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パイナップルは家庭で育つ! クラウン挿し栽培で果実を収穫

パイナップルは家庭で育つ! クラウン挿し栽培で果実を収穫

パイナップルが家庭で育てられることをご存じですか? 果実の上部についているクラウン(葉芽の部分)を育てれば、果実がなります! 捨てる部分を利用するので、気軽に始められます。自分で育てれば完熟させてから収穫できるので、外観が多少悪くても意外な美味しさを味わえます。また、栽培中の株姿は観葉植物としても魅力的です。この記事では、パイナップルのクラウン挿しの方法とその後の育て方、特徴や仲間まで、プロが詳しく解説します。

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パイナップルの基本情報

パイナップル
asharkyu/Shutterstock.com

植物名:パイナップル
学名:Ananas comosus
英名:pineapple
別名:パインアップル、パインナップル
漢名:菠蘿(はら、ポーロ)、鳳梨(ほうり、オンライ、フォンリー)
科名:パイナップル科
属名:アナナス属
原産地:熱帯アメリカ
分類:常緑多年草

パイナップルは、パイナップル科アナナス属の常緑多年草。原産地は熱帯アメリカです。熱帯を代表する果実ですが、家庭で育てて結実させるのも難しくありません。果実の上についた冠芽(かんが)、またはクラウンとも呼ばれる葉芽を使えば、早くて2年で結実します。葉が40枚くらい付いたら花芽を付けるとされます。株元付近から出てくる大きな吸芽を植えれば、翌年に結実します。

パイナップル
Tigra517/Shutterstock.com

生育適温は20~30℃とやや高めですが、土壌が乾燥した状態なら一時的にはかなりの低温に耐えます。ただし株がひどくダメージを受けるので、冬は室内の暖かい場所で越冬させましょう。

パイナップルは地上で生育しますが、着生植物の特徴が多くあります。根はあまり発達しないので、台風などの強風で倒れやすいです。また乾燥に強く、やせた土壌でも育ちます。葉の付け根からも水分を吸収するので、肥料を葉面散布すると効果的です。

観葉植物としては温度の適応範囲が広く、乾燥や日照不足にも耐えるので、比較的育てやすいです。葉の先端は鋭いので、気になる人はハサミで切って丸めると安心です。

パイナップルの花

パイナップルの花
Arthur C.C. Hsieh/Shutterstock.com

小花が多く集まり、互いの境界は癒着して1つの集合体となっています。小花は単為結実して小さな果実(小果)へと変わります。パイナップルの果実は小果が集まった集合果で、下方から上部へと順に熟していきます。そのため果実の下の部分のほうが甘いです。

台湾や沖縄産のスナックパインは、小果を手でちぎって食べることができます。スナック感覚で食べられることが名前の由来です。

パイナップルの仲間

ミニパイン Ananas comosusvar.microstachys  (= Ananas nanus )

ミニパイナップル
Akhmad Kusairi el Aksa/Shutterstock.com

花パインの名でも呼ばれる、観賞用のごく小さな果実がなるパイナップルです。切り花の材料としてよく使われますが、鉢植えの流通は少ないです。

‘バリエガツス’ Ananas comosus ‘Variegatus’

バリエガツス
Poetra.RH/Shutterstock.com

葉に斑が入った観賞価値の高い品種ですが、鉢植えはあまり流通していません。果実は美味しく食べることができます。

パイナップルの果実について

パイナップル
New Africa/Shutterstock.com

一般に販売されているパイナップルはフィリピン産がほとんどを占めますが、ほかに台湾やインドネシア、コスタリカなどからも輸入されます。

日本でも沖縄の北部や石垣島で栽培が盛んです。最も一般的な品種のスムースカイエンのほか、ピーチパインやゴールドバレルなどの品種が生産されています。

果肉はタンパク質分解酵素のブロメラインを含み、肉を柔らかくする効果が知られています。他に疲労回復に効果があるビタミンB1や、マンガン、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。

匂いが強かったり、柔らかいものは早く食べるようにしてください。未熟な果実は、口の中が荒れる場合があるので注意してください。

パイナップルの苗作り「クラウン挿しの方法」

栽培適期は5月から10月です。それ以外の季節は温度不足で根が伸びず失敗しやすいですが、保温に配慮すれば成功しやすくなります。

用意するもの

できるだけ綺麗な外観のクラウンを用意してください。芯が抜けているものもよくあるので、注意してください。

鉢は4~5号サイズがよいでしょう。鉢穴が1つの場合は、鉢底ネットも必要です。用土は鹿沼土を使います。

鹿沼土
撮影/小川恭弘

クラウンの準備

厚手の手袋をしてクラウンと果実をしっかり持ち、回転させるとクラウンが綺麗に抜けます。熟していないと固いので注意してください。

クラウンの下の部分の葉を2~3周ほど剥がして除去します。小さい根が既に出てきている場合が多いです。

パイナップル栽培
植え付け前の準備として、クラウンの下部の葉を2~3周ほど剥がして除去した様子。撮影/小川恭弘

鉢に植え付け

4~5号の鉢に鹿沼土で植えますが、安定が悪い場合は支柱を立ててください。

作業後は、風の当たらない室内などの明るい日陰で管理してください。新しい葉が伸び始めたら日なたに置きますが、夏は半日陰で管理してください。

水挿し

根が出揃うまでの1~2カ月、水挿しで育てるのもおすすめです。根が次々出てくる様子を観察できます。

置き場は室内の明るい日陰が適します。1~2カ月後に鹿沼土を入れた鉢に、2~3週間風の当たらない明るい日陰に置いてください。室内に置いて乾燥する場合は、葉水を与えると葉の付け根から水分を吸収します。その後は日なたに置きますが、夏は半日陰で管理してください。

秋から冬に水挿し栽培した場合は、日光が当たる窓辺か明るい日陰に置き、最低10℃以上を保つようにしてください。鹿沼土に植えるのは、春になったら行ってください。

パイナップル栽培
撮影/小川恭弘

パイナップルの詳しい育て方

パイナップル栽培
Len sha/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

よい果実を収穫するには、できるだけ日光に当てて育ててください。5~10月は屋外に出し、日なたで育てます。ただし32℃以上になると葉焼けなどの高温障害が出るので、夏の猛暑時は半日陰に移動するか、遮光ネットを張ってください。

気温が15℃以下になると生育が衰え、10℃くらいになると生育が止まります。

果実が大きくなってくると風で容易に倒れます。転倒対策を必ず行ってください。

水やり

鉢土の表面が乾いたら水やりします。根は過湿を嫌うので、水のやりすぎに注意してください。

多肉植物のように乾燥には耐えます。ただし水を控えると結実まで時間がかかり、果実も小さくなります。

肥料

5~10月に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。肥料不足でも収穫が遅くなり、果実が小さくなります。1,000~2,000倍に薄めた液体肥料を1カ月に2~3回、葉面散布するのも効果的です。

手入れ

下の部分の葉が枯れてきますが、そのままだと長期間見苦しく、カビの発生原因にもなります。安全のために手袋をして、早めに付け根付近からハサミなどで切ってください。

植え替え 

1~2年間隔で4~7月に大きな鉢に植え替えます。まず6~7号鉢に植え替え、最終的に8~10号鉢に植えてください。

用土

pH5.5~6.0の弱酸性で水はけのよい用土が適します。アルカリ性の用土は微量元素欠乏症を起こし、衰弱して枯れてしまいます。鹿沼土7、酸度調整済ピートモス3などの用土を使います。

冬越し

パイナップル栽培
i-am-helen/Shutterstock.com

乾燥させれば0℃近い低温にも耐えますが、葉はひどく傷みやすくなります。葉を美しく保ち、よい果実を収穫するには、最低温度を10℃以上に保つようにしてください。居間のような暖房の入る部屋の、日当たりのよい窓辺付近に置きます。冷え込みが厳しいときは部屋の中央付近に移動したり、夜間に段ボール箱を被せるなど保温に配慮してください。

収穫

パイナップル栽培
mikeledray/Shutterstock.com

花が咲く時期は不定で、花後120~130日で収穫します。

果実の生育には22℃以上の温度が望ましく、平均気温が22℃を下回ると酸っぱく甘味のない果実になります。

5~6月頃に花が咲くと、美味しい果実になりやすいです。秋に花芽が付いた場合は温度不足で果実が生育しないので、収穫には可能な限り保温することが重要です。

パイナップルを育てて目で舌で南国気分を見味わおう!

パイナップル
sunabesyou/Shutterstock.com

手軽なクラウン挿しから育てられるパイナップル。多肉植物のような株姿も魅力で、育てた人の特権ともいえる完熟の果実も味わうことができます。まずはクラウンを水挿ししてみるのもよいでしょう。根が出てくる様子が楽しいので、ぜひ挑戦してみてください。

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