イングリッシュガーデンでもよく育てられている可愛い草花、エリゲロン(Erigeron)。直径2cmほどのピンクから白の小花が春から秋まで長く咲き続け、育てやすい宿根草です。細い茎を伸ばして花が咲き、ふわふわと風に揺れて軽やかな姿。小さな庭でも圧迫感がなく育てられるので人気があります。花壇はもちろん、グラウンドカバーや小道の縁取り、足元の緑化などにも重宝します。エリゲロンの特徴や魅力、庭での使い方アイデアをご紹介します。
目次
小花がたくさん咲く! エリゲロン・カルビンスキアヌス
草丈30cmほどに茂る宿根草(多年草)のエリゲロン・カルビンスキアヌス(Erigeron Karvinskianus)は、ハルジオンやヒメジョオンの仲間で、キク科エリゲロン属。黄色の花心の周りに細長い花びらが丸く広がり、デージーや小菊を思わせる素朴な花が魅力です。和名は、源平小菊(げんぺいこぎく)、ペラペラヨメナ。広がるように増えるので、グラウンドカバーなどにも向きます。また、葉が小振りなので寄せ植えなど、鉢植えにしても可愛い脇役として重宝します。中でも広く栽培されている品種は、写真の‘プロフュージョン’。
ここからはイギリスを中心とした海外の庭から、エリゲロンが咲くガーデンシーンをご紹介します。
石の隙間に花が咲くエリゲロン
日当たりから半日陰で、少し乾燥気味の水はけがよい場所を好みます。こぼれ種でも増えるので、いつの間にか思いがけない場所に生えてくることも。写真のような石の隙間にも育つ丈夫なガーデンプランツです。春から次々と花茎が立ち上がり、秋までずっと咲き続けますが、伸びすぎて乱れてきたら、思い切って短くカット(切り戻し)すると、夏の蒸れ防止になります。耐寒性もあり、肥料も必要がなく手間がかからないのも魅力です。
花壇の手前に植えて軽やかな印象をプラス
細かな花がチラチラと咲くエリゲロンは、花壇の中なら一番手前に植えましょう。奥に育つ中〜大型植物の株元の隙間を埋める役も果たしながら、花壇の境目を花で隠してくれます。
小道の縁取りに植えると、歩く場所と花壇の間をやさしくつなぎます。花色はピンクから白の小輪花なので、どんな植物とも相性がよく、何を植えたらいいか? と困ったら、エリゲロンが可愛い景色づくりを助けてくれます。
エリゲロンは堅い印象を和らげる効果あり
水はけがよく用土が少ない場所でも育ちやすい性質から、石の隙間に定着することが多いエリゲロン。石を積み上げた側面の目地から生えて、花がこちらを向いて咲いているようになるのも、可愛い演出です。石のゴツゴツした表情を花が和らげてくれるため、庭がナチュラルな雰囲気になります。
石を積み上げた塀の上面へ用土を少し入れられるようにし、根が浅く張る植物を植えれば、目の高さで花が楽しめるアイデア植栽。上部の花壇部分からこぼれるように花が咲くエリゲロンが、道ゆく人の目を楽しませていました。
階段のステップや段差の隙間に花の彩り
バラが咲く頃にイギリスの庭巡りをしていると、エリゲロンとの遭遇率が一番高いのが階段のステップです。一段二段と歩きながらも、足元に小花が咲いている光景は目を和ませてくれます。ある時期にこのデザインが流行って、皆が真似したのではと想像させられます。
エリゲロンが咲く階段の植栽アイデアの元祖は、もしかしてこの場所? と思うほど、チャーミングな風景を見せるのは、イギリスの南東部、イーストサセックス州にある「グレート・ディクスター」です。有名な庭師でガーデンライターでもあったクリストファー・ロイド邸のガーデンで、この階段を降りた先には、メドウガーデン(季節の花が混ざり咲く野原)が広がっています。
ラウンドした低いステップが手前に三段、円形の芝生のフロアから上へ二段つながる、とても凝ったつくりの階段に、エリゲロンがステップを縁取るように咲いています。階段という構造物に植物を組み合わせる発想に、さすが本場のデザインと感動。
石造りの日時計を縁取るエリゲロン
芝生が広がり、十字に石張りのテラスが伸びるガーデンの中心に据えられた日時計。その足元の円形の台座をエリゲロンが縁取っています。グレイッシュな石に控えめに小花が色を添え、庭との一体感を生んでいます。
バラの下草やグラウンドカバーとしても丈夫に育つエリゲロンの植え付けや、苗の販売時期は、秋か春。宿根草の通販ショップやガーデンセンターなどで購入できます。
秋冬の庭デザインの変更や、来春に向けた庭づくりに、エリゲロンの可愛い花をプラスしてみませんか?
Credit
写真&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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