春から秋までずっと満開! 長く楽しめる宿根草「エリゲロン」の育て方と人気品種
Tom Meaker/Shutterstock.com
エリゲロンは、春から秋まで長期間にわたって可憐な花を咲かせる近年人気の宿根草(多年草)です。中でも代表種「カルビンスキアヌス(源平小菊)」は、花色が白からピンクへと美しく変化し、放置気味でも育つほどの圧倒的な丈夫さを持っています。
この記事では、初心者でも手間いらずで長く楽しめるエリゲロンの魅力的な種類や園芸品種と、きれいに咲かせるための育て方を栽培のプロが分かりやすく解説します。お庭や花壇の隙間を彩る、あなたにぴったりな種類を見つけてみませんか?
目次
エリゲロンの基本情報

学名:Erigeron
英名:Erigeron
和名:ペラペラヨメナ、アズマギクなど
科名:キク科
属名:エリゲロン属(ムカシヨモギ属)
原産地:北アメリカ原産が多い
形態:多年草、一年草
エリゲロンの仲間は、約460種が世界に広く分布する多年草、または一・二年草です。北アメリカ原産の種類が多く、海沿いの地域から高山性の種類まで多様です。
身近に見られる花がきれいな雑草のハルジオンやヒメジョオンも同じ仲間で、いずれも園芸植物として渡来したものから野生化しています。エリゲロンの代表的な種類のカルビンスキアヌスも丈夫で繁殖力が強く、関東地方以南で野生化しています。ほかに栽培されるのは、北アメリカ原産のグラウカスやスペシオサスなどの種類、また、その園芸品種、国内の高山に自生するミヤマアズマギクなどがあります。流通量は少ないですが、丈夫で美しい花がよく咲くものが多いので、今後のさらなる普及が見込まれます。
風に揺れる満開のエリゲロン。Anatoliy Sadovskiy/Shutterstock.com
エリゲロンの特徴・性質

園芸分類:草花
草丈:5~70cm
開花期:5~7月に咲くものが多い
耐暑性:強い~普通(高山性の種類は弱い)
耐寒性: 強い
草丈は50~70㎝ほどまで背が高くなるものから、地面を低く覆うように伸びるものまで、種類によって性質はさまざまです。
花びらの色は、白やピンク、紫、青、黄、オレンジ、赤など多種多様で、明るく華やかな印象の花が多いです。夏の高温多湿を嫌い、乾燥や寒さには強い種類が多いです。高山性の種類は栽培がやや難しいですが、エリゲロンの名の宿根草として一般的に栽培される種類は比較的育てやすいです。中でも、カルビンスキアヌスは環境適応性が高く、特に丈夫で放置気味でも育ちます。
寒さには強いので、寒冷地のほとんどの地域で栽培できます。ただし水はけの悪い場所は、冬に傷みやすいです。
エリゲロンの種類・園芸品種
エリゲロン・カルビンスキアヌス Erigeron Karvinskianus

メキシコからパナマ原産で、春から秋まで長期間花が咲く丈夫な宿根草です。花径2cmほどの小花は白からピンクに変化して美しく、白と赤みがかったピンクの二色咲きに見える様子から、ゲンペイコギク(源平小菊)の名前があります。
茎は細かく枝分かれして低くマット状に広がり、グラウンドカバーや花壇の前面などに最適です。白とピンクのカスミソウのような柔らかい雰囲気があり、いろいろな草花と合わせやすいです。
こぼれ種でよく増え、他の植物が育ちにくい石の間のわずかな隙間からも芽が出て、よく繁殖します。選抜品種の‘プロフュージョン’や、斑入り葉の品種なども流通しています。
‘アズール・フェアリー’ Erigeron speciosus ‘Azure Fairy’

カナダからアメリカ、メキシコ原産のスペシオサスの選抜品種です。爽やかな青色の花が美しく、苗の流通が増えています。茎は直立して伸び、草丈40~50cmほどになります。5~7月に花径3cmほどの花を多く咲かせます。
エリゲロン・グラウカス Erigeron glaucus

カリフォルニア州からオレゴン州の沿岸地域が原産の多年草です。海岸に自生するため、シーサイドデージーの英名があります。草丈は15~30cmで、低いマット状によく茂って、花径5cmほどの花が初夏頃を中心に長く咲きます。花色はピンクや青、白など変異があります。
グラウカスの園芸品種には、コンパクトな株姿で薄い青色の花が咲く‘ビーチボーイブルー’などがあります。
‘ロサ・ジュエル’ Erigeron ‘Rosa Juwel’

ピンクの大輪の花を咲かせる種間交配種です。草丈50~70cmになり、花は6〜9月に咲きます。
エリゲロン・オーランティアカス Erigeron aurantiacus

カザフスタン原産の多年草です。黄色やオレンジ、赤色などの鮮やかな花が咲き、国内では主に赤色の花が流通しています。開花期は5~7月です。草丈30~40cmで、やや乾燥気味の場所を好みます。
エリゲロン・オウレウス ‘カナリー・バード’ Erigeron aureus ‘Canary Bird’

北アメリカのオレゴンからカナダ西部原産のオウレウスの園芸品種で、草丈5~10㎝ほどとコンパクトな多年草です。夏に明るい黄色の花が咲きます。
ミヤマアズマギク Erigeron thunbergii ssp. glabratus

山野草として栽培されるアズマギクの高山性の亜種で、本州中部から北海道の高山の砂礫地などに自生します。花色は薄い青色から青色、白まで変異があります。夏の暑さや蒸れに弱く、栽培は上級者向けです。花が美しいので人気があり、ネット通販などで入手できます。
エリゲロンの栽培12カ月カレンダー
植え付け:3~5月、9月下旬~11月上旬
植え替え:3~4月、10月
株分け:3~4月、10月
肥料(鉢植え):4月、10月
剪定:3月、11~12月
エリゲロンの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりと風通しがよく、乾燥気味の場所が適します。風当りの強い吹きさらしのような場所やロックガーデンなどに最適です。午前中だけ日光が当たる半日陰でも育ちますが、花付きは悪くなります。
排水がよく肥沃でない土壌が適します。砂利を敷いたような場所や砂礫地、石の隙間などで、引き締まった花付きのよい株に育ちます。
鉢植えは日当たりと風通しのよい場所に置きます。鉢を地面に直接置くと蒸れやすいので、高い位置に置くとよいでしょう。夏に調子が悪い株は西日を避けた半日陰の涼しい場所で管理してください。
カルビンスキアヌスは非常に丈夫で環境適応性が高いです。適した環境でなくても枯れにくく、明るい日陰でも少しの花を咲かせることがあります。
生育温度
生育温度の目安は15~25℃です。春と秋に最もよく生育します。多くの種類は高温多湿を嫌うので、夏は涼しく風通しのよい場所に置くとよいでしょう。
冬越し
寒さに強く、寒冷地でも栽培できます。冬越しのために対策する必要は特にありません。
エリゲロンの植え付け(地植え)

植え付け
植え付けの適期は、春の3~5月と秋の9月下旬~11月上旬です。丈夫なカルビンスキアヌスは適期が長く、3~6月、9月~11月上旬です。
水はけのよい場所が適するので、あまり排水のよくない場所では周囲より高めに土を盛って植え付けるとよいでしょう。専用のガーデンフレームなどを使うと、手軽に見栄えのよい花壇を作れます。また粘土質などの排水の悪い土壌は、軽石や砂などを足して土壌改良してください。
地植えした株の掘り上げ
植えたままにすると株が大きく育ち、蒸れやすくなります。2~3年ごとに1回、春の3~4月か秋の10月に株を掘り上げ、株分けしてから植え直してください。
エリゲロンの植え替え(鉢植え)

植え替え
大株になると腐りやすいので、1~2年に1回、春の3~4月か秋の10月に株分けしてから植え替えます。根鉢をくずして株を半分に分け、同じサイズか一回り小さな鉢に植えます。
ポット苗を購入した場合は、根鉢をくずさずそのまま一回りから二回り大きな鉢に植え替えます。根鉢をくずさない場合とカルビンスキアヌスの植え替えの適期は、春の3~6月、または秋の9月~11月上旬です。
用土
水はけのよい用土が適します。赤玉土6:腐葉土2:軽石2を混ぜた用土や、一般的な草花用の培養土と山野草用の培養土を半分ずつ混ぜた用土などを使います。特に丈夫なカルビンスキアヌスは、一般的な培養土だけでもよいでしょう。
ミヤマアズマギクなど高山性の種類は、山野草用の培養土が適します。
エリゲロンの育て方・日常の管理

水やり
地植えした場合は、水やりの必要はほぼありません。
鉢植えは、必ず用土の表面が乾いてから水やりします。水やりの回数が多いと過湿で根腐れするので、注意してください。
肥料
痩せた土壌で育つ植物なので、地植えした場合は肥料を与える必要はほとんどありません。肥料が多いと花があまり咲かずに枝葉ばかりがよく茂るようになり、蒸れやすくなります。
鉢植えは春の4月頃と秋の10月頃に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量の半分程度与えてください。
病害虫
病害虫の発生は少ないです。日照不足の場所などではアブラムシが発生することがあります。また風通しが悪く多湿にすると、スペシオサスの系統などはウドンコ病が発生します。
エリゲロンの作業・手入れ

花がら摘み
咲き終わった花は、そのままにすると枯れて見苦しくなります。こまめに摘み取るようにすると風通しがよくなり、花も長く咲きやすくなります。
増えすぎた株の撤去
カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えて、思わぬところから繁殖します。定期的に見回って余分な株は抜き取るといいでしょう。
エリゲロンの剪定

生育期前の早春頃に、地際に近い新芽が見える位置まで強く刈り込みます。寒冷地以外の地域では、晩秋の11月頃にカルビンスキアヌスに枯れた部分が目立つてきたら、地際近くまで刈り込んでください。他の種類も強い刈り込みを晩秋に行ってもよいでしょう。
枝葉がよく茂って風通しが悪くなると、夏の高温多湿や雨が長く続いた時に蒸れて腐ることがあります。夏前頃に全体を半分から1/3くらいまで残してバッサリと刈り込むと、トラブルが少なくなります。開花中の株は、花がら摘みも兼ねて花が咲き終わった茎をこまめに半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。
エリゲロンの増やし方

カルビンスキアヌスはこぼれ種でよく増えます。意図しない場所に出た株を掘り上げて増やすことができます。
ほかの種類は、主に株分けで増やします。カルビンスキアヌス以外の種類は、大株に育つと蒸れて枯れやすくなります。春の3~4月、または秋の10月に行う植え替えなどの作業と同時に株分けしてください。2~3株に切り分けてから植えますが、秋に行う場合は地上部を1/3程度まで刈り込んでから作業してください。
エリゲロンの栽培ポイント

- カルビンスキアヌスは特に性質が丈夫
- 日当たりと水はけ、風通しのよい場所を好む
- 夏の蒸れや多湿を嫌う
- 肥料は控えめに
カルビンスキアヌスは数ある園芸植物の中でも特筆すべき丈夫さで、放置してもよく育つ場合が多いです。開花期間も春から秋まで長く咲くので、重宝します。ほかの種類は夏の高温多湿には注意したほうがよいですが、あまり手間がかからず開花期間も比較的長いです。流通量は少ないですが、ネット通販などを利用すれば入手できる場合が増えています。エリゲロンは可憐な花をたくさん咲かせるものが多く、花色も豊富なので、コレクションしても楽しいでしょう。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

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