つ季節の到来です。ルドベキア・マキシマやエリンジウム・ユッキフォリウム、カールドン、バーバスカムのシードヘッドのシルエットが爽やかな秋空に浮かび上がり、彫刻のような美しさを堪能できます。たくさんのトンボたちが羽を休めている姿が楽しめるのも、この時季ならではの光景。 上左/カールドンやバーバスカムの黒褐色になったシードへッドと、アスクレピアス・チュベロサの鮮やかなオレンジの花との対比が抜群。上右/エリンジウム・ユッキフォリウムとルドベキア・マキシマのシードヘッドが、空に向かってリズミカルにシルエットを描いている。下左/カンナ‘ベンガルタイガー’の存在感ある立ち姿が、まわりの植物の秋の趣を一層際立たせて。下右/アロエ・ストリアツラ、ベスコルネリア・セプテントリオナリス × デコステリアナ、カレックス‘エバリロ’、セトクレアセア‘プルプレア’の個性的な組み合わせは、秋に入ってもつややかさを維持。茶色になり始めたグラス類との対比が、コーナーを豊かな表情に。 9月の様子 彩り豊かな植栽は、少しずつ深みのある色調に変化しながらも、まだまだたくさんの花々でにぎやかです。マンガベやユッカなど、繊細な植栽のなかで重量感のある植物、乾き始めて軽やかさが増しているグラス類、ダリアやアマランサス‘ホピレッドダイ’など植栽を引き締めている赤葉や銅葉など、それぞれの役割をもった植物が必然性のある配置で、輝きを放っています。赤いオクラや綿の花も見頃。 上左/酷暑を乗り越え、なお元気に育つ多様な草花の中で、カンナ‘ベンガルタイガー’の明るい葉が、圧倒的な存在感で花壇全体をまとめている。上右/どっしりと葉を広げるマンガベ‘マッチョモカ’と、バーベナ‘バンプトン’の霞のような株姿の重量感のコントラストが、組み合わせの妙を感じさせる。下左/パトリニア・プンクティフォリアの花後の白緑色の種穂が輝く重層的な植栽。下右/ユッカ‘ゴールデンスウォード’のまわりで開花を迎えた、ビゲロウィア・ヌッタリィとアリウム‘メデューサズヘア’。スティパ・テヌイッシマも合わせた、このガーデンの晩夏のシンボリックなエリアの一つ。 8月の様子 酷暑の真夏も引き続き多種多様な花が咲き続けています。個性的な色彩とフォルムの対比をさまざまなグラス類が巧みに繋ぎ、混沌しているようでありながら、植物と人、虫たちまでもが見事に一体化された生命の空間を感じられます。グラス類や線の細い植物に対し、カルドンやエリンジウムなどのシードヘッドの彫刻的フォルムが対照的で魅力的。 上左/中央部分では大人の背丈を超える高さにまで植物が生育。アリウム‘サマードラマー’やルドベキア・マキシマのシードヘッドの間で、ヒビクス・コッキウス(モミジアオイ)が赤い花を咲かせている。上右/赤紫葉のアマランサス‘ホピレッドダイ’を引き立てるように、煙のような穂をつけているのはグラス、エラグロスティス・スペクタビリス。中左/線の細い植物を支えるように、ピクナンセマム・ムティクム(広葉マウンテンミント)の白い苞葉が広がっている。中右/日本で古くから育てられていて懐かしさを感じるムラサキゴテン(セトクレアセア・パリダ)と細かい穂のグラス、エラグロスティス・スペクタビリスの組み合わせや、エリンジウム・ユッキフォリウムの丸いシードヘッドが、幻想的な風景を描く。下左/ダウクス‘ブラックナイト’やルドベキア・マキシマのシードヘッドと黒葉のダリア‘ブラックナイト’のシルエットが個性的な風景を演出。下右/強烈な印象を放つカンナ‘ベンガルタイガー’とソフトな草姿のシルフィウム・モーリーや斑入りのグラス、ミスカンサス‘モーニングライト’との取り合わせが好対照。 7月の様子 花壇の中央部の草花は人の背丈を超え、見上げる景色になりました。この時季でも多種多様な花が咲き続けて、日々大きく変化する絵画的シーンとの一期一会の場になっています。あえて無造作に見せるカッティングと目立たないよう支柱を添えることで、整いすぎない植栽の野生みを楽しみながら、植物の生命力まで感じることができます。 上左/にぎやかに咲くコレオプシス’ガーネット’の濃いピンクや、その背後から顔を出すエキナセア’マーマレード’、赤紫葉のアマランサス’ホピレッドダイ’などのこっくりとしたカラーを、スティパのエアリーな褪せた穂がひと際あでやかに引き立てている。上右/エリンジウム’ブルーグリッター‘やアキレア’ヘラ・グラショフ‘などさまざまな色形の植物が、一幅のタペストリーのようなシーンを描いて。中左/リリウム・ライヒトリニィ(=コオニユリ)やフロックス‘ハーレクイン’、モナルダ’ファイアーボール‘のビビッドな花色が、強烈なインパクトを放つ。中右/リアトリス‘コボルト’とダリア‘ブラックナイト’など比較的コンパクトな品種で安定感を出したエリア。下左/ニューサイランの縦ラインを中核に、ブロンズフェンネルやダウクス‘ブラックナイト’などセリ科の花特有の水平感を対比させ、そこにアリウム‘サマードラマー’の球状のシードヘッドがふわりと浮かぶシーンはどこか幻想的。下右/ヘレニウム‘モーハイムビューティー’の花に、ニュアンスある銅葉のクロコスミア‘ソルファタラ’ が寄り添う。その黄〜濃オレンジ花の色彩と、奥に咲くバーベナ・ボナリエンシスやサルビア・グアラニチカなどの青紫花との補植対比が風景にリズムを加えて。 6月の様子 春に引き続き、初夏の花がにぎやかに開花しています。パレットのように豊かな色彩が展開し、花姿・草姿もじつに多種多様。グラス類のメインはホルデウム・ユバツムからスティパに移行しています。中でも繊細でいて堂々とした存在感を放つのは、大型種のスティパ・ギガンテア。ニューサイランやカールドン、エルムルスとともに、造形的でありながら野趣のある風景を織り成し、観る人の関心をぐっと引き寄せています。 上左/ダイアンサス・カルスシアノルムの濃いピンクの花とペルシカリア‘ゴールデンアロー’の黄金葉のコントラストが、シーンの印象をぐっと高めて。上右/さまざまな草姿・花姿の植物が美しいレイヤーをつくり、重層的な風景を紡ぎ出している。中左/ダリア‘ブラックナイト’やバーバスカムなどの多様なリーフの中で、アキレア’アプリコットディライト’、シシリンチウム・ストリアツムが効果的に彩りを添えている。中右/ニューサイランやスティパ・ギガンテア、カラマグロスティス‘カールフォースター’で魅せる、独創的なシーン。すらりと伸びるアリウム‘サマードラマー’のつぼみがユニーク。下左/アロエ・ストリアツラの手前側に合わせられたピンク花のマツバギクと黄葉のカレックス‘エヴァリロ’。ガーデンの入り口にふさわしいウェルカムコーナーとして存在感を放っている。下右/アルストロメリア‘サマーブリーズ’ のオレンジ×黄の花が、灰紫色の葉とともに植栽の表情を豊かに演出。 5月の様子 4月まで個々の形が際立っていた植栽もすくすくと成長し、様々な花が風に揺れる野原のようなナチュラルな風景に様変わりしました。主役はチューリップから、バリエーションもさまざまなアリウムにバトンタッチ。ガーデンのあちらこちらでユニークな花姿が楽しめます。色形のバラエティ豊かな植栽のなかで、特に目を引くのは、ピンクのエスコルチアやパパベル’レディーバード’の花とホルデウム・ユバツムのキラキラした穂。風に揺れる花がビビッドなスパイスとなりつつ、牧歌的・幻想的な光景を演出しています。 上左/目にも鮮やかなピンクのエスコルチアとトラディスカンティア‘スイートケート’、ロロペタルム’黒雲’の配色取り合わせ。アリウム・シューベルティがシーンに形のリズムも添えて。 上右/パパベル’レディーバード’の真っ赤とネペタ’ウォーカーズロウ’の青紫の花色対比が遠目からでも色鮮やかに映える。 中左/ホルデウム・ユバツムの穂が陽光に輝いて描き出す幻想的な野の風景。 中右/花壇中央、ボリュームのあるバプティシア’キャロライナムーンライト’のクリーム色の花穂とアリウム’グラディエーター’と紫色の球形花序で色形のコントラストを表現。 下左/サルビア‘カラドンナ’の深みのある暗紫花がシーンの色彩をぐっと引き締めてより印象を強化。 下右/やわらかく軽やかな色・質感の植物の中、個性の強いアロエ・ストリアツラやベスコルネリアが、優しい表情に溶け合いつつ同時に重量感のあるフォーカルポイントに。 4月の様子 グラベルガーデンのような趣から一転! スイセンやチューリップ、フリチラリアなどの球根に加えてラナンキュラス・ラックスも満開を迎え、一気に華やぎのある風景となりました。 花色の美しさに加え、楽しませてくれるのが個性豊かな春咲き球根の開花リレーやリーフの鮮やかな芽吹き。独創的、かつ景色の移ろいと生命の歓喜を堪能できる季節です。 上左/コーナーで満開を迎えたロロペタルム’黒雲’の濃厚な銅葉と濃赤花が目を引く。黄金葉のトラデスカンティア‘スイートケイト’、青紫花のシラー・シベリカとのコントラストが挑発的。中央のアンティーク調の一輪はチューリップ‘ラ・ベルエポック’、その左、細い外弁に緑色がのる咲き方がユニークな白半八重チューリップは‘ホワイトバレイ’。 上右/ピンク花で黒軸のチューリップ‘ライトアンドドリーミー’やスイセン‘タリア’、銅葉のアスチルベ‘ダークサイドオブザムーン’の濃厚な対比がやわらかい葉群の中で際立っている。中左/ペルシカリア‘ゴールデンアロー’の黄金葉とチューリップ‘ハッピーフィート’の明暗の対比が鮮やか。 中右/大型で彫刻的な姿・不穏な花色のフリチラリア・ペルシカがシーンをぐっと劇的に引き締めて。下左/ユッカ‘ゴールデンスウォード’の株元を軽やかに彩るアスフォデリネ・ルテアの細葉とベロニカ‘ジョージアンブルー’の紫花。下右/原種系のチューリップ ‘ジャイアントオレンジサンライズ’。独特な葉模様と巨大花が個性的なフォーカルポイントに。 3月の様子 グラベル仕上げの地面で個性を放つ植物たち。それら一つひとつにフォーカスして楽しめるのは、地上部が少なく隙間があるこの時季ならではの見どころです。さまざまな芽が小さな景色を織り成す中、今春の一番手で花をつけているのはスイセンとクロッカスの2種。このガーデンでは真っ白い花が見られるのは春の初めだけで、これからカラフルに色づく植栽の静かなイントロダクションとして、清楚な彩りを添えています。 左上/世界の多種多様な植物が、健やかに成長できるよう配慮して植えられたガーデン。右上/ベタっと広がるアリウム ‘マイアミ’。アリウムだけでも大小・姿形さまざまに展開する多様な種類が用いられている。左下/透明感あふれるナルキッスス パピラケウス。右下/白花の外側の花弁が紫色のクロッカス ‘プリンスクラウス’。自然界で見られる“コロニー(群生)”のように、ぎゅっとまとめて植えている。 2月の様子 中央のニューサイランを軸にして渦を描くように設けられた花壇に、早くも植物たちが色形の異なる個性を見せ始めました。現在は、造形的なフォルムのアロエやエリンジウム ‘フィジックパープル’、黒葉のベルゲニア ‘レッドスタート’、ペンステモン ‘ダークタワーズ’などの植物が、他にリードして存在感を放っています。その間では小さな宿根草や球根が愛らしく芽を伸ばして。 左上/芽出しから独特な姿を見せるチューリップ ‘ジャイアントオレンジサンライズ’。 右上/葉の縁が赤く色づくチューリップ シルベストリスと黒みがかる繊細なダイアンサス カルスシアノルム、そしてベタっと大きめの葉を広げるフロミスなどが植わるエリア。どこを切り取っても組み合わせの妙が感じられる。 左下/ユッカの傍らに植わる、クルクルと渦を描く姿がユニークなアスフォデリネ ルテア。個性的だがブルーがかるやわらかい質感が、ユッカの強烈な雰囲気を和らげている。 右下/マットな革質の黒葉ならではの質感で存在感を放っているのはベルゲニア‘レッドスタート’。 1月の様子 化粧砂利のような明るい表土とアールを描く通路のデザインは、植物が小さなこの時期の大きな見せ場の一つとなっています。見下ろした風景はまるでノットガーデンのよう。常緑性のニューサイランやアロエなどのほかは、冬季落葉性の宿根草や低木類で、地上部がとても小さかったり枝のみだったりしますが、冬越しのロゼット葉の造形やカラーステムがとてもユニーク。それだけに、これからの成長と風景の変化も大きな見どころです。 左上/幹立ちして展開するアロエ ストリアツラと、カレックス ‘エヴァリロ’のライムイエローの葉が、植えたてのため不織布を被せて防寒養生中のベスコルネリアをやんわりと目隠し。右上/鹿沼土と軽石をブレンドした明るい表土をトキワマンサク ‘黒雲’の照りのある黒葉で引き締めている。左下/細い葉をふんわりと広げるルッセリア エキセティフォルミスやカレックス ‘プレイリーファイアー’、ロドコマ カペンシスに矮性のネリウム (キョウチクトウ) 、ネリウム ‘ペティットサーモン’を組み合わせた、植物の多様な面白さが感じられるシーン。右下/多くの植物が冬季落葉中のなか、放射状に葉を広げるエリンジウム ‘フィジックパープル’が、目を引くアクセントとして活躍しながら空間を埋めている。 12月の様子 コンテストガーデンE 「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 12月下旬、作庭後の様子。 「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」の参加者募集! ※締め切りました 2022年にスタートしたガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」が、代々木公園・神代植物公園・砧公園での開催を経て、2025年、夢の島公園で始まります。第4回のコンテストの舞台は、夢の島公園「グリーンパーク」内(東京都江東区)。コンテストのテーマは、「海辺のサステナブルガーデン」です。応募の締め切りは、2025年8月31日(日)18時必着。応募方法など詳細は、以下のバナーをクリック! 5月25日(日)「入賞者イベント」開催! ※終了しました 第3回東京パークガーデンアワードの入賞ガーデナー5組によるガーデンイベントを5月25日(日)に開催しました。入賞ガーデナーが案内する「ガーデンツアー」や「たねダンゴづくり」、「微生物観察ワークショップ」など、子どもから大人まで楽しめるガーデンイベントで当日は賑わいました。 ■日 時:2025年5月25日(日)10:00~15:10(雨天中止)■会 場:都立砧公園(東京都世田谷区)コンテストガーデンエリア(みんなのひろば前)■参加費用:無料 第3回 東京パークガーデンアワードの入賞者によるオンライン座談会イベント 都立砧公園にて開催中の第3回コンテストガーデン入賞者5名によるオンライン座談会を2025年8月1日(金)15:30~17:00に開催しました。座談会では、入賞者それぞれの応募書類の紹介、植物の調達から造園、メンテナンスまで、参加したからこそ分かる”ナマ”の声をお届けしました。 11月9日(日) 「ガーデンフェスティバル@砧公園」開催!※終了しました 「東京パークガーデンアワード」のコンテストをより深く知ってもらうためのイベント「ガーデンフェスティバル@砧公園」を11月9日(日)に開催しました。入賞ガーデナーが案内する「ガーデンツアー」や「生き物クイズ」、「ミニブーケづくり」など、秋の花咲く庭を眺めながら過ごす特別な1日。人気のキッチンカーもやってきて、大人も子どもも楽しめるイベントとなりました。 ■日 時:2025年11月9日(日)10:00~16:00(雨天中止)■会 場:都立砧公園(東京都世田谷区)コンテストガーデンエリア(みんなのひろば前)■参加費用:無料 5つの花壇のコンセプト・作庭・審査様子の詳しいレポートはこちらをチェック! コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせください。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料
-
東京都

グランプリ決定!「第3回東京パークガーデンアワード砧公園」の『ファイナル審査』を迎えた11月の庭と審査…
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 制作が始まってから約1年が経過するコンテストガーデン。「最終審査」では、今回のテーマである『訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れた‘みんなのガーデン’が表現されているか』に加え、『秋の美しい風景が楽しめる健やかなガーデンとなっているか』という観点から評価が行われました。これまでに実施された「ショーアップ審査」(4月)と「サステナブル審査」(7月)の結果も踏まえ、総合的に判断されます。審査日:2025年11月6日※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 【コンテスト審査基準】丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りと咲かせられること/公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 11月の審査時期を迎えた5名の授賞ガーデンと一年の振り返りコメントをご紹介 コンテストガーデンA 【準グランプリ】Gathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【審査員講評】 タイトル通り、花束のような素敵なガーデンでした。公園に溶け込んだ遠景は絵画的で美しく、近づいてみると、植物どうしが響き合って作る美しいシーンが随所に見られました。バイオネストはサステナブルな機能だけでなく、庭を特徴づける造形物としても効果的に働いていました。花壇の場所的に一部が松の木陰になってしまうハンディがありましたが、植物選択やメンテナンスの工夫でうまく対処されていました。厳しい夏を越えられなかった植物も見受けられましたが、春の華やかな景色は今なお強く印象に残っており、都会的で洗練された美しさが秋に至るまで展開されていました。多くの人々に楽しさや幸福感、季節の移ろいの喜びを与えてくれるガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 サルビア‘ミスティックスパイヤーブルー’、アガスターシェ‘モレロ’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、アネモネ・フペンシス‘パミナ’、ノコンギク‘夕映’、クジャクアスター‘紫八重’、ヘリオプシス‘ブリーティングハーツ’、カラミンサ、チョコレートコスモスほか 【今回の庭づくりを振り返って】 季節ごとの草丈・開花期・色彩の変化を踏まえつつ、視覚的な彩りと空間の広がりを備えた「庭の花束」を表現しました。限られた面積を鑑みて、小さな配植を丁寧に重ね、グラス類は緩やかに束ねることで、配植の繊細さを際立たせています。夏の開花量を抑える切り戻しを行い、植物の体力を温存させることで、秋まで開花期を延ばす工夫を実践。その結果アガスターシェ、ヘリオプシス、アネモネなどは再び蕾を上げ、秋の構成美においても重要な役割を果たしてくれました。また、子供から大人まで楽しめるように、目線の高さに配慮した多層的な花壇構成を目指しました。宿根草に柔らかな日陰を提供するバイオネストを中心に据えることで、植物の生育特性に応じた配置に多様性を生むことが出来たと考えています。その結果、ガーデン全体に奥行きが生まれ、来園者の視線や動線を自然に誘導してくれる花壇構成が実現しました。 ガーデンにバイオネストがもたらした機能と可能性が、新たな気づきとなりました。管理作業で発生した植物残渣はすべてここに収めることができ、廃棄物の削減と土壌循環の促進に貢献。また、景観要素としても機能し、冬は構造物としての存在感を、春以降は宿根草を始めとする草花の背景として視覚的なアクセントを担ってくれました。ナチュラリスティックな場の質を高めると同時に、来園者の興味を引く造形として、ガーデンに物語性を添える存在となってくれたことは思わぬ発見の1つです。 年間を通しての最大の成果は、ガーデンを介して来園者のまわりで生まれる交流です。植物単体の美しさだけではなく、風景としての調和を大切にしながら「このガーデンがみんなの記憶の中で輝きますように!」と想いを込めて管理に取り組みました。 コンテストガーデンB 【入賞】Circle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【審査員講評】 イチゴやイチジクなど、自分の庭に取り入れたくなるカジュアルな提案がたくさん詰まった庭でした。見ているうちに「美味しそう!」と感じ、ガーデンの先にある家族の物語まで想像させてくれます。剪定枝で作った可愛いサークルネストなど、子どもと一緒に楽しめそうな工夫も魅力的です。植栽デザインは年間を通して全体の色合いが美しく、コーナーごとに設けられたテーマカラーをぐるりと一周しながら眺める楽しみがありました。特に秋には、黄・オレンジなど暖色系の構成から、目を転じるとアスターなどの寒色系へと色調が変化する眺めが絵画のようでした。季節ごとに多彩なシーンを提供してくれ、幅広い世代の来園者が訪れる砧公園という場所にふさわしい、元気をもらえるガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 シュウメイギク‘雪ウサギ’、ヘリオプシス‘ブリーティングハーツ’、ルエリア、アスター‘リトルカーロウ’、クジャクアスター、ケイトウ、青花フジバカマほか 【今回の庭づくりを振り返って】 来園者の興味を引く野菜類やオジギソウなど、みんなのガーデンというテーマに沿った独自のチョイスができました。なかでもオジギソウはとても吸引力があり、子どもだけでなく大人も足を止めて楽しんでもらえていたと思います。また、テーマカラーで分けたりガーデン内でも見所を点在させたりすることで、どの角度からでも楽しめるガーデンになりました。 自分たちで考案した、メンテナンス時の発生材を利用したサークルネストは、生き物の拠り所になるだけでなく季節感の演出にも一役買いました。シンボリックな姿ですが植物の邪魔をせず、ガーデンともよくマッチしたと思います。一年という期間もあり、当初のアイデアの中にあった「たくさんの生きとし生けるものたち全てがやってきてくれる」、というところまで辿り着くことはできませんでしたが、今後も管理事業者によるメンテナンスが続いていくなかで、その姿に徐々に近づいていくことはできるだろうという手応えは感じることができました。 私達の住む世田谷の地の親しみある砧公園で、地域でつながった仲間たちとコンテストに挑戦し、ガーデンをつくり上げ、管理しながら見守ることができました。今後も地元を盛り立てたツールとして、このガーデンが区民の憩いの場になることを期待しています。ガーデンは人と植物だけではなく、人と人とのつながりを生み出すコンテンツ。メンテナンス中などに、来園者にガーデンの説明や見所、今後の楽しみなど、ガーデンの意図を直接伝えることの重要性に気づきました。 コンテストガーデンC 【グランプリ】Ladybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【審査員講評】 「てんとう虫たちの食卓」というテーマがよく表現された庭でした。アブラムシを増やす植物をあえて入れてテントウムシを誘い、剪定した枝葉を作業通路に置いてナメクジなどを引き寄せ植物たちを守るなど、生態系を豊かにすることで庭も美しくするプランが成功しているようでした。プランツタグのQRコードで植物や虫たちを紹介する発信も素晴らしい取り組みです。広めに確保された作業通路が風の道となり植物が蒸れにくく、景観的にも奥行きや抜け感を生み、植物の表情をより豊かに演出していました。グラスの穂が風に揺れる姿は野原で遊んでいるような気持ちにさせ、多彩な植物たちが混み合うことなく絶妙に風を通しながら公園の風景に溶け込む様は、見るほどに引き込まれる美しい眺めでした。予測の難しい酷暑を越えた先に秋の自然な美しさが際立つことこそが、宿根草ガーデンの真骨頂だと気づかせてくれるガーデンでした。 開花(結実)期を迎えていた植物 アスター‘シロクジャク’、アスター・アンベラータス、アスター‘オクトーバースカイズ’、ガイラルディア‘グレープセンセーション’、シュウメイギク‘ハドスペンアバンダンス’、リアトリス・エレガンス、キヨスミシラヤマギク、アロニアほか 【今回の庭づくりを振り返って】 原生地で見られるような群落を意識し、季節──とくに春から初夏にかけて──の移ろいによって雰囲気が大きく変わるように植栽を構成しました。ネスト通路を挟んで各エリアがレイヤーをつくるよう工夫しており、立つ位置によって奥行きが生まれ、印象や見え方が変わったのではないかと思います。 テーマは「昆虫などの小さな生きもの」。そのため、越冬のための枝を敷いたり、春先にアブラムシがつきやすい“原種系チューリップ”を植えたりと、ガーデンの象徴となったテントウムシが早い時期から活動しやすい環境づくりを行いました。その結果、アブラムシなど特定の虫が過剰に増えることもなく、ガーデン全体の生態系をバランスよく保つことができたと感じています。 「バンカープランツ」の手法は予想以上に効果的で、初夏にアブラムシで真っ黒になるはずのヘメロカリスが、ほぼ無傷だったのには驚きました。今回もっとも食害が多かったのはマメコガネでしたが、コガネムシの幼虫に寄生するツチバチが多く飛来していたので、来年の変化が楽しみです。8月の時点で観察できた昆虫はおよそ120種類。ガーデンの存在が、砧公園の生態環境に少しでも寄与できたのではないかと感じています。 一年を通して華やかさを保ちながらローメンテナンスを目指すことは、やはり反比例の関係にあると実感しました。広大ではない1つのガーデンで“見どころ”とのバランスをとる難しさは、大きな学びになりました。 また、施工から約3年後に全体がよく馴染む景観になるよう意識してデザインしましたが、土壌改良(微生物・空気・水の流れを意識)を丁寧に行ったことで、一部の植物がまるで3年の風格をまとったかのように成長し、驚かされました。今後はその部分をさらに深めていけたらと思っています。 コンテストガーデンD 【入賞】KINUTA “One Health” Garden 【審査員講評】 微生物など土の中のことまでよく考えられたガーデンで、土壌改良のため取り入れた菌糸平板からツヤツヤのキノコが生えてきた様は、まるでアート作品のようにも感じられました。「土壌環境が豊かになることで植物本来の力が発揮され、豊かな景観や生態系に繋がる」という自身のコンセプトに真正面から取り組み、生物多様性の面では、実際に虫たちを多く呼び寄せることに成功していました。景観的に植物の高さのバランスに欠ける面もありましたが、できるだけ自然に任せたおおらかな景色とも言えます。メンテナンスの回数も少なく、持続可能な公園の庭づくりという点でも、今後のパフォーマンスに注目していきたいガーデンです。 開花期を迎えていた植物 アメジストセージ、ハギ、チェリーセージ、ハマギク、ブッドレアほか 【今回の庭づくりを振り返って】 子どもたちの遊び場であり、天気のよい日には老若男女が思い思いに過ごす場所。そんな“日常の延長にある公園”の中で、ガーデンを「眺める」「触れる」、時には「花や葉を持ち帰る」など、さまざまな行動を通して、人と人、生き物、植物、微生物が自然に交わる世界を表現したいと考えました。宿根草の花色や種類の配置、低木との高低差などを工夫することで、2つの花壇でありながら統一感と自然な広がりを両立した空間を表現することができました。それぞれの植物の特性を活かしながら、ナチュラルな景観を形成できたと感じています。また、「生き物との共生」をテーマの一つとして掲げ、普遍的なチョウやウグイスなどの小鳥だけでなく、オオセイボウといった珍しい昆虫も観察され、多くの来園者に楽しんでいただけました。 ガーデンは1年間を通してローメンテナンスで維持。刈り込みや枝の更新をしない剪定管理、季節ごとの補植をするのではなく、最初に植えた植物たちが育ちたいように育てました。 今回のコンテストに使用した原産地もバラバラで多種多様な植物たちは、限定的な植栽帯の中でコミュニティを作り生存競争をしています。昆虫や鳥などの生き物は上手くその空間にニッチを見つけて入り込みます。人はガーデンにより五感を刺激され、微生物を浴びることで、心身の本質的な健康を享受しています。この環境、ヒト、微生物の連関こそが“One Health”を体現しています。 さらに、イベントでの案内やメンテナンス、写真撮影などを通じて出会った方々には、「生態系のぬか床」といった取り組みも紹介し、微生物の世界にも関心を持っていただくことができました。私たちの目指す“One Health”の視点からガーデンを体感してもらえたのではないかと感じています。このメンバーで、“One Health”のガーデンを砧公園で提案できたことは、最大の成果だと思います。 コンテストガーデンE 【審査員特別賞】「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【審査員講評】 個性が際立つ植物を巧みに組み合わせ、まるでジャングルの中に入り込んだような感覚を味わえるガーデンでした。多種多様な植物を数多く使い、植物の可能性をとことん追及したカラフルでダイナミックな植栽デザインが特徴的で、その圧倒的な色彩の豊かさが多くの来園者の目を惹きつけていました。花壇の多角形を生かし、見る角度によって、構築的で造形的におもしろい植物、質感のバラエティ豊かな組み合わせ、多彩に変化する色合いなどを楽しめる点が印象的でした。遠くから見ても植物たちの存在感が力強く、厳しかった今夏を乗り越えた姿には感動を覚えます。写真を撮りたくなるシーンが随所に散りばめられ、見る人を自然と滞留させる魅力に富んだガーデンでした。 開花期を迎えていた植物 アネモネ・フペンシス‘パミナ’、カンナ‘ベンガルタイガー’、アスター‘ジンダイ’、アスクレピアス・チュベロサ、ルドベキア‘リトルヘンリー’、オキシペタラム・カエルレウム、ダリア‘ブラックナイト’、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、サルビア・レウカンサ‘フェアピンク’ほか 【今回の庭づくりを振り返って】 この庭には、私自身にとっても初めての挑戦や試み、そして心からのメッセージをたくさん盛り込んでいます。単に「きれいで気持ちのよい場所」ではなく、「人に力や学び、芸術的な希望を与える場」を目指して、深い思索と実践を重ねた一年でした。ほかでは見られない多種多様で個性的な植物を組み合わせ、審査の時だけでなく常に美しい開花リレーを織り成し、絶え間なく、そして常に変化し続ける美しさを保つことができました。その風景の変化には、私が追い求めてきた“漸進的な生命の美”が宿っていました。世界中の植物を混沌と調和させながらも、日本の夏冬の気候を生き抜ける植物選び。オクラやミョウガなど、どこか懐かしい日本の「民家の庭」の情景へとつながる—そんな新しい都市生態系を示す試みでもありました。 経験値やバックグラウンドの異なるボランティアの方々と心を一つにすることも難しい課題でしたが、皆が庭を心から愛し、活き活きと動いてくださる姿に何度も胸を打たれました。ボランティアの方々と互いをリスペクトし合いながら、人間も植物も共に成長していくこのプロセスは、気候変動により、個人でガーデンを作ることがますます難しくなる現代において、とても心優しく美しい行為でもあり、人と人を結ぶ社会的・コミュニティ的な意義においても大きな希望を与える取り組みであると実感しました。 春、車イスでいらした方が、「私の庭を背景に写真を撮りたい」と車イスから立ち上がり歩いてくださったその時、植物と人との間に底知れないパワーが生まれているのを感じました。愛と思いやりをもって接すれば、植物にも人にも力が宿る。ガーデンは勝負ではない。庭を造る者の情熱や優しさ、心の美しさを映す鏡・器なのだと学びました。「あなたはその時ひとつの奇跡に気づくだろう。愛の報酬は愛であるということを」(リチャード・カールソン)
-
神奈川県

【2025年秋で見納め】67年の歴史に幕。市民が守り抜いた「生田緑地ばら苑」再整備前の最後の一般公開へ
春は約800品種、秋は約620品種のバラが咲き誇る「天空のばら苑」 1958年(昭和33年)に開苑して以来、67年もの長きにわたり、憩いの場として市民に愛されてきた「生田緑地ばら苑」は、かつて「向ヶ丘遊園」閉園の危機を乗り越え、市民の声によって守り抜かれた歴史を持っています。モダンローズや希少なアーリーモダンローズなど、約800品種3,300株のバラが植栽されている「生田緑地ばら苑」の歴史をまずは振り返ります。 神奈川県川崎市「生田緑地ばら苑」は、1927年(昭和2年)、小田原急行開通と共に、川崎市多摩区の山の上に開業した「向ヶ丘遊園」の中に、戦争を経て開業から31年後の1958年(昭和33年)に「向ヶ丘遊園ばら苑」として開苑しました(現住所:神奈川県川崎市多摩区長尾2丁目8-1)。 ばら苑は、緩やかな坂道と階段の上に広がり、「天空のばら苑」と称されます。 春は、約800品種3,300株のバラが開花。秋は、四季咲き性・返り咲き性のバラを中心に、約625品種2,900株のバラが開花します。 2023年9月2日に放送されたテレビ東京【アド街ック天国「登戸・向ケ丘遊園」 】の Best20では、「生田緑地ばら苑」が堂々の第1位に選ばれました。番組内では、「地元のひとたちで守ったばら苑」と紹介されました。 歴史のあるばら苑だけに希少な品種が多い一方、最近では病気や老化で衰えが目立つ株も見受けられることから、川崎市は、市民ミュージアムの武蔵小杉からの移転計画と合わせ、「生田緑地ばら苑」全体の再整備を含む管理運営方針を制定中とのこと。今年度内に方針をまとめ、2026年度から整備事業が始まるため、この2025年秋の一般公開をもって、しばらくの間休苑となることが決まりました。 これを機に、市民をはじめ、近郊の人々にとっても、67年もの長きにわたって憩いの場として親しまれてきた、多摩区を象徴する「生田緑地ばら苑」の歴史と魅力について振り返ってみたいと思います。 「生田緑地ばら苑」の歴史 開苑時の時代背景 ZaQeL/Shutterstock.com 遡ること、1958年5月23日「向ヶ丘遊園ばら苑」として開苑したその年の日本国内の主な出来事を調べてみると、1958年は、第二次世界大戦後の“日本の敗戦から復活を目指す”高度急成長期を象徴する出来事がたくさんあった年でした。 3月9日:山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ海底トンネル「関門トンネル」が開通。 4月5日:長嶋茂雄プロ野球デビュー。 11月1日:特急「こだま」が運転開始。 11月27日:皇太子明仁親王(現・上皇様)と正田美智子様(現・上皇后様)のご婚約発表。 12月1日:新1万円札(聖徳太子)発行。 12月23日:東京タワー完成。 12月27日:国民健康保険法公布、他。 この年の出来事を振り返ると、日本国内だけでもこんなにさまざまなことがあり、時代が大きく新しい時代に移行している様子がうかがえます。 1977(昭和52)年に、朝日新聞社より寄贈された「フローラの像」のある「ロイヤルコーナー」。 「ばら苑」ができる前の「向ヶ丘遊園」でも、平和や豊かさを象徴する娯楽施設が次々と創られていました。「動物園」(1950年)、「プール」及び「天然スケート場」、遊園地の入り口から園内山頂を結ぶ関東初の「空中ケーブルカー」(1951年)、「観賞用温室(オランジェリー)」(1955年)などが設置されました。 そしていよいよ、日本では明治維新以後「文明の花」の象徴とされ、世界大戦以後は「平和の花」の象徴となったバラが、「向ヶ丘遊園ばら苑」に集められ、1958年5月23日に開苑の日を迎えました。 開苑間もない5月27日と翌年の1周年記念には、秩父宮妃殿下がご来訪されました。 開苑時に携わった人々 「向ヶ丘遊園ばら苑」開苑には、当時の園芸やバラの専門家たちが携わっていました。 ばら苑の設計には、東京大学農学部園芸学教授の横山光雄氏、ばら苑の植栽と管理には、新宿御苑苑長の福羽発三氏、バラの品種については、海外の留学経験もあり、海外のバラに関する書物を日本に紹介し、バラの普及に貢献し、日本に於ける初めてのバラの会「大日本薔薇協会」{1927(昭和2)年3月25日設立}や、「ひらかた大バラ園」(現・ひらかたパーク・ローズガーデン){1955(昭和30)年開園}の誕生に深く携わった岡本勘治郎氏などが、「向ヶ丘遊園ばら苑」の誕生にも深く携わっていました。 戦中~戦後と、園芸やバラ栽培を続けることが困難な時代に、日本での園芸文化やバラ文化を守りぬいた当時の専門家たちの知識と経験が、「向ヶ丘遊園ばら苑」の誕生に注がれたことを思うと感慨深いものがあります。 開苑後の様子 「向ヶ丘遊園ばら苑」の開苑後は、1963(昭和38)年に、第1回フラワーショー「日本の花・世界の花」ほか、さまざまな花に関するイベントが開催されるなど、しばらくの間、遊園地と共に大変人気を博しました。 1990年代のばら苑の様子。 1977(昭和52)年に、朝日新聞社より寄贈された「フローラの像」のある「ロイヤルコーナー」。こちらには、‘クイーン・エリザベス’や‘プリンセス・アイコ’、‘プリンセス・ミチコ’ほか、皇室や世界のロイヤルにちなんだバラが今も植栽されています。 1990年代のばら苑の様子。 当時は、水の豊富なばら苑として、噴水や水面に映るバラの美しい風景を楽しむことができました。 「向ヶ丘遊園」の閉園と「ばら苑」のその後 長い間、人々に愛された「向ヶ丘遊園」でしたが、時代の流れと共に、他の大型テーマパークの台頭などにより、徐々に来園者数に影響が見られるようになりました。そして2002年3月31日に、「向ヶ丘遊園」は惜しまれながら閉園となりました。 「向ヶ丘遊園」は閉園となりましたが「ばら苑」の存続を強く希望する市民の声を受け、川崎市が「ばら苑」とその周辺の土地(7.4ha)を購入し、「生田緑地ばら苑」として存続することになりました。 ボランティアの作業風景。 2005年には、「生田緑地ばら苑ボランティアの会」が発足し、20年間にわたりバラの育成管理や苑の維持管理などに協力してきました。また、春と秋の一般公開時には、ボランティアによる苑内ガイドツアーなども行われました。 続けて2007年からは、日本ばら会による講習が始まり、2008年には、ばら苑開苑50周年記念として「イングリッシュ・ローズコーナー」が増設されました。 「イングリッシュ・ローズコーナー」に咲く‘リッチフィールド・エンジェル’(S)(2006年、英、D・オースチン作出) ‘アン・ブリン’(S)(1999年、英、D・オースチン作出) 2011年頃には、「オールドローズガーデン」が増設されましたが、このエリアは、小田急向ヶ丘遊園園芸部に入社され、1977年から約6年間「向ヶ丘遊園ばら苑」の責任者を務められた村田晴夫さんと、ボランティアが中心となって創り上げたものでした。 春の「オールドローズガーデン」の様子。 木々にボランティアが誘引したランブラーローズ‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’の様子。 左/‘ピース’(HT)(1935年、仏、フランシス・メイアン作出)中/‘ピース’の枝替わりとされる‘シカゴ・ピース’(HT)(1962年、米、ジョンストン発見)右/‘ピース’の枝替わりとされる‘クローネンブルク’(別名:‘フレーミング・ピース’)(HT)(1965年、英、マグレガー発見) 苑内には、モダンローズを中心に、野生種のバラやオールドガーデンローズも見られます。 また香りのバラや、殿堂入りのバラも紹介されています。特に、アーリーモダンローズ*の希少種が植栽されていることも、こちらのばら苑の魅力の1つです。 *アーリーモダンローズとは、モダンローズ第1号‘ラ・フランス’が作出された1867年から約50年の間に誕生したモダンローズの総称とされています。 モダンローズ第1号‘ラ・フランス’(HT)(1867年、仏、ギヨー作出) アーリーモダンローズの‘マダム・エドワール・エリオ’(HT)(1913年、仏、ペルネ・デュシェ作出) 左/アーリーモダンローズの‘オフェリア’(HT)(1912年、英、ポール作出)右/‘オフェリアの枝変わりとされる‘マダム・バタフライ’(HT)(1918年、米、ヒル発見) ぜひ、ばら苑にいらした際は、これらの古い時代のバラを探して、それらのバラが誕生した時代背景に想いを巡らせてみてください。バラの美しさだけでなく、バラの背景に広がる物語が見えてくるかもしれません。 バラ咲く季節に開催されたイベントの思い出 2024年10月20日に行われた「近接バラ園とのミニ・シンポジウム」の様子。 昨年2024年の秋の一般公開時には、「川崎市市政100周年及び全国都市緑化かわさきフェア記念」のイベントがさまざまに企画・実施され、そのなかでも、2024年10月20日には「生田緑地ばら苑」にて「近接バラ園とのミニ・シンポジウム」が開催されました。 登壇者には、神代植物公園園長の松井映樹氏、京成バラ園副園長の佐々木猛氏、練馬区立四季の香ローズガーデンガーデナーの小河紀子氏、横浜イングリッシュガーデンガーデナーの黒田智史氏、オブザーバーとしてバラの育成に取り組んでいらっしゃる企業から住友化学園芸(現KINCHO園芸)の牛迫正秀氏、そして会場である川崎生田緑地ばら苑苑長の有賀眞由美氏。私は司会進行役を仰せつかり、シンポジウムではバラに関する興味深い意見が交換されました。 2024年11月3日には、「ブルガリアデイ」が開催され、駐日ブルガリア共和国マリエタ・アラバジエヴァ大使、ブルガリア共和国大使館文化部のクツアロヴァ・エレナさんがいらっしゃり、川崎市藤倉茂起副市長がお出迎えされました。大使からは温かいご挨拶を賜り、クツアロヴァ・エレナさんによる「ブルガリア文化とバラ散歩」と題したトークショーがありました。その後、ブルガリアンダンスの公演、最後は皆で踊り親交を深める貴重なひとときとなりました。 2024年11月4日は、日本ばら会講師によるトークショー、演奏やワークショップが開催され、私も「いにしえから続くバラと人との物語」と題したトークショーをさせていただきました。 2025年秋バラが咲く苑内で11/1(土)~11/3(祝・月)「ファイナルイベント」開催 今年2025年秋の一般公開は、現存の「生田緑地ばら苑」の最後の一般公開となります。 開苑期間:10月16日(木)~11月3日(月・祝日)*期間中休苑日無し開苑時間:平日は10時~15時30分、 土、日、祝日は9時~15時30分*最終入苑時間はいずれも14時30分まで アクセスなど詳細は、生田緑地ばら苑公式HPをご覧ください。 https://www.ikuta-rose.jp/ 11/1(土)~11/3(祝・月)のファイナルイベント開催時には、ばら苑コンサートやトークセッション、園芸講習会が行われるほか、11月2日(日)12時30分~13時30分には、元木はるみと「Garden Story」倉重香理編集長による「スペシャルトークショー」を開催し、バラの歴史や日本で親しまれるバラ、そして未来像などをお話しする予定です。会場は芝生広場、雨天時は屋内。事前申し込み不要。ご参加費無料。 現存のばら苑での最後のイベントになりますので、ぜひお越しください。 今回、この記事をまとめるうえで、『ばら苑物語』(企画発行:生田緑地ばら苑ボランティア会)が大変参考になりました。昨年2024年10月、ばら苑が変化の時を迎える前に、記念誌として、生田緑地ばら苑ボランティア会によって発行されました。 これから、しばらくの間、「生田緑地ばら苑」は再整備のために休苑となりますが、ばら苑物語は、きっとこれからも続いていくことでしょう。 バラが咲き誇る、よりよい未来を心より願っております。
-
神奈川県

【秋バラが本格的に開花!】煌めくクリスマスの雰囲気を先取り「横浜イングリッシュガーデ…PR
秋バラが次々開花し、色濃く輝くオータム・ガーデン 秋バラが満開の横浜イングリッシュガーデン(2025年10月下旬)。 横浜イングリッシュガーデンでは、今年も10月中旬から秋バラが見頃を迎え、11月になってさらに開花が増えていきます。日毎に涼しくなる気候の下でゆっくりと花開く秋バラは、春バラと比べ色合いが鮮明で、ふっくらとした大輪の花を咲かせる傾向があります。 左上から時計回りに/ラ・マリエ/イージー・ダズ・イット/ニュー・ウェーブ/アンゲリカ/サザンホープ/シスター・エリザベス/ベルエポックフェアリー・ボタン 秋バラが満開の横浜イングリッシュガーデン(2024年11月上旬)。 花数こそ春と比べて少なくなるものの、一輪一輪の品質が高く重厚感があるのは秋ならではの魅力です。病害虫の発生しやすい日本の気候条件の下で夏を越し、秋バラを美しく咲かせるには、適切な管理が必要。横浜イングリッシュガーデンが自信を持ってお届けする美しい秋バラを、じっくり見て香りを嗅いで、堪能してください。 秋バラが満開の横浜イングリッシュガーデン(2024年11月)。 ⚫︎横浜イングリッシュガーデンのインスタグラム yokohama_eg_official や各種SNSでは、河合伸志さんの品種解説が書き添えられた見頃の花や庭の様子も毎日発信中! バラのほかにも、秋らしい植栽がいっぱいです。22品種ものコスモスやシュウメイギク、穂が美しいオーナメンタル・グラス、カラーリーフのコリウスなど、秋を代表するさまざまな植物が競演中。夕日に長く伸びる花影さえも目を見張る美しさです。 11月4日(火)からは一年を締めくくる装飾イベント「クリスマス・ディスプレイ」にお色直し つるバラの緑が森のような雰囲気を演出するローズトンネルの下に、ゴージャスなツリーやクリスマスモチーフなどが飾られ、ガゼボもクリスマス色に。芝生広場ではソリのフォトスポットなどが登場し、園内が煌めく「クリスマス・ディスプレイ」2025年の様子。 2025年11月4日(火)~12月25日(木)は、イベント装飾「クリスマス・ディスプレイ」に園内はお色直し。今年は8mのモミの木のクリスマスツリーも登場し、季節を先取りしてクリスマスの雰囲気をいち早く楽しめます。11月中旬ごろまで咲き続ける多数の秋バラとともに、煌めくクリスマスの雰囲気に満たされた期間限定の素敵なガーデンを散策しましょう! 秋色の植物が大集合! 第13回ハンギングバスケットコンテスト 2023年のコンテスト展示の様子。 11月9日まで出展作品募集中 毎年11月に開催するハンギングバスケットコンテストの開催は、2025年で第13回目。全国から個性の光る魅力的なハンギングバスケットの作品の数々が一同に会し、その技術力とセンスを競います。多数の作品がずらりと並ぶ、見応えのある展示をお見逃しなく。*11月9日(日)までエントリー作品を募集中。詳しくは、HPをご覧ください。 「第13回 横浜イングリッシュガーデン ハンギングバスケットコンテスト」 展示期間:11月29日(土) ~12月7日(日) 10:00~18:00 ※最終日は15時までコンテストの種類 :① 壁掛けタイプ(募集数/80作品)作品テーマ「冬を彩るハンギングバスケット」② 吊り下げタイプ(募集数/20作品)作品テーマ「街を彩るハンギングバスケット」表彰式:12月7日(日) 13:30開催予定主催 :(一社)日本ハンギングバスケット協会 神奈川支部、横浜イングリッシュガーデン ハロウィンの起源を知ってお祭りを楽しもう 初夏は無数のバラが咲いていたローズトンネルの下が、ハロウィン・ディスプレイで賑やかな雰囲気に一変する秋の横浜イングリッシュガーデン(2025年)。 日本でも毎年恒例のイベントとなった10月31日のハロウィン(Halloween)は、キリスト教の諸聖人に祈りを捧げる祝日、11月1日の「諸聖人の日」「万聖節」(All Hallo)の前夜祭(All Hallo Eve)。先祖の霊をお迎えするとともに悪霊を追い払い、秋の収穫を祝うというヨーロッパが発祥のお祭りです。日本では「仮装の日」というイメージがありますが、本来の意味は「秋の彼岸」に似ているかもしれませんね。 横浜イングリッシュガーデンのハロウィン・ディスプレイの様子(2025年)。 ハロウィンの起源は、古代ケルトのドルイド教で行われていた「サウィン祭」といわれています。古代ケルトの暦では新年を11月1日とし、前日にあたる10月31日の大晦日の夜に先祖の霊が帰ってくると信じられていました。ところが、悪霊も一緒にやって来て、収穫した作物に悪影響を与えたり、子どもをさらうなど悪事をはたらくといわれていたのです。そこで人間は、悪霊から身を守るために仮面を被ったり、仮装をして悪霊の仲間に扮し、魔除けの焚き火をしていたといわれます。これがハロウィンにお化けの仮装をする由来です。 ハロウィンに欠かせない「ジャック・オー・ランタン」とは 横浜イングリッシュガーデンのハロウィン・ディスプレイの様子(2025年)。 ハロウィンで欠かせないのがシンボルとして使われるカボチャ。目・口・鼻の形をくり抜いて中にキャンドルを灯してランタンに仕立てたものを「ジャック・オー・ランタン」と呼びますが、そのジャックとは、アイルランドの物語に登場する男性の名前です。 横浜イングリッシュガーデンのハロウィン・ディスプレイの様子(2025年)。 ジャックは生前、悪いことを繰り返し、魂を取ろうとやってきた悪魔さえも騙すような行為をしたことから、地獄に堕ちることすらできず、死後もランタンに火を灯して闇夜をさまよい続けたという物語に由来します。愉快で可愛い印象のオバケカボチャですが、そのじつ業の深い人間の姿だったというわけです。ジャックはいまだ闇夜をさまよい続けているのでしょうか…。 写真撮影が楽しい! と毎年好評の「ハロウィン・ディスプレイ」 横浜イングリッシュガーデンのハロウィン・ディスプレイの様子(2025年)。 年々、素敵な仮装をした来園者も増え、楽しさも倍増している恒例のハロウィンをテーマとしたディスプレイは、10月31日(金)まで開催。今年は、秋の植物とともにたくさんのカボチャや大小さまざまなジャック・オー・ランタンを並べ、オレンジを基調とした明るくカラフルなフォトスポットが登場! 秋の植物とハロウィンのアイテムがコラボする横浜イングリッシュガーデン(2025年)。 また、芝地にはセメタリーガーデンをイメージした、モノクロのシックなディスプレイなど、ハロウィンとガーデンの植物がコラボレーションしています。賑やかでワクワクする秋の庭演出の数々を、ぜひ散策をしながら見つけてください。カラフルなコリウスや美しい穂を揺らすグラス類など、秋の庭演出も参考になりますよ。 芝生のエリアもハロウィン・ディスプレイ。周囲の木々のフォルムの違いもハロウィンの雰囲気を盛り上げています。 お見逃しなく!(2025年) 園内に入ってすぐに驚きがあり、園内のあちこちに映えるフォトスポットがあります。秋の植物も彩りに加わる、この時期ならではのガーデン散策をぜひお楽しみください。 10月24日(金)〜26日(日)3日間限定のライトアップイベント! 輝く「ハロウィンナイト」開催 ※本年は終了しました 期間限定公開の、横浜イングリッシュガーデン「ハロウィンナイト」の様子(2025年テスト点灯時)。 10月24日(金)〜26日(日)の3日間限定で、ハロウィン装飾のライトアップを楽しめる夜間イベント「ハロウィンナイト」を実施します! 通常、日没後の園内はご覧いただけませんが、ハロウィン装飾のランタンに明かりを灯し、営業時間を20時まで延長して開園いたします。夕闇に浮かび上がる数々の照明でハロウィンらしさを演出します。普段は味わえない、幻想的な夜のガーデンをお楽しみください。 【「ハロウィンナイト」イベント概要】 期間限定公開の、横浜イングリッシュガーデン「ハロウィンナイト」は、秋に見頃の植物や咲き始めた秋バラのライトアップも見どころ(2025年テスト点灯時)。 開催日:2025年10月24日(金)・25日(土)・26日(日)開催時間:17:30~20:00(最終入園19:30)イベント入園料:大人1,000円/小中学生500円/未就学児無料 ●10/24~26の「ハロウィンナイト」イベントチケットは、10月6日午前10時からネット予約システム(楽天・アソビュー)にて販売中。※当園窓口での販売予定はございません。ご入園前に電子チケットをお求めください。 ※「ハロウィンナイト」開催日は、通常営業は17:00(最終入園16:30)で終了します。当日の通常営業時間にご入園された場合は、「ハロウィンナイト」イベントチケットをお求めの上、17:30以降に再度ご入場ください。※悪天候の場合は、状況により中止または順延となる場合がございます。当日公式HPにてご確認ください。※「ハロウィンナイト」開催日当日は、無料送迎バスを延長して運行します。時刻表等詳細は、公式HPにてご確認ください。 期間限定公開の、横浜イングリッシュガーデン「ハロウィンナイト」の様子(2025年テスト点灯時)。 芝生が広がるエリアも周囲の木々がハロウィンナイトの雰囲気を盛り上げます(2023年)。
-
東京都

【参加者募集中!】都立公園を花で彩るコンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」応募方…
東京パークガーデンアワードとは 写真(上)は、「第1回 東京パークガーデンアワード 代々木公園」のコンテストが開催される以前の様子。オリーブなど既存の樹木はそのままに、芝地が整地されてコンテストの花壇エリア(写真下)が作られました。コンテスト期間中、東京の最新ガーデンが見られるスポットとして多くの人々が訪れました。 2022年にスタートした「東京パークガーデンアワード」は、都内の公園を舞台に、新しい発想を活かした花壇デザインを競うコンテストで、2022年には代々木公園、2023年は神代植物公園で開催。今年は、砧公園を舞台に開催中です。東京都が主催し、12月の作庭から翌年11月のファイナル審査まで約1年かけて行われているガーデンコンテストです。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」で開花した多数の宿根草。ロングライフ・ローメンテナンスをテーマに選ばれた植物は、3月から11月の間、バトンタッチをするように花壇を彩りました。なかには3〜4カ月もの期間咲き続けた種類も。 このコンテストの最大の特徴は、宿根草を活用した「持続可能なガーデン」をテーマにしていること。デザインに加え、植物や土壌に関する確かな知識やノウハウが求められる、今までのものとは一線を画すガーデンコンテストとして注目されています。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」でグランプリを受賞した「Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜」季節の変化。 書類審査を通過した5名の入賞者には、抽選によって割り当てられた区画に、それぞれのガーデンを制作いただきます。そして、植物が成長をスタートした4月中旬に「ショーアップ審査(春の見ごろを迎えた鑑賞性を審査)」を、7月中旬には「サステナブル審査(梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査)」を、11月上旬には「ファイナル審査(秋の見ごろの鑑賞性と年間の管理状況を審査)」という、3回の審査を経てグランプリが決定します。 第4回コンテスト会場とテーマ コンテストの舞台となる東京都江東区にある夢の島公園は都心から近く、東京湾に浮かぶような立地の都立公園です。 かつてのごみの埋め立て地を緑豊かな海辺の公園へと変貌させた「都市再生のモデル」となる公園でもあります。 園内にはユーカリ、デイゴ、ヤシなど熱帯・亜熱帯植物が生育し、熱帯植物館やスポーツ施設、マリーナ、広大な 芝生広場を備え、訪れる人々に南国リゾートの雰囲気を感じさせてくれます。 今回のテーマは「海辺のサステナブルガーデン」です。 東京パークガーデンアワードが実施されるエリア(熱帯植物館西側の グリーンパークの一画)は、公園のシンボル樹であるユーカリの樹林地に面しています。ユーカリの木々を背景に広がるウェーブガーデン(波をイメージしたダブルボーダーの花壇)に、海辺という環境に適した宿根草を使い、持続可能なガーデンを制作していただきます。 ガーデン制作費として最大180万円支給 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」2023年12月作庭時の様子。 書類審査を通過した5名の入賞者には、植物代などガーデン制作にかかった材料費として最大180万円が支給されます。今年は花壇面積が約24㎡と、例年に比べ小さく、ご参加いただきやすくなっています。 【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心を得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 「第3回東京パークガーデンアワード砧公園」審査の様子。第4回の審査員は、福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚さん(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子さん(ガーデンデザイナー)、本木 一彦さん(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子さん(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」応募方法 【申込者について】 ・一般市民、企業・団体、学生などを含め、プロ・アマ、国籍を問わず応募できます。・グループでの応募の場合は、必ず代表デザイナー1名を決めてください。・応募は1名(1団体につき)1件までとします。・定められた期間にガーデン制作やメンテナンスを行なっていただきます。 【ガーデン制作について】 ・ガーデン制作エリアは、「グリーンパーク」内です。 ・ユーカリの樹林地を背にしたエリアです。・ 重機の使用はできません。・ 植物代などガーデン制作にかかった材料費について180万円(税込)を上限に支給します。 ・ガーデン制作は2025年12月15日(月)〜12月19日(金)の5日間の中で行っていただきます。 以降、メンテナンスを行う中で補植も可能です。 【応募に必要な書類】 ・申込書・平面設計図・デザイン画(様式不問) 過去のコンテストガーデンをチェック!
-
東京都

猛暑に負けない花壇!「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の『サステナブル審査』を迎えた、5人…
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 “グランプリ”、“準グランプリ”、“審査員特別賞”と、最終的な結果が決まるまでに4・7・11月の3回に渡り審査が行われますが、ガーデンの施工から8カ月ほどが経過した今回、2回目となる『サステナブル審査』が行われました(梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査します)。審査期間:2025年7月10日~16日。 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部⻑)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 【コンテスト審査基準】丈夫で長生きする宿根草・球根植物(=多年草)を中心に季節ごとの植え替えをせず、季節の花が順繰りに咲かせられること/公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 今回の評価のポイントは主にガーデンの耐久性で、「梅雨を経て、猛暑に向けた植栽がなされ、秋まで庭が維持されるような持続性が考えられているか」。しかし、単に猛暑に耐える庭であることだけが重要ではなく、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられているか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」、そして今回のテーマ、「訪れる人々の五感を刺激し、誰もが見ていて楽しいと感じる要素を取り入れた“みんなのガーデン”が表現されているか」などの項目も含めて評価されています。※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。※今回行われた審査結果の公表はありません。 7月のショーアップ審査を迎えた5名のガーデンをご紹介 コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【作品のテーマ・制作意図】 皆さんの日常に癒やしや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香りなどを楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。 【7月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ マツやケヤキなどが作る日陰などの外的要因によく合わせられた植栽。美しくまとめられた配植のバランスは絵画的。春に引き続き、絶妙な足し算と引き算でまとめられたガーデンからは高い技術力が伺える。 開花期を迎えていた植物 ユーパトリウム‘ベビージョー’、ルドベキア ‘フラメンコ・ブライトオレンジ’、ルドベキア ‘フラメンコ・バニラ’、アガパンサス‘エバーホワイト’、エキナセア・マグナス‘スーペリア’、アジサイ‘アナベル’、アガスターシェ‘モレロ’、ヘリオプリス ‘ブリーディングハーツ’、エキナセア ‘サンシーカーズ レインボー’ など コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【作品のテーマ・制作意図】 季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。 【7月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 土壌の栄養がよいのか巨大な葉が見られるなど、整いすぎていないワイルドさが魅力。生物多様性を意識した自然に親しむことができるガーデンは、自然のエネルギーを感じさせ、見ているだけで元気が出てくる。やや日陰を好むアンジェリカ・ギガスがうまいところに植わっていて、形のおもしろさや色彩を際立たせている。 開花期を迎えていた植物 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’、エキナセア‘ブラックベリートリュフ’、エキナセア・テネシーエンシス、ムスクマロー‘ホワイトパーフェクション’、ユーパトリウム‘マスク’、アンジェリカ・ギガス、バーベナ‘バンプトン’、バーベナ・ボナリエンシス など コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【作品のテーマ・制作意図】 砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。 【7月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 高低差やレイヤーで魅せる美しいバランスが印象的。開花させることだけを目的とせず、葉形や幹、茎が全体的にマッチするよう形をうまく生かした配植は、多様な表情を見せ、自然の風景を存分に楽しめる。それぞれの植物の特性に合わせた配置も機能的に考えられている。 開花期を迎えていた植物 ユーパトリウム・マスク、ユーパトリウム‘ベビージョー’、アリウム‘ミレニアム’、アリウム‘サマービューティ’、アリウム‘イザベル’、エキナセア‘メローイエロー’、カノコユリ‘ブラックビューティー’、アンジェリカ‘ビガーズミード’、ペニセタム・カシアン、モリニア‘エデュスダッチェス’、エラグロディス・スペクタビリス など コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden 【作品のテーマ・制作意図】 ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。 【7月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 土壌のバクテリアを育てるなど、実験的な取り組みがおもしろい。自然を意識した植栽は、藪の中にいるような気分にさせる。昆虫も多く見られ、“生物多様性”の目標に達成していることが伺える。時間の経過でまとまってくると感じられる絶妙なバランス。 開花期を迎えていた植物 アーティチョーク、オミナエシ、ウスベニアオイ、モナルダ(赤)、ルドベキア‘ゴールドストラム’、クナウティア・マケドニカ、アジサイ‘アナベル’、スモークツリー など コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【作品のテーマ・制作意図】 私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。 【7月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ カラフルでダイナミック、ポップでパワフル。植物の種類をたくさん入れることを恐れず、植物の可能性を追及するあくなきチャレンジ精神に拍手。つい写真を撮りたくなる見栄えのするパートがいっぱい。人を長時間滞在させる、飽きの来ないガーデンです。 開花期を迎えていた植物 カンナ‘ベンガルタイガー’、ヘレニウム‘モーハイムビューティー’、ネリウム(キョウチクトウ)‘ペティットサーモン’、エリンジウム・ユッキフォリウム、コレオプシス‘ガーネット’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’、エリンジウム‘ブルーグリッター’、フロックス‘ハーレクイン’、モナルダ‘ファイアーボール’、バーベナ‘バニティ’、サルビア‘ロッキンディープパープル’、バーベナ‘バンプトン’ など <News> オンラインイベント開催&第4回参加者募集 第3回 東京パークガーデンアワードの入賞者によるオンライン座談会イベント開催 現在、都立砧公園にて開催中の第3回コンテストガーデン入賞者5名によるオンライン座談会を2025年8月1日(金)15:30~17:00に開催します。座談会では、自身の応募書類の紹介、植物の調達から造園、メンテナンスまで、参加したからこそ分かる”ナマ”の声をお伝えします。ご視聴のお申し込み(無料)は、以下のバナーをクリック! 「第4回 東京パークガーデンアワード 夢の島公園」の参加者募集! 2022年にスタートしたガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」が、代々木公園・神代植物公園・砧公園での開催を経て、2025年、夢の島公園で始まります。第4回のコンテストの舞台は、夢の島公園「グリーンパーク」内(東京都江東区)。コンテストのテーマは、「海辺のサステナブルガーデン」です。応募の締め切りは、2025年8月31日(日)18時必着。応募方法など詳細は、以下のバナーをクリック! コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせください。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料
-
東京都

【都会の秘境】目黒天空庭園へ! 高速道路の上に広がる驚きの空中庭園
首都高速道路の真上の庭園 黒川の氷川橋付近から見た大橋ジャンクション外観。屋上が天空庭園となっていて、階段を上ると庭園に至るエレベーターがある。右手のクロスエアタワーの9階からもアクセスが可能だ。picture cells/Shutterstock.com 東急田園都市線で、渋谷の次の駅、池尻大橋の近くに要塞のような外観の建物がある。これは、地上~35mの高さにある首都高3号渋谷線と地下約35mにある中央環状線を結ぶ大橋ジャンクション。天空庭園は、このジャンクションの屋上に2013年につくられたもので、約7,000㎡の都市緑地だ。ジャンクションがループ状なので、庭園も外寸175×130mのドーナツ形となっている。植栽は高木・中木・低木を合わせて約4,000本、地被類は73種、約3万株を数えるという。 庭園の案内図、現在地が分かるように何カ所かに設えられている。Henry Saint John/Shutterstock.com 庭園内の高低差は約24m、幅16~24mで、1周は400m。10のゾーンに分かれ、少しずつ趣が異なっている。バリアフリーで、四阿(あずまや)やパーゴラのほか、至る所にベンチが設置されているので、散策に疲れたら座って木々や草花を眺めることもできる。昼食時には、そこかしこでお弁当を広げる人の姿が見られた。 左/空から見た目黒天空庭園の全景。右/ゾーン別に色分けされた見取り図。(写真提供/目黒区) ブドウ棚での収穫祭 管理棟側から見た「西口広場」。 庭園には、4カ所の出入り口が設けられている。池尻大橋駅に近いアクセスを行くと、竹林の見えるアプローチから管理棟のある「西口広場」に至る。ここは低木植栽と花壇が主体の場で、信楽焼のブルーの縁石が印象的だ。 3つのブドウ棚が並ぶ「コミュニティスペース」。 「西口広場」の隣の「コミュニティスペース」では、ブドウ棚に葉が茂り始めていた。栽培されているのは、赤ワインに適した‘マスカット・ベーリーA’という品種で、9月に果実が収穫される。これに、山梨県のワイナリーで採れたブドウを加え、年間300 本のワインが醸造されるという。ブドウ棚は「目黒天空庭園栽培ガーデンクラブ」というボランティア団体のメンバーで管理され、収穫祭なども実施されている。 「コミュニティスペース」の野菜畑 収穫時には子どもたちの歓声が響く、野菜畑。 「コミュニティスペース」にはブドウ棚のほか、暮らしの中で親しまれている花木、そして野菜畑もある。畑には季節ごとにネギやエンドウマメ、ジャガイモなどが植えられ、こちらも前述のボランティア団体の管理区域で、有機栽培を学ぶ場、子どもたちが収穫に訪れる食育の場となっている。 モッコウバラの咲くパーゴラ「くつろぎの広場」 モッコウバラ、スイカズラ、ツキヌキニンドウなどのつる性植物が生い茂るパーゴラ。 散策路を行くと、つる植物に覆われた巨大なパーゴラが目に入る。4月末~5月初旬には、白色モッコウバラのほか、赤とオレンジ色の鮮やかなツキヌキニンドウの花を見ることができる。すっぽりと緑に覆われたパーゴラの下は陽射しの強い日でも快適で、テーブルにお弁当を広げる家族の姿が見られた。 左/パーゴラに咲いていた白色モッコウバラ。中・右/ツキヌキニンドウ。 「くつろぎの広場」の四阿と「あそびの広場」 左/散策路の途中にある四阿。右/紫蘭の咲く道の先に続く「あそびの広場」。 高低差のある庭園だが、木々に囲まれているので、400mを1周するのがそれほど苦にはならない。疲れたら屋根のある四阿でゆっくり休める。その手前ではハナカイドウが開花していた。 四阿(あずまや)脇の紫蘭(シラン)の花の先に広がるのが「あそびの広場」。歩道の左右にある5つの小さな盛り土は「五山の築山」という日本庭園の造園様式だという。撮影の日には松の木の剪定が行われていて、手入れの行き届いた庭園であることが納得させられた。芝生を囲む西洋式庭園と、松やカエデの葉が茂る日本庭園が混在しているのも、この場所ならでは。 庭園では植栽の手入れが丁寧になされている。見事な日本庭園の佇まいだ。 染井吉野とほぼ同じ頃に開花するハナカイドウ。 富士見台から富士を望む 屋上庭園とは思えないほど、濃い緑の木々が茂る「四季の庭」。 「四季の庭」の木々をくぐると「東口広場」に至る。ここは庭園の中で最も高い位置にあり、タワーマンションと目黒区の施設を併せ持つ、クロスエアタワーの9階からもアクセスが可能だ。 「東口広場」の入り口付近。クロスエアタワーのエレベーターで9階をめざすと、屋上とは思えない景色に遭遇する。 エレベーターホールの正面付近に設えられた富士見台からは、晴れた日には富士山を望み、大橋から三軒茶屋方面が一望できる。9階には目黒区立大橋図書館があるので、散策と読書の両方を楽しむ人もあるという。 ここから見える田んぼや池のある空間は、換気所の屋上に作られた「おおはし里の杜」。多様な生き物が生息する緑地で、かつての目黒川周辺の自然を復元したものだという。年に数回、一般公開される。 桜の開花リレー 左から時計回りに、染井吉野、シズカ桜、スルガ桜、オムロ桜、御殿場桜。開花リレーは、ほぼ1カ月続く。 庭園では季節ごとに咲く花が移り変わる。中でも4月の桜の開花リレーは、見ごたえがあるものだ。染井吉野から始まり、シズカ桜、スルガ桜、オムロ桜、御殿場桜(表記は庭園の名札から)と、約1カ月にわたり楽しむことができる。遅咲きのオムロ桜の前で記念撮影するイタリアからの観光客は、桜の季節に間に合ったと、満面の笑みを浮かべていた。 京都の仁和寺の桜として知られる、遅咲きのオムロ桜。半八重の花姿が華麗だ。 染井吉野が咲く頃は、すぐ隣の目黒川沿いの桜も満開なので、中目黒駅から川沿いに20分ほど歩いて、近所の店で買い入れたお花見弁当をここで広げるというのも、おすすめのコース。氷川橋通路からのアクセスが便利だ。 四季を彩る花々 左から時計回りに、信楽焼の大鉢に植えられたオオデマリ、アセビ、ハクサンボク、トサミズキ。 芝生が広がる散策路の両側には、さまざまな木々や花が植栽されていて、人々が木陰のベンチでくつろいでいる。 左/「あそびの広場」に咲く、ハナズオウとオムロ桜。右/「くつろぎの広場」に咲く、源平しだれという名前の2色のハナモモ。 目黒区のホームページや、天空庭園のパンフレットには、季節の花カレンダーが掲載されている。 木々や花には名札が付いているので、散策しながら珍しい植物に出会うことができる。桜、ハナカイドウ、ハナウメなど、4月の開花は見ごたえのあるものだった。初夏の庭園のこれからの開花も楽しみだ。 目黒区のホームページや目黒天空庭園のパンフレットに掲載されている花カレンダー。(写真提供/目黒区) 都市緑化の大きなプロジェクト 国道246号線側出入り口からのアプローチ空間。 高速道路の真上に7,000㎡の緑地を作り出したプロジェクトは、高い評価を得ていて、技術、緑化、デザインの各分野のコンクールで入賞している。周辺地域の環境対策と同時に、誰もが憩える場が提供されたこと、まちづくりの一環として、地域住民の参加がなされていることなど、称賛に値する事業だろう。ビルの屋上での緑化が進んでほしいと願っている身にとって、「天空庭園」散歩は、貴重な体験だった。 管理棟横の小部屋には、天空庭園の航空写真のほか、築庭の過程が分かるパネルが展示されている。
-
神奈川県

【見頃到来】バラとアジサイの共演! 横浜イングリッシュガーデンで出会う初夏の限定絶景PR
首都圏屈指の300品種のアジサイが主役になる季節 遅咲きのバラと早咲きのアジサイが一緒に楽しめる2024年5月下旬の横浜イングリッシュガーデン。 2,200品種、2,800株ものバラが4月下旬から咲き継ぎ、2025年も多くの人を魅了してきた横浜イングリッシュガーデン。5月下旬からは、主役が遅咲きのバラから早咲きのアジサイへとバトンタッチして、景色が日々変わっています。 左/ホルトノキに10株のつるバラ‘ローゼンホルム’を絡め、所々にクレマチスやホタルブクロも競演するバラのシーズンのフィナーレを飾る演出。右/8mのオウシュウナラに赤バラ‘ゾマーアーベント’ が咲くダイナミックな風景。5月下旬。 ‘ローゼンホルム’や‘ゾマーアーベント’など最晩生のバラが咲く頃になると、庭のあちこちで存在感が出てくるのがアジサイです。空のように爽やかなブルーや燃えるような真紅、チャーミングなピンク花など、個性溢れる300もの品種が日毎に色づいています。 5月下旬は、遅咲きのバラと咲き始めのアジサイが同時に楽しめる貴重なタイミング。 一度訪れたことがある方は、「あんなにバラが咲いていた、同じガーデンとは思えない!」と驚くほど。日ごとに存在感を増すアジサイは、6月中旬に最盛期を迎えます。 オレンジ色の‘ラ・ドルチェ・ヴィータ’の二番花とクレマチス‘アフロディーテ’がアジサイとコラボする景色(左)や、ライラック・ピンクの‘シスター・エリザベス’の二番花とアジサイがコラボする景色(右)が美しい6月下旬。。 その頃になると、再び花を咲かせるのはバラの二番花です。ひたすらゴージャスだった一番花に比べると少し控えめながら、ガーデンに彩りを添えています。バラからアジサイに主役が移り変わる5月下旬〜6月上旬と、バラの二番花が咲き始める6月中~下旬は、バラとアジサイが一緒に楽しめる贅沢なとき。多くの植物が生き生きと育つ横浜イングリッシュガーデンならではの景色に出会えます。 花の名にも注目したい個性あふれるアジサイの競演 ローズ・トンネルの下に植るアジサイの一つ、‘恋物語’は、白に赤の覆輪が美しい八重手鞠咲き。早咲きで、花付きがよく、育てやすい。完成度の高い品種。 花弁の縁をくっきりと紅に染めるのは‘恋物語’。 花の中に青い十字が浮かび上がる‘水凪鳥(みずなぎどり)’、そして名前のとおり! と言いたくなる花姿の‘ポップコーン’など、どのアジサイも美しく、花名も魅力的。歩を進めるたびに出会う個性あるアジサイの数々をじっくり楽しんでください。 左/花弁(萼片)の縁が丸くカールする‘ポップコーン’。右/花(萼)の中心に青い十字が浮かび上がる‘水凪鳥(みずなぎどり)’。 横浜イングリッシュガーデンに咲くアジサイたち。左上から時計回りに/‘モナリザ’、‘泉鳥’、‘ギャラクシー’、‘てまりてまり’、‘小町’、‘星花火’、‘レッド・エース’、‘メルティ・ラブ’。 夏のガーデンフラワーと咲き競う最高品質のアジサイ 全国各地のアジサイの名所とはひと味違う花景色が評判の横浜イングリッシュガーデン。その理由は、「庭園」という空間でアジサイが咲いているからです。アジサイだけが咲く名所も圧巻ですが、ここでは例えば、6月中旬からデイ・リリー(ヘメロカリス)、ユリ、アカンサスなど、さまざまな花とアジサイの奏でるカラーハーモニーを楽しむことができます。 庭園の権威ある世界大会で優秀庭園賞を受賞している横浜イングリッシュガーデンのガーデナーたちは、アジサイの栽培技術に長け、独自の技術で花を咲かせています。 そのため、ほかでは見られないようなビッグサイズのアジサイが、園内を進むごとに出現。その大きさとともに、圧倒的な花の数にも驚かされます。 映えスポットが出現! 期間限定のアジサイ・ディスプレイ 「アジサイ・フェスティバル」期間中は、毎年“映えフォトスポット”として人気の高いディスプレイがローズトンネルに出現。今年は、虹のようなグラデーションが映えるアンブレラが頭上を彩り、色とりどりのアジサイが園路を飾ります。雨にも色が冴えるアジサイの花風景を、ぜひ園内でご覧ください。 庭散策の後は、冷たい花モチーフのスイーツでクールダウン! 花々の美しさで癒やされたら、併設するカフェ「YEG Original CAFE」でクールダウンがおすすめ。アイスコーヒーやサンドイッチなどのカフェメニューのほか、特に人気なのが、見た目も可愛い「フラワーソフト」。バラとバニラのミックスソフトに、エディブルフラワーをカラフルにトッピングした、ここでしか味わえない美味しさです。パラソルの陰で花々の香りに包まれながら、ガーデン散策の余韻に浸るティータイムを過ごせます。 日が傾く夕方も庭散策におすすめの時間帯です。日陰のベンチに腰掛けて花々に囲まれる贅沢な時間をお過ごしください。左上に雲のようにふわふわの花穂をつけるのは、花木のスモークツリー。 本格的な夏に向けて、アジサイに混じってスモークツリーやヘメロカリス、ユリ、アカンサスが咲き継ぎ、訪れるたびに発見のある名園「横浜イングリッシュガーデン」。庭づくりの参考に、花知識を深めるために、また、大切な人と過ごす癒やしのデートスポットとして、ぜひお出かけください。
-
神奈川県

神奈川の新名所「あやせローズガーデン」150種680本のバラが咲く“世界を旅する”バラ園の見どころ完全ガイド
150種680本のバラが咲く最新のバラ園が神奈川県綾瀬市に誕生 神奈川県のほぼ中央に位置し、都心から40km圏にある綾瀬市は、GREEN×EXPO 2027(2027国際園芸博覧会)が開催される横浜市瀬谷区に隣接し、「ばらとのつながりで輝くまちあやせ」をスローガンに掲げています。このまちで40年以上、市のシンボル公園として愛されてきた「光綾公園」が構想から4年を経て、2025年5月1日にリニューアルオープンしました。 綾瀬市のオリジナルのバラ「ル・デパール・ド・アヤセ」の解説をする河合伸志さん。 約7,700㎡の敷地に広がる「あやせローズガーデン」の総合監修は、植物専門家でバラ育種家として活躍する河合伸志さん。同県内にある横浜イングリッシュガーデンのスーパーバイザーも務める河合さんが、全国各地のバラ園のデザインやアドバイスなどに関わってきた経験を生かして手がけた最新のバラ園が「あやせローズガーデン」です。 このガーデンは11のエリアに分かれており、1つずつ巡ると、まるで世界を旅しているように風景が次々と変わります。それぞれのエリアのコンセプトに合わせてバラが選ばれているほか、宿根草や一年草、花木などさまざまな植物もたくさん植栽されています。これは、バラの花期がおおむね3週間程度と短いため、ほかの時期にも花が楽しめるよう、脇役の植物が庭全体を彩るように設計されているからで、一年を通して彩りがある公園となるように工夫が凝らされています。 あやせローズガーデンに選ばれたのは丈夫で育てやすいバラ 5月1日に満開を迎えた「フラワー・ヒル」に咲く‘リージャン・ロード・クライマー’。 世界旅行をイメージした11のエリアには、約150品種、680本のバラが植わっています。「あやせローズガーデン」は、幅広い年代の方々が花咲く風景を楽しめる場所ですが、単に花の美しさや彩りを追求しているだけではありません。 背景のハナビシソウとコラボする一重のバラは、デンマークの人が1966年に発表した黄色の中輪のバラ‘Aïcha(アイシャ)’。「フラワー・ヒル」にて。 バラは日本の高温多湿な環境では病気になりやすく、通常は週に1回程度の薬剤散布が必要とされるほど栽培が難しい植物です。ここでは、綾瀬市の気候条件や昨今の猛暑に耐え、月1回の薬剤散布で健全な状態を維持できるような、比較的強健な品種が厳選されています。このように、さまざまな条件が考慮されて植物が選ばれている点も注目すべきポイントです。 暑さで傷みやすいものは入れない方針ですが、デザイン上の理由から、強健ではない品種も若干含まれています。写真は、強健な品種の1つ‘つる ノックアウト’。「ウェルカム・ガーデン」にて。 「フラワー・ヒル」に咲く‘ピンクノイバラ’。 比較的強健なバラを厳選していることには、もう1つの理由があります。それは、この場所を訪れて、気に入ったバラを自宅で育ててみたいと思った方が、うまく育てられるようにという河合さんの配慮です。庭の散策を楽しむだけでなく、この庭自体がバラ栽培の参考書になるような設計を目指しています。 バラ園とともにデビューした最新品種「ル・デパール・ド・アヤセ」 5月1日のお披露目の時、園内の中央に位置する「ピースフル・ガーデン」で数輪すでに咲き始めていたのが、綾瀬市のオリジナルのバラである「ル・デパール・ド・アヤセ」。河合さんが作出した最新品種で、門出を祝うという意味が込められています。 * オレンジがかるピンクの半八重花は花径10cmほどの大輪で、バラの季節に先駆けて花開く早咲きの品種です。また非常に強健で、綾瀬市の名を冠したこのバラを育ててみたいと思った人が栽培に失敗しないようにと選ばれました。 「ル・デパール・ド・アヤセ」は、バラの香りの中でも比較的拡散性が高い「スパイシーな香り」の系統で、蜂にも好まれるバラです。多数の株が植わる「ピースフル・ガーデン」で、実際の香りをぜひ確かめて。 世界を旅するように風景が変わる11のエリア 多くの人がバラの花色としてイメージする赤花が訪問者を最初に迎える「ウェルカム・ガーデン」。この場所からは、他のガーデンは見えない仕掛けに。 「あやせローズガーデン」のエントランスを入ると、まず目に飛び込んでくるのは、印象的な赤い花が集められた「ウェルカム・ガーデン」です。11の庭はそれぞれ区切られていて、先に進むとまた違った色合いや景色が待っているという、奥に向かって期待が膨らむガーデンデザイン。では、11の庭を順に辿っていきましょう。 「ウェルカム・ガーデン」から進むと現れるのは、園内の中央に位置する「ピースフル・ガーデン」です。 ここは、綾瀬市が基地と共存する町であることから、平和の象徴であるオリーブが中央に配置された庭です。水盤のような池を備えたパーゴラがあり、バラが咲くとその水鏡も彩られます。パーゴラは額縁のような役割を果たし、インスタ映えも意識したフォトスポットです。園内で一番眺望が開けており、ベンチに腰掛けて、隣り合う宿根草とともに咲く綾瀬市のオリジナル品種「ル・デパール・ド・アヤセ」 をじっくり眺めていたくなる場所です。 平和の象徴としてオリーブの大木が育つ「ピースフル・ガーデン」。 バラが絡むガゼボが2カ所あり、座って記念写真を撮りたくなる「シークレット・ガーデン」は、パステルカラーのバラで構成。 その隣には、イギリスのバラの庭をイメージしつつ、「秘密の花園」の登場人物に由来する名前のバラを取り入れた「シークレット・ガーデン」があります。ここにはガゼボが設けられており、やがてバラが絡まれば、花々に囲まれた写真撮影も楽しめるでしょう。その隣は、白い花のみで構成された「ホワイト・ガーデン」。さらにその先は、目が覚めるような赤、黄、オレンジ、ショッキングピンクなどの原色のバラを中心に、エネルギッシュな熱帯風を演出した「トロピカル・ガーデン」へと、次々と景色が変わります。 左/「ホワイト・ガーデン」では、白バラが絡むベンチのあるガゼボや、ドイツトウヒに絡めた白バラの開花期には、まるで雪が積もったような針葉樹の森の風景が見られます。右/原色のバラが彩る「トロピカル・ガーデン」では、耐寒性があり、この地域でも問題なく育つバナナの仲間であるバショウ(ジャパニーズバナナ)やヤシがバラとコラボ。 「メドウ・ガーデン」と「トロピカル・ガーデン」をつなぐトンネル。季節にはピンクのバラが絡んで日陰をつくる心地よい空間に。 ラグラスやアグロステンマ、ジャーマン・カモミールなどが咲く5月1日の「メドウ・ガーデン」。 バラのトンネルを抜けると、優しい色合いの植物が選ばれている「メドウ・ガーデン」です。流木を使った柵にもバラが絡み、安らぎ感のある風景が広がる、河合さんもお気に入りのエリア。 左/木道を渡りながら水面の輝きも楽しめる「ウォーター・ガーデン」。右/素朴なバラが丘を覆うように咲く「フラワー・ヒル」。 敷地の一番奥には、スイレンや水の景色も楽しめる「ウォーター・ガーデン」です。手前は華やかな景色、奥は自然な緑と紅葉する樹木で構成されています。木道を渡ると丘のふもとのような場所に到着。見上げると斜面を流れ落ちるようにつるバラが覆い尽くし、その香りが風に運ばれてきます。 「フラワー・ヒル」は、小ぶりなバラや、他の植物に馴染みやすいバラを選んで穏やかな景色に。斜面に沿って植えられたバラがまるで流れ落ちるように咲く様子もお見逃しなく。左下/ワイルドローズとムギ、フロックスが咲く斜面。* 右下/スピノシッシマ・サブスピノーサとハナビシソウが寄り添い咲く。* 「ここに来るまで7つのエリアを見てきましたが、さまざまな色合いのバラを見て、少しお腹いっぱいになっていませんか? このあたりで休憩できるような、ホッとする景色としてデザインしたのがフラワー・ヒルです」と河合さん。 「フラワー・ヒル」は、頂上にベンチと日時計があり、周囲のガーデンが一望できる場所。その先には、また一風変わった「オセアニア・ガーデン」「ドライ・ガーデン」と続き、日本ではあまり見かけない姿の植物とバラのコラボがユニークです。 左/‘アイズ・フォー・ユー’とアリウムがコラボする「オセアニア・ガーデン」。* 右/‘スターリー・ヘブンズ’の背景に、ユッカ・ロストラータや赤花ウチワサボテンの組み合わせが楽しめる「ドライ・ガーデン」。* 11のエリアの最後にご紹介するのは、 日本庭園のイメージでつくられた「古都の庭」です。白い塗り壁に引き立つように余白を生かして植物が配置され、花札に出てくる日本の植物が多数コレクションされています。藤棚を思わせる中央の棚には赤いバラが誘引されていて、見頃の頃には枝垂れ咲く雅な景色が楽しめます。 11のエリアでお気に入りのバラとインスタ映えの景色を見つけよう! バラを主役にしたさまざまな風景を楽しんだり、バラを背景に写真撮影ができる映えスポットもたくさん用意されている「あやせローズガーデン」。市民の憩いと安らぎの場として、また市外から訪れる多くの方にも愛される公園となるようにと願いを込めて誕生しました。150種680本の色鮮やかなバラが次々と咲く華やかな季節はもうすぐ。見頃は5月中旬です。 デザインから植物選び、植栽など総合監修をする河合伸志さん(中央)、日々植物の手入れを担当する「あやせローズガーデン」のヘッドガーデナー、入谷伸一郎さんと石原久美子さん。
-
東京都

春爛漫! 「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」の『ショーアップ審査』を迎えた5人の庭と審査の様…
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 5人のガーデナーが、東と西に対になった2つの花壇を手掛けている今回のコンテスト。昨年、神代植物公園で開催された第2回アワードと同様、個性が際立つにぎやかなガーデンの誕生に、多くの人が関心を寄せています。 審査が行われるのは、4・7・11月の計3回。ガーデンの施工から約5カ月が経過した今回、第1回目となる『ショーアップ審査』が行われました(春の見ごろを迎えたガーデンの観賞性を審査します)。審査期間:2025年4月10日~16日。 審査員は以下の5名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、本木一彦(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事) 【コンテスト審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 今回の評価のポイントは主に、植栽の春の美しさがしっかりと表現されているか=ガーデンの観賞性が重要。単に華やかであることだけが重要ではなく、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられているか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」が求められます。※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。※今回行われた審査結果の公表はありません。 4月のショーアップ審査を迎えた5名のガーデンをご紹介 コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 【作品のテーマ・制作意図】 皆さんの日常に癒やしや潤いを届けたいという願いを込め、プランツ・ギャザリングの視点で、ガーデンをひとつの大きなブーケに見立ててデザインを構成しました。動物たちが次の訪問者のために心遣いを残していく絵本から着想を得て、あらゆる世代の方が見て触れて、香りなどを楽しめるように、花の形や手触りがおもしろいものを用いた植栽計画をしています。ぜひ手に取って、お気に入りの植物を見つけてください。たくさんの感動や気づきが新たな会話を生み、笑顔になるシーンが増えますように。 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ ナチュラリスティックな中にある、華やかさ。子どもの目線で見た時に、目の前に見上げるように迫るチューリップは圧巻。中央に据えられたバイオネストの造形美も見る人を楽しませる。 開花期を迎えていた植物 チューリップ‘フレーミングピューリシマ’、チューリップ‘パープルエレガンス’、チューリップ‘ガボタ’、スイセン‘タリア’、フロックス・ディバリカタ‘メイブリーズ’ オルラヤ、ナズナ(タラスピ・オファリム)、アイリス・モシナンテ、シラー・ヒアシンソイデス(イングリッシュブルーベル)、クナウティア・アルベンシス など。 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 【作品のテーマ・制作意図】 季節によってカラーリングが変化する植物や、実をつけて味わい深い風景を作ってくれる植物に集まる多様な生き物たち。そして各所に配置したサークルネストはそんな生き物たちの拠り所に。命の循環というキーワードをもとに植物だけではなく生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインしました。人間だけに限らず、あらゆる生き物たち「みんな」にとっても楽しめる「命を感じられるガーデン」は「みんなのにわ」となり、命を循環させてゆきます。 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 自分の庭にも取り入れてみたくなる工夫があちこちに。ブルーベリーやイチゴ、ダークカラーのレタスといった食べられる植栽は、身近感があり、見ているうちに「おいしそう!」な雰囲気に。子どもと一緒に楽しめそうな、家族の物語が見えてきそうな花壇。 開花期を迎えていた植物 チューリップ‘バレリーナ’、チューリップ‘フレーミングピューリシマ’、チューリップ・ヒルデ、スイセン‘フォーチューン’、チューリップ‘エデュアルトペルガー’、ムスカリ・ラティフォリウム、アジュガ‘ディキシーチップ’、ブルーベリー など。 コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 【作品のテーマ・制作意図】 砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて住みやすいように生態系を意識した植栽のデザインをしています。植栽は、見る場所や角度によって印象が変わるように、カマキリなどの天敵が身を潜められるような複雑さが出るよう工夫しました。植物は、てんとう虫やカマキリの食料となるアブラムシなどが好む「バンカープランツ」や蝶やミツバチたちの蜜源となる植物を植えています。「小さな住人(虫たち)」の生活をそっとのぞき見ることができる場所を目指しています。ここでの小さな体験が、自分の身近な自然環境を考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 原種チューリップで魅せる、自然で美しい風景。決して盛り過ぎず、今の時期に相応しい優しく楽しい色彩が穏やかな空間を創り出します。それと同時に、テントウムシなどの小さな生きものたちの暮らしにもこだわる作家らしさが垣間見えます。 開花期を迎えていた植物 チューリップ‘ペパーミントスティック’、チューリップ・ヒルデ、スイセン・ジョンキル系、カマッシア・ライトヒトリニ‘カエルレア’、アリウム‘カメレオン’、ビオラ、ビオラ・ラブラドリカ、プルモナリア‘ダイアナクレア’、ゲウム・リバレ、ゲラニウム・ツベロサム、エピディウム など。 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden 【作品のテーマ・制作意図】 ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、それら3つの主体が密接に関わり合う「ワンヘルスガーデン」をつくります。土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫などの地域の生きものを呼び込む。ガーデンの香りや触れ合いを通し、ヒトの健康と安らぎを生み出すガーデンをつくり、いろいろな生きものがやってくる「みんなのガーデン」を実現します。 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ イキイキとした植物の間からひょっこり顔を出すキノコは、ツヤツヤでまるでアート作品のよう。そこに人々が集まって、じっくり見る仕掛けとなっています。植物たちが植わる地表にも命の循環が感じられる庭。 開花期を迎えていた植物 ハナニラ、フォサギラ‘ブルーシャトー’、ローズマリー、クナウティア・アルベンシス、ビルベリー、ベニバナミツマタ、チューリップ‘メンフィス’、チューリップ‘雪うさぎ’、チューリップ‘ブラックパーロット’ など。 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 【作品のテーマ・制作意図】 私は「みんなのガーデン」を、来園者だけでなく、花を訪れる虫、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」をつなげる庭と捉えました。温暖化する東京の気候に合った植物を差別なく組み合わせ、虫や菌たちによる循環系の形成、見るだけでなく庭づくりに参加もできる「みんなのガーデン」。「みんな」が共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい。この想いが、この庭から未来へ・社会へ・地球へと広がっていけば、と考えています。 【4月中旬(審査当日)の様子】 審査時の見どころ 植物すべての個性が際立って見えるのは、高低のある植物がバランスよく配置され、ボリューム感をうまく引き出しているから。石をマルチングに入れたことで植物の色が一層引き立ち、色彩の設計に唸らされる。 開花期を迎えていた植物 チューリップ‘ラ・ベルエポック’、チューリップ‘ジャイアントオレンジサンライズ’、チューリップ‘ハッピーフィート’、チューリップ‘ホワイトバレイ、チューリップ‘バーニングフレイム’、ロロペタルム’黒雲’、ベロニカ‘ジョージアンブルー’、エスコルチア‘ピンク’、フリチラリア・ペルシカ、ラナンキュラス‘ラックス’ など。 5月25日(日)開催!「入賞者イベント」のお知らせ 第3回東京パークガーデンアワードの入賞ガーデナー5組によるガーデンイベントを5月25日(日)に開催します。入賞ガーデナーが案内する「ガーデンツアー」や「たねダンゴづくり」、「微生物観察ワークショップ」など、子どもから大人まで楽しめるガーデンイベントがいっぱい。ぜひご来園ください(雨天中止)。 ■日 時:2025年5月25日(日)10:00~15:10(雨天中止)■会 場:都立砧公園(東京都世田谷区砧)コンテストガーデンエリア(みんなのひろば前)■参加費用:無料■中止連絡:雨天中止の場合は、イベント前日までに都立砧公園の公式X(旧Twitter)にてお知らせします。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせください。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料
-
神奈川県

ローズトンネルも見頃! 特別な時間を過ごせるバラ園「横浜イングリッシュガーデン」 ロー…PR
横浜イングリッシュガーデンが「一年で最も美しい季節」到来 入口からおよそ50mにわたりバラを這わせた大型アーチが連なる「ローズ・トンネル」。淡いピンクの‘マニントン・マウブ・ランブラー’やサーモンピンクの‘フランソワ・ジュランヴィル’、紫の‘アイヴァンホー’などが頭上を埋め尽くします。写真は、昨年5月上旬の様子。現在の庭の様子やバラの開花状況は、InstagramやHPでご確認ください。 日々花開くバラが増えている「横浜イングリッシュガーデン」に、一年で最も美しい季節がやってきました! 園内に一歩足を踏み入れれば、目の前には無数のバラが大アーチを縁取る、夢のようなローズトンネルが皆さまをお出迎えします。そして右に進めば、ワインレッドやパープル、ダークレッドのバラとクレマチスが混ざり咲き、足元にはブロンズリーフの植物がコラボするシックな印象の「ローズ&クレマチスガーデン」です。 2025年横浜イングリッシュガーデン バラの開花予想 4月上旬にカナリーバードやモッコウバラなどの早咲きのバラが続々と咲き、園内はバラに彩られるエリアばかり。今年のバラの開花は、例年並みのペースとなる見込み通り、5月のゴールデンウィーク後半~明け頃より見頃のピークを迎えています。*現在の庭の様子やバラの開花状況は、InstagramやHPでご確認ください。 「ローズ&クレマチスガーデン」に植栽されている多くのバラは、素晴らしいダマスク香を放ちます。 ‘ラプソディー・イン・ブルー’や‘ベルベティ・トワイライト’、‘真夜’……。ぜひ香りを確かめて。 圧倒的な花に包まれて時間を忘れる癒やしの庭 枝垂れるように仕立てられた‘プレッツァ’やアーチ仕立ての‘マリー・キュリー IYC2011’をはじめ、‘パーパ・ジョン・ポールⅡ’、‘プリンセス・オブ・ウェールズ’、‘アイズバーグ’、‘グラミス・キャッスル’など多数の白バラを主役に、白色の宿根草、白斑入りの植物を組み合わせた「ローズ&ペレニアルガーデン」。白花に囲まれるホワイトガーデンが時を忘れさせてくれます。 さらに先へ進み、アーチを抜けると、白バラが眩しく輝く別世界に迷い込んだり……。どこも見渡す限りバラが咲き、贅沢な時間が過ごせるガーデンです。 この季節は、バラだけでなく株元に茂る宿根草などの草花も美しい花々を咲かせています。バラに寄り添うように咲くオルレア、思わず触りたくなるふわふわなラグラスの穂、風に揺れるたおやかなアグロステンマ、お互いを引き立て合うクレマチスの花々……。バラの開花とぴったり合う草花が選ばれており、庭づくりのヒントもいっぱい見つかります。 世界最高水準の管理下で育つバラたち 「横浜イングリッシュガーデン」に咲くバラは、約2,200品種 2,800株に上り、国内外でも屈指のコレクション数を誇ります。今では希少な古い品種をはじめ、よそでは見ることができない国産品種、さらには最新の品種まで多彩なセレクション。これら多くのバラたちを最高のパフォーマンスで咲かせるには、管理のテクニックが必要です。 スーパーバイザーの河合伸志さん率いる「横浜イングリッシュガーデン」のガーデナーたちによるバラの管理水準の高さは、世界的にもトップクラスと評され、海外の専門家が見ても驚くようなレベル。最高品質のバラが、それぞれの品種本来の特性を発揮し、景色として楽しめるだけでなく、一つひとつの品種をじっくり観賞できるのも、この庭の大きな特徴です。 情熱的な赤いバラが主役のエリア「ときめきガーデン」。 通常閉じられている「ときめきガーデン」がバラの時期限定でオープン。ときめく縁結びのガーデンになればと願いを込めてつくられた、情熱的な赤いバラが主役のエリアです。‘恋心’や‘ラスティング・ラブ’など、恋愛にまつわるバラが多数植えられています。思い出に残るデートスポットとしておすすめです。 バラの時期限定「早朝プレミアム開園」のお楽しみも! 例年好評の「早朝プレミアム開園」も開催します。時に露をまとい、シャキッとした新鮮な朝のバラは、ひと際美しい表情を見せます。また品種によっては、朝と日中では異なる印象の香りを放つ花があります。じっくりとバラの聞香をするのも通の楽しみ方。 朝の光は日中の光に比べると写真撮影に適していて、混み合わない早朝プレミアム開園タイムのみ三脚の使用も可能です。美しい写真をカメラに収めたい方には見逃せない期間、ぜひ早起きをして出かけましょう。 「早朝プレミアム開園」の開催は、4/26(土)~5/18(日)の期間限定で、通常の開園時間より2時間早く入園いただけます。朝8:00開園~9:30受付終了(10:00より通常開園)。料金は、大人2,300円/小中学生1,200円(通常入園料+「早朝プレミアム開園」イベント料金(大人800円/小中学生400円)年間会員は無料。 ※10時より通常開園となります(9:30~10:00の時間帯にはご入園いただけません)。「早朝プレミアム開園」にご入園された方は、そのまま通常営業時間帯もご滞在いただけます。 ●「早朝プレミアム開園」のチケット販売は、事前予約のみとなります。当園窓口での当日入園券の販売はございません。電子チケット(楽天・アソビュー)のみ販売です。コチラから購入いただけます。 <特別展示>Imperial Roses 〜皇室ゆかりのバラ展示〜 4/19より開花期間中、ガーデン出口付近「ヨコハマくらし館」入り口横に展示いたします。2022年の展示の様子。 例年人気の企画、皇室に由来するバラ「エンペラーズ・ローズ」が、本年も期間限定で展示します。美智子上皇后のバラ‘プリンセス・ミチコ’と‘エンプレス・ミチコ’、‘プリンセス・アイコ’など、全12品種の展示を今年は、ガーデン出口付近「ヨコハマくらし館」入り口横に展示。豪華な花々を一堂に観賞できる貴重なこの機会をお見逃しなく。 上段左から/‘ハイネス・雅’、‘ハイネス・愛’、‘プリンセス・アイコ’、‘プリンセス・ヒサコ’ 中段左から/‘プリンセス・サヤコ’、‘プリンセス・チチブ、‘プリンセス・ミチコ’、’プリンセス・ミカサ’ 下段左から/’プリンセス・ナガコ’、‘エンプレス・ミチコ’、‘プリンセス・ハナコ’、‘プリンセス・タカマツ’。ガーデン出口を出て右手奥「ヨコハマくらし館」入り口付近に開花期間中展示されます。 園内でお気に入りの香りを探そう! 豊潤な香りはバラの醍醐味 芝生エリアに植るブルガリアンローズ。昨年の開花は4月下旬頃。顔を近づけて芳醇な香りを確かめよう! 2023年に駐日ブルガリア共和国大使館より譲り受けた「ブルガリアンローズ」は、香りのバラの代表ともいうべき存在であり、最も上質な香りのバラの一つです。その香りは、華やかでいわゆるバラらしい香り。花に顔を近づけて香りを深く吸い込めば、体全体がバラに包まれたかのよう。人々を幸福にするバラの香りに見せられて、バラの虜になる人も多くいます。横浜イングリッシュガーデンに咲くバラのなかにも、香りがよい品種が数々あり、咲き立ての香りを自由に味わえます。ぜひ、お気に入りのバラの香りを見つけてください。 スーパーバイザー河合伸志が選ぶ「横浜イングリッシュガーデン」に咲く香りのバラ5選 芳純(ほうじゅん) モダン・ローズで最もよい香りのバラの一つとされ、その名の通り豊潤なローズの香りがあり、同時に爽やかさも奥底に感じられる。化粧品会社によってこの香りをイメージした商品が誕生している。 アンブリッジ・ローズ 柔らかな色彩に豊満な印象のカップ咲きの花には、強いアニス(ハーブの一種)のような香りがある。やや薬臭い印象の個性的な香りのため、好き嫌いがはっきりと分かれる。 シルバー・シャドウズ グレーの陰影を感じる薄紫の花には、甘さと爽やかさを兼ね備えた香りがある。目を瞑りその香りを深く吸い込むと、新緑の森の中にたたずんでいるかのように思えてくる。 アンヌ=マリ・ドゥ・モランヴィル パールのような小さな花には不思議な香りがある。香りの研究者いわく「カメムシの香り」とのこと。怖い物見たさで、ぜひ嗅いでみるのも一興。まさかバラにこんな香りがあるとはと驚くかもしれない。 ドゥフトボルケ ボリュームのある大きな花には、熱帯の果実を思わすような濃厚な香りがあり、その強さに思わず頭がくらくらしそうになる。古くより香りの名花として知られる品種で、品種名は「香りの雲」の意味。 何度も訪れたくなるバラの開花リレー 淡いピンクやモーヴカラーのバラを主役に、ピンク、青、紫などのハーブ類、ライムリーフの植物などを組み合わせた明るい色相の「ローズ&ハーブガーデン」。 2025年の横浜イングリッシュガーデンでは、4月上旬に極早生のバラが咲き始めています。今年のバラの開花は例年並みのペースとなる見込みで、5月のゴールデンウィーク後半~明け頃より見頃のピークを迎える予想です。ゴールデンウィーク前後は気温がまださほど高くないため、花色がしっかりと発色し、また最も力のある房の中央のつぼみが開く時期。一輪の花をじっくり眺めたり、クローズアップして写真を撮るのに最適なタイミングです。 毎年、新しいバラが追加植栽され、進化した景色が楽しめます。左は、ホルトノキに10株のつるバラ‘ローゼンホルム’を絡め、所々にクレマチスやホタルブクロも競演するバラのシーズンのフィナーレを飾る演出♪ 右は、ローズトンネルの最後のバラと‘ローゼンホルム’の壁、アジサイディスプレイが同時に楽しめました(2024年5月下旬撮影)。 5月下旬になると最晩生のバラが咲き始めます。この頃にはローズトンネルの突き当たりにピンクのバラの壁が現れ、池の脇には赤いバラの柱が出現。8mの高木に絡むバラや白花がふわりと咲くアーチなど、訪れる度に景色が変化し、見どころが絶えません。そして同時期に、庭の主役の座はそっとアジサイたちに引き継がれ、季節は巡ります。バラとアジサイが一緒に楽しめる貴重な時期もお見逃しなく。 バラ満開の園内で優雅な時間を過ごそう 約2,200品種 2,800株のバラが咲く「横浜イングリッシュガーデン」に一歩入れば、そこは非日常の癒やしの空間。咲き立てのバラの香りを嗅いだり、日に照らされて輝く花々に出会った感動を写真に撮ったり、木陰のベンチで家族や友人、恋人と語らったり……。一年で最も美しいガーデンで、ぜひ今年一番の素敵な思い出を作ってください。 日が傾く夕方も庭散策におすすめの時間帯です。ベンチに腰掛け、バラ咲く風景を存分に眺める贅沢な時間をお過ごしください。 ‘バラの国’ブルガリアの魅力を知る2日間!「ブリガリア・フェア」※会期は終了しました 横浜イングリッシュガーデンに植樹されたのは、香料を取るためにブルガリアで古くより栽培されている本家本元のブルガリアン・ローズ(写真は昨年開花の様子)。駐日ブルガリア共和国大使館マリエタ・アラバジエヴァ大使を通し、ブルガリア国立バラ研究所から寄贈された貴重な1株です。貴重な株の今年の開花もご期待ください。 2023年、駐日ブルガリア大使館より寄贈された「ブルガリアン・ローズ(ロサ・ダマスケナ、トリギンティペタラ、カザンラク)」の株が植樹されて3年目を迎える今年は、4/28(月)・29(火祝)に「ブルガリア・フェア」を開催! 駐日ブルガリア共和国大使館の後援により、見て・聞いて・食べて・買って、ブルガリアを満喫できる貴重な2日間です。ぜひ横浜イングリッシュガーデンで、ブルガリアを旅する気分で体験してください。 ブルガリアン・ローズが植る芝生のエリアでは、ブルガリアの民族衣装をまとったダンサーが「ブルガリア・フォークダンス」を披露するほか、ブルガリアの魅力を紹介する講演会、伝統的なブルガリア刺繍のワークショップなど、‘バラの国’ブルガリアの魅力を堪能するイベントです。併設のカフェでは、ブルガリアンローズのジャムが味わえるメニューも登場。ショップでは、ブルガリアンローズを用いたジャムやローズハニー、ローズウォーターなどを販売するほか、ブルガリア産ワインやブルガリア伝統陶器の出張販売、ブルガリア料理のキッチンカーもやって来ます! 2023年に初開催となった「ブルガリア・フェア」イベント報告記事はこちら『至高のバラ「ブルガリアン・ローズ」が横浜イングリッシュガーデンに登場』 民族衣装をまとったダンサーが「ブルガリア・フォークダンス」を披露 園内「ローズ&シュラブガーデン」芝生エリアにて、色鮮やかな民族衣装をまとったダンサーが軽快なリズムと華麗なステップの「ブルガリア・フォークダンス」を披露します。日時:4/28(月) 11:00、13:00、14:00、15:00頃予定 4/29(火祝) 13:00、14:00、15:00頃予定 「ブルガリア」の魅力を知る2つの講演会開催 4/28(月)14:00〜 「日本とブルガリア 〜アントニオ・アンゲロフ氏が語る両国の魅力」 日本とブルガリア両国の魅力について、駐日ブルガリア共和国大使館 公認翻訳者 アントニオ・アンゲロフ氏が講演する貴重な機会。 4/29(火祝)14:00〜 「バラの国ブルガリア 観光と歴史を巡る」 ブルガリアの観光と歴史を巡る旅の魅力を、駐日ブルガリア共和国大使館 一等書記官 ペタル・ニコラエフ氏がお話しします。 *2つの講演会ともに参加費無料。ヨコハマくらし館イベントスペースにて座席数20席ほどで行います。 ブルガリア刺繍のワークショップ 美しい色と伝統的な模様のブルガリア刺繍を体験していただけるワークショップを開催します。参加費無料。講師:山美イレン氏(エンブロダリスタジオ羅美那)日時:4/28(月)・29(火祝)各日2回 11:00〜12:00/13:00〜14:30 *各回参加ご希望の方は、10時半より会場にて配布する整理券をお受け取りください。場所:ヨコハマくらし館イベントスペース *ヨコハマくらし館イベントスペースでは、ブルガリアの歴史や文化を紹介する展示パネルやブルガリアの民族衣装の展示もお見逃しなく。
-
東京都

「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」ガーデナー5名の2月の“庭づくり”をレポート
本格的な春到来前に行なわれた2月のメンテナンス作業 作庭日の2月下旬は、例年ほどの寒い日はなかったものの、吹きさらしの砧公園では最低気温がマイナスになることもありました。どのガーデンも万全の策で無事に冬を乗り越えていましたが、自然が相手では思いもよらぬことが起きるもの。いくつかのガーデンで球根類が掘り起こされた跡が発見されました。そのイタズラは、周囲の大木に棲みつく都会のカラスたちによるものと判明。代々木・神代ではなかった事態です。 そこでガーデナーたちは、カラス対策として水糸や麻糸を植栽の上に張り巡らすなどの策を講じることになりました。それでも隙間から入り込むつわものも。植物が根を張るまでの辛抱です。 鳥よけが施されたガーデン。これも自然との共存のためのひと手間。 「第3回 東京パークガーデンアワード」【2月】第2回作庭 2回目となるコンテストガーデンの作庭は、12月の第1回作庭時に多くの作業を済ませたこともあり、半日~1日でほぼ作業が終わりました。順調に進んだそれぞれのガーデンの作庭の様子をご紹介します。 コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 ◆今回の作業◆ ①プランツタグをつける カラスが紙のタグを引っこ抜いてしまう前に、金属製の黒いプランツタグを設置する。 ②グラス類の切り戻し、枯れた葉の除去 グラス類の地上部をカット。取り除いた枯れ葉とグラス類は細かく切って、花壇の中央に設けたバイオネストに入れる。 ③新しい苗の追加植栽とバークの追加 カラスの被害を受けた苗は交換しながら、ポイントでフロックスを補植。マルチングが流出した箇所には、寒の戻りの対策としてマルチバークを追加する。 ④バイオネストの補強と中を攪拌 しなやかな細い枝を編み込みながらバイオネストを補強しつつ、細かく刻んだ発生材はおがくずと一緒に土としっかり攪拌する。 ◆作業完了時のガーデンの様子◆ 草花を通じて、訪れる人々の優しい気持ちが連鎖するようにとの願いを込め、ラウンド形のブーケを模した配植計画と色彩計画で構成されています。子どもたちの目線の高さを意識して計画されているため、レイズドベッドの縁近くにはスイセンやシラーなどのコンパクトな球根類が咲き、多くの世代の目線からも楽しめるように工夫されています。また、花壇中央に設けたバイオネストへと続く管理動線には小枝を用いており、里山の小路を連想させるような、どこか懐かしさを覚える風景が広がっています。 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 ◆今回の作業◆ ①新しく苗を追加植栽、マルチングの調整 前回手に入らなかった植物を新たに植える。バークに埋まってしまっている小さな植物によく日が当たるように、多すぎるバークを取り除く。 ②枯れたグラス類の上部をカット 枯れたグラスの葉を取り除き、溝に入れる。まだ寒くなることも考えられるので、汚くなった枝葉除去は、次回以降のメンテナンスに回す。 ③プランツタグを設置 植物名を刻印した木製のオリジナルプランツタグを各所に挿す。 ◆作業完了時のガーデンの様子◆ 命の循環というキーワードをもとに、植物だけではなく、生きとし生けるものたちの集まる「庭」をテーマにデザインされています。また、レタスなどの野菜類も加え、いままで携わっていたコミュニティー菜園をこの花壇に再現。宿根草の庭に収穫の要素が追加され、誰もが心浮き立つ風景が作られました。これからの時期、子どもたちが楽しめるオジギソウやニンジンのタネが、ガーデンの手前側に播かれる予定。新しい発想が盛り込まれています。 コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 ◆今回の作業◆ ①花がら摘み、球根の植え直し 美観のためと花期をのばす目的で、ビオラの花がらをしっかりと摘み取る。また、カラスに掘り返された球根を植え直す。 ②苗の追加 前回手に入らなかったクジャクアスターやベニチガヤなどの苗を新たに補植する。 輸入苗のエピメディウム(イカリソウ)。株が大きいので分割して植える。 ③バークチップを足す マルチングが減ってしまった場所に、バークチップを加える。 ◆作業完了時のガーデンの様子◆ 砧公園で暮らす「小さな住人(虫たち)」がこのガーデンを訪れて棲みつきやすいように生態系を意識した植栽デザイン。見る場所や角度によって印象が変わるように、植栽にも工夫が施されています。花壇内の地面には高低差が設けられているので、これからさらにどのような立体感が生まれてくるのか楽しみ。カラスよけに用いられた紫とオレンジ色の麻ヒモは、英国のナッツシーン社のもの。色彩の少ない時期のガーデンに取り入れた色づかいが、心憎いこだわりを感じさせています。 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden ◆今回の作業◆ ①雑草取り ところどころに生えている雑草を抜いて袋に集め、花壇内に設けたバイオネストに投入。 ②新たなステップを配す オオヒラダケの菌床を固めて作ったステップを新たに数カ所配置。12月に配したものは、すでに朽ち始めていた。 ③切り戻し(グラス、低木など) ノコンギク(ホキヤマ)、ススキなどの枯れた不要な部分を地際から切り戻し、バイオネストに投入。 ④バイオネストの中を整える 当日発生したものも入れた状態。この後、米ヌカが手に入り次第、加えて混ぜ込む予定。 ◆作業完了時のガーデンの様子◆ ヒトの健康、生きものの健康、環境の保全を包括的な繋がりとして捉えるワンヘルス (One Health)の概念を軸に、土壌環境を改善し、植物や微生物を豊かに育て、鳥や虫など地域の生きものを呼び込むガーデンです。植物は植えた当時からそれほど大きな成長は見られませんが、手触りや香りを楽しめる植物たちの“人の心に安らぎをもたらす”ための準備はすでに整えられており、土中の菌糸たちも旺盛に広がっています。 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ ◆今回の作業◆ ①除草、枯葉整理、切り戻し 冬季落葉で枯れた部分をすべて取り除き、春に向けての美観整理を行う。発生した切り枝葉は、通路の土に混ぜ込んでリサイクル。 ②球根の植え直し、新たな苗の補植 カラスに掘り出された球根を植え戻し、春植え品種を追加。景観のボリューム・バランスを整えるための新たな苗と球根の補植を行う。 ③寒さよけを一度取り外す 冬の植え付けだったため、不織布をかけて初年度の寒さから保護養生していたマンガべ ‘マッチョモカ’。不織布を一度取り外し、傷んだ外葉を整理する。本種は寒い冬には外葉が枯れて半落葉状態になることがあるが、温暖期の新葉で株が更新される。秋までによく根を張らせることで本来の耐寒性が発揮でき、2年目以降は防寒の必要はない。 ④通路に客土して地形を調整 土砂の流失を和らげるため、一度入れた土を取り除き、培養土と米ぬか酵素、砕いたトウガラシを混ぜ込んで戻す。こうして底上げを行い、花壇内の高低差を減らす。 ⑤剪定 花壇中央でアクセントになっているコルヌスは春の鮮やかなカラーリーフの芽吹きを促進させるため、半数の枝を低い位置でカット。一部の枝は春先のボリューム維持のため、今回は長いまま残している。 ◆作業完了時のガーデンの様子◆ 人だけでなく虫や鳥、土壌菌類などの分解者、そして庭の先につながるこの生きた星「地球」の環境といった全ての「生あるもの」。みんなが共に助け合いながら、末長く幸せに暮らす世界、生命共存の尊さ・美しさを伝えたい――。そんな想いを、個性豊かな植物で独創的に表現。芽吹き前で植物の地上部は少ないですが、既にそれぞれが強く主張し合っています。ボランティアで集まったチームの知識と想いの共有と共感、そして連携が、このガーデンの隠れたコンセプトとなり、今回の課題(テーマ)につながっています。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料
-
東京都

「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」 ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート!
第3回コンテスト会場の全貌 2022年からスタートし、画期的な試みとして注目を浴びている「東京パークガーデンアワード」。3回目となる今回は、多くの区民が訪れる都立砧公園。コンテスト会場は園内の子どもが遊べる‘みんなのひろば’前に設けられました。 サクラやケヤキなど落葉樹に囲まれた芝生エリアに設けられたコンテストガーデン。 コンテストガーデンの区画には、あらかじめ事務局にて「高さ40cmの木枠のレイズドベッドに客土された状態」の2対1組の花壇が5つ用意されました。ガーデナーは自身が表現したい植栽が健全に育つように、ガーデン制作時に土壌改良・施肥などをすることが可能です。 作庭が完了した12月下旬の様子。 ガーデン制作にあたり、デザイナーが踏まえておくこと デザイン・植物について ・ コンテストのテーマは「みんなのガーデン」とし、多年生植物をメインとしたガーデンを制作すること。 ・ 国内市場で流通している植物のみ使用可能(採取した植物は不可)。・ 公園内で爆発的に繁殖するおそれがある植物は使用不可。・ 主たる植物は多年生植物を使用すること。容易に制御が可能な草本類に近い木本類は使用可能(全ての植物は高さ2m以内に限る)。・ 構造物やガーデンオーナメント等の設置は不可。植物のみで構成すること。・ 発生材処理のためのバイオネストの設置は可能。来園者の安全を考慮した仕様とすること。 作庭の様子。 メンテナンスについて ・ 展示期間中(2024年12月~2025年12月末)は入賞者がメンテナンスをし、それ以降は事務局が管理。・ 補植は可能。・ 最低限植物の状態を保つ週1回程度の潅水は事務局が行う。・ 薬剤の散布は不可。自然素材の忌避剤の使用についても不可。・ ごみ(発生材含む)は持ち帰り、または自身のガーデン内のバイオネストで処理をすること。・ メンテナンスの計画を提出すること。 区画・土壌について ・ 会場の基礎土壌には、事務局にて準備した土を使用。・ ガーデン制作時に施肥など土壌改良が可能。 【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者の関心が得られる工夫があること/公園利用者が心地よく感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること/メンテナンスがしやすいこと/テーマに即しており、デザイナー独自の提案ができていること/総合評価※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 「第3回 東京パークガーデンアワード」【12月】第1回作庭 気鋭の5人がつくるガーデンは、さまざまな工夫が凝らされています。各ガーデナーの植え込みの様子をチェック。ガーデナーの経験値が頼りになる土壌づくりにも注目を! コンテストガーデンAGathering of Bouquet 〜庭の花束〜 保坂悠平さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:混合土穣(多孔質人工軽量土壌(エコロベース):バーク堆肥=7:3)マルチング:樹皮発酵堆肥(くつきバーク)その他:複合微生物資材(カルスNC)、トウガラシを粉砕したもの ◆土壌を整える◆ モグラ除けのために、トウガラシを砕いたものを花壇全体にまく。保水・排水がよい混合土穣(多孔質人工軽量土壌(エコロベース):バーク堆肥=7:3)を均等に撒き、耕運機でよく混ぜながら耕す。 デザインに基づいて溝や起伏を作り、溝に管理動線用途としてのステップ用丸太を埋め込む。 ◆造作物等を設置する◆ 直径1mほどのバイオネストをつくる。剪定した雑木の80cmほどの太い枝数本を、深さ約30cmまで埋まるように土に挿し込む。その後、柔らかくしなるカツラの細い枝などで編むように丸く囲んでいく。バイオネストには発酵を促進させるための複合微生物資材(カルスNC)を混入する。 ◆植え付け◆ 水糸を張ってグリッドを作り、デザインに基づいてゾーンを分けるラインをチョークの粉で引く。 宿根草の苗を一度配置してから植え付ける。 宿根草を植え付けた後、その間に球根を植え付ける。 ◆マルチング&その他仕上げ◆ 左/溝に埋めた丸太のまわりに、水や土が流れ込まないよう土壌を突き固める。右/表土を樹皮発酵堆肥(くつきバーク)でマルチングする。 左/丸太を埋めた溝の側面に沿って細い枝を埋め込み、見映えを兼ねた土留めを設ける。 右/黒いアルミ製のネームプレートに白色で植物名を書き込んだ札を設置。 【12月の作庭完了】 東側 西側 【メンテナンス時の発生材について】 バイオネストを設置することで、発生した植物発生材を運搬・処理する手間を省くことができます。作業したその場で、剪定枝などの発生材を組み合わせて土台にし、落ち葉や刈草などを投入することで継続的に堆肥にできる簡便さに優れています。一般的な堆肥づくりで行う切り返しなどは必要なく、気温や降雨の水分、昆虫や土壌動物、自然界の菌糸の活動により、ゆっくりと分解が進みます。 コンテストガーデンBCircle of living things 〜おいでよ、みんなのにわへ〜 世田谷bajicoポットラックガーデン 代表デザイナー 石野夕華さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:多孔質人口土壌(ビバソイル)、腐葉土、もみ殻くん炭、牛糞堆肥(お馬の堆肥)など排水確保材:竹炭、汚泥発酵肥料(タテヤマユーキ1号)、剪定枝葉(ササ、ケヤキ、オリーブ、マサキなど)マルチング:樹皮完発酵堆肥(くつきバーク)、杉皮マルチバーク(スリーダイヤ2号) ◆土壌を整える◆ 保水性や排水性を持たせるため多孔質人口土壌(ビバソイル)を混ぜ込んだ後、有機質が豊富な腐葉土、もみ殻くん炭、牛糞堆肥(お馬の堆肥)を載せてよく耕す。 溝を作り、竹炭、汚泥発酵肥料(タテヤマユーキ1号)を入れた後、剪定枝葉(ササ、ケヤキ、オリーブ、マサキなど)を横たわるように入れていく。 ところどころに通気孔を掘り、底に竹炭を入れる。その後、土が入り込まないようにするため、太い枝で外側を囲み、その内側には細い枝を渦巻き状に入れていく。 ◆植え付け◆ 中央に低木やニューサイランなどの大株を植えたあと、宿根草を植え込んでいく。 宿根草の苗を植え付けた後、球根を植え込む。 ◆マルチング&その他仕上げ◆ 左/最後に樹皮完発酵堆肥(くつきバーク)と杉皮マルチバーク(スリーダイヤ2号)で表土をマルチングする。さらに、溝部分に落ち葉を軽く化粧的に載せる。 【12月の作庭完了】 東側 西側 【メンテナンス時の発生材について】 高地と低地を区分けするように作ったS字型の窪み、「風のとおり道」には枝が漉き込んであり、水はけや植物の発根を促す効果に加え、ガーデン発生材を処理し、バイオネストのように堆肥を作るという機能も持ち合わせています。また、各所に配置した鳥の巣状の「サークルネスト」と名付けたものには、微生物や虫などの住処や餌場となる役目があります。 コンテストガーデンCLadybugs Table 「てんとう虫たちの食卓」 小野雄大さん率いる作庭メンバーの皆さん。 【使用資材】 土壌改良材:真砂土、バーク堆肥(炭入りコンパ)、腐葉土、ゼオライト、もみ殻燻炭排水確保材:竹炭、剪定枝葉(サクラ、ケヤキ、クスなど)マルチング:樹皮ウッドチップ元肥:マグアンプ、微生物系肥料(タキアーゼS)その他:トウガラシ ◆土壌を整える◆ 左/全体に真砂土載せた後、溝を掘りながら、ざっくりとした起伏をつける。その後、モグラ除けのために粉砕したトウガラシを撒き、よく混ぜ込む。右/多孔質のゼオライトや有機質を補いつつ団粒構造を維持するバーク堆肥(炭入りコンパ)や腐葉土、もみ殻燻炭、肥料分のマグアンプと微生物系肥料(タキアーゼS)を加え、よく耕して最終的な地形をつくる。 溝には竹炭を入れたあと、ケヤキやサクラ、クスの剪定枝を敷く。 溝のところどころに通気孔を開け、砧公園内で発生したマサキの剪定枝を入れ込む。 ◆植え付け◆ まずは、低木やキンカンなどの樹木を植栽して骨格を形作る。 宿根草の苗を植えた後、球根を植え付けていく。 ◆マルチング&その他仕上げ◆ 植栽前に樹皮ウッドチップを溝以外に敷く。植栽後にも同様に植物の周りに撒く。 溝に沿って入れた枝をカバーするために、苗を植え付けた際にカットしたグラス類の穂を載せて見栄えをよくする。 【12月の作庭完了】 東側 西側 【メンテナンス時の発生材について】 作業通路とバイオネストを設置。作業通路は他の場所より一段低い地形で、水が流れ込みやすい場所で、湿度があるため菌糸類や微生物が繁殖しやすい環境です。手入れのたびに発生する抜いた草や間引いたものをそれらに入れ込みます。落ち葉や木の枝などの層が、昆虫などに住居や食料を提供。枝葉の堆積物は水や空気を土の中に取り入れたり蓄えたりするのにも役立ち、植物たちに必要な養分にもなります。 コンテストガーデンDKINUTA “One Health” Garden 合同会社百暮 代表デザイナー 高橋祐眞さん率いる作庭メンバーの皆さん。 【使用資材】 土壌改良材:多孔質資材を複数配合したオリジナルソイル、菌糸および菌床マルチング:多摩川梨の剪定枝のチップ(地元川崎の植木農家及び果樹農家から発生する農業副産物)肥料:発酵鶏糞 ◆土壌を整える◆ 左/土中の微生物多様性を高めるために、ガーデン全体に多孔質資材等を複数配合したオリジナルソイルを入れ、発酵鶏糞と共によく耕す。右/オオヒラタケのブロック状の菌床を崩して表土に軽く混ぜ込む。オオヒラタケは菌糸が広がるのが早いので、土壌病原菌の抑制や根の成長を促す効果が期待できる。 ◆造作物等を設置する◆ バイオネストをつくる。直径約50cm、深さ約40cmの穴を開け、その内側に沿って焼杉丸太を打ち込み、多孔質資材を底に敷く。その後、丸太の間をシラカシ等の剪定枝で編み込んで囲みをつくる。 ◆植え付け◆ 低木類から植えて骨格を固め、そのまわりに宿根草の苗を植え込んでいく。 ◆マルチング&その他仕上げ◆ 宿根草の植栽前に、多摩川梨の剪定枝を利用したウッドチップを撒いて表土をマルチングする。ナシの枝はやや硬めで、程よい粒の大きさを保っているため、見た目がよいだけでなく、水の浸透がよく水はねや風による飛散が少ないことが期待できる。 左/バイオネストにシルバーリーフの剪定枝をあしらい、より植栽になじませる。 右/オオヒラタケの菌床でつくったステップを、作業の足場用として設置。数カ月後には朽ちて、土壌改良としても機能する。 【12月の作庭完了】 東側 西側 【メンテナンス時の発生材について】 バイオネストを設置し、メンテナンスで発生する剪定枝や落ち葉などの堆肥化を促進します。また、バイオネストの地中を掘り下げて焼き杭を打ち、多孔質な改良材を入れ込んで土中の微生物多様性を高めることで分解速度を高めつつ、土壌改良効果も狙う「生態系のぬか床」の構築を目指します。 コンテストガーデンE「みんなのガーデン」から「みんなの地球(ほし)」へ 太田敦雄さん率いる作庭メンバーの皆さん。 ◆使用資材◆ 土壌改良材:軽石、もみ殻燻炭、土の活力素(バイオマイスター)、シマミミズ入り堆肥マルチング:バイオマイスター(下地)、軽石、鹿沼土(仕上げ)元肥:発酵米糠肥料、海藻元肥、バットグアノその他:EFポリマー、トウガラシ ◆土壌を整える◆ 全体的に軽石を混ぜて耕した後に、もみ殻燻炭、土の活力素(バイオマイスター)を混ぜる。 左/モグラやコガネムシの幼虫を除ける目的で用いる砕いたトウガラシ、有機質を補う有機リン酸肥料(バットグアノ)、ミネラル分を補う海藻元肥を混ぜてよく耕し、溝をつくって起伏を作る。右/部分的にミミズ入り堆肥を投入(この部分にトウガラシは入れない)。 ◆植え付け◆ 左/水糸を張り、グリッドをつくる。 右/デザインに基づいて、白線を引いてゾーンを明確にする。 中央のニューサイランを軸に大株から植栽。ポット苗や球根の下には、保水効果がある生分解ポリマーを少量敷いて、成長するまでの冬場の根の乾燥を防ぐ。 宿根草の間に球根を植え込んでいく。 ◆マルチング&その他仕上げ◆ 株のまわりに土の活力素(バイオマイスター)を撒き、夏の蒸れ予防とコガネムシ忌避のために軽石と鹿沼土で仕上げのマルチングをする。 植栽作業完了後、カラスなどのいたずら防止のため、花壇の上に細い紐を張り巡らせて完了。 【12月の作庭完了】 東側 西側 【メンテナンス時の発生材について】 メンテナンスの作業性や植栽内の日照確保、風通し向上のために、エリアを分割する曲線通路を設けました。これは単なる通路ではなく、剪定で出た枝葉のゴミを細かく切って通路の土に埋め込み、それがまた土に還って植物の栄養として供給される「新たなゴミを極力出さない“リサイクル循環Path”」としても活用します。埋める剪定ゴミは分解菌豊富な肥料の働きによって堆肥化が促進され、より速やかな循環サイクルが形成されます。 コンテストガーデンを見に行こう! Information 都立砧公園「みんなのひろば」前所在地: 東京都世田谷区砧公園1-1電話: 03-3700-0414https://www.tokyo-park.or.jp/park/kinuta/index.html開園時間:常時開園※サービスセンター及び各施設は、年末年始は休業。営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。入園料:無料アクセス:東急田園都市線「用賀」から徒歩20分。または東急コーチバス(美術館行き)「美術館」下車/ 小田急線「千歳船橋」から東急バス(田園調布駅行き)「砧公園緑地入口」下車/小田急線「成城学園前駅」から東急バス(二子玉川駅行き)「区立総合運動場」下車駐車場:有料





















