- TOP
- 花と緑
- おすすめ植物(その他)
- 【専門家が選ぶ】自宅でハワイ気分! 魅惑のハワイアンプランツ5選
世界中のトロピカルプランツが集まるといわれる熱帯の楽園、ハワイ。自然豊かで多くの植物に囲まれ、特別な時間が過ごせるハワイには、どんな植物が育ち、愛されているかご存じでしょうか。「地元の人々に親しまれているハワイアンプランツは、とても魅力的な特徴や性質を備えていて、中には日本で育てられる種類もあります」と教えてくれるのは、栽培研究家で熱帯植物を得意とする小川恭弘さん。ハワイアンプランツの中でも比較的育てやすい、おすすめ5種の特徴と育て方を教えていただきます。
目次
ハワイアンプランツとは
ハワイ諸島はアメリカ大陸まで3,600km離れており、最も孤立した島々の一つです。大型の草食動物がいない環境で独自に進化したことから、植物は貴重な固有種が多いのが特徴。一方、世界中からの移民が多いので、さまざまな地域から持ち込まれた外来植物も豊富です。ハワイで熱帯雨林へのトレッキングに出かけると、世界各地の熱帯植物を見ることができ、さながら植物園のよう。ホテルや公園の植栽も多くの植物が使われ、洗練された美しい景観で楽園の雰囲気が効果的に演出されています。
ハワイアンプランツ5種の魅力と育て方のコツ
そんな豊富な熱帯植物の中でも多く植えられて親しまれているハワイアンプランツは、ハイビスカスやプルメリア以外にもじつに多彩。美しい花が咲き芳香豊かで、ハーブとしての有用性を備えたものもあるうえ、育てやすさなどにも優れた植物です。
この記事では、その中でも日本の家庭で育てやすい種類を選んで5種ご紹介。まだ日本では聞きなれない植物名が多いですが、どれも花や葉が美しく、爽やかな香りが楽しめたり、ユニークな姿に驚いたり、お茶としても活用できるなど、多彩な魅力を備えています。
ここからは、ハワイアンプランツ5種の魅力と愛されてきた理由、育て方のコツを解説します。
おすすめハワイアンプランツ1 ピカケ
学名 Jasminum sambac
分類 モクセイ科ソケイ属
原産 熱帯アジア
和名 マツリカ
ピカケの特徴
高さ3mほどになる半つる性の常緑低木で、世界の熱帯地域で広く栽培されています。ジャスミンの仲間で、英名は、アラビアンジャスミン。甘く爽やかな芳香のある白花は、ジャスミンティーの材料になることでも有名です。
四季咲き性で、春から秋まで長期間開花します。八重咲きなど品種も多数あり、ハワイではつぼみの状態でレイに用いられ、結婚式などに多く使われています。また、ハワイ王国最後の王女プリンセス・カイウラニ(Princess Kaiulani)が愛したことでも知られ、ハワイを象徴する特別な花の一つ。多くの国々では神聖な花などとして愛され、フィリピンやインドネシアでは国花とされています。
ピカケの育て方
栽培環境は、日向から半日陰の場所が適します。日光が不足しがちな場所では枝が細くよく伸びて生育し、つる性の性質が強くなります。
水やりは、鉢土の表面が乾き始めたら与えます。夏に大株になり花をよく咲かせている場合、晴れの日は毎日与えてください。
肥料は5~10月の成長期に、リン酸が多めの化成肥料などを規定量施してください。
冬は戸外ではほぼ越冬しませんが、室内に置けば容易です。
おすすめハワイアンプランツ2 イリマ
学名 Sida fallax
分類 アオイ科キンゴジ属
原産 ハワイ諸島、太平洋諸島
イリマの特徴
樹高1m程度の常緑低木で、オアフ島の島花とされています。直径2~3cmの小さな黄色い花は四季咲き性で、春から秋まで長期間楽しめます。暑さにも強く、環境適応性が高いので育てやすいです。
海岸沿いの乾燥した地域に生育するイリマは、葉が銀色がかり、枝は横方向に広がって伸びます。森に生育するものは、葉は緑色で大きくなり、背が高くなります。
イリマの花は、古くはハワイの王族のためのレイに使われていましたが、現在は一般に広く利用されて親しまれています。
イリマの育て方
栽培環境は、日向から半日陰の場所が適し、暑さに負けず長期間開花します。春から秋まで庭などに地植えすれば、長期間手間いらずで花が咲き続けます。
水やりは、鉢土の表面が乾いてから与えます。地植えの場合は、根付けば水やりをしなくてもよいでしょう。
肥料は控え気味でよいですが、よく成長させたい場合は5~10月に液体肥料を2週間に1回施してください。
冬越しは、11月までに庭から掘り上げて、鉢植えの状態で室内に置けば容易に越冬します。
おすすめハワイアンプランツ3 ティー
学名 Cordyline fruticosa
分類 キジカクシ科コルジリネ属
原産 熱帯アジア~オーストラリア北部
別名 ティーリーフ、コルディリネ
ティーの特徴
樹高2~4mになる常緑低木で、カラフルな葉色が美しく、観葉植物としても栽培されています。コルジリネの仲間には、関東でも地植えで越冬する種類もありますが、このティーは室内で冬越しさせてください。品種が多いので、コレクションしても楽しいでしょう。
ハワイではティーの名で知られ、厚みのある葉はフラダンスのスカートやレイ、屋根葺き材料、サンダル、食品の包装用などさまざまな用途で古くから利用されてきました。また魔除けの力があると信じられ、健康の象徴としても親しまれています。
ティーの育て方
栽培環境は、日向から半日陰が適します。葉の厚みが薄い品種は、夏は半日陰に置いたほうがよいでしょう。
水やりは鉢土の表面が乾いてから与えます。
肥料は、観葉植物用のものなどを5〜10月に規定量施してください。
冬は11月までに室内に移動し、日当たりのよい場所に置いて冬越しさせましょう。
おすすめハワイアンプランツ4 ラウアエ
学名 Phymatosorus scolopendria
分類 ウラボシ科オキナワウラボシ属(ミクロソリウム属)
原産 沖縄~東南アジア~オーストラリア~大平洋諸島~アフリカ
和名 オキナワウラボシ
ラウアエの特徴
光沢のある葉はユニークな形で、ハワイアンキルトなどのモチーフにも使われるシダ植物です。切れ込みが多く入った葉は直立し、高さ40cmほどになります。ハワイに自生していた植物ではありませんが丈夫な性質で、ハワイ諸島各地でグラウンドカバーなどとしてもよく植栽されています。また甘い芳香があることも人気の理由で、レイの素材にも利用されています。
シダ類としては例外的に乾燥に強く、日向の岩場にも生育し、環境適応性が高いという特徴もあります。
ラウアエの育て方
栽培環境は、日向から明るい日陰で生育します。戸外で育ててもよく、室内で観葉植物として楽しむことも可能で、栽培用途が広いです。
水やりは鉢土の表面が乾いてから与えます。
鉢植えの場合は植え替えを適切に行えば、地植えと同じく特に肥料は施さなくてもよいでしょう。早く生育させたい場合は、5~10月に液体肥料を2週間に1回、水やり代わりに与えてください。
冬越しは、11月までに鉢植えにして室内に取り込めば容易に越冬します。
おすすめハワイアンプランツ5 ママキ
学名 Pipturus albidus
分類 イラクサ科ヌノマオ属
原産 ハワイ諸島
ママキの特徴
ハワイ諸島の固有種で、昨今人気上昇中のハワイアンハーブです。樹高9mになる常緑樹ですが、小さな株の間は草本植物のように見えます。古くからハーブとして利用され、葉は万能薬とされます。お茶にすると、苦みの少ないまろやかな甘味で、カテキンなどの抗酸化物質やミネラルが豊富に含まれているので、体の調子を整え、アンチエイジングやデトックス、疲労回復、高い美容効果などが期待されています。お茶の市販品もありますが、流通量は多くありません。苗の流通量も少ないので、ネット通販などを利用するとよいでしょう。
お茶の作り方は、目安として500mlの熱湯に対し、生葉を4~5枚入れ、10~15分蒸らしてください。冷やして飲んでもおいしいです。
ママキの育て方
栽培環境は、午前中だけ日光が当たる半日陰が適します。夏の強い直射日光に当てると葉焼けするので、注意しましょう。
水やりは、鉢土の表面が乾いてから与えます。過湿は嫌うので注意してください。
肥料は、5~9月に液体肥料を2週間に1回、規定量与えてください。
寒さには弱いので、10月中に室内に取り込み、暖房の入る暖かい場所で冬越しさせてください。
魅力いっぱい! ハワイアンプランツを育てて自宅でハワイ気分
丈夫で育てやすく観賞性の高いハワイアンプランツ4種と、ハーブとしての効能に優れるママキをご紹介しました。ママキのお茶は、今後ハワイアンハーブティーとしても人気が期待できますが、飲料や茶葉を探し求めるよりも育てたほうが入手が簡単です。日本ではまだ珍しい、ハワイの人々に愛される魅惑の植物を育てて、ハワイの気分や雰囲気をご自宅で味わってみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -
記事をシェアする
新着記事
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」全国から選ばれた…
2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、東京都立砧公園(世田谷区)で開催されます。宿根草を活用して「持続可能なロングライフ・ローメ…
-
おすすめ植物(その他)
蜜源植物とは? ガーデンで人気の種類&ハチミツの香りと味わいの違いもご紹介
ミツバチが花の蜜を求めて訪れる植物を「蜜源植物」と呼び、その種類は日本だけでも500〜600種類もあるといわれています。たくさんの種類がある蜜源植物の中でも代表的なものをピックアップし、植物によって異なる…